デジモンアドベンチャーMAGI   作:龍気

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今回アグモン以外のデジモンが初登場。


第10話『地底図書館の主』

期末試験で最下位脱出をはかる為、読めば頭の良くなると言われる「魔法の本」を探しに図書館島を探索しに来たネギとバカレンジャー達。

 

目的の魔法の本を見つけ、突如動き出したゴーレムから出される問題に挑み、本を手にしようとする。

 

しかし最後の問題で明日菜とまき絵が答えを間違えてしまい、ゴーレムの手によって地下深くへと消えた。

 

地下深くに落ちて行くネギ達は、果たして期末試験に間に合うのか?

 

だがそれ以前に・・・・。

 

 

「ギギギ・・・ギギ・・・・。」

 

「ギュアアアアアアアアアア!!」

 

 

地下に蠢く、この2体を前に、魔法を封じたネギは、バカレンジャー達は生きて帰れるのであろうか?

 

 

 

―――『地底図書館の主』―――

 

 

 

日付けが変わり、より静かになり始める深夜の図書館島。

 

 

「よしっ・・・準備完了。」

 

 

太一は登山者の様な装備を身に纏い、図書館島の裏手にある秘密の入り口前に居た。

 

 

「太一さん、此方も準備が出来ました。」

 

「いつでも行けるぞ。」

 

 

その後ろから、同じ装備をした刹那と真名が出て来た。

 

図書館島で行方不明となったネギと木乃香を含む、バカレンジャーを探す為、太一、刹那真名の3人で、

「バカレンジャー探索隊」が結成されたのだ。

 

 

「ごめんね、太一君、桜咲さんに龍宮さんも・・・。」

 

「ごめんなさい・・・。」

 

 

寮の前で詳しい話を聞いた太一達は、学園長に報告しようと連絡を入れたが、繋がらず、仕方なく高畑に事情を説明し、

太一達がネギ達の救出に向かう事となった。

 

 

「もういいから・・・後は俺達に任せて、お前達は早く部屋に戻って、寝てろ。」

 

「でも・・・。」

 

「・・・確かにあいつ等を止めなかった、お前達にも責任はある。」

 

「「・・・・・。」」

 

「でもそればかり気にしていても仕方が無い、明日になると色々とややこしい事になると思うから、

そっちはお前達に頼むぞ。」

 

 

むしろ太一は明日の自分のクラスの事を気にしていた。

 

念の為に高畑に2-Aのことは任せてはいるが。

 

ネギに異常なまでの好意を持つあやかやお祭り騒ぎが大好きな者が多数居る、あのクラスの事だ、

ネギが行方不明になったと聞いたら暴走して、クラス全体を巻き込んで図書館島を探索しかねない。

 

そうなれば余計に探索は困難かつ、期末試験にも支障が出る。

 

それはネギの修行が終わる事を意味している。

 

高畑に確認したところ、全ての権限は学園長が握っている為、その学園長と連絡がつかない故に、ネギの最終課題の中止及び変更が取れない事から、

一刻も早くネギ達を救出し、少しでもバカレンジャー達に勉強させなければならなかった。

 

太一はネギの最終課題をのどか達には伝えてある、勿論魔法関連は除いて。

 

それを理解したのどかとハルナは、明日のクラスの事は任せてと言って、寮に戻ろうとする。

 

 

「八神君・・・その・・・ネギ先生や・・夕映や木乃香達の事・・・お願いね・・・。」

 

「分かってる・・・お前の大事な友達は絶対に探し出す・・・だからお前は、お前の出来る事をしろ。」

 

「うん・・・。」

 

「頼んだよ。」

 

「私達に任せてください。」

 

「報酬として今度餡蜜奢ってもらうよ。」

 

 

去り際にそう言い、のどかとハルナの姿は消えた。

 

 

「よし・・・行くか。」

 

 

太一達は図書館島へと入っていった。

 

 

「ここが・・・図書館?」

 

「私達も地下部分は初めて来ましたが・・・・ここまで広いとは・・・。」

 

「宮崎達によれば、バカレンジャー達は、この地点に向かった筈だ・・・。」

 

 

のどかから預かった地図を広げ、ネギ達が向かった地点を指差す真名。

 

 

「でもこの地図だけじゃあいつ等がどの道を行ったのか、よく分からないな・・・・。」

 

 

そう言いながら太一は、デジヴァイスNEOを翳す。

 

 

「アグモン・・・リアライズ!!」

 

ギュルルルル・・・

 

「お待たせ太一!!」

 

 

デジヴァイスNEOからアグモンを実体化させ、太一は取り出したカードをスラッシュした。

 

 

「カードスラッシュ!!ガブモン・嗅覚強化!!」

 

 

ガブモンのカードをカードスラッシュした事により、アグモンの嗅覚は強化され、警察犬の様にネギ達の匂いを辿る事が出来る。

 

 

「アグモン・・・これと同じ匂いが無いか探ってくれ。」

 

「OK太一。」

 

「太一さん・・・それは?」

 

「ん?あぁ・・・ネギに貰った、テスト範囲の書かれたプリントだ。」

 

 

昨日の夕方、太一の部屋の前にネギが訪れ、渡してくれたのだ。

 

期末試験の事を伝えなかった事を反省し、各担当の先生に頼み、試験に出る範囲や、重要な箇所を聞いて、

事細かく書かれた内容であった。

 

 

「あいつなりに責任感じてたんだな・・・明日の・・・いや、もう今日か・・・期末に向けてのカリキュラムとか組んで、

頑張ろうとしてたんだ・・・。」

 

「太一さん・・・怒ってないんですか?」

 

「・・・あぁ・・・ネギは少なくとも勉強が遅れた分や、あいつ等(バカレンジャー)達の為にどの様にカリキュラムを立て、

教師として、生徒の為を思い、最下位脱出をしようと努力していた。」

 

 

太一は学園長室から自分の部屋に戻った後のことを思い出しながらつぶやいた。

 

放課後学園長室から戻り、自室で勉強していた太一に、ネギがテスト対策の為に作ったプリントを持ってきたのだった。

 

何でも期末試験の事を伝えなかった事を詫びる為に、そして期末試験にいき詰まっている太一の為に、

出来たばかりのプリントを渡しに来たのであった。

 

他の先生達も期末試験で忙しい中、テストの範囲や、重要なポイントを聞き、このプリントを数時間で作るのは大変だったと思う。

 

その事からも、ネギがかなり頑張ったという事は理解できた。

 

 

「おそらく明日菜が無理やり連れ出したんだろう・・・あいつは一応ネギが魔法使いだと言う事は知っているからな・・・、

ネギの魔法をアテにして、如何にかしようとしたんだろうな・・・。」

 

「でもネギ先生は・・・・。」

 

「あぁ・・・魔法を封じている・・・。」

 

 

昨日の夕方、ネギがプリントを届けに来た時、ネギの腕に3本の黒い線が付いていた。

 

放課後学園町室で高畑が言っていたとおり、ネギは自ら魔法を封じていた。

 

 

「俺が今怒っているとしたら、ネギでは無く、明日菜達・・・バカレンジャーにだ・・・最初から諦め・・・努力もしようとしないで、

有るかも分からない魔法の本なんかに頼ろうとしたな・・・。」

 

「・・・宮崎達によれば、「最下位のクラスは解散」や「特に悪かった生徒は留年どころか小学生からやり直し」等と言う・・・、

まぁ・・・この学校ならありえない事ではないが・・・根も葉もない噂を信じた結果だそうだ・・・。」

 

「一体何処からそんな噂が・・・。」

 

「それよりも今は・・・・。」

 

「太一!!ネギって子の匂いあったよ!!」

 

「分かった今行く!!・・・そんなバカな噂を信じたバカ達を探しに行く事だ・・・クラスの方は高畑先生が何とかしてくれるからそっちの方は心配ない、

じゃあ行くぞ2人とも!!」

 

「はい!!」

 

「あぁ!!」

 

 

こうしてバカレンジャー探索隊は、ネギの匂いを探るアグモンを先頭に、ネギ達の探索が始まった。

 

少し時間を進め、翌朝早朝時、テストまで後2日。

 

ゴーレムの出す問題を間違え、図書館島の地下深くまで落とされたネギ達は、気を失っていた。

 

 

「・・・・・・・。」

 

ドドドドドド・・・・・

 

「うっ・・・はっ!!皆さん大丈夫ですか?起きてください!!明日菜さん!!」

 

「うっ・・・こっ・・ここは?」

 

「うぅ・・・。」

 

「ネギ君・・・ここ・・・何所?」

 

「僕達・・・英単語のトラップを間違えて・・・それでゴーレムに落とされて・・・!?こっ・・・これは!?」

 

「うそ?・・・何よ・・・ここ?」

 

 

大量の水が落ちる音にネギ達は目を覚まし始めた。

 

そしてネギと彼女達が目にした光景は・・・。

 

天井や壁が光る広い空洞内に、多くの木々や巨大な木の根に囲まれた湖に、大量の本が納められた本棚が彼方此方に置かれた、

一見したらファンタジーの様な光景の中に居た。

 

 

「ここって・・・図書館の地下なの?」

 

「す・・・すごい・・・落ちてきた天井があんなに高く・・・。」

 

「ねぇ・・・地下のはずなのに、明るいよ・・・壁が光ってるし・・・。」

 

 

その幻想とも言える光景に誰もが、しばし自分が置かれた状況を忘れさせた。

 

 

「・・・・・もしや・・・!!ここは幻の「地底図書室」!?」

 

「地底図書室!?」

 

 

夕映の発した言葉に反応し、皆が夕映に視線を向ける。

 

 

「何やそれ、夕映?」

 

「地底なのに、あたたかいひかりに満ちて、数々の貴重品にあふれた・・・本好きにとってはまさに楽園という幻の図書館・・・。」

 

 

本好きの夕映にとって、この場所はまさに天国と言っても過言ではなく、目を輝かせ、今にも飛び掛り本を読みたいと言う欲求を押さえ、

ふるふると震えながら、この場所について語る。

 

 

「へーーー図書館にしては広いけど・・・。」

 

「ただし・・・。」

 

キラーーン

 

「この図書室を見て、生きて帰った者はいないとか・・・フフフ・・・。」

 

「えーーーーっ!?」

 

「じゃぁ・・・何で夕映が知ってるアルか?」

 

「とにかく脱出困難である事は確かです。」

 

 

夕映の言葉に皆が脱力し始める。

 

後2日でテスト当日と言う事もあるが、それ以前にこの場所から無事に出られるかどうか、不安が全員にのしかかる。

 

 

(どうしよう・・・皆さん、テストの事だけじゃ無く、こんな場所に来てしまった事によって困惑している・・・、

でもこの場所は・・・。)

 

 

ネギは皆が不安になり、困惑気味なのを察し、どうしようかと思考する中、この場所から感じる不思議な力に疑問を抱いていた。

 

 

「痛っ・・・。」

 

「明日菜さん!?か・・肩を・・さっき落ちた時に、肩を怪我したんですか!?」

 

「いや・・・大丈夫、大した事無いよ・・・。」

 

 

そう言うが、明日菜は肩を押さえ、悟られないようにしてはいるが苦痛の表情であった。

 

ネギは慣れていない治癒魔法を唱えようとするが、今のネギは魔法を封じており、魔法は使えない。

 

その間に他の夕映達が、出口は無いかと探すも見つからず、それが余計に皆を不安にさせる。

 

 

『教師は生徒を道具とする者じゃない、導く者だ。』

 

(!!太一さん。)

 

 

不安がる明日菜達に、どう対処したら分からなかったネギは、昨日の放課後、太一に言われた言葉を思い出した。

 

明日菜に言われた事に痛感し、意気消沈していており、耳に入った程度の言葉であったが、今はその言葉が自分の教師として何をすべきか導いたのであった。

 

 

(そうだ・・・僕は先生なんだ、生徒を導く・・・僕が・・・僕が皆を勇気づけなきゃ!!)

 

 

ネギは拳を強く握り締め、顔を上げ、明日菜達の方を向く。

 

 

「皆さん!!元気を出してくださいっ!!根拠はないけど、きっとすぐ帰れますよっ、あきらめないで、期末に向けて勉強しておきましょう。」

 

「え!?」

 

「べ・・・勉強~~~!?」

 

 

ネギの言葉に明日菜達は驚き、一瞬何を言っているのかと思ったが、次第に不安になっていた気持ちが晴れ、

不安の表情から自然と笑顔へと代わって行った。

 

 

「プッ・・・アハハハ!!この状況で勉強アルカー!?」

 

「ハ・・ハイ、きっとすぐに出られますから!!」

 

「何かネギ君、楽観的で頼りになるトコあるなーー。」

 

「・・・・ありがとうネギ君、ホントは私(と明日菜)のせいでこんなひどいことになったのに・・・、

魔法の本もとりそこなっちゃたし・・・。」

 

「そんなことないですよ!!魔法の本がなくても、今からがんばれば大丈夫!!」

 

「そうでござるな、今から勉強すれば・・・。」

 

「月曜のテストまでに10点UPくらいわネ。」

 

「うん!!」

 

「そうよね。」

 

 

幸いな事にここは、おかしな場所ではあるが、図書館であるから参考書等は山の様にあるので、テスト勉強をするにはもってこいであった。

 

ぶっちゃけ勉強するより、出口を先に探す方が重要だと思う。

 

だが、腹が減っては戦はもちろん、勉強に身が入らないと称し、食料探し及び探検をしに、テンション高らかに地底図書室の奥へと入って行く明日菜達であった。

 

それを追おうとするネギの腕に、パシッと言う音と共に衝撃が走った。

 

3本あった封印の印の内1本が、朝日が昇ると共に消滅したのであった。

 

 

「今は土曜日の朝か・・・後2日・・・テストの事もそうだけど・・・必ず地上に戻る方法を見つけ出すぞ。」

 

 

ネギは残り2日の間に、明日菜達の成績UPと、地上に戻る方法を探る事を、やり遂げ様と強く心に決め、

封印の印がある右手を強く握り締めた。

 

しかしこの時ネギは気付いていなかった・・・この場所に、自分達以外の先人が居る事に・・・。

 

それから数時間後。

 

地上の麻帆良学園女子中等部2-Aのクラスでは。

 

 

「何ですって!?私達のクラスが最下位脱出しなければネギ先生がクビですって!?」

 

「それに肝心のネギ先生が、木乃香さんとバカレンジャー達と共に図書館島で行方不明に!?」

 

 

予想通り、最下位脱出しなければネギがクビになる事と、バカレンジャー達が図書館島で行方不明になった事で、

あやかはもちろんだが、他の生徒達も大騒ぎになっていた。

 

 

「うん・・・昨日の夜から、桜咲さんと龍宮さん、それと八神君が、ネギ先生達を探しに行ってるんだけど・・・。」

 

「まだ連絡がないの・・・。」

 

「その上に3人も居ないのですか!?」

 

「如何して先生に探しに行ってもらわなかったの?」

 

「高畑先生にも言ったんだけど・・・。」

 

「八神君が、「高畑先生にはお前達の勉強の方に手を回してもらうから俺達で探しに行く。」って・・・。」

 

「そんな・・・期末テストもそうですが・・・こうしてはいられませんわ!!私もネギ先生を探しに「駄目だよ!!」・・・宮崎さん?」

 

 

いつも大人しく、小声でしか話した事のなかったのどかが、大声を出した事に教室に居た全員が驚いた。

 

 

「あっ・・・ごめんなさい・・・でも・・・八神君が・・・「絶対に探し出す。」って言ってたから・・・、

それを信じて私達は私達で、ネギ先生が正式な先生になる為に手伝ってあげようよ。」

 

「しかし・・・あの人達だけでは・・・。」

 

「大丈夫だよ、あやちゃん。」

 

「彩羽さん?」

 

 

のどかの言葉を聞いても、太一達だけではやはり不安と声に出そうとするあやかに、レイが大丈夫と声をかける。

 

 

「太一君が絶対って言ったんだったら、大丈夫だよ。」

 

「どこにそんな保障が!?」

 

「う~~~ん・・・上手くは言えないんだけど・・・太一君なら大丈夫な気がするんだ。」

 

「八神さんなら・・・?」

 

「うん。」

 

「そうそう・・・私もそんな気がした。」

 

「私も・・・。」

 

 

レイの、太一なら大丈夫、と言う言葉に、のどかとハルナも共感した。

 

 

「太一君と会って、そんなに経ってないけど・・・不思議とそう思っちゃうんだ。」

 

「・・・はぁ・・・あなた達がそれ程までに言うのでしたら仕方ありませんわね・・・確かにその所為で私達の点数が低かったら意味がありませんわ・・・、

皆さん、ネギ先生やバカレンジャーの皆さん、そして木乃香さんが心配なのは承知しています、ですがここは探索に向かった八神さん達を信じ、

私達は期末試験に向け勉強をいたしましょう・・・特にその辺の普段真面目にやってない方々、今回は自分だけの問題ではなく、

ネギ先生の今後がかかっている事をお忘れなく。」

 

「げっ・・・。」

 

「仕方ないなあ・・・。」

 

「わかったよ、いいんちょ。」

 

 

あやかがクラスメート全員に、ネギ達の事はあるが、勉強する様に呼び掛け、それに殆どの生徒達が同意する、

この2人を除いて。

 

 

「如何致しますかマスター?」

 

「私達はいつも通りでいいだろう・・・今更本気でテストを受けても意味など無いからな・・・特に目立たない順位になる程度に回答しておけばいい。」

 

 

エヴァと茶々丸であった。

 

エヴァは600年を生きた真祖の吸血鬼、その長い時を生き得た知識と、ネギの父であり、サウザンド・マスターのナギが掛けた登校地獄の呪いによって、

15年間中学生をやっているエヴァにとって、全ての教科を満点で解答する事など簡単である。

 

そんなエヴァの従者である、茶々丸は高機能のアンドロイド、記録されている知識もさることながら、

新たな知識も、ネットを通じて収集、記録する事もできる彼女にとっても、中学生の問題で満点を取る事など、

歩く事より簡単である。

 

目立つ事を嫌うエヴァは、あえて特に目立つわけでもない順位でいる様に、毎回調整して解答しているのである。

 

茶々丸もエヴァにその様に指示されている為、それに従い、調整して解答している。

 

 

「マスター本日の授業が終わった後、一応太一さん達と共に、私もネギ先生達の探索に加わった方がよろしいかと・・・。」

 

「・・・別に構わんが・・・しかし彩羽の奴・・・あの小僧の力も知らない筈なのに、妙にあの小僧の事を信頼しているな・・・。」

 

「・・・彩羽さんは、我々や桜咲さん、そして龍宮さんの様に、魔法関連者ではなく一般人ですが、クラスメートの中で、

一番多く太一さんとの接点があります・・・。」

 

「だからと言って、信用しすぎではないか?」

 

「・・・・おそらくそれが・・・太一さんの魅力・・・なのかと・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

「・・・・あの・・・・マスター?」

 

 

少々ビックリした顔で自分を見るエヴァに、茶々丸は問い掛ける。

 

 

「いや・・・お前が、人の魅力だとか言うとは思わなかったからな・・・。」

 

「・・・・私も・・・何故この様な事を言ったのか・・・私自身にも分かりません・・・。」

 

「・・・・そうか・・・やはり今回はお前は行かなくていい、奴等だけでやらせよう。」

 

「・・・了解しましたマスター。」

 

 

エヴァは茶々丸に、太一達の援護には行かなくてよいと指示し、茶々丸もそれに従う・・・返答がいつもより少しの遅れながら。

 

 

「太一君・・・絶対に大丈夫だよね・・・。」

 

 

レイは図書館島のある方角を向き、誰にも聞こえぬ小さな声で呟いた。

 

一方、時間を遡り、太一達が図書館島地下にてネギ達を探索する為に進み始めて・・・・1分も経たず。

 

 

ビシュシュシュシュシュッ!!

 

「のわあああああああああああああああああああああ!?」

 

「うひゃあああああああああああああああああああああ!?」

 

 

突然本棚にある本と本の隙間から、複数の槍が飛び出してきて、太一とアグモンを襲う。

 

 

「太一さん!!アグモンさん!!」

 

「大丈夫か!?」

 

「・・・・・何とか・・・。」

 

「早く助けて・・・。」

 

 

槍と槍との隙間に合わせて、ギャグ漫画の様に体をくねらせて、何とか回避した太一とアグモン。

 

助け出そうと刹那と真名が駆け寄るが・・・。

 

 

バカン・・・

 

「「えっ?」」

 

 

突然足場であった架け橋が閉じ、しばしそのまま停止、そしてその後はもちろん・・・。

 

 

「「うわあああああああああああああああああああああああああ!?」」

 

 

落ちるだけ・・・。

 

 

「刹那ああああああああああああ!?真名あああああああああああああ!?」

 

「・・・・だっ・・・・大丈夫です・・・・。」

 

 

本棚にある本を傷付けない様に、夕凪を本棚に刺して落下を免れた刹那。

 

その刹那の体にしがみ付き、同じく落下を免れた真名。

 

 

「ワナがあるとは聞いてはいたが・・・・こんな定番で単純なワナに掛かるとは・・・。」

 

「言うな龍宮・・・悲しくなる・・・。」

 

 

魔法関係の生徒の中ではベテランの域に達している2人は、多少なりとも誇っていた、しかしこの様な単純なトラップに掛かった自分自身が悲しくなる。

 

その後、這い上がって来た刹那と真名によって、太一とアグモンは槍のトラップから解放され、先へと進む。

 

しかし・・・。

 

 

ぐわあああああああああああああ!!

 

「本棚が落ちて来たぞ!!」

 

ドサササササ!!

 

「それと一緒に本の雪崩が!!」

 

ドシュドシュドシュ!!

 

「今度は床から槍が!!」

 

ドガーーーーン・・・・ドガーーーーン・・・・・!!

 

「早く進め!!後ろの本棚がドンドン沈んでいってるぞ!!」

 

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガ・・・・・!!

 

「逃げろおおおおおおお!!本棚に押し潰されるぞおおおおおおおおおおおお!!」

 

ボオオオオオオオオオォォォォォォォォォ・・・・・!!

 

「図書館に火炎放射機!?」

 

「「「「ここは本当に図書館かああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」」

 

 

貴重書狙いの盗掘者対策の為のトラップ・・・の筈なのだが、どうも本を守る為のと言うか、本を傷付け、燃やしかねない様なトラップが太一達を襲う。

 

 

「お嬢様達は!!本当にこの道を通ったのですか!?」

 

「匂いはこっちに続いているよ!!」

 

「あいつ等!!こんな所に来てまで魔法の本って言うのを取りに行くより・・・大人しく勉強していた方が安全で、

楽だった事に、何で気付かなかったんだ!?」

 

 

同時刻、地底図書室にて。

 

 

「「「「「へっくし!!・・・・・・・。」」」」」

 

 

気を失っている筈のバカレンジャーの面々は、遠くに居る太一の叫びに反応したかのようにクシャミをし、

再び動かなくなった。

 

因みにネギ達が通った時と比べ、今太一達に襲い掛かっているトラップの数や危険指数は、裕に3倍以上であった。

 

何故その様になっているかと言うと・・・時間は明日菜とまき絵が最後の問題を間違い、落ちて行ったすぐ後まで遡る。

 

 

『フォフォフォ・・・あっ!!そうじゃ、図書館島のセキュリティレベルを深夜体制に戻しておかないとのぉ・・・ポチッとな。』

 

ポチッ

 

 

メルキセデクの書を守り、ネギ達を落としたゴーレムが、リモコンの様な物を取り出し、ボタンを押すと、

ディスプレイに「通常時体制」と表示されていた文字が、「深夜体制」へと変わった。

 

図書館島は、図書館探検部の他にも多くの生徒や一般人等が多く出入る時間帯は、セキュリティレベルは標準とされているのだが、

誰も入らなくなる深夜の時間帯には、そのレベルは飛躍的に上がり、トラップの数も危険度も上がる、

一応本は傷付かないように魔法で処置されてはいる。

 

ネギ達が通った時は標準レベルであったので、図書館探検部である夕映と木乃香、そして運動神経が異様に高い、

バカレンジャー達が居たので、難なく目的地である、この安置室まで来れたのである。

 

しかし、そのセキュリティレベルが深夜体制となった今の状態で進む太一達は、ネギ達の様には進めない。

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!全力で逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「巨大な岩が!!鉄球が!!転がってきたあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「お嬢様あああああああああああああああああああ!!探し出したらもうこんな危険な所には行かせませんからねえええええええええええええええええ!!」

 

「断言しよう!!ここは絶対に図書館ではなああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

 

太一達はその後も、大漁のピラニアが放たれた湖で足止めを喰らうが。

 

 

「カードスラッシュ!!ゴマモン・魚群操作!!」

 

「マーチングフィッシーズ!!」

 

ピチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチ!!

 

 

ゴマモンのカードをスラッシュし、アグモンにゴマモンの魚を操る力が加わる。

 

アグモンがゴマモンの必殺技、「マーチングフィッシーズ」と叫ぶと、何処からともなくカラフルな魚達が現れて、

半分はネギ達が通った足跡が無いか探索させ、残りの半分は纏めさせてイカダの様にして、足跡を見つけた魚の後を追い、湖を移動する。

 

その後に待ち構えていたのは断崖絶壁を思わせる様な、底が見えないほどに高い本棚にさし当たる。

 

アグモンを進化させ、バードラモンのカードをスラッシュさせて、飛んでこの本棚を降りて行こうと思ったが、

場所が狭いうえに此処まで来るのにかなりトラップの所為で体力を消費したので、今後に備え、太一達はのどか達から借りた、

図書館探検部の道具を使い、自力で下って行く事となった。

 

因みにアグモンは太一の背中にしがみ付いた状態で登っている。

 

途中本棚が大きく揺れ動き、上から大量の槍が落ちてくる。

 

 

「カードスラッシュ!!ワームモン・粘着性の糸!!」

 

「ネバネバネット!!」

 

ズバーーーーーーーーーーーッ!!

 

ギシギシッ・・・・

 

 

太一は即座に、ぶら下がりながらワームモンのカードをスラッシュした。

 

ワームモンの必殺技、粘着性の強い糸「ネバネバネット」を槍に向かって吐き出し、落ちてきた槍は絡まって途中で止まった。

 

 

「今の内に一気に下るぞ!!」

 

 

太一達は一気に本棚を降りて行き、やっとの思いで底にたどり着いた。

 

だが次に待ち構えていたのは異様に天井と床との間が狭い通路。

 

太一達は仕方なく伏せながら移動するが・・・。

 

 

「・・・・太一さん・・・気のせいかも知れませんが、先程より狭くなっている気が・・・。」

 

「刹那もか?実は私もだ・・・。」

 

「太一・・・これって・・・。」

 

「あぁ・・・・。」

 

 

すぐ横にある本棚に目をやると、本棚が徐々にではあるが沈んでいる。

 

それと同時に天井が下がって来ている事が分かった。

 

 

「急げ!!潰されるぞ!!」

 

「「「「うわあああああああああああああああああああああ!!」」」」

 

ザッザッザッザザッ・・・・

 

 

太一達は信じられない速さで、潰されまいと進んで行く・・・匍匐前進で・・・。

 

天井は進むにつれ、下がって来る速度が上がり、次第に進みにくくなる。

 

 

「アグモ~~ン・・ま・・・・・まだか・・・?」

 

「ダ~~イ~~ヂ~~・・・・も・・・もう少し・・・。」

 

「うっ!!・・・む・・胸が圧迫されて・・・・。」

 

ピタッ・・・

 

「・・・・龍宮・・・それは私に対する嫌味か?」

 

 

刹那は突如止まり、ジト目で後ろに居る真名を・・・正確には真名の胸を見ていた。

 

 

「そんな事言ってる場合か!?早く進め!!このままでは私が一番先に圧死する!!」

 

 

だが刹那は、そんな事も気にせずに自分と真名の胸を見比べ、ため息を吐き、ボソボソと何かを言い出した。

 

 

「どうせ私なんて・・・いつまで経っても胸は小さいですよ~~だっ・・・。」

 

(いかん・・・太一との出会いで多少は柔らかく、歳相応の女の子らしくなったと思ったが・・・こんな所でそれが仇となるとは・・・。)

 

「どうせ私なんて剣以外、何にも良いとこ無い時代錯誤女ですよ・・・多少は料理とかは出来るけど、

レイさんほどじゃないし・・・、オシャレだし・・・。」

 

「刹那!!頼むから今ここでネガティブにならないでくれ!!潰れる!!胸どころか全身が潰れる!!」

 

「私なんて・・・ブツブツ・・・・。」

 

「お前等!!早くしろ!!潰されるぞ!!」

 

「あっ・・・はい・・・。」

 

「たっ・・・・助かった・・・・。」

 

 

太一の声に我に返った刹那は、急いで進み始める。

 

その後ろの真名は、刹那が進んだ事に安堵の息をもらす。

 

 

「ダ~~~イ~~~ヂ~~~・・・・・あの光・・・・が漏れてい・・・る箇所・・・辺りから匂いが・・・途切れてるよ・・・・。」

 

「おぉ・・・・・わがっ・・・・だぁ・・・・・。」

 

「太一さん・・・・早く・・・・。」

 

「本当に・・・・潰れる・・・。」

 

 

全員頭上の一角から光が漏れている箇所に急いで這って行く。

 

 

ゴト・・・・ゴトゴト・・・・

 

「うらあああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ドガン!!

 

 

渾身の力で床底を突き上げ、そこから這い出した太一達は、息を荒らげ無事に抜け出し、生きている実感を感じていた。

 

 

「ゼェ・・・ゼェ・・・・・。」

 

「ハア・・・・ハア・・・・・。」

 

「たっ・・・・・。」

 

「「「「助かった~~~~~。」」」」

 

 

因みにこの場所に着くのに、最初にネギ達が辿り着いた時間より倍以上は掛かっており、朝の7時を過ぎていた。

 

 

「ここが・・・・ネギ達の目的の本があった場所か・・・・どこのゲームのダンジョンだよ・・・、

日本に合わないつうの!!」

 

 

安置室の内装に呆れつつも、辺りを散策する太一。

 

そんな太一の目に、不自然な格好をした1体の石像と、何も置かれていない台座、そして壊された石橋が入った。

 

 

「あそこに目的の本が置いてあったのか?」

 

「太一・・・・。」

 

「如何したアグモン?」

 

「この部屋・・・もう1つ別の匂いがする・・・。」

 

「もう1つ?明日菜や木乃香達のじゃないのか?」

 

「うぅん・・・すくなくても女の子の匂いじゃない・・・それに・・・。」

 

「それに?」

 

「ん~~~何処かで嗅いだ事のある匂いなんだけど・・・思い出せないんだ。」

 

「そうか・・・。」

 

「太一さん。」

 

「如何した刹那?」

 

「辺りを見ても、出口らしき物は見つけられませんでした・・・となると・・・。」

 

「あぁ・・・俺もそう思う・・・。」

 

 

太一達は破壊された石橋に集まり、下を見た。

 

 

「あいつ等・・・こっから落ちたな・・・。」

 

「うん・・・匂いもこっから先には続いてないし・・・。」

 

「連絡が取れなくなるほどの場所に移動したとすれば、この下意外にあるまい・・・。」

 

「・・・これはさすがに降りられないな・・・。」

 

「少し休んでから行きましょう・・・お嬢様達の事は心配ですが、私達も休み無しでここまで来ましたから、

かなり疲労が溜まってます・・・。」

 

「あぁ・・・まぁ・・・休んでないというか、休めなかったんだがな・・・よしっ、少し休憩をとろうか。」

 

「はい。」

 

「あぁ。」

 

「うん・・・・。」

 

ビュウウウゥゥゥゥ・・・・・

 

 

太一達が休もうと移動した時、底の方から発生した風が、良い知らせと悪い知らせを乗せてアグモンに当たった。

 

 

「ハッ!!太一!!」

 

「如何したんだアグモン!?」

 

「大変だ!!あの穴の底からデジモンの匂いが!!」

 

「何だって!?」

 

「デジモンの!?」

 

 

アグモンの知らせに一同は驚愕する。

 

 

「うん・・・微かにだけど・・・間違いなく昆虫型デジモン独特の匂いがしたよ・・・でもどんなデジモンかまでは分からない・・・。」

 

「まずいな・・・もし成熟期クラスのデジモンだったら今のネギ・・・いや・・・戦闘経験が殆ど無いネギじゃ、

魔法が使えたとしても、殆ど勝ち目は無い・・・。」

 

「そんな!!」

 

「でも皆まだ生きているから・・・多分遭遇してないと思うけど・・・。」

 

「では急いだ方がいいな・・・。」

 

「あぁ・・・アグモン進化して俺達を乗せて行ってくれ。」

 

「分かった!!アグモン進化・・・・駄目だ・・・力がはいらないよ・・・。」

 

 

ここに来るまでに、休み無く多くのトラップを回避し続け、3回のカードスラッシュの内、2回上乗せで能力追加をした為、体に多大な負荷をかけてしまい、

アグモンは進化する為の体力が無くなっていた。

 

 

「やはり無理か・・・。」

 

「如何する?彼女達がデジモンと遭遇していないとも限らん今、一刻も早く下に行くべきだが・・・。」

 

「そうだな・・・・。」

 

(・・・・・私のあの姿なら、1人までなら一緒に下に行く事が出来るが・・・。)

 

 

刹那はどこか悩む素振りをし、横目で太一をじっと見ていた。

 

 

(だが・・・見せたくない・・・見られたくない・・・あの忌まわしい姿を・・・あの醜い姿を・・・この人だけには、

でも早く行かなければお嬢様が・・・・。)

 

「刹那?」

 

 

真名はそんな刹那の様子に気付き、真名は刹那が何に悩んでいるのかいち早く理解した。

 

 

「刹那・・・無理はするな。」

 

「龍宮?」

 

「無理に悩むな、無理をするな、今ここにはお前だけじゃない、私や太一もいる、一緒に考えよう、今如何するべきかを。」

 

「・・・分かった・・・・ありがとう。」

 

 

真名が刹那を落ち着かせている中、太一とアグモンは再び穴の近くで立っていた。

 

 

「・・・・・・。」

 

「太一?」

 

「・・・・アグモン・・・お前は如何する?」

 

「僕?う~~~ん・・・やっぱり少し無茶して今すぐ下に行った方がいいと思うよ。」

 

「そうか・・・じゃあ行くか!!」

 

「太一!?」

 

 

太一は少し考える様に目を瞑り、すぐに考えを纏めたのか、目を見開き今すぐ下に行く事を口にした。

 

 

「刹那!!真名!!今すぐ降りるぞ!!」

 

「あっ!?はっはい!!」

 

「待て太一!!このまま休まずに、今すぐに降りて皆を見つけたとしても、もし下に居るデジモンと戦闘になったら如何するつもりだ?」

 

「私も龍宮も、デジモンに関しては素人ですし、ちゃんとした装備も用意してません・・・苦戦どころか・・・。」

 

「あぁ・・・正直今全員で下に降りたら、体力ゼロのヘトヘトで、戦いにならないだろうな。」

 

「だったら!!」

 

「だから、アグモン抜きの、俺達だけの力で行く。」

 

「太一!?」

 

「アグモン・・・正直言って今の状態でお前の力無しで行くのは辛い・・・でも、もし地下に居るデジモンと戦う事になれば、

お前の力が絶対に必要になる、だからお前はその時の為に、デジヴァイスの中で休んでいてくれ。」

 

「でも・・・。」

 

「・・・・・・ふぅ・・・。」

 

ポン・・・

 

 

太一は心配そうに自分を見るアグモンの頭にそっと手を置いて、柔らかな笑顔と口調で話す。

 

 

「俺はお前を信じている、そしてお前は?」

 

「僕は・・・太一を信じている!!」

 

「あぁ!!俺を・・・いや、俺達を信じろ・・・絶対下に辿り着いてみせる、そして皆で帰って、ゆっくり休もう。」

 

「うん!!」

 

「アグモンさんは休んでください。」

 

「ここまで来るのに、君に頼ってばかりだったからな、私達にも見せ場を頼むよ。」

 

「分かった、太一、刹那、真名・・・・頑張ってね。」

 

ギュルルルルル・・・・

 

 

アグモンをデジヴァイスNEOの中に入れ、太一達は気を引き締め降りる準備を始めた。

 

 

「よく見たら足を掛けられそうな出っ張りや隙間がちらほらあるな・・・慎重に行こう。」

 

「はい。」

 

「君もな。」

 

 

そして太一達は、ネギ達の居る地底図書室へと降りていった。

 

それからかなり時間が経ち、翌日の地底図書室にて。

 

 

「ハイ、では佐々木さん。」

 

「35です。」

 

「正解でーす。」

 

「「「「お~~~♡」」」」

 

 

太一達の心配とは裏腹に、期末試験に向け勉強をしていた。

 

この2日、ネギは主に各教科の基本を中心に教えてきたのか、バカレンジャーの皆は大抵の問題に答えられるようになっていた。

 

ネギはその事に関しては嬉しそうではあったが、内心では焦っていた。

 

 

(ここに落ちてもう2日・・・皆さんに勉強を教えて、合間を見ては出口を探してたけど、それらしい物は一向に見つからない・・・如何したらいいんだ。)

 

「ネギ~~!!お昼ごはん何にする?」

 

「えっ?あっ・・・じゃあラーメンお願いします。」

 

「分かった!!ネギはラーメンだって。」

 

「なら私が作るネ、伊達に超包子で働いてないってとこを見せるアルネ!!」

 

「なら拙者は魚を取りに行くでござる~~♪」

 

「あっ!!楓ちゃん私も行くよ。」

 

 

そんなネギとは裏腹に、明日菜達は結構この地底図書室を満喫していた。

 

特にこの2人が・・・。

 

 

「本に囲まれて、あったかくて、ホント楽園やなー♡」

 

「一生ここにいてもいいです。」

 

 

図書館探検部である木乃香と夕映であった。

 

2人は優雅に日向ぼっこ(地下だが)しながらドリンク片手に読書をするなど、楽しく満喫していた。

 

今の木乃香の姿を見たら刹那は間違いなく、色んな意味で崩れるに違いない。

 

後太一と真名は怒り狂うかもしれない、それ程今居るこの不思議な場所を満喫しているのであった。

 

同時刻、太一達側にて。

 

 

「・・・・・。」

 

「如何しました?」

 

「いや・・・何か知らんが助けに行くのが馬鹿らしくなった気がしてな・・・。」

 

「太一もか?実は私もだ。」

 

「?私はそんな事は無いのですが・・・何だか悲しくなってはいます・・・。」

 

 

下り始めたから殆ど丸1日かけて不眠不休で穴を降りている太一達は、そんな地底図書館の雰囲気を感じ取ったか、

太一と真名は額に青筋を立て、刹那は軽く涙を流していた。

 

 

「しかし本当に不思議な場所だな・・・水に浸かっているはずなのに痛み一つ無い本に、適度に温かい光を放つ壁・・・、

そのどれにも魔力を感じる・・・これは如何見ても人工的に作られた場所だ・・・でも一体誰が?」

 

ピチャピチャ・・・・・

 

「ん?誰かいるのかな?」

 

 

ネギは水音がする方に歩を進め、そこで見たものは。

 

 

「あっ・・・。」

 

「「「「あっ・・・・。」」」」

 

 

水浴びをしていた明日菜、まき絵、古菲、楓の姿(裸)であった。

 

 

「「キャーーーネギ君のエッチーッ!!(アルー)」」

 

「おやおや。」

 

「何やってんのよネギ坊主。」

 

「わわわ!!すっ・・・スミマセン!!」

 

 

ネギは手で顔を隠し、皆の裸を見ないようにしてその場を離れようとしたが。

 

 

「まあまあ・・・。」

 

ムンズ

 

「わわわっ!?」

 

 

別に見られてもかまわんとばかりに、ネギを子猫の様に持ち上げ、止める楓であった。

 

ネギはジタバタし、楓の手から離れようとするが、ネギの前にまき絵と古菲が立つ。

 

 

「ネギ君ったら、顔真っ赤にしちゃってカワイー♡」

 

「ネギ坊主、10歳なのに、女の子の裸に興味あるアルか?」

 

「ちっ・・・ちが・・・あううっ・・・おろしてーーー。」

 

 

まき絵達はこれ見よがしにネギをからかう。

 

 

(先生イジメだよう~~。)

 

「ホラホラあんた達、ネギ本当に泣いちゃうからそれ位でいでやめときなさい。」

 

 

何時の間にかタオルを体に巻いた明日菜がまき絵立ちを止める。

 

 

「は~~~い、ごめんねネギ君♡」

 

「でもネギ坊主も目の保養にはなって、嬉しかったんじゃないアルか?」

 

「大っきい方と小さい方、ネギ坊主はどっちが好きでござるか?」

 

「えっ!?いやそんな・・・僕は・・・イギリス紳士として・・・その・・・女の人の裸とかには興味ない・・・。」

 

「はいはい、要するにイギリス紳士ぶったお子ちゃまって事ね・・・こっち来なさい、あんたも2日お風呂入ってないから、

かなり臭うわよ。」

 

「お子ちゃまって・・・いっ・・いえいえ・・・僕はいいです!!」

 

 

風呂嫌いのネギは、首を横に振って断るが、それを明日菜は許さない。

 

 

「いいから来る!!皆は先に行ってて。」

 

「「「ほ~~~い(アル~~)(ござ~~)。」」」

 

 

まき絵達を残し、明日菜は嫌がるネギを引きずって行った。

 

 

「ほら、水掛けるから目つむりなさい。」

 

ばちゃーーーーー

 

「ううぅっ!!」

 

 

ネギは渋々明日菜に頭を洗われていた。

 

その目にはうっすらと涙が・・・日本人の我等にとってその心境は分からんが、とりあえず嫌そうであった。

 

 

「それにしてもこんな事になるんだったら、大人しく部屋で勉強していた方がよかったかもしれないわね・・・。」

 

「はは・・・そうですね・・・すみません明日菜さん・・・僕の(最終課題の)所為でこんな事に・・・。」

 

「あんたが気にする事じゃないわよ、それを言うなら私達がバカだからこんな事(留年し小学生からやり直し)になったんだから・・・。」

 

 

未だにお互いの真意がかみ合ってない状態。

 

ネギは自分の最終課題を手伝う為と、明日菜は自分達の成績が悪すぎる所為で、学園長が怒り、

「最下位のクラスは留年し、特に悪い者は小学生からやり直し」という事になったと思っていた。

 

 

「本当にすみません・・・僕が魔法を封印してなければすぐにでも出られたのに・・・。」

 

「ネギ・・・ゴメンね・・・こんな所に連れてきちゃって・・・実は期末で最下位だったらクラスは解散の上に、

私達小学生からやり直しだって言うから・・・関係ないアンタをこんな事に巻き込んじゃったね・・・。」

 

「・・・・・はっ?」

 

「ん?いや・・・だから私達が留年だって・・・。」

 

「いや・・・僕がクビになるって事しか聞いてないですけど・・・。」

 

 

そして今、噛み合っていなかった歯車が合わさろうとしていた。

 

 

ザザザザザザザザ・・・・

 

「「・・・・・・・・・・・・。」」

 

ドドドドドドドドドドドドドドド・・・・・

 

 

2人の場には、波の音と水が落ちる音のみが支配し、少しずつ・・・また少しずつと噛み合ってなかった歯車が合わさって行く。

 

 

「え・・え~~~~っ!?何よそれぇ!!・・・てことは留年とか・・・小学生ってのは・・・・デマ!?」

 

「た・・・たぶん・・・おそらく伝言ゲームか何かで・・・・。」

 

「うあっ!!」

 

 

今噛み合ってなかった歯車はガッチリと合わさった。

 

 

「あーーーもうっ!!こんなんだったらこんな謎の図書館なんかに来なかったらよかったわよ!!」

 

「ええっ!?そんなぁー!!」

 

「ったくも~~~!!やっぱりあんたが来てから踏んだり蹴ったりよ!!このガキッ!!ちびっ!!」

 

「ぼ・・・僕だってそうですよぅ!!」

 

 

明日菜が言うよりは、ネギの所為・・・もといこの麻帆良に来てから、もっと踏んだり蹴ったりな目にあっている人物が居るが・・・因みのその人物はと言うと・・・。

 

 

ボガンッ!!

 

「どわああああああああああああああああああっ!!」

 

「太一さん!!」

 

 

掴んでいた出っ張り部分が崩れ落ちていた。

 

 

がしっ!!

 

「大丈夫か!?」

 

「おっ・・・おぉ・・・・・大丈夫だ・・・。」

 

 

何とか途中にあった出っ張りを掴み落下を免れ、全員が安堵の息をもらす。

 

 

「しかし如何したんだ?あの出っ張りには私も掴んだが、結構頑丈だった筈だが・・・。」

 

「いや・・・何か知らんが、今度は何と言うか・・・「お前が言うな」的な怒りが突然込み上げてきてな・・・・つい手に力が・・・。」

 

「何だかよく分からんが・・・出口に近付いて来た様だ、辺りが少し明るくなってきた。」

 

「あぁ・・・皆もう少しだ、慌てず慎重に行こう。」

 

「「特にあなた(君)がね。」」

 

「・・・・・はい。」

 

 

出口まであと少しだ、がんばれ太一、不幸に負けるな太一、君の幸せは・・・当分無いかも・・・。

 

視点をネギ達の方に戻すと、明日菜とネギは落ち着いたのか、今は今の状況を如何するか落ち着き話し合い、

木乃香と夕映は優雅に読書、まき絵、古菲、楓の3人はぬれた体を乾かす為焚き火を取り囲んでいた。

 

そんな彼女達(1人男)の様子を遠巻きに眺める視線があった。

 

 

『フォフォフォ・・・皆無事でなりよりじゃ(ワシが落としたんじゃがの)・・・まあこの様子じゃとそろそろ地上に出られるよう動くとするかの・・・。』

 

 

それはメルキセデクの書を守り、ネギ達を地底図書室に落としたゴーレムだった。

 

 

『それと最後の最後で彼がどうし、彼女達がどっちをとるかも見届ける必要があるしのぉ・・・。』

 

 

そう言い、ゴーレムは首元に、自分が守護していたはずのメルキセデクの書を引っ掛け、ネギ達の前に出ようとした。

 

 

「ギギ・・・ギギギギギ・・・・。」

 

『ほぉ?』

 

 

しかしゴーレムの背後から鋭い視線と、古びた錆付いた機械の歯車が動き擦れる様な音・・・いや声に気付き振り向いた。

 

その目の先には・・・。

 

 

『なっ!?何じゃこいつ・・・。』

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ガシーーーーーーーーーーーン!!

 

『フォッ!?』

 

 

目の前に現れた巨大な生物に驚愕するも、突如目の前の生物の持つ巨大な赤いハサミに体を鋏まれ、

身動きが出来なくなった。

 

 

『フォッ・・・・。』

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!

 

『フォアアアアアアアアアア!!』

 

 

生物はゴーレムを鋏んでいるハサミに力を込めると、石で出来ている筈のゴーレムの体が轟音と共に真っ二つに切り裂かれた。

 

 

「なっ何だ!?」

 

「何よ今の凄い音!?」

 

 

その音に気付いたネギと明日菜は、音のした方を見上げると。

 

 

ズガシャアアアアアアアアアアアアン!!

 

「うわっ!?」

 

「きゃあ!?」

 

「一体・・・こっこれはあの時のゴーレム!?」

 

 

突如上半身と下半身の分かれたゴーレムが落ちてきた。

 

 

「何でゴーレムが?それにこんな風になって?」

 

「!!ねえちょっとネギ、この石像の首元見て!!」

 

「首元?・・・こっ・・・これは!! メルキセデクの書!?」

 

「やっぱり!?やったーーー!!これで最下位脱出よ!!」

 

 

明日菜は浮かれて、動かないゴーレムの首元からメルキセデクの書を取り上げて喜んだ。

 

 

「明日菜~~~、今の音何?」

 

 

ゴーレムが落ちた音を聞きつけ他の皆も駆けつけて来た。

 

そして明日菜はゴーレムが真っ二つで落ちて来た疑問よりも、メルキセデクの書を手に入れた事に浮かれて、

メルキセデクの書を皆に見せる。

 

それを見て他のバカレンジャーも大喜びだったが、その表情はすぐに硬直する。

 

 

ドシーーーーーーーーーーーーン!!

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

ゴーレムを真っ二つにした生物が、ネギ達の前に降り立ち、地底図書館全体に響く様な叫び声を上げる。

 

 

「「きゃああああああああああああああああああああ!?」」

 

「なっ!?ななななななななな何ですか!?」

 

「お~~~~~でっかいでござるな~~~。」

 

「強そうアルな。」

 

「何なのよこれ!?」

 

「きょ・・・巨大なクワガタ虫!?」

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

ネギ達の前に、巨大な赤い体を持つ、クワガタ虫型のデジタルモンスター、「クワガーモン」が現れた。

 

 

『「クワガーモン(KUWAGAMON)」、世代・成熟期、種族・昆虫型、属性・ウイルス種。

頭に大きなハサミがついた、攻撃的で凶暴な昆虫型デジモン。

全身がかたい殻に守られているため、防御力にもすぐれていてパワーも強力、ハサミの部分で一度敵を鋏むと、倒れるまで離さない。

同じ昆虫型デジモンのカブテリモンとはライバル関係にある。

必殺技はその巨大なハサミや腕を使い、相手を真っ二つにする「シザーアームズ」だ。』

 

 

クワガーモンと言う未知の存在を目の当たりにしたネギ達は、あまりにも訳が分からない事に思考が追いつかずに、

その場で立ち呆けていた。

 

しかしクワガーモンはそんなネギ達にはお構い無しで襲い掛かった。

 

 

「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「はっ!?」

 

「ほっ!!」

 

「よっ!!」

 

ガシャアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「「「「きゃああああああああああああああああああ!!」」」」

 

「うわあああああああああああああああああああああ!!」

 

 

クワガーモンが振り下ろした腕を、いち早く動けた古菲と楓がその体を使い、ネギ達を押し出して何とか避ける事が出来たが、

振り落とされた腕が当たった岩は完全に砕かれてしまった。

 

 

「嘘・・・。」

 

「岩が砕けてしもうた・・・。」

 

「あわわわ・・・・。」

 

「フフフ・・・ありえません・・・ありえません・・・たかだか虫如きに・・・只大きいだけの虫に・・・こんな事が・・・。」

 

「(何なんだあの生物は?あんなのどの魔法世界の生物図鑑にも載ってないし、聞いた事も無い・・・とっ・・・とりあいず皆さんを連れて逃げないと)みっ・・皆さん逃げましょう!!」

 

 

クワガーモンの力に明日菜や木乃香、そしてまき絵は恐怖を、夕映は信じられないと半現実逃避、

ネギはそれを見て恐怖で震える体を抑え、必死で逃げる様にと声を出すも・・・。

 

 

「お~~強いアルね!!クワガタ!!私と勝負アル!!」

 

「くっ・・・古菲さん!?」

 

 

バトルジャンキーとも言える性格か、格闘家としての本能故か、クワガーモンの強さは、古菲の闘志に火を灯し、

相手と自分の力量の差も判らず、無謀にも挑むのであった。

 

 

「中国武術研究会部長の力見るアルよーー♡」

 

「ガッ?」

 

「ホウ・・・・アッチャア!!」

 

ガキッ!!

 

 

古菲の拳はクワガーモンの額にヒットし、すぐさまクワガーモンとの距離をとり、様子を探る。

 

 

「・・・・・・・。」

 

「・・・・・・ガッ?」

 

ポリポリ・・・

 

「んなっ!?」

 

 

クワガーモンは何事も無かったかの様に、古菲の拳が当たった箇所をポリポリとかいていた。

 

 

「ちっ・・・やるアルね・・・なら・・・・・これなら如何ね!!」

 

バシュ!!

 

「アーーーーチョウ!!」

 

ゲシ!!ガシッ!!ボグ!!ドガッ!!

 

「ガッ!?」

 

「如何アルか!?」

 

 

古菲はクワガーモンの頭上まで飛び上がり、額、顎、胸、腹へと連続で、そして全力で攻撃を繰り出す。

 

しかし・・・。

 

 

ポリポリポリポリ・・・・。

 

「ガ~~~~アッ・・・・。」

 

「ん何とーーーー!?」

 

 

クワガーモンは6本ある手足の内4本を使い、古菲の攻撃が当たった箇所をかきながら欠伸をする様に口を開いていた。

 

それを見てショックを受ける古菲。

 

古菲の攻撃は人間相手なら、かなりのダメージを与えられるが、硬いカラに覆われているクワガーモンには通じ無かった。

 

 

「・・・・・。」

 

バサッ!!

 

ババババババババババババババババッ!!

 

 

クワガーモンは背中のカラを開き、中に納まれていた薄い羽を使い飛翔した。

 

 

「嘘!!飛んだ!?」

 

「昆虫は地球上の小型生物の中で、人間サイズに巨大化したら最強と言われる程の身体能力を持っていると云われていますが、

その薄いカラや肉体的構造から、巨大化は向かないと逆に小さくなる様に進化したと云われていますが・・・、

あの巨体で活動でき、飛べるなんてありえません・・・これは夢です・・・そう夢です・・・こんな巨大な虫は存在しません。」

 

「夕映~~~~戻ってきて~~~~!!」

 

「はっ!!来ます!!皆さん避けてください!!」

 

 

飛翔したクワガーモンは、ネギ達目掛け急降下して来た。

 

ネギは明日菜達に避ける様に叫ぶが、間に合わない。

 

 

「はっ!!」

 

バシュバシュ!!

 

カキンカキン!!

 

「ガアッ!?」

 

ヴウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

「うわあああああああああああああっ!!」

 

「「「「きゃああああああああああああああああああ!!」」」」

 

「くっ!!」

 

 

楓が懐から何故かあるクナイを取り出し、迫り来るクワガーモンに向かって投げた。

 

思わぬ所からの攻撃を受け、クワガーモンはバランスを崩し、軌道を外れ、ネギ達の頭上スレスレを通っていった。

 

だがその時発生した突風で、体の軽いネギは吹き飛ばされそうになり、明日菜達も踏ん張って飛ばされない様にするのに必死だった。

 

 

「ガアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ズバッシュ!!

 

バキッ!!

 

メキメキメキ・・・・

 

ドシャアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「う・・・嘘・・・。」

 

「あんな大きな木が・・・。」

 

「綺麗に真っ二つに・・・。」

 

 

ネギ達を通り過ぎたクワガーモンは、勢い余って、後方にあった大木にぶつかるかと思いきや、

ネギ達の予想に反し、その大木を、近くに置いてあった本棚ごと綺麗に真っ二つに切り裂いた。

 

ネギや明日菜達は、切断された大木を見て恐怖に駆られた。

 

 

「あっ・・・あぁ・・・。」

 

「あんなの喰らったらひとたまりも無いネ。」

 

「これは・・・今の装備ではどうにもならんでござるな・・・。」

 

 

先程まで戦う気満々であった古菲も、恐怖を覚え、声が微かではあるが震え、いつも穏やかな表情だった楓も、

強張った表情となっていた。

 

しかしこの場の空気を読まず1人だけ、再び此方を向くクワガーモンに向かって、怒りを込めた声で中傷する言葉を発する者が居た。

 

 

「何をするんですかそこの害虫!!ここにある本がどれ程貴重か分からないのですか!?」

 

「ゆっ・・・夕映ーーーー!?」

 

 

本をこよなく愛する、デコッパチチビことバカブラックの夕映であった。

 

クワガーモンの突進で本棚1つ分の貴重書が傷つき、切り裂かれた事が許せなかったのであろう。

 

 

「許せません!!あの只大きいだけの害虫に、己の罪の重さと深さを思い知らせるです!!」

 

 

いつもの様に理屈っぽく、口のみで相手を屈服させるような発言をしようと前へ出ようとするも、それを木乃香と明日菜が止める。

 

 

「夕映あかん!!」

 

「そんなことしてあのクワガタが怒ったらどうするのよ!?」

 

「離してください木乃香!!明日菜さん!!あの害虫は人類(本好きの)にとって遺産と言えるべき貴重書を傷付けたんですよ!!」

 

「そうかもしれないけど!!」

 

「夕映落ち着いてな、今は逃げるんが先やで。」

 

「しかし!!」

 

ズズーーーーーーン!!

 

「「「!?」」」

 

「明日菜さん!!木乃香さん!!夕映さん!!」

 

 

興奮した夕映を抑える明日菜と木乃香、その前にクワガーモンが立ち、腕を振り下ろした。

 

 

ズガーーーーーーーーーーーーーン!!

 

「「「きゃああああああああああああああああああああ!!」」」

 

「明日菜さん!!木乃香さん!!夕映さん!!」

 

ズシャアアアアアアアアアアアアアアアアアア・・・

 

「明日菜!!大丈夫?木乃香・・・夕映!!」

 

「うっ・・うう・・・。」

 

「痛たた・・・。」

 

「ううぅ・・・・すみません皆さん・・・私が軽率な事をしたばかりに・・・。」

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

吹き飛ばされた明日菜達は蹲り、それを見たクワガーモンは雄叫びを上げる。

 

 

「ぼぼ・・・僕の生徒をいじめたな!!赦さないぞ!!」

 

 

明日菜達を傷つけられた事に怒ったネギは、杖を強く握りしめ、皆が居る事と、もう一つ重要な事を忘れ詠唱を始める。

 

 

「ラス・テル・マ・ス キル・マギステル・・・光の精霊11柱!!集い来りて敵を射て!!(ウンデキム・スピーリトゥス・ルーキス・コエウンテース・サギテント・イニミクム)

くらえ!!魔法の矢!!「魔法の射手(サギタ・マギガ)」!!」

 

「!?」

 

 

ネギは魔法の射手を放つ為、指を勢いよくクワガーモンに向けた。

 

小さい子供がいきなり自分に向かって、指を向けてきたので、何かが起きるのかと一瞬警戒するような動きをしたが・・・。

 

 

シーーーーーーーーーーーーーン・・・・・

 

 

何も起きない・・・ネギは自分が魔法を封印している事を思い出した。

 

 

(あ・・・しまった!!まだ封印1本のこってたんだ!!)

 

「ま・・・。」

 

「まほ~~のや・・・?」

 

 

ネギが何をして、何をやろうとしたのか理解できない面々が、口々にネギが発した言葉を、気が抜けた声で復唱した。

 

 

「・・・・・・・ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「「「「「「「わあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」」」」」

 

 

しばし待つも何も起こらない事に痺れを切らしたクワガーモンは、大きく叫んだ。

 

その叫びを聞きネギ達は一斉に逃げ出した。

 

 

「グアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

クワガーモンはそんなネギ達を追いかけ始める。

 

 

「あのクワガタ怪獣追いかけて来たよ!!」

 

「しかも結構早い!!」

 

 

クワガーモンは飛んではいないとは言え、彼女達との歩幅の違いと、森の中を歩きなれていない者が大半なので、

クワガーモンとの距離がドンドン縮まっていった。

 

 

「何とかできないでござるか?」

 

「何とかって如何やって!?」

 

「み・・みんな諦めないでっ!!僕の魔法の杖で飛んでいけば一瞬だ・・・ハッ!?」

 

「こっこらネギッ!?さっきから何モロ言ってんのよ!?」

 

「ま・・・まほ~~のつえ・・・?」

 

「キャーーーッ!?何でもない何でもない!!」

 

 

もうテンパリまくりのしっちゃかめっちゃかで、ネギはモロに魔法と口走り、そんなネギを抑えるのに明日菜もてんわやんわであった。

 

 

「う~~~ん・・・ゲームとかだったら、ああ言った虫型の怪獣には火が有効なんだけど・・・。」

 

「それです!!」

 

「ほえ?私何か言った?」

 

「火ですよ火!!虫は火を恐れます。」

 

「そうか!!大きな火を起こして追っ払うのよ!!」

 

「まき絵ナイスアル!!」

 

「えぇ~~~そんな照れるよ・・・。」

 

 

照れる前に必死に逃げろよと、激しくツッコミたくはなるが。

 

明日菜達は1つの小さな活路を見出せた事に浮き足立っていた。

 

 

「でも如何するんですか?あれだけ大きいと、焚き火程度の火じゃ効果は無いと思うのですが・・・。」

 

「そうよねえ・・・如何したら。」

 

「手はあるです!!楓さん、急いで厨房から調理用の油を出来るだけ持ってきてください、この先の最初に私達が目を覚ました泉で合流するです!!」

 

「あいさバカリーダー!!」

 

バシュ!!

 

 

夕映の指示で、楓は忍者の様な素早い動きで明日菜達と別れ、厨房へと向かった。

 

 

「拙者は忍者ではないでござるよニンニン。」

 

 

誰に向かって言ったのかは不明だが、自分が忍者ではないと否定する楓ではあるが、動きと言い語尾と言い・・・忍者であった。

 

その間もネギ達は楓と合流する泉に向かって、クワガーモンから逃げていた。

 

 

「はあはあ・・・まだなの?」

 

「あと少しです!!」

 

「でも!!すぐそこまであのクワガタが来てますよ!!」

 

「クワガタは~~ん、追いかけてくんのやめてくれへんか~~?」

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ありゃりゃ・・・やっぱあかんかぁ・・・。」

 

「木乃香!!何のんきな事言ってんのよ!?」

 

「いやな、追いかけて来るのを止めてて言うたら、止めてくれるかなと思うて。」

 

「そんな訳あるか!!」

 

「明日菜さん落ち着いて!!木乃香さん・・・・何でそんなに落ち着いているというかのんきなんですか!?」

 

「何でやろな~~~?」

 

「・・・・こういう人なのです。」

 

「そうだったわよ!!小学生の時からこういう子だったわ!!」

 

「いや~~~~~~~!!追い着かれる~~~~~~~!!」

 

「みんな見るアル!!」

 

 

古菲が指差す先を見ると、楓との合流地点にして、最初に目を覚ました泉が見えた。

 

泉の近くには、最初に体を温める為、焚き火をしようとした時に使用し、余った枯れ枝などがつまれていた。

 

泉の辺りを見渡すが、その場にまだ楓の姿は無かった。

 

 

「楓さんまだですか?」

 

 

ネギ達は夕映の指示に合わせ、泉に背を向ける様にして、つまれていた枯れ枝の近くで佇み、楓が来るのを待つ。

 

しかし・・・。

 

 

メキメキメキ・・・・

 

「ギギギギギギ・・・・・。」

 

「きっ・・・来たよ!!」

 

 

クワガーモンは獲物を追い詰めたと言わんばかりに、ネギ達にゆっくりと近づいてくる。

 

 

「あわわ・・・。」

 

「まずいアル・・・。」

 

「楓さん・・・早く・・・。」

 

(こんな時に魔法が使えたら皆さんを守れるのに・・・今は夕映さんの作戦にかけるしかない。)

 

 

ネギは知らない・・・いや、分かっていなかった、たとえ魔法が使えたとしても、目の前の脅威に立ち向かって渡り合えるどころか、

傷1つ与えることも出来ずに一瞬で敗れる程の力の差がある事に、まともに戦えるだけの力量も技術が無い事にネギは気づいていなかった。

 

 

「ギギギギギギギ・・・・・・。」

 

ズシン・・・・ズシン・・・・

 

 

クワガーモンは歩を進め徐々にネギ達との距離を縮めて行く。

 

クワガーモンの、強靭な爪がついた腕がネギ達に迫る。

 

もう駄目だと思ったその時。

 

 

「待たせたでござる!!」

 

「「「バカブルー!!」」」

 

「楓はんおかえり~~。」

 

 

厨房から油を取りに行った楓が、油の入った一斗缶を四つ担いで(重くないの?)、ネギ達のもとに戻って来た。

 

 

「楓さん!!油を奴に浴びせてください!!」

 

「あいあい、了解でござる。」

 

ぽいぽい

 

 

楓は持っていた一斗缶を2つ、クワガーモンの頭上に向けて投げた。

 

 

「ガッ?」

 

「せや!!」

 

バシュバシュ!!

 

ズガーーーーーン!!

 

バシャーーーーー!!

 

「ガガアアアアアアアアア!?」

 

 

楓は投げた一斗缶に向けクナイを飛ばし、一斗缶に見事命中した。

 

一斗缶はクワガーモンの頭上で割れ、中の油がクワガーモンにかかり、クワガーモンの全身は油まみれとなった。

 

 

「今です!!」

 

ボスッ!!

 

「えい!!」

 

ボアアアアアアアアアアアアアアアア!!

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

夕映は図書館探検部の標準装備にあった発炎筒を着火してクワガーモンに投げつけた。

 

発炎筒の火はクワガーモンの体にかかった油に引火して、一瞬で全身が炎に包まれる。

 

 

「ガアアアアアアアアアアア!!ガアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

いくら硬い殻にその全身を纏っていても、さすがに全身火だるまにされたらひとたまりもなく、

悶え苦しみ暴れるクワガーモン。

 

 

「皆さん、今の内にそこにある枯れ枝を私達の前に囲むようにして置いていくです!!楓さんは残った油を置いていった枯れ枝にかけていってくださいです!!

炎のバリケードを作るです!!」

 

「分かったアル!!」

 

「早く早く!!」

 

「ネギも急いで!!」

 

「はっ・・・はい!!」

 

 

夕映の指示に従い、楓を除く全員は枯れ枝を置いていき、楓はその枯れ枝に油を撒いていく。

 

最後に夕映が持っていた発炎筒を使い火を点け、ネギ達の前に炎の壁が出来上がる。

 

 

「これであのクワガタモドキはこっちに来れません。」

 

「後はこのまま息絶えるか、逃げて行ってくれるのを待つでござる。」

 

「でも・・・なんやかわいそうやなあ・・・。」

 

「でもこうでもしないと私達が死んでいたかもアル・・・。」

 

(・・・僕は先生なのに・・・夕映さんのおかげで何とかなったけど・・・魔法が使えたら・・・皆さんをこんな危険な目にあわせなくて済んだのに・・・。)

 

「見て!!」

 

ボオオオオオオ・・・・・・

 

 

炎の勢いが少しずつだが弱まってきていた。

 

元々そんなに枯れ枝の数は多くはなく、それに火力を挙げるためとはいえ油を使って燃やしたのだ、

燃える物が無ければ火は燃え続ける事は不可能、このままではいづれ燃え尽きてしまう。

 

 

「大変!!何か燃やせる物を!!」

 

「燃やせる物!!燃やせる物!!」

 

 

全員で燃やせる物は無いかと辺りを見渡すが、限られたスペースではそんな物は見当たらない。

 

それでも必死で探す中、まき絵はある物を見つけた。

 

 

「ねえ皆!!この葉っぱ使えない?」

 

 

まき絵が見つけたのは、砂地に半分ほど埋もれた紅く大きな葉っぱのような物だった。

 

 

「見たことの無い葉っぱですね・・・。」

 

「とりあえず葉っぱなら燃えるね!!入れるよ!!」

 

「早く入れるアル!!」

 

「燃えろ燃えろ!!」

 

 

まき絵はその葉っぱの様な物を炎の中に入れようとした・・・そう、あくまで”葉っぱの様な物”を・・・。

 

 

ズズ・・・・ズズズ・・・・・

 

「少し・・・重い・・・・てりゃ!!」

 

ぼさあ!!

 

 

葉っぱの様な物を炎の中に入れると、炎は大きく揺らめいた。

 

だが葉っぱの様な物は一向に燃えない。

 

 

「・・・・燃えないねえ・・・。」

 

「湿っとるんかなあ?」

 

 

全員がいっこうに燃えようとしない葉っぱに疑問を抱く。

 

すると突然炎が大きく揺らぎ始めた。

 

 

「何!?何!?」

 

「葉っぱが動いているアル!?」

 

「いえ・・・あれは・・・・。」

 

 

ネギはある事に気づいた。

 

葉っぱの茎のような部分が概要に長く、それが泉の中へと続いている事に。

 

 

ザッパーーーン!!

 

 

そして所々が焦げ、少し火のついた葉っぱのような物は泉の中へ消えた。

 

 

「葉っぱが動いた!?」

 

「いえ・・・あれは葉っぱではありません!!」

 

「じゃあ何なのよ!?」

 

ザザザ・・・

 

「何ですか!?」

 

ザッパーーーーーーーーーーーン!!

 

「「「「きゃあああああああああああああああああああああ!?」」」」

 

「うわああああああああああああああああああ!?」

 

 

突如巨大な水柱が出現し、それによって発生した波に流されるネギ達。

 

 

「い・・・一体何なのよ!?」

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

 

ネギ達は、先程まで聞いていたクワガーモンとはまた違う、地が震えるような鳴き声がするほうを見た。

 

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「いやああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「巨大な蛇!?」

 

「と言うか龍アル!!」

 

「いえいえ・・・ドラゴンなんて実際に・・・。」

 

「あかん!!夕映がまたどっか行ってもうた!!」

 

「こ・・・・これは・・・・。」

 

 

水色をした蛇の様な長い体に、黄色い頭部を持った、海の竜(泉に居たが)名を持つデジタルモンスター、「シードラモン」がその姿を現した。

 

 

『「シードラモン(SEADRAMON)」、世代・成熟期、種族・水棲形、属性・データ種。

蛇のように長い体をした水棲型デジモン、ネットの海や湖などに生息する。

攻撃力は高いが知性はほとんどなく、感情のままに生きている。

敵に巻きついて物凄い力で相手の体をしめあげる。

必殺技は口から鋭い氷の矢を出す「アイスアロー」だ!!』

 

 

シードラモンは尻尾の先を何度も水に付けていた。

 

その尻尾の先を見ると全員が固まった。

 

 

「あれって・・・。」

 

「さっきの葉っぱ・・・。」

 

「あの蛇の尻尾だったんだ・・・。」

 

「いや龍アル。」

 

「いえいえ、ですからドラゴンなんてものは・・・。」

 

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!」

 

「夕映!!落ち着き!!」

 

「尻尾を燃やされた事に怒っているでござるな・・・。」

 

 

そう、まき絵が見付けて炎の中に入れた葉っぱの様な物は、シードラモンの尻尾であった。

 

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「明らかに怒ってる!!」

 

 

その鳴き声からも分かるように、明らかにシードラモンは、自分の尻尾を炎の中に入れたネギ達に怒りの矛先を向けていた。

 

 

「まき絵何て事するのよ!!」

 

「ええ!?だって・・・。」

 

「だってもくそも無いアル!!」

 

「確かに見付けたのも入れたのも私だけど、皆だって入れろって言ったじゃない!!」

 

「お黙りなさい!!だからあなたは駄目なんです!!」

 

「えっ!?私駄目?」

 

「駄目でござるな。」

 

「私・・・駄目なの?」

 

「「「「ええ駄目です(よ)(アル)(ござる)!!あなたは佐々木まき絵失格です(よ)(アル)(ござる)!!」」」」

 

「ガ~~~~~~~~~~~ン!!」

 

 

最早暴走しきっているバカレンジャー達。

 

自分達に怒りを向けられているにも拘らずバカな事が出来るなど、常人には出来ない。

 

まさにバカの真髄を極めた彼女達だから出来る芸当である。

 

場所は変わり中等部の女子中等部専用寮のとある一室。

 

 

「クシュン!!」

 

「如何したのあやか?風邪でも引いたの?」

 

「いえ・・・何だか、自分のお決まりのギャグを他人に取られた感じが・・・。」

 

「何それ?」

 

「まぁ・・・気のせいでしょう。」

 

 

いえ・・・気のせいではありません。

 

地下であなたのお約束が4人のバカによって演じられております。

 

 

「それより千鶴さんも夏美さんも、手を止めないでしっかり勉強なさい!!」

 

「してるじゃんいいんちょう!!」

 

「いえ!!私から言わせれば、特に夏美さんの勉強は勉強とは言えません!!私と同室であるいじょうはあなたにも50番以内に入ってもらいます!!」

 

「ええっ!?そんなの無理だよ!!」

 

「人間死ぬ気になれば何でも出来ます!!全てはネギ先生のためです!!絶対にわがクラスは最下位を脱出して見せますわよ!!」

 

「助けてえ~~~!!ちづ姉!!」

 

「こうなったあやかは止められないわ・・・諦めて死ぬ気で勉強するしかないわね。」

 

「そんな~~~~~!!」

 

「ほら手を止めない!!」

 

「ひいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 

「あらあら。」

 

 

その後、5分おきに地味な少女の悲痛な叫びが寮内に響いたと言う。

 

視点を再び地下の地底図書室にやると。

 

 

グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

 

「「「「きゃあああああああああああああああああああ!?」」」」

 

「うわあああああああああああああああああああああああああ!?」

 

「ぐっ・・・うぅ・・・。」

 

「さ・・・さぶ・・さぶ・・・・。」

 

 

シードラモンはネギ達に向かって、得意技の1つ、相手を凍りつかせる吹雪の息「コールドブレス」を放ち、

ネギ達の体は徐々に雪に埋もれていった。

 

 

「うぅ・・・・まいったで・・・ござる・・・・。」

 

「こ・・・こんな非現実的な事が・・・。」

 

「寒い・・・寒いよ・・・。」

 

「みっ・・・みんな・・・。」

 

「あかん・・・眠たくなってきた・・・。」

 

「こっ・・・木乃香さん・・・・しっかり・・・して・・・・・。」

 

「動けないアル・・・。」

 

 

寒さと雪の重さで動けないネギ達。

 

だが絶望はこれだけではなかった。

 

 

ズズ・・ン!!

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「クッ・・・クワガタ・・・。」

 

「あっ・・・・あぁ・・・・。」

 

 

シードラモンが現れた時に発生した津波により、クワガーモンに点いていた火は鎮火。

 

ネギ達に先程とは比べ物にならない怒りを向け迫ってきた。

 

 

「もう・・・だめ・・・・。」

 

「明日菜さんしっかり!!」

 

「あかん・・・うち・・・もう・・・・。」

 

「木乃香さん!!」

 

「ごめんねみんな・・・私のせいで。」

 

「まき絵さん!!」

 

「申し訳ありません皆さん、私が魔法の本何て言ったばかりに・・・。」

 

「夕映さん!!」

 

「修行不足・・・無念・・・。」

 

「楓さん!!」

 

「怪物とは言え・・・こんな強いのが居るなんて・・・せめて一死報いたかったアル・・・。」

 

「古菲さん!!」

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「うぅ・・・。」

 

 

前にはシードラモン、後ろにはクワガーモン、加えて自分達は身動きが取れない、まさに絶体絶命であった。

 

 

(僕は・・・僕はなんて無力なんだ・・・、生徒を守ることも出来ないで・・・、マギステル・マギにもなれないで・・・、

ネカネお姉ちゃん・・・アーニャ・・・父さん・・・。)

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

恐怖で朦朧とする意識の中、クワガーモンとシードラモンはネギ達に襲いかかろうとした。

 

しかし・・・もう駄目だと思った次の瞬間。

 

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

「「!?」」

 

「えっ?」

 

「ホーンインパルス!!」

 

ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「グガアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

「グギャアアアアアアアアアアアアア!?」

 

ズズーーーーーーーーーーーーーーーン!!

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

 

目の前の2体とはまた違う鳴き声が聞こえた後、激しい轟音と共に吹き飛ぶ自分達を絶望に追いやった2体の怪物が目に入り、

全員が手放しかけた意識は一気に覚醒し、吹き飛ばされた2体に釘付けになった。

 

 

ズシーーーーーン!!

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

 

音のしたほうを見るとそこには。

 

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

吹き飛ばした2体に向かって吼える、オレンジ色の所々に青いラインの付いた体に、角の付いた固い殻の様な皮膚に覆われた頭部、

腕や肩には棘の様に突き出た物があり、鋭い爪と牙を持ち、手には赤いベルトの様な物が巻かれた、恐竜・・・いやジオグレイモンが立っていた。

 

今、地底図書室を舞台に、麻帆良初のデジモンバトルが繰り広げられようとしていた。

 

 

続く

 




次回予告
遂に麻帆良史上初のデジモンバトルが始まった。
しかしイレギュラーの存在が思いもよらぬ展開を呼ぶのだった。
はたしてネギ達は無事に地底図書室を脱出できるのか?
そして勝負の行方は?
次回
デジモンアドベンチャーMAGI
『デジモンバトル!!』
今・・・冒険が進化する。
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