デジモンアドベンチャーMAGI   作:龍気

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今回から図書館島篇です。


第9話『学生達とネギの苦悩、書物の闇に消えた者達』

太一の内より目覚めた太古のレアスキル「太陽の欠片」。

 

更なる強き心を受け進化した太一のデジヴァイス「デジヴァイスNEO」。

 

更なる未来へと突き進もうとするアグモンの新たなる進化体「ジオグレイモン」。

 

三つの新たなる力を得た太一とアグモン。

 

新たな力は・・・・そして麻帆良は彼等に、何を齎すのか?

 

そして・・・・。

 

 

ババババババババ・・・・・

 

「ギギギギ・・・・・。」

 

ザッパーーーーーン!!

 

「ギュアアアアアアアアアア!!」

 

 

新たな戦いの予兆を示すかのように、暗闇の中で巨大な2体の影が蠢いていた。

 

 

 

―――『学生達とネギの苦悩、書物の闇に消えた者達』―――

 

 

 

早朝の麻帆良の大きく綺麗な池のある広場。

 

出歩く人がまず居ないこの時間この場所に、池の横に二つの人影が見えた。

 

座禅を組み座っている太一と、その前に立つ高畑であった。

 

 

「・・・・魔力。」

 

「・・・・・・・。」

 

しゅうううう・・・・・

 

 

高畑が「魔力」と言うと、太一の体を山吹色の魔力が覆う。

 

 

「・・・・気。」

 

「・・・・・・・・。」

 

こおおおぉぉぉぉ・・・・

 

 

そして、高畑が「気」と言うと、太一の体を覆っていた山吹色の魔力は消え、白色の気が太一の体を覆う。

 

 

(・・・早い・・・もう自分の魔力と気のコントロールができる様になった・・・。)

 

 

今高畑は太一の、太陽の欠片の力を上手く扱える様にする訓練に師として訓練を見ていた。

 

そして、高畑は太一の驚くべき成長スピードに、顔には出してはいないが、内心では驚いていた。

 

先ずは自分の中に流れる気と魔力のコントロールを物にする為、其々を感じ取る特訓から始まり、

魔力と気の量と力の理解、そして今コントロールの過程にある。

 

特訓を開始して1週間目だが、高畑いわく素人が魔力と気、両方のコントロールの過程に入るのに、早くても数ヶ月は掛かるらしい。

 

魔法使いや気を扱う者達に比べ、知識や感覚の違いもあるが、それでも魔力や気を最近知ったばかりの素人が此処まで早くコントロールできる様になるのは異常であった。

 

 

「・・・・太一君、もう良いよ楽にして。」

 

「・・・・・・ふぅ~・・・疲れた・・・。」

 

 

気のコントロールを止めた太一は、背中を大地に委ね、早朝の空を見ながら「疲れた。」と一言呟いた。

 

 

「はぁ・・・只気と魔力のどちらかを強くするだけでこんなに疲れるなら、まだまだあの力は使えないな・・・。」

 

「そんな事無いよ太一君、たった一週間でそこまでコントロールできるようになったんだ、後はその力を日常で自然にコントロールできるようになったら、

いよいよ気と魔力の融合の訓練だ、このペースならすぐだよ。」

 

「はぁ・・・でも、もう1つ問題があるんだよな・・・・。」

 

ザッパーーーーーーーーーーン!!

 

「ぷはぁ・・・・・太一終わったよ。」

 

 

池の中からジオグレイモンが現れ、太一と高畑の下に近づく。

 

 

「おっ、そっちも終わったか?如何だった?」

 

「うん、グレイモンの時と比べると、やっぱりまだ動きに違和感があるね。」

 

「そうか・・・。」

 

 

あの戦いの後、ジオグレイモンに進化できる様になった事と、デジヴァイスNEOに変わった事により、

今までの進化ができなくなったのではと思った太一は、一度アグモンをグレイモンに進化させてみせた。

 

その結果、アグモンはグレイモンへと進化した。

 

アグモンと太一いわく、今までの感覚で進化できたようだったが、それ以降の完全体や究極体への進化はできなかった。

 

これに関してはよく分かってはいなく、予想では、デジヴァイスNEOで成熟期以降の進化には、以前より強く正しい勇気の心が必要か、

アグモンがそれまでのレベルに達していないか、はたまたそれ以外の要因か、色々と思い浮かぶ物はあったが、

今はジオグレイモンでの戦いに慣れるようにする為、グレイモンでランニングや水泳等のトレーニング後、

ジオグレイモンに進化させ同じ事をし、如何違和感を感じるか等比べていた。

 

 

「でも、最初に比べたらかなり違和感は無くなってきたよ。」

 

「そうか・・・。」

 

「高畑先生、ジオグレイモンさん・・・太一さん、おはようございます。」

 

「おっ、おはよう、刹那。」

 

「おはよう、刹那君。」

 

「おはよう。」

 

 

刹那がその手に竹刀を持って、太一達の前に現れた。

 

 

「もうそんな時間か・・・じゃあ始めるか?」

 

「はい。」

 

「高畑先生、ありがとうございました。」

 

「あぁ・・・でも無茶しちゃいけないし、あまり時間をかけない事、後2時間半で学校だよ。」

 

「「分かってます。」」

 

 

太一は刹那に近付き、刹那も竹刀を構えた。

 

そして太一と刹那はお互い向き合い、構えを取る。

 

 

「では・・・行きます。」

 

「お願いします。」

 

「はっ!!」

 

ずっ!!

 

「うおっ!!」

 

 

刹那は太一に竹刀を振るい、太一はそれを何とかかわす。

 

 

「脇が甘いですよ!!」

 

げしっ!!

 

「ぐっ!!」

 

 

刹那は太一のがら空きの右の脇に鋭い蹴りを入れた。

 

しかし、太一は蹴りに合わせ横に飛び、多少蹴りの威力を和らげた。

 

完治したとは言え、まだ多少痛みの残る左脇腹の所為で、どうも体の左側に意識が行き過ぎて、右側がどうも疎かになっていた。

 

 

「もっと全体に気を配ってください・・・太一さんは元々動ける方なのですから、今のもかわせたはずです。」

 

「つっ・・・あぁ・・・。」

 

 

太一は、太陽の欠片の力を上手く使える様になっても、己自信が戦い方を知らなければ意味が無いと、

刹那に朝と夜に組み手といった訓練を頼んだのだった。

 

刹那はそれを快く了承し、この1週間誰も居ない朝と夜にあるこの光景は、知っている者達にとってはお馴染みの光景となっていた。

 

 

「まだぎこちないけど、大分防御や避け方はマシになって来たね。」

 

「最初は青痣だらけの瘤だらけだったのにね。」

 

 

ジオグレイモンは何時の間にかアグモンに戻って、高畑と共に、2人の組み手の様子を見ながら、其々感想を述べていた。

 

組み手開始から、小1時間程が経ち、そろそろ人が出歩き始める時間帯となり、太一と刹那は組み手を終える。

 

汗1つ流さない刹那に対し、太一は汗を滝の様に流し呼吸が荒かった。

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・まいったな・・・これが実戦だったら何回死んでんだ俺?」

 

「でも最初の頃に比べると大分と避けられる様にも、受けるのも上手になっていますから、そう落ち込む必要はありませんよ、太一さん。」

 

「そうかな・・・・。」

 

「はい、自信を持ってください。」

 

「・・・・あぁ・・・。」

 

「太一君に刹那君、そろそろ学校に行く準備をしないといけないんじゃないかな?」

 

「やべ!!アグモン!!」

 

「OK太一。」

 

 

アグモンを呼び寄せ、太一は腰のカードブッカーから、前回の戦いでも使用した「バードラモン」が描かれたカードを取り出した。

 

 

「カードスラッシュ!!バードラモン・灼熱の翼!!」

 

 

デジヴァイスNEOにバードラモンのカードをスラッシュさせ、アグモンの背中にバードラモンの翼が生える。

 

カードスラッシュは、ステータスの向上や、他のデジモンの能力や技を追加する一方で、急激なステータスの変化に身体に大きな負荷を与える。

 

その負荷を少しでも軽くする為、訓練の空いた時間等には、使えそうな時がある時には、こうしてカードスラッシュをして慣らすようにしているのだ。

 

アグモンは太一の頭上位まで飛ぶと、太一はアグモンの手を掴んだ。

 

 

「ほら、刹那も掴まりなよ。」

 

「え?ですが・・・。」

 

「大丈夫だよ、最近特訓で力がついてきたから、刹那が掴まっても平気だよ。」

 

「・・・・では・・お言葉に甘えて。」

 

 

そう言い、刹那もアグモンの手を掴む。

 

アグモンは刹那がしっかりと自分の手を掴んでいる事を確認すると、アグモンは太一と刹那を掴んだまま飛び立った。

 

 

「じゃあ高畑先生、また学校で。」

 

「お先に失礼します。」

 

「あぁ・・・また学校で。」

 

 

高畑をその場に残し、アグモンは太一達の部屋がある、女子中等部専用寮へと飛んで行った。

 

女子中等部専用寮の近くまで飛んで来たアグモンは、人目のつかない場所に降り立ち、太一と刹那を下ろした。

 

それと同時にアグモンの背中のバードラモンの羽は消え、元の状態に戻った。

 

 

「サンキューアグモン、他の生徒達に見られるとまずいから、少し入っててくれ。」

 

「わかった。」

 

 

太一はデジヴァイスNEOをアグモンに翳した。

 

 

キュルルルルン・・・・・

 

ぷしゅん・・・

 

 

するとアグモンは0と1のデータに分解され、デジヴァイスNEOの中へと入っていった。

 

デジヴァイスNEOの機能の1つ、収納機能で、パートナーデジモンや特定の物質をデータ化、分解、収納し、

必要な時、実体化し取り出せる機能である。

 

 

「便利ですね、その機能。」

 

「あぁ、これで何時でも一緒に居られるからな。」

 

『おまけに、この中結構広くて、訓練とかも出来るし、ごはんもいっぱいだから結構快適なんだよ。』

 

「そのメシは俺が補給してやってんだけどな・・・。」

 

「ははは・・・。」

 

 

そんなたわいの無い会話をして、2人は寮にあるそれぞれの部屋へと帰っていった。

 

部屋に戻った太一は、一度アグモンをデジヴァイスNEOから出し、訓練で掻いた汗を流す為浴室でシャワーを浴びた後、

アグモンと朝食をとり、学校へ行く準備を始めた。

 

 

「でっ・・・如何する?今日は一緒に行くのか?」

 

「ん~ん・・・今日は留守番しとくよ。」

 

「分かった、冷蔵庫に昨日の晩の残りがあるから、温めて食べてくれ。」

 

「わかった。」

 

「んじゃ、行って来る。」

 

「行ってらっしゃい。」

 

 

太一は学校へ向った。

 

途中レイと出会い、太一はレイの車椅子を押しながら一緒に通学した。

 

その所為で、教室に入った瞬間、クラスの女子達から一斉にからかわれる事となり、学校に来て早々、朝の訓練より疲れる羽目になったのであった。

 

そして朝一番の授業、ネギの英語の授業が始まった。

 

 

「じゃあ、今のところを訳してもらいます。」

 

ワイワイワイワイ・・・・・

 

「じゃあ朝元気に挨拶してくれた佐々木さん。」

 

「ええぇ!?ネギ君ひどい!!挨拶して損した!!」

 

「ネギ先生訳なら私が・・・。」

 

「いいんちょハーフだからだめーーー、ずるいーーー。」

 

「なっ!?ハーフじゃありませんわよ!!」

 

「「「きゃはははは!!」」」

 

「皆さん!!静かにしてください。」

 

 

ネギの授業での様子を微笑ましく眺めていた、ネギの指導教員であるしずなは何も言わず、安心しながら授業を見ていた。

 

 

(これなら問題ないかもしれないわね・・・しかし・・・。)

 

 

しずながある事につい考えている中、太一も同じ様に安心しながら、ネギの授業を受け、

ネギの授業について考えていた。

 

 

(最初に比べると、先生らしくなってきたかな・・・でも・・・。)

 

チラ・・・

 

 

太一は周りの生徒達の様子を見ながら、しずなと同じ事を思った。

 

 

((他の生徒達の殆どが友達感覚でいるな(わね)。)

 

 

子供故に、ネギに対して先生と言うよりは、年下の友達の相手を楽しくしている様にとれ(ネギ本人は気付いてはない。)、

授業と言うよりは、一種の遊びとしてもとらえられた。

 

それは彼女達が追々慣れて行くか、ネギ自身が教師としてこれからどうして行くかで改善されるだろうと思い、

それについて考えるのは止めた。

 

授業が終わり、しずなは学園長室で、学園長にネギの事を報告していた。

 

 

「そうか、なかなかうまくやっとるのかネギ君は。」

 

「はい学園長先生、生徒とも打ち解けていますし、授業内容も頑張っていますわ、とても10歳とは思えませんわ。」

 

 

しずなからの評価を聞き、学園長は満足そうに自慢の髭を撫でながらコクコクと頷く。

 

 

「この分なら指導教員の私としても、一応合格点を出してもいいと思っていますが・・・。」

 

「フォフォ・・・そうか、けっこうけっこう、ところで太一君はどうかの?上手くやっとるか?」

 

「はい、太一君もネギ先生が困惑して魔法を発動しそうな時や、如何したらいいか分からなくなった時に、

なるべくネギ先生自身で解決出来る様に、助言やサポートをしていますわ、先日の女子高等部の2年生とのいざこざの時にも、

彼のおかげで教師らしく事を治めてくれました・・・多少・・・暴走はありましたが・・・。」

 

 

先日場所の取り合いから始まった、高等部とのいざこざ。

 

その場は高畑が居たから治まったが、その日の体育の時間で、自習でレクリエーションと称し、ワザと中等部校舎の屋上でバレーを始めようとしたのだ。

 

ネギはその時、これなくなった体育の先生の代わりに来て、高等部女子達のおもちゃになっていた。

 

元々血気盛んな明日菜や、「ネギLOVE」の委員長あやか、高等部女子達からの挑発や、ネギをおもちゃにする様から、

いざ乱闘になるかと思いきや、遅れてやって来た太一が一言。

 

 

『大人の女性と、乙女が暴力はいけないよ。』

 

 

その言葉により、痛いところを突かれ両者とも乱闘は起きなかった。

 

そして太一はネギの方を向き。

 

 

『どうせなら先輩達も一緒にやりましょうよ、スポーツは大勢でやった方が楽しいですから・・・そうですよね?ネギ先生。』

 

 

と言いネギにアイコンタクトを送る。

 

ネギは最初何の事か分かってはいなかったが、喧嘩では無く、スポーツで決着を付けさせると理解し、

ネギの言葉で急遽、ネギを賭けた女子中等部2-A対女子高等部2-Dのドッチボール対決が始まった。

 

ネギも最初は汗を流せば爽やかに、そしてスポコンドラマの様に終わると期待していたが、女子高等部達はあくまで自分達が上だと見せつけたく、

ハンデと言い、明日菜達が動き難くなる様に22人対11人で始まった。

 

因みに太一は出場してはいない、成るべくネギだけで解決させたかったからである。

 

しかも実力はかなりの物で、彼女達は高校生のドッチボール関東大会に優勝経験者チームで、麻帆良ドッチボール部「黒百合」であった。

 

高校生でドッチと言うのも微妙ではあるが・・・。

 

後某有名格闘龍玉漫画の三つ目の人が得意とする技の名の技を使う等の、突っ込みどころもあった。

 

頼みの綱である明日菜も敗れ、彼女達の酷い行為に対し、ネギは魔法を使用しようとするも、明日菜の「正々堂々」の言葉にそれを止めた。

 

しかし状況的に敗北は決定かと皆が思い、士気は低下していた。

 

だがネギの励ましにより、各々特技を使い逆転して行く。

 

正直反則っぽいのも・・・・つか販促と断言できるプレイもあったが・・・キックで返すや、リボンで掴んで当てる等・・・。

 

結果10対3で、2-Aの勝利。

 

それでも諦めの悪い黒百合のリーダーは、腹いせに後ろを向いていた明日菜に向って、渾身の投球を放つ。

 

それに気付いたネギがそのボールを受け止め、思う様に結果にならなかった事と、酷い行為を繰り返し、

自分の生徒達を痛めつけた事に感情が爆発し、思わず魔力を込めたボールを放ってしまう。

 

それを受け止めたリーダーだが、受け止めたボールから放たれる衝撃波に、彼女達の服は吹き飛ばされ、下着姿となった。

 

その時あまりの(思春期男子にとっては嬉しすぎる)光景に、太一も思わず目を見開いてしまうが、

同じく試合に参加していなかった刹那とレイの手により、即座に目隠しされていた。

 

彼女達は何が起きたのか全く理解できず、何より下着姿だけで居る事に耐えられずその場をダッシュで去っていった。

 

太一的にもあまり望んだ結果とは言え難いが、クラスの女子達とネギとの間で、信頼関係が生まれたので、

少しだけこの試合をする様に仕込んだ事に満足していた。

 

そんな太一の横で、普段とは珍しく気が合った明日菜とあやかが、先程下着姿で去って行った黒百合リーダー達の姿を思い出し笑っていた。

 

その時の会話が・・・・これだ、ワン・トゥ・スリー。(ザ・ベストハウス!?)

 

 

『見ました明日菜さん?あの”おばサマ”達のお姿!!』

 

『見たわよいいんちょう!!”年増”には派手な黒の下着なんか着けて!!』

 

『お年をお考えになってほしいものですわよねえ?』

 

『老い先の短い”ババア”の最後の抵抗なんじゃない?』

 

『そうかも知れませんわね。』

 

『『『『あはははははははははははははははは!!』』』』

 

 

などと、去って行った先輩に「おばサマ」「年増」「ババア」等、相手を中傷する言葉を上げ、何時の間にか加わった他の生徒達多数と一緒に満面の笑みで笑い合っていた。

 

しかし彼女達は分かっているのであろうか?自分達が中傷の言葉を上げ、笑っている相手が、自分達と”少ししか年が離れていない”先輩だと言う事を。

 

それに気付いた太一は、やれやれといった、半分呆れた感じで溜息を吐き、彼女達に背を向けて口を開く。

 

その時言った言葉が・・・・これだ、ワン・トゥ・スリー。(またかよ!?)

 

 

『嬉しいのは分かるけどさ・・・お前達が「おばサマ」「年増」「ババア」と言って笑っている先輩達と、

後2年か3年で自分達が同じに歳になるの分かって言ってる?』

 

『『『『はっ!!』』』』

 

ピキッ!!

 

『お~~~い、こいつ等片付けて、残りの時間、久しぶりだから俺達もドッチやろーぜ。』

 

『『『『さんせ~~~~~~い!!』』』』

 

 

それから・・・自分達の言った言葉の先にあるものに気付いた彼女達は授業が終わるまでの、残り半分以上の時間、

魂が抜け石の様に固まっていた。

 

因みにこの後、ネギは小学生のドッチボール部のエースとして、彼女達にスカウトされるのであった。

 

 

「あの様子からすると、まだ先生と生徒と言いますか、遊び相手とも言えますが・・・。」

 

「ふむ・・・しかし、太一君も何とかやってくれている様じゃし・・・。」

 

ポフ・・・

 

「おや?しずな君どこじゃ?」

 

「・・・・上ですわ・・・学園長・・・。」

 

ボガン!!

 

 

しずなの胸に顔を埋め、ボケる学園長に対し、しずなは何時もの穏やかな表情のまま、静かに学園長の長い頭をどついた。

 

 

「そろそろ・・・課題を出そうかのぉ・・・才能ある、マギステル・マギの候補生として・・・フォフォフォ・・・。」

 

 

何事も無かった様にそう言った学園長は、一枚の紙を取り出して、何かを書き始めるが、額から流れる血が痛々しい・・・。

 

 

午前中の授業が全て終わり、太一は以前約束したとおり、学生食堂でレイと昼食をとっていた。

 

そこに刹那と真名も加わり、周りから見ればかなり珍しい組み合わせとなっていた。

 

何故刹那達も一緒かと言うと、本来なら木乃香と一緒に食事をとりたいところではあるが、流石にまだそこまでいくには心の準備が出来ておらず、

同級生との食事に慣れる及び予行練習を兼ねて同席したのである。

 

真名はそんな刹那の付き添いである。

 

学生食堂は女子だけで無く、小、中、高、大学の全生徒が使用可能なので、男子もたくさんいる。

 

その中で、麻帆良女子中等部の中でも美少女達の巣窟と呼ばれる2-Aの女子3人と一緒に昼食をとる太一は別の意味でも、

違う意味でも注目されていたが、本人は全くといっていいほど気にしてはいないと言うか、そんな視線に気付きもしなかった。

 

 

「初めてだね、桜咲さんに龍宮さんと一緒にご飯食べるの。」

 

「そうですね。」

 

「そんなに硬くならなくても良い、普通にクラスメートとして接してくれれば良い。」

 

「うん、じゃあ・・・刹那ちゃんと、真名ちゃんって呼んで良い?」

 

「はい、私はかまいません、彩羽さん。」

 

「私もかまわないぞ。」

 

「うん、じゃあ私もレイで良いよ。」

 

「分かりました、レイさん。」

 

 

因みに太一とレイは持参の弁当で、刹那と真名は注文した学食を食べていた。

 

 

「レイのは手作りか?」

 

「うん、そうだよ真名ちゃん、大抵毎日は自分で作ってるよ。」

 

「どれ?」

 

ひょい・・・

 

ぱくっ・・・

 

「「あっ?」」

 

 

太一がレイの弁当から、おかずを1つ摘み上げ、それを口へと運んだ。

 

それにレイはともかく、刹那も反応する。

 

 

「・・・うん・・・美味しいよレイ。」

 

「本当!?」

 

「あぁ・・・本当本当。」

 

 

太一の感想に、レイは喜んだ。

 

 

「・・・太一さんのお弁当・・・それってもしかして・・・。」

 

「あぁ・・・俺の手作りだよ。」

 

「上手だね。」

 

「太一さんとレイさんは手作り・・・・。」

 

 

刹那は小声で呟き、太一とレイの弁当を交互に見た後、自分が注文した学食をじ~~と見詰めて秘かに思った。

 

 

(明日から私も作って来よう!!)

 

 

と・・・強く誓うのであった。

 

 

「今のところ・・・毎日作ってるかな?」

 

「えらいね。」

 

「あぁ・・・空の奴が、「多少は料理が出来るんだから、ちゃんと栄養管理して自分で料理を作れ。」って料理本贈って来てな、

成るべく自分で作る様にしてんだ。」

 

「?空って・・・誰?」

 

「誰ですか?太一さん?」

 

「私も気になるな・・・太一誰なんだ?」

 

 

レイと刹那は、太一の言葉からおそらくは女性の名前だと思い、2人揃って太一に詰め寄る。

 

真名もそんな光景をニヤニヤと笑いながら、興味しんしんとばかりに太一に質問する。

 

 

「ん?あぁ・・・幼馴染だよ。」

 

「「・・・幼馴染・・・。」」

 

「あぁ、幼稚園に入る前位からの付き合いで、よく一緒にサッカーしてたな・・・。」

 

「一緒に・・・サッカー・・・ですか?」

 

「うん。」

 

(なんだ・・・男友達だったんだ・・・。)

 

(ふぅ・・・確かに「空」は少ないが男の人にも付けられるからな・・・ん?何で私はこんなにも気にしてたんだ?)

 

 

レイと刹那は、空が男だと勘違いし、安心した様子であった。

 

刹那は何故安心しているのか自分では分かってはいなかったが。

 

 

「あいつ何時も、周りの奴等の思いやるやつでな・・・皆のお母さんかお姉さん的存在だったんだ。」

 

「そうなんだ(男の子なのにお母さん的存在って・・・本人は否定したんだろうな。)。」

 

「今はテニス部に入って、一緒にサッカーする事も無くなったな・・・後母親が華道の先生で、その影響か最近華道もやるようになったな・・・。」

 

「・・・こう言っては何ですが・・・かなり女性らしいご友人なんですね・・・。」

 

「ん?いや・・・空は女だぞ。」

 

「「・・・・えっ!?」」

 

 

太一の言葉に、レイも刹那も一瞬言葉を失うが、目を見開き太一を見る。

 

 

「?何驚いてんだ?」

 

「えっ・・・でも一緒にサッカーやってたって・・・。」

 

「?女がサッカーやるのおかしいか?」

 

「いえ・・・おかしくはありませんが・・・その・・・。」

 

 

刹那とレイが何て言ったらいいのか悩んでいる最中、真名は秘かに太一の肩に手を置き、一言・・・。

 

 

「その空と言う女性は・・・以前お前が言っていた、今でも好きな女性にして、初恋の人か?」

 

ピキューーーン!!

 

「「はっ!?」」

 

 

真名の言葉に、何故か太一より先に反応するレイと刹那、それを見通してか、ニヤッと微笑み太一の反応を待つ。

 

 

「なっ!?なななななななななななな・・・何言ってんだよ真名!?・・・そっ・・そそそそそそそそそそそそんなわけななな無いに決まってんじゃん!!

はは・・・はははははははははははははは!!なあ?」

 

「「「・・・・・・。」」」

 

「・・・・あの・・・皆さん・・・如何したの?」

 

「・・・そうなの?」

 

「そうなんですか?」

 

「えっ・・・いや・・・その・・・・。」

 

「あの態度では教えている様なものだぞ太一。」

 

「そそっ・・・そんな事・・・・。」

 

ひょい・・・ぴと・・・

 

「・・・太一君・・・そこ口じゃなくて鼻。」

 

「えっ!?」

 

 

太一は自分の弁当からおかずを1つ取り、口に運ぼうとするも、あまりに動揺している為誤って、鼻へと持っていってしまい、

レイにツッコミを入れられる。

 

 

「「・・・・・・・。」」

 

「あ~~・・・・・。」

 

「くっ・・・くくく・・・・。」

 

 

何故かジト目で太一を見るレイと刹那。

 

そして何故そんな目で見られるのか分からない太一。

 

そんな光景を笑いを堪えながら見ている真名。

 

真名を除き、3人の間に微妙で、何処か重い空気が漂った。

 

 

「・・・・はは・・もうこの話題無し・・・早く食い終わらないと昼休み終わるぜ・・・。」

 

ひょい・・・ぴと・・・

 

「太一さん・・・そこは目です。」

 

「うっ・・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

「ぷふっ!!」

 

 

平静を装うとするも、内心は未だに動揺している為、再度おかずを口とは違うところに運んでしまう。

 

再度3人の間で、微妙で微かに重い空気がその場を支配する。

 

 

「だあああああああああああ!!もうこの話題止め止め!!」

 

 

遂にその空気に耐え切れなくなった太一は、形振り構わず大声を出して「空=幼馴染の女の子=太一の初恋の人」の話題は強制的に終了させた。

 

余談ではあるが、太一は秘かに、これ以上この話題を続けたら、この話題にもう一つ付け加え、

「太一が振られた」が加えられると予感したのであった。

 

 

「・・・・でも急に話題変えるとしても・・・。」

 

「特に・・・ありませんね。」

 

「あぁ・・・あるとしても、学生である私達にとって苦悩である、期末テストの事しか今は無いな。」

 

「「うんうん・・・。」」

 

「期末テストか・・・そう言や・・・もうそんな時期か・・・。」

 

「えっ?」

 

「ん?」

 

「は?」

 

「・・・・何?俺何かおかしい事言った?」

 

 

明らかに何かがかみ合ってない太一とレイ達。

 

レイ達は互いの顔を見合い何やらヒソヒソト話し始めた。

 

 

「これってひょっとして・・・。」

 

「そう言えば先生から何も言っていませんでしたし・・・。」

 

「転校して来たばかりだからな・・・ありうるかもしれん。」

 

「なぁ・・・どうしたんだよ?何か・・・俺だけが何も分かってない様なんだけど・・・。」

 

「・・・あのね・・・太一君。」

 

「落ち着いて聞いてくださいね・・・。」

 

 

レイ達は意を決した様な顔で太一に伝え様とした。

 

 

「?あぁ・・・。」

 

「実は・・・もう期末テスト期間に入ってるんだよ。」

 

「・・・・・・・・・はい!?」

 

「4日前からな・・・。」

 

「はい!?」

 

「・・・やっぱり知らなかったんですね・・・。」

 

「因みに来週の月曜日から、つまり3日後に試験に入ります・・・。」

 

 

太一は信じられないと言った顔でレイ達1人1人の顔を見ていった。

 

太一と目を合わすと、皆其々静かに頷いた。

 

 

「俺聞いてないぞ。」

 

「太一君・・・前の学校じゃ何時からだったの?」

 

「大体来週位から期間に入ってた・・・。」

 

「それじゃあ知らないのは無理も無いな・・・。」

 

「でも先生は何も言っていないし、皆そんな雰囲気出してなかったじゃないか!!」

 

「この学園は、高校まではエスカレータ式で進学できるから、気にしないで、勉強しない生徒が多いと言うか・・・。」

 

「私達のクラスは特に多いんだ・・・。」

 

「それに私達のクラスは、毎回学年最下位ですから・・・後あの様な人達の集まりですから・・・それに余計拍車をかけているんです。」

 

「一応個人で学年トップ5位までに入るのが3人いるんだが・・・。」

 

「私と真名の2人を含め・・・他の人達が思いっきり足を引っ張るんですよね。」

 

「あぁ・・・。」

 

 

先程とは打って変わって、中学生らしいシビアな話題に、テンションが一気に下がるでレイ達であった。

 

太一はそんな3人を見て、乾いた苦笑いをするしかなかった。

 

 

「はは・・・レイは如何なんだ?」

 

「えっ?私は・・・。」

 

「レイさんは宮崎さんに続き、上位30位内に入ってます。」

 

「へ~・・・凄いな・・・・。」

 

「えっ・・・そんな事無いよ・・・。」

 

「まだ100位内と少し下に入る人達は、きちんと勉強している人達ですが・・・。」

 

「それ以外は全くと言っていいほどしておらん・・・。」

 

「・・・・因みにどれ位いるんだ?その・・・まだ勉強してるのって・・・。」

 

「例外もいるが・・・レイを含み8人だ。」

 

「少な!!」

 

「その他は、私と龍宮を含め・・・殆どが中の下・・・もしくはそれ以下・・・そして5人程、毎回最下位クラスに滞在中です・・・。」

 

「・・・・すごいんだな・・・・。」

 

「ははは・・・。」

 

「そうなんだ・・・。」

 

「一応私達も合間を見ては少しはやっているんですが・・・。」

 

「まあ・・・それは仕方ないか・・・。」

 

「分かってくれますか?」

 

「あぁ・・・。」

 

 

刹那と真名は、狩等の警備で、時間が削られる為勉強が出来ないのは理解が出来るが、それ以外の生徒達は大丈夫なのかと、

自分の居るクラスが本気で心配になる太一であった。

 

そしてそのクラスを担当するネギの事も。

 

 

「ごちそうさま・・・・。」

 

 

そんな事を弁当の残りを食べながら思っていたが、弁当を食べ終えると、ふと思い出したかのようにある怒りがこみ上げてきた。

 

 

「てっ違う!!あの馬鹿ガキ!!そんな大事な事伝え忘れるなああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・・!!

 

 

ネギが期末テスト期間に入っている事を伝えなかった事の怒りがこみ上げ、いきなりの事でポカンとしているレイ達を残し、

その場をダッシュで去っていった。

 

 

「・・・・まあ太一の怒りもごもっともだな・・・。」

 

「太一君よく前の学校と比べるとレベルが高すぎるって嘆いてたし。」

 

「彼が前に居た中学は公立で、ここは一応私立だからな、レベルが違うのは仕方ないが・・・。」

 

「うん・・・何とも言えないね・・・。」

 

「・・・・また(連話)不幸記録更新ですね・・・。」

 

「何だそれは?」

 

「えっ?いや・・・何だか頭の中にそう言えって指示が飛び込んで来たような・・・。」

 

「?まあそんな事気にしないで、早く食べ終えちゃいましょ。」

 

「そうだな。」

 

 

そう言って残ったレイ達は仲良く食事を続けるのであった。

 

その時、太一の怒りの矛先となっているネギは、日直の「明石裕奈」と「椎名桜子」と共に日直の業務を終え、廊下を歩いていた。

 

その時、他のクラスの生徒達がピリピリと勉強をしている事に気付き、今が学期末試験の期間中だと知る。

 

教師が知らないというのもどうかと思うが・・・。

 

裕奈も桜子も、高校までエスカレータ式であることから、あまり気にした様子でも無く、笑顔で「毎回最下位だが大丈夫。」と笑顔で答える。

 

その発言に、口には出さなかったが、涙を流しながら心の中で大きくツッコミを入れた。

 

そしてとあるクラスに置かれた、沢山の花が入れられた花瓶の様なトロフィーに目がつく。

 

そのトロフィーは、テストで学年トップに入ったクラスに送られるトロフィーで、ネギは子供心からか、

そのトロフィーが欲しくなるのだった。

 

そんなネギのもとにしずなが手紙らしき物を手に近付いてきた。

 

 

「ネギ先生、学園長先生がこれをあなたにと・・・。」

 

「え・・・何ですか?深刻な顔して。」

 

 

ネギはしずなから学園長からの手紙を受け取り、角封筒に書かれている文字を見て大いに驚いた。

 

 

「えっ!?僕への最終課題!!」

 

 

角封筒には『ネギ教育実習生・最終課題』と書かれており、その課題内容がどういう物なのか、思考をめぐらす。

 

「悪のドラゴン退治」や「攻撃魔法200個習得」等、物騒な課題の予想をしていた。

 

だがしかし、角封筒には教育実習生の最終課題と書かれており、決して、マギステル・マギ候補生としての最終課題じみた事など書いていない為、

ネギが予想しているような物騒な課題が出る事は絶対に無い事に、本人は気付いていない。

 

そして意を決して、角封筒を開けようとした時。

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・・!!

 

「ぬううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅえええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぎいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

 

後方から物凄い速さで走りながらネギの名を叫ぶ太一の姿があった。

 

 

「あっ太一さん!!大変なんです、学園長先生から僕の最終課題の報せが来たんです!!」

 

 

ネギは自分が居る方へ来る太一に最終課題の報せが来た事を伝えようと自ら近付く、しかし・・・。

 

 

「ねえ・・・ゆーな・・・太一君って・・・ひょっとして怒ってない?」

 

「うん・・・それも物凄く・・・あの某魔物の子同士の王位争奪バトル漫画に出てくる、超天才中学生みたいに顔が変わってる・・・と言うか全く別の顔になっている。」

 

「・・・・まさか・・・ネギ先生・・・。」

 

 

裕奈と桜子、そしてしずなは気付いていた。

 

太一の顔が、鬼、悪魔、魔王の様な、もしくはそれらが素足で逃げ出すやも知れない程に、恐ろしい怒りの形相で此方に向かっていた事に・・・。

 

そしてその怒りの矛先がネギである事も。

 

 

「太一さん!!僕どうし・・・。」

 

「こんのボケガキがあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ゲシン!!

 

「ぷぐうっ!?」

 

「「「あっ・・・・・。」」」

 

 

太一は勢いをそのままに、某歴代仮面戦士達の必殺の様な見事な飛び蹴りを繰り出し、飛び蹴りは見事ネギの顔面に直撃した。

 

ネギは太一の方に速走りで向かっていたので、自らの勢いも加わり、蹴りの威力が増し、その結果・・・・。

 

 

「ぷぎゃらぶひゅううううううううううううううううううううう!!」

 

ずしゃあああああああああああああああああああああああ!!

 

ゴーーーーーーーーーーーーン!!

 

「ゴブッ!!」

 

 

太陽の欠片の覚醒による影響と、高畑と刹那との訓練により、通常時でも太一の身体能力は並みの格闘者クラスにまで上がっており、

ネギは廊下の端まで滑って行き、壁に頭を強く打ち付けて止った。

 

 

「!?!?!?」

 

「ふぅ~~~・・・。」

 

「たっ・・・太一さん・・・いきなり何を?」

 

 

太一の怒りの原因が分からず、蹴られた顔面と、強く打った頭を抑えながら太一に問う。

 

 

「・・・分からんか?」

 

「はっ・・・はい・・・。」

 

「・・・・お前・・・教師だよな?先生だよな?」

 

「あっ・・・はい、まだ教育実習生ですけど・・・・。」

 

 

ネギは太一から放たれる怒気に、思わず正座をしながら太一の問いに答える。

 

 

「そうだな・・・では、お前が担当しているクラスは何処だ?」

 

「えっ?・・・女子中等部の2年A組みです・・・。」

 

「では俺は何処のクラスの生徒だ?」

 

「・・・・僕が担当している女子中等部の2年A組みです・・・。」

 

「うん・・・そうだよな・・・そんなお前は俺に、そしてクラスの生徒達に報告しなければいけない事があったはずだよな・・・4日前に!!」

 

「・・・・・はっ!!」

 

 

そこまで言われ太一が何に対して怒っているのか理解したネギは、顔を青褪め、後ろに壁がある事も忘れ、

後ずさろうとした。

 

 

パキ・・・ゴキ・・・

 

「分かったところで・・・覚悟はいいか?」

 

「ご・・・・ごめんなさいいいいぃぃぃ・・・・。」

 

「太一君落ち着いて!!」

 

「そんな恐い形相でお仕置きされたら、ネギ君一生物のトラウマになるよ!!」

 

 

裕奈と桜子が、指の関節を鳴らしながらネギに近付く太一を止めに入る。

 

 

「太一君・・・あなたの怒りも分かるけど、落ち着いて・・・ネギ先生も・・・こんなに怖がってるんだから・・・もういいでしょ?」

 

 

しずなも止めに入り、辺りは何事かと野次馬で溢れていた。

 

 

「・・・・分かりました・・・ネギ。」

 

「はいっ!!」

 

「これからはこんな事無い様に・・・でないと・・・。」

 

「でない・・・と?」

 

ニコッ・・・

 

「トラウマだけじゃ済まないよ。」

 

ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・

 

「「「ひいっ!!」」」

 

 

太一は満面の笑みでそう答えるが、その背後には先程の太一と同じ形相の般若の顔が浮かんでいたとかいなかった様な・・・。

 

それに思わず、太一を止めていた桜子と裕奈、そしてしずなも思わず後ずさる。

 

 

「はっはいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 

「ところで如何したんだ?何か言ってた様だったけど。」

 

「あっ!!そうでした、学園長先生から最終課題の報せが来たんです。」

 

「・・・・ジジイから?何て書いてあるんだ?」

 

「はい、今から開けるところです・・・どんな課題なんだろう?」

 

 

そう言いネギは角封筒を開け中の便箋を取り出し、そこに書かれた文字を見た。

 

 

『ねぎ君へ、次の期末試験で、二―Aが最下位脱出できたら正式な先生にしてあげる。

麻帆良学園学園長・近衛近右衛門。』

 

(なっ!?期末で最下位脱出!?)

 

「・・・・・・。」

 

 

最終課題の内容を見たネギ、そして太一としずなは、しばし黙り込み、少しの間が空き、ネギが安心したよな声で、

2人に話しかけた。

 

 

「なーんだ!!簡単そうじゃないですか!!ビックリした!!」

 

「そ・・・そう?」

 

 

ネギは課題内容を見る今の今まで、先程のドラゴン退治等の課題ではないだろうかと思っていたので、

よほど安心したのか、笑顔で大きな声を出しながら2人に声をかける。

 

思ったより簡単そうな課題に浮かれ、課題内容を見ようとする裕奈と桜子に見せまいとネギであるが、

それと裏腹にしずなはなんとも言えない微妙な表情でネギを見ていた。

 

 

「しずな先生・・・俺もあの課題は、多分簡単だとは思うんですが・・・かなり難しいんですよね?」

 

「えぇ・・・ネギ先生には悪いけど・・・かなり難しいと思うわ・・・。」

 

「・・・聞きましたけど、確かこの学園、クラス替えが無いって聞きましたけど・・・。」

 

「えぇ・・・去年も色んな意味で凄かったわ・・・高畑先生もかなり考慮して最善は尽くしたんだけど・・・その努力は報われなかったわ・・・。」

 

「・・・・今言わない方がいいかもしれないですね・・・。」

 

「そうね・・・。」

 

 

そう・・・この時ネギは侮っていた、自分が抱えるクラスの生徒達の、ある意味で本当の恐ろしさを・・・。

 

それを知っているしずなと、何処となく予想していた太一は、そろって苦笑いし、浮かれるネギを見ていた。

 

 

「それはそうと・・・。」

 

「如何したの?」

 

「高畑先生もそうだけど・・・テスト期間に入ったのなら教えてくださいよ、ネギの指導教員兼、2-A副担任の源しずな先生・・・。」

 

「あ・・・あはははは・・・ごめんなさい・・・てっきりネギ先生が伝えているとばかりに・・・。」

 

 

皮肉を込めた言葉を発しながらジト目で自分を見る太一に、しずなは苦笑いで謝罪するも、目は合わせてはいなかった。

 

その日のホームルームは、ネギの提案で大勉強会をする事となった。

 

しかしこれは生徒達の為の勉強会ではなく。

 

 

「実はうちのクラスが最下位脱出できないと(僕が)大変な事になるので、皆さん頑張っていきましょう!!」

 

 

等と本心は思いっきり自分の為の勉強会であった。

 

そのネギの様子に明日菜は疑問を持つが、あやかを筆頭に賛成しない者は居なかった。

 

 

「はーーい♡て提案提案。」

 

「はい!桜子さん。」

 

「では!!お題は『英単語野球拳』が、いーと思いまーーすっ!!」

 

「いぃ!?おっ・・・。」

 

「「「「おお~~~~~!!」」」」

 

「あははそれだ!!」

 

「・・・嘘だろ?」

 

 

桜子の提案に太一は真っ先に反応し、止めさせるよう発言しようとしたが、周りの生徒達は「ヤレヤレ!!」と騒ぎ立てる。

 

このクラスの生徒達は、「楽しければそれで良い」「笑えればそれで良い」「兎に角楽しもう」と言った考えの者が多く、

例えそれが「野球拳」であろうと楽しければそれで良いのだ。

 

そしてイギリス出身のネギ少年はもちろん野球拳の事など知らず・・・。

 

 

(むむ・・・ベースボールを取り入れた勉強方なのかな?何となく面白そうだぞ!!よーそ、ここは生徒の自主性に任せて・・・。)

 

「おい・・ネギ・・・間違っても・・・。」

 

「じゃあそれで行きましょう。」

 

「やっぱりねえええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

野球拳の意味を知らないネギは、しばし考えた後、その提案を呑んだ。

 

何処かそうなる事を予想していた太一は、軽く涙を流し悲痛に叫んだ。

 

 

「ちょっとネギ!!野球拳って何か知ってんの!?」

 

「ほら明日菜はこっち。」

 

「いやー!!アタシ脱がされる役に決まってんじゃん!!」

 

(そう言えば2-Aの成績表があったっけ、それも参照しておこうかな・・・。)

 

 

ネギに講義しようとするも、桜子に引きずられ、ワイワイと騒いでいる生徒達の中心へと消えていく明日菜。

 

ネギはそんな様子に気付かず、生成期表を参照にテスト順位を出し、それを見て少しどうするか思考していた。

 

 

「・・・・先生・・俺ちょっと腹痛いんで・・・。」

 

がしっ!!

 

「えっ?」

 

「駄目だよ太一君♪」

 

「仮病なんて使ったら駄目ですう♪」

 

 

仮病を使い、これから起こるであろう、喜劇・・・いや悲劇とも言える事態から逃げ様とするも、双子の「鳴滝風香」「鳴滝史伽」姉妹に足を捕まれ、

逃げられなくなる太一であった。

 

 

「えっ・・・いや・・・。」

 

「太一さんそれはいけませんよ!!皆さんと一緒に、桜子さんの提案した英単語野球拳をして勉強しないと。」

 

「こんのアホガキ!!お前等も!!男の俺が居るのにそんな事すんな!!」

 

「男子が居るから必死になるんだよ♪」

 

「はわわ・・・恥ずかしいけど、多分私達は大丈夫だから♪」

 

「俺がまずいんだって!!それに・・・。」

 

「「?」」

 

「・・・・・・・。」

 

 

見た目が小学生高学年に見えるか見えないかの境の体型である鳴滝姉妹、どうも太一はこの2人の扱いだけが慣れないでいた。

 

何度も小学生扱いしてしまいがちで、その度この姉妹から、蹴る、騒ぐなどの思わぬ反撃を喰らい、太一も悩んでいた。

 

今も心の中では小学生扱いしているのである。

 

 

「・・・お前達が大丈夫だって保証はないだろ?」

 

「大丈夫だよ、バカレンジャーが居るもん♪」

 

「・・・・バカレンジャー?」

 

「うん、2-Aが代表するバカ五人衆「バカレンジャー」♪」

 

「因みにピンクがまき絵で、イエローがクーちゃん、ブルーがかえで姉、リーダーのブラックがゆえゆえ、

そしてレッドがクラス1のバカが明日菜だよ。」

 

 

生徒達が集まる中心で、バカレンジャーである、バカブラック・綾瀬夕映、バカレッド・神楽坂明日菜、

バカブルー・長瀬楓、バカイエロー・古菲、バカピンク・佐々木まき絵が集中的に問題を出されていた。

 

 

「・・・・色まで付いていんのか・・・と言うか、夕映の奴頭良いんじゃないのか?」

 

「勉強嫌いなんだって。」

 

「・・・あんだけ俺に理屈っぽい事言っといて、本人それかい・・・・。」

 

 

太一は麻帆良に来て2日目の時におきた、夕映との口喧嘩の事を思い出し、額に青筋を浮き出させた。

 

 

「因みに私達は何時もテストの順位で学年の中の上だもん・・・。」

 

「「ね~~~♡」」

 

「ほ~~、体が小ちゃいのは、頭に栄養が行ってるからか?」

 

「「・・・・太一君、それセクハラ。」」

 

「・・・・ごめんなさい。」

 

ぱさ・・・・

 

「ん?何だこれ?」

 

 

太一の頭に何やら布らしき物が落ちて来て、おもむろにそれを手に取り広げると・・・。

 

 

「こっ・・・これは・・・。」

 

 

それは女性者の下着であった。

 

それを手にしたまま暫し固まった太一であったが、すぐに解かれる事となった。

 

 

「きゃーーーーーーーーー!!」

 

「やっぱりーーーーーーー!!」

 

(アホなクラスです・・・・。)

 

「んな!?」

 

 

悲鳴のする方を見るとそこには、英単語が答えられず、下着姿にされたバカレンジャー達の姿があった。

 

 

「な・・何やってるんですかーー!?」

 

「何ってホラ、答えられなかった人が脱いでいくんだよ、野球拳だもん。」

 

「やっぱりこの5人が1番かーーーっ!!」

 

「集中的に鍛えるわよー♡」

 

「「「バカレンジャー参上!!」」」

 

「コラコラーッ!!」

 

「ってことでまた明日菜ね♡」

 

「もう脱ぐモノないわよーー!!」

 

「あわわ(な・・なんて能天気な人達なんだ・・・)。」

 

 

ようやく事の重大さに気付いたネギであるが、こうなると彼女達を抑える事はもはや不可能、ネギは如何しようかと困惑する。

 

一方太一は。

 

 

「・・・早すぎだろ?始まって3分も経ってないんじゃないのか?」

 

「太一さん・・・。」

 

「太一君・・・。」

 

「?如何した?レイに刹那。」

 

「「・・・何時までそんなの持ってんの(ですか)!!」」

 

「えっ?・・・はっ!?」

 

 

太一は手に持った下着の事を思い出し、慌ててそれを離すが・・・。

 

 

「「太一君のスケベー!!」」

 

ドーーーーン!!

 

「うおっ!?」

 

鳴滝姉妹に力一杯押された太一は、そのまま下着姿のバカレンジャー達の中に入ってしまい・・・。

 

 

「いやああああああああああああああああああ!!」

 

「げっ!!」

 

「うわあああああああ!!こっちに来るなそして見るなあああああああああああああああああ!!」

 

ドゲシ!!

 

「ぐぎゃはああああああああああああ!!」

 

 

明日菜に顔面を殴られ、そのままその場を離れるかと思いきや。

 

 

「いやあああああああ!!いやあああああああああああああああ!!」

 

ビシュ!!

 

しゅるるるるるるる・・・・

 

「いぃっ!?」

 

「いーーーーーーやーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

ブオン!!

 

「嘘おおおおおおおおおお!?」

 

 

どう言う訳か、バカピンクこと新体操部「佐々木まき絵」が何処からとも無く新体操で使うリボンを出し、

太一の体に巻き付かせ、何処にそんな力があるのか太一の体を持ち上げた。

 

 

バシュッ!!

 

「ハイヤーーーーーーーーーーーー!!」

 

ズガシャーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

 

「ぐぼああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ガチャーーーーーン!!

 

「「「太一君!!」」」

 

「太一さん!!」

 

「はっ!!しまったアル!!つい体が反応して蹴飛ばしてしまったアル!!」

 

「てっ・・・ここ2階よ!!しかも今絶対頭から落ちて行ったわよ!!」

 

 

格闘バカである古菲が、浮かび上がった太一を見て、思わず思いっきり蹴飛ばし、太一はそのままガラスを突き破り、

2階から地面へ真っ逆さまに落ちて行った。

 

 

ドシーーーーーーーーーーーーーン!!

 

「ぐげっ!!」

 

「あっ・・・今着いたみたい・・・地面に・・・。」

 

 

太一が地面に着いた知らせが、音とカエルが潰れたような声で分かった。

 

しかし無常にも騒ぎはこれで終わらない。

 

 

(こ・・・これは本気でマズいかも・・・?)

 

「先生もやるー?」

 

「やっやりません!!」

 

 

ネギは簡単だと思っていた課題が、実際はとてつもなく難しい事に気付いたネギは、如何しようと混乱して・・・。

 

 

「ハッ・・・そうだ、思い出したぞ、3日間だけとても頭が良くなる禁断の魔法があったんだ、それを使えば・・・、

副作用で一ヶ月ほどパーになるけど仕方がない!!」

 

 

最後にとんでもない事を言いつつ、魔法の詠唱を始めるネギに・・・。

 

 

「やめんかあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ドガシッ!!

 

「ゲブッ!?」

 

「あっ・・・復活した。」

 

 

窓から落ちた太一が教室へ帰ってくるなり、詠唱中のネギ目掛け本日2度目の飛び蹴りをかまし、ネギの詠唱を止めた。

 

体のあちこちに葉っぱや土、顔や手がむき出しになっている箇所には擦り傷が多く付いていて、それがとても痛々しい。

 

 

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・嫌な予感がしたから急いで戻ってみたら・・・ほら・・・ちょっと来い。」

 

「えっ?ちょっと太一さん!?」

 

「問答無用!!」

 

 

そのまま有無を言わさずに、太一はネギを教室から連れ出し、人気の無い所へ連れて行った。

 

 

「お前なあ・・・前のドッチの時もそうだけど、普段から魔法に頼りすぎだ、バレたら修行終了で強制帰国なんだろ?

はっきり言ってこの1週間だけでも魔法を使いすぎだ。」

 

「で・・・でも、このまま最下位だったら、僕・・・先生になれないし、マギステル・マギにも・・・。」

 

「ふぅ・・・ネギ・・・生徒である俺達は、お前がマギステル・マギになる為の道具か?」

 

「そっ!!そんな事は無いですよ!!太一さんを含め皆さん僕の大事な生徒ですよ!!」

 

「そうか・・・でも、さっきのあれを見る限りそうとは思えないな、副作用で一ヶ月頭がパー?そんな物教師が使うな!!」

 

「ひうっ!!」

 

「太一の言う通りよネギ。」

 

「明日菜さん!?」

 

「ほら・・・コレ見なさい。」

 

 

明日菜はボロボロのノートをネギに渡し、中を見る様に言った。

 

ノートの中身は小テストの答案と、テストで間違った箇所を調べ直した内容でいっぱいであった。

 

 

「すごい・・・まあまあ出来てる。」

 

「私だってあれからちょっとは頑張ったの!」

 

 

それは太一が転校して来る少し前、ネギが麻帆良にきて数日が経った時の事であった。

 

勉強が出来ず、それでも良いと思っていた明日菜ではあったが、ネギの自分の夢を実現させる為に抱いている胸の内の一部を知り、

そして自分よりも幼い子供が夢を実現させる為一生懸命になるネギの姿に、ネギがマギステル・マギとなる修行の手伝いとして、

勉強をすると約束したのであった。

 

 

「まったくもー、本当の魔法は勇気だとか自分で言っておいて・・・マギ・・何とかを目指しているのか知らないけどさ、

そんなふうに中途半端な気持ちで先生やってる奴が担任なんて、教えられる生徒だって迷惑だと思うよ!じゃあ。」

 

(!!)

 

ガーーーーーーーーーーーン!!

 

(明日菜の奴、中々良い事言うな・・・。)

 

 

明日菜はそう言い、その場を去って行った。

 

明日菜の言葉にショックを受け、ネギはトボトボと学校の外へと出て行こうとした。

 

そんなネギを太一は止めようとせず、只言葉を投げ掛けた。

 

 

「ネギ・・・明日菜の言う事もそうだが、俺の言う事も覚えとけ、教師は生徒を道具とする者じゃない、

導く者だと言う事を。」

 

「・・・・・・・。」

 

 

ネギにその言葉は届いたのか否かは分からないが、そのまま歩くネギを暫し見詰めた後太一もその場を去った。

 

とっその時太一はある事に気付く。

 

 

「んっ?まてよ・・・3日間頭が良くなった後は一ヶ月頭がパー・・・・仮に今日その魔法をかけたとしても・・・テストは3日後の月曜日で、

今日は金曜日、72時間経ってからか3日後の日の出と同時、もしくは日付が変わったと同時に解けるとしたら・・・今日を1日目として、

2日目が明日で、3日目が明後日だとしたら・・・・あっ・・・・。」

 

 

ネギが使おうとした頭が良くなる禁断の魔法の効果は3日間、つまり今日それを太一達全員に使っていたら、

最悪テスト当日である3日後には効果は切れて、全員頭がパーの状態でテストを受ける事となり、その時点で最下位決定。

 

それはつまりネギの自爆。

 

自らの手で最終課題を不合格にし、その結果どうなるかは分からないが、自らの魔法で招いた結果なので、

おそらくはマギステル・マギになる為の修行も強制終了後、故郷への強制帰国、そして最悪の場合はオコジョにされて、

ネギのマギステル・マギへの道は完全に閉ざされる事となる。

 

 

「あっぶな・・・まあ・・・何とか防げたから良かったけど・・・ちゃんと考えろよな~アイツ・・・まあ・・・あの様子だと、

使う事は無いと思うから安心できるけど・・・本当に魔法学校って所をトップの成績で卒業したのか?

それとも魔法学校って、アホか、世間知らずしかいないんじゃ・・・・まっそれは置いといて、荷物を取りに行ってからジジイの所でも行くか・・・嫌味を言いに。」

 

 

そう言って太一は荷物を取りに、教室へと向かった。

 

 

(明日菜さんや太一さんの言う通りだ・・・、それなのに僕は生徒の皆の事も考えずに自分だけの為に・・・。)

 

 

太一と明日菜の言葉が堪えたのか、ネギは杖を引きずりながらトボトボと歩き反省していた。

 

そして1つあることを決心するのだった。

 

 

(よし!!期末テストまでの間魔法を封印しよう!!一教師として生身で生徒にぶつかるんだ。)

 

 

それは期末テストまでの間、魔法を封印し、魔法の使えない只の人間として、先生として生徒と接する事であった。

 

(誓約の三本の糸よ・・・我に三日間の制約を・・・。)

 

バシィィッ!!

 

 

ネギの腕に3本の黒い糸の様な物が巻きつき、激しい音と共にネギの腕に吸収され、腕に3本の線と1~3のローマ数字が刻まれた。

 

 

「よし、これで僕は3日間只の人だ、正々堂々と先生として頑張るぞ~~~、さて!!こうしちゃいられない、

明日の授業のカリキュラムを組まなくちゃ!!」

 

 

自ら魔法を封じ、明日からの生徒達との勉強に熱意を新たにし張り切るネギ。

 

しかし・・・この選択が自分を・・・そして生徒達を窮地に追いやる事になるとは、この時の彼はまだ知らなかった。

 

場所は変わり学園町室。

 

そこには不機嫌な表情で日本史の教科書を睨む・・・基、読んでいる太一と、申し訳なさそうな表情で若干冷や汗を流す高畑と学園長が居た。

 

 

「その・・・太一君・・・。」

 

「何すか?高畑先生・・・俺は3日後の期末試験の勉強で急がしいんすけど・・・どこぞのアホガキ先生と、

結構一緒に居たメガネを掛けたオジ様先生に、お偉いぬらりひょんもどきのジジイが期末試験の事を教えてくれなかった為に!!」

 

「「うぬぬ・・・。」」

 

 

太一の言葉に、本当に申し訳なさそうな顔で俯きそうなタカミチ・T・高畑と近衛近右衛門のこの学園を代表する教育者達であった。

 

 

「まっ・・・まあ太一君・・・君は今回、公立の中学から私立の中学に転校して来たばかりじゃから、

低い点を採っても仕方がないと思うし、今回の成績に関しては評価はされず、3年に進級してから評価されるから・・・そう根を詰めんでも・・・。」

 

「最悪でも平均点を半分のテストで取らないと、俺が困るんだよ!!」

 

 

太一の言葉から発せられる怒気と焦りに、思わず後ずさる高畑と学園長。

 

 

「な・・・何がそんなに困るんだい?」

 

「・・・・平均点を最悪でも半分は取らないと・・・母さんが・・・。」

 

「何じゃ?生活費の仕送りか小遣いでも止められるのかね?だが君はネギ君のサポートを引き受けた分の報酬と、

夜の警備(狩り)の報酬で、1人(コロモンと共に居るが)暮らしの生活に不自由は無いと思うんじゃが・・・。」

 

「それは・・・。」

 

「「それは?」」

 

 

太一の只ならぬ表情に、高畑と学園長の2人は、固唾をのんで、太一の言葉を待った。

 

 

「俺が心血注いで集めた飛行機模型のコレクションが捨てられるんだよおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「「・・・・・・・・はっ?」」

 

 

太一の思いもよらぬ発言に、2人は目が点になった。

 

太一は幼い頃からサッカーに次いで、飛行機(特に戦闘機)が好きで、外ではサッカー、家では飛行機の模型作りと、

中学になった今でもそれは変わってはおらず、小遣いの大半は、サッカー雑誌orサッカー用品、もしくは戦闘機のプラモへと消えていた。

 

しかし、元々その模型の数の多さに、太一の母は頭を悩ませていたが、去年の太一が中学2年の1学期、

アグモンがデジモンカイザーだった当時の賢に捕まった時、太一はアグモンの安否が気になって、テストにペンをはしらせないまま時間が早く過ぎるのを待ち、

テストを白紙で提出してしまったのだ。

 

アグモンの事が気になったのはわかるが、この事に怒った太一の母は、さすがにやってしまったと思った太一との間にある取り決めを交わした。

 

それは今度一度でもテストで平均点を半分でも取らなかったら、太一の飛行機模型を全て捨てるという事だった。

 

それ以降太一は、自分の青春の一部でもある飛行機模型のコレクションを捨てられまいと、勉強するようになった。

 

今の所何とか約束どおりに、出されるテストの半分は平均点以上を出していたが、その約束は私立の麻帆良学園に転校した今でも生きており、

私立の中学のレベルが高い事もあって危うくなっていた。

 

加えて今回は試験当日まで3日しかないと言うことで、かなりやばいのだ。

 

 

「ま・・・まあ・・人にはそれぞれ大切な物はあるからね・・・ねえ学園長?」

 

「う・・・うむ・・・そうじゃのお・・・。」

 

 

太一の思いもよらぬ言葉に、若干呆れ気味とわずかな同情の入り混じった表情で言葉をのべる高畑と学園長であった。

 

 

「そう言えばネギ君の腕に3本の黒い線の様な物が刻まれていたけど・・・あれはおそらく自らの魔法を封じる印・・・。」

 

「自らの魔法を?」

 

 

おもむろに言った高畑の言葉に、太一は不機嫌だった表情を解いて、何時もの表情に戻り、高畑の言葉に耳を傾けた。

 

 

「ほぉ、それはそれは・・・魔法に頼らずに自らの力のみで課題をこなそうとするいい傾向では・・・「どうせなら、

そんな物に頼らずに、常日頃から自分の意思で魔法のみに頼らない様に、努力してほしいがな。」うぐぬぅ・・・。」

 

「・・・・案外毒舌だね・・・。」

 

 

学園長のネギが課題に対する意気込みを過大評価する言葉を口にするが、太一の鋭い的を射た言葉に、

学園長の言葉が詰まる。

 

 

「まあ・・・魔法に頼らずに何とかしようと思っただけましか・・・じゃあ俺はそろそろ帰るか・・・。」

 

「本当にごめんね太一君。」

 

「いいっすよ、もう過ぎた事ですし、でもテストが終わるまで修行はお預けですね。」

 

「あぁ・・・それと今日から試験が終わるまで夜の警備も無いから安心して。」

 

「はい・・・じゃあ失礼します。」

 

 

太一はそう言い、学園長室から出て行った。

 

 

「ふむ・・・・ではわしも準備を始めるかの・・・。」

 

「ん?学園長何か言いましたか?」

 

「いやいや何でもないぞ。」

 

 

そう言う学園長であったが、その目は子供が何かを悪巧みを企んでいる様に見えた。

 

その日の夜。

 

女子中等部専用寮自慢の大浴場で、バカレンジャー全員を含み、2-Aの大半の生徒達が何やら深刻そうな話をしながら湯船に浸かっていた。

 

 

「えーーーっ!?最下位のクラスは解散~~~!?」

 

 

それは、今回の期末テストで最下位になったクラスは解散となる話であった。

 

桜子等からこの噂を聞きつけ、事実かどうかはさて置き、クラスで最も成績が悪い明日菜達に話しに来たのであった。

 

噂では学園長が2-Aが1年から前回の中間まで全部のテストで最下位を記録している事に学園長は本気で怒ったらしく、

この様な処置を入れたのではないかと言われている。

 

更に噂はこれだけではなかった。

 

 

「そのうえ、特に悪かった人は留年!!どころか小学生からやり直しとか・・・!!」

 

「「え?」」

 

 

特に成績の悪い生徒は小学生からやり直し、それは常に個人で最下位を独占するバカレンジャー達にとって、

自分達に向けて言われている事に感じ、無意識に、もう一度ランドセルをしょって、仲良く集団投降している自分達の姿を思い浮かべたしまった。

 

その想像する姿で、3人は違和感を感じ、1人はかなりの違和感を感じ、最後の1人はあまり違和感は感じられなかった。

 

そんなの嘘よと言うが、今日のホームルームでネギが、「うちのクラスが最下位脱出できないと大変な事になるので。」と言っていた事を思い出し、

その噂が真実ではないかと思い始めるのであった。

 

今のクラスが解散になるが嫌なので如何しようかと悩む木乃香達と、最も足を引っ張るバカレンジャー達。

 

明日菜にいたっては放課後にネギに言った事もあるので、頼んで頭の良くなる魔法を掛けて貰うか悩んでいるが、

一ヶ月頭がパーになる副作用がある為に、何とか踏むとどまっているが、何時その方法をとろうとしてもおかしくはなかった。

 

 

「・・・・やはりここは・・・アレを探すしかないかもです・・・。」

 

 

夕映の一言に全員が一斉に夕映の方を向く。

 

 

「「図書館島」は知っていますよね?我が図書館探検部の活動の場ですが・・・。」

 

「う・・・うん。」

 

「一応ね、あの湖に浮いているでっかい建物でしょ?結構危険な所って聞くけど・・・。」

 

 

図書館島とは、麻帆良湖に浮かぶ世界最大規模の巨大図書館で、世界中から様々な貴重書が数多く集められた為、

その内部は外見よりも広く、地下も存在し、その全貌を知る者はいない。

 

そのその実態を調査するのが、中・高・大合同サークル「図書館探検部」であり、2-Aでは夕映だけで無く、

他に木乃香、のどか、ハルナがこのサークルに入っている。

 

そして、その図書館探検部の間である噂があった。

 

それは図書館島の深部に、読めば必ず良くなる「魔法の本」があると、「抹茶コーラ」と言う、

美味いのか拙いのか、はたまた未知の味がしそうなジュースを飲みながら話す夕映。

 

最初は誰も信じてはいなかったが、只1人明日菜だけは違った。

 

 

(魔法使いのネギがいるんだから、魔法の本があったっておかしくはないわ・・・!!)

 

 

そしてそれから導かれる答えはもちろん・・・。

 

 

「行こう!!図書館島へ!!」

 

 

この一言が、彼女達が今までに無い恐怖を体感する全ての始まりであった。

 

それから3~4時間が経ち。

 

太一の部屋では・・・。

 

 

「太一、コーヒー入ったよ。」

 

「おう、ありがとう。」

 

 

太一はリビングでテスト勉強をしていた。

 

そんな太一にコーヒーを入れ、持って来るアグモン。

 

アグモンは太一が勉強しているテーブルに、コーヒーを入れたコップを三つ置いた。

 

何故コップが三つかと言うと。

 

 

「すまないなアグモン、私達の分まで。」

 

「アグモンさん、いただきます。」

 

「どうぞ。」

 

 

刹那と真名が太一と一緒に勉強しているからであった。

 

転校して来た太一にとって、麻帆良学園の勉強はレベルが高く、1人ではとてもではないが無理であった為、

同じく寮で生活している刹那と真名に頼んで、一緒に勉強する事になったのだ。

 

 

「しかし・・・頼んだ俺が言うのもなんだけど・・・。」

 

「如何したんですか?」

 

「いや・・・こんな時間に男の部屋に居るのに抵抗は無いのか?」

 

「そんな事か・・・大丈夫だ、君がそんな男なら、初めての狩の時に刹那に手を出している・・・、

まあそうなったら君の体は細切れになってはいるだろうが・・・。」

 

「怖い事言うなよ・・・。」

 

「ははは・・・大丈夫です、太一さんはそんな人ではない事は、私達は知ってます。」

 

「それなら良いけど・・・。」

 

「それに私達も正直言ってまいっていた所だ、3人なら少しは勉強も捗るだろう・・・それに・・・。」

 

 

真名は太一には気付かれない様にニヤニヤしながら刹那の方を見る。

 

 

「・・・なっ・・何だ龍宮?」

 

「いや・・・嬉しそうだなと思ってな・・・。」

 

「なっ!?」

 

「如何した?」

 

「いや・・・なんて事は無い、刹那が何処か嬉しそうにしていたのでな・・・。」

 

「龍宮!!」

 

「あぁ・・・まあ確かに、勉強でも誰か居れば楽しいもんだな。」

 

 

全く的外れの事を言い、再び教科書に視線をやる。

 

そんな太一に刹那はボソッと一言。

 

 

「そうですけど・・・あなたが居るから・・・。」

 

「ん?何か言ったか刹那?」

 

「いっいえええ!!何も!!・・・つ・・続きやりましょ!!続き。」

 

「おっ・・・おぉ・・・アグモンお前はもう寝ろ。」

 

「うん、じゃあお休み、太一達も勉強頑張ってね。」

 

「おぉ。」

 

 

アグモンが個室に入って寝ようとした時、外から何やら慌てて寮に近付いてくる声が聞こえた。

 

 

「太一。」

 

「うん。」

 

がらっ・・・

 

「んん・・・あれは早乙女にのどか・・・如何したんだあんなに慌てて・・・。」

 

 

太一は窓を開けて外を見ると、そこには、闇の中街灯に照らされた道を慌てて走って来るのどかとハルナの2人の姿があった。

 

 

「お~~い、如何したんだそんなに慌てて?」

 

「あっ!!太一君!!」

 

「た・・・大変なの・・バカレンジャーの皆とネギ君、そして木乃香が、図書館島で行方不明に!!」

 

「何だって!?」

 

「お嬢様が!?」

 

「・・・どうやら、勉強はここで中断のようだな・・・。」

 

 

遡る事2時間程前、麻帆良学園図書館島にて。

 

裏手にある秘密の入り口付近に、図書館島の深部にあると言われる魔法の本を探すべく、

バカレンジャーと図書館島探検部の面々、そして寝間着姿のネギが何故か居た。

 

図書館島の事を知る、図書館島探検部が居るのは分かるが、何故ネギもいるかと言うと。

 

 

「下の階には中学生部員は立ち入り禁止で、危険なトラップとかあるらしいけど・・・。」

 

「何で図書館にそんな物が・・・。」

 

「大丈夫、それはアテがあるから。」

 

「へーーー。」

 

(ほらネギ出番よ!魔法の力で私達を守ってね。)

 

 

そう、何があるのか分からない図書館島で、ネギの魔法を頼りに明日菜が連れて来たのであるが、

明日菜の思惑は外れる事となった。

 

 

「え・・あの・・魔法なら僕、封印しましたよ♡」

 

「え・・ええ~~~!!」

 

ゴオン・・・

 

 

明日菜の叫びと共に扉は閉まり、明日菜の声は聞こえなくなった。

 

図書館島に入っていったメンバーは、バカレンジャーに木乃香、そしてネギの計7名。

 

そして外で連絡を取り合う為に残ったのがハルカとのどかの2名。

 

図書館島に入ったメンバーで、ある者は怖がり、ある者達は遠足気分で、そして只1人何も分かっていないのがいた。

 

 

「ところで、あの・・えーと・・皆さんは何でこんなトコに?」

 

「それはですね、この図書館島の深部には読めば頭の良くなる魔法の本があるとされ、それを探しに来たのです。」

 

「えっえ~~~っ!?ここに読むだけで頭が良くなる魔法の本がある~~~!?」

 

 

バカレンジャーの皆の目的が、図書館島深部にある、読めば頭が良くなる魔法の本だと知り、

尚且つ今日放課後に魔法に頼るなと言った明日菜が一番ヤル気満々である事に驚愕する。

 

 

(ちょっと明日菜さん!魔法に頼るなって今日自分で言ってたじゃないですか~~っ!!)

 

 

放課後自分に言った事と全く違うことをしようとしている明日菜に詰め寄るネギに、明日菜も痛い所を突かれ、

苦笑いをしていた。

 

 

「こ・・・今回は緊急事態だしかたいこと言わず、許してよ♡このまま私達の成績が悪いと、

大変なことになっちゃうし・・・。」

 

(大変なコト?・・・・もしかして僕の最終試験のことかな?ハッ!まさか、どこかであのコトを聞いて、

僕が先生になるために協力を!?ううっ・・ありがとうバカレンジャーの皆さん・・・・。)

 

 

明日菜の言葉に、自分の最終課題の事を心配してくれていると勘違いして、バカレンジャー達に感謝するネギ。

 

その後ろではまき絵が夕映と、図書館島の地図を広げ、目的の魔法の本があるとされる場所までのルートを説明していた。

 

現在は地下3階で、地下11階まで降り、地下道を進んだ先にある部屋に目的の魔法の本があるとされていると言う。

 

その部屋まではおよそ2時間、往復で4時間、現在の時刻は夜の7時なので、一応帰って寝られるので、

一同安心する。

 

そして一同は目的の場所を目指し、歩を進める。

 

しかしこの地下部分の図書館には貴重な本が多数保管されている為、盗掘者を避ける為の数々のトラップが施されていた。

 

本と本の間から矢が飛んでくるなど、本棚と本棚の間の架け橋が突如畳まれるや、本棚が落ちてくるわの、

一歩間違えば命に関わるようなトラップのオンパレードであった。

 

しかし今この場にいるのは、成績は悪いが、運動神経が異様に高い者が3人いるバカレンジャー、

本棚から落ちても得意のリボンで生還するまき絵に、落ちて来る本棚を蹴り1つで押し返す古菲、

無数に落ちて来る本を全て誰に当てる事も無く受け止める楓がいるので、思ったよりは早く進む事が出来た。

 

その3人の異様なまでの高い運動神経に驚くネギに、この不思議な図書館島よりも不思議と感じる。

 

そして明日菜が頼りになると踏んだネギであるが、いつもの運動神経は魔法により強化されていた為、

魔法を封じている今のネギは10歳の子供と何ら変わらない体となっていた。

 

その為必然的に皆の足を引っ張る事となり、一番危険な目に合ってしまう。

 

知らなかったは言え、そんなネギを連れて来てしまった事に責任を感じる明日菜。

 

その為ネギの事を気にしながら進む明日菜は、まるで弟思いの姉の様に見えた。

 

歩を進めていると、ネギは辺りから魔法の力を感じ、図書館島に疑問を抱く。

 

更に歩を進める一同、途中恐ろしく高い本棚の上を歩くや、湖の中を歩くやら、とてもではないが図書館は思えない道ばかりを進んだ。

 

そして狭い通路を進み、光が漏れる出口を発見し遂に目的の場所へと辿り着いた。

 

そこはまるでゲームに出てくる遺跡の様な部屋で、奥には巨大な石像が2体、そしてその間には1つの本が安置されていた。

 

 

「見てっ!!あそこに本が!!」

 

「!?あっあれは!?」

 

「ど・・どうしたのネギ!?」

 

「あれは伝説の「メルキセデクの書」ですよ!!信じられない!!僕も見るのは初めてですよ!!なぜこんなアジアの島国に!?」

 

「てことは・・・ホンモノ・・・?」

 

「ホ・・・ホンモノも何も、あれは最高の魔法書ですよっ!!確かにアレならちょっと頭を良くするくらいカンタンかも・・・。」

 

「えーーーー♡ホント!?」

 

「ネギ君詳しいなー。」

 

「やったーーー!!」

 

「これで最下位脱出よーーー!!」

 

 

バカレンジャー達は最下位脱出が出来る喜びに、一斉にメルキセデクの書を取りに石橋を渡ろうとした。

 

 

「あっみんな待って!!あんなに貴重な魔法書絶対ワナがあるに決まってます!!気をつけて!!」

 

ガコッ・・・

 

「えっ!?」

 

 

しかしネギの忠告も虚しく、突如石橋が開き、石橋の下にある大のような物に落ちた。

 

その台には、ローマ字が書かれた円がランダムに並べられ、「英単語TWISTER」と書かれており、

皆がそれを見て唖然とした。

 

 

『フォフォフォ!!この本が欲しくば・・・わしの質問に答えのじゃー!!フォフォフォ♡』

 

「ななな!?石像が動いたーーっ!?」

 

「いやーーん!!」

 

「こ・・・これは。」

 

 

突如2体の石像が動き出し本を守る様に前に出て構えた。

 

 

(ゴ-レム!?それに今の声どこかで聞いたよーな・・・!?)

 

 

ネギがゴーレムの発した声に聞き覚えがあるような気がし、思考している最中、バカレンジャーの皆は何が何やらと言った感じで動揺していた。

 

 

『では第一問「DIFFICULT(ディフィカルト)」日本語訳は?』

 

 

しかしゴーレムはそんな事はお構い無しに問題を投げ掛ける。

 

バカレンジャーの皆は勿論何の事なのか解るわけも無く、あたふたとしていた。

 

 

「みんな落ち着いて!!ちゃんと問題に答えればワナは解けるハズ!落ち着いて「DIFFICULT(ディフィカルト)」の訳を、

ツイスターゲームの要領で読むんです!!」

 

「ええーーーーっそんなコト言っても。」

 

「「ディ・・・ディフィコロト」って何だっけ先生!?」

 

『教えたら失格じゃぞ。』

 

 

もうこの時点で問題内容を忘れている事に不安になるネギだが、簡単なヒントを与え答えに導こうとする。

 

 

「いっ・・・EASY(イージー)の反対ですよっ!えと・・・「簡単じゃない」!!」

 

「「む」。」

 

バシッ!!

 

「そうそう!!」

 

「「ず」!」

 

バシッ!!

 

「「い」ね。」

 

バン!!

 

『「難い」・・・正解じゃ。』

 

「「「「「お~~~~~っ♡」」」」」

 

「や・・・やった。」

 

 

正直微妙ではあったが、意味はあっているので一応正解。

 

 

「キャーこれで本GETだね!」

 

『第二問「CUT(カット)」。』

 

「えぇ~~ちょっと!!」

 

 

勿論これだけで終わるはずも無く、本来のツイスターゲームと同じく、他の所に手が付いたら失格と釘を刺し、

ゴーレムは二問目を出した。

 

それに対し文句を言うバカレンジャー達であったが、答えられなければ本が手に入らないので、渋々従う。

 

ネギと木乃香がヒントを与えながらで、何とか答えて行くバカレンジャー達。

 

だが・・・問題が進み、答えて行くにつれ、ツイスターゲームお約束のキツイ体勢へとなっていく。

 

 

「あたたたたたっ!!」

 

「い・・・いたいです。」

 

「死ぬ死んじゃう~~~っ!!明日菜!!ひざっ!!ひざっ!!」

 

(問題に作為を感じるです・・・。)

 

『最後の問題じゃ。』

 

「やった!!最後だって!!」

 

 

ようやく最後の問題に入ってキツイ体勢ながら最後の力と知力を振り絞るバカレンジャー達。

 

 

『「DISH(ディッシュ)」の日本語訳は?』

 

「えっ・・・ディッシュ・・・。」

 

「ホラ食べるやつ!食器の・・・。」

 

「メインディシュとかゆーやろ!」

 

「わ・・・わかった!「おさら」ね!」

 

「「おさら」OK!!」

 

「「お」。」

 

バンッ!!

 

「「さ」。」

 

バシッ!!

 

 

そして最後の一文字「ら」に同時に触ろうとする明日菜とまき絵であった・・・しかし。

 

 

「「「ら」!!」」

 

ババンッ!!

 

 

2人が触れたのは「ら」ではなく、「る」であった・・・その結果はもちろん・・・。

 

 

「・・・・。」

 

「・・・・おさる?」

 

「ちがうアルよーッ!!」

 

「ハズレじゃな、フォフォフォ!!」

 

グオッ・・・

 

「明日菜さーーーん!!」

 

「まき絵ーーー!!」

 

 

不正解となり、ハンマーを持った方のゴーレムが、ハンマーを振りかざし、ネギ達が乗っているツイスターゲームの盤を破壊した。

 

 

バガァッ!!

 

「ひゃっ!!」

 

 

激しい音と共に崩れるゲーム盤と共に落ちるネギ達。

 

 

「明日菜のおさる~~~!!」

 

「いやああああああああああああ~~!!」

 

「みんなごめーん!!」

 

「あわわー!!た・・助けて~~っ!!」

 

「ネギ!!」

 

 

魔法を封じている為飛べないネギは、明日菜の近くでじたばたと如何したらいいか分からないでいた。

 

 

「ネギ!!」

 

ぎゅ・・・

 

「あっ・・・明日菜さん・・・。」

 

明日菜はネギを庇う様にして抱きしめた。

 

そしてネギは少しだけ落ち着きを取り戻すも、落下は止まらず、全員図書館島の奥深くへと沈んで行った。

 

そして皆に異変が起きた事に気付いた、外で待機していた連絡係の、のどかとハルナは・・・。

 

 

「みんなーッどうしたのーーーっ!?」

 

「へ・・返事してくださーい!!」

 

ツーーッ・・ツーーッ・・ツーーッ・・

 

「あーわわわ!!ど-しよ!!どーしよ!!」

 

「誰かに連絡を・・・ってこんな時間じゃみんな寝てるし!!あう・・・。」

 

「と・・・とりあえず寮に戻って誰かに言わないと・・・。」

 

「うっ・・・うん・・・。」

 

 

そして現在に至るのであった。

 

そしてその頃、残されたゴーレムは何やら呟いていた。

 

 

『・・・さて・・・これから先は君次第じゃよ・・・ネギ君・・・フォフォフォ。』

 

 

しかしまさかこの時、自分が予想していなかった以上の事がこれから起きるとは、ゴーレムの中の人物も、

そしてネギ達も思ってもいなかった。

 

 

「ギギギギ・・・・・。」

 

「ギュアアアアアアアアアア!!」

 

 

この声の主達によって・・・。

 

 

続く

 




次回予告
図書館島で行方不明になったネギ達、
彼等を探す為太一達も図書館島へと赴く。
だがネギ達の前に思いもよらない脅威が襲い掛かる。
次回
デジモンアドベンチャーMAGI
『地底図書館の主。』
今・・・冒険が進化する。
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