「・・・・魔法使い?・・・。」
麻帆良学園へと転入した太一、そこで学園長から自分の知らない世界の真実を知る事となる、幼き頃から係わってきたデジタルワールド以外に存在した異世界の真実、
空想上の造物と思われてきた存在、裏の世界を生きる魔法使い達の存在を・・・。
それを聞けば例えどんな危険な事であろうとも抜け出すことの出来ない戦いの渦に巻き込まれるであろうと太一は感じていたのであった。
自分の運命・・・デジタルワールドの歪みを正し、リアルワールド(現実世界)と共に2つの世界に平和をもたらす存在である選ばれし子供達の1人として生き、
戦って来た彼にとって、世界の歪みや異常は絶え間無く彼や他の選ばれし子供達に降掛かるのであった、
それは運命なのか、もしくは彼らが得た力に引き寄せられるのかは分からないが、戦いだけは避けられないと感じていたのであった、
例えどんな悲しみがあろうとも、例えどんな苦みがあろうとも、例えそれが一時の平和を得るだけだとしても彼は戦わなければならないのだから。
しかし、それと同時に太一は心の内に熱い物を感じた、この真実を聞いた瞬間に彼の中にある冒険心に熱い火が点いたのだ、
忘れもしない初めてデジタルワールドを旅した時に彼の中に生まれた冒険心、悲しい事や苦しい事もあったが、
かけがえのない絆や強さ、そして心を仲間と共に手にした冒険で生まれた冒険心は、彼の中で大きく燃え上がる、
それは世界の歪みと言う過酷な戦いの渦に巻き込まれようとしている彼にとって、決して折れる事の無い不屈の心でもあり、
どんな未来へとも光と希望を信じ歩んで行ける勇気の心、それが八神太一の心の光であり全てでもある。
そしてその扉は今開かれる、開かれた新たなる冒険の扉を彼は今くぐるのであった。
そしてそれは、彼に秘められた、古より受継がれた、そして忘れられた使命と言う、もう1つの運命を知る事となるのであった。
―――『交渉・担任は子供先生?』―――
「うむ・・・そうじゃ・・まぁ刹那君の場合は「魔法関係者」に当るがのぉ。」
「・・・・・・。」
自分達は魔法使いやそれと関係する者であると太一に告げた学園長、それに対し納得がいかないといった態度を撮る刹那、
情報を引き出す為とは言え、詳細の知れない者に自分達が共通とする最大の秘密をあっさりとばらしてしまったのだから仕方が無いが、
それを止め様ともしなかった高畑や源の両者に対しても少し呆れると言った感じで、両者をチラッと見て溜息を漏らすのであった。
そんな刹那の様子に気付く太一、その様子からするとこの話が想像以上の大事で、かなり昔から魔法使い達やその関係者は、
人知れずに存在しているのではないかと思えるのであった。
「わし等魔法使いやその関係者達は遥かな昔から、魔法を使えぬ者達・・・まぁ一般の人々にその存在を隠し、
「世のため、人のため」の信念を基に、陰ながらその力を使い、歴史の裏側で起きた摩訶不思議・人知を超えた事件を、
歴史の表舞台に出す事無く人知れずに幾多も解決してきたのじゃ。」
「要するに正義の味方の集団と言ったところですか?」
「そう認識してもらっても構わん、実際正義の名の基に活動しとるみたいなもんじゃからのぉ。」
「・・・何故人知れずに?」
「君なら分かるはずだと思うんじゃがのぉ・・・。」
そう太一には既に分かっていた、人は未知を求み、それを解き、それを新たな常識や知識として刻むが、
あまりにも人知を越える、異形の力や知識など、己達には到底解明できない事を忌み嫌い、時として人はそれを危険視し、
「認めず・追放・排除」そう言った事をする者達が現れる、そして今回の魔法は長きにわたり空想の存在と思われた未知の力だ、
下手をすれば今この世界に存在している全ての魔法使い達を化け物視して、理不尽な虐殺が起き、
情報操作で恐怖を広げ人は自分以外の者を疑い信じられなくなるだろう、そうなってしまったらそれはもはや戦争ではなく混沌である。
世界の全てを絶望へといざなう混沌は、いずれは治まるであろうが、それには長い時間が必要となるであろう。
それまでに幾つの罪無き命が失われるのだろうか、そして残された者達には悲しみや虚しさが心に残り、
そして後悔するのだ、全てが終わりそして過ちに気付く、人はまだそれ程にまで、未熟なのだ。
「えぇ・・・世界は混乱するでしょう・・最悪・・魔法が使える者達と普通の人間達の戦争が起きます。」
「ふむ・・・だがそれは君達にも言える事では無いかのぉ?」
「・・確かに・・・。」
「では君は「選ばれし子供達」と言われる者達の内の1人と認めるんだね?」
「えぇ・・・ここまで聞かされたらこっちも黙っとく訳にもいきませんから。」
そう混乱を招くかもしれないのは何も魔法使いだけで無い、太一やその仲間達「選ばれし子供達」の力・・・、
いや・・彼等と力を合わせた者達やその同族達の力とその者達が住む世界の詳細が知られたら、人は彼等を管理もしくは排除しようとするかもしれないのだ。
それは新たな混乱を呼ぶ事になり最悪の場合、自分達は彼等かもしくは同じ人間達と戦う事になるかもしれないからである。
分かり合える者同士が傷付け合う事だけはどうしても避けたい、その為に彼等選ばれし子供達は、余程の親しく信頼できる者にしか自分達の事は打ち明けないのだ。
「あんた達が気にしているあの生物の名は総称して「デジタルモンスター」・・通称「デジモン」と呼んでいる。」
「デジモン・・・わしの記憶にそのような生物の名は無いのぉ・・・。」
「俺達も全てを知っている訳ではないのですが・・・、俺が知っている事だけなら教えます。」
そして太一は話した、「デジタルワールド」の事を、様々なデータが集まり出来たネットワーク上に存在する地球と同じ規模を持つ世界。
そこには人間は存在せず、意志を持った形あるデータの塊、魂を持つデータ「デジモン」が住む世界、
他にデジタルワールドの管理や安定を望むデジモン意外の神やホメオスタシスと名乗る存在がいるが、彼等に関しては全てを知っているわけでない、
彼等によって自分達は選ばれたのだと伝える。
そして選ばれし子供達はデジタルワールドの歪みを正す為、パートナーとして選ばれたデジモン達と共にデジタルワールドを旅し、
世界を歪める暗黒の力を浄化するのが使命なのだ、そして仲間は世界中にいて普段は普通の生活をおくっているのだ。
「以上が俺の知っている限りの事です。」
「・・・ネットワークの中にそんな世界が存在するなんて・・、とても信じられないわ・・・。」
「しかも世界中に・・・八神君、大体でいいんだがどの位の人数で世界中に選ばれし子供達がいるのか分からないかい?」
「・・・その内何人かとは、情報交換などして連絡は取り合っているが、それ以外を含むと・・・、軽く300以上は間違いないですね。」
「・・・意外と少ないんですね・・。」
「だが・・・これから叉増える事は間違いないのは確かだ。」
「「「!?」」」
「どう言う事かね?」
「選ばれし子供達は過去にデジモンに関わった事のある、子供達が選らばれる可能性があるんだ、それはデジモンの事を理解して混乱を避ける為の、
一種の救済処置なのかもしれないが、とりあえず数日前の事件でも多くの子供達がデジモンに関わってしまったから、
恐らくは増える事はあっても減る事は無いと思う。」
「「「「・・・・・・。」」」」
しばらく沈黙が続いた、自分達魔法使い達すら驚異に思える力を持つデジモンを操る子供達がこれからも増えるという事に恐怖したからだ。
だが一番の恐れはデジモンの力では無く、その力を子供が持ち操る事である、子供に銃やナイフを持たせる者はいない、
いやこれはもはや問題のレベルが遥かに違う、未熟な精神の子供がそんな驚異的な力を持ち、それが引き金となり暴走するかもしれないからだ。
人は過ぎたる力を持ち他者を凌げば、人を見下す傲慢とかす者は少なからずいる、それが精神のまだ未熟な子供だと尚更である。
「・・・八神君・・、予想はついとると思うが・・・、君の知っている範囲で良いんじゃ、他の選ばれし子供達の所在や情報をわし等に教えてはくれんかのぉ?」
「・・・・・・。」
その場の視線が全て太一に向けられる、太一は「やっぱりか」と言った感じに溜息を漏らす。
これが自分の呼ばれた最大の要因であった、確かにある程度とは言え世界に複数いる子供達の詳細を知っておけば、いざと言う時に対応が出来る、
その考えに対しては同感だが・・・。
「その情報から更に他の子供達を探し出して、あんた達魔法使い達が子供達の監視管理、もしくは説得かなんかして魔法関係者として取り組む・・・、
そしてデジタルワールドへの移動方法を解明しデジモンを管理し、更にあんた達がデジモンを扱える様にする・・・その為に協力してくれと言った所か?」
「うむ・・・それが現段階でおける最善の対策じゃ。」
「断った場合は?」
「・・・・・子供達の場合、デジモンと引き離し記憶を消す処置を施す、叉は監禁じゃ・・・。
デジモンに関しては研究材料となるか処分・・・もしくは調教か操りの魔法をかける・・・といったところじゃ・・・。」
「「「・・・・・・。」」」
学園長や他の3人もこれに関しては、反対ではあるが、こんな人権や意思を無視した処置を下す事を余儀なくされるほど彼等にとって、デジモンの力は驚異なのだ。
「これはあくまで最終的な強行手段じゃ・・・本気で実行したいと思う者はおらんが・・・
最悪この手段をとらねばならん・・・。」
「君も分かっているとは思うけど、子供が持つにはあの力は大き過ぎる・・・、過ちが起きる前に何とかしなければならない、
過ちが起きてからでは遅いんだ・・・。」
「じゃから、代表としてわしから君に協力を要請する、もちろん協力してくれれば、それなりの褒美を君に与える、
どうじゃ?協力してはくれんかのぉ?」
「「・・・・・。」」
「・・・なるほど、確かに最善だな。」
「では・・・・。」
「断る!!」
「「「「!?」」」」
太一からの返事はその場にいる者全員にとって意外なものだった、彼も大きな力が呼ぶ波紋や混乱などについては理解しているように感じられたからである。
そんな彼がそんな事を言うとは、信じられ無いと言った様子で彼を見た。
「ど・・どうしてかね?」
「確かにその対策は最善とも言えるが・・・あんた達は大事な事を見落としている。」
「何だねそれは?」
「・・・あんた達がしようとしている事は、心ある者達の自由を奪う事だ!!」
「!?・・・な・・何を言っている?子供達はそうかもしれないが、デジモンと言う生物に関してはデータの塊なんでしょ?心なんか持っているわけが・・・。」
「あいつ等は俺達と同じだ!!」
「!?」
「デジモンにも俺達と同じ心が・・魂があるんだ・・・。」
「うっ・・・!!」
太一は少し悲しくも怒りを込めた目をして刹那を睨み付けた。
刹那は何も言えなくなり、その瞳から来る気迫に圧倒され立ち尽くすむのであった。
「しかし八神君・・・さっきも言った様に何か起きてからでは遅いんだよ?」
「俺達の暴走は俺達が・・・仲間が互いにが止められる・・・。」
「えっ?」
「そしてあんた達のやろうとしている事も俺が止める!!」
「何故だね・・・君は世界に混乱を招くかもしれない物を、仲間だという事だけで放置するというのかね?」
「・・・俺達はあんた達みたいに、正義や使命、ご大層な信念の基に戦っているわけじゃない!!」
「じゃあ何の為に?」
「理由なんか・・・無い。」
「「「「!?」」」」
「目の前で傷付いた人がいれば心の底からで助けようとするだろ?隣で自分の夢を叶える為に努力する友達がいれば応援したくなるだろう?
それには理屈や理由なんか無いだろ?」
「「「「・・・・・・。」」」」
「俺達は皆、それぞれの夢や掛替えの無い命を守る為に戦っているんだ、それは誰かに強制された訳でも使命だからでも無い、
俺達自身の心で、魂の命ずるままに戦って来たんだ!!
それがどれだけ大事な事かを知っているから。」
「・・・し・・しかしだねぇ・・・。」
「それに気付かせてくれたのは、デジモン達だ!!」
「「「「!?」」」」
「デジモンたちも俺達と同じで、腹が減ったら飯を食って、眠たくなったら寝て、楽しく遊び、意見が食違ったら喧嘩をしたりする、
そして時に怒り、仲間の死に泣き悲しみ、仲間と共に笑う事が出来る。」
「「「「・・・・・・。」」」」
「確かにデジモンにも怖いモンスターや、悪いモンスターだっているが、だけど人間と心を通わせる素晴らしいモンスターだってたくさんいるんだ!!
俺はそんなモンスター達と仲間と共に沢山出会えた、仲間や世界を守る為、希望の光を守る為に戦う心あるモンスター達がいる!!
人間を助ける為に命を捨ててまで守り、命を・・希望をつないでくれた勇気あるモンスター達がいる!!
パートナーが暗黒の力に取り付かれ心の闇に落ち過った道へと進もうとした時、最後まで信じ全てを投げ打ってでも、
パートナーの心に光を取り戻させた心優しいモンスター達がいる!!
俺達を信じてどんな絶望の中でも希望を持ち続け生きようとした、幼くも弱く、強く輝く心と魂を持ったモンスター達がいる!!」
それは太一がこれまでに体験したデジタルワールドの冒険や戦い、後輩である「本宮大輔」達の冒険で聞いて知った、出会ったモンスター達の事であった、
その出会いは決して無駄な事では無かった、どれも素晴らしい思い出と、掛替えの無い経験と大事な事を教えてくれた、
選ばれし子供達にとって大事な仲間であり友達なのだ。
太一はそんな話の中でかつて自分が出会ったデジモン達の事や、冒険の日々を思い出していたのだった。
そして彼等にも彼等の生き方があるのだ、人間やデジモンだけで無く、この世の生きとし生ける者全ての運命を他者が否定する事はできないのだ、
例え滅びる運命にあろうとも、全ての命には生きる権利がある、それを自分達の都合で踏み躙る者達がいるのなら、
彼は・・・八神太一はそんな奴等を許しはしない。
「そして人はあんた達が思っているほど弱くはない!!
俺達の事を一生懸命応援してくれた人達がいる、異形の力と知りも、モンスターと知っても、俺達を信じてくれる人はいるんだ!!
だから・・・俺達はそんな心を通わせるデジモンと人がいつか共に生きて行ける事を信じている。
だから共に戦うんだ!!・・・この素晴らしい命や世界を守る為に!!」
それが太一達選ばれし子供達にとって守る事の全てなのだ。
「しかし・・・。」
「それに・・・。」
「?」
「自由を奪って・・・何が正義だ!?」
「「「!!」」」
「例え一部の人間でも、人間じゃないからだとしても、自由を奪って言い訳がない!!自由を奪ってまで保つ平和なんて平和じゃない!!
全ての生命が笑い、夢を追い、明日へと希望を持てる世界が平和じゃないのか?
もしそうまでして無理矢理にうわべの平和を保つのがお前達の正義なら・・・俺はお前達と戦う・・・例え悪と呼ばれようが・・・
例え1人でも・・・全ての人やデジモンの自由を守る為に・・・。」
太一は、自分とパートナーデジモンを結ぶ、選ばれし子供達の証し、デジタルワールドに伝わる聖なるデヴァイス「デジヴァイス」を掲げ、強く宣言した。
「俺は戦う!!」
太一のその言葉にもはや何も言う事はできなかった、何より太一の目であった、決して揺るがない曇り無き強く真直ぐな瞳、
それは強い意思と覚悟をやどした戦士の目であった、そんな瞳を前にしてその場の者達は彼の言葉を聞く事しかできなくなっていた。
そしてその言葉はこの場にいる者全員の心に響いた、「自由を奪って何が正義だ」彼等魔法使いは人々の自由と平和を守る為に、
長い時の中、人知れずに戦ってきたのだ、例え混乱を防ぐ為とは言え、その為に一部とは言え人の自由を奪って何が正義かと、打ちのめされた感じだった。
既に過ちは起きようとしていたのだ、過ちが起きないように対処しようとしていた者達によって。
「・・・わし等の負けじゃ・・。」
「学園長・・・。」
「確かに人間で無いとは言え、心ある者達の自由を奪って、何が正義か・・・。」
「あなた達と俺達は守るべきものは同じなんだ、だから管理する事は無いはずです。」
「ではどうすればよいのじゃ?」
太一は学園長に近づき、そっと右手を差し出し微笑む。
「力は違っても・・・思いが同じなら、合わせる事ができるはずです。」
「・・・そうじゃな。」
学園長は太一の手を取り握手を交わし、2人はうなずく。
その様子を見て他の3人の顔に安堵の表情が見えた。
「それで詳しい所在の事なんですが・・・。」
「よい・・・いつか必要になった時で構わん、そして話し合い互いに力を合わせられるように配慮するよう手配しとこう。」
「・・・ありがとうございます。」
「それと君はこれからわが校の生徒となるそれは変わりない、改めて歓迎するぞ、しかし・・・。」
「ん?」
学園長は少し申し訳なさそうな様子で太一を見る、そして時計へ視線を向けた後、刹那に視線を向ける。
「刹那君そろそろ登校の準備をした方がよくないかのぉ?」
「分かりました、では失礼します。」
扉へと歩を進め、退室しようとする刹那、扉に手をかける。
「刹那。」
「・・・何ですか?」
「また後でな。」
「・・・はい・・教室で。」
刹那が退室すると、学園長が他に話しがあると言い、さっきからの何やら申し訳なさそうな感じに話しかけてきた。
「じつはのう・・・八神君・・・、君に面倒を見てもらいたい少年がいるんじゃよ。」
「俺に?」
「その少年は「マギステル・マギ」を目指す為に、イギリスはウェールズより、メルディアナ魔法学校を首席で卒業後、修行としてこの麻帆良学園へと来たんじゃ。」
「マギステル・マギ?」
「立派な魔法使い・偉大な魔法使いの総称を表す称号にして、魔法世界でも最も尊敬される仕事の一つだよ。」
「ふ~ん。」
ギイイィィ
「失礼します、学園長お呼びですか?」
その時後ろの扉が開かれた、そこには赤毛でスーツ姿の眼鏡を掛けた自分の身長よりも明らかに長い杖を背負った10歳位の少年がいた。
少年はキョトンとした感じで太一を見ると、視線を学園長に向け、学園長の前へと向かった。
「学園長おはようございます。」
「うむ・・・おはようネギ君、待っとたぞ。」
「タカミチもおはよう。」
「おはようネギ君。」
「・・・あ・・あのぉ・・おはようございます。」
「あっ・・あぁおはよう。」
少年は初対面の太一にも戸惑いながらも挨拶を交わした、太一もそれに応える。
少年はどうやら学園長達と顔見知りの様だ、まぁこの学校の小等部の生徒なら知っていてもおかしくは無いとこの時の太一は思っていた。
が・・・この後すぐにその考えは間違いだとすぐに分かるのであった、とてつもない事実とセットで。
「ネギ君、紹介しよう彼は八神太一君、お台場中学校から、今日この麻帆良学園に転入してきた、我が校の新しい生徒じゃ。」
「・・・八神太一だ、よろしくな坊主。」
「ぼ・・・僕は坊主じゃありません!!僕はせ・・・。」
「まあまあ・・・ネギ君、彼は知らないから仕方ないじゃろう?」
「うぅぅ・・・。」
「?」
「ほらほら・・・ネギ君・・生徒の前だよ・・泣かない泣かない・・相変わらず泣き虫だね?」
「うぅ・・・タカミチ~~~。」
「???」
「八神君、彼の名は「ネギ・スプリングフィールド」君、英語担当で、君のクラスの担任教師だ。」
「あぁ・・・俺の!?(今目の前のぬらりひょんは何と言った?教師?俺の?担任?)・・・学園長もう一度お願いします。
この子供が俺の何だって?」
「彼は君のクラスの担任教師じゃよ。」
信じられない物を見る様な目で、ネギと学園長の顔を交互に何往復もして見る。
だが彼にとってこれはまだ序章であった、更なる真実が彼を待っていたのだ。
それを物語る様にネギ少年の顔にも驚きの表情が見えるのであった。
「が・・・学園長・・この人が僕の生徒って、どう言う事ですか!?この人は男の人ですよ!?」
「おい待て!!・・・男なら差別するのか?俺が女だったら歓迎するのか?このガキは!!」
いや・・・ネギは当然の事を言ったのだ、だが太一は知らない、そして知らされるのだ、この日一番の衝撃を受ける事になるのであった。
「あっ!!・・・いえ・・そうでは無くてですね、ぼ・・僕が担当しているクラスは・・・女子中等部のクラスなんです!!」
「は?」
「ですから僕が担当しているクラスは、女子中等部の「2-A」なんです。」
「・・・・・・。」
もはや声が出せなかった、と言うかほぼ正気を失っていた、担任は見るからに10歳ぐらいの子供で、しかも担当しているのが女子中等部のクラスである、
つまり彼は・・・。
「じょ・・・女子中等部・・が・・お・・俺・・・俺のく・くら・・・・クラス?」
・・・・・・ご愁傷様・・・。
「ネギ君そろそろ朝のホームルームの時間じゃよ、戻ったほうがよくないかね?」
「えっ!?で・・でも、八神さんが・・・。」
「大丈夫じゃ、彼とはまだ話さなければならない事があるからのぉ。」
「えっ!?だったら僕は残っていた方が・・・。」
「いや・・・簡単な学園案内だから大丈夫だよ、ネギ君。」
「でも・・・タカミチ・・八神さんは僕の生徒さんなんだよ、クラスへ案内ぐらいしないと。」
「だけど担任の君が遅れたら他の生徒達に示しがつかないだろ?」
「彼は後で私が案内するから、ネギ先生は生徒達に転入生のお知らせをお願いします・・・。
もちろん彼が男の子だって事はふせて。」
「・・・わかりました・・・では失礼します。
八神さん・・・教室で待ってますね。」
「・・・・・・おぉ・・・。」
ネギの退室を見計らい、学園長は先ほどの話の続きを始めようとしたが、太一はいまだに正気を取り戻せないでいた、
高畑が太一を揺らし正気を取り戻したがいまだに信じられないと言った感じではあったが、とりあえず学園長の話を聞く事にした。
「彼が君に面倒を見てもらいたい少年じゃ。」
学園長によると、ネギ少年は魔法使いや魔法世界の住人の間で「千の呪文の男(サウザンド・マスター)」と呼ばれる最強の魔法使い、
「ナギ・スプリングフィールド」の息子で、現在は行方不明でネギは、父親であるナギを探す為、そして彼と同じマギステル・マギを目指すべく、
魔法学校を卒業後に課せられた修行が「日本の中学校で教師をする事」であった、そして今麻帆良学園・女子中等部「2-A」で教育実習生をしているのだ。
「・・・で・・俺にあの子の面倒を見せる為に、女子中等部に転入させたと・・・。」
「そう言う事じゃ・・・まぁ・・すまないとは思うが・・引き受けてはくれんかのぉ?」
「君はネギ君の周りで起きる事を、秘密裏にサポートや助言をしてくれるだけでいいんだ。」
「それって・・・魔法関係やその他のトラブルを、あの子や周囲の人に魔法関係者もしくは選ばれし子供だって事を気付かれない様にサポートするって事ですよねぇ・・・。」
「平たく言えばね・・・。」
「まぁ・・・バレてしまっても、サポートの方は続けてもらうつもりじゃがのぉ。」
「でも・・それだったら刹那に任せてもいいんじゃないですか?魔法に関しては、俺は今日知ったばかりでよく分からないし、
逆にあんた達にとって不味い事になる気がするんだが・・・。」
「刹那君は・・・他に任務があるからそれは無理なんだ。」
「それにのぉ・・・君になら任せられる・・そんな気がするんじゃよ。」
太一は少し戸惑っていた、「何故俺なのか」そんな事を考えていた、魔法使いの事なら自分より魔法使いやその関係者が面倒を見たほうが自分に頼むよりいいと思う。
だが少し断りにくいとも思っていたのだった、内容はどうあれ、最初の要求を断ってしまったぶん、断りにくいと思っていたが、
彼は断りにくいのなら・・・・。
ぺかっ
「・・・・いいぜ♪引き受けた。」
引き受ければいいと、あっさり笑顔で引き受けたのであった。
「さっきと違い、あっさり笑顔で引き受けたねぇ。」
「最初の要求に応えなかったからな、そのぶんそっちの方はきちんとやってみる。」
「ありがとう・・・。」
「・・・女子中等部に入るのは抵抗があるけどね。」
「そこは・・・ちと我慢してくれんかのぉ・・・。」
「その代わり・・・条件として、さっき言ってた報酬を、ここにいる間の食事代はそっちが負担する事にしてくれ。
腹が減っちゃいい仕事も出来ないしね♪」
「えらく安い条件じゃのぉ。」
「言ったな・・・覚悟しといてくださいよ。」
カァーン・・カァーン
「むぅ・・・そろそろ教室に行ったほうがいいじゃろう・・しずな先生後はよろしく。」
「わかりました・・八神君教室に案内するわ、ついて来て。」
「はい。」
二人は学園長室を出て教室へ向かう。
学園長と高畑はそのまま今後について話し合っていた。
「彼は我々の予想を超えていましたね。」
「うむ・・・あそこまで自分の意志をはっきり言える若者は、記憶にあるかぎりナギぐらいじゃ。」
「彼とネギ君・・・これからどうなるのでしょうか?」
「わからん・・しかし・・・。」
「しかし何ですか?」
「さっきも言ったが、彼なら任せられる・・・そんな気がして仕方ないんじゃ。」
「・・・僕もです。」
「ふむ・・・。」
学園長はおもむろに電話を取りどこかに電話を掛け出した。
「わしじゃ・・・八神太一およびその周囲の人々の調査・監視はただちに中止・・・驚異は起きない彼等がいるかぎり・・・責任は全てわしがとる・・以上じゃ。」
「学園長。」
もはや彼等は選ばれし子供達に驚異は感じていなかった、むしろ安心していた、太一が彼等の中にあった選ばれし子供達の脅威と言った恐怖を、
己の全てをさらけ出し取り除いたのだから。
太一は教室に向かいながらおもむろにポケットから携帯を取り出し画面を見ていた。
(やっぱり・・分かり合えた・・・。)
携帯の画面には、メッセージが書いてないメール作成画面が写っていた。
何かあった時は仲間に危機を知らせる為にメールを出そうとしたが、彼は止めたのだ、話し合えば、自分の信念と覚悟を伝えれば分かり合える事を信じたからだ。
(さ~て、魔法かぁ・・・何かワクワクしてきたな。)
こうして太一の新たな冒険は始まった、だが彼はその一歩を踏み出しただけにすぎない、これから様々な不思議な出来事が彼を取巻くであろう。
そして彼の想像を超えたハチャメチャな新たな学園生活も始まるのであった。
続く
次回予告
学園長の依頼でネギのサポートをする事となった太一、
だが、それは太一の予想を超える辛い任務であった。
そして何も知らないネギは・・・。
次回
デジモンアドベンチャーMAGI
『転入初日・早速バレた秘密』
今・・・冒険が進化する。