デジモンアドベンチャーMAGI   作:龍気

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この頃はアンチに目覚めてなかったのに・・・。


第1話『選ばれし者と魔法使い』

鳥の鳴き声と風の音のみが聞こえ、昇りたての太陽の日差しが射す、まだ莟のみの桜の木が並んだ通りに、一人少々引き攣った顔をし、震える少年がいた。

 

 

「・・・なんで?・・なんで?・・こんな事に?」

 

少年は見るかぎり中学生ぐらいであろうか、旅行鞄と手には力んだせいか少々皺のよった紙が握られていた。

 

 

「何で後1ヵ月ちょいで、終了式のこのタイミングで・・・しかもあんな事があった後すぐに・・・・しかも前日に知らされて・・・・・。」

 

 

少年は天に向かって心の中にある不満を叫んだ。

 

「何で転入しなきゃいかねえんだあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

―――『選ばれし者と魔法使い』―――

 

 

 

彼「八神太一」は、先日担任の教師にある知らせを告げられ今に至る。

 

 

『えっ!?・・・てっ・・・て・・転・・入!?』

 

『あ・・・あぁ・・・明日埼玉県の麻帆良市にある学園都市とも呼ばれている「麻帆良学園・中等部」に急遽お前が転入する事が昨日の職員会議で決まった・・・。』

 

『そんな・・・。』

 

『何でも麻帆良学園側から直々にお前に転入してほしいと連絡が来て・・・・お前のこの中学での学費及び今後の学費も含み全て援助する条件付で。』

 

『何で俺なんですか?』

 

『解らん・・・体育は優秀、その他教科は良くも無く悪くも無い、そんなお前が呼ばれた訳は私達にも知らされていない。』

 

『でもなんで明日なんですか!?』

 

『私達も昨日知らされたばかりで、確かに無茶苦茶だから私も抗議したのだが・・・、上の方が麻帆良学園の先生方に丸め込まれてお前の転入届に判子押しちまったんだ。』

 

『俺に内緒でそんな勝手に・・・・!!』

 

『詳しくは明日麻帆良学園の学園長から説明される、今日はもう帰りなさい、ご家族の方にはもう連絡はしてある・・・力になれなくてすまんな。』

 

『そ・・・そんなぁ・・・。』

 

 

そして家に戻り荷造りを終え、あまりにも急な事に急いで集まった彼の家族や友人に別れの挨拶を終えた彼は、急ぎ足で新幹線に乗り埼玉へ、

その夜は学園側で用意されたホテルに1泊する、詳しい話をする為に朝の6時に学園に来てほしいと書かれた地図を片手に今彼は麻帆良学園の桜通りに居た。

 

 

「それにしても・・・・広いな・・・さすが「学園都市」と言われているだけあって町1つの規模の殆どが学園やそれらに関する施設で出来ている・・・税金の無駄遣いかどうかも解んねぇや。」

 

 

地図を見ながら桜通りまでの道のりを思い出しながら歩く太一の前に1人の眼鏡を掛けた中年位の男性が歩み寄ってきた。

 

 

「君が八神太一君だね?」

 

「あっ!?はい、そうです・・・あの・・・ここの先生ですか?」

 

「あぁ、僕はタカミチ・T・高畑、君の入るクラス「2-A」の元担任で学園広域指導員をやっている、皆からは「高畑」もしくは「タカミチ」と呼ばれている、よろしく。」

 

「あっ・・・こちらこそよろしくお願いします。」

 

「・・・・・・・・。」

 

 

高畑は右手を差し出し握手を求めた、太一はそれに握手に応じ右手を差し出して握手を交わした、高畑はおもむろに太一の目をじっと見詰めて頷いた。

 

 

「あ・・・あの・・俺の顔に何か付いてますか?」

 

「ん?・・あぁすまない、いや、いい目をしていると思ってね。」

 

「そうかなぁ?普通の目だと思うけど。」

 

「まっすぐとした曇りの無い目だね、色んな物を見て来てそれを乗り越えて来た者の目だ、君位の歳の子でそんな目をする者はそうはいないよ。」

 

「はぁ・・・そうですか(何だ?この人、この探りを入れるような感じは、なにより握手した手から伝わるこの妙な感じ・・いや力といった方がいいか、

推測だが俺がここに呼ばれた事に関して関わっている事は間違いないな)・・・。」

 

「学園長がお待ちだよ、早く行こうか。」

 

「あっ!!はっはい(とりあえず学園長に会って訳を聞いた方が得策だな)。」

 

 

二人は学園長の居る学園長室に歩を進めた、その間二人の間にこれといった会話は無かった、高畑の方から学園の説明を軽く話すのみで、

太一は簡単に返事を返すのみであった、なぜなら太一は高畑の話ではなく別の事に気をとらわれていたからであった。

 

 

(何だ?3つ・・いや4人位の視線を感じる、どれもこれも殺気に近い警戒の視線だ、その内3つ程探りを入れた感じだ・・・。)

 

「・・・気になるかい?」

 

「えっ!?・・・何が・・ですか?」

 

「気にしなくていいよ、皆始めて見る君に少々警戒しているだけだよ、特に僕と並んで歩いている事によってね。」

 

「どういう意味ですか?」

 

「それも追々話すよ、それよりもうすぐ学園長室だよ。」

 

 

二人は一際大きな建物の中へと入って行った、それと同時に視線を感じなくなった、二人はしばらく階段を上り最上階に着いて、

「学園長室」と書かれた表札がある扉の前で二人は止まった。

 

 

「ここだよ、さぁ。」

 

「・・・・・・。」

ガチャ

 

 

太一はドアノブに手をかけ扉を開く。

 

 

「!?」

バタン

 

 

そしてすぐ閉じた。

 

 

(い・・・今何が見えた?妖怪?それとも俺も知らない人型デジモン?)

 

 

動揺する太一に高畑は「やっぱりか」といった顔で肩にポンと手を置き落ち着かせようとした。

 

 

「大丈夫だよ、八神君・・・あの人は・・あんな頭をしているが一応人間だから・・。」

 

太一を落ち着かせ二人は学園長室へと入った、そこには眼鏡を掛けた長髪の若い女性と、先ほど太一を驚かせた原拠ともいえる頭が異様に伸びた白髪の髪と髭を伸ばした老人がいた。

 

 

「ようこそ麻帆良学園へ、わしが学園長の近衛近右衛門じゃ、八神太一君わし等は君を歓迎するぞ。」

 

「あ・・・・はぁどうも。」

 

「よろしく八神君、私は貴方のクラスになる2-Aの副担任の源しずな、これからよろしくね。」

 

「よろしくお願いします。」

 

「何かわしの時と反応が違うのぉ?」

 

「えっ!?いや・・・その・・これは・・!!」

 

「いいんじゃよ別に、初対面の者は皆そんな反応するから・・・。」

 

(すねてる・・・間違いなくすねてる!!)

 

「まあよい、八神君。」

 

「はい!!」

 

「急に転入させた事に関しては、君やご家族の方にも大変迷惑をかけた事は本当にすまなかった、しかし事は一刻を争う事態なのじゃ!!」

 

 

すっとぼけた感じから急にシリアスな感じに表情を変えた学園長から只ならぬ言葉が発せられた、その言葉に太一は多少の驚きを隠せないでいた。

 

 

「いったい何があると言うんですか?」

 

「ふむ・・・まずこれを見てくれたまえ、これに君が呼ばれた全てがあるといっても過言でもない・・・。」

 

 

そう言って学園長は太一に白い封筒を渡した、そして中身を確認した太一はしばし言葉を失った。

 

 

「っ!?・・・・こ・・・これは!?」

 

 

それは太一の予想をおおきく上まった物であった。

 

 

「お・・・お見合い写真?」

 

 

封筒の中身は、着物を着た太一と同い年ぐらいの女の子が写ったお見合い写真であった。

 

 

「どうじゃ?わしの孫娘「近衛木乃香」じゃ、歳も君と丁度同じじゃから話も合うじゃろうし。」

 

「アホかあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

太一のその叫びは、学園長室の窓硝子全てを粉砕するかのごとく響いた、後ろの硝子がビシビシと音をたてて少し揺れる。

 

 

バンッ!!

「学園長!!どういたしました!?」

 

 

突如後ろの扉が開き、日本刀を持った少女が飛び出してきた。

 

少女は太一と学園長の間に割り込むと、太一に刃を向ける。

 

 

「あ~~いいんじゃよ刹那君、少しばかしわしの悪ふざけが彼に通じなかっただけじゃ。」

 

「そうですか・・・。」

 

「太一君彼女は、桜咲刹那君、君のクラスメイトになる子じゃ仲良くのぉ。」

 

「え!?・・・学園長・・。」

 

 

刹那が疑問に思った事を口にしようとすると、学園長は太一には気付かれない様に「黙っている様に」と言わんかのように目で合図をした。

 

 

刹那は承諾したか、黙り込み刀を鞘に納め太一のほうを向く。

 

 

「え・・・桜咲刹那だったな?俺は八神太一だ、これからよろしく。」

 

「・・・・桜咲刹那です。」

 

 

2人は握手を交わす、刹那は警戒心むき出しのまま太一から少し離れる。

 

 

「あのさぁ・・・1つ聞いてもいいかな?」

 

「何ですか?」

 

「その刀もそうだけど・・・何で俺を見張っていたんだ?」

 

「なっ!?」

 

「彼は気付いていたよ・・・他の3人にもね。」

 

 

刹那は信じられないといった顔だった、自分を含み他の3人の気配に気付いた目の前の少年、彼は何者なのだろうか、

 

彼女の中で警戒心は一層深まるばかりであった。

 

そんな中で、学園長は「フォフォフォ」と笑い、「流石だな」といわんばかりに太一を見る。

 

 

「フム、刹那君だけでなくあの3人の気配に気付くとは・・・・流石は選ばれし子供達の1人といったところか・・・。」

 

「・・・選ばれし子供達・・・何の事ですか?」

 

「無駄だよ・・太一君・・・数日前のお台場での怪獣騒ぎの詳細を調べさせてもらった、それだけで無く、

我々の情報網からの確かな情報から君がそう呼ばれている事は調査済みさ。」

 

 

太一は驚愕していた、あの事件の事はゲンナイ達ホメオスタシスがデジタルワールドの干渉や混乱を最小現に押さえる為に、データの抹消や情報の改ざんをしたはず、今の技術どうこうで調べられるものではなかったからだ。

 

太一は警戒した様子で辺りを見わたす、他に人間が潜んでいるのか、今ここにいる自分以外の人物が選ばれし子供達に関してどうして知っているのかを考えていた。

 

 

「学園長・・・選ばれし子供達とはいったい何ですか?」

 

「それは・・・ワシ等にもその全てが解った訳でも、どの位の規模で存在しているのかは解ってはおらんのじゃ。」

 

「ただ解っているのは、彼等は4年前の夏に世界中で起きた怪現象にも大きく関わり、恐竜でも魔獣とも言えない未知の生命体を操ると言われている。」

 

 

刹那の質問に学園長と高畑が答えるが、この2人でも選ばれし子供達に関して全てを知っている訳ではなかった。

 

太一は少し安心したが警戒は解く様子なく、ポケットに手を入れ学園長に問う為に口を開く。

 

 

「仮に俺がその選ばれし子供達の1人だとして、それを知ってあんた達はどうするつもりだ?そして・・・お前等は何なんだ?」

 

「貴様!!学園長達に対してなんて口を・・・貴様はこちらの質問に答えていればいい!!」

 

 

刹那は刀を抜き、太一の首筋に触れる寸前のところで止め威圧するが、太一はその威圧に対し一向に動じ揺れる気配は無く、それどころか余裕の笑みを刹那に向ける。

 

 

「何がおかしい!?」

 

「俺を殺したら情報を得られないからな、その点に関しては命の保障はある。」

 

「なっ!?」

 

「その選ばれし子供達の内の1人だとして俺を呼んだが、俺以外の人物はまだ分かってない事はさっきの会話で大体予想がつく、そんな大事な情報源を殺す間抜けにも見えないしね。」

 

「くっ!!(こいつ只者ではない・・・私や龍宮の気配に気付いただけでなく、こんな状況に陥ろうともこの冷静な判断力・・・こいつはいったい?)」

 

「フォフォフォ・・・やりおるのぉ太一君、普通刀を突付けられたら取乱すかある程度の動揺を見せるが・・・度胸が据わっていると言うか何と言うか・・・よかろう・・君の質問に答えよう。」

 

「なっ!?・・・学園長・・・彼は普通の人間かもしれないのですよ!!・・・下手をすれば禁忌を犯す事に・・・。」

 

 

刹那は取乱し学園長に意を問いかける、この場の人間にとってさっきの質問の答えは非常に不味いらしい。

 

だが太一にとっても選ばれし子供達の情報を正体不明の者に渡すにはそれなりのリスクがある、その動機を知ってからでもいいが、それを素直に言う点から偽の動機を話す、もしくは、さっきのやり取りから自分が選ばれし子供達の1人と決定付ける事になり、それが素直に答える切っ掛けになったのでは無いかと、もし後者ならば太一としても不味い、少し慎重になり学園長の言葉を聞き入る。

 

 

「安心しなさい、君や君の仲間をどうこうする訳では無いからのぉ、そしてこれから話す事は全て真実じゃ。」

 

「・・・・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

 

2人はしばし言葉を発しなかった、太一は学園長の目をじっと見詰め、少し笑みをこぼした。

 

 

「分かりました・・・嘘を言う人間の目じゃないし、さっきの孫娘との見合い話より真剣みがこもっているし。」

 

「なっ!?」

 

「ふむ・・・その話もかなり真面目だったのだがのぉ・・・。」

 

 

刹那が少し取乱したが二人は気にせずに話を進めた。

 

 

「では・・・さっきも言ったように、これから話す事は全て事実じゃ。」

 

「分かった。」

 

「わし等は・・・君達が空想上の存在として認知している者・・・魔法使いじゃ・・・。」

 

「・・・・魔法使い・・・。」

 

 

ここから八神太一の新たなる冒険の扉が開いたのであった。

 

 

続く

 

 

 




次回予告
魔法使いの存在を知った太一であったが。
そこで学園長に頼まれたのは、他の選ばれし子供達の所在と、
ある少年の面倒を見る事だった。
次回
デジモンアドベンチャーMAGI
『交渉・担任は子供先生?』
今・・・冒険が進化する。
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