デジモンアドベンチャーMAGI   作:龍気

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第16話『魂の声』

突如愛衣達の前に現れた上位悪魔、「道化のマリオン」の能力で自分の正義に対する感情や思想を向上させ、

歯止めが効かなくなったガンドルフィーニと高音を操り、愛衣と刀子を襲う。

 

操られ強化したガンドルフィーニと高音に追い詰められて行く愛衣達。

 

負傷し、もう後が無く、自分の憧れである高音に止めを刺されそうとなる愛衣・・・だがそこに太一が駆けつけた。

 

 

 

―――『魂の声』―――

 

 

 

Side・太一

 

何とか間に合ったか・・・あの時はどうなるかと思ったけど・・・

 

 

『ジオグレイモン・・・如何だ?佐倉達が何所に居るか分かるか?』

 

『う~~ん・・・あっ!太一見つけたよ』

 

 

愛衣達を見つけたと、ジオグレイモンの指差す先を見ると、ガンドルフィーニ先生が葛葉先生を踏みつけている姿と、

高音先輩が何か黒い巨大な人形の様なもので愛衣を追いつめているのが見えた。

 

 

『なっ!?ガンドルフィーニ・・・何故葛葉を!?』

 

『あの金髪も自分の従者を・・・おそらく何らかの力に操られている様だな』

 

『距離は73.253m・・・状況からして今のままでは間に合いません』

 

『・・・ジオグレイモン』

 

『うん』

 

パンッ!

 

『八神!?』

 

 

俺は太陽の欠片を発動させて、ジオグレイモンの掌に移動した。

 

 

『如何する気だ小僧?』

 

『このままじゃ間に合わないんだったら、ジオグレイモンに投げ飛ばしてもらって行けば何とか間に合う』

 

『はあ!?お前はバカか!?そんな事してみろ、前見せてもらったそいつの力からすれば、とんでもない加速で飛んで、

地面に激突した時の衝撃でキサマは潰れるぞ!!』

 

『あぁ・・・だから今こいつ(太陽の欠片)を使ってるんだ、これなら多分大丈夫だ』

 

『いや・・・それでもだな・・・・』

 

『それに・・・そのへんの加減は任せたぜ』

 

『分かてるって、安心しなよ太一』

 

『安心してないよ・・・信頼はしてるがな』

 

『じゃあ問題ないね』

 

『おう』

 

『お前達は・・・何故そこまでする?お前とあいつ等とはそんなに長い付き合いでも無ければ親しい訳でも無い、

寧ろ2人程キサマ等の事を邪険に思っている・・・そんな奴等を助けるつもりか?』

 

 

まあ・・・エヴァに行っている事も尤もだろうな・・・でも俺は・・・。

 

 

『俺はそれでも助ける・・・あの人達も、決して悪い人じゃない・・・只意見の違いが少しあっただけだ、

それに・・・このままじゃ、あの2人は取り返しの無い傷を負う事になる・・・一生心に残る様な・・・重く哀しい傷が・・・』

 

『・・・・・』

 

『俺にも・・・似たような物が・・・幾つもあるからな・・・それが分かるから・・・どれ程辛く・・・』

 

 

俺はそれ以上は口に出さな・・・いや、出せなかった、それ以上を口にすれば、当時の事を思い出し、

心は若干不安定となる・・・悪魔と戦うならそんな状態では圧倒的に不利になる。

 

以前のシャドルとの戦いでそれが分かっていたからだ。

 

奴は刹那が抱える悩みや苦悩に付け入り操ろうとしていた。

 

全ての悪魔が出来るとは思えないが、もしそうなら、悪魔と戦うにあたって重要な事は、心を強く保つ事、

お伽話とかでも悪魔は心の僅かな歪みや弱い部分を付いて獲り付き操る事が多い、心を偽りの感情と思いで、

鎧の様に覆うのではなく、全てを受け入れてそれを背負う覚悟で・・・そして自分らしくある事が心を強く保つ事。

 

俺は腰を下ろし、何時でも飛べるように構える。

 

 

『・・・・あまり難しく考えるなよ・・・難しい様だが、お前なら可能だろう』

 

『え?』

 

『悪魔と戦うにあたって心を強く保つ事は正しい・・・しかし正しい故にそれを意識し過ぎて心に隙を作る・・・深呼吸でもしてみろ、

多少は落ち着くぞ』

 

『・・・・へへ、サンキュウエヴァ』

 

『フン・・・行くならさっさと行け、もう止めん』

 

『あぁ・・・・すぅ・・・はぁ・・・・・よしっ!』

 

『頼むぞ八神・・・あいつ等を・・・』

 

『えぇ・・・頼むぜジオグレイモン』

 

『うん!・・・・うおりゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』

 

ブウン!!

 

 

ジオグレイモンは俺の乗っている方の腕を大きく振りかざし、そして愛衣がいる方目掛けて思いっきり投げた。

 

俺は弾丸の様に夜の闇の中を突き抜け・・・。

 

 

ドシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

『やった!!あはっ!!やったやった!!これで下拵えは万全!・・・お腹空いたし・・・今から食べるか・・・・ん?』

 

『悪魔・・・げき・・た・・・』

 

『アンタ・・・自分が何をしているのか・・・・・分かっているのか!!』

 

ズシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

『『!?』』

 

『・・・・成程ね、何となく気が合わない気がしていたんだが・・・影使いか・・・嫌な奴を思い出したぜ』

 

 

俺は高音先輩の操っていた影で出来た人形の腕を着地と同時に自分の拳をぶつけて粉砕し、倒れている愛衣を抱きかかえ立ち上がり、

高音先輩を・・・いや、この元凶である悪魔を睨み、今に至る。

 

 

「佐倉・・・・おい佐倉・・・佐倉愛衣!」

 

「はっ!?」

 

 

俺は気を失っている愛衣の名を呼び少し揺らすと、愛衣は目を開け俺の顔を見た。

 

 

「怪我・・・・はしているか・・・遅れてすまない」

 

「や・・・八神先輩!!」

 

「立てるか?」

 

「え・・・えと・・・はい・・だいじょう・・痛っ・・・すみません・・・」

 

「いや無理はするな」

 

 

愛衣の肋骨の辺りを押さえて痛がっている様子からすると、恐らくは骨折している可能性がある・・・あぁ、

こんな時に丈が居てくれればな・・・まあ居ない奴を頼っても愛衣が良くなるわけでも無い、それにまだ葛葉先生が居る。

 

 

「ガンドルフィーニ先生、葛葉先生を踏んでいるその足を除けてください」

 

「・・・・・・・・」

 

「無駄よ八神君・・・今のガンドルフィーニ先生と高音さんは奴に操られて「黙れ」ぐああああああああああ!!」

 

「葛葉先生!!・・・お前が2人を操っているのか・・・」

 

「そうよ・・・私は操人士、道化のマリオン・・・お見知りおきを・・・太陽の欠片を持つ者」

 

「・・・俺を知っているのか?」

 

「そりゃそうよ、あの静かなる影使い「陰静のシャドル」を消滅させたキサマの存在は、魔界でも有名よ」

 

「あぁ・・・嫌な事思い出してきた・・・できれば奴の名前は聞きたくなかったな」

 

「それはお気の毒に・・・で?如何する~~~?今この2人は私の能力で私の意のままに操られているんだけど」

 

「能力?」

 

「そう・・・ご覧なさいこの2人を・・・自分のしている事に何の疑問も持たず、正しい事を・・・正義を実行しきっていると信じきっているバカを」

 

「「我等は正義・・・魔法使いの行動は全てが正義・・・我等こそが全てにおいて正しいのだ・・・」」

 

 

2人は・・・それこそ本当の人形の様に「正義」と言い続けている。

 

さっきガンドルフィーニ先生が何の躊躇や戸惑いも無く葛葉先生を踏みつける様子からするとおそらくあのマリオンの能力は・・・。

 

 

「お前の能力は相手の正しいと思う心に付け入り、自制心をなくさせる様だな」

 

「あら!せいか~い♪付け加えるならそれに似合った幻覚も見せる事も可能よん♪今この2人には、

アンタもそいつも、そこで仲間に頭を踏みつけられている女も、悪魔に見えているんよ」

 

「まったく・・・エグイ事するな・・・」

 

「ふふ~~ん♪私って、仲間に攻撃されて、自分は何もできなくて殺されそうな人間の絶望が好物なの♡」

 

「・・・・絶望に種類や好みがあるのか?」

 

「あるわよ、因みに私が好きな絶望は人間で言うドリアン味♡アンタが倒したシャドルは単純に力が及ばない暴力的な絶望が好みで、

味はハバネロ味なの♡」

 

「・・・・どれも美味そうじゃねえな・・・・」

 

「八神先輩・・・味の好みは人それぞれですよ・・・」

 

「・・・佐倉・・・あいつは悪魔だよ」

 

「あっ!そうでした」

 

「お前達・・・一体何をしてるんだ?」

 

 

そうこうしている内にジオグレイモンとエヴァ達がやって来た。

 

 

Side・エヴァ

 

あいつは本当に何をしてるんだ?

 

戦って苦戦しているかと思ったら、何で敵である悪魔と世間トークをしているのだ?しかも・・・例えるならクラスメイト同士の様に普通に・・・・・・。

 

 

「お前は・・・バカなのか?見るからに操られている事にも気付いていないで、やり遂げた感満々の顔をしている、

ガングロタラコと騒声金髪とはまた別種のバカなのか?」

 

「お黙りなさい災悪の犯罪者!!あなたもこの悪魔動揺に退治してさしあげますわ!!」

 

「悪の使者!最悪の魔女闇の福音!!私達が操られているだと!!ふざけた事を言うな!!」

 

グリグリグリ・・・・・

 

「あだだだだだだだだだだだだだだだだ!!エヴァンジェリンあまり刺激しないで!!本当に痛いんだから!!

あああああ眼鏡が割れる!!」

 

 

む・・・あの神鳴流剣士に少しすまない事をしたな・・・しかし操られている状態でも奴は私を私だとしっかりと認識したな。

 

あの悪魔の相手を操る能力は普通とは違うのか?

 

 

「まあまあ・・・取り敢えず佐倉は救出できたからいいじゃねえか」

 

「いや・・・まだ葛葉が残っているんだが・・・」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

「まぁ・・・奴の能力は相手の正しいと思う心に付け入って自制心をなくさせ、それに会った幻覚も見せて相手を操る能力らしい」

 

 

成程な・・・つまりあいつ等の見せられている幻覚の中に、私は対象外・・・幻覚として映し出すまでも無い悪と言う事か・・・それにしても・・・。

 

 

「誤魔化したな」

 

「あぁ・・・素で誤魔化したな」

 

「誤魔化しましたね」

 

「太一・・・誤魔化し方・・・相変わらず下手だね・・・」

 

「先輩・・・」

 

「・・・・茶々丸、佐倉の手当てを頼む」

 

「「「「つらぬくんかい!!」」」」

 

「分かりました」

 

 

茶々丸!!お前もさっきは一緒にツッコんだのに、何乗っているんだ!

 

 

「マスターがよく見るお笑い番組から習いました・・・マスターのお笑いに関する好みを把握し、チャンスがあればそれを実行する」

 

「おい!微妙に私の心読んでいるぞ!!」

 

「因みにマスターの好みのお笑いパターンとして今の、最初はツッコんで、後のボケに乗るが、マスターの笑い声の高さ、

心拍数の上昇率から統計しますと第17位です」

 

「人の話を聞けい!!」

 

「そして今の様な、上司・・・この場合はマスターを尊重するそぶりを見せて下の者、従者が貶しバカにするタイプのボケは、

3位とかなり上位です」

 

 

私か!?私のお笑いの好みの所為なのか!?確かにコント番組しかり吉〇新〇劇で今のボケは好きだが、

私自身がそれをされるのが好きと言うわけではないぞ!!

 

しかもさりげなく・・・いやハッキリと言い切ったな!?「バカにしている」と!!

 

巻いてやる巻いてやるのこのバカ従者!!

 

 

「ひょっとして・・・スベリましたか?」

 

「スベッタ以前の問題だ!!」

 

ビシッ!!

 

 

何素で真面目に質問してきているんだ、思わず巻いてやるつもりで出した手をツッコミに回してしまったではないか!!

 

「この本来なら緊迫の空気に包まれる様な状態でそんな事をして笑う奴が・・・」

 

「あはははははははははははは!!おもしろい!!ジャパニーズコメディ最高!!今度ジャパニーズコメディの番組見せて!!」

 

「居たよ!!」

 

「はい・・・あなたが生きて此処を帰れたらお見せします」

 

「お前も急に微妙にシリアスになるな!!どう対処すれば良いかもう訳が分からん!!」

 

 

本当にもう訳が分からん・・・目の前の悪魔は茶々丸のボケを見て笑うし、そのボケた茶々丸は急に真面目な感じを醸し出すし・・・うぅ、

ツッコミ過ぎて喉が・・・。

 

 

「お~~~い、そろそろ真面目に始めないか?」

 

「元はと言えばお前が原因だろうが!!」

 

 

Side・マリオン

 

あ~~~~笑った・・・何だか冷めた目で見られているけど、ま~~~いっか?

 

 

「ところでさ・・・もうそろそろ真面目にやらない?いくらこの作品の半分が「ネギま!」だからってそろそろ真面目にやった方が読者の方達に失礼だよ?」

 

「喧しい!!しかもこんなところで物語と何の関係無い話をするな!!それに今のキサマの発言からすると、

この小僧とその相棒を除く、私を含む全員が不真面目要因みたいではないか!!」

 

「でもあんたもネギま!キャラでしょ?」

 

「確かにそうではあるが!!」

 

「あまりネギま!キャラを不真面目要因にしないでくれ・・・俺や葛葉なんて「学園際編」以来現在(魔法世界編終盤)まで殆ど出てないだ・・・」

 

「一応その登場だけで神多羅木先生はクールで渋めのおじさんキャラ、葛葉先生は・・・暴走しそうだから止めとこう、

取り敢えずこう作者はキャラ付しているな」

 

 

「そう・・・私は暴走キャラなのね・・・」

 

「あっ・・・・」

 

「因みに・・・」

 

「私達は・・・」

 

「「どんなキャラ付だ?」」

 

「おい!!あの2人今絶対正気に戻っているぞ!!」

 

「「我々は常に冷静だ」」

 

「嘘付け!!作者の中で一番嫌な意味で暴走しているキャラ位置だぞアンタ達!!」

 

「「そんな訳が無い!!作者よこの者達に私達の真実を・・・」」

 

『太一の言うとおりだよ』

 

「「ぐはっ!!」」

 

「作者!!何本編に出てんだ!!しかも天の声風に!!」

 

『俺は月曜から木曜の山ちゃんか?まあいい・・・そろそろ作者権限で真面目にやるぞ』

 

「「お前が書い・・・いや!!言わせてんだろうが!!」」

 

『そう言う訳で・・・マリオンお願い』

 

「「スルーかよ!!」」

 

 

え~~~~~~~~~もうちょっと遊びたかったのになぁ・・・でもまあ話が進まないからしょうがないか・・・。

 

じゃあ・・・もう古いネタだけどこれで閉めますか。

 

 

「オッケー、じゃあ・・・・・シリアススイッチ・・・ON!!」

 

カチッ

 

『シ・リ・ア・ス・・・オ・ン』

 

「「フ〇ーゼネタキターーーーーーーーーーーー!!」」

 

 

Wo!流石男の子?一匹恐竜だけど・・・。

 

 

Side・三人称

 

さてさて・・・何事も無かったかのように、ようやく場の空気がそれ相応にまで落ち着いた処で、太一は静かに一歩前に出た。

 

 

「マリオン・・・葛葉先生を解放し、2人を元に戻して大人しく帰るなら、俺達はお前に攻撃はしない」

 

「ふ~~~ん、逆らったら?」

 

「・・・お前を倒す」

 

 

太一は腰を低くし、拳を作りマリオンに向け、戦闘の意志を見せた。

 

 

「お~~~怖い怖い・・・でも私もそうはいかないのよね~~~なんたって、契約してそれ相応の対価(生贄)も受けているし」

 

「契約?対価?」

 

「何それ?」

 

 

マリオンの言った契約や対価の意味を知らない太一とジオグレイモンは首を傾げた。

 

 

「悪魔を召喚する際、その悪魔のレベルや使役する内容に似合うかそれ以上の対価・・・生贄を必要とし、

それを受け取った時初めて悪魔と契約した事となる」

 

 

そこにエヴァが悪魔召喚に関して2人に説明をし始めた。

 

 

「生贄が召喚した悪魔につり合わなかったり、気にいられなければ、最悪召喚した悪魔に呪い殺されるが、

生贄を受け取ったにも拘らず、契約を放棄した場合、悪魔は消滅してしまう・・・魔法関係にとって契約とは、

まさに生死に関わる事だから覚えといた方が良いぞ」

 

「おう、ありがとうエヴァ・・・じゃあ聞くが、お前を召喚したって奴は誰だ?それと何が目的だ?」

 

 

再びマリオンを見据え、問う太一。

 

それに対しマリオンは不敵に笑いながら、見た目通り道化の様に踊りながら語る。

 

 

「実を言うとのぅ・・・わらわも・・・誰に呼び出されたのか知らないのよね」

 

「何?」

 

「では・・・どうやって契約した?対価はどうやって受け取った?そして目的を知った?」

 

「召喚されてすぐ頭に契約内容が浮かんだのよ・・・そして召喚と同時に生贄も受け取ったわ・・・こいつをね!!」

 

 

そう言うとマリオンは何所からか、黒いガラス状で筒状の形をした真ん中に紫色に輝く六芒星が描かれたカプセルの様な物を取り出した。

 

そして薄らと見える中身からは何かの影が蠢いていた。

 

 

「契約内容はね・・・太陽の欠片!!お前を抹殺する事だ!!」

 

バキンッ!!

 

 

マリオンはカプセルを地面に叩き付け、カプセルが割れる音と共に瘴気が溢れ辺りに広がると、瘴気の中からサイの様な巨大な角を生やした灰色の恐竜・・・いや、

デジモン・・・モノクロモンが現れた。

 

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

 

『「モノクロモン(MONOCHROMON)」、世代・成熟期、種族・鎧竜型、属性・データ種。

鼻先にサイの様な角を生やした鎧竜型デジモン。

その巨大な角は成長すると体長の半分をしめるほどの大きさになり、角の部分と体の半分を覆う硬質な物質はダイアモンドと同質の硬度を持ち、

この角を持ってして貫けない物は無い。

モノクロモンは攻守共に優れているデジモンと言え、草食性で性格は比較的おとなしいが、ひとたび怒らせるとその重戦車の様な体から恐ろしい反撃を繰り出してくる。

必殺技は強力な火炎弾『ヴォルケーノストライク』』

 

 

「モノクロモンだと!?」

 

「と言う事はデジモンか!?」

 

 

意外なデジモンの出現に皆が驚愕していると、突如太一の腕に装着されているデジヴァイスNEOが鳴り出した。

 

 

Bee!!Bee!!

 

「この音は・・・まさか!?」

 

 

太一は咄嗟にデヴァイスNEOをモノクロモンに向けてスキャンする。

 

するとデジヴァイスNEOのディスプレイに予想していた結果が表示されていた。

 

 

「太一・・・あのモノクロモンはまさか・・・」

 

「あぁ・・・図書館島の地下で戦ったクワガーモンとシードラモンに感染していた物と同じウイルスに感染されている」

 

 

太一は期末試験後、地底図書館で戦ったクワガーモンとシードラモンは、何者かの手によって例のウイルスに感染させられたのではと予想した太一は、

今後その“何者”かによって、ウイルスに感染したデジモンを差し向けてくる可能性を考慮し、例のウイルス、

若しくは感染したデジモンに反応するシステムをデジヴァイスNEOに組み込んだのだった。

 

そしてデジヴァイスNEOはモノクロモン・・・いや、モノクロモンに感染したウイルスに反応し、

それによりモノクロモンがウイルスに感染・・・つまり強化されている事に気付いたのだった。

 

 

「行け!!その角で太陽の欠片を串刺しにしろ!!」

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

ドドッ!!ドドッ!!ドドッ!!

 

 

マリオンの指示で、モノクロモンは太一目掛けて角を向けて突進しだした。

 

 

「お前の相手は僕だ!!」

 

がっしいいいいいいいいいいいいいい!!

 

「ジオグレイモン!!」

 

 

ジオグレイモンが太一を庇う様に前に出てモノクロモンの突進をその身一つで受け止めた。

 

辺りに轟音が響き、その場にいる全員の身に衝撃が伝わる。

 

 

「太一!!こいつの相手は僕がする!!」

 

「分かった、頼むぞ」

 

「うん・・・うおりゃああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ブウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!?」

 

 

ジオグレイモンはモノクロモンを遠く投げ飛ばし、投げ飛ばしたジオグレイモン自身もその後を追い、その場を離れる。

 

そして残った太一達は再びマリオンと対峙する。

 

 

Side・太一

 

「おい・・・大丈夫か?」

 

「何が?」

 

「お前の相棒、お前と離れて戦わせて大丈夫なのかと聞いている」

 

「あぁ・・・むしろ近くで戦われると俺達が危ない」

 

「何?」

 

 

俺はモノクロモンの特性を教えた。

 

モノクロモンはそれこそ装甲車・・・いやそれ以上に頑丈な体と角を武器にし強烈な突進を繰り出してくる。

 

それこそ、この辺りにある木や岩なんかを簡単に粉砕しても止まらない位のを・・・そしてモノクロモンにはもう一つ、

火炎弾を放つ『ヴォルケーノストライク』と言う、必殺技がある。

 

これはジオグレイモンにも言える事ではあるが、こんな森の中で戦われたら巻き込まれかねない。

 

 

「成程な・・・だがあのサイモドキはお前が言うとおり強化されているのなら」

 

「そこは・・・信頼しているさ、なんたって俺の相棒だからな」

 

「・・・・大した信頼だな」

 

「おう!」

 

 

さてと・・・俺がジオグレイモンを信頼している様に、俺もジオグレイモンの信頼に応えるとしますか。

 

そう・・・こいつを・・・人の正義を利用して弄ぶ、この悪魔を・・・。

 

 

「マリオン・・・お前は俺達が倒す」

 

「ふっふ~~ん、そう簡単に行きますかな?“あれ”が強化されているかどうかなんて私には知らないけど、

この2人も・・・強化されているのよ!!」

 

「「正義!!」」

 

バッ!!

 

 

ガンドルフィーニ先生と高音先輩が俺達に向かって魔法を放った。

 

俺は避けようとするが、その前に・・・。

 

 

パチンッ!!

 

バシュ!!バシュッ!!

 

「えっ!?」

 

 

指を鳴らす様な音が聞こえたと思ったら、次の瞬間には俺達に向かって放たれた魔法が軌道を変えて別の方向へ飛んで行った。

 

俺は音のした方を見ると、神多羅木先生が指を鳴らし終えた様に腕を前に出していた。

 

 

「今のは神多羅木先生が?」

 

「あぁ・・・俺はカマイタチ程度の風魔法なら詠唱無しで放てる」

 

 

これは驚いた・・・普通は魔法を放つには詠唱・・・呪文を唱えて放つと刹那や真名から聞いていたからな、

でも上級者にもなれば詠唱無しである程度の魔法を放てると聞き、そんな魔法使いはこの学園でも数少ないとも聞いていたけど、

まさかその1人が神多羅木先生だったとは・・・なら。

 

 

「神多羅木先生・・・風を得意とする魔法使いは早く動けると聞きましたけど・・・」

 

「ん?確かに火や他の属性を得意とする魔法使いよりは早く動ける」

 

「じゃあ・・・」

 

 

俺はマリオン達に聞こえない程度の小声で、神多羅木先生に指示を出した。

 

 

「分かった、任せろ」

 

「頼みます・・・エヴァ、お前は」

 

「分かっている、後・・・個人的にあのヒステリックの相手を任せてはくれないか?」

 

「えっ?良いけど・・・如何して?」

 

「いや・・・少し現実を見ようとしない小娘に現実を見せてやろうと思ってな・・・それに、今の私では満月でない今夜ではあの悪魔の相手はキツイ。

それだけでなく私はお前と違って“正義”の魔法使い相手にやり慣れているしな。

あぁ・・・心配するな、私は女子供は殺さん・・・必要以上に迫って来たなら分からぬがな」

 

「俺も・・・ガンドルフィーニの相手を任せてもらいたい」

 

「・・・分かりました」

 

「すまない」

 

 

おそらくだが・・・神多羅木先生とガンドルフィーニ先生は同僚と言うよりは親友に近いのかもしれない。

 

俺も・・・もしヤマトや光子郎・・・仲間があんな風になったなら、俺自身の手で止めたいと思うに違いない。

 

だから俺は神多羅木先生にガンドルフィーニ先生の相手を任せる事にした。

 

エヴァは・・・どうかは分からないけど・・・。

 

 

「エヴァ・・・1つだけ、頼めるか?」

 

「ん?何をだ?」

 

「エヴァ・・・」

 

 

俺は、小声でエヴァに伝え・・・いや、お願いをした。

 

 

「・・・まあ良いだろう・・・」

 

 

何とか了承してくれたエヴァ、これで大丈夫だろう。

 

 

「じゃあ・・・いきますか!!」

 

しゅうううううううぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・

 

「何をする気だ?」

 

 

俺は体を覆うオーラ・・・俺はこれを生魔陽気(せいまようき)と呼んでいる。

 

生魔陽気を胸の辺りに集中する様にイメージをした・・・以前シャドルとの戦いで俺はこの生魔陽気を両掌に集めるイメージをして、

一か所に集め打ち出した事があった。

 

それから思うに生魔陽気は俺のイメージした通りに形を変え、また体の一か所に集める事が出来るのではないのかと。

 

今やろうとしているこれもその応用・・・俺自身が“太陽”となるイメージで、今有効と思う手段。

 

 

「太陽つったら、一番に思いつくのはこれだろう?うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

カッ!!

 

「「「!?」」」

 

 

俺は胸の辺りに集約させた生魔陽気を一気に放出した。

 

それにより俺の体全体から激しく眩いばかりの光が辺りを昼間の様に照らした。

 

至近距離で激しい光を見詰めたらどうなるかは・・・言うまでも無いな。

 

 

「ぐうあああああああああああああああああああああああ!?」

 

「目が・・・・目があああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「くう・・・な・・・なんて輝き・・・まるで本物の太陽・・・・」

 

「今です!!神多羅木先生!!」

 

「・・・・・・」

 

「何!?」

 

「悪いな・・・ガンドルフィーニ、葛葉は返してもらう」

 

 

まあ・・・作戦と言うほどの物じゃないけどな。

 

俺が生魔陽気を最大放出してマリオン達の目を眩ませて、その間に神多羅木先生が葛葉先生を助け出す。

 

まあ、神多羅木先生はサングラスを掛けているからこの閃光の中動けるからね・・・妥当と言えば妥当だ。

 

こういう時は単純な作戦ほど成功するもんだな。

 

エヴァは・・・吸血鬼、今は魔力を封印されていて普通の女の子と保々同じとは言え、影響が無いとは言い切れないので、

茶々丸の後ろに回って生魔陽気の光が当たらない様にしている。

 

神多羅木先生が葛葉先生を助け出したのを確認すると、俺は生魔陽気の放出を止めた。

 

これは思った以上に魔力と気の消費が激しいな・・・たった10秒ちょい使っただけで3割位は消費したかもしれない。

 

 

「絡繰、葛葉を頼む」

 

「はい神多羅木先生・・・マスター、私はお2人の応急処置に入りますが・・・」

 

「あぁ・・・大丈夫だ、あの程度ならやれる、心配するな」

 

「・・・・・・」

 

「あいつの言葉を借りるつもりはないが、信用しろ・・・私もお前を信用している・・・」

 

「・・・はい、戦いにおいて、マスターに一時的な不安を感じた事はありません・・・ガイノイドである私が不安を感じるのかは分かりませんが・・・」

 

「フッ・・・・ならば見える所でいろ、大丈夫・・・あの程度に遅れは取らん」

 

 

エヴァはそう言い茶々丸から離れて高音先輩の前に近付く・・・正直言って離れて安全な所で2人を守っていてほしいんだけどな。

 

 

「ガンドルフィーニ・・・お前とは何度か手合わせをしたが・・・まさかこうなるとはな・・・」

 

「おのれ悪魔め・・・赦さんぞ!!」

 

「お前の目を・・・いや、暴走を止めさせてもらう!!」

 

 

神多羅木先生もやる気満々だな・・・じゃあ俺も・・・。

 

 

「さて・・・さっさと始めるか?これは使っているだけで疲れるから、さっさと終わらせたいんでな」

 

「男のくせに女を殴るんだ?」

 

「お生憎様・・・命がけな戦いを幾つも経験済みな所為か、それ程フェミニストじゃないんでな・・・お前のそのフザケタ顔に一発ブチ込んでやる!」

 

「チッ・・・ガキが・・・粋がってんじゃねえぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

さあ・・・戦いのGONGが鳴った!!

 

 

Side・エヴァ

 

フフ・・・グラサンに小僧には悪いが、正義の魔法使いを堂々と痛め付ける事が出来るからな・・・まあ、

見習いなのが少し残念だがな・・・。

 

 

「闇の福音・・・私の正義の魔法の前にひれ伏しなさい!!」

 

「しかし・・・よくもまあこんな理想しか見えなくて現実を見ない出来損ないばかり出来上がるな・・・」

 

「出来損ない・・・それはあなたの事ですわ・・・正義になれなかった阻害品!」

 

「・・・・・」

 

「可哀想なエヴァンジェリン・・・吸血鬼にさえならなければそれは素晴らしい、マギステル・マギになれたかもしれないのに・・・しかし、

“悪”の因子を受け入れた不良品は・・・“正義”の力によって処分されるのよ!!」

 

 

・・・可哀想だと?

 

 

「まったく・・・何時も・・・」

 

 

何様だ・・・。

 

 

「何時の時代も・・・」

 

 

知りもしないで私を哀れむなど・・・。

 

 

「キサマ等は・・・一体・・・」

 

「私達?それは勿論正義の使者!!」

 

「何様のつもりだ!!」

 

「!?」

 

キ・・・・・・ン・・・・・・

 

「・・・・・・・・」

 

 

残念だ・・・恐怖に怯える顔が見られると思ったが・・・。

 

 

「あまりにもふざけた事をぬかすから、つい一瞬で終わったではないか」

 

 

私の背後で凍っている・・・本当に小さな・・・この星で無数にある砂粒の様に小さな小娘は多分何も分からぬだろうな。

 

自分の実力・・・無知・・・そして・・・。

 

因みに私がやった事は只単純に、素早く近づいて私独自に調合した魔法薬を小娘の周りにばら撒き氷漬けにしただけだ。

 

何?魔力封印されているのにそんなに強くていいのかだと?

 

フフ・・・可笑しな事を聞くな・・・魔力を封印されているからこそ、それで生きる為の術を身に着けたのだ。

 

なにしろ、15年もあの“バカ”との約束で、じじぃが私に手出しさせない様にしながらこの麻帆良に留まっていたからな、

それ位の時間は大いにあった。

 

 

「お姉様・・・」

 

「・・・・案ずるな佐倉愛衣、死んではいない、ただし冷凍保存されて仮死状態ではあるがな」

 

「エヴァンジェリン・・・さん・・・」

 

「フム・・・見たところ潜在能力を無理やり引き出されている様だな・・・全く悪運の強い奴だ、

あのまま戦っていても自らの体が限界を超えて死ぬ事になっていたかもな」

 

「え?」

 

 

人間は普段30%程の力も出してはいないのは自己防衛の為だ。

 

もし100%の力を使い続けたら肉体はその力に耐えきれずに崩壊してしまう。

 

よく見てみるとこの小娘の体の彼方此方から出血している・・・これは恐らく体に限界が来ていた証拠、

自らの力に肉体が耐えられなかったんだな。

 

 

「こうしておけば少なくとも死ぬ事は無い」

 

「本当ですか!?」

 

「あぁ・・・本当だ」

 

「あ・・・ありがとうございます!!」

 

「礼は私ではなく・・・あの小僧に言え」

 

「八神先輩に?」

 

 

たく・・・あの男は・・・。

 

 

『エヴァ・・・お願いがある』

 

『お願いだと?』

 

『なるべく高音先輩を無傷で大人しくさせてほしい』

 

『・・・何故私がそんな事を?』

 

『悲しむ人が居る・・・それだけだ』

 

『・・・・・』

 

『それに・・・お前位の“超”が付く凄い魔法使いならそれ位簡単だよな?』

 

『フム!よく分かっているではないか小僧!・・・まあ良いだろう・・・』

 

 

今思えば・・・うまく乗せられた様な気がするが・・・まあやると言ってしまったならそうするしかない、

私のプライドが許さないしな。

 

 

「あの・・・何で八神先輩は・・・」

 

「・・・・お前の悲しむ顔を見たくなかったのではないか?」

 

「えぇ!?」

 

「あいつは・・・そう言う奴だ、お前も奴の生き方を見てみろ、今までとは違う世界が見られるかもしれんぞ」

 

「違う・・・世界・・・」

 

 

ふむ・・・まあ小娘の傷は自業自得だからな、私自身では傷は付けてないからな、小僧お願いは聞いてやったぞ。

 

 

「あぁ・・・聞こえてはいないと思うが、人の過去を如何こう言う資格はキサマには無い、少なくとも・・・現実を見ようともしない者にはな」

 

 

Side・神多羅木

 

「悪魔に死を!!我等魔法使いに栄光を!!」

 

「・・・・・・」

 

 

強い・・・今までのガンドルフィーニとは力やスピードが段違いだ。

 

俺はカマイタチを幾つか放つが、ガンドルフィーニは魔力を纏わせたナイフで全てを弾きながら近づいて来る。

 

 

「ハハハッ!!悪魔の攻撃など!!正義の力で戦う私に効くものか!!」

 

「・・・・・・」

 

 

ガンドルフィーニは確かに強くなっている・・・しかし、俺とお前・・・何回手合わせをしたか覚えているか?

 

今のお前には分からない・・・例え正気だとしても分からないだろうな・・・勿論俺にも分からん、

それ程までの数だけ手合わせして来たんだからな。

 

 

『神多羅木君・・・私は必ずナギ・スプリングフィールドの様な立派な魔法使い・・・マギステル・マギになって見せますよ!!』

 

『・・・それは俺も同じだ、魔法使いとして生きるなら、上を目指したい』

 

『この麻帆良は魔力が集中する地だ、此処を狙って現れる悪魔や魔物からこの地で住む人々を守る』

 

『やれるさ、俺とお前なら』

 

『だけど日々の精進は怠れない・・・そこで、君が迷惑でなければ私と定期的に手合わせをしてくれないだろうか?』

 

『何が迷惑なものか、俺の方こそ頼む』

 

『あぁ!!共に強くなろう・・・そしてこの地に住む人々を守ろう!!』

 

 

あの日・・・麻帆良で同期の教師として、麻帆良を守る同期の魔法使いとして会ったあの日から・・・俺達は定期的に手合わせし、

鍛錬を積んできた。

 

だが・・・あれから10年近い時間の中、最初の頃と俺達は変わって行った。

 

ガンドルフィーニは正義に異常なまでに執着する様になり、逆に俺はマギステル・マギとなる夢を諦めた。

 

現実は残酷だ・・・共にマギステル・マギとなると語った友や他の魔法使いの姿を見て、夢を諦める事になるとはな・・・。

 

だが・・・今日・・・今1人悪魔と戦うあの少年の言葉に・・・。

 

 

『もし信じる・・・たった1つの正義があるのなら・・・それは自分自身の中にある小さくも大きな正義・・・かな?』

 

『俺は俺が正しいと思った事を全力でします・・・その先に何があっても・・・それすらも乗り越えて』

 

 

その言葉で・・・俺の中で消えかかっていた何かに火が付いた気がした。

 

もし・・・俺に信じるたった1つの、小さくも大きな正義があるのなら・・・全力で正しいと思う事があるなら、

今俺が正しいと思う事は・・・。

 

 

「友としてお前を止める事だ!!」

 

「何をほざくかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ダンダンダンッ!!

 

「くっ・・・これは避けられんか・・・ディグ・ディル・ディリックヴォルホール・・・」

 

ゴオオオオ・・・・・

 

 

迫りくる弾丸を風の結界で防ぐ。

 

 

「捕った!!」

 

「!!」

 

ずぶりゅ・・・・・

 

「ぐっ・・・・」

 

 

結界を張る一瞬、動きを止めた俺にガンドルフィーニのナイフが容赦なく襲い掛かり、嫌な音と共に俺の胸部に深く突き刺さる。

 

 

「・・・・・・」

 

「フフフ・・・これで麻帆良の平和は守られ「お前は・・・」なっ!?」

 

「相手に止めを刺す時は・・・必ずと言っていい程ナイフによる急所・・・心臓への攻撃が多い・・・」

 

「なっ!?・・・抜・・・・抜けない!?」

 

 

予め胸部に集約した風の結界を張って僅かに心臓への直撃を逸らした。

 

 

「何回手合わせをしたと思っている?お前の癖は・・・お見通しだ!」

 

「!?」

 

ドグオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!

 

「ぐっ・・・は!!」

 

 

風を収束させ纏わせた拳をガンドルフィーニに力の限り打ち込むと、ガンドルフィーニは体を回転させ、

後ろの木々を幾つか薙ぎ倒しながら吹き飛んで行った。

 

 

「・・・がっ・・・」

 

 

くっ・・・心臓から逸れているとは言え、さすがに痛みが激しい・・・俺の胸には今だにナイフが突き刺さったままだ、

無理に抜くと出血がやばいからな・・・。

 

それよりもガンドルフィーニは?

 

俺はガンドルフィーニが吹き飛ばされた箇所を見てみると、そこには・・・。

 

 

「がっ・・・ぶふっ!!」

 

びちゃ・・・・

 

 

所々血を流しながら立ち上がるガンドルフィーニが居た。

 

 

「悪魔め・・・よ・・・よくも・・・」

 

「・・・・ガンドルフィーニ・・・・」

 

「私は・・・正義の・・・・魔法使い・・・・悪になど・・・くっ・・・・しは・・・・しな・・・い・・・・・・」

 

「・・・・もういい、ガンドルフィーニ・・・お前の負けだ・・・」

 

「正義は・・・悪に・・・」

 

「・・・・頼む」

 

「あぁ・・・」

 

キ・・・・・・ン・・・・・・

 

「・・・・・・・・・」

 

 

何かが凍り付く様な音の後、目の前にいたガンドルフィーニは全身氷付けとなって佇んでいた。

 

 

「すまない・・・俺が相手をすると言っておきながら」

 

「構わん・・・」

 

 

氷漬けになったガンドルフィーニの背後に居た人物、エヴァンジェリンに取り敢えずの礼を言った。

 

 

「しかし・・・お前もバカだな、私に任せておけばそんな怪我などしなかったものを」

 

「・・・確かにな・・・こうなったガンドルフィーニや高音を止めるには、お前の様に氷漬けにして物理的に止める以外無いのは、

だが・・・できれば俺の手で止めたかった!」

 

「・・・友としてか?」

 

「・・・そうだ・・・」

 

「・・・・本当のバカだ・・・だが、何だかんだ言って何もしない奴よりは幾分マシだな・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「何だ?その意外そうな顔は?」

 

「・・・・・意外だったものでな・・・・・」

 

「ふん・・・私にも他人の行動に対して好感を持つ事もある・・・あいつの様にな」

 

「・・・・あぁ、俺は少し休ませてもらう・・・」

 

「いや、そこはじっくり休め、ナイフが刺さったままだぞ、茶々丸手当をしてやれ」

 

「イエス、マスター」

 

 

後は頼むぞ・・・八神。

 

 

Side・太一

 

「うおりゃああああああああああああああああ!!」

 

「そんな攻撃!!」

 

 

俺はマリオンに殴り掛かるも、マリオンは素早くかわし、一旦距離を取ると思ったら素早く近づき深い紫色の魔力を纏わせた手刀を当てようとする。

 

 

「くっ!」

 

スパっ!

 

どがしゃあああああああああああん!!

 

 

マリオンの手刀を避けたが、僅かに纏った魔力に触れたのか俺の右頬が斬れて、頬を血がゆっくりと流れる。

 

だがあの手刀は危険だ・・・避ける時後ろにあった木に当たったが、難無く無残に切り倒された。

 

 

「フフ・・・やはりまだ未熟の様ね・・・」

 

「まあ・・・確かに未熟だけど」

 

「本来ならこの纏った魔力だけでキサマに傷を付けるのは不可能なのよね」

 

「・・・・・」

 

「この魔力と私の魔手が合わさってやっとダメージを与えられるかもしれない位の防御力がある筈なのよ、その纏っているオーラには」

 

 

生魔陽気には本来あの程度では傷が付かない程の防護力があるのか・・・しかし俺の頬にはしっかりとマリオンからの攻撃による傷がある。

 

これは俺が未熟だからか・・まだこの力を扱いきれていない証拠か・・・。

 

 

「本来なら・・・先程キサマがやったあの光を放つ技・・・あれだけで私にはかなりのダメージを、

そしてあの2人にかけた私の力を消す事も出来た筈・・・」

 

「・・・ちっ、それを聞いてますます精進しないといけない気分になったぜ・・・」

 

 

前シャドルと戦った時、確かに俺の生魔陽気の光だけで奴にダメージを与え、奴が能力で出した影の僕を消滅させていた。

 

あの時はこの力を上手くコントロール出来ず、常に全力で放出している状態だったから出来たが、

今の俺では無駄に消費するのを抑えるのに手いっぱいで、生魔陽気の光でダメージを与える事は無理だ。

 

もっと修行しないとな、この力だけじゃなく戦いにおいても。

 

 

「まあ・・・もう気にする必要はないわ・・・だって今私に殺されるんですもの!!」

 

「くっ!」

 

 

マリオンは手に纏っていた魔力をナイフの様な形へと変え、俺へと投げつける。

 

俺はそれを避けると、マリオンは高く飛び上がり、妖美に舞うようにしながら幾つものナイフ形の魔力を投げてくる。

 

 

「うおっ!?」

 

「ハハハッ!何時まで逃げ切れるかしら?」

 

「喧しい!今殴ってやるから覚悟しやがれ!」

 

 

と言っても、中々難しいな・・・マリオンは素早く飛びまわてって、とてもじゃないが俺じゃあ捕まえられない。

 

 

「如何する・・・」

 

「もらった!!」

 

カカッ!

 

「しまった!?」

 

 

マリオンのナイフ形魔力数本の間には紐の様な魔力に繋がり合っていて、俺の体を絡め取り身動きが取れなくなる。

 

 

「ハハハッ!引っ掛かった引っ掛かった!」

 

 

身動きの取れなくなった俺に、マリオンは近付き、手で俺の顔を怪しく撫でる様に掴み、食入る様に俺の目を見る。

 

 

「見せてえ~~~!お・ま・え・の!醜い正義を!!」

 

きぃ・・・・・・ん・・・・・・

 

 

マリオンの瞳が血の様に紅く輝いて・・・俺の意識は・・・。

 

 

Side・マリオン

 

フフ・・・他愛も無い・・・。

 

 

「何だかんだ言っておきながら・・・お前も私の術中にはまったじゃない」

 

「・・・・・」

 

「さあ・・・見せて見せて!お前の片寄った自己満足な醜い正義を!!」

 

「俺の・・・正義・・・」

 

 

早く早く!見せろ見せろ!仲間を悪と見出だして正義を示せ!

 

 

「俺の・・・今の正義・・・それは・・・」

 

「ん?ん?」

 

「それは・・・人の信じる道を踏み躙り」

 

「え?」

 

「大切な人を傷つけさせ・・・嘲笑う・・・マリオン!お前を倒す事だ!!」

 

「なっ!?」

 

「はああああああああああああああああああああ!!」

 

ブチブチブチ!!

 

 

魔力の糸が・・・私の魔力で作った頑丈な糸が・・・引き千切られて・・・・。

 

 

「うおらああああああああああああああああ!!」

 

 

そんな・・・。

 

 

ゲシン!

 

「ぐっふぉ!!」

 

 

そんな・・・・バカな・・・・。

 

 

Side・太一

 

「ふぅ・・・危なかった、一瞬意識が無くなると思ったけど、何とかなった様だな」

 

 

マリオンの瞳が紅くなったのを見た時、変な感覚に襲われて気を失いかけたけど何とか無事だった俺は、

マリオンが油断している事に気付いて、取り敢えず近付いて来たところを力を全開にして魔力の糸を引き千切った後、

渾身の一撃をアイツの顔面に叩き込んでやったぜ。

 

 

「ば・・・バカな・・・私の能力が効かない?太陽の欠片の力か?でも・・・それならあの時に奴等にかけた能力の効果も消える筈・・・」

 

「あぁ・・・一瞬気を失いかけたけど何とかなったぜ」

 

「バカな・・・今の奴の太陽の欠片では私の能力を防ぐのは不可能の筈・・・ま・・・まさか・・・」

 

 

何だ?何だかマリオンが驚いている様だが。

 

 

「キサマ・・・何か声が聞こえなかったか?幻覚の様な物も見えなかったか?」

 

 

あぁ?何を言ってんだこいつは?

 

まあ聞かれたからとりあえず思い出してみるけど・・・う~~~~ん。

 

 

「確かに聞こえたぜ、何かやたら「正義を示せ」だの、「正しいのはお前だ!思うままに正義を爆発させろ」とかな、正直五月蠅かったぜ」

 

「ま・・・まさか・・・キサマ!精神力だけで私の能力に耐えたと言うのか!?」

 

「・・・さあ?」

 

「「さあ?」だと!?キサマ・・・一体何者なんだ!?」

 

「只の中学生男子だ・・・それ以外に何に見える?」

 

 

一瞬「そこは「通りすがりの〇〇だ!覚えておけ!」と言えと!!」言う声が聞こえた様な気がしたけど・・・取り敢えず俺にはマリオンの能力は効かない様だ。

 

 

「何故だ!?何故!?太陽の欠片を持つとは言え、まだ未熟で力も上手く扱えない様な人間の小僧に・・・」

 

「さあな?でも思うがままに行動するだけが人間じゃないぜ・・・その所為で大切な人を危険な目に合わせてしまった俺にとって特にな」

 

「くぅ・・・調子に乗って・・・説教こいた事ほざくんじゃねえぞ!!クソガキャああああああああああああ!!」

 

 

マリオンは両手に魔力を集めそれを伸ばし、まるで鞭の様に振り回す。

 

 

「やべ・・・キレちゃった?」

 

「死ねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」

 

 

あれはヤバイな・・・真面に受けたらきっと死んじゃうんだろうな・・・。

 

 

「・・・出来るか?今の俺に・・・」

 

 

マリオンは魔力をナイフの様に形を変えたり、今も鞭の様にしている・・・魔力や気に形は無い・・・だが、

集めて収束すれば物理的に攻撃も出来る・・・今俺の体に纏っている、生魔陽気も俺の気と魔力を融合させて発動している・・・。

 

 

「・・・俺の・・・扱えるもの・・・一番近くで見てきた・・・強い武器・・・」

 

 

俺は目を閉じて集中する・・・俺の身近な武器・・・俺を・・・相棒を守り・・・強敵を薙ぎ倒してきた信頼できるあの龍殺しの爪を・・・。

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「フハハ・・・フハハハハハハハハハハハハハハハハ!!直撃だ!!死んだぞ死んだ!!この私に生意気にも説教じみた事をほざいたガキを!!」

 

「お生憎様・・・俺はまだ死んじゃいないぜ」

 

「なっ!?」

 

 

俺の両腕の肘から先までの全体を包む様に生魔陽気が集まっていて、それがマリオンの攻撃を防いでくれた。

 

腕に纏った生魔陽気の先は3本の鋭い刃の様に尖っていて、その形は俺のよく知っている武器に酷似していた。

 

アグモンの・・・ウォーグレイモンのドラモンキラーの形に。

 

 

「さて・・・こっからが本番だ、こういう時はこのセリフが合うてっ、アイツが言ってたな・・・キサマの陰我、俺が解き放つ!!」

 

 

俺はそう言い放ち・・・陽龍爪(ようりゅうそう)をマリオンに向ける。

 

 

続く

 

 

 

 

おまけ・その1

 

 

太一に自分の能力が効かない事に驚愕し、マリオンが何者かと説いていた頃。

 

 

「その時は「通りすがりの〇〇だ!覚えておけ!」だよ!!」

 

「グオ!?」

 

 

突如反対方向を向いて何か訳の分からない事を空に向かって言うジオグレイモンに呆然とするモノクロモンの姿があったとさ。

 

 

おまけ・その2

 

 

さて・・・多分こっちの方も気になる人も思うので、その頃の女子生徒寮、刹那と真名の部屋は、

まるで戦争があったか、台風が直撃したか後の様に荒れていた。

 

 

「ぐっ・・・無念でござる」

 

「アイヤー・・・悔しいけど何故か納得している自分が居るアル・・・」

 

「ふしゅるぅ・・・・ふしゅるぅ・・・・」

 

「刹那・・・落ち着け・・・今行っても色んな意味で間に合わないぞ・・・」

 

「うがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

暴走したエ〇ァ(エターナル金髪ロリヴァンパイヤじゃないよ)も裸足で逃げ出すような咆哮を上げる刹那。

 

その姿はまさしく戦鬼・・・顔もまるで般若の様に変わっていた。

 

最早此処までか・・・と、真名達が思ったその時。

 

 

ガチャ・・・・

 

「どないしたんやせっちゃん?さっきから凄い音や獣の様な鳴き声が聞こえとったけど?」

 

すぅ・・・・・

 

「いえ木乃香お嬢様、映画を見ていて興奮した楓と古菲が暴れ、それを私と真名が止めていただけです。」

 

「「「ずごーーーーーーーーーーーーーーー!!」」」

 

 

木乃香の登場で、いきなり“素”に戻り、当たり障りの無い言い訳をする刹那に、色々ツッコみたい事が満載であったが、

そのあまりもの変わり様に、思わず盛大にズッコケる3人であった。

 

 

「五月蠅いぞお前達、今何時だと思っているんだ?」

 

「「「お前に言われたくないわ(でござる)(アル)!!」」」

 

 

今回も・・・女子生徒寮は色んな意味で平和で・・・騒がしいのであった。

 

 




次回予告
太一とマリオンの戦いが激化する時、
ジオグレイモンとモノクロモンの戦いも激しさを増す。
その時歴戦の勇者がその姿を現す!
次回
デジモンアドベンチャーMAGI
『スライド・エヴォリューション!!爆熱竜・グレイモン!』
今・・・冒険が進化する。

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