デジモンアドベンチャーMAGI   作:龍気

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第3話『転入初日・早速バレた秘密』

麻帆良学園の学園長に魔法使いやそれらに関わる者達の存在を知らされた太一。

 

それを対価とし、仲間の所在やデジモンに関する情報を求む学園長達であったが、その目的は、選ばれし子供達とデジモンを魔法使い達が管理する事だった。

 

混乱を防ぐ為とは言え、そんな自由を奪う行為を許せない太一は、仲間と友を守る為に強い意思と覚悟を示し学園長達魔法使いに一人でも戦うと宣戦布告するのであった。

 

その嘘偽りの無い強い意志と覚悟は、学園長達の心を動かし信頼と和解へと繋がったのであった。

 

しかし太一には、もう1つ頼み事があった、それは太一の担任であり、立派な魔法使い・マギステル・マギを目指す為修行で日本に来た、

イギリスから来た子供先生ネギ・スプリングフィールドの面倒を見ることであった。

 

最初は少々戸惑っていた太一ではあったが、引き受ける事になった太一、それはこれから始まる、想像を超えるハチャメチャな学園生活の始まりを意味する事とは、

この時の彼はまだ知らないのだった。

 

だが彼がいる所冒険と戦いあり、これは新たな仲間との冒険と戦いの下準備でもあるのだった。

 

 

 

―――『転入初日・早速バレた秘密』―――

 

 

 

学園長室を出て教室へと向かう太一と副担任のしずなの2人は、時々通る教師達に挨拶しつつ、人気の無くなった廊下を歩きながら、

ネギの面倒を見る上での簡単な注意や、魔法について軽い説明を聞きながら歩を進めていた。

 

 

「じゃぁ・・あの子は源先生を含む、高畑先生と学園長以外の、この麻帆良にいる魔法使いや関係者については知らせてないんですね?」

 

「えぇ・・・主に教師や生徒が多いけど、それを見抜くのも修行の一環でもあると言って、よほどの事がない限りは明かしてはいけないと、

学園長から指示なの。」

 

 

高畑先生は、ネギの父であるナギの知り合いらしく、昔イギリスでネギに会った時にその事を伝え、魔法を少し教えて、それ以来の知り合いらしい、

学園長にいたっては、最初に修行先の試験官の様な立場にある人物として、修行に行く際に魔法学校の校長から聞かされていたのであった。

 

だが、彼等以外の麻帆良に存在している魔法使いやその関係者達については、一切話してないそうだ。

 

無論先ほど学園長室で会った、クラスメートの少女、刹那が魔法関係者だと言う事に関しても、ネギは知らないのであった。

 

 

「八神君には、なるべくで良いから、ネギ先生に正体がバレない様にサポートしてもらいたいの。

もし正体がバレても、学園長が仰った様に、サポートの方は続けてもらうけど・・・。」

 

「源先生や刹那を含む他の魔法使いや関係者達に関しては、聞かれても内緒にしておく事ですね?」

 

「えぇ・・何なら後で、他の魔法使いと関係者達のリストを渡すけど・・・?」

 

「・・・・。」

 

 

太一は少し悩んだ、確かに他の魔法使いや関係者達を把握しておけば、何かあった時に都合が良い、

しかし先程自分以外の選ばれし子供達の詳細等の情報提供を、断ったばかりで、自分がそんな情報を貰うのは、どこか申し訳ないと思っていたのだった。

 

 

(さっきこっちの情報を提供するのを断ったばかりだからなぁ・・・、それで俺がそんな情報を貰うのはすこしなぁ・・・。)

 

 

少し悩んだ太一は、先程から気になっていた事をしずなに確認する事にした。

 

 

「あの・・・源先生、確認したい事があるので、もし間違っていたら言って下さい。」

 

「何?」

 

「今ここに来るまでに会った先生の中で、5人中2人が魔法使いか、その関係者ですか?」

 

「!?」

 

 

ここに来るまでの間に5人の教師と会い、その中で眼鏡を掛けた黒人風の教師と、ぽっちゃりとした体格の教師、この2人にだけ太一は、

高畑と握手を交わした時に感じた、それと少し似た違和感、もとい力を感じていたのだった。

 

そしてこの2人は、太一の予想通り魔法使いであった。

 

黒人風の教師は「ガンドルフィーニ」、ぽっちゃりした体格の教師は「弐集院 光」と言い、2人は列記とした麻帆良学園の魔法先生なのだった。

 

 

「・・・確かにその2人は、魔法使いだけど・・・、どうして気付いたの?」

 

「多分・・・俺の事を学園長から聞いてたんじゃないですか?」

 

「えぇ・・・確かに学園長から、今日来る事や、あなた自身のことは、魔法使いの先生方全員には伝わっているわ。」

 

「だからだよ・・・変に警戒している様でしたし、高畑先生と握手した時と似た力を少し感じたしね。」

 

 

しずなは改めて目の前の少年に驚愕していた。

 

しずなの知る限りでは、先程の2人はかなりのベテランであり、警戒していたとしても動揺・気配、ましてや普段は抑えている魔力を、

感じ取れるのは、達人の域に達した者位であり、魔法に関係する者に限定されるのだが、1度感じただけの魔力を基に、感じ取ってしまった太一は、

彼女の常識を大きく超える事を成し遂げてしまったのであった。

 

 

「・・・始めてデジタルワールドを旅した時、少しでも気を抜いてしまったら命を落としかねなかったから、少し神経質になったみたいで、

それから何か気配や視線と音、そして力と言った物を異常に感じ取れちゃうんですよ。」

 

 

何も最初から気配を感じ取れていた訳では無い、未知の世界で未知の生物が生息しているとこでの、命懸けのサバイバルが、

当時まだ小学生だった彼にこの異常とも言える程の気配を感じ取る力を会得した・・・いや、会得するしかなかったのだ、

生きる為に、元の世界に帰る為に、何かを守る為に・・・彼は得なければならなかったのであった。

 

 

「八神君・・・。」

 

 

しずなは少し悲しい目をして太一を見た。

 

彼女達魔法使いや関係者も、子供の時から少なからず何らかの危険な修行や仕事を繰り返してはいるが、それは裏の世界を生きる者達にとっては、

当然の事であり、常識である。

 

しかし、太一達はデジモンと出会うまでは、デジタルワールドへ行くまでは、間違いなく表の世界で生きる普通の子供だった。

 

自分達の様に、自分自身に身を守る力も経験の無い普通の子供、そんな子供達が大人の手も借りずに、子供達だけで、

パートナーのデジモン達と力を合わせ、命懸けのサバイバル生活をしながら、どれだけの時間を旅したのだろうか?

 

本来なら自分達が解決しなければいけない様な事を、彼等は自分達で解決して来た、その為に本来ならこんな普通の少年が持つ必要の無い感覚を得てしまった。

 

そして自分達魔法使い達に目をつけられ、無理矢理にも裏の世界に引きずり込む様な事に、なってしまった事を思い、彼女は悲しくなってしまったのだった。

 

しずなの悲しげな視線に気付いた太一は、場の空気を明るくしようと、明るく振舞おうとした。

 

 

「あっ・・・・でも、さっき言った様に当時の俺達にかけていた事や、大切な事を知る事が出来たし、大切な友達も出来たから後悔はしていません。」

 

「無理は・・・して無い?」

 

ニカッ!!

「はい!!」

 

 

しずなの問いに太一は、明るく屈託の無い純粋な笑顔で、迷いの無いはっきりとした明るい声で答えた。

 

そんな笑顔で答える太一を見てしずなは「フゥ」と溜息を漏らす、その笑顔と声から分かる、彼は本当に後悔などして無いのだと。

 

そして、彼はその後の今まで、少なくとも後悔の無い選択をしてきて生きて来たのだと、そう思うと先程悲しくなっていた自分が少し馬鹿らしく感じ、

笑みを零しながら太一の顔を見て思うのだった。

 

 

(この子は心が強い、おそらく今この学園内にいる魔法使い達の誰よりも・・・、だから学園長はこの子にネギ先生の面倒を見る様に指示したのね・・・、

この子の真直ぐで強い心が、駆け出したばかりの未来のマギステル・マギを正しい道へ導くと信じて・・・。)

 

「ところで源先生・・・まだ着かないんですか?」

 

「あっ!!もう直ぐ着くわよ、この角を曲がった直ぐ先にあなたの新しいクラス、2-Aの教室があるわよ・・・。」

 

 

なんだかんだで、結構な時間話しながら歩いていたら、目的地である女子中等部2-Aの教室の近くまで来ていたのだった、

そして心なしか太一は少し緊張していた、無理もない、普通なら男である彼は男子中等部に入る筈だが、太一が面倒を見るネギが担当しているのは女子中等部、

必然的にも太一は自動的に・・・強制的とも言うが女子中等部へ入る事となる、事情を知らない者達にとっては、不自然と思うだろうから、

学園長から他の一般教師や生徒には、「学園側の書類手続き等のミスの為、進級後も女子中等部の生徒として扱う事となった。」と伝える事となった、

あまりにも不自然だが、これ位の情報でここの生徒は納得し、教師は半分呆れ返り諦めると言う事で、「このまま伝えれば全てうまく行く。」と、

学園長の伝言だと、学園長室を出てから直ぐにしずなの口から伝えられたが、太一はやはり少し不安であった。

 

自分以外全ての生徒が女子の教室で1年以上過ごすと言うだけでも、男なら少し嫌だと思うだろうし何より居心地が悪い、

加えて、先程の嘘くさい不自然な「書類手続き等のミス」と言った言い訳、これだけの不安材料があれば、彼でも緊張や不安は出る。

 

 

「あっ・・・さっき言っていた魔法関係者達のリストですが・・・必要な時に教えてくれればいいので、いいですよ。」

 

「でも・・・。」

 

「変わりにクラス名簿のコピーかなんかを貸してください。今はクラスメートの顔と名前を覚えるほうが先ですから。」

 

「・・・分かったわ・・、あっ!!そうだ言い忘れていたわ!!」

 

「何ですか?」

 

「あなたのクラスメートになる子で、「神楽坂明日菜」って言う子がいるんだけど、彼女には気をつけてね・・・。」

 

「神楽坂・・明日菜。」

 

 

しずないわく、彼女は、普段は活発で明るい行動力のある少女で一般人であるが、ネギが麻帆良に来た1日目に、

経緯は不明だがネギが魔法使いだと言う事に気付いたらしいのだ、それが偶然かは麻帆良にいる魔法教師達の間でもその詳細は不明とされていており、

一時彼女に対して警戒態勢をはっていたそうなのだが、特に不審な動きや態度等が無かった為、今は警戒態勢を解いて、

魔法教師達も今では特に警戒している者はいないが、今回太一の正体を見破らないと言った保証は無い為一往注意する様にと伝えたのだった。

 

 

「分かりました・・・一応注意はしておきます。」

 

「うん・・・。」

 

 

そして2人は2-Aの教室の扉の前で止まり、しずなが扉を軽くノックする。

 

 

コンコン

「ネギ先生・・・源です・・彼を連れて来ました。」

 

 

教室内は何やら騒がしい様子で、先程の廊下の角を曲がる少し前から声が聞こえる程だった、それが近付くにつれ少しずつ五月蝿くなって行った、

そして今その教室の前にいる為かなり五月蝿い、そんな五月蝿い教室からかすかにネギの声が聞こえた。

 

 

「あっ・・・はい・みなさ・・・・つ・・くだ・・・どうぞ入って・・ください。」

 

「分かりました・・さっ・・八神君・・・・。」

 

「・・・・・・・。」

ガラッ

 

 

太一は扉に手をかけ、覚悟を決めたかの様に勢いよく開けた。

 

少し時間を遡り、太一達が教室に着く10分程前、2-Aの教室内でネギの朝礼と共に朝のホームルームが始まっていた。

 

 

「皆さん、おはようございます。」

 

『『おはようございます。』』

 

「え~と、実は皆さんに急ですがお伝えしなければいけない事があります。」

 

「まぁ・・・急な事とは、何ですか?ネギ先生。」

 

 

クラス委員長の「雪広あやか」がネギに質問をする中、他の生徒達は、その急な事について色んな事をワイワイ楽しそうに、

左右前後周りの生徒と談笑している様に話しているのであった。

 

中には「チュパカブラが出たのよ。」とありえない事を叫ぶ鈴をつけたツインテールの少女や、「まさかネギ君先生辞めちゃうの?」と言った声が上がると、

それに異常に反応し。

 

 

「何ですって!!そんなのこの私が許しませんわよ!!」

 

 

と見境無く叫ぶ、先程の凛とした礼儀正しい感じを打ち消すほど動揺する委員長や。

 

 

「違うよ、多分高畑先生が寿退社するんだよ。」

 

 

とワザとらしく、先程のツインテールの少女の方を向いて叫ぶと。

 

 

「う!!・・嘘よ嘘よ嘘よ・・・そんなの嘘よ~~~~!!」

 

 

と中学生の女の子がするとは思えない、奇妙な踊りにも見える動きをしながら叫ぶツインテールの少女、

そんな2人を見ながら大笑いする生徒達と、ワタワタとどうすればと困惑するネギ、こんな風景が毎日続いている事に少し嫌気づく、

もしくは呆れる生徒が少数いるのが、このクラス特有の毎朝の光景である。

 

 

「み・・皆さん、静かにして下さい・・いいんちょ-さん、僕は先生辞めませんから、アスナさん、タカミチはまだ結婚しないですよぉ~~・・・。」

 

 

場所は変わって学園長室前の廊下。

 

 

「へっくし!!・・・うぅ・・誰か俺の噂をしてるのかなぁ?・・・いや・・どちらかと言うと・・図星を・・痛いとこを突かれた様な気がするな・・・。」

 

 

知らぬうちに図星をつかれた、タカミチのクシャミガ廊下内に人知れず響くのだった。

 

 

「「なっ・・・なぁんだぁ・・。」」

 

 

冗談だと気付き安心し力が抜けたのか、背中を合わせへたり込む委員長とツインテールの少女「神楽坂明日菜」であった。

 

 

「えぇ・・実はこのクラスに今日新しい生徒が加わる事になったんです。」

 

『『転校生!?』』

 

「ねえねえ・・ネギ君、転校生はどんな子なんですか?」

 

「可愛い?」

 

「おとなしそう?」

 

「スポーツできそう?」

 

「転校生ねぇ~~おっかしいなぁ・・私の情報網にはそんな情報無かっのになぁ?」

 

「その転校生強そうアルか?」

 

「転校生に転校早々大怪我負わす気か?止すね。」

 

「こんな時期に転校生なんておかしいだろうが・・・。」

 

「「じゃぁ私達は、転校生歓迎と言う事で・・・ウシシ・・・。」」

 

「双子私も準備手伝うよ・・・。」

 

「マスター・・・。」

 

「うむ・・・。」

 

「う~~ん、新作のネタになる様な子だったらいいなぁ・・・。」

 

「程々にするです・・・。」

 

 

などと、まだ見ぬ転校生(太一)に対し、質問する者、疑問に思う者、自分の要求に応えられる者である事を望む者、何かよからぬ事を企む者、

などが大半の生徒達がワイワイやっている中、転校生の正体を唯一知っている生徒がやく1名半笑い苦笑いでその光景を見ていた。

 

 

(はは・・・まさか男だとは思うまい・・・。)

 

「刹那・・・。」

 

「・・・龍宮。」

 

 

そんな刹那の様子に気付いた、長髪長身の黒い肌の一見高校生か大学生にも見えるとても中学生とは思えない少女「龍宮真名」、

彼女も刹那と同様魔法関係者であり、今朝の桜通り辺りから太一を監視していた1人であった。

 

2人は周りの生徒達に聞かれない様に小声で話すのであった、内容はもちろん転校生太一についてであった。

 

 

(今話題の転校生と言うのは・・まさか今朝の?)

 

(あぁ・・・名前は八神太一・・・正真正銘の男だ・・。)

 

(奴は何者だ?そして何の為にここへ?)

 

(正確には学園長が呼んだんだが、その内容については今ここでは言えない・・が、彼自身については魔法使いでも我々と同じ関係者でもないが、似たような物だ。)

 

(それについては、今朝見た時に感じたが・・高畑先生が付く程の人物にも見えなかったがな・・・。)

 

(いや・・・彼は、あの時既に私達を含め、後の2人の監視の目に気付いていたらしい・・・。)

 

(なっ!?・・・まいったな・・まだまだ鍛練が足りん様だ・・・人を見る目も含めてな。)

 

 

2人が太一について話しているなか、ネギに視点を戻すと、ネギは生徒達の転校生についての質問攻めでてんてこ舞いだった。

 

 

(はぅぅ・・・どうしよう八神さんについては教室に来るまで秘密だって言われているし・・・うわぁぁんどうしようお姉ちゃ~~ん!?!?!?)

 

 

もはや一杯一杯で泣き出しそうな(実際もう泣いているが)ネギ、今は遥か彼方故郷はイギリスのウェールズにいる姉に心の中で助けを求む、

確かに彼には、面倒を見てもらう人物がまだまだ必要な様だ。

 

そんなネギにようやく助け舟が来た。

 

 

「ネギせ・・い・・・み・も・です・・・連・て来・・た。」

 

 

しずなが太一を連れて、ようやくクラス前に着いた様だ、周りが五月蝿いせいか所々聞き取れない箇所もあったが何とか理解した様子で、

ようやく来た助け舟に安堵の笑みをこぼすネギであった。

 

 

「あっ・・・!!はい、皆さん席に着いて下さい。」

 

 

周りの生徒もそれに気付いたのか、ネギに従い次々と自分の席に戻っていく、やく3名程なにやら不気味な笑い声を漏らしていた者はいたが、

 

兎に角全員席に着いたところで。

 

 

「どうぞ入って来て下さい。」

 

 

その声の後、少し間が空きそして扉が開かれた。

 

 

太一が扉を開けると、太一の頭上に何やら白い粉の様な物が大量に付着した四角い物体が落ちてきた。

 

黒板消しであった、古くから学校にある有名な黒板消しトラップ、転校初日に、今時やっている奴がいるのかと疑問に思う様な、

古い手に太一は掛かってしまうのだろうか?

 

そしてこれを仕掛けた3人はニヤニヤしながらターゲットが掛かるのをじっと見ていた、そして黒板消しがターゲットの頭に当る手前で、

完全に引っかかったと思い3人のテンションは最高潮に達しようとしたが・・・。

 

 

パシッ

「「「えっ?」」」

 

 

太一は頭に当る前に、落ちてくる黒板けしを受け止めた、少し粉が多かったのか受け止めた時に舞った粉で少しむせてしまう太一、

そして足元に仕掛けてあった紐を回避、次に落ちて来た空バケツを足で受け止めそのまま軽くリフティングし蹴飛ばす、

そのバケツに次々と先天に吸盤がついた矢が当たり、そのままバケツは教室の隅に綺麗に落ちたのだった。

 

 

「大した歓迎で・・・。」

 

『『おぉ・・・・。』』

パチパチパチパチ

 

 

見事に全てのトラップを回避した太一に、ネギとしずなを含む生徒全員から太一に拍手が送られた。

 

が・・・ここでようやくある事に生徒達が気付くのであった、そう・・・トラップを全て回避した事なんか全て吹き飛ばしてしまう事に・・・。

 

 

「えっ!?・・・男?」

 

「あっ・・・。」

 

『『えぇーーーー!!男おおぉぉぉ!?』』

 

「「「ははは・・・。」」」

 

 

生徒達は大騒ぎ、太一達3人は苦笑いでその光景を見ていた。

 

 

「彼は本来なら男子中等部に入る予定だったんだけど・・・学園側の書類手続きで手違いがあって、しかたなく女子中等部に転入する事になったの。」

 

『『・・・・・・・・。』』

 

(うわぁ・・・疑ってる・・そりゃぁこんな嘘くさい事信じる奴なんて・・・。)

 

『『なぁんだ、じゃあしょうがないよねぇ!!』』

 

「信じちゃったよ!!」

 

(おかしいだろが!!・・・しかし・・・あの転校生どっかで見たような?)

 

 

あっさり信じてしまった事に、ずっこけてしまいそうになりつつも冷静さを保つ太一に、苦笑いしていたしずなに自己紹介をする様にと、

背中を押され前に出る。

 

 

「お台場中学校から来た、八神太一です・・よろしくお願いします。」

 

『『・・・・・・・・・・・・・・・。』』

 

(・・・・やっぱり女子中等部だからなぁ・・男の俺にどうしたらいいか困ってんのかなぁ・・・。)

 

『『かっこいいーーーー!!』』

 

「うぉ!?」

 

「特技は何?」

 

「えっ・・サッカー・・。」

 

「何処に住んでるの?」

 

「一応寮生活になる予定だけど・・・。」

 

「お台場辺りに住んでたの?」

 

「フジテレビに行った事ある?」

 

「え・・・ちょ・・ちょっと・・。」

 

『『じゃかいえおまにあかおけぎあふぁぱ』』

 

「い・・いや・・ちょっと・・。」

 

 

一斉に質問攻めにあう太一、色んな質問が同時に来て最終的に、もはや何を言っているのか解らなくなって来た。

 

ネギも生徒達を落着かせようとするが、この上がり切ったテンションの生徒達を落着かせるのはもはや不可能であった。

 

 

「皆さん落着きなさい!!転校生を転校早々困らせてどうするのですか?少し落着きなさい。」

 

「いいんちょーさん・・・。」

 

『『委員長・・。』』

 

「八神太一さんでしたね?」

 

「あぁ・・・君は?」

 

「私このクラスの委員長をしている、雪広あやかです・・・よろしく。」

 

「あぁ・・・さっきは、ありがとう助かったよ。」

 

 

一旦は落着いたが、ある人物の行動でまた振り出しに戻る事となる、その人物とは・・・。

 

 

「ありがとうございます、いいんちょーさん。」

 

「いいぇ~~・・・ネギ先生の為なら、私例え某海賊漫画のデタラメ人間な囚人達の暴動だろうと、核問題だろうと静めて見せますわ!!」

 

((委員長なら出来そう・・・。))

 

(何だこの子!?さっきと様子がかなり違うぞ?)

 

 

あやかのあまりにもの態度の豹変に少し引き気味の太一、周りの生徒達は半笑いし「またか。」と言った感じでその光景を見ていた。

 

そんな中1人の生徒が不機嫌そうにネギとあやかに近づく。

 

 

「ちょっと委員長・・・何いい子ぶってんのよ?」

 

「あら・・・明日菜さん・・私はクラス委員長として当然の事をなさっただけの事ですわ・・・。」

 

(明日菜?この子が源先生の言ってた・・・見たとこ普通の子だけど・・・用心しとくか。)

 

「何が当然の事よ・・・このショタコン。」

 

「なっ!?オヤジ趣味なあなたに言われたくないわよ!!」

 

「何ですってえぇぇぇぇ!!」

 

 

そして2人は掴み合い喧嘩が始まった、もはや太一の事は忘れ2人の喧嘩を止める訳でもなく、煽りどちらが勝つか賭けをして盛り上がる生徒達と、

呆れた感じでその様子を見る生徒達と別れ、2人の喧嘩は一層に激しくなるばかりであった。

 

ネギは何とか止めようとするが、先程と同じくこのテンションの上がり切った、年上の女子生徒達を止める事はできなかった。

 

太一は、引き気味・呆れ気味、そしてこのクラスの異常な盛り上がり具合や、ハリケーンの様に暴れ喧嘩する女子生徒2人を見て、

付いて行けないと言った感じで、疲れた顔をしてその場にしゃがみ一言漏らす。

 

 

(あんの妖怪ジジイ(学園長)・・面倒見るより、このクラスで過ごす方が何倍もきつそうだぞ・・・。)

 

 

場所は変わって学園長室。

 

 

「ぶえっくし!!・・・うぅ・・可愛い女子生徒達がわしの事を尊敬でもしているのかのぉ?」

 

 

全く見当はずれな妄想を抱きながら、ジジイこと学園長のクシャミが学園長室内に人知れず響くのだった。

 

喧嘩が始まり十数分、ネギとしずなの奮闘の末どうにか騒ぎは治まり、他の生徒達も自分の席にしぶしぶとつまらなさそう兼残念そうに戻って行く。

 

その間ほったらかしにされていた、もとい、若干引き気味で少し距離を置いていた太一だが、ようやく本題に戻る事ができるので、ネギの近くへ行く。

 

そして1人の生徒が立ち上がり、生徒達に言った。

 

 

「じゃあ・・ここから転校生君には、私が代表して質問して良いかな皆?」

 

『『いいともぉ~~!!』』

 

 

このクラスの報道部「朝倉和美」、通称「麻帆良のパパラッチ娘」である彼女がクラス代表として太一に質問する事に、

他の生徒達も参堂したところで、彼女の質問が始まった。

 

 

「まずは・・・その服は前の学校の制服ですか?」

 

 

今の太一が着ている制服は麻、帆良学園の制服ではなく、お台場中の制服を着てこの場にいたのだった、ここの制服が届くまでの間は、

しばらく前の制服で授業を受けても良いと、学園長からの許可は得ている。

 

 

「あぁ・・ここへの転校は急だったから制服が間に合わなかったんだ、出来るまでは前の学校の制服でいいって許可は得ている。」

 

「あだ名とかありますか?」

 

「ん~~特に無いなぁ・・普通に「太一」って呼ばれてたし。」

 

「じゃあ・・特技は?」

 

「さっきも言った様にサッカーだが・・・まぁスポーツなら大体は得意だ。」

 

「おっ・・・男の子らしいねぇ・・では趣味は?」

 

「身体を動かす事だけど・・・小さい頃から飛行機が好きで、模型なんかもよく作るよ。」

 

「好きなアイドルまたは歌手は?」

 

「歌手は和田光司に宮崎歩・・そして前田愛(AiM)で、アイドルなら最近有名になった大海恵だ(本当はヒカリや周りの奴等に進められて知っただけだがな。)。」

 

 

何人かの女子は、同感と言った感じで、うんうんと首を頷けた。

 

 

「では・・・好きな女性のタイプは?」

 

「・・・・・心の優しい人、後強いて言えばスレンダーな人かな?」

 

 

少し恥ずかしげに、質問に答える太一に対して、質問の後何人かの女子が、太一に向かって各々様々なポーズをとった事は言うまでもない。

 

 

「じゃあ・・ぶっちゃけ今彼女はいますか?」

 

『『おぉーーーーー!!』』

 

 

テンション高らかに質問する朝倉と、この質問に対して殆どの生徒が前のめりになり、質問の答をまだかまだかと待構える、

何時の時代も女の子は、この手の話題には目が無いと言うか大好物であった。

 

 

「・・彼女はいないよ・・・好きな子はいるけど・・・・去年のクリスマスに振られた。」

 

キーーーーーン

『『あっ・・・・・・・・。』』

 

 

太一の答えに、さっきまで上がりきっていたテンションも一気に下がり、その場にいた者の体温や、教室内の温度も下がってしまう位であり、

生徒達やしずなも言葉を失い、質問した朝倉も「しまった!!」と言った感じの顔で冷や汗を流している。

 

恋人達で賑わい、新たな恋が生まれるかもしれない、奇跡の起きるクリスマスで、好きな子に振られたなんて、最悪もいい所である。

 

答えた太一も、少し明後日の方向を向いて、生気が抜けた様な目で半笑いをしていた。

 

だが、こんな中そんな空気を読めていないものがやく1名、そんな太一に禁句と言うナパームをぶつけるかのごとく、更に場の空気を気まずくする者がいた。

 

 

「えっ?どうして振られたんですか?」

 

ぼかーーーーーーーーーん

「グハッ!!」

 

「ばっ!!・・・・ちょっとネギ・・・・。」

 

「えっ?」

 

 

ネギであった。

 

疑問に思ったとは言え、見事に心の傷をダイレクトに、禁句と言うナパームを当てしまい、崩れ落ちそうになる太一、

その反応に対しても、ネギはよく分かってない様子である。

 

 

「ネギ先生・・・今のは・・ちょっと・・・・。」

 

「ネギ君・・・・・酷いよ・・。」

 

「えっ!?僕何かおかしな事言いました?」

 

「当たり前でしょ!!振られた人間に、「どうして振られた?」なんて聞く馬鹿がどこにいんのよ?」

 

ガスッ

「グフッ!!」

 

「えっ?・・・・あぁ~~~!!ごっ・・御免なさい~~~。」

 

「もう・・・ガキなんだから・・・、振られた人は、デリケートなんだから、「振った」とか、「好きな人は」とか、

「どうして振られた」とか、「今彼女はいるのか」なんて聞いちゃ駄目よ。」

 

ブスッ

グサッ

ドカッ

ゲシ

ブシュ

「ぎゃ!!がっ!!ぐっ!!ぐぼッ!!ぐがぁ!!」

 

「特にクリスマスやバレンタインとかそう言う時期に振られた人は特にね。」

 

ボッガアアアアアアアアアンンンン

「ぐぎゃあ!!」

 

 

無惨であった、太一はもはや灰になりかけ、ネギと明日菜を除く殆どの生徒としずなは青い顔をしながら冷や汗を流すのであった。

 

 

「あ~~明日菜・・・明日菜も結構酷い事言うとるよ・・。」

 

「あっ・・・・。」

 

チーーーーーーン

「・・・・・・・・・。」

 

「ごっ・・・ゴメン。」

 

「いや・・・・いいって・・もう・・・過ぎた事だし・・。」

 

 

もはや心はボロボロであったが、苦笑いでなんとか答える太一。

 

しかしここで更に止めの一撃が降りかかった。

 

 

「ま・・まぁ・・・まだ・・と言うか、もう14か、15になるんだから、こんな経験ぐらい誰にだってあるわよ。」

 

「そ・・そうだよ・・・・気にしちゃ駄目だよ。」

 

「そ・・そうか?・・・そうだな・・そうだよなぁ・・・はは・・。」

 

「まぁ・・それが初恋の人となら悲惨で最悪で絶望的だけど。」

 

チュドオオオオオオオオオオオオオオン

「ぐぎゃはぁぁぁぁぁ!!」

 

「えっ!?嘘・・・マジで初恋の人に・・・。」

 

『『明日菜のバカーーーーー!!』』

 

 

その後、ネギとしずなによる、生きているか死んでいるか分からない太一の蘇生に多少の時間が掛かったと言う。

 

何とか蘇生した太一、ネギもしずなや生徒達も安心し、多少気まずい空気のままではあるが、1時間目の授業の時間がおしているので、

太一への質問を終え(もはやこれ以上質問できる訳が無いので、仕方なく強制終了したのが本当の理由)、そのまま授業が行われようとしていた。

 

ちなみに、1時間目の授業はネギが担当する英語であった。

 

 

「じゃあ・・八神さんの席は・・・一番後ろの彩羽さんの隣が空いてますね。」

 

 

一番後ろの窓際の席が丁度開いていたので、空いている席の隣にいた生徒に確認を取り、太一にそこへいくように言うネギ、

それに従い、まだ少し先程のダメージ(心への)が残って、少しおぼつかない感じではあるが、指定された自分の席に向かい歩く太一。

 

指定された席に着き、椅子に座り隣の生徒に軽く挨拶をする。

 

 

「これからよろしく。」

 

「あっ・・・うん、私は「彩羽レイ」よろしく、八神君。」

 

 

しかしここで太一は彼女のある事に気付く。

 

 

「・・・・君・・足が・・・。」

 

「・・うん・・・小学生の時に交通事故で・・・。」

 

 

彼女彩羽レイは、小学生の時交通事故に遭い、命に別状は無かったがそれ以来車椅子での生活を余儀なくされている。

 

事故前は明るかった彼女だったが、事故当時の彼女は、そのショックから明るさを失い、しばらく暗くなっていたが、

このクラスの生徒達の励ましや応援で、徐々に明るさを取り戻して行き、今では当時の明るさを取り戻して、

リハビリを繰り返し、少しずつだが、確実に歩ける様になっていて近い将来、事故前の様に歩ける様になるらしい。

 

だがまだ、長い時間歩く事もたつ事ができない為、今でも車椅子は欠かせないのだった。

 

 

「・・・何かあったら俺にも言ってくれよ、力になるから。」

 

「えっ!?・・・でも・・八神君ここに転校して来たばっかりだし・・、友達でもない私なんかの為に・・・。」

 

「困った時に助け合うのに、初対面や理由も何も無いよ、友達じゃないから遠慮するって言うんなら・・・友達になろうよ・・。」

 

 

笑顔でそう言い、太一は彼女が握手しやすい様にと左手を出した。

 

その言葉にレイは、素直に嬉しくなった、初対面のハンディキャップを持った自分に優しくしてくれる、隣にいる新しいクラスメート。

 

太一の理屈抜きの優しい言葉と笑顔に、レイは笑みをもって答えるのだった。

 

 

「・・・・ありがとう八神君・・。」

 

「太一でいいよ。」

 

「じゃあ私もレイでいいよ。」

 

2人はそう言い、笑顔で握手を交わしたが、これがいけなかったのか、1人の女子がそれに気付き。

 

 

「八神君転校早々レイちゃんをナンパ?」

 

「「へっ?」」

 

『『えぇ~~~~~~!!』』

 

 

それを火付けに、散乱銃の様に茶化しと言う弾が2人を襲うのであった。

 

 

「確かにレイちゃん、八神君の好みに合いそうだよねぇ~。」

 

「新作にネタの参考にしたいから、どんな言葉を交わしたか聞かせてぇぇぇ、後レイちゃんは感想とかもお願い。」

 

「な・・ナンパ・・・・はわわわ・・・。」

 

「男は所詮そういうものですか・・・。」

 

「振られたからって、焦り過ぎだよ。」

 

(本当に彼は私達の監視に気付いたのか?)

 

(・・・少し考え直させてくれ・・。)

 

「み・・皆さ~~ん・・授業中ですよ・・静かにしてくださ~~~~い。」

 

「あんた達~~~静かにしなさ~~~い。」

 

「皆さんお静かに!!そこの御2人!!何時まで手をつないでいるのですか?」

 

「「あっ!!」」

 

 

あやかの指摘に、茶化しが始まった時の勢いに圧倒され、しばし呆然としていた2人は、握手を交わしたままであった事に気付き、

慌てて御互い手を離す、がその時、恥かしさからか2人の顔が少し紅くなっていたので、そこから更に、

テンションが上がる生徒達に、もはやネギやしずねだけでは、どうする事もできない程であったが、

ここで更にあやかの次の一言が切っ掛けで、言ってしまった太一の一言が、更に激化する事となった。

 

 

「八神さんも、初恋の御方に振られたからって、自棄になって転校早々ナンパなんかするんじゃありません!!」

 

ピキッ

「さっきから・・・振られた振られたって、人の心の傷をえぐりやがって・・・。」

 

「た・・太一君・・・落着いて・・。」

 

「今でもあいつの事が好きなのに、ナンパなんかするかーーーーーーーー!!」

 

「えっ?」

 

『『きゃ~~~~~~~~~~~~!!』』

 

「あっ・・。」

 

「今でもその人の事が好きだって。」

 

「こんな所で、告白なんて・・・。」

 

『『大胆~~~~~~!!』』

 

「あっ・・いや・・・その(しまった!!あまりにも傷口えぐられたから、自棄になって、余計な事言っちまった~~~~!!)・・。」

 

「まだ・・・その人の事好きなんだ・・・。」

 

「レイ!?・・ちょ・・・何で暗くなってんの?」

 

「ねぇねぇ・・・その子どんな子?」

 

「その子とはどれくらいの付き合い?」

 

『『聞かせて聞かせて~~~~~。』』

 

「誰か助けてくれーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

「はうぅ・・・・授業がまた進まないよ・・・・。」

 

 

その後、結局1時間目の授業はそのまま時間が過ぎ終わってしまい、ネギは泣きながら教室を出て行った。

 

しかし太一はそうはいかなかった、その後の休憩時間殆どの女子達が太一のところに集まり(取り囲み)、尋問の様な質問タイムへと突入した。

 

内容は殆どが、去年のクリスマスでの出来事や、初恋の子に関する事であった。

 

それは休憩時間の度に行われた挙句、前の学校の授業と比べると、明らかにレベルの高い授業のダブルパンチに、

心身とも疲れ果てて午前の授業は全て終わった。

 

そして昼休み、なんとか女子達の魔手から逃げ切った太一は正面玄関前にいた。

 

 

「はぁ・・はぁ・・・あの子達、何かある毎にお祭り騒ぎだなぁ・・まるで元気が服着て歩いてるじゃないかと思うほど元気だな・・・。」

 

 

周りを見れば食堂へ行く者や、外で食事を取る為外へ出る者達で溢れかえっていた。

 

そんな中、太一はネギの姿を見つけたので近づく。

 

 

「あっ!八神さん。」

 

「おつかれさん・・・ネ・・・先生。」

 

「むぅ・・・八神さん・・僕は確かにまだ子供ですけど一応あなたの先生ですよ・・・先生にそういう言い方は・・ちょっと。」

 

「ん・・・・・すいません・・前の学校でも先生とは、多少こんな感じだったんで・・・。」

 

 

やはり先生とは言え年下に、しかも普段教師にも敬語よりも、フレンドリーに会話をしていた太一にとって、

ネギの事を先生と呼ぶだけでも少しギクシャクしてしまうらしい。

 

ネギはネギで、まるで先生として見ていないのではと思い少々不機嫌になる。

 

 

「ところで・・・どうですか?2-Aのクラスの人達は?」

 

「色々な意味で、予想を超えてパワフルな女の子達で・・・・。」

 

「皆さん元気ですからね。」

 

 

あれは元気だけで片付けられるかは不明ではあるが、元気な事はいい事だと、深く考えるのをやめる(諦めた)太一。

 

そしてネギは、何かを思い出したのか懐から一枚の紙を取り出し太一に渡した。

 

 

「これは2-Aのクラス名簿のコピーです。顔写真付ですから、早く覚えられますよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

 

コピーを受け取り少し見てみると、32名の内数名の生徒の名前と顔写真の周りに書き込みがしてあった。

 

 

「あっ・・前の担任だったタカミチの書き込みがありますけど気にしないで下さい。」

 

「へぇ・・・じゃあこの神楽坂明日菜って子の角の様な悪戯書きの様なのと「すごいキック」とか、宮崎のどかって子の「すごくカワイイ」って、

コメントも高畑先生の・・・。」

 

「えっ!?・・・あぁ~~~そ・・それはぁ・・・。」

 

 

それは麻帆良学園に来た初日と翌日にネギが書いた書き込みの箇所であった。

 

太一は、明らかに子供が書いた様な字で書いてあった箇所を挙げて、太一は顔をワザとらしくニヤつかせてネギに聞くのだが、

指摘されたネギは、教師としての威厳が無くなるのではないかと、混乱していたのであった。

 

そして追い討ちをかける様にワザとらしく。

 

 

「こんなのをクラス名簿に書いてる様じゃ・・・子供扱いされても仕方ないですよ・・先生。」

 

「う・・・うぅ・・うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

ぽと

 

「ちょっとからかい過ぎたかな?」

 

 

ネギは泣きながら脱兎の如くどこかへ走り去ってしまった。

 

その際ネギは何やらカードの様な物を落として行き、太一はそれを拾い上げ確認すると。

 

それは、麻帆良学園での教師を表す身分証明書兼教員免許書であった。

 

 

「おいおい・・・これ落としちゃ不味いだろ・・・職員室に・・・場所が分かんないや・・。」

ぐぅぅ・・・

 

「・・・その前に昼飯にしよう・・あのクラスに腹ペコでいるのは、自殺行為だ・・・これは次の授業の先生に渡して貰う様に頼もう。」

 

 

太一は、正面玄関から見える大きな像の下で食事をする為移動する。

 

 

「・・・そういや伊織と同い年か1つ上だよなぁ・・アイツ、・・・比べちゃ悪いが、これなら伊織の方がしっかりしてそうだな。」

 

 

無理をして先生をしようとしているネギを見て太一は、後輩の選ばれし子供達の1人、最年少でネギと同い年位の少年「火田伊織」を思い出す。

 

伊織は当時、大輔ともう1人「井ノ上京」と共に、選ばれし子供達の一員となったばかりの頃は、真面目な性格と強すぎる正義感の故、

悪に対して潔癖になりすぎていた。

 

当時の彼等の前に敵として表れた、「デジモンカイザー」である「一乗寺賢」は、選ばれし子供達の1人でありながら、暗黒の力に魅入られ、

デジタルワールドを支配し様としたが、彼は大輔達の活躍で、暗黒の力から解放され、正気を取り戻した賢は、

それまでの罪を償おうとして仲間に加わった際、伊織はそれまでのデジモンカイザーとしての悪行を赦す事と賢自身を信じる事ができず受け入れられずにいた。

 

だが賢と共に行動を共にする内に、賢の苦悩や悲しみを理解する内に、仲間と行動を共にする内に、戦いの中で成長し、

彼の中にある正義感は、「悪を赦してはならない」から、「闇に囚われた悪を救う」へと変わっていった。

 

太一は当時の伊織とネギを重ねていた。

 

今のネギとかつての伊織は、似ている様で似ていない、似ていない様で似ていると感じていた、修行の為とは言え、教師とは言え、

ネギはまだ子供なのだ、伊織も当時は今のネギ同様、無理に背伸びをして大人に成ろうとしていた節があった。

 

無理に大人になろうとするネギを見て太一は、どこか悲しい気持ちになりながら、正面に見える像に向かって移動するのだった。

 

像の下についた太一は、あらかじめ買っておいたコンビニのおにぎりを食べながら、先程貰ったクラス名簿を見ていた。

 

 

(休憩時間に刹那に色々と聞こうと思ったけど・・・あいつ等の所為で出来なかったなぁ・・、この龍宮真名って子と、

金髪の10歳位に見える・・「エヴァンジェリン・A・K・マグダウェル」って読むのかな?後この・・・明らかにロボットの「格繰茶々丸」か、

・・・この3人・・いや・・2人と1体か?こいつ等が今朝俺を監視していた残りの奴等なのは、

自己紹介した時に向けられた視線で分かったが、そうなると必然的にこいつ等は魔法使いかその関係者となるな。)

 

 

他にも授業中や休憩時間で気になった生徒が数人いたのか、しばらくクラス名簿を見ながら自分の中で分析する。

 

 

(近藤木乃香・・・とてもあの妖怪ジジイの孫娘とは思えないなぁ・・・突然変異か?まぁあれに似なくてよかった、よかった・・・。)

 

 

場所は変わり再度学園長室。

 

 

「ぐわっくしょい!!・・・・おのれ・・誰かワシの悪口・・・もしくは木乃香がワシに似なくてよかったなどと・・・・。」

 

 

今度は、大当たり!!予想が当った所為か、特大のクシャミが学園長室内に盛大に響いた。

 

場所は戻り玄関前の像の下。

 

 

(やっぱりあのジジイの孫だけあって魔法使いなのかな?そんな感じには見えなかったが・・・そして、

この・・・「ザジ・レーニディ」か?この子は、何か・・うまく言えないが奇妙な感じが身体を覆っている感じだったな・・・、

妙な感じと言えば刹那やエヴァンジェリンもだな、この2人はどちらかと言うと何かが混じっていると言った方が正解かもな・・・。

後は「相坂さよ」だな、今日この子はいなかったが・・・、何でこの子だけ制服が違うんだ?後「1940~」と「席を動かさない事」と言った書き込み、

それにこの子の席から何か変な気配みたいのを感じたし・・・。)

 

 

太一はこの時まだ気付いていなかった、自分の身に何か大きな変化が起きようとしている事に・・・、いや・・眠っている何かが覚醒しようとしている事に、

その影響は少しずつ、太一自身に表れ始めていたのだった。

 

 

(・・・しかしこのクラス・・以上以下を含めて中学生に思えない奴等が多いな・・・何気に留学生も結構いるしな・・・、

しかし神楽坂明日菜に関しては、今一よく解らん、源先生に注意する様言われたが、見る限りお頭の悪い元気で普通・・・なのか?

とりあえずまぁ普通の女の子だ・・・。)

 

 

太一は次に、高畑の書き込みを見て、気になった箇所に注目して、その意味を考え出した。

 

 

(「長瀬楓」の「忍」って何だ?単純に考えたら、忍者って事なんだろうけど・・・。)

 

 

今の時代に忍者と思いつつも、「デジタルワールドがあるんだし、今の時代にも忍者がいても良いか。」と深く考えるのをやめた。

 

 

(エヴァンジェリンの「困った時に相談しなさい」と言った書き込み、これは明らかにネギに対してのメッセージか何かだな、

となるとこの子は魔法関係者の中でも結構上位の存在って事か?)

キーンコーンカーンコーン

 

「おっ!予鈴か・・・そろそろ戻るか・・・。」

 

 

昼休みも残すところ後5分弱、他に気になる生徒や書き込みはあったがここで一時考えるのを中断し、

太一はクラス名簿を制服の内ポケットに入れ、渋々と歩き出すのだった。

 

 

「ここの授業レベルが高いからな・・・付いて行けるかなぁ・・・。」

 

 

などと中学生らしい悩みを抱えながら、校舎へ向かう際、ふと空を見上げると何やら空を飛ぶ物体が見えた。

 

 

「あれ~~?何処で落としたのかな?あれが無いと僕先生できないよ・・・グス・・。」

 

 

ネギであった、背負っていた杖に跨り空から何かを探している様だが、明らかに太一が今もっているネギの身分証明書である。

 

ネギは慌てている所為か、太一がいる事に気付かず、正面玄関前に降り立った。

 

 

「何処?・・何処だろ~~~?」

 

「あ・・・・先生?」

 

「えっ!?」

 

「あの・・・これをお探しですか?」

 

 

片言な喋り方で太一はネギに、ネギが探しているであろう身分証明書を見せた。

 

するとネギはさっきまでの泣き出しそうな顔から、一気に笑顔へと変わり太一のもとへ走って行く。

 

 

「あ・・・ありがとうございます。八神さん・・・これが無かったら僕ここで先生を・・・。」

 

 

太一から証明書を受け取ったネギは、咲いたばかりの花の様な笑みだったが、ある事に気付き次第に、萎れて行く花の様に顔色が悪くなるのであった。

 

 

「あのぉ・・・八神さん・・見ちゃいました?」

 

「あぁ・・・その・・・先生がその杖に跨って空から降りて来るところなら見ました・・・。」

 

 

太一は目を逸らしながら、申し訳なさそうに答え、少し間を空けてからネギの方を見ると、ネギは下を向きブルブルと震えていた。

 

当然と言えば当然である、一般人と思っている太一に、魔法を使っているところを見られたのであるから、

下手をすれば本国へ強制送還、そして修行も強制終了されるのだから。

 

それはネギの夢が叶わないことを意味する。

 

だが幸いこの場にいるのは太一とネギのみ、他の生徒達はすでに校舎の中に入って行った為、他の生徒達に知られる事はなかった。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 

ぐい

「うぉ!?」

ダダダダダダダダダダダダ

 

 

しかしネギは突如叫びだし、太一の腕を掴むと物凄い力と速さで、脇にあった小規模な林の中へと消えていった。

 

しかしこの光景を校舎から偶然見ていた者がいたのだった。

 

 

「アイツ等何やってんのかしら?」

 

 

そしてここは太一が連れて行かれた林の中。

 

 

「ちょ!!・・先生・・・落着いて・・・。」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 

(駄目だ!!完全に混乱して暴走してる・・・それにしても何て力だ!・・・自分の倍は体重のある俺を・・・。)

 

バチバチ

ズキッ

「痛っ!?(何だ?つかまれた腕から、何か電流が走った様な・・・それに今一瞬胸が・・)」

 

 

それから少ししてようやくネギは止まったが、ここからネギの誤魔化しとは言えない誤魔化しが始まる。

 

 

「あ・・・あの・・太一さん・・あ・・あれは・・そう目の錯覚です・・・僕がちょっと魔法使いの真似事をしていたら、

丁度強風が吹いてそのまま空高く浮かんで、丁度いいと思って、そのままゆっくり落ちるまで探し物を探して・・・、

そして丁度ゆっくり落ちた時に太一さんがいただけで、それで僕が魔法使いに見えただけなんですよ・・錯覚です錯角・・・、

可笑しいですよね?魔法使いの僕が魔法使いの真似事なんて・・・。」

 

「(今のところ「先生(もしくは男の子)の僕が魔法使いの真似事なんて」って言いたかったんだろうけど・・・、

一杯一杯で自分が何言ってるか分からなくなって来ているな・・・それに俺はまだ何も言ってないのに、

「目の錯覚」とは・・・しかもその後の目の錯覚と関係ない言い訳・・・まぁとりあえず。)・・・先生って魔法使いなんだ・・・。」

 

「えぇ~~~~!!ちっちちち違いますよ・・僕は魔法使いなんかじゃないです・・・タカミチも学園長も魔法使いじゃないです~~~~!!」

 

「(うわぁ・・・聞いてもいない事まで喋っちゃったよ・・・俺だからよかったものの・・・こいつこのまま混乱してたら知ってる秘密を、

見境なくベラベラと喋ってしまうぞ・・・。)た・・・高畑先生や学園長も魔法使いなんだ・・・。」

 

「うえええええええ!!ど・・どうしてその事を?・・・あっ・・あぁ!!」

 

「・・・認めちゃいましたね(こいつ馬鹿だぁ!!)。」

 

「うっうう~~~~~~~。」

 

 

自ら墓穴を掘り、もう誤魔化し様の無い(最初っから誤魔化し切れていなかったが)事態にネギは、しばらく唸って考え込み、

顔を上げて、杖を取り出しとんでもない事を言い出した。

 

 

「仕方ないです・・・秘密を知られたからには記憶を消させていただきます!!」

ドギャーーン

 

「はぁ!?ちょっと待て!!俺自身は何もして無いぞ!!秘密バラしたの、お前自身だろうが!!」

 

「ちょっと頭がパーになるかもですが・・・許して下さいね・・・・ムニャムニャ・・・。」

ゴゴゴゴゴゴ・・・・

 

「許せるかーーーー!!」

 

 

などと、証拠隠滅の為、太一の記憶を消去する呪文を唱えるネギ。

 

ネギが呪文を唱える度に、ネギの周りが少しずつではあるが光が激しくなっていく。

 

太一はこの状況を如何にかようと、必死に普段はあまり使わない脳をフル回転させていた。

 

 

(冗談じゃねぇぞ!!手前のミスの尻拭いで記憶を消されてたまるか!!しかもパーって・・・只でさえ悪い頭更に悪くされて堪るか!!

しかもまだどこか混乱してそうだし・・・、下手したら関係ない記憶・・もしくは全ての記憶なんか消されたら・・・ふざけんな!!)

 

 

しょーも無い理由経路の末で、目の前にいる少年に下手をすれば自分のこれまでの記憶を消されそうな危機的状況に、

ある意味でこれまでに無い危機感を覚える太一。

 

しかし、視線を杖の先端に移すと、光が少しずつ杖の先端に集まっているのに気付く。

 

 

(あの光・・・高畑先生と握手した時と、さっきネギに掴まれてる時に感じたのと似た感じがする・・・、

まさか・・あれが魔力ってやつか?)

 

「消えろーーーー!!」

 

「くっ!!」

 

 

ついに呪文を唱え終え、杖の先端を太一に向けて突き出そうとするネギ。

 

 

「(俺の勘が当っていれば・・あの光に当たりさえしなければ・・・)ハッ!!」

ガシッ

 

「えっ!?」

 

 

太一は、一か八かで、杖の先端に蓄積された魔力光が当る前に、突き出された杖をかわし、更に右手で杖の柄の部分を押しやり、

左の方へ押し流し、なんとか回避した太一。

 

しかしその後、2人の予想を超える非常事態が発生する。

 

 

「ちょっとあんた達、こんな所で何やってんのよ?」

 

「「えっ?」」

 

 

明日菜であった。

 

校舎からネギが太一を連れて林の方へ行くのを偶然目撃していた明日菜が、疑問に思い跡を着けて来たのだったが、

最悪のタイミングで、最悪の場所に現れたのであった。

 

 

パシュウウッ

「!?」

 

「なっ!?」

 

「あれ!?」

 

「イヤーーー!!」

 

 

太一がよけた杖の先にあった魔力光が、タイミング悪く出てきた明日菜に当ってしまったのだ、

しかし、記憶消去の魔法の筈が、何故か明日菜の制服を消滅させてしまったのだった。

 

突如制服が消滅してしまった事に驚くも、素早く恥ずかしい所を腕で隠し、その場にへたり込む明日菜。

 

そんな明日菜を見ない様にとっさに目を逸らし、自分の上着をネギに渡し明日菜に着せる様に伝える。

 

ネギも急いで明日菜の下に駆け寄り上着を渡すが、受け取った上着を着ると鬼の形相で太一とネギを睨み付ける明日菜。

 

 

「あんた達~~~~~~。」

 

「ひっ!!」

 

「いいっ!!」

 

「何してくれてんのよーーーーーーーーーーー!!」

 

「ゴメンなさーーーーーーーーーーーい!!」

 

「何で俺までーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」

 

「問答無用!!」

 

「「ぎゃああああああああああ!!」」

 

 

 

午後の学園脇の林に、1人の女子生徒の怒りの怒鳴り声と、子供先生と転校生、2人の叫び声が聞こえるのであった。

 

 

続く

 

 




次回予告
魔法使いである事を内緒にすると、ネギと約束した太一は、
放課後、今日1日の事を学園長に報告し、これから生活をする寮へと行くと、
仲間達から送られた荷物が届くのだった、
しかしその中には掛替えの無い友の姿があった。
次回
デジモンアドベンチャーMAGI
『届いた真心、箱の中から僕参上!!』
今・・・冒険が進化する。
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