初めての狩に参加した太一とアグモンは、影を操る上位悪魔、シャドルと激しい激闘を繰り広げた。
その戦いの最中、太一は傷付き倒れそうになるも、仲間の声に支えられ、不思議な力に目覚めた。
太陽の如き輝きを放ち、魔を滅する力、シャドルはその力を「太陽の欠片」と呼んで恐れた。
そして太一のデジヴァイスは新たな機能を加え変化し、アグモンは新に「ジオグレイモン」へと進化し、
シャドルを打ち破った。
初めての狩を終えた太一は力尽き倒れた。
だが夜はまだ終わらなかった。
―――『伝説のレアスキル・太陽の欠片』―――
「さて・・・説明していただこうか?太一のあの力について、そしてそれを何故黙っていたのか、学園長。」
夜の学園長室に真名の冷静ではあるが何処か怒りの篭った声が静かに響く。
真名の前には、椅子に腰掛ける学園長、その隣には高畑が立っていた。
「なあ・・・真名、明日でもいいんじゃないのか?」
「太一・・・大丈夫?」
「治癒の魔法で、傷は塞がりましたが、完全ではないので無理はいけません・・・傷が開くかも知れませんから、一応魔法薬の染み込んだ包帯を巻いておきました。」
体中を包帯でグルグル巻きにされ、輸血しながらソファーで横になっている太一が、しんどそうに声を出す。
コロモンは太一の応急処置を終えた茶々丸の頭に乗りながら、太一を心配そうに見ていた
「龍宮私もそう思う、何より太一さんの場合、治療の魔法で傷を塞いだからと言って、やはり病院へ行ったほうが・・・。」
「いや・・・今のうちに聞いた方が良いだろう、下手に先送りにすると、言い訳を作る時間を与えかねんからな。」
その横に立つ刹那が太一の意見に乗るが、それをエヴァが否定した。
「・・・しかたないのう・・・こうなったのもワシ等の責任じゃ。」
「学園長・・・。」
学園長は机の引き出しから1つの古い書物を取り出し、あるページを開き、机の上に置いた。
「これは今は失われたと言われる、能力を纏められた書物じゃ、そしてこの書物に太一君の力、
太陽の欠片に関しての伝承が書かれておる。」
そして学園長は、太一の能力、「太陽の欠片」に関する伝承を読み上げた。
『遥か昔、まだ人が自然と対話し、星と向き合っていた時代、命有る者全ては夜を恐れた。
月の光に導かれ、闇夜に紛れ、異界の地より魔が現れた。
魔は命有る者全てを襲った。
人も動物も虫も植物も水も大地も、星すらも襲った。
夜を恐れる者達に、ある希望の光を纏う者が現れた。
その者が放つ光は太陽の様に優しくて暖かく、太陽の如く世を照らした。
太陽の光に似た光を纏う者は、闇夜を支配していた魔を滅し、夜に平穏を取り戻した。
その者は、天から地に舞い降りた太陽の加護を得て生まれた者、もしくは太陽の神の子として、「太陽の子」と呼ばれ、
その者が放つ光を、太陽から与えられた光として、「太陽の欠片」と呼んだ。
それから幾年も流れ、太陽の子の血を継ぐ者達によって、命は守られていった。
しかし、人が魔の力を扱える様になると、太陽の子の血を継ぐ者達は姿を消し、沈む太陽の如く、その輝きも時代の中へと沈んでいった。』
「この様に、太陽の欠片とは、人が得た能力の中でも最古にあたる、伝説と称される、失われたレアスキルなのじゃ。」
「失われた・・・。」
「伝説のレアスキル・・・。」
「そう・・・君達も知る様に、魔物は夜を好む、それは月の光が奴等に力を与えるからじゃ、それに反して奴等の嫌うのが太陽、
太陽の光を浴びれば、弱い魔物なら一瞬で蒸発してしまい、上位クラスの悪魔でもその皮膚が焼ける、
太陽と同じ光と力を操る太陽の欠片はまさに奴等にとって脅威以外の何物でもない。」
「何でそんな能力が俺なんかに?」
「太陽の欠片の能力は、伝承にもあるように、子から子へと、代々受け継がれていたらしい。」
「太一君の先祖は、嘗て太陽の欠片を持つ者だったと言う事じゃ。」
「ふ~~~~ん。」
「・・・あまり驚いておらんようじゃな?」
「まあ・・・驚いてはいるけど・・・最近色々ありすぎて、顔に出なくなっただけです。」
太一の返答に、コロモンを除く全員が納得した様に苦笑いしながら軽く頷く。
「おほん・・・他にも、太陽の欠片は、魔力と気を融合させて発動させる事から、咸卦法の原型とも言われておる。」
「ただしそれは太陽の欠片を持つ者、太陽の子が持つ魔力と気が発動の条件だから、僕には使えない。」
「成程・・・学園長、幾つか質問があります。」
「何だね?刹那君。」
「はい・・・これは龍宮も聞きたかった事と思いますが、何故太一さんが太陽の欠片を持つ者と分かったのですか?
それに何故、高畑先生と言ったベテランの魔法先生を同行させなかったのか・・・答えてください。」
刹那は静かに声を出した。
しかし、その静かな声に反し、その声には何処か怒りが篭っているようであった。
シャドル撃退後、太一に応急処置を済ませ、学園長室に着くまでの間、真名が何故高畑に拳銃を突きつけたのか、
その原因と真名の言った言葉の意味を考えていた。
今になって考えれば確かにおかしかった。
初めて狩に参加した太一に、いくら太一自身それなりの戦闘の実績の経験があるとはいえ、実力があるとはいえ自分と龍宮だけで、
他にベテランの魔法先生を同行させなかったのは、幾らなんでもおかしすぎる。
学園長側にも何か訳があったかもしれないが、自分の非もあるが、もしも下らない目論見や見通しの甘さの所為で、
太一があそこまで傷付いたと思うと、静かに怒りがこみ上げてきたのであった。
「そうだな・・・そろそろ聞かせてもらおうか?」
「ふむ・・・・・最初に、何故太一君が太陽の欠片を継ぐ者と分かったのは、魔力じゃよ。」
「魔力?」
「うむ・・・・魔力は誰しもが蓄えている物なのだ、殆どの人が魔法を使える程まで蓄えられないのが、
生き物全てが持っているものなのだ、人の持つ魔力はそれぞれ似ている様で違い、違う様で似ている、火の魔法を得意とする者、
水の魔法を得意とする者、風の魔法を得意とする者と、それぞれ要るようにの。」
「魔力は大気中から体内に蓄えられるが、大気中にある時は無色、言わば無属性だが、人の体内に蓄えられた時、その人にあった色に変わり、それぞれの属性を宿す。」
「それは分かりますが・・・。」
「だが太一君の場合は違った、我々が調べた結果、太一君の魔力光は山吹色、この様な色は今まで確認された事の無い色だった。」
「そして太一君の妹、八神ヒカリさんには、幼い頃より不思議な力があったと聞く。」
「!?・・・調べたのか?妹を。」
確かに太一の妹、ヒカリには不思議な力があった。
普通の者には見えない筈の、歪みで現れたデジモンが見え、闇の力を敏感に感じ、そしてデジモンを回復させる光を放ち、
デジタルワールドの安定を望む者を憑依させる等、その力の詳細は分かってはおらず、彼女自身もその力が何なのかは知らない。
自分だけならまだしも、自分の家族をも調べたのではと思った太一は、明らかに怒りの篭った瞳で学園長を睨んだ。
「・・・・うむ・・・・君の身辺調査をしている時にの・・・。」
「しかし、妹さんに関してはそこまで深くは調べてはいない・・・、あくまで君の事を調べていた際に入った情報なのじゃ・・・信じて貰いたい。」
「・・・・・本当の様ですね・・・じゃあ続きをどうぞ。」
学園長の言葉に嘘は無いと感じ、太一から怒り消えた。
「うむ・・・その後、多くの文献から、太陽の欠片に関する文献を見つけ、そこに君と同じ色の魔力光らしき文面があり、
その事や妹さんの事から、太陽の欠片を持つ者ではないかと大きく話題となった・・・。」
「そして、選ばれし子供の1人としてはもちろん、本当に君が太陽の欠片を扱う者なのかを調査及び、その力を覚醒させる為に、
君を麻帆良に呼ぶ様に、魔法世界の本国より指令が下った。」
「自分の持つ魔力に目覚めさせるには、刺激が必要じゃ、つまり・・・。」
「成程・・・それで常日頃から肉体強化を使い、尚且つ魔法をよく暴発させているぼーやのサポートをさせ、クラスに入れたという事か、
確かに強い魔力を持ちながら、その力に目覚めていない者を、手っ取り早く目覚めさせるには、魔力に満ちた場所で、
その力を使う者、すなわち魔法使いの傍に居た方が良いからな。」
「そうか・・・だからあの時。」
太一は麻帆良に来たばかりの時の事を思い出していた。
麻帆良に来てから太一は、何かと魔力等の不思議な力に敏感となり、ネギに触れられた時にバチバチとした感じと、
胸の痛みの正体は、ネギの体を覆おう肉体強化の魔法に、太一の体内で眠っていた魔力が反応したのだと分かった。
「あれが俺の魔力が目覚める前兆だったわけか・・・。」
「そして決定打だったのが・・・。」
「今日の狩だったと言う訳だ。」
「うむ・・・・本来ならタカミチ及び、他の魔法先生を同行させるのじゃが・・・。」
「太一君には、早くに太陽の欠片の力に目覚めてもらう必要があった、その為に、我々魔法先生は付けず、
なるべく太一君達自身に、多く戦ってもらおうとしたんだ。」
「刹那君や真名君が付いていれば、大丈夫とふんだんだが・・・。」
「初日から上位クラスの悪魔が出るとは思いもよらなかったと言う事か。」
「・・・・・そういう事じゃ。」
「・・・・・・・。」
「「・・・・・・・はぁ・・・・。」」
刹那と真名は呆れた様に溜息を吐いた。
「もう何と言いますか・・・。」
「呆れ果ててこれ以上何を言ったらいいか分からなくなったな。」
「すまん・・・・本当にすまん・・・これに関しては本当に申し訳ない。」
今回は何時もの様に何処か惚けた様子も無く、真剣な顔で謝罪する学園長であった。
「・・・・・少しいいですか?」
「何だね刹那君?」
「何故本国は、太一さんの力を無理に覚醒させるような指示を?そして何故学園長達はその指示を引き受けたのか?」
「・・・・最初の質問じゃが、おそらくは魔物に対する最大戦力として取り込もうとしたのじゃろうな、
いかに多くの優秀な人材が居たとしても、太一君の太陽の欠片の力1つあれば、扱い様によっては、
上位魔法使い数十人に匹敵するやもしれんからの・・・。」
「・・・・そうですか。」
「・・・・なんとも言えんな。」
「後の質問じゃが・・・これは太一君とその身近な人達を守る為でもあった。」
「?・・・・どう言う事ですか?」
「近頃・・・太一君の周りに、魔物が犇めいておったのじゃ・・・。」
「!?」
学園長の言葉に、刹那と真名は驚愕した。
「・・・・・それは何時頃からなんですか?」
「太一君の調査をしていた頃からだが、それ以前からかもしれない。」
「そうなると・・・かなり前からと言う事か。」
「おそらくは、一部の魔物が太一君の力に感付いたのじゃろう・・・ワシ等魔法使いより、奴ら魔物の方が太一君の力に敏感なんじゃろうな、
当然じゃ、何せ自分達にとって最大の天敵の力なんじゃからの・・・。」
「太一君の持つデジヴァイスは、魔物達が嫌う力を発していたから、近付く事は出来なかったんだろう、
しかし、何時太一君の身近な人達を襲い、尚且つ太一君にも危害が及んでもおかしくは無かった、
だから私達は、太一君を麻帆良に転入させ、張り込んでいた魔物達を太一君の身近な人達から遠ざけ、
更には太一君自身が己れの身を魔物から守れる様にと、太陽の欠片を覚醒させる必要があった。」
「仮に覚醒しなかったとしても、ワシ等が太一君を守ればそれで良しだったんじゃがの・・・。」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」
学園長と高畑の言葉に嘘はないと、刹那と真名は感じた。
魔法使いとしての言葉ではなく、子供の安否を心配する大人としての言葉、生徒の事を思う教師としての言葉のどちらともとらえられた。
2人も本当はこの様な事はしたくは無かったのだろう。
しかし
「学園長・・・そして高畑先生、知らなかったとは言え、二人のお心も考えずに、無礼な事を言って申し訳ない・・・。」
「私も・・・申し訳ありませんでした。」
「いや・・・太一君を含め、君達には話しておくんじゃったの・・・、そしてタカミチも付けるべきじゃった、
その結果、太一君はあの様な事になってしまった。」
「まったくだな・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「すまぬ太一君!!改めて君に謝罪する・・・本当にすまぬ!!」
「・・・・・・・・・・・・。」
しかし太一からの返事は来なかった。
「コロモン君も・・・君の主人をこんな事に巻き込んで本当にすまない!!」
「・・・・・・・・・・・・。」
そしてコロモンからも返事は返ってこなかった。
その場に居た全員が、2人(1人と1匹)がかなり怒っていると思った。
しかし・・・・。
「・・・・・Zz・・・・・Zz・・・Zz・・・・。」
「ん?」
「太一さん?」
「Zz・・・・Zz・・Zz・・・・・Zz・・・・・。」
ぷわー・・・ぷわー・・・
「・・・・マスター。」
「何だ茶々丸?」
「太一さんとコロモンさん・・・・・・熟睡中です。」
「「Zz・・・・・Zz・・・・・Zz・・・・Zz・・・・・。」」
「「「「「ズゴーーーーーーーーーーーー!!」」」」」
ガボーーーーーーーーーーーーーーン!!
太一はソファーの上で涎を垂らしながら気持ちよさそうに、コロモンは茶々丸の頭の上で鼻ちょうちんを膨らませながら寝ていた。
「太一さん!!起きてください!!今真剣な話をしていたんですよ!!起きてください!!」
ガクガクガクガク・・・・・
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・うへへ・・・・もう食えない・・・・Zz・・・・・Zz・・Zz・・・・Zz・・・・・。」
「駄目だ・・・起きない・・・それになんてベタな寝言・・・。」
「相当疲れていたんだな・・・。」
「・・・・・茶々丸。」
「はいマスター。」
「Zz・・・・Zz・・・その大福・・・僕のだよ・・・・・Zz・・・Zz・・・・Zz・・・・・・・。」
ぷわー・・・ぷわー・・・
「揃って食べ物の夢を見ているのか?」
「・・・・・・・・。」
す・・・・・・
茶々丸はそっと、自分の頭の上で寝ているコロモンの鼻先経て指を持って行き、そして・・・・。
パンッ!!
「ふみゅう!?」
茶々丸の指が触れ、コロモンの鼻ちょうちんが良い音を鳴らして割れた。
それにビックリしたコロモンは、茶々丸の頭から飛び跳ね、太一に向って落ちていった。
ゴチン!!
「「痛!?」」
互いのおでこがぶつかり合い、痛みにより太一とコロモンは目を覚まし、お互いおでこを抑えて悶絶していた。
「目が覚めたか?小僧に大福モドキ。」
「いつつ・・・年上なのは分かるけど、何だかしっくりこないな・・・。」
「大福!?どこどこ?」
「共食いする気か!?夢の中でも散々食べてただろうが!!」
「あの・・・エヴァンジェリンさん・・・・。」
「ん?あぁ・・・分かってる、貴様ら何時から寝ていた?」
「ん?・・・刹那が何か質問をしようとした時からかな?」
「僕もそれくらい。」
「・・・・少なくとも・・・いや・・完全に君に関する事なんだがな・・・。」
「・・・・ごめん・・・。」
学園長は、刹那の問いとその返答を一から話しなおした。
それを聞いた太一は静かに学園長に近付いた。
「ジジイ・・・・。」
太一の様子から、かなり怒っていると思った。
「太一君・・・君が怒るのも無理は無い・・・しかし「明日も俺達は狩りに参加すればいいのか?」・・・・何じゃと?」
「太一?」
「太一さん?・・・何を?」
しかし太一の意外な言葉に全員素っ頓狂な声を出した。
「いやな・・・明日・・・と言うかもう日を跨いじゃったから今日か?狩りに参加させるんなら早く帰って寝たいからさ・・・。」
「それに学校もあるしね。」
「あぁ・・・そうだよな、流石にそろそろ帰って寝ないとヤバイな・・・。」
そんな事を全く気にせずに、太一とコロモンは話を進める。
「あ・・・あの・・・・太一さん?」
「何だ?」
「あの・・・怒っていないのですか?」
「何で?」
「いや・・・学園長達も太一さんの事を思って、あの様な処置をしたとは言え、その所為で太一さんがこんな大怪我を・・・。」
「あぁ・・・その事、別に気にしてないよ。」
「「はあ?」」
「小僧・・・お前血を流しすぎておかしくなったか?」
「ん・・・・確かにジジイや高畑先生のミスの所為かもしれないけど・・・、あの時の行動に悔いは無いからな・・・。」
「太一さん・・・・。」
あの時の行動、それはシャドルが刹那の影に潜み、刹那を串刺しにしようとした時、彼女を庇い、
自分が傷付いた時の事だった。
あれが無ければ、太一は此処まで深手を負わなかったかもしれないが、同時に刹那は死んでいたかもしれない。
仲間を大切に思う太一だからこそ、その時にとった行動や、その時に受けた傷など、仲間である刹那が無事であった事に比べると、
些細な事でしかないのであった。
そんな太一だから、学園長達を責める気など全く無く、その様子にコロモンを除く全員がポカンとした顔で見ていた。
「・・・・アホらし・・・小僧の一方的な醜い責める光景が見られるかと思ったのに・・・とんだ興醒めだな、帰るぞ茶々丸。」
「はい、マスター・・・・では太一さん、塞がったとは言え、又開くかもしれないので、2~3日はあまり無茶をしないでください。」
「あぁ、ありがとう茶々丸、じゃあなエ・・・キティ。」
「そっちで呼ぶな!!」
「バイバイ。」
ふよふよ・・・・
キュン・・・・
「あっ・・・・・・・さようなら・・・・。」
叫ぶ主人に対し、コロモンが頭の触覚を左右に動かせ、それに応える様に手を振る。
その時、茶々丸の電子頭脳が、キュンとときめいた様なそうでない様な、真相は本人しか知らない。
そしてエヴァと茶々丸は学園長室を出て帰っていった。
「しかし・・・良いのかのう太一君?君がその様な怪我を負ったのはワシ等の責任なのは・・・。」
「俺がいいって言ってるんだから、それでいいじゃないか。」
「しかしだね・・・。」
「ん・・・・じゃあ、今回の俺の服の弁償って事で、それで良いよ。」
そう言い、太一は自分が着ていた服を持ち上げて、学園長と高畑に見せた。
服には大きな穴が開いており、所々切り裂かれており、加えて太一の血がべっとりと染み込んでおり、
とてもではないが着られるような状態ではなかった。
それを見て諦めたのか、学園長は溜息をつき。
「分かった・・・そうしよう。」
「サンキュー。」
「・・・・あれでいいのかな?」
「本人が良ければそれで良いんだろう・・・少し甘い様な、納得のいかない様な気分ではあるがな。」
「それが太一なの。」
「「成程・・・。」」
「さてと・・・そろそろ帰って寝るか・・・。」
「太一君。」
「何?」
「いや・・・君はこれから如何するのかね?」
「何って・・・部屋に戻って寝るつもりだけど。」
「そうでは無く!!・・・・この様な事になってしまって、君がワシ等に不審を抱いたのなら、お台場に戻っても良いんじゃよ?」
「!?学園長・・・それは・・・。」
「これは彼が決める事じゃ・・・。」
「つっ!!」
刹那は異を唱えようとしたが、学園長の放つ威圧感に圧され、口を閉じてしまう。
「・・・・はぁ・・・あのさジジイ・・・さっきも言ったけど、俺は気にしてないから、そんなに気にしないでいいんだぜ。」
「しかし・・・。」
「それにな、俺は約束を途中で投げ出して、帰る様な事はしたくないんだ。」
「約束?」
「あいつを・・・ネギを一人前になる様に支えてやってくれって、ジジイは俺に頼んだ、そして俺はそれを約束し、引き受けた。」
「確かに・・・だが・・これは最早それでは済まされん程になっとるんじゃよ・・・何より、生徒を危険な目に合わせてしまった、
教師として・・・大人としてケジメを付けたいんじゃ・・・。」
「ジジイ・・・・ならさ、俺に魔法を・・・太陽の欠片の力をちゃんと扱える様に、俺を鍛えてくれ。」
「「「「何!?」」」」
太一の言葉にコロモンを除く全員が驚愕した。
「俺の持つ力は、魔物に対して脅威なんだろ?だけど俺自身はこの力を上手く扱えていない・・・そうだろ刹那?」
「・・・・はい・・あの時、深手を負っていた事もありますが、無駄な魔力の消費や、その力に体が付いて行けずに振り回されていました。」
「ありがとう・・・と言う事だ・・・俺の力が魔物達の脅威なら、上手く扱えていない今を狙ってくる、今まで様子見だった奴等も含めてね・・・。」
「うむ・・・・確かに。」
「それに俺もコロモンも・・・新しい力に目覚め、それに慣れる為に訓練しなきゃいけないからな。」
「ジオグレイモンはグレイモンの時とは違って、体が軽いから、戦い方や力の込め方もグレイモンの時と同じだと、
直ぐに疲れちゃうんだ。」
ジオグレイモンはグレイモンと比べると、ステータスは上だが体重が軽く、グレイモン時と比べると素早く身軽に動けるが、
その分攻撃が軽くなり、力の込め方も変わってくるのだった。
ステータスが良くても、その体に合った戦い方をしなければ、直ぐにエネルギーが切れてしまう。
仮に今、コロモンがジオグレイモンとグレイモンにそれぞれ進化して、対決したとしたら、グレイモンでの戦い方に慣れている分、
ジオグレイモンの方が不利となるであろう。
それをお互いに理解しあっているから、彼等は互いに強くなろうと思っていたのであった。
「・・・・分かった、暫くはタカミチを君の師として、付かせよう・・・もちろん今日以降からの狩りでもじゃ。」
学園長は太陽の欠片と同じく、魔力と気を融合させて発動させる咸卦法を扱える高畑を選び、太一の師として付かせた。
「ありがとなジジイ、よろしく高畑先生。」
「・・・・あぁ・・よろくし太一君、こんな事しか出来ないが、僕の特訓は厳しいよ、覚悟しておいてね。」
「はい!!」
「うむ・・・では、もう遅いから帰りなさい・・・・ゆっくり体を休め、今日の勉学にはげみなさい。」
「「「はい。」」」
「太一君、太陽の欠片について他に分かっている事があるけど、それは又特訓の時に教えるから。」
「分かりました、じゃあ失礼します。」
太一達は学園長室から出て行き、学園町室には学園町と高畑が残った。
「・・・・彼は・・・何と言うか懐が大きいと言うか寛大と言うか・・・。」
「・・・・もはや、僕等では測り知れないほどの器ですね。」
「うむ・・・英雄の息子に・・・太陽の欠片を継ぐ者・・・そして・・・・今後の警戒はより一層強くするべきじゃの・・・。」
「はい・・・この学園都市は、彼等を守るのに最適な城にして、常に狙われ続ける檻でもありますからね・・・。」
「うむ・・・・タカミチよ・・・。」
「何ですか?」
「何故・・・太陽の欠片を持つ者達は・・・時代から姿を消したのじゃろうかのぉ・・・。」
「それは・・・やはり、自分達の力が不必要になったからでは?」
「・・・・かも知れんが・・・・一体・・・守護する太陽は沈み、その後には何が昇ったのかのぉ・・・。」
学園長は夜空に浮かぶ三日月を見詰めながら呟いた。
そして夜が明け、新しい朝が来た。
ガヤガヤガヤガヤ・・・・・
「ふあ~あぁ・・・眠ぃ・・・・。」
太一は大きな欠伸をしながら学校へ向うべく、通学路である大通りを歩いていた。
周りには今日も元気に大勢の生徒達が、各々様々な移動方法で、急ぎ又はユックリと学校へ向う生徒達で一杯であった。
(狩りの後の通学はきついな・・・これはますますヤバイな・・・。)
「太一さん、おはようございます。」
「おう・・・刹那、おはよう。」
「はい、あの大丈夫ですか?その・・・。」
刹那は申し訳なさそうに、昨晩自分を庇って負ってしまった脇腹の傷の事を聞いた。
「あぁ・・・これ?」
そう言い、太一は服を捲り上げて、包帯に巻かれた患部を見せた。
「とりあえず多少痛みは残っているけど、もう殆ど大丈夫だよ・・・だから気にするな。」
「・・・・そうですか・・・あのっ「あっ!!そうだ。」えっ?」
刹那は昨日の事を謝ろうとしたが、突然の太一の言葉に、出しかけていた言葉を飲み込んだ。
「あのさ刹那、俺の事さん付けしなくて良いぞ。」
「えっ?でも・・・。」
「いいって、俺はさん付けされる様な偉い奴でも、凄い奴でもないんだからさ。」
(・・・あれだけ凄い事をしておきながらですか?)
「それと、俺の傷の事なら気にするな、これは俺の意思でやった結果なんだからな。」
「ですが・・・。」
「俺は只後悔したくないから、ああしただけだ、だからお前が気にする事は無い。」
「・・・・・・。」
「・・・・刹那、お前今生きているか?」
「えっ?」
太一の言葉の意味に訳が分からずに、刹那は首をかしげる。
「少なくとも俺は、昨晩以前のお前は生きていなかったと思う。」
「・・・・どう言う事ですか?」
「お前は木乃香を守る為、自分の気持ちを押し殺して、遠くから、近づけずに守っていた。」
「・・・・はい・・・その事は昨晩あなたに言われて、身に・・・染みました。」
刹那は昨晩太一に言われた言葉の一つ一つを思い出していた。
『・・・・・じゃあ・・・なんで木乃香は悲しんでいるんだ!?』
『・・・・あいつはな、お前が自分と話さないのは、距離を置くのは、お前が笑顔を見せなくなったのは、自分がお前に嫌われる事したと思ってるんだよ。』
『あいつその事で・・・・泣いてたんだぞ・・・。』
『お前はあいつを守る為、あいつ自身の為と思い自分から距離を置いて遠くから守っていた様だが・・・それが逆にあいつを悲しませる事になってたんだよ。』
『守ると誓ったんだったら・・・・・全てを守れ!!あいつの全てを・・・今も過去も未来も・・・あいつの幸せを・・・笑顔を・・・全てを守ってみせろ!!』
『あいつの笑顔一つ守れないで・・・・守ったなんて言うんじゃない!!あいつの前から居なくなろうとすんじゃねえ!!死のうなんてすんじゃねえ!!』
あの言葉が無ければ、太一が居なければ、自分は恐らく勘違いしたまま諦めて死んでいた。
刹那はその時の事を思い出し、改めて感謝の意を込め太一を見る。
「あの時までの私は確かに死んでいたかもしれません・・・自分の気持ちを押し殺し、お嬢様を守っている気でいました。」
「でも。」
「はい・・・それがお嬢様を悲しませているだけと知った時、私の全てが崩れた気がしました・・・・久しぶりでした・・・、
あんな風に泣いたのは・・・それからか、不思議と体が軽くなった気がします。」
「でっ?如何するんだ?」
「・・・・お嬢様とは、少しずつですが・・・以前みたいに接せる様にして行くつもりです・・・・本当にお嬢様を守る意味で、
私の大切な・・・友達を・・・そして、私が死んでいた分も、一緒に居られなかった分の時間も取り戻して、
思い出を・・・大切な新たな思い出を作っていきます。」
「そうか・・・もし又立ち止まりそうでも、背中を押してやるよ、それが俺の、木乃香との約束でもあるからな。」
「はい・・・その時はお願いします。」
「うん。」
「おはよう太一、刹那。」
「おはよう真名。」
「龍宮・・・おはよう。」
2人の下に真名が挨拶をして合流し、3人は学校に向って歩き出した。
(この人は・・・・私なんかが逆立ちしたって敵わない程、強く優しい心、そして器を持っている・・・・、
私も・・・・あの人の様に・・・。)
「如何したんだ刹那?」
「太一さん。」
「何だ?」
「やはり私は、太一さんを、「太一さん」と呼びます。」
「「・・・・・はっ?」」
突然の刹那の宣言に、太一と真名は目を点にする。
「太一さんは私にとって、憧れでもあり、恩人です!!ですので呼び捨てにする様な事はしません。」
「・・・いや・・・でも「良いですね?」・・・・・分かった好きに呼んで良いよ。」
「はい!!では早く行きましょう。」
そう言い刹那は、足早に歩き出す。
それを呆然と見ていた太一に真名が一言。
「昨晩何があったかは分からんが・・・・大きなフラグを立てたようだな?」
「フラグ?・・・旗がどうかしたのか?」
「・・・・いや何でも無い(こいつはかなりの鈍感だな・・・刹那自身も本当の気持ちに気付いていないみたいだが、
頑張れよ刹那・・・こいつはかなり大変だぞ。)、私達も早く行こうか。」
「おぉ・・・。」
太一と真名は刹那を追う様に歩き出し、合流してそのまま一緒に歩くのだった。
「あっ・・・。」
「んっ?」
それから少しして、目の前に見慣れた人物達が居た。
「まったくあんたは何時も何時も勝手に・・・。」
「すみませんすみませんすみません・・・・。」
「大丈夫ですか?ネギ先生・・・。」
「大丈夫やでのどか、これが2人なりのスキンシップなんやから。」
「ちっ・・・・違うわよ木乃香!!なっ・・何言ってんのよ!!」
ネギと明日菜とのどか、そして木乃香が一緒に走っていた。
「・・・・・・・。」
「・・・刹那。」
「あっ・・・はい・・・分かってはいるのですが・・・いざとなるとやはり・・・。」
刹那は立ち止まり、動かなくなった。
木乃香と以前の様に接すると決めたが、今まで木乃香を悲しませてしまった事や、気恥ずかしさ、そして自分との立場の違いが邪魔をして、
一歩を踏み出せないで居た。
「・・・ふん・・・・仕方ないか・・・。」
「こいつはドの付く生真面目だからな、今までの事もあってなかなか前に出られないんだろう。」
「・・・・しょうがねえな・・・・お~~~い!!ネギ!!」
「太一さん!?」
太一の声を聞き、4人は振り向く。
「あっ!!太一さんおはようございます。」
「太一君・・・せっちゃん・・・。」
「龍宮さんに、桜咲きさんまでいるじゃない、おはよう。」
「あっ・・・・はうぅ・・・。」
ネギは太一達に近付き、明日菜達もその後に続く、その際のどかはオドオド、ビクビクしながらであったが・・・。
「おはよう、ネギ、明日菜、木乃香、そして・・・・。」
「はうっ!!」
太一は未だにオドオドしているのどかに目をやると、のどかは一瞬体をビクンッとさせて、木乃香の背中に隠れた。
「あはは・・・のどかまだ太一君に慣れれへんようなね?」
「うぅ・・・。」
「ようだな・・・。」
「あうぅう・・・ごめんなさい・・・・その・・・八神君、怖い人じゃないって分かっているんだけど・・・。」
「(目を見て苗字を呼べる様になっただけでも進歩したな。)まあ気にしてないから・・・「のどかを怖がらせるなですう!!」えっ?」
ズドン!!
ピキーーーーーン・・・・
「・・・・・・・・。」
ミシッ・・・・・・
「「!?」」
「「なっ!?」」
「はうっ!?」
「あっ・・・・夕映、おはような。」
のどかの親友、夕映は予めから知っていたかのように、太一の負傷している方の脇腹に、その小さな体から繰り出したとは思えないほどの、
見事な回し蹴りを寸分の狂いも無く、夕映のつま先は太一の脇腹に見事に突き刺さっていた。
その光景を離れて見ていた同じクラスの格闘チャイナ娘、古菲が夕映の回し蹴りを見て。
「見事な回し蹴りだったアル、こんな身近に意外な強者がいるとは・・・・今度是非手合わせ願いたいアルね。」
等と言っており、夕映の知らぬ所で、秘かな死亡フラグが立っていたとは、彼女は知るよしも無かった。
ちなみにこの時直ぐ、同じく同じクラスの真名に次ぐ長身、長瀬楓により止められ、夕映と古菲の、
一方的な組み手は回避された。
そして夕映の回し蹴りをモロ傷口に受けた太一は、しばし硬直し、何事も無かったかの様に振り向き夕映を睨み。
そして・・・・・。
「お前は朝っぱらから何しとんじゃあああああああああああ!?」
「朝っぱらからのどかを怖がらせている野蛮人への天誅ですううううううううう!!」
「いきなり殺意の篭った回し蹴りをかます様な奴に野蛮人呼ばわりされたか無いわあああああああああああああああ!!」
「ならばのどかに近付くなですううううううううううううううう!!」
「うわわわ!!喧嘩だ・・・・止めなきゃ・・・・でもどうしよう!?どうしよう!?」
「もうあんたまで何やってんのよ?ほら落ち着きなさい。」
昨日と同じく激しい言い争いが勃発し、その騒ぎを嗅ぎ付け、多くの生徒が見物、そしてどっちが先に折れるか、若しくは勝つかで賭け事が行われていた。
此処の生徒達は本当に色んな意味で楽しんでいて、それでいて逞しい。
ネギはネギで、二人の喧嘩をどうやって止めようか分からずにてんてこ舞い。
明日菜はそんなネギを落ち着かせようとするも、悪戦苦闘中であった。
「夕映、落ち着きいな。」
「夕映~もういい・・・もういいから~・・・・。」
「太一さんも落ち着いてください(傷口が!!傷口がああああああ!!)!!」
「抑えろ太一、女子生徒が相手では、この後非難の声を全て受けるのはお前だ(いかん!!本当に傷口が開くぞ!!)。」
木乃香とのどかは、夕映を落ち着かせようと太一から遠ざける。
太一の方は刹那と真名が止めに入った、本当に色々と危なかったので。
言い争いから、途中で1人の男子生徒の流血ショーなど起こってしまったら、それこそ大騒ぎである。
「はあ・・・はあ・・・すまない・・・・かなり取り乱してしまった・・・・。」
「自分の体の事を考えろ。」
「すんません・・・。」
真名が太一に軽く説教をしている間、刹那は徐に夕映に近づいていた、その近くに木乃香がいるのにも関わらず。
「・・・・・あの綾瀬さん・・・。」
「せっちゃん?」
「何ですか桜咲さん?」
「その・・・太一さんは特に非のある行為をした訳では無いですので、きちんと謝っていただけませんか?」
(せっちゃんがこんな事言うやなんて。)
「しかしあの男は現にのどかを怖がらせていたではないですが!!」
「違うよ・・・夕映・・・・・八神君は、普通に話し掛けて来ただけなのに・・・・私が必要以上に怖がっちゃっただけなの・・・。」
「ですが!!それでも昨日の事で、のどかの事を知ったのなら、むしろ近付かない方が得策では!?」
「本当にそれで良いのですか?」
「何がですか?」
「確かに宮崎さんを大切に思うのは宜しいのですが、あまりその行動が過激過ぎると言うか・・・過保護と言うか、
極端すぎると、知らず知らずにその人まで傷つけてしまうと思うのでは・・・・。」
「せっちゃん・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
それは夕映だけでは無く、刹那自身にも当てはまる言葉であった。
夕映とはあまり係わり合いを持った事は無かったが、彼女がのどかを大切に思う姿が、何処か自分の姿と重なり合い、
何時かは彼女の知らない所で、のどかが傷付き、悲しませてしまうと思うと、放っては置けなかったのだろう。
「・・・それは・・・・。」
「夕映・・・桜咲さんの言うとおりだと思うよ。」
「のどか!?」
「私だって・・・夕映の事大切な友達だと思ってるよ・・・だから、私の為にさっきみたいな事し続けたら、
何時か夕映自身も傷付くんじゃないかって不安になる時があるの・・・。」
「のどか・・・。」
「私の所為で夕映が傷付くのは・・・嫌だよ。」
「のどか・・・ごめんなさいです・・・。」
「謝るのは私にじゃないよ、夕映。」
「・・・・そうでしたね。」
そう言い、夕映は太一に近付く。
「あの・・・八神さん・・・その・・・ごめんなさいです。」
「・・・俺もややこしい事してすまなかったな。」
「咎めないのですか?」
「謝ってきた奴にこれ以上何を言えって言うんだ?」
「・・・・ありがとうです。」
「夕映・・・行こう。」
「はいです・・・では皆さんお騒がせして、申し訳ありませんでした。」
「ネギ先生・・・あの失礼します・・・。」
「あっ・・・はい、宮崎さん、綾瀬さん又教室で会いましょう。」
「「失礼します。」」
夕映とのどかは一緒に学校へと向かって行った。
「せっちゃん・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「あのな・・・少し遅れたけど・・・お「おはようございます。」えっ!?」
「「んん?」」
「おっ。」
「・・・ふっ・・。」
「おはようございます・・・お嬢様。」
刹那は昨日と同じで、無愛想の無表情で木乃香に挨拶をした。
その表情はネギと明日菜は昨日と同じと思ったが、その無愛想な表情が昨日と明らかに違うの太一と真名、そして木乃香は気付いていた。
「せっちゃん・・・・・おはよう!!せっちゃん!!」
「早く行かれないと遅刻してしまいますよ・・・私はこれから別の用事がありますので、お先に失礼いたします。」
「うん・・・ほな、又教室でな。」
「はい・・・では失礼いたします。」
そう言い残し、刹那はお辞儀をし、皆から離れて行った。
「桜咲さんて・・・本当に無愛想よね・・・。」
「そうですね・・・昨日の事もありますし、ここは先生として注意を「明日菜!!ネギ君!!遅刻してまうで早よ行かな!!」えっ!?
あぁ!!急がないと朝礼会議に遅れちゃう!!」
「あっ!!今日私日直だった!!」
「だったら早く行きな。」
「「は~~~~~い!!」」
「頑張ってな~~。」
明日菜とネギは大急ぎでその場から立ち去った。
そして残された3人はと言うと。
「立てるか太一?」
「何とかな・・・。」
「ありがとうな、太一君。」
「・・・・何が?」
「太一君やろ?せっちゃん・・・少しだけど前みたいに話しかけてくれた、太一君が何かしたんとちゃうん?」
「別に・・・何も、只俺は話しただけだよ。」
「そっか・・・ところで大丈夫なん?」
「大丈夫だよ、早く行きな・・・何かあいつ等だけだと不安だ・・・。」
そう言い、先程立ち去って行ったネギと明日菜の方に視線をやる。
「せやね・・・ほなうち行くわ!!」
「おう、又教室でな。」
「ほなな~~~。」
木乃香は手を振り、ローラーブレードを滑らせながら、去って行った。
それを太一も良い笑顔で手を振りながら応える。
そして・・・・。
「・・・・・・ガフッ!!」
ブシュウ!!
「なっ!?」
バターーーーーーン!!
「おわっ!?太一!!」
太一はその良い笑顔のまま、血を吐き散らし、傷口から血が吹き出て、そのまま前へと倒れた。
「又痩せ我慢してたのか!?」
「がっ・・・がは・・・・・。」
ビクンッ・・・ビクンッ・・・・
「いかん!!又白目をむいて、痙攣を起こしている!!」
「如何した龍宮?」
「おはようございます龍宮さん。」
「キティ!!茶々丸!!」
「だからそっちで呼ぶな!!」
「太一さん・・・・又死にかけています。」
「何!?」
「茶々丸!!取り敢えず太一を保健室へ!!」
「分かりました・・・宜しいでしょうかマスター?」
「構わん・・・早くこの野次馬共の視線から逃れたいからな。」
「分かりました・・・・行きましょう龍宮さん。」
「太一!!死ぬな!!」
大騒ぎの太一達の事はいざ知らず、刹那はというと。
(・・・太一さん・・・あなたの御陰で、お嬢様・・・このちゃんとの何の蟠り無く、本当に以前の様に、
接する事が出来るかもしません・・・本当にありがとうございます・・・太一さん。)
ドクン・・・ドクン・・・
(!?・・・・又だ・・・何だ?・・・太一さんの事を思うと高ぶるこの胸の高鳴りは・・・・。)
今の刹那がその胸の高鳴りの意味に気付くのは、そう遠くは無いのかもしれない。
そして・・・そんな彼女が感謝している人はというと・・・・。
「脈拍・・・心拍数共に低下・・・明らかに昨晩より酷い状態です。」
「落ち着いてないで、早く何とかせんか!!」
「輸血が足りないわ!!」
「これは酷い・・・蹴られた時に他の臓器からも出血しているぞ。」
「他の魔法先生に応援を!!もっと多くの治療魔法を受けないと危ないわ!!」
ピーーーーピーーーーピーーーーピーーーー!!
「先生!!呼吸が止まりました!!」
「いかん!!」
「・・・・・明らかに昨晩より酷いな・・・大丈夫なのか?」
「・・・・・・・・(あぁ・・・死んだ爺ちゃんと婆ちゃんが見える・・・・。)。」
かなりの医療設備の整った保健室で、茶々丸や多くの魔法先生や医者達による、手厚い治療を受けながら、臨死体験中であった。
そして彼の、命の蝋燭の灯火が消えかけているのを感じ取った少女が1人いた・・・。
ブルッ!!
「うぅっ!?」
「如何したの夕映?」
「今・・・自分の行った愚行の所為で、1つの命が失われてそうになっている悪寒に襲われたです・・・。」
「?大丈夫だよ、夕映は命を奪うような事はしてないよ。」
「そうですね・・・ありがとうです。」
実際してるんですけどね。
頑張れ太一、負けるな太一、生きろ太一、君の新たな冒険と、波乱万笑・・・違う違う、波乱万丈な学園生活はまだ始まったばかりだ。
(綺麗なお花畑と・・・・大きな川が見える・・・でも何で死んだ爺ちゃんと婆ちゃんが見えて、俺に来るなって言ってるんだろう?
そして・・・なんで俺はこの風景を見た事ある気がするんだろう?)
この後、何とか回復した太一は、怪しまれない為、そして夕映が気にしない為、余計な心配は掛けさせない為、
朝のHRから参加し、放課後まで、気力で居たと言う。
続く
次回予告
太陽の欠片の力と新たなデジヴァイスを扱える様に、
アグモンと共に特訓する太一。
だがそれと同時に太一最大の敵の襲来、
そして不穏な動きをするネギと明日菜達が居るのであった。
次回
デジモンアドベンチャーMAGI
『学生達とネギの苦悩、書物の闇に消えた者達。』
今・・・冒険が進化する。