デジモンアドベンチャーMAGI   作:龍気

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アグモン初進化!!



第7話『太陽の力!!新たなる未来(進化)ジオグレイモン!!』

遥か昔、現在(今)より地球が蒼く、自然豊かで、人間が世界と共に歩み、全ての命と対話していた平和な時代。

 

しかし・・・夜は全ての生命にとって決して、安らぐ事の出来ない時であった。

 

闇夜にまぎれ、生命の陰我に引き寄せられ、魔界と呼ばれる異界から現世へと現れる異形の者達、魔物と呼ばれる怪物の存在であった。

 

夜な夜な魔物は命を貪り食う為に現世へと現れ、森林や水場を荒らし、動物も蟲も人間も魔者達の餌として喰われ、朝陽が昇ると共に帰って行った。

 

全ての命が夜に怯えた時代、1つの光(希望)が現れた。

 

その光は輝く太陽の如く闇を照らし、異形の魔物達を消滅させ、闇に怯える命に温もりを与えた。

 

その輝きはまさに太陽、自分達には決して届かない空から落ちた太陽の如き輝きは、後に人々から、

太陽から地に舞い降りた欠片として「太陽の欠片」と呼ばれる様になった。

 

その後、永き時の間、太陽の欠片はその輝きで、全ての命を脅かす魔物から命を護って来た。

 

しかし、時が歩を進める毎に、現世と魔界との境界は強固な物となり、現世に現れる魔物の数は激減して行き、

そして現世に魔法使いや退魔師と呼ばれる者達が、護り手とし魔物達から人々を護り始めたのを堺に、

太陽の欠片は、地平線の彼方に沈む夕日の如く、その輝きを時の彼方に沈み消えていった。

 

そして・・・。

 

 

「その力・・・その光・・・・・まさか・・・貴様・・・「太陽の欠片」!!」

 

「お前だけは許さない!!」

 

 

現代の世に、再び陽は昇った。

 

 

 

―――『太陽の力!!新たなる未来(進化)ジオグレイモン!!』―――

 

 

 

夜の森の中でドーム状に張られた、影を操る悪魔、シャドルが張った結界内。

 

その結果の中は、結界の外とは比べ物にならないほど明るく、まるで朝の様であった。

 

その光は太一の身体から放たれた、山吹色の光だった。

 

太一の正面には、膝を着き失った左腕のあった箇所を押さえ、驚愕の声を上げながら、目の前の太一を見ていた。

 

 

「馬鹿な!!太陽の欠片だと!?遥か昔に消えたはず・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

 

太一は黙ってシャドルを睨んでいた。

 

しかし時折その身体がふらつき倒れそうにもなった。

 

それもそのはず、太一の左脇腹には、シャドルの奇襲により貫かれ、今も赤い血が流れているのだから。

 

それを見たシャドルは・・・。

 

 

「くは・・・くはは・・・くはははははははははは!!何だ貴様!!俺の受けた傷で今にも倒れそうではないか!!」

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

「俺が手を下すまでも無い!!数分もすれば貴様はし・・・・。」

 

すっ・・・・

 

「!?」

 

 

太一は両手を肩ほどの高さまで上げた、その掌には魔力と気が集中しており、熱が篭っているようで、

手の先の景色が揺らいで見えた。

 

 

「太一さん何を・・・・?まさか!!」

 

 

刹那が太一の行動に疑問を持ち、しばし思考した後1つの予想が頭をかすめ、まさかと思い太一を見た。

 

そしてその予想は的中した。

 

 

じゅう・・・・

 

「ぐうっ・・・・!!うぅ・・・・・・。」

 

「「太一(さん)!!」」

 

「何!?」

 

「ぐぅ・・うぅ・・・・がぁ・・・・・・。」

 

 

太一は熱の篭った両手を傷口に押し当て、傷口を熱で塞ごうとした。

 

肉が焼ける音がし、太一がしばし悶絶した後、手をどけると、傷口患部付近の服の一部は焼け焦げてボロボロと剥がれ落ち、

中から塞がって止血はされてはいるが、無残に焼け爛れた脇腹が見えた。

 

しかし太一は苦悶の表情を浮かべながらも、踏み止まり、強い意志をこめた瞳で前を見た。

 

 

「貴様・・・何故倒れん!?何故死なない!?普通の人間なら死ぬか気を失う程の傷だぞ!!」

 

 

すると太一は不敵な笑みを浮かべ、眼に力を込め、鬼神の如く迫力で強く叫んだ。

 

 

「これだけ人が怒ってんのに、おちおち寝ても死んでもいられるか!!」

 

「太一・・・・。」

 

「ぐっ・・・うぅ・・・・人間風情がアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

シャドルは猛スピードで近付き、残った右腕で襲い掛かろうとする、しかし、太一はすっと避け、シャドルの懐に入り拳をシャドルの顎へと突き上げた。

 

 

「グハッ!?」

 

「はぁっ!!」

 

ゲシッ

 

「グフッ!!」

 

 

すかさず太一は、身体の浮いたシャドルの脇に回し蹴りを喰らわした。

 

シャドルは数メートル吹飛ばされ、地面に少し転がった後太一の方を見るも、そこに太一の姿は無かった。

 

 

「何処だ!?」

 

 

ふとシャドルは、刹那とアグモンに目を向けると、2人とも自分の背後を見ているのに気付いた、シャドルはすかさず自分の背後に振り向くと。

 

 

バキーーーーーン

 

「ゲハッ!?」

 

 

シャドルの背後には太一は立っており、シャドルが振り向き際に、顔面に向け拳を放ち、シャドルはまたしても吹飛ばされた。

 

 

「は・・・早い・・それに強い・・・・・太一ってあんな動きが出来たの?」

 

「魔力と気の融合により身体能力がかなり強化されている・・・やはりあれは咸卦法なのか・・・?

しかし咸卦法には、さっきの様な魔法解除の能力は無いし、それにあいつの言っていた「太陽の欠片」とはいったい?」

 

 

アグモンと刹那は、太一の力に疑問を持つ中、太一はシャドルの方へとゆっくりと歩を進める。

 

シャドルは、地面に這い蹲った形で起き上がり、自分の方へと歩み寄ってくる太一に恐怖していた。

 

太一が攻撃したシャドルの身体の箇所は、何故か火傷の様な痕がついており、そこから僅かながら煙が立ち上っていた。

 

 

(奴が触れた箇所が焼けている・・・大した熱ではないはずなのに・・・・あの力・・・あの光・・・やはり太古に消えた筈と言われた、

俺達魔の存在を消し去る力・・・太陽の欠片!!)

 

 

シャドルが恐怖する様子を見て刹那は、太一の力は魔族達の間で恐れられている力と推測した。

 

 

「(やはりあの光は魔族には驚異とされている力を持つのか?それに加え咸卦法の様な身体能力の強化・・・咸卦法・・。)いけない!!

太一さん早く止めを!!」

 

「「!?」」

 

 

刹那はある事に気付き、太一にすぐに止めを刺す様に叫んだ。

 

 

「刹那如何したの?」

 

「もしあの力が私の知っている技と近い技だとしたら・・・・。」

 

すぅ・・・・・・

 

「なっ!?」

 

「・・・遅かったか・・・・・。」

 

 

突如太一の身体から放たれていた光が弱まりだし、太一の息も上がってきていた。

 

 

「刹那!!太一如何したの?」

 

「・・・太一さんは魔力と気を融合させて身体能力、防御力や魔法防御など様々な能力を飛躍的に上げる「咸卦法」と呼ばれる技に似ているのです。」

 

「咸卦法?」

 

「えぇ・・・そして「気」とは簡単に言えば体力と同じです・・・あれ程の負傷による出血の後と、おそらく今回初めて発動させて、

太一さん自身でも出力の調整が上手く出来ないと思います。」

 

「じゃあこのままあの力を使い続けたら!!」

 

「太一さん早く止めを!!早くその技を解除しないとあなたは本当に死んでしまいます!!」

 

「そうか・・・・。」

 

「はっ!?」

 

 

刹那の言葉を聞いたシャドルは、先程とはうって変わり、笑みを浮かべ太一との距離をとり、高らかに笑いだす。

 

 

「ははははははははははははははは!!このままその光を出し続ければ貴様は死ぬ!!解除しても俺に殺される!!どの道貴様には死しかないという事だ!!

かーーーーーーーーはははははははははははははははは!!」

 

「くっ・・・・。」

 

「その様子では後数分・・・俺はその時が来るまで・・・・・。」

 

ブワッ

 

 

シャドルは翼を広げ上空へと飛び上がり、太一との距離を更に広げ、結界の天辺付近まで行くと、浮遊したまま停止した。

 

 

「ここまで高みの見物といこうか。」

 

「あいつ・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・。」

 

 

シャドルが上空で余裕の笑みを浮かべながら太一達を眺めているなか、刹那はある事を考えていた。

 

 

(・・・私があの力を使えばあそこまで行く事が出来る、しかしそうなれば・・・・だが今は・・・「おい刹那。」。)

 

 

しかしその考えは太一の声によって中断された。

 

 

「何ですか?」

 

「あのな・・・・。」

 

 

太一は刹那に何やら相談する様に問いかけていた。

 

その様子をシャドルは疑問に思い見ていた。

 

 

「奴等・・・・何を?」

 

 

すると刹那は太一の傍を離れ、太一は構えをとっていた。

 

すると太一の弱まっていた輝きが、太一の拳へと集まっていき、拳に眩いまでの輝きを放った。

 

 

「はぁ・・はぁ・・・・。」

 

「太一・・・・・。」

 

「太一さん。」

 

(集中だ・・・そしてイメージするんだ・・・・力を拳に集め放つ!!)

 

 

拳の光はより輝き、そして太一は遥か上空のシャドルを射抜く目で睨み付けた。

 

 

「届け!!」

 

バシュン

 

「何!?」

 

 

太一はシャドルに向け拳を繰り出すと、拳に集まった光が光弾となりシャドルに向かって放たれた。

 

光弾を放つと同時に、太一の髪と瞳の色は元に戻り、その場に倒れようとしていた。

 

 

がしっ

 

「太一さん!!」

 

「太一大丈夫?」

 

「あっ・・あぁ・・・大丈夫だ。」

 

 

だが倒れそうになった太一を刹那とアグモンが受け止め、全員太一の放った光弾に視線を移した。

 

一方太一から放たれた光弾はシャドルに向かって行き、徐々に距離を縮め迫って行った。

 

しかし・・・。

 

 

「フン・・・何かと思えばこんな遅い攻撃など・・・。」

 

 

シャドルは光弾を余裕でかわし、笑みを浮かべ下の太一達に叫んだ。

 

 

「ヒャハハ!!あれは確かに当ればひとたまりなかったが、あの程度の攻撃避けられない俺と思ったか?ヒャーハッハッハ!!」

 

 

シャドルは大いに笑い、太一達を見下し、悔しがっている様子を見ようとした。

 

 

「太一・・・・。」

 

「太一さん・・・・・・。」

 

「・・・・・あぁ・・・・・。」

 

「ははは!!どれ・・・貴様らの悔しがる顔を見せてみろ。」

 

 

しかし・・・。

 

 

「「「お前バカだろ?」」」

 

「何!?」

 

 

太一達の表情は、シャドルが期待していた物とは正反対の笑みだった。

 

この状況で何故彼等は笑っていられるのか、シャドルは分からないでいが、太一がその答を言い放った。

 

 

「あの光の弾・・・・まだ生きてるぞ。」

 

「何だと!?」

 

 

シャドルは振り向くと、その視線の先には、結界の中心部に向かって進む光弾が目に入った。

 

 

「しっ・・・・!!」

 

 

そして。

 

 

ドシューーーーーン

 

パリーーーーーーン

 

 

「しまった!!」

 

 

光弾は天辺にある結界の中心部に命中し、爆発音の後にガラスが割れる様な音がした。

 

そして命中した箇所から結界全体に亀裂が入り、徐々に崩れ始めていった。

 

 

「貴様!!最初から俺ではなく、結界の破壊目的で・・・・。」

 

「そう言う事・・・念の為に刹那に聞いといてよかったぜ。」

 

「はい・・・。」

 

 

少し遡り、太一が光弾を放つ前。

 

 

(刹那結果ってのは、張った奴を倒さなくても破壊できるのか?)

 

(可能ですが・・・そうか・・今の太一さんの力なら・・・・・。)

 

(丁度アイツの真上に、力が集中している所がある気がするんだけど・・・。)

 

(えぇ・・・恐らくあそこが結界の中核・・・あそこに太一さんの光を当てればあるいは・・・。)

 

 

2人はこの様な会話をしていた。

 

そしてシャドルに気付かれない様、いかにもシャドルに攻撃を当てると思わせる為に、シャドルを狙う様睨み、

避け易い様に速度も調整して撃ち放ったのだった。

 

 

「後はご覧の通り、お前は何も気付かず避けて、自分の張った結界を破壊させてくれたって訳♪」

 

「この・・・この・・この人間風情がアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

悔しがらせたつもりが、逆に自分が悔しがらせられた結果に終わり、シャドルは悔しそうに叫ぶのだった。

 

そうこうしている間に、結界の崩壊は進んで行き、ついに結界は完全に崩壊した。

 

その少し前。

 

結界の外では、真名が高畑を連れ、太一達の元へと駆けつけ様としていた。

 

 

「すまない、高畑先生私がいながら・・・。」

 

「いや・・・僕や学園長にも非はある・・・・君の所為じゃないさ。」

 

「・・・・・・・・。」

 

(しかし・・・いきなり上位クラスの悪魔が出てくるとは・・・少しでも早く覚醒させる為とは言え、

やはり僕も付いているべきだったか。)

 

「・・・・・・・・・・。」

 

 

真名は高畑が別の事に思考をまわしている事に気付き、疑問の視線を向けていた。

 

すると・・・。

 

 

ドシューーーーーン

 

パリーーーーーーン

 

「なっ!?」

 

「あれは!?」

 

 

結界の天辺から爆音が聞こえ、そのすぐ後にガラスの割れる様な音がし、2人は結界の方へと視線を向け、足を止めた。

 

結界の天辺には、太陽光に似た山吹色の光が漏れており、結界の外壁に亀裂の様に広がって行き徐々に崩壊を始めていた。

 

 

「あれは・・・あの光は太陽の光に似ているが、僅かに魔力と気を宿している様だ・・・しかしあれは刹那の物では無い・・・・まさか・・・。」

 

「まさか太一君が覚醒したのか!?」

 

「・・・・・・・。」

 

ガチャ

 

「!?」

 

 

真名は突如銃を抜いて高畑の後頭部に押し当てた。

 

高畑は、どうこうする訳でもなくゆっくりと両手を肩より上へと上げた。

 

 

「・・・何の真似だい真名君?」

 

「今に思えば今回の狩りは疑問だらけだった。」

 

 

真名は殺気こそは発してはいないが、明らかに怒気を発しながら口を開いた。

 

 

「まずは太一を今回の狩りに参加させた事、いくら戦闘経験があるとは言え、魔法や魔物に関しては素人の生徒をいきなり狩りに出すのはどうかと思う。」

 

「・・・確かに。」

 

「もう1つは、高畑先生・・・あなたが今回の狩りに参加しなかった事だ。」

 

「・・・・・・・。」

 

「私や刹那が初めて此処の警備や狩りをした時も、サポートと実力を見極める為にあなたは新人と共に参加していた。」

 

「・・・・・・・そうだったね。」

 

「なのにあなたは参加しなかった、他のベテランの魔法先生をつける訳でもなく、私と刹那だけをつけて狩りに行かせた・・・これはどう考えてもおかしい。」

 

「・・・確かに・・・・君達が未熟と言う訳ではないが、やはり僕もついて行くべきだったと後悔しているよ。」

 

「そして先程の「太一君が覚醒したのか?」と言う言葉・・・あなたは・・いや学園長もか・・・私達そして太一自身も知らない秘密を知っている。」

 

「・・・・そうだよ。」

 

「・・・・・太一に何があるのですか?」

 

「・・・・珍しく怒っているね?」

 

「さてね・・・だけど教師であるあんた達の訳の分からない目論見の所為でクラスメートが傷付くのはどうも辛抱なら無くてね・・・。」

 

「・・・・今は彼等の元へ急ごう・・・・必ず説明する太一君達を含めてね。」

 

「・・・・・・・・・。」

 

 

真名は銃を静かに収め、太一達の元へと再び走り出した。

 

 

「すまないね・・・。」

 

 

少し遅れて高畑も走り出した。

 

そして2人は崩壊を続ける結界まで来たがそこには先客がいた。

 

 

「思ったより遅かったな?タカミチ。」

 

「今晩は高畑先生、龍宮さん。」

 

「エヴァ!!それに茶々丸君!!」

 

 

エヴァと茶々丸だった。

 

高畑と真名はエヴァ達に近づき、何をしているか問い詰めようとした。

 

 

「エヴァ!!何故ここにいるんだ?」

 

「フン・・・お前とじじいは私達にも奴との狩りに出したかったのだろ?だから実力をこの目で見る為に居たんだが、それが何か?」

 

「見ていたのなら何故彼等を助けないんだ!?」

 

「おやおや、タカミチともあろう者が分からないのか?」

 

「何?」

 

「この結界は、力を封印されたマスターでは、満月の時でなければ破壊は困難です。」

 

「くっ・・・。」

 

「そう言う事だ、文句なら私ではなくて、私を封印したまま死んだあの男に言うんだな・・・。」

 

「エヴァ・・・・。」

 

 

エヴァは皮肉に言ったが、その言葉は何処か悲しみが込められていて、高畑はそれ以上何も言えなくなった。

 

 

「それよりもタカミチ・・・貴様あの小僧の力は何だ?」

 

「それは・・・・。」

 

 

エヴァがタカミチに詰め寄るがその時丁度、結界は完全に崩壊し、刹那とアグモンに支えられ立っている太一の姿が見えた。

 

 

「太一君、刹那君!!」

 

「太一、刹那、アグモン無事か?」

 

 

太一達の安否を確認する為、太一達の方へと駆け寄る。

 

しかしエヴァは何処か面白くなさげに。

 

 

「なんだつまらん・・・ぴんぴんしているではないか。」

 

「あぁ・・・マスターが太一さん達が無事なのを知って、嬉しそうに・・・。」

 

「嬉しくない!!どんな目をしているのだお前は!?」

 

「こんな目で、このような構造ですマスター。」

 

 

そう言って、茶々丸は自分の目の設計図を映し出しエヴァに見せる。

 

 

「そういう意味では無いこのボケロボがあああああああああああ!!」

 

 

こんな1人と1体はほっといて、高畑と真名は太一達の元に着いた。

 

 

「太一君大丈夫なのか?」

 

「へへ・・・かなり・・・キツイ。」

 

「刹那お前は?」

 

「私は大丈夫だ、それより太一さんを早く。」

 

「太一を早く助けて。」

 

「うわっ!!君は何だ!?」

 

 

初めてアグモンを見た高畑は、驚き尻餅をつきかけた。

 

 

「コロモンさんが進化した、アグモンさんです。」

 

「えっ彼が!?これほどまで姿が変わるものなのか?デジモンの進化とは・・・ごめんね驚いたりして。」

 

 

刹那の説明に落ち着きを取り戻し高畑は、アグモンに驚いた事に関し謝罪した。

 

そしてエヴァ達が近づいてきた。

 

 

「なんだ・・・てっきり監視していたと思ったが、結構無責任な事をするなタカミチ?」

 

「エヴァ・・・・。」

 

「それはどうい「それより・・・。」えっ?」

 

「早くアイツを何とかしないとな。」

 

「うん・・・。」

 

 

太一は少し上を見上げ、全員もその視線の先を見た。

 

その視線の先には、腕をだらんと下げ、俯いた状態でゆっくりと降りてくるシャドルの姿があった。

 

 

「貴様等・・・・俺をここまでコケにして・・・・・こんな屈辱は初めてだ・・・・。」

 

 

悔しさの所為かわなわなと震え、ブツブツと呟きながら身体の傷の再生速度を上げ、次の瞬間。

 

 

「貴様等絶対に許さん!!」

 

ブワッ

 

「くっ!!」

 

「うわっ!!」

 

 

怒りと共に大量の魔力が放出され、高畑やエヴァですら思わず怯み、押し寄せる魔力の波動から倒れない様に踏ん張った。

 

普段の高畑ならこの様な事は絶対に無いが、それをさせたのはシャドルの恐ろしいまでの怒気と迫力であった。

 

高畑ですら思わず怯んでしまうほどの怒りを奴に与えたのは他ならぬ太一であり、シャドルの怒りの矛先は完全に太一へと向けられた。

 

 

「貴様だけは俺が殺す!!」

 

「いけない!!真名君刹那君、早く太一君を連れて此処から離れるんだ!!」

 

 

高畑は太一を守る為、刹那と真名に太一と共に離れる様言い、前に立つ。

 

 

「フンッ暇潰しには丁度いいだろう・・・小僧感謝するがいい、茶々丸!!」

 

「はい・・・マスター、桜咲さん龍宮さん、太一さんつれて早く治療を。」

 

 

エヴァと茶々丸も高畑につづき前に出る。

 

 

「退けい!!俺が今直ぐ殺したいのはそこにいる死掛けだああああああああああああああああ!!」

 

「そうはいかない、僕達の所為でこれ以上彼を傷付けさせはしない!!」

 

 

高畑は臨戦態勢を取る、しかし・・・。

 

 

「なっ!?」

 

「えっ!?」

 

「ん?おっ・・おい!?」

 

「・・・・・・・・・。」

 

「たっ・・太一君!?」

 

 

太一とアグモンが、高畑を押しのけて、フラフラとした足取りで前へと出たのだった。

 

 

「高畑先生・・・こいつは俺が・・・いや・・・俺達が倒す!!」

 

「うん!!」

 

「しかし!!」

 

「こいつは!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「仲間の・・・刹那の心を!!刹那が抱える苦しみや想いを踏み躙り、利用しようとした!!絶対に許しちゃいけない!!」

 

「太一・・・さん・・・・・。」

 

 

刹那は太一の背中を見詰めた、自分の心や想いを利用し踏み躙られた自分の為に、傷ついた体で戦おうとする男の背中を・・・。

 

 

「ふはは!!まさか貴様自身から死にに来るとはな!!望み通り真っ先に殺してやる!!」

 

「勘違いするな。」

 

「何?」

 

「俺は倒すと言ったんだ、殺される気なんて微塵も無い!!」

 

 

太一がそう言い放った後、シャドルは狂った様に笑い出した。

 

 

「しゃはははは!!そんな体でか?傷付き、気も魔力も使い果たした貴様が俺を倒す?笑わせるな!!何も残っていない貴様に俺が倒せる訳が・・・・。」

 

「残ってるんだよ・・・・。」

 

「何!?」

 

「確かにお前の言う様に気も魔力も無いみたいだ・・・もうフラフラで今にも倒れそうだよ・・・・。」

 

「ならば・・・・。」

 

「でもなぁ・・・こいつだけは違う・・・決して消える事の無い無限のエネルギーが俺に・・・いや・・・全ての命が持っている!!」

 

「な・・・何だそれは!?」

 

「それは・・・。」

 

「うん・・・それは・・・。」

 

 

太一はアグモンとアイコンタクトを取り、声を揃え大声で言い放った、その無限のエネルギーの名を、そのエネルギーの名とは・・・。

 

 

「「心だ!!」」

 

「なん・・・だと・・・?」

 

 

シャドルは太一とアグモンの言った事が分からずにいた。

 

だがそれはシャドルだけでなく、高畑達も同じだった。

 

 

「俺は絶対に諦めない!!この命がある限り、大切な物を・・・友を・・・全てを守る為に!!」

 

「太一が諦めない限り僕も諦めない!!太一と一緒にどんな困難でも乗り越えて見せる!!」

 

「「この心が!!勇気がある限り!!俺(僕)達は決して諦めはしない!!」」

 

 

太一とアグモンが叫ぶと、太一の腕のデジヴァイスが強い輝きを放ちながら光り出した。

 

その輝きを見てエヴァは身震いを起こした。

 

 

「マスター?」

 

「あの光は・・・やはり・・・・。」

 

「これは・・・いったい?」

 

ピピピ・・・

 

「太一さん及びアグモンさんから未知のエネルギー上昇を確認・・・モースとの戦闘時のエネルギーを遥かに凌ぐスピードで上昇及び、

膨大なエネルギー値を確認しました。」

 

「この光は・・・・。」

 

「あぁ・・・あの時の・・・しかしあの時より強い光だ・・・。」

 

 

シャドルもその輝きを前に少し後退した。

 

 

「なっ・・・何だこの光は!?」

 

 

そして太一とアグモンは共に叫ぶ。

 

 

「「これが俺(僕)達の心の光だ!!」」

 

 

太一はデジヴァイスをアグモンに翳す様に構えた。

 

 

(感じる・・・今までのとは違う強い力を・・・。)

 

(太一の力が僕の体に・・・だけど今までとは違う強く熱い心の力だ・・・。)

 

(俺達は・・・。)

 

(僕達は・・・。)

 

((もっと高く!!もっと高いとこまで羽ばたける!!))

 

 

デジヴァイスは更に輝きを増し、太一はゆっくり口を開き、一つの言葉を放とうとした、新たな未来へと切り開く神秘の言葉を。

 

刹那と真名もその輝きが何なのか分かっていた、そして叫んだその輝きの正体を。

 

 

「「これは・・・進化の輝き!!」」

 

「アグモン進化だ!!」

 

ヴオンオンオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

 

デジヴァイスからコロモンがアグモンへと進化した時とは比べ物にならないほどの輝きを放ち、デジヴァイスのディスプレイ画面にある英文が打ち込まれ、

音声が発せられた次の瞬間、輝きはアグモンを包んだ。

 

デジヴァイスのディスプレイ画面に映し出された英文、それは・・・。

 

 

『EVOLUTION』

 

「アグモン進化・・・・。」

 

「明日へと進む諦めない心が新たな力を生む、新たな未来へと進化しろアグモン!!」

 

「ジオグレイモン!!」

 

 

光の中から、オレンジ色の所々に青いラインの付いた体に、角の付いた固い殻の様な皮膚に覆われた頭部、腕や肩には棘の様に突き出た物があり、

鋭い爪と牙を持ち、手には赤いベルトの様な物が巻かれた、4mはある恐竜の様なデジモンが雄叫びを上げ立っていた。

 

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

「ジオグレイモン・・・あれがアグモンの新しい進化か・・・・ん?」

 

ビシュン

 

 

突如太一のデジヴァイスにジオグレイモンに関するデータが表示された。

 

デジタルワールドを冒険していた時に、光子朗の使っていたノートパソコンに入っていたデジモンの図鑑機能、デジモンアナライザーと同じだった。

 

 

『「ジオグレイモン(GEO GREYMON)」、世代・成熟期、種族・恐竜型、属性・ワクチン種。

グレイモンの亜種とされる成熟期の恐竜型デジモン。

外見は通常のグレイモンに比べより攻撃的で頭部、体などまさに凶器の様な棘があり、より先頭向きの身体となっている。

必殺技は、恐竜型とは思えぬ超スピードで翻弄し、ツノで攻撃を加える「ホーンインパルス」や、超高熱の火炎を吐き出し、

全てを焼き払う「メガフレイム」と、極限まで高めた超高熱の火炎に電撃の力をプラスした「メガバースト」など多くの技を持つ。』

 

 

表示されたデータを一通り読み終えると、表示されたデータは消え、次にデジヴァイスに関する一部の情報が、直接頭に送られた。

 

 

「今のは・・・・?スキャン機能・・アップリンク機能、このデジヴァイスの機能か?」

 

「こっ・・・これが・・・進化・・・・とても口では説明できない・・・・。」

 

「太一さんこれが今朝話していた・・・・。」

 

「違う・・・・。」

 

「えっ?」

 

「では何だというんだ?」

 

「俺達の・・・・新しい未来・・グレイモンとは又違う未来・・・・ジオグレイモンだ!!」

 

 

アグモンからジオグレイモンへの変貌に、太一の心の力に、高畑やエヴェと茶々丸はもちろんだが、話を聞いていた刹那や真名ですら、

その変貌に、力に、迫力に、神秘さに驚愕し、只々観ている事しか、驚く事しか出来なかった。

 

そしてジオグレイモンに対し、ジオグレイモンと言う新たな未来へとアグモンを進化させた太一に対し、驚愕しているのは奴も同じであった、

しかし奴には刹那達とは違い恐怖も含まれていた、影を操る悪魔シャドルには・・・・。

 

 

「なんだ・・・貴様等は?心で・・・・たかが人間が・・・心の力だけで・・・魔力も・・気も無くして・・・・1つの生命体の体と力を、

そこまで変えたと言うのか!?」

 

「太一・・・・。」

 

「あぁ・・・・。」

 

 

太一とジオグレイモンは、軽く目を合わせた後、軽く頷き合い、再びシャドルに向け鋭い眼光を向けた。

 

 

「おのれ・・・だが忘れたか!!この場に影が限り貴様等は、俺の影を操る能力の前では不利だと言う事を!!」

 

「そうだ!!いくら強くなっても影がある限り、奴の能力の前ではこちらは不利です!!」

 

 

影を操る能力を持つシャドルにとって影とは、存在を示す導だけでなく、武器であり、全てであった。

 

他人の影でも植物等であれ、影であれば己が武器として操り、影に潜み姿を消し、影により情報を得り、影より己が分身を幾多も生み出すことが出来る。

 

今宵の夜空には雲1つ無く、夜空には無数の小さな星々からの僅かな光と、一際輝く三日月の月より地に降り注がれる月光により、

地上に存在する物全ての足元には、黒く伸びた影があった。

 

それは即ち、圧倒的不利は状況と言っても過言ではない状況のはずであるはずが、1人だけがこの状況で他の者達とは違った。

 

 

「やってみろよ・・・。」

 

「何?」

 

「「「太一(君)(さん)!?」」」

 

 

太一だけが余裕の姿勢で、攻撃を煽る様にシャドルに挑発をかましていた。

 

その様子にエヴァが、すかさず太一に異を唱えた。

 

 

「小僧?どう言うつもりだ?よもやあの蜥蜴モドキを、恐竜モドキに変えた位で優位になったとでも思っているのか?」

 

「・・・・・・。」

 

「自惚れて遣られるのなら私を巻き込むな!!貴様の所為で無駄に傷付くのは「し~・・・。」・・・何?」

 

「黙ってて・・・。」

 

 

太一はシャドルに気付かれぬ様、人差し指を鼻の前まで持って行き、ジェスチャーと小声でエヴァに静かにする様伝えた。

 

 

「ふんっ!!まぁいい・・・貴様の好きにしろ(こいつ何かを狙っている?)。」

 

「・・・・じっとしていてやるから、攻撃して来いよ。」

 

「貴様・・・・。」

 

「簡単だろ?そこから動かずに俺の影を操って貫くなり、絞めるなりやってみろよ!!」

 

「太一さん何を?」

 

「黙っていろ刹那!!」

 

「エヴァンジェリンさん?」

 

「小僧の好きにやらせろ・・・何があってもあいつ自身の責任だ。」

 

「しかしエヴァ・・・。」

 

「今更善人面をするなタカミチ・・・今のあやつにとってこれ以上傷付こうが大差無い、まぁ死ぬかも知れんがな、

その原因は貴様とじじいにあると言う事を忘れるな?」

 

「くぅ・・・。」

 

「?」

 

高畑とエヴァの会話の内用に、疑問を持つ刹那ではあったが、今は目の前の事、太一に何が起きてもすぐに対応できる様、

疑問を脳裏から一時放り出し、五感の全てを研ぎ澄ませ集中した。

 

その間にも太一はシャドルへの挑発を続けた。

 

 

「どうした?不意打ちじゃなきゃ攻撃できないのか?それとも結界って言う自分の作った殻の中の標的じゃなきゃ怖くて何もできないのか?」

 

「この・・・この・・この・・・・・・。」

 

 

シャドルは太一の挑発に、ワナワナと震えだし、今にも感情が爆発しそうであった。

 

そして次の太一の言葉に・・・。

 

 

「悪魔のくせに、人間の・・・しかも傷だらけで死に掛けの小僧一人の罵声に何も言い返せないのか?

この卑怯者の臆病者め!!」

 

ブチン!!

 

「この糞ガキがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

ついに堪忍袋の尾が切れ、感情のままに叫ぶシャドルは、精神の弱い人間なら死に至るほどの殺気を込めた眼光を太一一人に向けた。

 

 

「望み通りに、貴様自らの影で殺してやるうううううううううううううううううううううううううう!!」

 

 

そう叫びシャドルは自らの影を槍の様に尖らせ、太一に向かって猛スピードで放った。

 

高畑と刹那達は動こうとしたが、シャドルの迫力に僅かに怯んでしまい、その僅かの隙にシャドルの影槍は、太一に迫り、

高畑ですら対処不能な状態となり、誰もが太一の死を覚悟した、しかし・・・・。

 

 

ガシッ

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

「ナイス・・・ジオグレイモン。」

 

「わかってたくせに・・・・。」

 

 

シャドルの伸ばした影槍は、太一に当たる寸前、ジオグレイモンが影槍を掴み取り、太一への直撃を阻止した。

 

 

「それにしてもおかしいなぁ・・・。」

 

「何?」

 

「俺は言ったよなぁ?「俺の影」を操れって、そしてお前も、「貴様自身の影」で殺すって。」

 

「・・・・・・・・・。」

 

「でもお前が操って俺を殺そうとしたのは、「お前自身の影」で「俺の影」じゃない。」

 

「くっ・・・。」

 

「それがどうかしたんですか?」

 

「刹那思い出してみろ・・・結界の中で、俺のデジヴァイスを奪った時、最初に分身を出した時、お前を拘束した時、あいつは何の影を使った?」

 

 

疑問に思った刹那に、結界の中でのシャドルの攻撃パターンを思い出す様に、笑顔で言った。

 

 

「それは・・・太一さんのデジヴァイスを奪った時は太一さんの影、最初に分身を出したのはアグモンさんの影を使って、

そして私を拘束したのは私の影を操ってです。」

 

「そう・・・じゃあ結果を破壊した今ではどうだ?」

 

「今・・・?そう言われてみれば、結界を破壊してから今まで、そして先程の攻撃でも、誰の影も、それどころか木々の影すら操っていない!!」

 

「正解。」

 

「どう言う事だ小僧?私達にも・・・そういう事か・・・。」

 

 

太一が何を言おうとしたのか、問い詰めようとしたが、エヴァは途中で気付き納得のいった感じで頷いた。

 

 

「・・・俺は結界について少し考えていた、閉じ込めて外部と遮断するだけでなく、攻撃を防いだり、封じ込めたりする等考えていた。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「確かに結界にはそう言った使い方もある、太古の日本でも数名の陰陽師が、強力な妖怪や物の怪を、結界を張って封じた、

なんて言う伝説や言い伝えはもちろん、実際にそう言った事を専門とする魔法使いや陰陽師がいるしな・・・。」

 

「じゃあもう1つ、結界を張って逃げられない様にする半面、実は自分にとって優位に立てる様に、フィールドを変えていたとしたら?」

 

「!!じゃああの結界は!?」

 

「あぁ・・・あの結界は・・・と言うか、あいつはあの結界の中で無いと他の影を操れない、もしくは無条件で操れないかだ。」

 

「おそらく後者が正解です・・・敵の攻撃と太一さんとの距離が86.7369cm地点に達した時、攻撃の軌道は急に下の方へと変えたのを確認しました。

恐らくあの悪魔は宣言通り太一さんの影を操作しようとしたのでしょう・・・。」

 

「・・・・お・・おぉ・・・・ありがとう茶々丸・・・。」

 

「いえ・・・・どういたしまして・・・・・。」

 

ペコ

 

 

茶々丸の細かい説明に、太一は戸惑いながらも茶々丸に一応お礼を言い、茶々丸もそれに答え頭をペコッと下げた。

 

 

「・・・・と言う事は、お前が操れるのはお前自身かお前の影が触れた影だけって事か?」

 

「くぅ・・・・・。」

 

「図星か・・・・。」

 

「確かに・・・俺は、俺が作った結界の外では、俺か・・・俺の影が触れた影でしか能力が働かない・・・だがそれがどうした!?」

 

 

シャドルは開き直り、力を込めると、失った左腕と、抉れた胸部、そして体中にあった傷や火傷が完全に回復し、

シャドルの体は、初めに此処に現れた時の様に完全な物となった。

 

 

「貴様の力が消えた事によって、回復が早まった!!完全となった俺に貴様は「「勝つ!!」」!?」

 

「「俺(僕)達は負けない・・・・負けられないんだ!!だから絶対に勝つ!!」」

 

 

太一とジオグレイモンは、同じ言葉を叫び、臨戦体勢をとる。

 

 

「行け!!ジオグレイモン!!」

 

「おおおおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

ジオグレイモンはシャドルへと向かって行き、シャドルも身構え、ジオグレイモンを迎え撃とうとしていた。

 

 

「たかが巨大なトカゲが俺に勝てるか!!」

 

ブワッ!!

 

 

シャドルは影を分散させ数本の槍の影へと形を変え、拡散させ一斉にジオグレイモンへと放った。

 

 

「そんな図体では早く動けまい!!」

 

 

シャドルは恐竜型であるジオグレイモンが、素早く動けまいと判断し、範囲を広くし、スピードのある攻撃を繰り出すが・・・。

 

 

「・・・・・・・。」

 

すっ・・・

 

ドカン!!

 

すっ・・・

 

ドカン!!

 

すっ・・・

 

ドカカカカン!!

 

「何!?」

 

 

ジオグレイモンは、恐竜型にしてその体格には似つかわしくない、素早くフットワークの取れた動きで、シャドルの放った影槍を、

見切り紙一重でかわしていった。

 

シャドルはジオグレイモンの予想外の動きに驚愕し、自分の攻撃によって巻き上げられた砂煙の中にいるジオグレイモンの動きに注意したが・・・。

 

 

「ホーンインパルス!!」

 

ドカーーーーーーーーーン!!

 

「なっ!?ぐわっ!!」

 

 

超スピードによる角からの突進、「ホーンインパルス」を真正面から喰らい、吹き飛ばされるシャドル。

 

 

「おのれ・・・・ッ!?フフフ・・・。」

 

 

吹き飛ばされたシャドルは、吹き飛ばされた場所に気付くと、不気味に笑い立ち上がる。

 

 

「今のは効いたぞ・・・・しかし、吹き飛ばした場所が悪かったな!!」

 

「!!」

 

 

シャドルの後方には、森の木々による巨大な影があった。

 

その影に自分の影を重ねた。

 

すると森から無数の触手の様な形の影が伸びてきて、その触影を鞭の様に撓らせて、ジオグレイモンに襲い掛かった。

 

 

「メガフレイム!!」

 

ぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

 

 

ジオグレイモンは口から灼熱の炎「メガフレイム」を広範囲に持続して放ち、向かって来る触影を撃ち落して行く。

 

 

(ククク・・・幾らでも撃ち落とすがいい・・・その間に・・・・・。)

 

 

触影を撃ち落とし続けるジオグレイモンの死角に、一本の伸びる影が、ジオグレイモンへと近づいていた。

 

シャドルは、攻撃をしている最中のジオグレイモンの影に自分の影を接触させ、ジオグレイモンの影を操り奇襲しようとしていたのだった。

 

そして影が重なろうとしていたその時。

 

 

ピキューーーーン

 

「!!」

 

ダッ

 

「何!?」

 

 

突如ジオグレイモンはメガフレイムを吐くのを止め、前へと飛び出し、メガフレイムによって数を減らした触影の間を掻い潜り、

シャドルへと一気に接近した。

 

 

「チィ!!」

 

ズワッ!!

 

 

シャドルはこれ以上は接近させまいと、前方に影で作った壁を構成し、ジオグレイモンの接近を防ごうとした。

 

 

「グレートホーン!!」

 

ズガーーーーン!!

 

「なっ!?グフッ!!」

 

 

だが、角による強力な攻撃、「グレートホーン」に影の壁は破壊され、勢い止まらずに、そのままシャドルに命中。

 

 

ピキューーーン

 

「!!グレートホーンアタック!!」

 

ガスッ!!

 

「グハッ!!」

 

「テイルクラッシュ!!」

 

ビシーーーン!!

 

「ガハッ!!」

 

「止めだ!!メガフレイム!!」

 

ズガーーーーーーーーーーーーーーーン!!

 

「グオガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

ジオグレイモンは、角を突き上げ攻撃する「グレートホーンアタック」でシャドルを浮かび上がらせ、

吹き飛ぶ間際に、尻尾で叩き落す「テイルクラッシュ」でシャドルを地面に叩きつけ、止めに、

先程とは違う、炎のエネルギーを集束させ、火炎球と形を変えた「メガフレイム」をシャドルへと放ち大きな爆発を起こした。

 

 

「お・・おのれ・・・・。」

 

 

シャドルはボロボロになりながらも立ち上がった、しかし傷付いた箇所は徐々にではあるが回復していった。

 

 

「貴様・・・どうして、分かった!?」

 

「太一に教えてもらったのさ。」

 

「何!?だが奴の声は・・・!?」

 

 

シャドルはジオグレイモンの後ろに居る太一達を見た。

 

そこで太一は、デジヴァイスのアンテナ部分をジオグレイモンに向ける形で、構えていた。

 

 

「貴様それは・・・。」

 

「このデジヴァイスは、声を出さなくても、打ち込んだコマンドを、直接パートナーにアップリンクする事が出来るんだ。」

 

「ちなみに最初のコマンドは、『後方より影接近、前方へ移動し接近戦に持ち込め。』だよ。」

 

「そして次が『連続攻撃で畳み掛けろ。』だ、便利だろ?」

 

 

余裕の笑みを浮かべ、太一はデジヴァイスの説明をした。

 

 

「この・・・貴様・・・どこまでこの俺を・・・・。」

 

 

シャドルは怒りのあまり、自分を見失いかけ、本来の様に冷静に戦う事が出来なくなっていた。

 

そして、余裕の表情を崩さない太一も、その表情とは裏腹に、内心では焦っていた。

 

 

(今ので倒しておきたかった・・・今あいつは怒りのあまり、冷静でいられなくなっている、もしあいつが冷静さを取り戻したら・・・。)

 

 

太一はチラッとジオグレイモンとシャドルを交互に見て、ある結論に行き当たる。

 

 

(今のままでは、不利だ。)

 

 

それは、今の状況を見る者なら誰も思わない結論であった。

 

 

「(これで決める!!)ジオグレイモン!!止めのメガフレイムだ!!」

 

 

しかし、シャドルは太一が、現状とは裏腹に、どこか焦っている事に気付き、しばし思考した。

 

 

(今奴はどこか焦った様だが・・・何を・・・はっ!!そうか・・・なるほど・・・だから・・・我を・・・・。)

 

ばっ!!

 

「「「「「!?」」」」」

 

「何!?」

 

「しまった!!」

 

 

シャドルはその漆黒の翼を大きく広げ、空へと飛翔した。

 

そして、かなり上空まで上昇すると、シャドルは停止し、太一達を見下しながら、あざ笑った。

 

 

「くはははは・・・・・残念であったな!!まんまと貴様に乗せられたよ・・・我をワザと挑発し、怒りに身を任せる事で、

貴様の蜥蜴と、我との圧倒的な違いに気付かせ無い様にするとわな!!」

 

 

その口調は、先程とは違い、最初に太一達の前に現れた時の口調に戻っていた。

 

 

「くっ・・・・。」

 

「圧倒的違い?」

 

「そうか・・・なるほど、中々姑息な手を使うな、小僧・・・。」

 

「それは・・・一体?」

 

「・・・・・ジオグレイモンは・・・空を飛べない。」

 

「空を・・・はっ!!しまった!!そういう事か!!」

 

「・・・やられたな・・・。」

 

 

そう、ジオグレイモンは飛べないのだ、それに対しシャドルは、その漆黒の翼で空を飛べる。

 

この違いは、見た目だけで分かるのだが、今まではシャドルが空から攻撃はせず、地上に降りた状態で戦っていたのもあり、

さらに太一がシャドルを怒らせる事で、直接的な攻撃に持ち込む様にしていたのだ。

 

知的で冷静な者ほど、頭に血が上ると、単純な事に気付かない物であるが、冷静さを取り戻したシャドルには、

もはやそれは無意味となった。

 

 

(まずいぞ・・・あそこまで高い所に居るんじゃ、ジオグレイモンの攻撃は届かない。)

 

「所詮は火を噴く程度の蜥蜴・・・蜥蜴は蜥蜴らしく、地面に這い蹲っているがいい!!」

 

ブワッ!!

 

「ぐぅ!!」

 

「があ!!」

 

 

シャドルは紫色をした、強力な波動を上空から放ち、地上の太一達を襲う。

 

ジオグレイモンは、太一達を庇う様に、その背に波動を受け耐えていた。

 

 

「フハハハ!!潰れろ潰れろ!!」

 

 

シャドルは上空で高笑いをしながら、波動の威力を上げた。

 

 

「くそっ!!このままじゃ・・・・。」

 

(大丈夫・・・。)

 

「えっ!?」

 

(隣に居なくても、私達の心はいつもあなたと共に居るよ。)

 

「空・・・・うん!!」

 

 

太一はそこに居るはずのない、空の声が聞こえた気がした、それが空耳なのか幻聴なのかは分からないが、

その声に太一は再び心に強い闘志を燃やした。

 

 

キュイイイイイイイイイイイイン!!

 

「!?これは?」

 

「なっ・・・何だ?」

 

「太一君!?」

 

 

突如デジヴァイスが輝きだし、ディスプレイ画面から光が飛び出し、光は幾つ物カード状の形に変わり、

太一の手に集まり、光が収まると、仲間のデジモンや、武器やアイテム、フロッピーディスクの絵柄が描かれたカードへと変わった。

 

カードは、「ガブモン」「ガルルモン」「ピヨモン」「バードラモン」「テントモン」「カブテリモン」「パルモン」「トゲモン」

「ゴマモン」「イッカクモン」「ブイモン」「エクスブイモン」「ワームモン」「スティングモン」「ホークモン」「アクィラモン」

「アルマジモン」「アンキロモン」「パタモン」「エンジェモン」「ホーリーロッド」「プロットモン」「テイルモン」「ホーリーリング」

「攻撃プラグインA」「高速プラグインB」「防御プラグインC」の27種類だった。

 

そして太一の腰には、突如白いカードブッカーらしき物が装着された。

 

 

「このカードは・・・・!?」

 

 

カードについて疑問を持つ太一に、再びデジヴァイスに関する一部の情報が、直接頭に送られた。

 

 

「カードスラッシュ・・・・。」

 

 

太一は上空で高笑いをするシャドルを睨み、太一はバードラモンのカードのみを残し、カードブッカーにカードを入れ、

右手にカードを持ち、デジヴァイスの溝にセットし、スラッシュした。

 

 

「カードスラッシュ!!バードラモン・灼熱の翼!!」

 

 

太一がデジヴァイスにカードをスラッシュさせると、デジヴァイスから激しい光が放たれた。

 

 

「!!」

 

 

するとジオグレイモンの背中に、バードラモンの様に、炎の如く燃える様な紅い翼が生え、翼を広げジオグレイモンは飛び立った。

 

 

「何だ!?」

 

「これは・・・・。」

 

「ジオグレイモンに翼が・・・。」

 

「すごい・・・。」

 

 

刹那達もジオグレイモンの変化に驚愕した。

 

それは上空のシャドルも同じだった。

 

 

「何だと!?」

 

グボッ!!

 

「グフッ!!」

 

「来てやったぞ。」

 

 

ジオグレイモンは近づき様に、シャドルの腹部にパンチを当て、シャドルは悶絶した。

 

 

「おのれ・・・・。」

 

「これで対等になったな。」

 

「くっ・・・・・ぐぞおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

バシュシュシュシュシュ・・・・・

 

 

シャドルは翼を広げ、翼より黒い無数の槍を飛ばす。

 

 

「メテオウィング!!」

 

バシューーーーーーーーーーーーン!!

 

「何!?」

 

ドカドカドカカカカカカーーーーーーーーーーン!!

 

 

ジオグレイモンは翼を強く羽ばたかせ、複数の燃える羽「メテオウィング」を放ち、シャドルの槍を相殺、いや・・・。

 

 

グワッ!!

 

ドカーーーーーーーーーーーーン!!

 

「ぐおぉ・・・!!」

 

 

炎の羽が2枚、爆煙の中から飛び出し、シャドルに当たり、シャドルは炎に包まれた。

 

本来は「バードラモン」の必殺技である「メテオウィング」だが、カードスラッシュで、デジモンカードを通す事で、

そのデジモンの一部だけでなく、能力や技を使える様になるのだ。

 

 

「お・・・おのれ・・・・だが・・・。」

 

バシュ!!

 

「いくら飛べる様になったとしても、このスピードに付いて来られまい!!」

 

 

シャドルは高速で飛び回り、ジオグレイモンの隙を作り、死角を突こうとした。

 

だが地上の太一は既に対策を打っていた。

 

 

「カードスラッシュ!!高速プラグインB!!」

 

「喰らえ!!」

 

スカッ・・・。

 

「何!?」

 

 

「高速プラグインB」の効果により、ジオグレイモンのスピードは上がり、それに気付かず攻撃してきたシャドルの攻撃を交わした。

 

 

「何所だ!?」

 

「こっちだ!!」

 

「!?」

 

 

後方よりジオグレイモンの声が聞こえ、シャドルは慌てて振り向いた。

 

 

「カードスラッシュ!!エンジェモン・聖なる拳!!」

 

「ヘブンズナックル!!」

 

ガスーーーーーーーーーーーーーーン!!

 

「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

だが振り向き様に、天使型デジモン「エンジェモン」の必殺技、聖なる力を宿した黄金に輝く拳「ヘブンズナックル」をシャドルの顔面に叩き込み、

シャドルは激しく苦しみながら吹き飛んだ。

 

 

(デジヴァイスの光にも苦しんでいた様だし、デジモンの聖なる力も奴等には通用するのか・・・。)

 

「これが・・・選ばれし子供とデジモンの・・・太一さん達の戦い・・・。」

 

(まさか・・・これ程とは・・・。)

 

(おそらくあれは新しい力・・・だが小僧はそれにもかかわらず、その力を巧みに使い、状況に応じて使っている、

それに加えてあの的確な指示と、自分を優位に立たせる為の言動・・・こいつ・・・なかなか面白い、

あの恐竜モドキもその指示に応え的確に実行できている。)

 

「マスター・・・。」

 

 

高畑達はそれぞれ、初めて見る本気の太一達の戦いに、関心、驚愕した。

 

 

「おのれ・・・・おのれ・・・・・。」

 

 

ジオグレイモンに吹き飛ばされ、地面に叩き付けられたシャドルは、上空で浮遊し自分を見下ろすジオグレイモンを睨んだ。

 

そして太一は、今の優位に立っている状況でも、慢心せず冷静に状況を分析していた。

 

 

(確かにカードスラッシュによってステータスを上げ、他のデジモンの能力を加える事で優位に立ったが。)

 

ちらっ・・・

 

「ハァ・・・ハァ・・・。」

 

 

上空のジオグレイモンは他の者達には分からないが、明らかに疲れが溜まっており、息を荒げていた。

 

 

(元々の疲労に加え、急激なステータス変化と他のデジモンの能力を使う事で、まだ慣れていないジオグレイモンの体に負担が掛かっている、

これ以上は無闇にカードスラッシュをするのは避けたい。)

 

 

上空のジオグレイモンも、今自分の疲労をシャドルに気付かれない様、平静さを装う。

 

 

(さすがに疲れが出てきたな・・・、それに体が重く感じる、慣れない進化した体と、ステータス変化で、体に掛かる負担が半端じゃない。)

 

 

だが彼等は決して、後ろ向きな姿勢はとらない。

 

 

(だが俺はジオグレイモンを信じ、コマンドを送るだけだ!!)

 

(僕は太一を信じて、戦う!!)

 

 

そしてシャドルは・・・。

 

 

(おのれ・・・これ以上は・・・・・こうなれば・・・・。)

 

バサッ・・・・・

 

 

意を決した顔で、翼を広げ飛び上がり、ジオグレイモンより高く飛んだ。

 

 

「奴め一体何を?」

 

「逃げる気か?」

 

(・・・違う・・・あの顔は何かを決意した顔だ・・・・一体何を・・・・ん?)

 

 

太一は地面を見て、ある違和感を感じた。

 

 

(奴の影が・・・・濃く・・・!!)

 

 

太一はシャドルが飛んで行く先を見た。

 

シャドルは月を目指し飛んでいた、そして月と重なる様に空中で止まり、下の方に居るジオグレイモン、

地面に居る太一達の方を見下ろした。

 

 

「これだけは使いたくは無かった・・・・満月でない人間界で使えば、魔力が足りず、我の魔力全てを消費せねば使えない、

我最強の威力を誇る技・・・・下手をすれば我自身の命に関わるこの技であるが・・・・このままでは死ぬに死にきれぬ・・・、

貴様等を皆殺しせねば、死にきれぬのだあああああああああああああああああああああ!!」

 

ぐばあっ!!

 

ギョロ・・・・

 

「がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・

 

 

傷の癒えたシャドルの胸が大きく開き、巨眼が現れ、白目の部分がどんどんと黒く染まり、中心の黒目であった部分も紫へと変色し、

シャドル自身にも禍々しいオーラに包まれた。

 

すると地面に写る、シャドルの影にも変化が起きた。

 

影は円形に変わり、どんどんと濃くなって行き、その範囲も広がって行くのであった。

 

 

「これは・・・・!!」

 

「奴め何をする気だ!?」

 

「皆この影から離れるんだ!!」

 

「無駄だ!!我が影からは逃げられぬ!!我が最後の技、「獣影闇(じゅうえいあん)」に呑まれたらば最後、魔界でも地獄でもない、

闇へと落ちるのだ!!その中で命尽きるまで絶望し、死に絶えやがれえええええええええええええええええ!!」

 

 

影の端が牙の様に尖った突起の形に変わり上を向く、そして獣の口を閉じる様に、影は太一達が居る地点を中心に、閉じようとしていた。

 

 

「影に・・・食われる?」

 

「いかん・・・このままでは・・・。」

 

「・・・・・・・。」

 

「・・・・・おい小僧。」

 

「何だ?」

 

 

エヴァは太一に問いかけた。

 

 

「貴様・・・この状況をどうするつもりだ?」

 

「エヴァさん・・・・。」

 

「どうもこうするも・・・・切り抜けるさ。」

 

「ほう・・・どうやってだ?」

 

「・・・・・・・。」

 

「・・・・・・(こいつ何か狙っているな。) まあいいさ、お前の好きにしてみろ。」

 

「マスターが太一さんを信じて・・・。」

 

「違う!!こいつが何処まで出来るか見物するだけだ!!」

 

 

なんともマイペースな茶々丸と漫才を繰り広げるエヴァ、なんとも緊張感の無い・・・。

 

 

「太一さん・・・・。」

 

「太一君。」

 

「任せたぞ・・・太一。」

 

 

刹那、真名、高畑は、太一の背を見て、託す者、心配する者と分かれた。

 

上空のジオグレイモンも、心配そうに太一を見るが。

 

 

(大丈夫だ、俺を信じてくれ・・・・。)

 

 

そう伝えるかの様な、不安や疑心と言った曇り無き瞳で、ジオグレイモンを見ていた。

 

 

「太一・・・・君を疑った事なんて一度も無い!!太一を信じる、だから太一も僕を信じてコマンドを!!」

 

「あぁ!!絶対に勝とうぜ!!」

 

 

太一とジオグレイモンは闘志と信頼を胸に、上空のシャドルへと視線を向ける。

 

 

「無駄だ・・・・最早誰にも止められない・・・・貴様等はここで終わるんだあああああああああああああああ!!」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・

 

 

獣影闇は次第に閉じて行き、遂には目に見える範囲で半分以上は獣影闇で覆われ、あと少しで完全に閉じてしまうであろうところまで来ていた。

 

 

(まだだ・・・まだ・・・・。)

 

「フハハハ!!どうした?最後の抵抗を見せてみろ、それとも無駄だと判断し観念したか?フハハハハハハハハハハ!!」

 

(これは一か八かの賭けだ・・・失敗すれば俺達は・・・だけど・・分の悪い賭けは・・・嫌いじゃない、今までもそうして来た、

俺は・・・・俺の直感を信じる!!)

 

 

太一はデジヴァイスに手を掛け、今か今かとタイミングを計る。

 

 

「太一さん・・・。」

 

「太一・・・。」

 

「太一君・・・。」

 

「小僧・・・。」

 

「太一さん・・・。」

 

(・・・・空・・・皆・・・・俺に力を貸してくれ・・・・。)

 

(もちろん。)

 

(決めろ、太一!!)

 

(自分を信じて。)

 

 

仲間達の声が聞こえる、傍に居なくても、心は常に・・・共にある。

 

そして後数メートルで、獣影闇が完全に閉じようとした時。

 

 

「アップリンク!!」

 

ピキューーーン

 

「!!」

 

 

太一はジオグレイモン、コマンドを送り、コマンドを受け取ったジオグレイモンは即座に行動に移った。

 

 

「メテオ・・・ウイング!!」

 

バシューーーーーーーーーーーーン!!

 

「何!?」

 

「よし!!完全に意表をついた!!」

 

「当たれ!!」

 

「「行けええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」」

 

 

ジオグレイモンは、力を籠めたメテオウイングをシャドルに向け放ち、複数の炎の羽がシャドルへと向って行った。

 

シャドルは避け様ともしたが、完成間際の獣影闇を解くわけにもいかず、力を籠め防御しようとした。

 

だが・・・。

 

 

ヒュン・・・・

 

「!?」

 

「えっ?」

 

「なっ!?」

 

「何だと?」

 

 

メテオウイングはシャドルに命中せず、シャドルを大きく通り過ぎ、遥か後方へと飛んで行く。

 

 

「フハ・・フハハ・・・・フハハハハハハハハハ!!アーーーーーーーーハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!

最後の最後でへまをしたな!!鼬の最後っ屁も、当たる事も出来ず遥か後方へと飛んでいったぞ!!」

 

 

シャドルは大いに笑い出し、太一達へと視線を向けるが、もはや閉じかけの獣影闇によって見えなくなった。

 

 

「太一さん・・・。」

 

「・・・・・・・・。」

 

ニヤ・・・・

 

「えっ!?」

 

 

一瞬太一が笑った気がし、刹那は驚いたが、次の瞬間。

 

 

ドガーーーーーーーーーーーーーーーン!!

 

「何だ!?」

 

 

突如シャドルの後方から大きな爆発音が起き、シャドルは振り向こうとしたが。

 

 

フッ・・・・・

 

「何!?」

 

 

突如シャドルの頭上が暗くなり、それと同時に。

 

 

シュウウウウウウウウウン・・・・・・

 

「何!?何故だ!?何が起きた!?」

 

 

ほぼ閉じかけ、完成しかけていた獣影闇が突如として、消えていく。

 

 

「何故だ・・・何故・・・・。」

 

もわっ・・・・

 

「はっ!?」

 

 

シャドルは振り向き、月を見るが、月は見えなかった。

 

何時の間にか黒い黒煙がシャドルの後ろに、大量に発生して、それが月を・・・月光を遮っていた。

 

 

「これは?・・・・いつの間に・・・はっ!!」

 

 

シャドルは先程ジオグレイモンが自分に向って放ち、大きくはずれ後方へ飛んでいった、複数の炎の羽メテオウイングを思い出した。

 

 

「まさか・・・あれが・・・・。」

 

 

そう、太一はメテオウイングをワザとはずさせたのだ。

 

ジオグレイモンで獣影闇を破壊する事は出来たかもしれない、だが破壊できたとしても、シャドルを倒す体力は残らないと判断し、

シャドルの力の根源を断つ事にしたのだ。

 

シャドルの力の根源は影、そしてその影を生み出しているのが、闇夜に浮かぶ一際輝く三日月の光である。

 

太一はジオグレイモンにシャドルの後方で、メテオウイング同士が当たる様に放てとコマンドを送り、

メテオウイング同士の爆発によって発生した黒煙で月光を遮ったのだ。

 

そして太一の狙い通り、月光が遮られた事により、シャドルの影も消え、獣影闇も消えたのだ。

 

シャドルは驚きで立ち尽くしていると、地上から声が聞こえた、自分を敗北へと誘う声が。

 

 

「カードスラッシュ!!」

 

「はっ!!」

 

「ホーリーリング!!アンド、攻撃プラグインA!!」

 

 

二枚のカードをデジヴァイスにスラッシュさせる太一。

 

それにより、ジオグレイモンの左腕に、デジタルワールドの文字、デジ文字で聖なる文字が刻まれた、

神聖系デジモンの証であるホーリーリングが装備された。

 

ホーリーリングには聖なる力が宿っており、これを身に付ける事により、そのデジモンにも聖なる力が宿ると伝われている。

 

そして攻撃プラグインAの効果によって、ジオグレイモンの攻撃力は上がった。

 

そしてジオグレイモンは、頭部が電気を帯び光り輝き、口の中からも眩い輝きが漏れた。

 

 

「これで・・・。」

 

「終わりだああああああああああああ!!」

 

「メガバースト!!」

 

ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

 

ジオグレイモンの口から、雷の力が加わった収束された黄色く輝く極太の炎が、シャドルに向って放たれた。

 

メガバーストは先程の高速プラグインBの効果によって速度も上がり、凄まじい速さでシャドルへと向って行った。

 

 

「くっ!!クソがああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ブワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

 

 

シャドルは両手と胸の巨眼から攻撃性の波動を放ち、メガバーストへと迫る。

 

 

ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

 

メガバーストと波動が激しく衝突しあった。

 

 

「ぐぐぐ・・・ぐがああああああああああああああああああああああ!!」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

だが、メガバーストには、ジオグレイモンが装備しているホーリーリングの効果で、聖なる力も加わっている、

それにより、シャドルの邪悪の波動を押し返していく。

 

そして・・・。

 

 

「ぐっ・・ぐがが・・・。」

 

ズシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

遂にメガバースとはシャドルへ届き、シャドルの全身はメガバースとに呑まれた。

 

そして徐々にその体を消滅させていった。

 

 

「ぐおぉ・・・そんな・・この・・・・俺が・・・にん・・げ・・んと・・・・・と・・・かげ・・・のき・・ずな・・・ご・・・ときに・・・。」

 

「こいつは蜥蜴じゃない、俺のパートナーデジモン、ジオグレイモンだ!!」

 

「ぐっ・・・ぞおおおぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・。」

 

ドグアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

 

空中で爆発がおき、シャドルは完全に消滅した。

 

その爆風によって黒煙は晴れ、綺麗な三日月が姿を見せた。

 

 

「悪魔を・・・完全に消滅させた・・・・。」

 

(彼等の力は・・・魔を完全に消滅させる事が出来るのか?)

 

 

普通ならば、致命傷となるダメージを与えれば、魔物や悪魔と言った魔は、魔界へと強制的に帰り、しばしの眠りについて、

いずれは復活するのだが、太一達はシャドルを完全に消滅させたのだ。

 

それには誰もが驚き驚愕していた。

 

 

キュイイイイイイン・・・・

 

ポンッ!!

 

「うみゅううううう・・・。」

 

 

空を飛んでいた、ジオグレイモンの体が一瞬輝くと、コロモンの姿となって落ちてきた。

 

 

「わーーーーーーーーー!!コロモン!!」

 

「このままじゃ地面に激突してしまいますよ!!」

 

「うおおぉぉぉ!!コロモーーーーーーーーーン!!」

 

ダダダダダダダダダダダダダ!!

 

 

太一はコロモンが落ちて来る位置までダッシュで向った。

 

 

「どおりゃあああああああああああああああああ!!」

 

バシュッ!!

 

がしっ!!

 

「よっしゃあ!!」

 

ずざざあああああああああ・・・・・

 

「ぶべ!!」

 

 

太一は落ちて来たコロモンをジャンピングキャッチし、そのまま顔面から落ちた。

 

 

「太一・・・大丈夫?」

 

「・・・・大丈夫・・・・・じゃないかも・・・・・。」

 

「太一さん!!」

 

 

太一とコロモンの下に刹那達が走って駆けつけてきて、太一とコロモンを囲む。

 

 

「・・・・へへ・・勝ったな刹那、真名。」

 

「えっ?」

 

「俺たちが初めて組んで、初めての狩、無事終了だな。」

 

「・・・・・そうですね。」

 

「まったく君達は無茶をする・・・。」

 

「ハハハ・・。」

 

「へへへ・・・。」

 

「ふふ・・・。」

 

 

太一とコロモン、刹那と真名は、自然と笑みがこぼれ、お互いの無事(?)を喜び合った。

 

 

「そう言えば何で僕、コロモンまで退化したんだろ?」

 

「カードスラッシュのステータス変化による負荷が影響しているんだろう、俺もお前も、もっと強くなる必要があるな。」

 

「うん。」

 

「んっ?そう言えば俺のデジヴァイスが変わってる!!」

 

「今気付いたんかい!!」

 

ビシッ!!

 

 

太一とコロモンが、デジヴァイスの変化に対し、漫才をしている後ろでは・・・。

 

 

ガチャッ・・・

 

「!?」

 

「高畑先生、聞かせてもらおうか?太一について知っている事を・・・。」

 

「太一さんに・・・そう言えば太一さんあの力は一体?」

 

「あの力?う~~~ん・・・あっ!!そう言えば刹那いつの間に名前の方で呼ぶようになったんだ?」

 

「そっちですか!?」

 

ガボーーーーーーーーーーーン!!

 

「・・・・・あっそう言えば俺何か魔法みたいな力使ってた!!」

 

「今気付いたんですか!?」

 

ガボボーーーーーーーーーーーン!!

 

 

太一と刹那がめお・・・ゲフンゲフン・・・・漫才をしている横で、苦笑いしながらも、高畑に銃を突き付けながら、

真名が高畑に詰め寄る。

 

 

「私も気になるな・・・お前達、この小僧の何を知っている?」

 

「高畑先生教えてください、太一さんのあの力は一体何なのですか?奴はあの力を「太陽の欠片」と呼んでいました。」

 

「さぁ、高畑先生・・・。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「ちょっと待った。」

 

 

高畑に詰め寄る真名に、太一が立ち上がり止める様に言う。

 

 

「しかし太一・・・・。」

 

「確かに俺も気になる、高畑先生話てはくれませんか?」

 

「・・・・分かった、では今から学園長室まで来てくれ・・・そこで学園長と席を交えて話そう。」

 

「分かりました・・・しかし今は無理です・・・それより先にする事がある・・・。」

 

「何ですかそれは?」

 

「それは・・・・・。」

 

ふら~~~ふら~~~~・・・・

 

「太一さん?」

 

「太一どうした?」

 

 

太一は突如ふらふらとしだし、そして・・・・。

 

 

ふら~~~バターーーーーーーーーーーーーーン!!

 

「太一さん!?」

 

「太一君!?」

 

「小僧!?」

 

「太一どうしたの!?」

 

「俺を・・・病院へ連れて行けえぇ・・・・・。」

 

がくっ・・・

 

「わーーーー!!しまった!!太一さんの脇腹貫かれていたんだった!!」

 

「何いいいいいいいい!?早く病院へ連れて行かないと!!」

 

「今までやせ我慢してたんですか!?」

 

「これはまずいな・・・茶々丸!!早く治療をしてやれ!!」

 

「あぁ・・・マスターが太一さんをあんなに心配して・・・・。」

 

「言ってる場合か!?このボケロボ!!」

 

「うわっ!?太一君が白目をむいて痙攣しだした!!」

 

「うわ~~~~太一いいいいいいい!!死ぬなあああああああ!!」

 

 

こうして太一とコロモンの初めての狩は終わりを告げた。

 

だがこれは新たな戦いの序章だと言う事を、この時の彼等は知る由も無かった。

 

 

続く

 

 

 




次回予告
狩を終えた太一達に、
学園長の口から太一に秘められた力、
太陽の欠片の秘密が明かされる。
次回
デジモンアドベンチャーMAGI
『伝説のレアスキル・太陽の欠片』
今・・・冒険が進化する。
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