デジモンアドベンチャーMAGI   作:龍気

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久し振りにデジマギを更新します。

後もう1話と番外編を1つ投稿します。


第11話『デジモンバトル!!』

魔法の本を求め、図書館島の最深部地底図書室へと落ちたネギ達。

 

期末試験当日までに、成績を上げる為の勉強と、地上に戻ろうと出口を探そうと行動するネギ達の前に、

森の赤き狩人・クワガーモンと、荒ぶる海の水龍・シードラモンの、2大デジモンが襲い掛かった。

 

初めて見る未知の巨大生物を前に、ネギ達は成す術も無く窮地に追いやられる。

 

だがその時、新たな未来を得た偉大なる龍が姿を現した。

 

 

 

―――『デジモンバトル!!』―――

 

 

 

時間を少し遡り、ジオグレイモンが現れる少し前。

 

 

ばちゃ・・・ばちゃ・・・

 

「や・・・やっと着いた・・・。」

 

「つっ・・・疲れた・・・。」

 

「これは餡蜜一か月は奢ってもらわんと、割が合わんぞ・・・。」

 

 

ようやく縦穴を降り、今しがた下にあった湖に降りて、疲労困憊、ずぶ濡れ状態になりながら地底図書室に辿り着いた太一達。

 

だが本番はこれからであった。

 

 

「うわあああああああああああああああああああ!!」

 

「「「「きゃああああああああああああああああああああああああああ!!」」」」

 

 

それ程遠くない場所から、聞き覚えのある叫び声と悲鳴が聞こえた。

 

 

「今のは!!」

 

「お嬢様!!」

 

「ネギ達だ!!近いぞ!!」

 

 

太一達は悲鳴が聞こえた方へ急いで駆け付ける。

 

そして近くにあった大木の陰に隠れ、様子を窺がった。

 

 

「あれはクワガーモンにシードラモン!!」

 

「と言う事はデジモンか!?」

 

「しかも2体・・・太一さん、あの2体のレベルは?」

 

「2体とも、ジオグレイモンと同じ成熟期だ・・・しかし1体と思っていたが全くの予想外だな。」

 

「水の中に居たので、匂いが上まで来なかったんでしょうね。」

 

「とりあえず・・・アグモン!!リアライズ!!」

 

ギュルルルル・・・

 

「太一!!刹那!!真名!!大丈夫!!」

 

「あぁ・・・なんとかな・・・。」

 

「大丈夫ですよアグモンさん。」

 

「よかった。」

 

「さっそくで悪いんだがアグモン、あれを見てみな。」

 

 

アグモンは太一が指差した方を見ると、少し困った表情で太一の方を振り向く。

 

 

「あれはまずいね・・・。」

 

「あぁ・・・ネギ達とクワガーモンとの距離が近すぎる・・・下手に攻撃なんかしたら皆を巻き込んでしまうな・・・。」

 

「では如何したら!?このままではお嬢様達が!!」

 

「う~~~~~ん・・・・。」

 

 

太一は暫し考える素振りをしながら、クワガーモンとシードラモンを見た。

 

そして考えが纏まったのか、アグモンと刹那達に作戦を伝え様と振り向く。

 

 

「よしっ!!まずアグモンをジオグレイモンに進化させて先行させる、奴等は本能で動くタイプみたいだから、

ジオグレイモンの力を感じ取ったら怯むかもしれない。」

 

「分かった!!」

 

「その後刹那と真名がネギ達を救出、その後逃げながら出口を探して、地上に戻ってくれ。」

 

「承知した。」

 

「太一さんは?」

 

「俺は残ってジオグレイモンと後から行く、お前達が離れた後、奴等が追って来れないようにしないといけないからな、

それにできればあいつ等を大人しくさせて、デジタルワールドに戻す。」

 

「倒す事は出来ないのか?」

 

「今のジオグレイモンと、俺のカードスラッシュがあれば簡単だが・・・できれば倒さずにデジタルワールドに戻してやりたいんだ。」

 

「うん・・・とくに悪性のウイルスに罹って、凶暴化している訳じゃなさそうだしね。」

 

「・・・分かった。」

 

 

真名は少し納得していない表情で答えた。

 

幾つもの魔物の討伐や戦場を駆け巡った彼女からすれば、太一とアグモンのやろうとしていることは甘さ以外の何物でもない。

 

「敵ならば殺す」「立ちはだかるなら殺す」「命を狙うのであれば殺す」そんな世界で生きてきた彼女には太一達の考えが分からなかった。

 

しかし、「分かった」何故そう答えたのかは、彼女自身もよく分からなかった。

 

納得してない表情・・・それは太一達に対してではなく、納得してないのにそう答えた自分自身にであった。

 

彼女は気付いていなかった、太一達の甘さと言う優しさに、それを実現させようとする強さと意志に少しだが、影響され始めている事に

 

 

「太一さん、アグモンさん・・・お気をつけて。」

 

「おう!!行くぜアグモン!!」

 

『EVOLUTION.』

 

ヴオンオンオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

「アグモン進化!!ジオグレイモン!!」

 

 

そして時は戻る。

 

 

「今度は・・・恐竜?」

 

「それはありえません・・・恐竜は・・・既にぜつめ・・・。」

 

「いやっ・・・今はそんな事より・・・。」

 

「こんな怪物が3体も・・・もう完全に絶体絶命の終わりだよ・・・。」

 

 

ネギ達は完全に失望しきった表情で、ジオグレイモンを見た。

 

ジオグレイモンも雪に埋もれて動けないネギ達を見ていた。

 

しかしここでネギ達にとって予想外の事が起きた。

 

 

「・・・・フンッ・・・。」

 

プイッ

 

「「「「「「「えっ?」」」」」」」

 

 

ジオグレイモンはネギ達に興味が無い素振りを見せ、視線をそらし、クワガーモンとシードラモンの方を向き雄叫びを上げる。

 

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

「「!!」」

 

 

ジオグレイモンの雄叫びを真正面から浴び、クワガーモンとシードラモンの2体は竦み上がった。

 

 

「あの怪物が怯えた!?」

 

「あの恐竜の方が強いのかな?」

 

 

その光景に一途の希望が差し込んだと思い、全員の表情は少し明るくなった。

 

 

「でも・・・今私達に興味無いって感じで・・・。」

 

「おそらく・・・拙者達など相手にするまでも無いと思ったんでござらんか?」

 

「くぅ・・・大きいだけの蜥蜴ごときに・・・。」

 

「悔しいアル!!蜥蜴!!私と勝負!!」

 

「やめとくでござる。」

 

「と言うか・・・・動けないし・・・。」

 

「あの・・・もし・・・あの恐竜とあの2体が戦い始めたら・・・。」

 

「「「「「「「・・・・・・・・・・・。」」」」」」」

 

 

ネギの言葉に、全員がその光景を想像し始めた。

 

すると全員の顔が再び青ざめ、何とか抜け出そうと暴れ出した。

 

 

「早く逃げるのよ!!」

 

「あんな怪物同士の戦いに巻き込まれたら絶対に死ぬわ!!」

 

「クワガタ虫は切断!!蛇は雪!!あの恐竜は・・・・。」

 

 

夕映の言葉に一時暴れるのを止め、全員がジオグレイモンの方を見る。

 

 

「がふっ!!」

 

ぼうっ!!

 

 

ジオグレイモンはその夕映の言葉を聞いたからか、ジオグレイモンはワザとらしく、ネギ達に見える様に、

口から軽く炎を出した。

 

それを見たネギ達はもちろん・・・。

 

 

「「「「「「「火いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」」」」」」」

 

 

更に暴れだすのであった。

 

 

「お嬢様!!」

 

「大丈夫か!!」

 

 

そんなネギ達のもとに、刹那と真名が駆けつける。

 

 

「せっちゃん!!」

 

「桜咲さん!?龍宮さん!?どうしてここに!?」

 

 

突然の2人の登場に、驚くネギ達だが、今は説明している暇はない。

 

 

「早く逃げますよ!!うん・・・・・でや!!」

 

ズボッ!!

 

「ひゃあ!!」

 

「ほら先生達も早くそこから抜け出して。」

 

「龍宮さ~~~ん、桜咲さ~~~ん、手伝ってよ~~~~。」

 

 

楓と古菲は何とか自力で出られそうだが、刹那が先に助け出した木乃香以外の残り、ネギ、明日菜、夕映、まき絵は自力では無理そうだ。

 

 

「ネギ先生、神楽坂掴まれ!!」

 

「佐々木さんに綾瀬さんも早く!!」

 

 

何とか雪の中から全員抜け出し、早々とその場から逃げだした。

 

 

「さっ・・・さぶ・・・寒い・・・・。」

 

「うぅ~~~体がすっかり冷えちゃった・・・と言うより凍りかけてる・・・。」

 

「早ようお風呂に入りたいなあ~~。」

 

「おっ・・・お嬢様・・・今はそんなのんきに・・・。」

 

「まあでもこうやって魔法の本も手に入って、あの怪物達から逃げられたんだし、後は地上に戻るだけよ!!」

 

「「「「おーーーーー♡」」」」

 

 

ちゃっかり魔法の本は手放さずに持っていた明日菜に、バカレンジャー達は大いに喜んだ。

 

 

「皆さん!!」

 

「止めておけ刹那、今は逃げる事が先決だ。」

 

「しかし!!」

 

 

刹那は太一と同じく、ズルをしてまで良い成績を取ろうとする明日菜達に怒りを抱いていた。

 

元々曲がった事を嫌う刹那にとって、今の明日菜達はまさにそれであった。

 

加えてその所為で木乃香も巻き込んだ事、そしてそんな彼女達を守る為、太一が残って殿(しんがり)を務めている事、

知らぬ事とは言え、それで喜んでいる彼女達に対して、刹那にはどうしようにも我慢が出来なかった。

 

 

(お前の気持ちは分かるが・・・今は少しでも早く出口を見つけ、彼女達を地上に戻す事を考えろ・・・太一が残った事を無意味にするな。)

 

(・・・・分かった、すまない龍宮・・・。)

 

(気にするな・・・あと私も少なからず彼女達に怒りはある・・・戻ったらすぐに学園長に報告だ・・・。)

 

(・・・・やっぱりお前もか・・・。)

 

(当たり前だ、あんなアホな理由でこんな大変な目にあわされたんだぞ・・・あの本の力を使おうが使うまいが、

お上に報告してそれなりの処罰を・・・フッフッフッ・・・・。)

 

(龍宮・・・・黒いぞ・・・。)

 

「せっちゃん、如何したん?」

 

「いえ・・・少し戦友の黒い一面を感じたもので・・・。」

 

「?」

 

 

真名の出す黒いオーラに若干引きながらも、木乃香の声に応える刹那。

 

 

(太一さん・・・どうか御無事で・・・。)

 

(地上で先に待ってるぞ。)

 

 

太一がいるであろう場所を見て、そう心で呟き、刹那と真名はネギ達と共に離れて行った。

 

 

「よし・・・大分と離れたな。」

 

 

太一は自分の姿が目視されない距離まで刹那達が離れたのを確認すると、ジオグレイモンの隣に姿を現した。

 

 

「いい演技だったぜ、ジオグレイモン。」

 

「あの子達に味方と思わせない様にするのに結構苦労したよ、でも上手くいったみたいだね。」

 

「あぁ・・・後は・・・。」

 

 

クワガーモンとシードラモンは只じっとしていた。

 

本能で動いているデジモンの大抵は、あまりにも自分より実力が上のデジモンと無理に戦おうとはしない。

 

先程のジオグレイモンが雄叫びを上げた時、クワガーモンとシードラモンは感じた。

 

同じ成熟期でありながら、自分達とは明らかに力も戦闘の経験も、そして内に秘めたる力の差に。

 

 

「お前達、何があったか分からないが、俺達がお前達をデジタルワールドに戻してやるから、大人しくしてくれないか?」

 

「ギギ・・・。」

 

「シュル~・・・。」

 

「僕達は君達と無暗に戦う気は無い。」

 

「「・・・・・・。」」

 

(分かってくれたかな・・・。)

 

(でも殺気と闘志も感じないから・・・少なくても戦う気は無いみたいだね。)

 

 

クワガーモンとシードラモンは、互いの顔を見ながら如何するか話し合っている様に見えた。

 

このまま戦わずに大人しくしてくれる事を願う、太一とジオグレイモン。

 

だがその様子を陰で見ている者がいた。

 

 

(・・・・いかんな・・・・奴等の実力を測る為に、“あの者”の計画を利用し、あの2体をこの場に送り込んだが・・・。)

 

 

この人物こそが、この地底図書室にクワガーモンとシードラモンの2体を送り込んだ張本人であった。

 

 

(やはりあの2体では・・・荷が重過ぎたか・・・仕方がない。)

 

 

その者は手の平に、黒い球体を2つ出し、クワガーモンとシードラモンの2体を見る。

 

 

(戦ってもらわねば困るのだよ・・・奴等の力の見る為にな・・・。)

 

ブウウン・・・・・

 

 

その者は2つの黒い球体を、クワガーモンとシードラモンの2体に投げつけた。

 

 

ズシュン!!

 

「「!!」」

 

「!?何だ!?」

 

「太一!!様子がおかしい!!」

 

「あぁ・・・如何したんだ一体!?」

 

ピキューーーーン

 

 

クワガーモンとシードラモンは先程とは違い、殺気を剥き出しにして、ジオグレイモンを睨みつけた。

 

そこで太一は、デジヴァイスNEOのスキャニング機能を使い、クワガーモンとシードラモン何が起きたのか調べ様とするが。

 

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ジェアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「「!!」」

 

 

スキャンの結果が出る間もなく、2体はジオグレイモンに襲い掛かった。

 

 

(見させてもらうぞ・・・お前達の力をな・・・。)

 

 

そして、2体を凶暴化させたそいつは姿を隠した。

 

 

「太一!!こいつ等さっきとはまるで違う!!」

 

「ああ!!雰囲気と言い殺気と言い・・・何よりも!!」

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ガシン!!

 

「うわあっ!!」

 

「ジャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ビシン!!

 

「ぐうっ!!」

 

「・・・・パワーが・・・違う。」

 

 

太一はクワガーモンとシードラモンの力が上がっている事に気づいた。

 

もし最初からこれ程の力を持っているのであれば、ジオグレイモンに怯える事無く、最初から襲い掛かっていたである筈だからである。

 

そしてこれ程の変わり様に、太一もジオグレイモンも疑問を感じていた。

 

すると先程のスキャンした結果が、デジヴァイスNEOのディスプレイに表示された。

 

2体のデジコア、人間で言う核の部分に、強力な謎のウイルスが感染している事が分かった。

 

 

「太一!!こいつ等まさか・・・。」

 

「あぁ・・・予想通り、何か強力な悪性ウイルスに取りつかれている、このまま放っておいたら、この場所だけでなく、

地上に出て暴れ出すかもしれない・・・ここで止めるぞジオグレイモン!!」

 

「分かった!!ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

(でも一体何時・・・もしくは・・・何者かがこの場所に・・・。)

 

 

太一は自分達以外に何者かが居るのではと思い、辺りを見渡すが誰も居ない。

 

思い過ごしかと思いはじめたが、それは正解だった。

 

 

(中々勘がいいみたいだな・・・だがそれだけ、私を見つけ出す力量はまだないか・・・。)

 

 

そいつは不敵に、太一の死角から見下ろし、嘲笑っているかの様であった。

 

その同時刻、ネギ達を連れ、地上への出口を探す刹那達は、滝の裏に非常口を見つけ出していた。

 

 

「皆さん!!ここから地上に戻れるかもしれません!!」

 

「ホンマや!!」

 

「皆行くわよ!!」

 

 

だがその非常口の扉は普通ではなかった。

 

 

「ちょっと待ってください・・・扉に何か書いています。」

 

「何々・・・「問1・英語問題・「read(リード)」の過去分詞の発音は?」・・・って!!」

 

「ちょっと!!これ解かないとこの扉は開かないの!?」

 

「ええ~~~っ!!何それ!?」

 

「そんな事イキナリ言われても!!」

 

 

地底図書室に落とされた時の事もあるか、バカレンジャーの誰もが答えようとしなかった。

 

 

「答えは「red(レッド)」です!!」

 

「桜咲さん!?」

 

 

だが、刹那が速攻問題に答えた。

 

 

ピンポーン!!

 

ゴゴゴゴゴ・・・・・・

 

「おお!!開いたアル!!」

 

 

すると扉は難なく開き、上に伸びる長い螺旋階段が見えた。

 

 

「凄いよ桜咲さん!!」

 

「こんな難しい問題すぐに答えられるなんて!!」

 

「頭良いアルね!!」

 

「感心でござる。」

 

「桜咲さんありがとうございます・・・貴女のおかげで、この難問を解き、地上への道が開かれましたです・」

 

「・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・。」

 

「あはは・・・・。」

 

「・・・あ・・・・あれ?如何したの3人共・・・その哀れみの様な目は・・・。」

 

「後何処か呆れてない?」

 

 

バカレンジャーの言葉に、刹那と真名、そして木乃香の3人は哀れむ様な悲しく、そして呆れた眼差しでバカレンジャーを見ていた。

 

 

「あのな明日菜・・・この問題な・・・別に難しくもないんや・・・。」

 

「「「「「え?」」」」」

 

「この問題・・・中学1年の一学期で既に習ってますよ・・・。」

 

「確かその時の期末試験で、サービス問題として出て、正解率は約99%程・・・男女合わせて殆どの生徒が答えられた、

比較的優しい問題だったらしい。」

 

「「「「「・・・・・・・。」」」」」

 

「あの・・・僕は今年の三学期から来たので、分からないのですが・・・ひょっとしてその・・・問題で正解しなかった1%て・・・。」

 

「・・・・誰かは分からんが・・・噂では5人・・・それも一つのクラスのとある女子達だと聞いた事がある・・・。」

 

「・・・それってやっぱり・・・。」

 

「言わない方がいい・・・時に言わない方が優しさと言う事もある・・・。」

 

「・・・・・はい・・・・。」

 

 

その場に何とも虚しい空気が流れた・・・。

 

いや・・・とある5人にだけ哀しい空気が渦巻いていた。

 

 

「さ・・・・さあ!!皆!!地上への道が開けたのよ!!元気を出して行きましょう!!」

 

「「「「おっ・・・お~~~~~~・・・・・・。」」」」

 

 

バカレンジャーは空元気の声を出し、虚しく重い足取りで階段を上って行った。

 

 

「・・・・これからはなるべく復習する機会と回数を増やそうか・・・。」

 

「あぁ・・・ああは成りたくないからな・・・。」

 

「あはは・・・せっちゃんもキツイ事言うな~~~。」

 

 

刹那達もバカレンジャー達に少し遅れ、螺旋階段を駆け上がって行った。

 

その背後に迫る影の存在に気づかずに・・・。

 

 

「ハアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ブウウウウン!!

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ドガアアアアアアアアアアアアアンッ!!

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

その時太一達は、クワガーモンとシードラモンと本格的なバトルに突入似ていた。

 

ジオグレイモンはクワガーモンの足を掴み振り回して、シードラモンに向かって投げ飛ばし、クワガーモンはシードラモンと激突した。

 

 

「よしっ!!ジオグレイモン、今はクワガーモンにだけ集中しろ、俺がシードラモンを見てるから、動きを見せたらコマンドを送る、

それまでは大したコマンドや補助は無いが頑張ってくれ。」

 

「分かった!!」

 

(2対1の状況で、相手は何らかの力で凶暴化して力も上がってる・・・他に何があるか分からない今は、

お互い其々片方に集中して対処するしかない。)

 

 

太一は一気に2対を相手にするのではなく、自分がシードラモンの様子を見る、ジオグレイモンがクワガーモンの相手をする様に分担した。

 

この2体が何らかの力で凶暴化したのなら、2体を同時に相手するのは危険と判断したのだ。

 

まずはクワガーモンを確実に抑え、次にシードラモンを抑える手筈だ。

 

これにも訳があり、恐竜型デジモンであるジオグレイモンでは、水中を自由に動き回れるシードラモンを相手にするには、

圧倒的に不利になり、絶対的にカードスラッシュの補助がなければ倒すのが難しい相手なのだ。

 

まだカードスラッシュの補助に体が慣れてなく、負担がかかった状態で残ったクワガーモンを相手にするのは不利と判断し、

まだカードスラッシュ無で、倒せる可能性のあるクワガーモンを先に相手にする事にしたのだ。

 

 

「ホーンインパルス!!」

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

バサッ!!

 

ブウウウウウウウウウウウウウンッ!!

 

「ちいっ!!」

 

 

ジオグレイモンはホーンインパルスを繰り出すが。

 

当たる直前、クワガーモンは羽を広げ、空中に逃げる事で回避した。

 

 

「逃がさない!!」

 

バシュ!!

 

「ガアッ!?」

 

 

ジオグレイモンはグレイモンと比べ、スマートで体重は軽く、その為にグレイモンと違い、素早く動け、身軽な動きが可能なのだ。

 

 

ガシッ!!

 

「ギア!!」

 

 

ジオグレイモンは飛び上がり、クワガーモンの足を掴んだ。

 

 

「メガフレイム!!」

 

ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

 

「ギギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

ジオグレイモンはクワガーモンの足を掴んだまま、メガフレイムを放ち、至近距離で弱点である炎の攻撃を受け、

苦しみながら飛ぶが、力尽き地面に向かって落ちていく。

 

ジオグレイモンはクワガーモンが地面に激突する前に、クワガーモンの足から手を離して激突を逃れた。

 

 

「後は「ジオグレイモン右後方!!」!!」

 

バシュッ!!バシュッ!!バシュッ!!

 

「くっ!!」

 

ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

 

太一の声に反応し、ジオグレイモンは素早く避けた。

 

するとジオグレイモンが先程まで立っていた場所に、先端が鋭く尖った巨大な氷の塊が幾つも突き刺さっていた。

 

シードラモンの必殺技「アイスアロー」だ。

 

 

「ジオグレイモン、シードラモンは水の中だ、何所から攻撃が来るか分からない、気をつけろ!!」

 

 

だが太一の忠告も虚しく・・・。

 

 

ザパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「!?」

 

ギュルル・・・

 

「しまっ!!うおあっ!!」

 

ザパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「ジオグレイモン!!」

 

 

シードラモンは水中から尻尾を出し、ジオグレイモンの足に巻き付かせ、水中に引きずり込んだ。

 

 

「まずい!!水中じゃ不利だ!!」

 

 

太一はカードブッカーから一枚のカードを取出し、デジヴァイスNEOにスラッシュしようとした。

 

しかし・・・。

 

 

「ガガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「何!?」

 

 

倒したと思ったクワガーモンが、太一目掛けて突撃してきたのだった。

 

 

「やべえ!!」

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ジャシイイイイイイイイイイイイイイン!!

 

「うひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 

ズズウウウウウン・・・・・

 

 

クワガーモンの攻撃をすれすれでかわす太一。

 

幾つかの木を巻き込み、クワガーモンは後方に飛んで行くも、旋回して戻ってくる。

 

 

「やばい!!これじゃあカードスラッシュする暇がない、どうすれば・・・。」

 

 

その頃、シードラモンに水中に引き込まれたジオグレイモンは、シードラモンと格闘していた。

 

だがそれは一方的な戦いだった。

 

 

(くっ・・・早い・・・。)

 

ぶくっ・・・

 

(そこか!!)

 

ぶわっ!!

 

(いない!!)

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ドシンッ!!

 

「ぐわっ!!」

 

ぶくぐっ・・・・

 

 

背後からシードラモンの強烈な頭突きを喰らい、おもわず閉じていた口を大きく開けてしまい、

口から幾数の気泡が漏れる。

 

 

(マズイこのままじゃ・・・・息がもたない・・・。)

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ビシッ!!バシッ!!ゲシッ!!

 

「うわああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

シードラモンは水中で素早く動き、四方八方とジオグレイモンの死角を突き、頭突きや尻尾で叩き付けたりと、

ジオグレイモンが苦しむのを楽しむかのように甚振る。

 

 

(この!!)

 

ガシッ!!

 

「ギイェ!!」

 

(なめるなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!)

 

ブウン!!ブウウン!!

 

(おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおりゃあああああああああああああああああああああ!!)

 

ブウウウウン!!

 

 

ジオグレイモンはシードラモンの尻尾を掴み、激しく振り回し、水底に向け投げ飛ばした。

 

しかし・・・。

 

 

ブワッ!!

 

「シャアアアアアアアアアアアアアアア・・・・・。」

 

 

シードラモンは底に激突する前に体勢を戻し、シードラモンはジオグレイモンから姿が見れなくなるまでの距離に移動した。

 

水中では水の抵抗があり、ジオグレイモンは思うように動けず力も発揮しない。

 

分かってはいたが、実際水中で戦うとなると想像以上に動き難いものだ。

 

何よりもシードラモンはジオグレイモンが上へ上がろうとするとそれを阻止する動きを取り、呼吸もできない。

 

このままではシードラモンの手にかからずにやられるのは目に見えている、その焦りから冷静な判断ができなくなっていた。

 

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

(何!?)

 

ギュルルルル・・・・

 

「グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

シードラモンはその長い体で、ジオグレイモンの胴体に巻き付き、ジオグレイモンの中に残っている酸素を絞り出すかのように、

凄い力で締め付ける。

 

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

ギリリリ・・・

 

ゴボボボボボ・・・・

 

「ジャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

シードラモンが締め付ける力を強める度に、嫌な音と共に、ジオグレイモンの口から大量の気泡が吐き出される。

 

その気泡が、地上にいる太一に、ジオグレイモンの状況を知らせた。

 

 

「あれは・・・マズイ!!早くジオグレイモンを助けないと。」

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「でも・・・こう!!」

 

ドガッ!!

 

「しつこく付きまとわれたんじゃ!!」

 

ザシュン!!

 

「なにもっ!!」

 

バシュン!!

 

「できなっ!!」

 

シュン!!

 

「いっ!!」

 

バガンッ!!

 

「しっ!!」

 

ドガンッ!!

 

「だあああああああああ!!本当にシツコイ!!」

 

 

クワガーモンの必要以上の攻撃を避けながら如何するか考える太一、結構余裕だな・・・。

 

 

(・・・こうなりゃ・・・危険だけど一か八かやってみるか・・・まだ少し体力が残っている今が勝負だ。)

 

 

太一は意を決した顔で振り向き、迫り来るクワガーモンを真正面から迎え撃つ姿勢を取った。

 

 

「来い!!俺はここだ!!」

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

クワガーモンは真っ直ぐ太一に向かって突撃する。

 

太一は避けようともせず、じっと只その場に立ち、タイミングを計る様にクワガーモンを見ていた。

 

 

(まだ・・・まだだ・・・。)

 

「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

(まだだ・・・もう少し・・・・。)

 

 

クワガーモンの鋏は完全に太一を捕らえ、今にもその体を切断しようと、鋏を閉じはじめた。

 

その時!!

 

 

「今だ!!」

 

パンッ!!

 

ガキンッ!!

 

 

クワガーモンの赤い鋏は完全に閉じ、閉じた時の衝撃で、大量の砂埃が発生した。

 

砂埃の所為で視界が悪く、クワガーモンは自身の鋏の先が見えないでいた。

 

だが確実に何かを切断する感触はしていたのか、クワガーモンは獲物を仕留められた事に、気を良くしたか、

何所嬉しそうに声を上げていた。

 

しかしその喜びはすぐに消えた。

 

 

「ガッ!?」

 

 

砂埃が晴れ、鋏の先に血はおろか、太一の姿が無かった。

 

 

「ここだ・・・。」

 

「!?」

 

 

クワガーモンの顎下に潜り込んでいた、その体を太陽の様に輝かせて。

 

太一はクワガーモンが鋏を閉じきる瞬間、太陽の欠片を発動させ、瞬時に避け、足元にあった木の枝を囮に、

クワガーモンに自分を倒したと思わせたのだ。

 

 

「うおらあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ズドーーーーーーーーーーーーンッ!!

 

「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

太一はクワガーモンの首に、渾身の力を籠め、拳を打ち込んだ。

 

固い殻に覆われたクワガーモンの最も防御が薄い箇所、それは首の内側。

 

太一はそこを狙う為に、あえて危険を顧みずこの手段をとったのだ。

 

自分の最も弱いところに強烈な一撃を受けたクワガーモンは、仰向けに倒れ、首を押さえて苦しんだ。

 

だが太一も苦しそうに膝をつき、息を荒くし、太陽の欠片を解除した・・・いや解けた。

 

 

「はあ・・・はあ・・・やっぱり・・・疲れ切っている時に・・・・これを使うのは危険・・・だな・・・もうまともに動ける気がしない。」

 

 

太陽の欠片を使用すると魔力、体力ともに消費する。

 

修行中とは言え、太陽の欠片の使用に慣れていない太一は、出力調整にまだムラがあり、その消費も激しい。

 

加えて此処まで来るのにかなりの体力を消費し、疲労困憊の状態で太陽の欠片を使えば、まともに動けなくなるのは必然であった。

 

だがそうまでしてリスクを払ったかいはある。

 

 

「だが・・・これで・・・待たせたなジオグレイモン!!カードスラッシュ!!イッカクモン・ミスリルの角!!」

 

 

太一はイッカクモンのカードをスラッシュした。

 

すると水中のジオグレイモンに変化が起きた。

 

 

「ぐうううう・・・!!今だ!!」

 

ドガッ!!

 

「ギャアアアアアアアアアアア!!」

 

 

先程までの苦しそうな表情は一変、地上に居る時と変わらぬ表情となり、こめかみ部分の2本の角が伸びた。

 

そして水の抵抗も無く、スムーズな動きで、巻き付いているシードラモンの頭部にパンチを当て、

シードラモンは締め付ける力を緩めてしまい、ジオグレイモンはシードラモンの締め付けから抜け出した。

 

水系デジモンであるイッカクモンのカードをスラッシュした事で、水中でも呼吸が可能になり、水の抵抗無く動く事ができるようになった。

 

 

「さっきはよくもやってくれたな、次はこっちの番だ!!」

 

 

ジオグレイモンは先程とは違い、素早い動きでシードラモンを翻弄、四方八方から攻撃を仕掛けた。

 

 

ゲシッ!!バシッ!!バキッ!!

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ガシッ!!

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

ブウンブウン!!

 

「ダアリャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ブウウウウンッ!!

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

ジオグレイモンはシードラモンを掴み、何度か振り回した後思いきり投げ飛ばした。

 

先程とは違い、勢いもあり、シードラモンは体制を戻す事も出来ずに、岩に激突した。

 

 

ガキーーーンッ!!

 

「グギャアアアアアアアアアアアアア・・・・。」

 

 

岩に激突したシードラモンは、そのまま倒れたが、よろめきながらもすぐに体勢を立て直し、口を開いた。

 

シードラモン必殺のアイスアローを撃つつもりだ。

 

ジオグレイモンはシードラモンがアイスアローを放とうとしている事を察し、頭部をシードラモン向けた。

 

するとこめかみ部分の2本の角がシードラモンに向かって何度も放たれた。

 

 

「ハープーンバルカン!!」

 

ドシュン!!ドシュン!!ドシュン!!

 

 

イッカクモンの必殺技「ハープーンバルカン」、ミサイルの様に放たれた角がシードラモン目掛け飛んで行く。

 

 

「シャアッ!!」

 

ブワッ!!

 

 

しかしシードラモンはアイスアローを放つのを止め、ハープーンバルカンを避けた。

 

ハープーンバルカンを避けたシードラモンは、ジオグレイモンを嘲笑うかのように見た。

 

しかしハープーンバルカンの本質はここからである。

 

 

パシュパシュ

 

ブワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

 

ドガドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!

 

「ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

 

ハープーンバルカンが割れ、中から緑色のミサイル本体が現れ、軌道を変え、シードラモンへと向かって行った。

 

そしてハープーンバルカンはシードラモンに命中、水中で激しい爆発が起き、水上にも巨大な水柱が発生した。

 

 

「やったか!?」

 

 

巨大な水柱を見た太一は、水中で大きな変化があったと確信し、湖の方へと向かう。

 

しかしその背後にダメージから回復したクワガーモンが襲い掛かろうとしていた。

 

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「くっ!!」

 

 

何とか逃げ出そうとするも、体は思う様に動かず、その場で佇んでしまった。

 

 

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!

 

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

 

だが先程と以上の水柱が立ち昇り、その中からシードラモンが勢いよく飛び出し、そのままクワガーモンと激突した。

 

 

「太一!!」

 

「ジオグレイモン!!無事だったか!!」

 

 

水の中からジオグレイモンが顔を出した。

 

それを見て太一は安心した表情で腰を地に付けた。

 

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

いち早く復活したクワガーモンが、怒りを露わにし、ジオグレイモンへと突撃した。

 

 

「!!ジオグレイモン!!」

 

「おうっ!!」

 

 

太一の掛け声に、ジオグレイモンはクワガーモンに向かって行った。

 

 

ドガンッ!!

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

ジオグレイモンとクワガーモンは激しく衝突し、激しい轟音と衝撃の後そのまま力比べへと移り、押しては押されの激しい攻防となった。

 

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「!!」

 

「危ない!!」

 

 

クワガーモンは必殺のシザーアームズで、ジオグレイモンの頭部を挟もうとした。

 

太一はカードブッカーから1枚のカードを取出し、それをスラッシュした。

 

 

「カードスラッシュ!!カブテリモン・鋼鉄の兜!!」

 

ガキーーーーーーン!!

 

 

太一がカードをスラッシュした後直ぐに、金属が激しくぶつかる様な音がした。

 

音の発生源は目の前の2体。

 

すると何か赤い物が太一の目の前に突き刺さった。

 

クワガーモンの鋏の一部である。

 

シザーアームズを受けたジオグレイモンの方を見てみると、ジオグレイモンの頭部は長い一本の角が特徴の銀色の兜に覆われていた。

 

カブテリモンのカードをスラッシュした事により、ジオグレイモンの頭部の殻がカブテリモンの兜へと変わった。

 

カブテリモンの兜はかなりの強度を誇り、それによってシザーアームズを防ぎ、クワガーモンの鋏を折ったのだ。

 

 

「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

 

自慢の鋏が失われ、その激しい痛みから暴れるクワガーモン。

 

 

バチバチバチッ!!

 

「メガブラスター!!」

 

ドシュン!!

 

 

その隙を逃さず、ジオグレイモンは、カブテリモンの必殺技、強力な電気の球「メガブラスター」を放った。

 

 

ドシャアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「ギギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

メガブラスターを受けたクワガーモンは吹き飛び、項垂れていたシードラモンの近くで止まった。

 

 

「今だ!!ジオグレイモン!!」

 

「メガフレイム!!」

 

ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!

 

 

ジオグレイモンは灼熱のメガフレイムを放ち、クワガーモンとシードラモンの2体を灼熱の炎が包んだ。

 

 

「ギギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ジェアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ジュウウウウウウウウウウウウウウウウン・・・・・

 

 

クワガーモンとシードラモンの叫び声と同時に、その体は0と1に分解されていった。

 

それを太一は虚しくも悲しそうな眼差しで見ていた。

 

 

「太一・・・。」

 

「分かってる・・・あのウイルスはデジコアに完全に感染していて、ワクチンプログラムをアップリンクした程度じゃ元には戻らない。」

 

 

スキャニングの結果、クワガーモンとシードラモンに感染したウイルスはデジコアの深いところまで完全に感染しており、

遺伝子データを壊し、改変する程だった。

 

故に、人間が生まれ持った生涯等を薬で治せないのと同じで、ワクチンプログラムをアップリンクした程度では直せないのであった。

 

だが太一にはもう一つ気掛かりな事があった。

 

それはもう一度生まれ変わった時に、ウイルスによって壊された遺伝子データのまま、この2体が再び生を得る事。

 

デジモンは一度死んでデジタマに戻り、以前の記憶はリセットされるが、元の遺伝子データはそのままなのだ。

 

このウイルスの強さを見れば、壊れた遺伝子データを持ったまま生まれたデジモンは、この2体同様凶暴となり暴れるやもしれない。

 

そう思っていた太一のデジヴァイスNEOが突如光り出した。

 

 

「何だ!?」

 

 

太一がデジヴァイスNEOが光り出した事に驚いていると、消滅途中の2体にも異変が起きた。

 

2体の周りに青い光のコードが突如出現し、消滅が止まった。

 

 

「あれは・・・デジモンの遺伝子データ・・・「デジコード」。」

 

「デジコード・・・・浄化と再生の光・・・「デジコードスキャン」。」

 

 

太一の脳に、デジヴァイスがデジヴァイスNEOに変わった時同様、その機能についての情報が直接入ってきた。

 

太一はクワガーモンとシードラモンが放つ光のコード・・・デジコードに近付き、デジヴァイスNEOをデジコードに翳し、

まるで呪文を唱える様に口を動かした。

 

 

「悪しき意志に侵された、悲しき魂よ、このデジヴァイスの聖なる光にて浄化する・・・・デジコードスキャン!!」

 

ジジジジジジ・・・・

 

 

デジヴァイスNEOのディスプレイから放たれた青白い光にデジコードが触れると、感染していたウイルスが浄化されていくと同時に、

破壊されていたデータの修復も行われた。

 

浄化が終わると、クワガーモンとシードラモンいた所には、2つのデジタマが置かれていた。

 

 

キュイイイイイイイイイイイイン!!

 

 

そしてデジヴァイスNEOのディスプレイから2つの光が飛び出し、太一の手に収まった。

 

その光は、1つはクワガーモンが描かれたカードに、もう1つはシードラモンが描かれたカードとなった。

 

 

「カードになった・・・デジコードスキャンすると、そのデジモンのカードが出るのか?」

 

「太一、大丈夫?」

 

「あぁ・・・大丈夫だアグモン。」

 

 

ジオグレイモンはアグモンに戻り、太一に駆け寄る。

 

太一も無事だと伝え、その場に腰を下ろした。

 

 

「でも・・・かなり疲れたな・・・アグモン、他に何か気配は感じないか?」

 

「う~~~ん・・・何も感じないよ。」

 

「そうか・・・少し休んでから刹那達の後を追おう・・・お前も休んどけ。」

 

「分かった。」

 

 

太一とアグモンは共に横になり休憩をとった。

 

その様子を、気付かれない様に遠く離れた場所から眺める、“元凶”がいた。

 

 

(私が創りあげた、あのウイルスを浄化したか・・・そして強化したあの2体を予想より早く退くとは、

だがそれでいい・・・奴等には強くなってもらわねばならんからな・・・特に・・・八神太一・・・お前にはな・・・。)

 

 

そして元凶はその場・・・いや地底図書室から姿を完全に消した。

 

その頃、地上を目指し螺旋階段を駆け上がっていた刹那達は、途中にある問題が書かれた石の壁を、

問題を解いて・・・行かず、刹那の刀で破壊しながら進んで行った。

 

 

「早く地上に戻りたいというのに・・・・この石の壁は幾つあるのでしょう?」

 

「刹那疲れてないか?」

 

「大丈夫だ龍宮、心配ない(あの人も頑張っているんだ、私も頑張らないと。)。」

 

「せっちゃん、ゴメンな・・・ウチ等がこんなとこに来た所為で、せっちゃん達に迷惑かけて。」

 

「いえお嬢様、気にしないでください、それに私は、私自身が後悔しない為に来たのもあります・・・ですから、

こうしてお嬢様をお救いできた事が、嬉しいのです・・・ですので如何かそんなお顔をしないでください。」

 

「せっちゃん・・・うん、ありがとうなせっちゃん。」

 

 

木乃香の「ありがとう」の言葉に、刹那は笑顔で応えた。

 

その笑顔は、作り笑顔ではない、刹那自身が最近まで忘れ、木乃香の幼い頃よく見た、刹那の自然な笑顔だった。

 

木乃香はそんな刹那の笑顔を見て、全員に気付かれない一筋の嬉しさの涙が、汗と共に頬を流れた。

 

だがその後ろから何かが上がってきた。

 

 

『待て~~~~!!待つのじゃ~~~~~~!!』

 

 

それはクワガーモンによって切断されたはずのゴーレムだった。

 

 

「げっ!!あの石像が生き返った!?」

 

『本を返すのじゃ~~~~!!』

 

「もう来ないでよ~~~~!!」

 

「来るな!!馬鹿石像!!」

 

 

明日菜達はしつこく自分達を追うゴーレムに悪態をつきながら、螺旋階段を急いで駆け上がって行った。

 

 

(危なかった・・・あと少し上から切られていたら、ワシ“自身”の足と永遠にお別れするところじゃった・・・、

でも太一君達が来てくれて一安心じゃ・・・ちと予定と違って・・・刹那君が石壁を破壊してるが・・・。)

 

 

ゴーレムの“中”に入っている人物が、冷や汗を掻きながら、そんな事を呟いていた。

 

 

(・・・・・龍宮・・・・。)

 

(あぁ・・・間違い無く・・・あの人だな・・・。)

 

 

如何やら刹那と真名は、ゴーレムの中に入っている人物がだれか分かった様だ。

 

それをネギや明日菜達に聞こえない様に、ヒソヒソと話しながら走り続けた。

 

 

(何を考えていたかは知らないが・・・今は黙っていよう・・・後で問い詰めた方が何かと面倒事は少ないだろうしな。)

 

(確かに・・・ネギ先生やお嬢様達がいる現状で、問い詰めたところで、面倒事が大きくなるだけだしな・・・。)

 

 

刹那達は今問い詰める事はせず、後で、全てが終わった後で攻め入ろうと、無言で誓い合った。

 

途中夕映が、階段に生えていた木の根っこに蹴躓き、足を挫く等のトラブルがあり、ネギがおぶって行こうとするも、

小柄とは言え、魔法の力が無ければ貧弱なネギでは、夕映をおぶって行く事は出来ず、楓が夕映を抱えて行く事となった。

 

そして携帯電話の電波が入っている事に気付き、地上はもう近いと希望を得て、最後の力を振り絞り走り出す。

 

すると目の前に地上へと行く為の、直通エレベーターがあった。

 

全員が歓喜に喜びながらエレベーターの中に入っていくが、絶望・・・特に年頃の女の子にとって、

ある意味で絶望の音とアナウンスが鳴った。

 

 

ブブーーーーーーーーーッ!!

 

『重量OVERデス』

 

(((いっ・・・・いやああああああああああああああっ!!)))

 

 

そのアナウンスに明日菜とまき絵、古菲の3人は本当に絶望(女の子として)の表情で、声には出さなかったが、

心の中で大いに叫んでいた。

 

 

「地底図書室で二日間、飲み食いしすぎたアルかーーーー!!」

 

「まき絵さん、今何キロです!?」

 

「わっ・・・私はやせてるよっ!!それを言うなら明日菜とか長瀬さんに龍宮さんの方が~~~!!」

 

(私も入っているのか!?)

 

「確かに拙者達は背が高いでござるからな~~~胸も大きいでござるし。」

 

「「「・・・・・。」」」

 

「おや?如何したでござるかバカリーダー?」

 

「まき絵ちゃんも如何したの?」

 

「せっちゃん・・・さっきから黙っているけど如何したん?」

 

「刹那・・・頼むからここでネガティブ状態にはならないでくれ・・・頼むから!!お願い!!本当に!!」

 

「「「・・・・・・。」」」

 

ジ~~~~~~~~・・・・・

 

「「「はぁ~~~~~。」」」

 

 

地底図書室に来てから殆ど運動しないで、勉強ばかりしていたから体重が増えたと大騒ぎ。

 

一部・・・俗に言う貧乳属性にして、それを多少気にしている3名がしばしネガティブとなり、ジ~~~と楓と真名の胸を見た後、

自分の胸を見て、溜息をはき、しばし沈黙した。

 

 

『待て~~~~!!待つんじゃ~~~~!!』

 

「!!あのゴーレムがすぐそこまで来てます!!」

 

「如何するアルか!!」

 

「明日菜今すぐ痩せて!!」

 

「私限定!?そう言うならまき絵ちゃんだって!!」

 

「私はやせてるってば!!」

 

 

ゴーレムがすぐそこまで迫っている事にさらに騒ぎ出すネギやバカレンジャー達だが、2人程、ネガティブ状態から復帰した刹那と、

真名だけが冷静に状況を観察していた。

 

 

「スペースはかなり余っているな。」

 

「加えてこの手のエレベーターは、大量の荷物を運ぶ為や大人数用にと、普通のエレベーターよりは多く乗られる筈、

9人乗っているからと言って、ブザーが鳴るのはおかしい・・・しかも2人程、1人は子供で、あと1人は子供と大して変わらない体型だ、

普通のエレベーターでもブザーが鳴る事はまずないと思う。」

 

 

エレベーターのスペースはかなり余っているのだが、加えて今居る人数と体型を考えても、ブザーが鳴るのはおかしいと判断した。

 

 

「となると、原因は重量では無く・・・また別の・・・。」

 

「あぁ・・・例えば・・・・。」

 

 

刹那と真名は揃って、明日菜の持つ魔法の本へと目をやった。

 

 

「・・・・あの本からは確かに魔力は感じるな・・・・。」

 

「そんな本が、許可無で持ち出し可能だと思うか?」

 

「・・・無いな。」

 

「・・・これは勘だが・・・あの本・・・もしくは持ち出し禁止の書物に対し反応し、エレベーターが動かなくなる仕掛けでないのかと・・・。」

 

「私も同じ事を考えていた・・・それにさっき試に片足だけ出してみたところ、ブザーは鳴り止んだ、

あの本を放り出しても、どのみち動くと思うのだが・・・。」

 

「放り出そう。」

 

「分かった。」

 

 

話し合いの結果、元々自分達とは何の関係の無い、むしろネギ達が図書館島に来て、あげく行方不明、

そして自分達が苦労して救出する羽目になった原因である、魔法の本とそれを探しに行こうと言ったバカレンジャー達に、

少なからず・・・いや結構怒りを抱いていたので、腹癒せ交じりに魔法の本を放り出そうとした。

 

その時、ゴーレムが、その顔が見える所まで近づいてきていた。

 

 

『フォフォフォ・・・追い詰めたぞよーーー!!覚悟するのじゃー。』

 

「キャーーーーーーーーーーッ!!」

 

「来た!!」

 

「・・・・・・・・。」

 

 

するとネギが杖を握りしめ、1人エレベーターから飛び出し、ゴーレムの前に立ちはだかった。

 

 

「ネギ!?」

 

「僕が降ります!!みなさんは先に言って、明日の期末を受けてください!!」

 

「えっ!?」

 

「でもネギ!!あんた魔法が!!」

 

 

そうネギは魔法を封じている為、魔法は使用できない。

 

それはネギ自身がよく分かっているが、ネギを動かす思いがあった。

 

 

(生徒を守るんだ!!たとえ魔法が使えなくても、僕は先生なんだから!!)

 

 

「生徒を守る」その思いが今のネギを動かしていた。

 

 

「ゴーレムめっ!!僕が相手だ!!」

 

『フォフォフォいい度胸じゃ、くらえーい。』

 

 

何処か気の抜ける様な声で腕を伸ばすゴーレム。

 

 

「ネギ!!」

 

 

明日菜は思わず、腕を伸ばし、ネギの右腕を掴んだ。

 

そう・・・ネギの魔法を封印している印がある右腕を・・・。

 

 

パキッーーーーーーーン!!

 

「えっ!?」

 

「何!?何!?この音!?」

 

「みっ・・・耳が・・・。」

 

「これは・・・。」

 

 

明日菜がネギの右腕を掴んだ瞬間、突然激しい光と、決して大きくは無いが、耳に直接入る様な鋭い音が発生し、誰もが耳を塞ぎ、目を閉じた。

 

 

「これは・・・はっ!!魔法を封じた印が消えてる・・・何で!?」

 

『なっ・・・何じゃ今のは?』

 

 

今の光と音で、ゴーレムも怯んでいた。

 

 

(今明日菜さん以外のみなさんも、耳を塞いで目を閉じている・・・今なら!!)

 

『フォ~~~~・・・・。』

 

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル・ウエニアント・スピーリトウス(来たれ雷精)・アエリアーレス・フルグリエンテース(風の精)!!」

 

『フォッ!?』

 

「クム・フルグラティオーニ・フレット・テンペスタース・アウストリーナ(雷を纏いて吹きすさべ南洋の嵐)!!」

 

ビュウウウウウウウウウウウウウウ!!

 

バチバチバチ!!

 

『ちょっ!!ちょっと待つのじゃ!!』

 

 

ネギが呪文を唱え続けるにつれ、風が巻き起こり、バチバチと電気が発生し、次第に強くなっていった。

 

 

「ヨウイス・テンペスターズ・フルグリエンス(雷の暴風)!!」

 

ドシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!

 

『ぎょんわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』

 

 

今ネギが放てる、一番強力な攻撃魔法、「雷の暴風」を真正面から喰らい、ゴーレムは変な叫び声を発しながら、

勢いがあるせいか、壁や階段に当たる度に激しくバウンドし、遥か彼方ならぬ、遥か底へと落ちて行った。

 

 

「・・・・あれ?あの石像は?」

 

 

ちょうど、聴力が回復したのか、全員が耳を塞いでいた手を離し、目を開いて、辺りを見るが、先程まで居た筈のゴーレムがいない事に疑問を抱いた。

 

 

「あっ・・・あのゴーレムは足を滑らして、落ちてしまいました。」

 

「えっ?そうなの。」

 

「案外馬鹿だったアルね。」

 

「何はともあれ、結果オーラいです。」

 

 

ゴーレムがいなくなった事に、バカレンジャー達は喜びに満ちた表情で、互いにハイタッチを交わしていた。

 

だがそんなバカレンジャーを他所に、焦った様にゴーレムが落ちて行った底を見る刹那と真名がいた。

 

 

「・・・・・大丈夫だろうか?」

 

「分からない・・・だが・・・何処かスッキリした自分がいるのだが・・・。」

 

「龍宮もか・・・実は私も何処かスッキリしてる。」

 

「・・・・・。」

 

「・・・・・。」

 

「「まあ、良いか。」」

 

 

良くは無いと思うが、ゴレームの中の人物よ・・・南無・・・・。

 

 

「でも如何しましょうか?」

 

「う~~~ん・・・服を脱いで軽くしようか?」

 

「・・・それしかないかな。」

 

「そんな事しなくても大丈夫ですよ。」

 

「「「え?」」」

 

 

刹那の言葉に、全員が刹那の方を向く。

 

その刹那は、無言で明日菜から魔法の本を取り上げた。

 

 

「あっ!!ちょっと桜咲さん!?」

 

「えいっ。」

 

 

そして刹那は、ぽいっと魔法の本を放り捨て、魔法の本は先程のゴーレム同様、底へと消えて行った。

 

 

「「「「「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」」」」」

 

 

勿論バカレンジャー達は叫び声を上げながら本を取りに行こうとするが、真名が無言で移動ボタンを押して、

扉が閉まり、エレベーターは地上へ向かって移動を開始した。

 

 

「ちょっと桜咲さん!!」

 

「如何してくれるんですか!?」

 

「せっかく手に入れた魔法の本を!!」

 

「これで最下位決定アル!!」

 

「あいあい・・・。」

 

 

勿論刹那に対して抗議を始めるバカレンジャー達だが、刹那は冷めた目でバカレンジャー達を見詰め、

静かに口を開く。

 

 

「元々あの本は持ち出し禁止指定の本、許可無く持ち出したならそれなりの処罰がありますが・・・よろしいのですか?」

 

 

刹那の言葉に、誰も反論できなかった。

 

そんなバカレンジャーに更に追い打ちをかける。

 

 

「加えて、あなた達の事は、すでに先生方に報告してます・・・無断で図書館島への侵入・・・これは不法侵入に値しますね。」

 

「でもそれは・・・私や木乃香は図書館探検部ですし・・・。」

 

「だとしても、それなりの許可は必要な筈です・・・違いますか?お嬢様。」

 

「う~~~ん・・・その通りや・・・。」

 

 

刹那は多少戸惑うも、心を鬼にし、木乃香にバカレンジャー同様に冷めた目で見つめ、木乃香に問い詰めた。

 

(ほう・・・刹那が彼女に対し。あんな態度をとるとはな・・・。)

 

 

真名は刹那の意外な対応に、少し驚いていたが、同時に以前に比べ、接し方の成長と前進している事に感心していた。

 

 

「そして、持ち出し禁止の本を無断で持ち出す事は窃盗罪と何ら変わりません。」

 

「そっ・・・そんな!!」

 

「待ってください!!明日菜さん達の事も聞いて・・・。」

 

「ネギ先生・・・ここに来た理由は理解してます・・・故に許せないのです。」

 

「えっ?」

 

「私も含め、真名も・・・他のクラスの生徒達も、期末試験に向け、限られた時間で勉強をしているのです。」

 

「「「「「・・・・・・。」」」」」

 

「なのにあなた達は、大した努力もしないで、最初からダメだと自分で決めつけ、カンニングと大して変わらない方法で、

楽して良い点を取ろうとした・・・それで良い点を取って、誇れますか?胸を張れますか!!」

 

「「「「「ひっ!!」」」」」

 

 

刹那の怒声に、バカレンジャー達は竦み上がった。

 

 

「ネギ先生・・・貴方もです。」

 

「えっ!?ぼ・・・僕も?」

 

「貴方は先生です・・・故に生徒が違反する行為を取ったら、止めるべきではないのですか?」

 

「あっ・・・あうぅ・・・。」

 

「ちょっと桜咲さん!!ネギは関係ないわ!!ネギは私が無理やり・・・。」

 

「それでも止められなかったら結果は同じです。」

 

「うっ・・・。」

 

「ネギ先生・・・貴方が止めていれば、この様な事態は回避できた・・・違いますか?」

 

「・・・・はっ・・・はい・・・。」

 

「それに・・・今の話を聞く限りでは、ネギ先生は魔法の本の“不思議な力”による、最下位脱出をはかろうとした彼女達の話を聞いて、

彼女達を止めようとした素振りを見せてない様ですが・・・如何なのですか?」

 

「えっ?そ・・・それは・・・。」

 

 

刹那の読み通り、ネギは明日菜達の目的が魔法の本の力で最下位脱出と聞いた時、自分の為にと勘違いし、

止めようともしなかった。

 

これがもし、出来の良い参考書等であればまだ良いが、その名の通り不思議な力が宿る魔法の本であれば話は大きく変わる事となる。

 

それは刹那が言ったとおり、カンニングと大して変わらない。

 

それを止めなかったネギは、言わば彼女達のカンニングを認めた事となるのだ。

 

 

「例えまだ正式な教師ではないと言っても、教師が生徒のカンニングを認めて如何するのですか!!」

 

「あうぅ・・・僕は・・・僕は・・・。」

 

 

何とか弁解の言葉を出そうとするが、刹那の怒気と、言い逃れの無い的を射た正論の前に、ネギは何の言葉も浮かばず、

刹那の目をまともに見れず、顔を下に向けて、オウムの様に「僕は」と、段々と小声になりながら呟いていた。

 

 

「ですが・・・起きてしまったものは仕方がありません・・・地上に戻って、期末試験が終わったら、

全てを話、叱るべき処置を受けてください・・・それが担当教師の・・・先生としての責任です。」

 

「・・・・はい。」

 

「ネギ・・・ごめんね。」

 

「私が魔法の本の話なんてしたばかりに・・・ごめんなさいです。」

 

「ネギ君・・・私達の所為で・・・ごめんね。」

 

「すまないアル、ネギ坊主。」

 

「未熟・・・すまん・・・ネギ坊主。」

 

 

言いたい事を言い終え、刹那は壁にもたれて俯いた。

 

 

「刹那・・・今回はお前らしくもなかったな。」

 

「別に・・・太一さんが居たら、言うと思った事を言ったまでだ。」

 

「・・・確かに・・・彼がここに居たら、お前と同じ事を言っただろうな。」

 

「あぁ・・・。」

 

 

気まずい空気のまま、エレベーターは地上に着いたのか止まった。

 

外に出た時には既に夕方で、夕日がまぶしかった。

 

 

「やっと戻って来れた・・・・そうだ太一さんに連絡しないと。」

 

「えっ?太一さんに?」

 

「ああ・・・太一も君達の救出に協力してな、二手に分かれて君達を探索してな、まだ地底だ。」

 

「ええっ!?」

 

 

太一が自分達の救出に参加していた事も驚きだが、まだ地底にで残っている事に更に驚きの声を上げるネギ達であった。

 

 

「ははは早く助けに行かないと!!」

 

「そうよ!!あの怪獣達が居るのに、そんな場所に1人で居るなんて!!」

 

 

ネギ達は太一を救いに行こうと、エレベーターに突入しようとするが、刹那と真名が止める。

 

 

「安心しろ、あの怪物達が居た所とは正反対の方に行ったし、非常口付近に目印を置いていおいたから、

気付いてもう非常口に居るだろう。」

 

「でっ・・・でも。」

 

「あっ!!太一さんと連絡が取れました。」

 

 

太一を迎えに行こうと、問答するネギ達を他所に、刹那は無線通信機を通じ、太一と連絡が取れたらしい。

 

 

「太一さん?ご無事ですか?」

 

『あぁ・・・俺とアグモンは無事だ・・・刹那達の方こそ大丈夫か?』

 

「はい、私や真名もそうですが、お嬢様にネギ先生達全員無事です。」

 

『それは良かった・・・。』

 

「これから少し休んでから、予定通り明日に向け勉強しますので、太一さんも後から来てください。」

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

 

刹那の言葉にバカレンジャー達は、信じられないと言った顔で刹那を見た。

 

これはネギ達の救出を始める前から決めていた事なので、真名も太一も分かっていた事。

 

あんな状況からやっと戻って来たのに、この後直ぐに勉強をするなんて、抗議しようと刹那に近寄ろうとしたが。

 

 

「君達救出の為に、私と刹那、そして太一も勉強を中断してまでしたんだ・・・まさか断らないよな?

犯罪者予備軍達?」

 

「「「「「ご一緒させていただきます(アル)(ござる)!!」」」」」

 

「あはは・・・のどかにパルも呼ばんとあかんなあ~。」

 

 

真名の冷たくも、何処か黒い言葉に、バカレンジャー達は素直に従うことにした。

 

 

「では・・・えっ?何ですって。」

 

「如何した?」

 

「いや・・・太一さんが・・・何だか・・・戻れないと。」

 

「何?太一、如何言う事だ?」

 

『いやな・・・アグモンにお前達の匂いを辿ってもらって、非常口まで来たんだけど・・・その・・・階段が・・・見事に破壊されてて登れないんだ。』

 

「「あっ。」」

 

 

ネギがゴーレムを吹き飛ばした事によって、上から螺旋階段を破壊しながらゴーレムは落下していき、

太一が着いた時には既に階段を登れる状態ではなかった。

 

 

『俺達は別のルートで帰るから・・・アグモンも疲れてて、飛んで行くのは少し無理だ・・・何とか間に合って見せるから、

刹那達は気にし・・・。』

 

『ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!』

 

『ガハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?』

 

『バタンッ!!』

 

『太一いいいいいいいいいいいいいいいいいい!!』

 

「如何した太一!?」

 

「太一さん!?」

 

 

突如、通信機の向こうから何かがぶつかる音が聞こえたと思ったら、太一の悲鳴が聞こえた後に、

倒れる音とアグモンの太一を呼ぶ叫びが聞こえたので、何事かと真名と刹那は声を荒げて、太一の名を呼んだ。

 

 

「どっ・・・如何したんですか!?」

 

「せっちゃん、太一君がどないかしたん?」

 

「いえ・・・なんか・・・階段が派手に破壊されてて登って来られないと・・・。」

 

「階段が・・・。」

 

「・・・破壊されて・・・・・あっ!!」

 

 

ネギは階段が破壊されている心当たりがありすぎて、冷や汗を流し、刹那達から目を逸らし、「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」と、

小さく何度も呟いていた。

 

 

(アグモン・・・一体何が起きた?)

 

 

真名はネギ達に聞こえない様に、小声でアグモンに何が起きたのか聞いた。

 

 

『あっ真名!!いきなり上から黒い大きめの本が落ちてきて、それが太一の頭に当たったんだ、しかも角で!!』

 

(・・・・黒い大きめの本・・・・。)

 

 

その本について大きな心当たりがある真名は、ゆっくりと刹那の方を見た。

 

 

「はっ・・・ははは・・・ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・。」

 

「あぁ・・・・。」

 

 

太一に何があったか聞こえたのか、刹那は顔を青褪め、乾いた笑いの後に、ネギと同じ状態になった。

 

 

(・・・アグモン・・・こっちは私達で何とかする・・・君は太一と共に何とか脱出してくれ。)

 

『分かった。』

 

(こっちもあっちも大変だな・・・・さて・・・明日は如何なる?)

 

 

期末試験まで後15時間・・・果たして太一は間に合うのか?そしてバカレンジャー達の勉強は?一体如何なるのやら。

 

 

続く

 

 

 




次回予告
様々な出来事があったバカレンジャー達に、
ついに期末試験当日がやってきた。
果たして学年最下位脱出は成るか?
そして太一は無事なのか?
次回
デジモンアドベンチャーMAGI
『信じられぬ結果。』
今・・・冒険が進化する。

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