少し重たい話になります。
ソウジは交通事故に巻き込まれ病院に運び込まれた時には虫の息だったらしく、カイト達が病院に着いた時にはすでにこの世を去っていた。
葬式も終わって数日が経っても未だにカイトは学校を休んでいる。
食欲も無く自室のベッドに寝転んで呆然と天井を見上げている。
はやても心配して何度か来てくれてるが
目を閉じると父との楽しかった思い出が蘇ってくる。
家族で遊園地に行った時の事
家族で旅行に行った時の事
家族とはやてで水族館に行った時の事
家族とはやてで動物園に行った時の事
家族とはやてで食卓を囲む毎朝
早く帰ってきた時に一緒に入るお風呂
休日に剣術の稽古後みんなで囲む食卓
最初は家族三人で途中からはやても加わり色々な所に行った思い出。
その次に思い出すのは穏やかな日常の出来事。
そして思い出すのは一番古い記憶
カイトが物心ついた頃に見た剣術の稽古をしている父の姿
その姿に憧れ剣術を教えてもらう為に必死で頼み込んだが断られた事
断られても何度も頼み込んでやっと教えてもらえる許可が出た時の事
あまり回数は多いとは言えないが何度も剣を交えた日々
数日間ずっと思い出しては泣いていた。
父さん…
僕、父さんがいないと嫌だよ…
父さんがいなくなったら僕は誰に強くなったのを見せればいいの?
あれ?
何で強くなりたいんだっけ?
強くなって何をしたいんだっけ?
『カイト。何故剣術なんだ?』
『父さんみたいに強くなって母さんやはやてを守りたいんだ!』
そうだ。思い出した。
僕は父さんが僕達を守ってくれてるみたいにみんなを守りたかったんだ。
『じゃあ、父さんがいない時はカイトが母さんやはやてちゃんを守ってくれるか?』
カイトは父の言葉を思い出すと勢いよく起き上がり涙を拭いて自室を出る。
階段を降りていくとエレナの泣き声が聞こえた。
葬式の時は気丈に振る舞い涙を見せなかったが一人になると抑え切れずに泣いてしまっているのをカイトは知っていた。
「母さん。」
「…カイト?」
エレナはカイトの顔を見る。
その表情は何かを決意した様なそんな表情だった。
「父さんとの約束を思い出したんだ。これからは父さんの代わりに僕が母さんとはやてを守る。」
エレナは、こんな小さな子が悲しみを乗り越えて前に進もうとしているのに自分は何をメソメソしているんだと思い後悔すると同時に息子の成長に感極まりまた涙が溢れてきた。
「僕、頑張って強くなるから…だから泣かないで…母さん。」
「ありがとうカイト…私も頑張るわ。」
ふと、カイトがリビングのテーブルを見ると作り置きされた料理と、はやてが残した書き置きがあった。
「はやてにも謝らなきゃ!」
「ふふ、そうね。」
数日振りに月代家に笑顔が戻った。
買い溜めている時は結構文字数多いと思ってたんですが、1000文字ちょっとでした。
もう毎回1000文字くらいの路線を目指そうかなって思っちゃいますね。