ーグルメ界の王達ー   作:塗る壁

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 どうも塗る壁です。なんかトリコを読んでたら思い付いたものです。独自設定や独自解釈が多いので突っ込みどころが多いと思います、そりゃあもういろんな意味で…

 一つの作品として楽しんでいただけると嬉しいです。


八王激突!? 馬王VS猿王!!!!

──()(おう)──

 過酷な環境と屈強な猛獣が存在する広大なグルメ界、その全生態系の頂点に君臨する八種の獣の王。彼等の祖先は、時代こそ違えどそれぞれが地上を支配し、最強と(うた)われた伝説の猛獣達である。

 

 かつて、世界最高峰の実力を持ち、その気になれば星一つ破壊できる【ノッキングマスター】次郎は言った……。

 

――八王(やつら)は、一個の星にも匹敵すると――

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 グルメ界には所要の大陸が八つ存在する。

 

 その一つ、【(あめ)大陸(たいりく)】エリア8を支配するは、八王の一角【()(おう)】ヘラクレス。山より遥かに巨大な体躯を誇る彼の前に一匹の珍客が現れた。

 

「ウッキキッキギー!」

 

 大きな金玉が特徴的な毛むくじゃらの猿。

 2~3mしかない彼は巨大なヘラクレスと比べればまさに象と蟻。だが、小さいからといって侮ってはならない。彼こそが隣の【(やま)大陸(たいりく)】エリア7を支配する王、八王の一角【(えん)(おう)】バンビーノ。

 

 ヘラクレスに呼び掛けたバンビーノは軽くジャンプした。音速を優に越えた速度でヘラクレスの顔にまで迫ったバンビーノは再びヘラクレスに呼び掛ける。

 

「ウーキー……」

 

 そもそも何故、彼が隣の大陸に住むヘラクレスの下にまでやって来たのか……。その理由は至極単純である。

 

 バンビーノは呼び掛けと同時に拳を作り……

 

「ギッ!」

 

 ヘラクレスの顔を()()()()()。その瞬間、火山の噴火をも凌駕する余波と爆音が大気を揺るがした。その小さな拳からは想像もつかない程の怪力である。

 

 バンビーノがこの大陸にやって来た理由、それはヘラクレスと、ケンカ(あそび)に来たのである。

 

 バンビーノの突然の攻撃(あいさつ)にヘラクレスが応える。

 

「ブロロ!!」

 

――ヘラクキック――

 

 山よりも巨大な脚による神速の蹴り。一度放てば宇宙からも観測出来る程の衝撃を放つヘラクレスの蹴りをバンビーノは()()()()()()

 

 バンビーノは大気を裂き、幾つもの山を穿ちながら数百km先の山脈まで吹っ飛ばされる。

 

 大の字にめり込んだバンビーノはその中から飛び出し……

 

「ウッキャー!!」

 

 歓喜の叫びを響かせた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 八王は生態も違えば性格も違う。【馬王】の性格は厳格な王であるのに対し、【猿王】の性格は何処までも無邪気な子供であった。だからこそバンビーノは他の八王との戦い(あそび)を求めた。

 

 遊ぶ事が大好きな【猿王】バンビーノ。だが彼は、遊ぶには強すぎた。八王はその強さからこの世の殆どの生物は相手にもならない。故にバンビーノは退屈だった。この世の殆どの生物は、彼が少し触れただけで死んでしまうから……。

 

 バンビーノと遊べる生物(もの)は彼の恋猿(こいびと)を含めた同じ種族か、他の八王の種族だけだった。だが八王の種族はその強さ故か個体数はそう多くはない。その事実が彼を退屈にした。バンビーノが求めたのは命を賭けた戦い(あそび)。それは恋猿とは決して出来ない遊びである。出来るとすれば……

 

「ウッキャー!!」

 

――同格の王のみ――

 

 王の戦いが今、始まる。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 王の開戦に天の大気が渦を巻く。

 

──エンペラーリング──

 王者と呼ばれる猛獣同士が戦う際に発生する大気の渦。その猛獣が強い程、その渦は巨大になる。今回発生したエンペラーリングは群雄割拠のグルメ界においても屈指のデカさであった。

 

「ウッキャキャー!」

 

 バンビーノが叫ぶ。数百kmを吹っ飛ばされたとしてもバンビーノからは微塵もダメージを感じられない。それどころか楽しそうにヘラクレスに向けて突進する。

 

 そして、ヘラクレスもまたダメージは皆無である。彼は一つの感情を思い出していた。それは、戦いの高揚感。久しく忘れていたこの感情を彼は長い間感じていなかった。

 

 【馬王】ヘラクレス、数万年以上を生きる彼は八王の中でも古参である。そんな彼が戦いを感じたのはいつ以来か……数百年……数千年……あるいはもっとか……。

 

 ヘラクレスはバンビーノにその礼を込め、息を吐いた。その瞬間、放たれたのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。山河を軽々と砕くその砲弾は、幾つもの山を貫通しながらバンビーノへと直進していく。

 

「ウキキー!」

 

 迫る大気の砲弾に対し、バンビーノは体を広げた。

 

――猿武――

 

 バンビーノは大気の砲弾を四肢で掴むと……

 

――風散らし――

 

 周囲に霧散させ、受け流す。

 霧散させた大気の砲弾は暴風となり、周囲に存在するあらゆる物質を吹き飛ばした。

 

──(えん)()──

 【猿王】があみだした細胞一つ一つを統率し、あらゆる力を受け流す技術。

 

 バンビーノは、極めれば重力すらも受け流すこの技術を使い、大気の砲弾を受け流したのだ。

 

「ウキャー!!」

 

 今度はこちらの番だとばかりに叫ぶバンビーノ。

 バンビーノは体を回し、尻尾を振るう。すると近くにあった山が、根本から両断される。

 

「ウー……」

 

 バンビーノは一瞬で山の下までやって来ると、片手で掴む。そして……

 

「ギッ!!」

 

 ヘラクレスへ向けて、()()()()()

 

 しかし、ヘラクレスに焦りはない。ヘラクレスは山に向けて息を吹き掛け、()()()()

 

 ヘラクレスは思う。

 【馬王】にとって……否、八王にとって山などというものは塵と変わらない。それは【猿王】も分かっているはず。

 

 勿論、バンビーノは(こんなもの)でヘラクレスを倒せるとは思っていない。それどころか山を投げた事にすらそこまで深い意味はない。単純に近くにあったから。子供が遊びでその場の砂を投げるように、バンビーノもまた身近にあったものを使ったにすぎない。

 

「ウキッウキキー!」

 

 バンビーノは一瞬で距離を詰め、ヘラクレスを蹴り上げようとする。

 

「ウキ?」

 

 バンビーノの蹴りが空振る。風圧が空へと昇り、雲を裂く。

 

「ブロロロオォォォォ!!!」

 

 茫然とするバンビーノに向けて、ヘラクレスは唸りを上げながら首を振った。

 

「ッ!」

 

 横からの衝撃に驚愕するバンビーノ。即座に体を捻り、受け流す。余波だけで山河を吹き飛ばす攻防が始まる。

 

「ブロロ……」

 

「ウキキッ」

 

 両者の視線が交差する。その時、ヘラクレスが()()()()()に大気を吸った。

 

――絶滅の呼吸(デストロイブリーズ)――

 

 本来の呼吸の8分の1でしかないが、大気を吸う。ただそれだけで周囲はヘラクレスを中心に真空となる。通常なら並の生物なら生きられないが……

 

 八王には通用しない。バンビーノは真空空間の中、平然と鼻をほじる。

 

 だが、ヘラクレスもこれで終わりではない。忘れてはならない。呼吸とは吸って()()ものなのだから……。

 

 ヘラクレスは吸った息を一気に吐き出した。

 

「!?」

 

 その瞬間、放たれたのは先程の大気の砲弾の十数倍ものデカさと圧力を持つ大砲弾。

 

「ウキャキャー!」

 

 バンビーノは足に力を込める。迫る大砲弾を両手で受け止め……

 

――猿武――

 

「ウギギギ」

 

――大気投げ――

 

「ウッキャー!」

 

 上空に投げ飛ばす。投げ飛ばされた大砲弾は衝撃を撒き散らしながら宇宙にまで飛んでいった。

 

「ウッキッキッキッキ」

 

 飛んでいく大砲弾を眺めながら、バンビーノは笑う。

 

 そんなバンビーノを見ながらヘラクレスは息を“深く”吸った。

 

「ウキ?」

 

 バンビーノはすぐにその違和感に気付く。その違和感とは、ヘラクレスの呼吸。先程のものはおろか本来のものよりも息を吸っている。その呼吸による急激な大気の変化に天が、海が、世界が共鳴するように荒れ狂い始める。

 

 バンビーノは気付いた。ヘラクレスが、本当の力を取り戻そうとしている、と。

 

 【馬王】ヘラクレス。一度の呼吸による必要な大気の量は約3600億トン。また、“大気食”である彼は一度呼吸すれば一ヶ月間もの無呼吸運動を可能とし、逆に何もしなければ一年間は生きると言われている。

 だがそれはあくまで()()()()()()()()()()()()()()()()での話。

 

 【馬王】はその厳格な性格から自らに枷をかけている。それは大陸(りょうど)生物(たみ)()()()()()()()()()()()()

 

 【馬王】がもし本気になるとしたら、八王と戦う時のみ。

 

 バンビーノは理解した。手合わせ(あそび)はここまで、ここから先は……

 

 本当の王の死合い(たたかい)

 

 バンビーノは歓喜に満ちた笑顔を浮かべ、()()()()()。バンビーノを中心に爆発が起き、毛が飛び白い肌があらわになる。腕から足にかけて皮膚が伸び、その姿はまるで猿とムササビが合わさったような姿。

 

 両者の筋肉が膨張すると共に放つプレッシャーも増大する。星にも等しいエネルギーに満ちた王は向き合った。

 

 二匹が動いたのは……

 

「ブロオォォォォォォォ!!!」

 

「ウキャギャーー!!!」

 

 全くの同時。

 

――真・ヘラクキック――

 

――猿武・大陸割り――

 

 ヘラクレスの本気の蹴りにバンビーノの拳が振り落とされる。二匹の王の一撃がぶつかり合う。その凄まじき衝撃は宇宙にまで伝わり、大陸は断裂する。

 

 そこから始まるのは神速の攻防。余波だけで星を揺るがす両者の戦いは熾烈を極めた。

 

「ブロォォ!」

 

「ウキー!」

 

 二匹は同時に距離を取る。離れた二匹の王は全身に力を込める。放つは渾身の一撃。二匹は互いに星にも等しいエネルギーを一点に凝縮する。

 

「ブロオオォォォォォォォォ!!!」

 

「ウキャキャーーーーーーー!!!」

 

――ヘラクレスブレス――

 

――猿武奥義・星砕き――

 

 星の衝突にも匹敵する衝撃が世界を揺るがした。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 【馬王】と【猿王】との戦いに()()も反応する。

 

─────────エリア6─────────

 

 光無き漆黒の海の底で、全ての光と物質を飲み込む【(げい)(おう)】はあらゆる物質と生物を喰らい始める。

 

 

 

─────────エリア5─────────

 

 その角と体に屈指の強獣達が住まう森を背負い、無数の脚で歩む優しき【鹿()(おう)】は祈りを込める。

 

 

 

─────────エリア4─────────

 

 星を一周する程の巨躯に流星の如き速度を持つ、全ての蛇の母【(じゃ)(おう)】は噛み締めるように動き出す。

 

 

 

─────────エリア3─────────

 

 世界の全制空権を握り、死の影を作り出す空の番長と呼ばれた【()(おう)】は猛毒の竜巻を起こしながら空へと羽ばたいた。

 

 

 

─────────エリア2─────────

 

 戦いの申し子にして星をも食らうと称された群を率いる【(ろう)(おう)】は闘争心を乗せて天へと遠吠えを上げる。

 

 

 

─────────エリア1─────────

 

 生涯にたった一本しか生えない牙でこの世の覇者にまで登り詰め、一万年を生きる【(りゅう)(おう)】は静かに目を覚ます。

 

 

 

 これは、ほんの1ページ。悠久の彼方から繰り広げられた八王(かれら)の激闘の1ページである。




 馬王と猿王との戦い、どうでしょうか?妄想を膨らますために、あえて決着は書かなかったんですけど楽しんでいただけましたか?楽しんでいただけたなら幸いです。
 ちなみに続きは考えてません。あるとしたらバトルウルフとデビル大蛇の王座決定戦ぐらいかな。後、八王を他の作品に出したらどうなるかな?

では感想待ってます!

おまけ

【馬王】ヘラクレス
種族名:ヘラク
支配大陸:【雨の大陸】エリア8

【猿王】バンビーノ
種族名:キンタマントヒヒ
支配大陸:【山の大陸】エリア7

【鯨王】ムーン
種族名:ブラックホールホエール
支配大陸:【海の大陸】エリア6

【鹿王】???
種族名:スカイディア
支配大陸:【?の大陸】エリア5

【蛇王】???
種族名:マザースネーク
支配大陸:【?の大陸】エリア4

【烏王】???
種族名:エンペラークロウ
支配大陸:【雲の大陸】エリア3

【狼王】ギネス
種族名:バトルウルフ
支配大陸:【?の大陸】エリア2

【竜王】デロウス
種族名:???
支配大陸:【?の大陸】エリア1
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