終わらせる区切りここしかないから、この話は原文にないよ。
だから、台本書きじゃないし、句読点もある。
そんな空間。
「待ってよ!」
矢追に呼び止められる。
拒絶したのに――敵のはずなのに。
「まだ、何かあるのか?」
「森羅が居なくなったら、僕はどうすればいいの?」
「俺には関係ない……」
心に渦を巻く黒い感情。
止められない、止まらない。
「ミネアさんは? 光輝だっている」
「俺じゃなくたっていいだろ」
そうだ、俺じゃなくても別にいいじゃないか。
矢追だって今や世界最強の一角、ミネアは使い魔が獣神で、光輝も歴代最強の勇者。
俺が入り込む余地なんて存在しない。
「……黒夜君だって、黒夜君の妹ちゃんだっているんだ……帰ってきてよ森羅ぁ!」
顔に珍しく涙を浮かべ、絶叫。こんな矢追を俺は見たことがない。
ほら、やっぱり俺が居たらダメじゃないか。
「壊したなら……壊してしまったものなら、作り直せばいいでしょ」
「……光輝」
こんな俺でもやり直せるのか?
薄汚い感情に流される俺でも?
「話を聞いてはいけないよ。行こうシンラ」
「……止めてくれ」
ルイを汚すな。
「どうしたの? 早く、ね?」
――ヤメロ。
「痛つつ……。いつだったか、お前にハーレムを作る気か聞いた事があったの覚えてっか?」
「来るものは拒まないと、俺は答えたやつか」
「お前を中心に起きる争いって、別に全てが悪いわけじゃない」
裏切りが悪いことじゃない?
鼻で笑いたくなる。力を持つもの同士の争いは、いつ死人を出すかわからない。
不意討ちの危険性は最低にすべきなのに。
「恋慕ってのはたしかに、いつ起爆するかわからん爆弾だが――お前、あいつらが喧嘩で泣いてたのを見たことがあるか?」
……思い返せばたしかにない。
いや、なくはない。けれども、すぐに仲直りしている。
考えれば考えるだけ、俺がいかに矮小な存在か思い知らされる。
感情のぶつけ合いですら、結局コミュニケーションの一つだったんだな。
「殺して?」
目を閉じ、魔武器の短刀を俺に向けて殺せというのはロキ。
――いや、ルイか。
その様子を黙って見ていられるはずもない。
他の面々はルイを押さえつけようと近づく。
しかし、主導権が離れようとも、神性を持たぬ人間にはロキに近づけない。
殺すしかないのか。
それでも――
「……嫌にきまってるだろ」
好きな人を殺せるわけないだろ。
「シンラのバカ……私だって、死にたくないよ……」
よく見ればウィンディーネがルイの体を拘束している。
半透明、現界できるギリギリで。
体の所有権がルイにあるのかロキにあるのか、ひと目で理解できた。
いや、考えるまでもない。俺を刺したのがルイの意志でない以上、ロキ以外有り得ない。
「だめだ森羅!」
ルイの手から短刀を抜き取る。
その煌きは、ただの魔武器でないことを本能に語りかけた。
――予定調和だったとでもいうのか。
俺が持つ神殺しは、短刀から槍へと姿を変えていた。
「――さよなら」
「ありがとう、シンラ」
ルイの心臓を穿つ槍。抵抗は存在しない。
「森羅!!!!」
ロキの抵抗も消えた。
だから、矢追や光輝達がこちらに来るのも当たり前か。
取り乱して走る二人とは対照的に、光はルイの体をみて何かをつぶやいている。
やめろ、触るな。
「とりあえず落ち着けお前ら」
いつも通りの冷静な声。
この場においては異常とも取れる。
だが、光はルイを指して言った。
「死んでないぞ」
しっかりと心臓を刺した。
ロキの反応がなくなったことから、間違いではない。
「冗談は顔だけにしてくれ」
「魔力こそ完全に消失したが、死んでいない」
――予定調和だったのだ。
こうして、ロキに憑かれることも。
俺に、殺されることも。
「良かった……本当に良かった」
「刺した本人がよく言うぜ、全く」
「はぁ……良かった。誰も死なずに、終わったんだ」
涙を拭きながら、矢追が零す。
そう、終わったんだ。
「――帰ろう」
それぞれが支え合い、帰路に着く。
失ったものは大きい。家が家だから尚更のこと。
それでもいいんだ。
だれも死んでいないのだから。
投げやりだね。
初完結だしこんなんでいいかな。みたいなね。
近々リメイク書くので、ここまで読んでくれた人いないと思うけど、いたらリメイクもよろしくお願いします。