デジモンアドベンチャーMAGI   作:龍気

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これを書き始めたころからアンチ物に目覚めたな・・・。


第13話『魔法使いの視線』

地底図書室に落ちたネギ達を救出し、期末試験を終えた太一達。

 

しかし無事とは言えず、無断で図書館島に入った事で処罰を受ける事となった太一達であったが、如何やら問題はこれだけではないようだ。

 

人は自分とは違う力を持つ者を恐れ、自分と違う考えを・・・正義を持つ者を悪と忌み嫌う。

 

そして悲劇は起きる。

 

 

 

―――『魔法使いの視線。』―――

 

 

 

場所は麻帆良学園学園長室、此処では今麻帆良学園在住中の魔法先生と魔法関係者達による定期集会が行われているが、

今回の集会は少し様子がおかしかった。

 

 

「学園長!!あの様な子供にネギ君を任せてはネギ君の評価が地に落ちてしまいます!!」

 

「それに彼は魔法使いではありません!!我々の様な真の正義の教えを受けていません!!」

 

「聞けば彼はネギ君の修行の妨げになる事をしたと言うではありませんか。」

 

「確かに彼の持つ、太陽の欠片は素晴らしい力ではあります、しかし彼の主な戦いは、あのデジモンとか言う化け物を支援した、

我々とは全く違う異端の力。」

 

「ちゃんとした教えを受けてない彼が、我等正義の魔法使い達に牙を向けるかもしれません!!」

 

「・・・・・・・・うむ・・・・・。」

 

 

「この者達は何を言っているのだろう?」と近右衛門は目の前で抗議している、麻帆良在住の魔法使い達、

その殆どが、ネギと同じ魔法先生であり、マギステル・マギを志す・・・・“正義”の魔法使い達を見ていた。

 

彼等は自分達、と言うよりは「魔法使いの存在意義」、「魔法使いの本質」と掲げる、“正義”に執着している狂信者でもあった。

 

彼等は近右衛門とネギを陰ながらサポートすると契約した太一を良く思っていなかった。

 

その要因は、太一のパートナーのアグモン・・・と言うよりは、デジモンと共に戦う事にあった。

 

彼等は「魔法使い=正義の使者」だけでなく、魔法もしくはそれに携わる力は「正義の力」と称えている。

 

魔法の力に偏った考え故に、その他の力を忌み嫌い信用してない者が殆どであった。

 

彼等は魔力を使用し、魔に対して絶大な効果を出す太陽の欠片の力に、“正義の力”と評し評価しているが、

太一は主にアグモンを進化させ、その支援をする事で戦っている事を快く思っていない。

 

「何故正義の力である太陽の欠片だけで戦わない?」、「何故それ以外の力で戦う?」と思う者が多数を占めている。

 

そしてそんな太一に、自分達の憧れである英雄、ナギ・スプリングフィールドの子であるネギを任せる事が何よりも気に食わなかった。

 

そして彼等がこの場に集まってこの様な事を言い合っているかと言うのも、前回のネギと2-Aの生徒数名が、

夜の図書館島に忍び込み、持ち出し禁止指定の禁書を持ち出して期末試験を受けようとした事を、

太一(正確には刹那と真名を含め)が咎めた事で、表の立場上でネギの処罰に賛同しかねなく、ネギの正式な教員採用は延期となり、

来年度には正式な教員と採用しても、来年度の3-A副担任止まりとなった事が原因だ。

 

その結果ネギの修行の妨げとなったと訴えているのである。

 

だが太一のとった行為も、今回の処置も、言い様の無い正論な事なので、裏だけでなく表でも治める立場である近右衛門は、

彼等の意見に賛同できなく、自分の計画した事ではあるが、結果的にデジモンに襲われると言う予想外の事態にネギ達は陥った。

 

そのネギ達を救ったのもまぎれもない太一達なので、そんな太一達を咎められない故、言葉選びに慎重になっているのだった。

 

 

「うむ・・・太一君が太陽の欠片ではなく、アグモン君・・・デジモンの力で主に戦うのは、太一君自身の戦闘経験は皆無、

神鳴流の様な魔との戦闘に長けた流派に入っている訳でも無い故でもあり、太一君がまだ太陽の欠片の力に目覚めて日が浅く、

今はその力を完全に扱えれるように修行中である事もあって、戦闘時にはそんな不安定な力よりは、

アグモン君を支援しての戦いが、彼にとって最も生き残れ、事を終える自信がある故じゃ、君達も扱い慣れない新しい魔法で戦うよりは、

扱い慣れた魔法で戦った方が、安心するじゃろうに?」

 

「そ・・・それはそうですが・・・。」

 

「それに彼も高畑君の指導の下、太陽の欠片の扱いも上達しとるし・・・のお?」

 

「えぇ、彼はとても呑み込みが早く、魔力の扱いにも慣れてきて、使用時での魔力と気の消費も減ってきましたし、

これから戦いの時は、積極的に使うと思います。」

 

「うむ、聞いての通りじゃ、それに彼にネギ君の事を依頼したのはワシじゃ。」

 

「しかし・・・。」

 

「ふむ・・・・君達はワシの目で見て選んだ彼を信じられぬと?すなわちワシが盲目しとると言いたいのじゃな?」

 

「いっ・・・いえそんな・・・・。」

 

 

近右衛門の言葉に、その魔法先生は何も言えなくなりたじろぐ、それを見た近右衛門はこの話を終わらすべく、

ある提案を持ち出した。

 

 

「ではこうしよう、君達は太一君と殆どと言っていい程、接してはおらん、故に彼の事を知らぬ。」

 

「は・・・はぁ・・・・まあそう言われればそうですが・・・・。」

 

「そこで、本日の狩り(警備)には、君達の誰かと指導している魔法生徒達、そして太一君でチームを組んでやってもらう。」

 

「えっ・・・いやそれは・・・危ういのでは、本来のチームを崩して殆ど接点の無い者とチームを組むのは・・・・。」

 

「ふむ・・・・君いう事も最もじゃが、このままにしとく方がもっと危ういわい(いつ暴走して太一君に食って掛かるかもしれんしの。)、

教師が碌に見ずに生徒を自分の物差しだけで図るのは悲しい事じゃ・・・これは魔法関係だけでなく、

良き教師と生徒の関係性を築く為でもあるのじゃ。」

 

 

そこまで言われると、誰も意見を言わなくなり、正論でもある故黙って従う事となった。

 

 

「うむ・・・・では、まずはガンドルフィーニ君とその指導しておる魔法生徒2人、そして神多羅木君に刀子君、

この5人が本日太一君と組んで狩りを行う、良いな?」

 

「「「はい。」」」

 

 

近右衛門に名前を呼ばれた3人は、近右衛門の前に立ち静かに頷く。

 

ガンドルフィーニとその下で修業をしている魔法生徒である2人は、いわば反対派の魔法使い代表として選考。

 

神多羅木は中立側の魔法使いとして、刀子は神多羅木とチームを組んでいる事もあるが、神鳴流剣士であり、

魔法関係者として見極める為に先行された。

 

ここで今回の麻帆良学園在住魔法使い達の集会が終ろうとしたその時、学園長室の扉が勢いよく開かれた。

 

 

バンッ!!

 

「そのチームに、私達も加えてもらえるかな?」

 

「エヴァ!?」

 

「学園長先生に高畑先生、それに他の先生方、こんにちは。」

 

 

扉の向こうには、エヴァと茶々丸の2人(1人と1機か?)が立っていた。

 

エヴァは他の魔法先生達の視線を気にせず、真っ直ぐ堂々と近右衛門の前まで歩いて行った。

 

 

「当初の予定では、刹那と真名だけでなく、私とも組ませる予定だったんだ、別に構わないだろう?」

 

「し・・しかしのぉ・・・。」

 

「私も少しあの小僧に興味が湧いてな・・・丁度良い機会だから私も参加させてもらう。」

 

「すみません学園長先生、マスターは一度言い出すと聞かなくて、ですがマスターが他の異性に興味を持つのは、

これまで無かった事ですので、できれば今回の申し出を受けてはもらえないでしょうか?」

 

「茶々丸ううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅ!!誤解を招く様を事は言うな!!」

 

「・・・・違うのですか?」

 

「違うわ!!何だ今の間は!?何でそんな意外そうな目で私を見る!?私はあの小僧の戦い方と考え方に興味を持っただけだ!!」

 

 

毎度お馴染み主従漫才を披露するエヴァ&茶々丸に、その場にいる全員目を点にして、呆然としていた。

 

 

「うむ・・・まぁ、太一君も初見の者達だけで組むよりも、顔見知りがいれば何かとやりやすいじゃろう。」

 

「ちょ・・・ちょっと待ってください学園長!!何も闇の福音と組まなくても!!」

 

 

黒人風の魔法先生、ガンドルフィーニがその決定に異議を唱え、近右衛門に詰め寄る。

 

彼もどちらかと言えば、魔法使いの掲げる正義に執着している側で、頭も固くて他の意見を受け入れがたい人物だ、

そんな彼が、世間的には悪の魔法使いであるエヴァとチームを組めと言われれば、この行動は当然だった。

 

そしてネギの事を異様に期待している事もあり、今回の件で太一を否定している人物の1人であった。

 

 

「ふむ・・・、君の言いたい事も分かるが、お互いの蟠りを解消できるかもしれん良い機会じゃし、良いではないか。」

 

「しかし!!」

 

「今回の話はこれで終わりじゃ、太一君にはワシの方から伝えておく、以上じゃ。」

 

 

近右衛門が閉めの言葉を言い終えると、誰も何も言わなくなり、各々、特にガンドルフィーニは納得のいかないまま渋々と、

タカミチと2人の魔法先生を残し学園長室から出て行った。

 

 

「ふう・・・まったく皆頭が固くて困ったもんじゃ。」

 

「・・・・・・。」

 

「どうかしたかの?タカミチ君。」

 

「いえ・・・・この様な事、あの人達は望んでいなかったと思うと・・・・そして僕自身にも・・・。」

 

「・・・・それが組織に属する者の定め、例え大事なものを失う事となってしまってもの、下の者は上の命をこなさねばならん。」

 

「ネギ君の為に・・・僕は師の願いを・・・・。」

 

「それを言うならワシは自分の孫娘をの・・・そして教育者にあるまじき事を・・・・すまぬの明石君。」

 

「いえ・・・私も同罪ですよ・・・・他の魔法先生と違ってそこまで偏ってはいませんが・・・未来の英雄の力に、

私の娘が力になるのでしたら・・・・。」

 

 

眼鏡を掛けた黒髪の中年男性、麻帆良大学に教授として勤めている魔法先生にして、太一のクラスメイトの「明石裕奈」の父、

明石教授は少し神妙な表情で、そして申し訳ななそうな声で答えた。

 

 

「明石教授、そんなに気を落とさないでくださいよ、それに・・・ひょっとしたら巻き込まれないかもしれないじゃないですか。」

 

 

狐目の若い男性、中学教師の魔法先生の「瀬流彦」が明石教授を励まそうと言葉を発するが、やはり自分の娘の事である故、

苦笑いで返す明石教授。

 

 

「ところで、瀬流彦君から見て太一君は如何見えるのかね?」

 

 

瀬流彦は魔法先生の中で新参なので、他の魔法先生達よりは柔軟に物事を捉える事の出来る人物故、太一の事も他の魔法先生達とは違う見方をしていた。

 

 

「そうですね・・・普段の様子でしたら、たった1人だけ男と言う環境の中で、不貞腐れる事無く他の生徒達とも接していますし、

リーダーシップがある様で、皆を纏めて行く感じが見られますね・・・・・他の皆さんが言う様な事も無く、

むしろネギ君の見本として良いと思いますね。」

 

「娘も時々電話で彼の事をよく話してますね・・・父親として異性との話を聞かされるのは考え物ですが、

話を聞く限りはネギ君とは別の意味で良い子・・・生徒だと思いますね。」

 

「ふむ・・・太一君はデジタルワールドで仲間と共に冒険し、色々と苦悩と危険な目にあいながらもそれを乗り越えて来た、

その経験から太一君にはワシ等魔法使いにはない物を持っとる、それがネギ君に良い影響を与えてくれると思っとる。」

 

「ですが、その為にも他の魔法先生との蟠りを取り除くことが必要ですね。」

 

「うむ・・・だが太一君なら大丈夫じゃろう・・・。」

 

「えぇ・・・そうですね。」

 

「ところで・・・・新学期からの3-Aの担任じゃが・・・誰か適任者はおらんかのぉ?」

 

「う~~~ん・・・魔法先生に頼むのが一番ですが・・・・それだとネギ君を贔屓してしまうし・・・太一君達も納得しないと思います。」

 

「だからと言って一般人の先生に任せるのはちょっとまずかも知れませんしね・・・。」

 

 

近右衛門達は新学期からの担任を誰にするか悩み始めたが、そんな近右衛門達に明石教授が助け舟を出した。

 

 

「学園長、その件で1人適任かと思う人がいるのですが・・・。」

 

「ほう?それは誰かね明石君。」

 

「私の大学時代の先輩で、一般人ですがこちら側に関しても知識がある人です、大学教授ですがつい最近論文の発表も終わり、

1年以上先は予定が無いと言っていましたから、おそらくは・・・。」

 

「で・・・その教授の名は?」

 

「はい・・・その人の名は・・・。」

 

 

果たして新学期で太一達の担任となるのは一体誰なのか?そして太一達に何をもたらすのか・・・・その時になるまで誰にもわからない。

 

場所は変わり、女子中等エリアでは2人の女子が話し合っていた。

 

 

「愛衣、ガンドルフィーニ先生から、今夜の狩りには神多羅木先生に葛葉先生、それに・・・・闇の福音とその従者、

そして私達の憧れで、正義の味方であらせられる、あの英雄、ナギ・スプリングフィールド様のご子息の、

ネギ先生の修行の妨げを行った八神と言う男子生徒と一緒に行う事になりましたわ。」

 

「あ・・・あの八神先輩とですか?お姉様。」

 

 

1人は聖ウルスラ女子高等学校の制服を着た、「高音・D・グッドマン」・・・・女性なのに“マン”?

 

もう1人は女子中等部の制服を着た「佐倉愛衣」。

 

2人共ガンドルフィーニの指導を受けている魔法生徒で、愛衣の方はともかく、高音は指導者譲りなのか、

ガンドルフィーニにも劣らない正義に執着した頭の固い堅物であり、ガンドルフィーニと同じく、太一に良い印象を持っていない。

 

 

「あの駄男を知っているの?そう言えば学園は違えど、あなたと同じ学校でしたわね、あなたから見てあの駄男はどんな男なの?」

 

「駄男って・・・そうですね・・・、八神先輩は私達同学年の間では“良い先輩”で有名ですよ。」

 

「良い先輩?そんな事あるわけないわ、良い人なら何故ネギ先生の修行の妨げになる様な事を。」

 

「えっと・・・私のクラスの人が、前にガラの悪い人達にその・・・しつこくナンパをされて困っている時に、

八神先輩が助けてくれたりとか・・・前に私も、1人で体育の時間で準備して困っていた時に手伝ってくれたりとか、

兎に角後輩の面倒見が良いって評判ですよ。」

 

「ふ~~~ん・・・ですが、それがその人の本当の姿とは言い切れません!普段は良い人ぶっているほど、

裏ではとんでもないあ「ぬぅえぎゃああああああああああああああ!!」「ごめんなさあああああああああああい!!」何事ですの!?」

 

「あっ!八神先輩とネギ先生です。」

 

 

高音が何かを言おうとした瞬間、辺りに響く様な大声に驚き、舌を噛みそうになった。

 

そして声の聞こえた方を見ると、鬼の様な顔でネギを追い掛け回すボロボロの太一の姿があった。

 

 

「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!」

 

ブワッ!!

 

「あっ!!待ちやがれ!!」

 

 

そして太一に追いかけられているネギは、杖に跨って空を飛び、猛スピードで何処かへの彼方へと消え去った。

 

 

「あのアホ!!むやみやたらに空を飛ぶな!!他の人に見られたらどうするつもりだ!!」

 

「あの・・・八神先輩。」

 

「ん?君は・・・確かこの間の。」

 

「はい!1年の佐倉愛衣です!先日体育の授業の準備を手伝ってくださって、ありがとうございます!」

 

「いや・・・お礼言われるような事は・・・それに女の子1人でハンマー投げの用意をするのは無理があるし時間がかかるから、

今度からは無理せずに友達にも頼んでやれよ。」

 

「はい!」

 

 

中学生の、しかも女子中の体育の授業でハンマー投げって・・・まあこの学園なら何でもアリだろう。

 

そんな会話をしている2人に高音が近づく。

 

 

「お話の最中ですが、あなた・・・如何言うおつもりなのかしら?」

 

「おっ・・・お姉様!」

 

「えっと・・・ウルスラ女子高の人ですよね?お姉様って事は、この子のお姉さんですか?」

 

「いえ、実姉ではなくて従者で・・・私がお姉様に憧れていまして・・・尊敬の意味でお姉様と呼んでいるのです。」

 

「初めまして高音・D・グッドマンですわ。」

 

「八神太一です・・・それで、どういうつもりとは?」

 

「他に誰も居ないですから、言っておきますと、私達もネギ先生と同じ魔法使いです。」

 

「はぁ・・・・。」

 

「驚かないのですか?」

 

「あぁ、気配と纏っている魔力の感じからして、魔法使いだなとは予想していたからな。」

 

「なっ!?」

 

「ほぁ・・・凄いです。」

 

 

高音達や他の魔法使い達(ネギは除く)も、普段は魔力を抑え、魔力が体外に漏れて外部から来た魔法使いや一般人等にバレない様にしている。

 

それは魔法の秘匿だけでなく、余計な闘争や混乱を防ぎ、魔法使いとしての個人を保守する意味を含む。

 

指導を受けている最中の高音と愛衣でも、上位の魔法使いでなければ見破れない位には抑えているが、

魔法を知ってそんなに間の無い太一に見破られて、驚愕する2人であった。

 

 

「あの・・・如何して分かったのですか?」

 

「う~~~ん、魔力は大小様々で誰もが持っている物だろ?魔力の流れや纏わっている感じを見てみれば、

鍛えた者とそうでない者とに見分けられる。」

 

「つまり八神先輩は、魔力の強弱で相手を判別するのではなく、魔力の抑え方を見て判別している事ですか?」

 

「そう言う事、魔力の扱いに長けているほど、外に漏れている魔力は少なく、流れもスムーズだからな、

一度じ・・・学園長と自分の魔力の流れを比べてみな、この学園で一番の魔法使いだけあってムラが無くて良い手本になると思うぜ。」

 

「はぁ・・・勉強になります。」

 

(・・・・何なのですの?これは?何故ついこの間魔法を知ったばかりの男の、しかも年下に何故私達が魔力の扱い方を口授されている形になっているのかしら!?

それに・・・心なしか愛衣のこの男を見る目が、私に向けられる目と違う様な・・・羨ましい様な・・・。)

 

 

高音は太一が自分より魔力の感知能力が長けている事だけでなく、愛衣から向けられる尊敬の眼差しに、

嫉妬を抱きだしていた。

 

 

「おほん!話が反れましたわね・・・ネギ先生を怒鳴りながら追い掛け回すなんて、何をお考えです!!」

 

「えっ?・・・まぁ・・・あいつを追い掛け回したのは・・・・。」

 

 

高音が物凄い腱膜で詰め寄って来たので、たじろぎながらも、太一はネギを追い掛け回した経路を話し始めた。

 

時間は十数分前に遡り、2-Aの教室にて太一は刹那と真名、レイと共に教室の掃除をしていた。

 

 

「さてと・・・大方片付いたな。」

 

「後はゴミを纏めて・・・あっ!すみません、ゴミ袋がキレてしまってました。」

 

「じゃあ私、職員室に行って貰って来るね。」

 

「すまないレイ、足が悪いのに手伝ってもらって。」

 

「気にしないで真名ちゃん、さすがに3人だけじゃ大変だし、それに私がやったのは窓拭き程度だけど・・・。」

 

「それでも助かったよ、ありがとうレイ。」

 

 

本来なら太一と刹那に真名、それにエヴァと茶々丸の5人で教室の掃除をする予定であったが、

掃除開始早々エヴァと茶々丸は用事(学園長室の茶番に乱入)があると言い、太一達に掃除を押し付けて教室から出て行った。

 

それを見たレイが手伝ってくれたおかげで思っていたよりも早く進み、もう少しで帰れると思ったその時、

彼等に不幸を招く者が教室に入って来た。

 

 

「あっ・・・あの、何か手伝える事はありませんか?」

 

 

ネギであった。

 

ネギはあの一件以来、何かと太一達に「何かやれる事は無いか?」と事有る毎に手伝おうとして来る様になった。

 

自分達の所為で太一達までも処分を受ける事となった事に責任を感じ、その罪滅ぼしに何かをしたいと思っているのだろう。

 

だがそれは今だに成熟されてはおらず、殆ど既に終わった後か、勉強や係の仕事等自分自身でやる事なので、

断ったり、諦めてもらったりとしていた。

 

そして今回の掃除も、もう保々終わりなので、ネギにはやる事が無いから今回も諦めてもらおうとしたが、

ネギは話を聞いてはいるが聞いてはいない様だ。

 

 

「いや、あのなネギ、もう殆ど終わったから、ネギは何もしなくていいんだよ。」

 

「でっ・・・でも、僕にも何かお手伝いできる事がある筈です・・・・。」

 

(と言われてもな・・・・床も窓も拭き終ったし、黒板も綺麗だ、黒板消しも叩いても粉は出ない位綺麗にした、

机も元の場所に戻したから、後はレイがゴミ袋を持ってきて、それにゴミを入れて学校を出るついでに焼却炉に持って行けば、

今日の掃除は終わるから・・・正直本当にやる事が無い。)

 

 

先程から何回この様な会話と同じ考えを延々と繰り返し、疲れたのか太一は、刹那と真名に代わってくれとアイコンタクトを送った。

 

太一からのアイコンタクトを悟った刹那と真名は、太一と交代してネギの相手をするが、これが最初の不幸の幕開けとなる事に、

この時は誰も知るよしもなかった。

 

 

「あのですねネギ先生、もう掃除は殆ど終わったので、後は学校を出るついでにごみを焼却炉に持っていくだけですので・・・。」

 

「じゃあ僕が持っていきます!」

 

「いや・・・先生、それをやらせると丸で私達が子供をいじめている様に見られるから、それは止めてくれ。」

 

「うぅ・・・・でも・・でも!」

 

 

何がでもなのだろうか?

 

ネギは何かやれる事はと辺りを見渡し動き回る、刹那と真名は如何した物かと頭を悩ませながらも、

動き回れて教室が荒らされても困るのでネギに近付く。

 

だが・・・それがいけなかった・・・・。

 

 

ムズ・・・・

 

「あっ・・・ハ・・・・ハ・・・・。」

 

「「えっ?」」

 

「ん?」

 

 

掃除をした後なので、少し埃っぽく、それがネギの鼻を刺激したのか、今にもクシャミをしそうになる。

 

するとネギの魔力が乱れるのを感じ、少し離れたとこで座っていた太一はネギの方を見て、何か嫌な予感がしたのか、

刹那と真名はネギから離れようとしたが、その予感は的中し、そして遅かった。

 

 

「はくちんっ!!」

 

ブワアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

 

「うおっ!?」

 

ズバアッ!!

 

「「なっ!?」」

 

「いいっ!?」

 

ゴオーーーーーン!!

 

「ウゲッ!?」

 

 

ネギがクシャミをすると同時に、突如突風が発生し、集めたゴミや埃が散乱、机や椅子が吹き飛ばされ、

そして何故か刹那と真名の服が“消滅”し、下着姿となった。

 

太一も突然の事に固まるも、吹き飛ばされた机の一つが太一の顔面に直撃し、その場に倒れる。

 

未熟な魔法使い等、魔力コントロールが下手な魔法使いは、ふとした事でその魔力を暴発してしまう事がある。

 

その一つがクシャミである。

 

そして各個人の得意とする、又は相性の良い属性別の現象が起きる。

 

火属性なら火の粉が舞い、水属性ならば水滴が飛び、草木の属性なら木葉が舞う等、属性によっては様々だが、

ネギの魔法属性は風故、突風が発生するのは必然ではあるが、服が“消滅”する事は無い。

 

ネギの魔力量が尋常ではないので、椅子や机が吹き飛ばされるのはある意味では普通だ。

 

そんな突風を真正面で受けて服が吹き飛ばされるならまだ説明はつくが、消滅したとなるとまた別の話である。

 

魔法の中に「武装解除」と言う魔法がある、読んで字の如く、書いて字の如く、相手の武器や鎧と言った武装を解き消滅させる魔法だ。

 

そしてその対象は身に纏っている物なので、勿論衣服も対象物である。

 

本来この魔法にも呪文の詠唱は必要なのだが、ネギの場合は魔力が暴走すると無意識でか、もしくは副産物としてこの武装解除も付いて来るらしい。

 

本来なら魔法学校を卒業する以前に、この様な事が無い様に訓練される筈なのだが、英雄の息子として期待され、

甘やかされていた環境の為に、誰もネギに注意、ましてや叱る事も無く、マイナス面になる様な事は全て目を瞑り、

その結果が今回の様な、無意識で女性を辱める行為である。

 

因みに太一が麻帆良学園に転校してくる前に、明日菜も2回ほどネギの暴走武装解除の被害に合い、

外で教室でストリップショーを披露する羽目になっていた。

 

そして今現在、刹那は胸に巻いてあるさらしと、スッパツも吹き飛ばされ下着露わになり、真名も大人びた黒の上下の下着が露わになって、

2人とも羞恥心で固まっていた。

 

 

「うぅ・・・あっ!!ごっ・・・ごめんな「バカ野郎!!こういう時は見ない様にして謝りながらその場を素早く離れるんだよ!!」

うええええええええ!?」

 

 

ネギは刹那と真名に謝ろうとしていたが、いち早く復活した太一が自分の目を手で覆いながらネギの襟を掴んで凄い勢いで教室から出て行った。

 

 

「「・・・・・・き・・・・きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」

 

 

そして太一とネギが教室から出て少しの間が空いてから、2-Aの教室から2人の少女の叫びが学園中に響いた。

 

 

「せつな~~~、まな~~~・・・・着替え終わったら呼んでくれ・・・・さてと・・・・。」

 

「うぅ・・・・。」

 

 

廊下に出た太一は、辺りに誰も居ないか確認して、ネギに呆れた視線を向けて言葉を発した。

 

 

「さて・・・・ネギ、お前が何をしたか分かっているよな?」

 

「あの・・・でもワザとじゃ「バカ野郎!!」ひう!!」

 

「クシャミなんてもんは日常茶飯事、ふとした切っ掛けがあれば誰でも起きるんだよ!それで何で魔力が暴走する!」

 

「うぁ・・・その・・・でも・・・・・。」

 

「言い訳するな!こう言う事は普通起きない様に訓練する筈だぞ!クシャミをすれば魔力が暴走するなんて、

お前自身が知らない筈がないぞ!今回の様な事が起きるのは今日が初めてじゃないだろ?なら何故暴走しない様に訓練しない?」

 

「うぅ・・・・ごめんなさい・・・・。」

 

「大体お前は何回同じ事を繰り返せ「うぅ・・・ん?ハ・・・ハァ・・・。」ば・・・・いぃ!?」

 

 

ネギは再びクシャミをする体勢に入った。

 

 

(ちょ・・ちょっと待て!今ここでクシャミなんてされたら・・・・。)

 

 

太一は今ネギのクシャミを真正面から受けた場合を想像した。

 

女子中学校の廊下で教室に居る刹那と真名同様下着姿に・・・最悪最後の砦である下着も消滅されて全裸に・・・・太一の人生(社会的に)終了。

 

 

(やべえええええええええええええええ!!早く逃げねえと俺はこのガキに社会的に抹殺され!!変態の称号もといレッテルを貼られる!!)

 

「ハア・・・・・・。」

 

「ゲッ!!」

 

 

その場を急いで離れ様とするが時既に遅し、既にクシャミの発射体勢は完了した様だ・・・哀れ太一、

君の活躍は忘れない・・・。

 

 

「ハックションッ!!」

 

ブワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

 

 

ネギがクシャミをすると暴風が吹き荒れた。

 

そして太一の衣服は消滅・・・・するかと思われたが。

 

 

「うぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ドシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「ガッ・・・・ハァ!!」

 

 

太一はネギの魔力暴走によって発生した暴風によって吹き飛ばされ、そのまま勢いよく壁に激突した。

 

だが何故か衣服は消滅されていなかった。

 

まさかとは思うが、ネギがクシャミで武装解除を暴発させるのは、女性がいる時だけなのでは・・・。

 

そして壁に激突した太一は重力に従い、力無くその場に倒れるが、その倒れた場所が悪かった。

 

 

どさっ・・・・

 

「痛つつ・・・あの野郎・・・。」

 

ふに・・・・・

 

「ひうっ!!」

 

「ん?何だ?何か柔らかい物が・・・・・それに聞いた事のある声が・・・・。」

 

 

“何か”に触れている箇所から柔らかい感触が伝わってくるのを感じ、太一は自分が何に触れているか確認する。

 

そして顔を上げると・・・。

 

 

「・・・・・あっ・・・・。」

 

「いっ・・・・いぃ・・・・。」

 

 

そこには目を見開き、顔を紅くしたレイの顔があった。

 

 

「れ・・・・レイ?てことはこれは・・・・ひょっとして・・・・・。」

 

 

少し間を空け、自分が今レイの膝に覆いかぶさり、手がレイの胸に触れている事に気付いた太一は、

暫く固まってしまった。

 

 

その頃教室では・・・。

 

 

ピキュウウウゥゥゥン・・・・・!!

 

「はっ!?」

 

「如何した刹那?」

 

「・・・・今、嬉し恥かしなイベントを逃した気が・・・・・・。」

 

「・・・・刹那、以前よりは明るくなったのは、私としても嬉しいが・・・・キャラだけは壊れないでくれ・・・・。」

 

 

着替えながら、今の太一の状況を感知し、イベント逃したとショックを受ける刹那と、そんな同居人の今後が少し心配になる真名であった。

 

 

「い・・・・いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「だあああああああああああああああああああ!!レイ違う!!これは「いやああああああああああああああああああああああああ!!」ちょま・・・。」

 

パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!

パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!パン!!

 

「おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!

おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!おぶ!」

 

 

レイの往復ビンタが太一の顔に炸裂し、乾いた音と共に太一の顔が左右に揺れる。

 

 

「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

バチコオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

「ぐおわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

 

最後に渾身の一撃により太一は窓ガラスを突き破って落ちて行った。

 

 

「はっ!!遣り過ぎちゃった!太一君!!」

 

ドシーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!

 

「・・・・・・うわぁ・・・・い・・・・生きてる?」

 

「・・・・・・・・何とか。」

 

 

地面に顔を埋めたまま答える太一・・・生きてはいる様だ。

 

 

「たたた・・・太一さん!大丈夫ですか!?」

 

 

太一が落ちて行く一部始終を見ていたネギが、窓から見下ろして太一の安否を確認するが。

 

 

「・・・・・・ぬえぇぇぎいいぃ・・・・。」

 

「ひう!!」

 

 

こうなった元凶である奴の声を聞き、地獄の底から甦る如く、怒気を纏い立ち上がりネギを睨みつける。

 

 

「うぅ・・・うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!」

 

「ネギ先生!?」

 

「待たんかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「太一君!?・・・・・行っちゃった・・・・・。」

 

 

そして太一とネギの追いかけっこが始まった。

 

因みに、一応教室に戻ったレイが見た物は・・・・。

 

 

「・・・・・刹那ちゃん、真名ちゃん・・・・何で体操服?それに何でまた掃除してるの?」

 

「・・・・いえ・・・小さくとも大きなやさ・・いえ厄災に巻き込まれまして・・・・。」

 

「あぁ・・・生きた厄災にな・・・。」

 

「はぁ・・・・。」

 

 

体操着姿で教室の掃除をし直している刹那と真名の姿があった。

 

その目には薄らと、涙の様な物が見えたと言う・・・・・・。

 

 

「とっ・・・・言う訳だ・・・。」

 

「はあ・・・・それは何とも・・・・ご愁傷様です。」

 

「分かってくれるか?」

 

「はい・・・・。」

 

 

ネギを追い掛け回していた理由を話し終えた太一。

 

それを聞いた愛衣は、同情の眼差しで太一を、そしてこの場に居ない刹那と真名にも、彼女達がいる女子中等部の方に、

同情の視線を向けた。

 

 

「理由は分かりました・・・ですが、それでもネギ先生を怒鳴りつけるとは何を考えているのですか!?」

 

「・・・・・・・はっ?」

 

「おっ・・・お姉様・・・。」

 

 

高音の言葉に、意味が分からない顔をする太一。

 

愛衣も少しあたふたし始めた。

 

 

「いいですか?ネギ先生は、あの!世界を救った英雄、ナギ・スプリングフィールドのご子息、将来は偉大なマギステル・マギとなる子です。」

 

「・・・まぁ・・・英雄の息子ってのは聞いたけど・・・。」

 

「そうです!そんな将来有望な子を、怒鳴りつけるなどと、自信を失ったらどうするおつもりですか!?」

 

「・・・・いや、怒鳴ったのは確かにやり過ぎかもしれないけど、だからと言って注意しない訳には・・・。」

 

「注意など必要ありません!!ネギ先生は賢い子です!!確かにまだ子供故に失敗はあるかもしれません!

しかし同じ失敗は二度と起こす事は無いのです!ですので注意などは不要です!!」

 

(いや・・・クシャミで魔力暴走して服消滅させたのって、俺が知っているのを含めて今回で3回目・・・俺・・・色んな意味で自信無くすな・・・。)

 

「それに、あなたはネギ先生の修行の妨げを・・・。」

 

「ん?あの事ですか?あれは一般的に仕方ないと思いますが・・・・。」

 

「仕方なくありません!!もしあなたの所為でネギ先生がマギステル・マギになれなかったら如何するつもりですか!?」

 

「いや・・・マギステル・マギになる以前に、せめて人としての常識位は備えてもらわないと・・・・。」

 

「英雄の息子が人として欠けている物がある筈ないでしょう!!いい加減な事を言わないでください!!」

 

「あの・・・落ち着いて・・・。」

 

「同じ正義を!!マギステル・マギを目指す同士として!!この正義の味方!!高音・D・グッドマンが!!

マギステル・マギがいかに偉大で!それを目指す私達の存在がいかに重要かを!今夜の警備でそれを教えてさしあげますわ!!」

 

「・・・・・・・・・・・・は?」

 

「あっ・・・・今夜の警備は、八神先輩と私達、後私達を指導してくださっている魔法先生のガンドルフィーニ先生と、

神多羅木先生に葛葉刀子先生、それと・・・・。」

 

「あの悪名高い魔法使い、闇の福音とその従者と組んで警備にあたる事になりました。」

 

「・・・・・エヴァに茶々丸も?・・・・・俺は何も聞いてませんが。」

 

「私達もつい先程知ったばかりですから、今回この様にしたのは、八神先輩と私達魔法使いとの親睦を深める為との事で、

多分後で連絡が来ると思います。」

 

「まったく・・・何故この私がこの様な正義の意味も知らない、化け物使いと悪しき化け物と組まなくてはならないのですか・・・・。」

 

「・・・・・・・・・。」

 

 

高音が今回の警備の愚痴を言った瞬間、太一の雰囲気が変わった。

 

 

「おっ・・・お姉様・・・・。」

 

「如何したの愛衣?」

 

「・・・・先輩。」

 

「何かしら?」

 

「俺の事が気に入らないのはさっきの会話で何となく理解しました・・・。」

 

「・・・・なっ・・・何に事かしら?私が・・・正義の使者である私がそんな醜い事・・・。」

 

「正義の使者だって人間なんだ、気に食わない事も多々ありますよ・・・・でも。」

 

「あっ・・・あの八神先輩?」

 

 

愛衣は正直、今の太一に恐怖していた。

 

聞いた人物と、自分が知っている筈の人物と丸で違う雰囲気に。

 

太一の事は耳にする噂や接する時は、頼りがいがあり、優しい印象を受けられた。

 

しかし今の太一は恐ろしい、純粋に怖いと感じる雰囲気を出している。

 

 

「俺の事は何を言われてもいい・・・・だが俺の相棒を・・・クラスメイトの事を化け物呼ばわりされるのは許さない!!」

 

「つっ・・・!?」

 

 

この雰囲気の理由が分かった・・・怒りだ。

 

相棒とクラスメイトを化け物呼ばわりされた、純粋な怒り、純粋な怒り程大きく恐ろしいものだ。

 

太一は近右衛門から、嘗てエヴァが悪の魔法使いとして恐れられていた事は聞いていた、故に恐れる物がいてもおかしくないのは分かっている。

 

だが、嘗てが如何であろうと、自分のクラスメイトが、そしていつも自分の隣に居てくれて、どんな困難を共に乗り越えて来た相棒を、

化け物と呼ばれて冷静でいる事など、太一には無理・・・いやできない。

 

 

「・・・・あなた達が掲げる正義が、どんな物なのかは知らないが、他人を平気で貶すような正義なら・・・俺は知りたくない。」

 

「なっ・・・何ですって!?」

 

「でも・・・・決定した事なら、その通りにします・・・・今夜また会いましょう・・・・。」

 

「まっ・・・待ちなさい!!」

 

 

太一は高音の静止の声を無視し、その場を去っていった。

 

 

「な・・・何なのですかあの男は!?」

 

「でもお姉様・・・失礼ですが私達にも非が・・・。」

 

「何所に!?私の何所に非があると言うのですか!?私は当然の事を言っただけですわよ!?」

 

「ですが・・・さすがにクラスメイトの事をそんな風に言われると・・・。」

 

「いい事愛衣?今は封印されているとは言え、悪は悪、本来でしたら私達の手で退治するのが決まりなのですが、

如何言う訳か学園長先生がそれを許可無されないのです。」

 

「そ・・・それは、今はこの学園の生徒だからでは・・・?」

 

「かも知れません・・・・しかし今回の事は考え様によってはチャンスですわね。」

 

「えっ?」

 

「今回の警備で、闇の福音が何か善からぬ動きを見せた時、それを口実に・・・闇の福音を・・・・。」

 

「むっ無理ですお姉様!!そんな事・・・。」

 

「無理ではありませんわ、私達は正義なのですから、悪は正義には勝てない、正義は悪には負けないのですわ!!」

 

「お姉様・・・・。」

 

 

この時、初めて愛衣は自分の尊敬する人に、恐怖を覚えるのだった。

 

その頃太一は女子中等部校舎に戻りながら色々と考えていた。

 

 

(あの高音って先輩・・・色んな意味で危ないな、ああなった・・・・いや、他の魔法使い達もあの先輩と同じ考えだとしたら・・・。)

 

 

太一は麻帆良に来て、近右衛門との交渉が終わった後から今まで、魔法使いに対し、良くも無く悪くも無い印象を抱いていた。

 

魔法使いも人間、良い人間もいれば悪い人間もいる、最終的に力を如何使うかで良い力にもなり悪い力にもなる。

 

太一もそれを理解している故、中間の印象を持っていたが、今回の高音との接触で、魔法使いは“ある意味”で危ないと思い始めていた。

 

 

(もし・・・魔法は正義の力と訴えている人が多数を占めていたら・・・ジジイが俺にネギを任せた理由が何となく分かって来たぞ、

もし・・・いやおそらくこの学園に居る魔法使いの殆どが同じ考えだとすると・・・何時かネギは大きな過ちを犯す・・・それも無自覚に、

過ちを過ちとも思わず、それが当然と思う人間に・・・・。)

 

 

太一は今一度自分に課せられた依頼の困難さと重要性、そしてプレッシャーを感じていた。

 

 

(魔法使いがこうも一方的に自分達の正義を主張する原因・・・歪みの発端はネギの親父にありそうだ・・・今思うと、

一体“何の”英雄なんだろうな・・・ネギの親父は?)

 

 

その後、近右衛門から連絡が来て、正式に今回の警備と言う名の狩りの条件を受けた。

 

 

続く

 




次回予告
高音達と狩りに出た太一とアグモン、
だが一方的に己の正義を押し付ける高音達と衝突してしまう。
その時新たな悪魔が現れる。
次回
デジモンアドベンチャーMAGI
『∞と0の正義。』
今・・・冒険が進化する。


今更ながらデジモンアドベンチャー続編放送決定おめでとう!!
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