デジモンアドベンチャーMAGI   作:龍気

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今回あいつが”送られ”ます。


第4話『届いた真心、箱の中から僕参上!!』

麻帆良学園学園長・近衛近右衛門に、子供先生ネギ・スプリングフィールドの面倒を見る様にと頼みを受けた太一は、

ネギが担当する、麻帆良学園・女子中等部「2-A」へと転校した。

 

そこには太一の予想を超える、パワフルで元気一杯の美少女達の巣窟であった。

 

そんな中で出会った新しい友達、その少女の名は彩羽レイ、そして彼女は太一と出会い、何かが変わろうとしている事に、

この時の彼女はまだ知らない。

 

そしてネギは、太一の前で、うっかり魔法を使っている所を見られてしまい、激しく動揺してしまうのであった。

 

太一は、ネギが魔法使いである事は知っていたが、ネギはその事を知らない。

 

その為にネギは、太一の記憶を消そうとしたが、太一はその魔法をかわすが、その時予想外の事が起きたのだった。

 

太一のクラスメートで、クラスにいる魔法関係者達を除けば唯一ネギの正体を知っている神楽坂明日菜が、太一のかわした魔法に掛かってしまったのだが、

記憶が消える魔法の筈が、何故か明日菜の服を消し去ってしまい、怒った明日菜が目の前にいる男2人に、

怒りのままに襲い掛かるのであった。

 

そして聞こえる、自ら引き起こした結果の終端から考え自業自得の男の子と、明らかに巻き込まれた被害者の転校生、

この2人の叫びが、学園の林に響いたのであった。

 

 

 

―――『届いた真心、箱の中から僕参上!!』―――

 

 

 

「そうだったんだ・・・じゃあ何で、ちゃんと言ってくれなかったのよ?そうすりゃあんたは巻き込まなかったのに・・。」

 

「・・お前・・・「問答無用」って言葉の意味を知ってるか?それとこんなになるまで、話を聞こうともしなかったくせに・・・。」

 

「うぅ・・・痛いよ・・僕・・・先生なのに・・・・。」

 

 

怒れるままに暴れていた明日菜に、なんとか事の発端を幾度となく説明しようとしたが、彼女の耳には届く事無く、

延々と殴る蹴るの暴行を受け続けた太一とネギ。

 

なんとか落着かせ、事の発端を説明するまでに、太一とネギの顔は、明日菜の怒りの猛攻でボッコボコに腫れてしまい、

見るも無惨な状態と化し、挙句太一は口から、ネギは鼻から血を流していて、2人の衣服もボロボロに所々破けていたのだった。

 

 

「はっ・・はは・・・まぁ・・男が小さい事気にしない気にしない・・・。」

 

(これは小さい事なのか?何か数人の不良に理不尽な理由で、寄って集って暴行を受けた後みたいに感じるのだが。)

 

 

明日菜はバツが悪そうに、苦笑いで誤魔化した。

 

それに対し、太一は納得のいかない顔をして明日菜を睨むが、明日菜は、そんな太一を余所目に視線をネギに移し、なにやら説教をし始めた。

 

 

「ところでネギ!!」

 

「はっ・・・はい!!」

 

「あんたここに来て1週間位になるけど、ちっとも成長して無いじゃない!!しかもまた人の服を消しちゃって!!」

 

 

そして明日菜は、ネギが教育実習生として赴任して来た時の事と、そこから明日菜がネギたち魔法使い達の存在を知り、

2人が秘密を共有するまでの経路と、今回太一にとって2回目の魔法についての軽い説明を話し出した。

 

何でも、その日の朝、ネギと明日菜が初めて対面した時に、クシャミでネギの魔力が暴発し、強力な突風を起こし、明日菜の服を吹き飛ばし、

彼女のお気に入りのクマパンを高畑の目の前で見られた等(その時は木乃香もいたそうな)。

 

朝のホームルームで、本日太一がかわしたのとほぼ同じトラップ(落下してきたバケツの中に水が入ってないだけの違い)に、

見事に引っ掛るのだが、最初の黒板消しトラップで、魔法で落ちて来る黒板消しを一時的に空中で停止させる等。

 

放課後、2-Aの生徒の1人「宮崎のどか」が、階段でバランスを崩し、落下してしまうが、偶然の現場に居合わせたネギが、

魔法で彼女の落下を阻止し、幸いのどかに正体がばれる事は無かったが、その一部始終を明日菜に見られ、

明日菜に魔法の存在を内密にして貰う様に頼むが、今朝の事を根に持ち、怒り応じない明日菜に、先程の太一の時と同じ様に、記憶を消去し様としたが、これまた先程と同じで、

何故か服が消滅してしまい、

更に今朝の時みたいに、タイミング悪く高畑がその場に現れ、上着意外着ていない明日菜の姿を見られた等。

 

その後も、一騒動二騒動あったそうな。

 

その日以降でも、惚れ薬や、身体変化、物体の遠隔操作、しまいにはクシャミや感情に走った為の暴発等が、

彼が来てからの一週間以内にあったらしく、そんな話を聞いて、太一は呆れた感じでネギを見るのであった。

 

 

「・・・(まぁ初日の放課後の件は仕方ないとして、こいつは普段から魔法に頼りすぎだな、でなきゃ今回みたいに、

探し物をする時一々空飛んで探す事はしないはずだ。)先生・・本当に正体隠す気あったんですか?」

 

「あぅぅ・・・・。」

 

 

もはや太一はネギに対して呆れるしかなかった、生徒を救った彼の行動意外での、魔法の使用の殆どが、彼の不注意や、

自分の解釈での明日菜への使用、魔力コントロール若しくは感情のコントロール失敗による暴発であった。

 

それはネギ自身がまだ子供と言うだけでなく、普段から魔法に頼り、魔法を使うのが常識と言う生活を過ごして来た彼ならではの、

ミスでもあった。

 

しかし太一は、ネギに呆れもしたが、同時に彼にとって、この修行の厳しさも感じていた。

 

魔法が一般人に知られた場合、その原因を作った者を、強制的に連れ戻し、場合によってはオコジョとされてしまうが、

ネギの場合は、彼自身はまだ仮免許を持った修行中の魔法使いの為、その仮免許の没収がある、それはネギ夢である、

マギステル・マギの道を断つ事を表している。

 

その事を前もってしずなより聞いていた太一は、改めて今ネギのおかれている状況について、考えるのであった。

 

 

(確かにこの子にとって、いきなり魔法が一般的に広がってない世界に来れば戸惑いや焦りと不安もあると思うが、

今のままじゃ、また今回みたいに他の人達に知られる可能性があるな・・・、あのジジイめ・・なんて面倒な事押し付けやがったんだ・・・。)

 

「ところであんた・・・。」

 

「・・・んっ?あぁ・・・何?」

 

「確か八神太一だったわよね?」

 

「あぁ・・・お前は神楽坂明日菜だったな。」

 

「そうよ・・あんたの事は太一でいいわね?」

 

「あぁ、その方が俺としてもしっくりくるからいいよ、じゃあ俺も明日菜でいいか?」

 

「・・まぁ・・いいわ・・・ところでこいつの事なんだけど・・・黙っててくれない?何か魔法が私達みたいな普通の人達に知られると、

こいつが大変みたいだから・・・。」

 

「おっ・・お願いします八神さん!!この事が知られたら僕・・僕・・・・。」

 

「いいよ。」

ニカッ!!

 

「「えっ?」」

 

 

思いの他あっさりと笑顔で、了承した太一に、2人は目を丸くして間抜けな声を上げた。

 

元々太一はネギの面倒を見るように頼まれていたので、彼自身のマイナスになる事をするつもりは無かったのだった。

 

少し間が空き、ネギは太一に笑顔で近づく。

 

 

「本当ですか?八神さん!!」

 

「あぁ・・・しかし条件があります。」

 

「えっ?」

 

 

その言葉はネギにとって、予想外であった。

 

しかし事の重大さを考えると、妥当であり、予想は出来たはずであったが、自分の生徒である彼が担任である自分にそんな事を言うはずがないと、

思っていたのか、少しショックを隠せないでいた。

 

そしてそれに対し明日菜は反論しようと、太一を睨み大声を上げるのであった。

 

 

「ちょっとあんた!!こんな子供相手に、弱みに付け込んで何しようって・・・。」

 

「それはですね・・・。」

 

「って!!聞きなさいよ!!」

 

 

全てを言い切る前に、話を進めようとする太一に、明日菜の怒りは更に激しさを増すのであった。

 

 

「お前に対してタメ口で接していいなら、いいよ。」

 

「「えっ?」」

 

 

太一の出した条件とは、ネギに対してタメ口で接すると言う事であった。

 

その条件を聞いて2人はまたも、2人は目を丸くして間抜けな声を上げ、しばらく呆然としていた。

 

2人はもっと、金か成績の改ざん、または魔法を自分の為に使えなどと要求されると思っており、実際に明日菜自身も、

ネギの正体を知った時に、惚れ薬等があるか聞き、高畑に読心術で彼が自分の事をどう思っているか読み取ってこいと要求していたのだった。

 

それに対し太一がネギに言った条件は、あまりにも破格であった。

 

そして2人は、その時の太一の顔がワザとらしくニヤついている事に気付き、それから2人は太一が初めから特に要求を出す気が無く、

只2人をからかいたかったという事に気付く。

 

 

「いや~やっぱり先生とは言え、年下の子供相手に敬語使うの、慣れなくてくってさ・・・さっきから背中がムズムズしてたんだよ。」

 

 

太一自身もネギに、敬語で接するのに疲れていた様で、今が一番切り出し易かったので、からかい半分で切り出したのだった。

 

 

「それ位でしたら・・いいですよ他の生徒さん達もタメ口とは言いませんが、何故かフレンドリーに接してきますし。」

 

((そりゃあお前(あんた)が子供だからだ。))

 

「では、よろしくお願いします八神さん。」

 

「太一だ。」

 

「えっ?」

 

「太一でいい、お前他の生徒達も名前の方や皆が使っているあだ名で呼んでるだろ?だから俺も太一でいい。」

 

「・・・分かりました、では改めて、よろしくお願いします太一さん。」

 

「あぁ・・よろしく。」

 

 

そう言って2人は握手を交わし、その後ネギは明日菜と事無き終えた事に、笑いながら安堵の胸をなでおろす。

 

それを見て太一は、先程のニヤケ顔から、少し真剣な顔でネギに近づく。

 

 

「ところでネギ・・・。」

 

「はい・・何ですか?」

 

 

ネギと明日菜は先程と違う太一の様子に、少し戸惑ったが、とりあえず太一の話を聞く。

 

 

「お前が目指すマギステル・マギって言うのは、簡単に言えば正義の味方なんだよな?」

 

「はい・・そうです・・・「世のため、人のため」の信念を基に、魔法を使う立派な魔法使いを表す称号で、魔法世界でも最も尊敬される仕事の一です。」

 

「それを目指したいんだよなぁ・・・。」

 

「はい・・・。」

 

「何が言いたいのよ?ハッキリ言いなさいよ!!」

 

 

太一が何を言いたいのか今一分からず、痺れを切らした明日菜が太一に詰め寄る、そして少し呆れた感じで太一は口を開く、

そして二人は太一の口から出た言葉に驚愕する事となる。

 

 

「さっきの約束通り、俺は誰にも言わない・・・、しかしネギ、今回の事や明日菜との件は、お前自身が学園長に伝えろ。」

 

「「えっ!?」」

 

 

「目の前の男は何を言っているのか」と今一理解できてないネギと明日菜、先程知られては不味いので、内密にすると約束したばかりで、

その内容や利害を理解しての事である筈だったが、約束通り彼自身は何も言わないが、ネギ自身に一番知られてはならない人物に、

自ら今回や明日菜の件を伝えろと言う太一の考えが分からないでいた。

 

 

「ちょっと待ちなさいよ!!それが出来ないから、さっきあんたに口止めを約束したんでしょ?それなのに何でネギが自分からそんな事しなきゃいけないのよ?」

 

「如何してなんですか太一さん?」

 

「誰にもバレなきゃ如何とでもなると、お前は思っているのか?」

 

「えっ?」

 

「・・・確かに人は、知られたら不味い汚点は1つや2つは有る、しかしお前の目指している物は、自分の不始末を自分で隠す様な奴が、

目指して良い様な軽い物なのか?」

 

「あっ・・・。」

 

「少なくとも俺は、そんな責任感の無い、悪さをして親に隠そうとする子供と同じ事をする様な奴には、

お前の目指すマギステル・マギってのには、なってほしくない。」

 

「!!」

 

「ちょっと待ちなさいよ!!こいつはまだ子供なのよ・・・少し位そんな事しても・・・。」

 

「明日菜さん!!いいんです・・太一さんの言うとおりです・・。」

 

「ネギ・・・でも・・。」

 

「俺達はこれから、こいつの魔法を知った事で、魔法関係の事で巻き込まれる可能性が出て来るかも知れない、

そして最悪は命を落としかねない。」

 

「なっ!?」

 

「そうです・・・そうなるのかも知れないのに、僕は自分の事ばかり考えて明日菜さんや太一さんに起きる危険性を、

全く考えないで、明日菜さん達の厚意に甘えていたんです・・・すみません・・明日菜さん・・太一さん・・・。」

 

 

ネギは、涙を流し2人に謝罪の言葉を掛け俯いたまま震えていた、明日菜はネギに励ましの言葉を掛けるが、

ネギは一向に泣くのをやめない、むしろ「教師失格だ」や「駄目な魔法使いです」などと言い出し、自己嫌悪に陥ってしまう等と、

余計に悪化してしまうのであった。

 

そんな光景を見て太一は溜息を吐き、ネギに問い掛けた。

 

 

「そんなにお前は駄目なやつか?」

 

「えっ?」

 

「俺はそうは思わない・・・お前は自分の間違いに気付き、それを認め反省した、そんなお前を俺は駄目な奴とは思わないし、

お前を駄目な奴だなんて誰にも言わせない。」

 

「太一さん・・・。」

 

「でも・・・反省するだけじゃ何も変わらない・・・今のお前は立ち止まっているだけだ・・・そこから前へ進むかで、

お前の今は如何とでも変えられる・・・その先に何があるのかは誰にも分からないが、それは誰だって同じだ、

人はそんな中で、何回も後悔し、何度も挫けそうになりながらも、進むんだ・・・何があっても、後悔したままで終わりたくないから、

お前は・・如何するんだ?」

 

 

デジタルワールドでの冒険で、太一は自分の勝手な思い込みや自信過剰で、仲間達を巻き込み危機に陥った事が幾度とあった、

其の度に彼は傷付き、悔やみ、膝を突き立ち止まってしまいそうな事もあったが、決して止まる事はなかった、

自分の過ちに気付き認め前へ進む、そうして太一や仲間達は成長し、襲い掛かる驚異に打ち勝って来たのだった。

 

そして今、太一の目の前にいるネギの姿が、当時の自分の姿と重なって見えたのか、どうしてもほっとけなかったのだった。

 

 

「太一さん・・・僕・・学園長に正直に報告します!!・・・その結果でどうなっても構いません!!だって僕の目指すマギステル・マギは、

自分の不始末を隠す様な事は決してしないから・・そうしなければ・・・僕自身何も変われないから!!後悔したままで終わりたくから!!」

 

 

ネギはその日で一番、子供とは思えない凛々しい顔で、強くハッキリとした声で言い放った。

 

そんなネギに、最初は驚いた明日菜であったが、もう大丈夫だろうと安心した感じで、笑みを零しながら、ネギを見るのであった。

 

太一も同様に、優しさを感じさせる笑顔で、ネギの頭に手を置き軽く撫でる、そしてネギは、ふと故郷にいる従姉「ネカネ・スプリングフィールド」を、

思い出すのであった。

 

 

(太一さんって・・・なんだかネカネお姉ちゃんみたいに・・・温かくて・・優しい感じがする。)

 

 

その後、明日菜は、ネギの魔法により服が消滅した為、新しい服に着替える為遼へと戻る事にし、ネギも念の為明日菜について行く事となった。

 

太一は、既に午後からの授業が始まっている教室へと向かう為、ネギ達と別れるのであった。

 

少し歩き、ネギと明日菜の姿が見えなくなったのを確認すると、太一は立ち止まり、目の前の少し大きな木に向かい話しかけた。

 

 

「もう出て来てもいいですよ。」

 

 

すると木の陰から、高畑が参ったなと言った感じで出てきたのだった。

 

彼は、太一とネギが明日菜に、暴行を受け終えた辺りから、3人の様子を見ていたのであった、太一も高畑の存在は、

ネギと明日菜が出会った時の話をしていた辺りから気づいており、ネギ達の姿が見えなくなったのを見計らい、

高畑に出て来る様に言い放ったのであった。

 

 

「順調のようだね。」

 

「そうですか?」

 

「少なくとも君はネギ君にとって良い見本になると思うよ。」

 

「でも俺は、俺の考えを言っただけだし・・・それがアイツにとって良いとも限らないからな・・・・。」

 

「あの言葉は君か・・・君の仲間が実際に体験しているから出た言葉なんだろ?自らの過ちに気付き認め、

立ち止まる事無く前へ進む事が出来る君なら出来るさ・・・少なくとも僕はそう思う。」

 

「・・・まぁ・・頼まれた限り・・・やるだけやってみますよ。」

 

「頼むよ・・・彼の事は心配しなくていいから、君は教室へ行きなさい、担当の先生には僕の方から前もって「僕と話があるから遅れる」って言っておいたから。」

 

「ありがとうございます。」

 

 

太一は高畑と別れ教室に戻った、既に午後の最初の授業は始まっており、残り時間が半分も無かった。

 

しかし、一瞬太一に注目の目は向けられたものの、特に騒がしくはならなかった、このクラスの生徒達の事だから、

授業の半分以上が過ぎた頃に遅れて来るものなら、それだけでも今朝の様に授業中だろうと騒がしくなると思い、

気を引き締め教室に入ったのだが、午前中で目の当りにした騒がしさが嘘かの様に、静かに授業を受けていたのであった。

 

その原因は、今行われている授業現代国語の担当、学園広域生活指導員である新田にあった、彼はその厳しさから「鬼の新田」と恐れられ、

彼の前ではさすがの彼女達も騒げず、大人しく授業を受けるしかないのだった。

 

新田は、高畑から前もって嘘の用事を伝えてあったので、太一に特に何も言わず、軽い挨拶を交わし席へ行く様に言い、

太一が席に着くのを確認すると授業の続きを始めた。

 

その後授業は何事も無く終了し、新田が教室を出て暫くすると、また午前中の休憩時間の時と同じく、

大半の女子が太一に質問攻めする為に、周りを囲む様にして逃げられない様にした。

 

しかし説明の内容が、午前中の初恋相手に関してから「レイについて」に変わったのだった。

 

彼女達からしたら、太一の初恋相手も気になるが、会って数分で友達になったレイとの経路、基「友達になろうとした動機」や「脈有りなのか」などと、

気になる事が多い事に気付き、夕方のホームルームまでの事ある毎に同じ質問をし、納得の答が来るまで同じ質問を繰り返しするのであった。

 

新田の授業が終わり次の授業が始まる前に、明日菜が戻って来たが、その時彼女の親友の木乃香が明日菜に、

さっきの授業に来なかった理由を聞いきて、大まかなとこと、魔法に関しての箇所は省き、説明をしようとしたが、

最初にネギの名を出してしまった事で、あやかが異常に反応し勝手に勘違い、その結果は火を見るより明らかだった、

今朝同様取っ組み合いの喧嘩が始まり、どっちが勝つかの賭けが始まった。

 

そんなこんなの騒ぎは、夕方のホームルームが終了するまでに、幾度となく起きた。

 

そして放課後、昼間約束した通り今までのことを報告する為に学園長室にいた、目の前には学園長と高畑が神妙な顔で3人を見ているのだった。

 

太一と明日菜は付き添いとして付いてきた。

 

 

「・・・以上です・・、今まで報告が後れて申し訳ありませんでした。」

 

 

ネギは、明日菜と太一に魔法が知られた事と今日まで起こった大間かな魔法の暴発や、魔法を使用しての失敗等を

包み隠さずに学園長に伝えた。

 

 

「ふむ・・・・。」

 

「どんな罰も受ます・・・それ位の事を僕はしてしまいそれをずっと黙ってました・・・だけど太一さんに言われて気付きました。

「世のため、人のため」を信念に魔法を使う者が、自分の都合ばかり考え、無責任に軽はずみに行動するのは、

間違っていると・・・、だから僕は理想とするマギステル・マギに恥じない様に、例えその夢が断たれようと、

後悔はしません・・・。」

 

 

ネギの言葉に、最初は少々難しい顔をしていた学園長だが、しだいにいつもの少しとぼけた感じの顔になり、

やんわりと口を開く。

 

 

「よくぞ・・・自分から話してくれた、ネギ君・・確かにこの件に関しては、君に非はあるが、それはこちらにも言えることじゃ、

うむ・・君達は、ネギ君の事やわし等魔法使いに関し口外する気は無いんじゃな?」

 

「はい。」

 

「まぁ何かこいつ困りそうだしね・・・何より高畑先生に迷惑かけたくないですし!!あんたも後で高畑先生に、

「ご迷惑をおかけしました」って謝っとくのよ!!」

 

「は・・・はい・・。」

 

 

明日菜の場合は、ネギや学園長達他の魔法使い達にでは無く、高畑のみに迷惑をかけたく無いと言うのが本音らしいが、

太一と明日菜の言葉を聞き学園長は、にこやかな顔でネギに語りかける。

 

 

「ふぉふぉふぉ・・・ネギ君良い生徒を持ったのぉ、うむ・・この事は不問とする。」

 

「えっ!?よろしいんですか?何か罰とかは・・・?」

 

「もちろん与える、ネギ君今回の2人に君の正体が知られた事に関する反省文を、明日菜君の時と太一君の時とに分け各10枚ずつ計20枚、

もちろん手書きそして日本語でじゃ、その方が君の日本語力も上がるじゃろ、それを3日以内に提出じゃ、

もちろんその間でも、教師としての仕事はしっかりやってもらう、それが君の修行なんじゃからの。」

 

「それだけですか?仮免剥奪とか・・・強制帰国とかは?」

 

「言ったじゃろう?・・・わし等にも非はあると、それに2人も口外しないと約束してくれたからのぉ、

それに時間は掛かったが自分の非に気付き、素直に告発した君の未来を奪う様な事はしない、よって魔法に関しての事は不問にするが、

教師として・・・いや汚したシーツを隠す様な事をした子供に対するの最低限の罰として与える以上じゃ。」

 

「学園長・・・ありがとうございます。」

 

 

ネギは涙を流しながら学園長に頭を下げた。

 

もうこいつはジジイに一生頭が上がらないかもなと思いながらも、優しく笑みをこぼしながら、太一はネギの肩に軽く手を置き、

「良かったな」と声をかけ、明日菜もそれに続きネギの傍に寄り激励の言葉を掛けるのであった。

 

その光景を微笑ましく見る学園長の顔が気持ち悪かったと太一は思ったが声には出さずにいた事はその場にいる者全員が知る事は無かった。

 

その後、ネギ達と共に退室しようとしたところ、学園長に呼び止められ、太一は学園長室に残る事となった。

 

 

「・・・中々の演技じゃったのぉ。」

 

「学園長こそ・・・まぁ今回の事で、どれほど大変(身体的と精神的に)かは色んな意味で理解しましたよ。」

 

「あのクラスはある意味で特別じゃからのぉ・・・。」

 

 

太一は今日一日でネギのサポートと、2-Aで過ごす事の大変さを色んな意味で味わい、今日一日を振り返っても、

冷や汗と苦笑いしか出なかった。

 

 

「で・・・転校して今日一日如何じゃった?」

 

「・・・・・・・・。」

 

 

今日の出来事を大まかに(思い出すのも嫌であったが)報告し、ついでに不満なども一緒にぶちまけて、学園長に報告した、

報告し終えた太一は、近くにあったソファーに腰を下ろした。

 

 

「それは災難だったね。」

 

「ここの生徒達はお祭りさわぎが大好きじゃからのぉ。」

 

「その中でも俺が転入したクラスは特にでしょ?」

 

「「うん。」」

 

「はぁ・・・あのテンションにはついていけない。」

 

「ところで・・・君から見てネギ君はどうだい?」

 

「・・・まず普段から魔法に頼りすぎだな、魔法使いに魔法を使うなってのは酷な話だとは思うけど、

今回の件は、その所為でもあるからな・・・、後あいつは人前では無理に背伸びをして大人みたいに振舞おうとしている節が目立つ、

そのくせ人前じゃない時や子供扱いすると、一気に精神面で実年齢以下のお子様に成り下がってしまう・・・こんなとこですね。」

 

「でっ・・・結論から言うと・・・。」

 

「まったくのガキです。」

 

 

太一の率直な意見に、学園長と高畑は苦笑いしながら「やはりか」と言った顔で、太一を見るのであった。

 

太一も今後、あのクラスでの学園生活と、ネギの面倒を見ていくと思うと、心労が耐えない日々が続くのかと思うあまり、

少しゲンナリとした感じで天井を見ながら、魂のこもってない、聞こえるかどうかも分からない程の、

小さな笑い声が口から漏れるのであった。

 

 

「・・・うむ・・ところで八神君・・・。」

 

「はい?」

 

「君の住む寮じゃが、ネギ君と同じ女子中等部専用の寮になったから、後でタカミチに案内してもらいなさい。」

 

ゴーーーン

「グハッ!!」

 

 

学園長の言葉に太一は、座っていたソファーと共に後ろに倒れ、すぐさま起き上がり学園長につめより、

今朝の時同様に、大声で批判の声を上げるのであった。

 

 

「ふざけんなジジイ!!女子中等部のクラスに転入させただけじゃなく寮までもか!!」

 

「まぁ・・・そう目くじらを立てんでも・・その方が何かあった時すぐ対応できるからいいじゃろ?

後わし・・・学園長よ・・・。」

 

「それはそうだが・・・はぁ・・もういいよ・・・何言っても取り消さないんだろ?」

 

「すまんのぉ・・・無理言って・・その代りに一番広くて良い部屋にしといたからの。」

 

「・・・同居者はいないだろうな?」

 

「無論じゃ、元々余っていた部屋じゃからの、そもそも教育者がそんな事する訳がないじゃろ?」

 

「子供に先生やらしてるけどな。」

 

「何バレなきゃいいんじゃよ、バレなきゃあ。」

 

「昼間ネギに言ったセリフもう一度使いたくなったよ。」

 

「フムとりあえず今日一日お疲れ様、部屋に行ってゆっくりするがよい、今日届いた荷物は既に部屋に持って行かせてあるさかいにのぉ。」

 

「じゃあ八神君行こうか?」

 

「あぁ・・はい・・・おっそうだ・・・俺の事は太一で良いですよ、高畑先生・・・ジジイ・・・。」

 

 

そう言い残して高畑と共に学園長室から退室する太一。

 

残された学園長は1人寂しくぼそっとつぶやいた。

 

 

「・・・それは良いんじゃが太一君・・・わしの事ジジイで定着させる気かな?わし何度も言うけど学園長よ。」

 

 

そんなこんなで、高畑の案内で女子寮に着いた太一は、自分の部屋へ向かう為中に入ったが、そこはやはり中等部の女子寮、

見わたす限り自分と同年代の女の子ばかりであった、無論注目はされたが、あらかじめ掲示板の方に、

「本日より学園側の都合により、男子1名がこの寮に住む様になりました。」と張り紙がされており、

特にとやかく言われる事も批判を言われる事もなかった、どうやらこの学園の生徒達は、皆「学園の都合」などと言われれば、

何があっても、おかしくないと認識しているのか、叉は諦めているかのどちらかだと思うと、

太一は少しこの学園の生徒達が哀れに思えてきたのだった。

 

 

「着いたよ、ここが君の部屋だ。」

 

 

そこは最上階の端側に位置する部屋だった、高畑は仕事があると言いその場で鍵を渡し、学園のほうへ戻っていった。

 

太一は早速鍵を使い部屋へと入る、玄関の先にかなり広めの居間があり、そこには今朝持って来た荷物と、

今日届いたと思われる荷物が置かれていた。

 

 

「・・・・これは本当に学生寮なのか?1人で住むわりには広すぎだろ・・・。」

 

 

居間に入ってから太一は部屋の見取り図を見ながらつぶやいた。

 

それもそのはず、かなり広く日当たりの良い部屋で、大型テレビも付いていて、結構しっかりしたダイニングキッチンには、

冷蔵庫や電子レンジが付いており、風呂とトイレは別、個室が3つ程で各部屋に最新のエアコンが設置、その他もろもろの設備を考えると、

昨日泊まったホテルより快適なつくりとなっていた。

 

 

「これで家賃とか払わなくていいんだから、世の貧乏学生が聞いたら血の涙流しながら睨まれるな・・・、

よし先に片付けるか。」

 

 

私服に着替え、開いている個室の1つに荷物の片付けを開始し数十分、荷物の殆どが服やサッカー雑誌と教科書、

他には自分の使っていた食器等の日用品のみだったので、予想より早く片付けは完了し、一息つこうとした時。

 

 

ピンポーン

「何だ?」

 

 

ふいに鳴ったインターホンに反応し、玄関へと向かう太一、ドアを開くとそこには宅配員の青年が立っていた。

 

 

「こちら八神太一さんの部屋でよろしいでしょうか?」

 

「あぁ・・・・はい。」

 

「竹之内空さんから八神太一さん充てに御荷物をお届けに参りました。」

 

「空から?」

 

 

太一は荷物を受け取り扉を閉めると、「何が入ってるんだ?」と疑問に思いながら、結構大きめな荷物を居間へと戻る。

 

 

「結構大きいなその割りにそんなに重くなかったし・・・何が入ってるんだ?」

ガタガタ

 

「えっ!?」

ガタガタガタ

 

「何だ何だ!?」

 

 

荷物の封を開けようとしたら、いきなり荷物が動き出し、ビックリした太一は尻餅をつく、すると急におとなしくなり、

太一は冷静に今起きた事を整理しだしてある仮説に辿り着いた。

 

 

「まさか・・・。」

 

 

恐る恐る蓋をしているガムテープを剥がしにかかると。

 

 

バーーン

ゴーーーーン

「フゴッ!!」

 

 

突如箱が開き、その中からサッカーボールより少し大きい丸い白い物体が飛び出してきて、太一の顎にクリーンヒットして、

太一はそのまま倒れ、丸い物体はくるくる回転して見事に着地し、太一のほうを振り向くと。

 

 

ビシッ

「僕・・・。」

 

ズバッ

「参上!!」

 

 

頭に生えた触角らしき物を使い、某「時を越える電車で時を守る仮面の戦士」の赤い方の真似をしだし、

太一を見る。

 

 

「あれ?如何したの太一?そんなとこで寝て。」

 

「人にぶつかっといて言う事はそれだけかコロモン。」

 

「あはは・・・ゴメン。」

 

「はは・・よろしい。」

 

 

箱の中から出て来たのは、太一の唯一無二のパートナーデジモン、コロモンであった。

 

 

『「コロモン(KOROMON)」、世代・幼年期Ⅱ、種族・レッサー型、属性・無し。

ボタモンが進化した小型デジモン。まだまだバトルはできないが、アワをはきだして敵を威嚇するなど、戦闘意欲は十分持っている。

必殺技は、酸性のアワを吐き出し相手を威嚇する「酸のアワ」だ。』

 

 

今まで幾度となく襲い掛かってきた驚異に、共に力と心を合わせその驚異に打ち勝ってきた、良き相棒にして友であった。

 

そんな相棒との再会(と言っても昨日まで太一の家で一緒に住んでいた)に先程の疲れは何処へやら、

互いに笑い合いながら、しばし時が流れた。

 

 

「ところで太一・・・。」

 

「何だコロモン?」

 

ブルブル

「ト・・・。」

 

「ト?」

 

 

突如コロモンは焦りだし、ブルブルと震えながら、太一にある要求をする、それは・・・。

 

 

ブルブル

「トイレ・・・何処?」

 

「はっ!?」

 

「朝から・・箱の中に・・い・・たからもう・・・限・・界・・・。」

 

「わ~~~!!待て!!待てコロモン!!」

 

 

慌てて太一はコロモンを持ち上げて、トイレへと急行し、扉を閉めた。

 

ブリブリ・・ブリリリリリリリリリ

 

何かがひねり出される音がトイレの中から響いた、その際に何故か薔薇の描写が有ったとか無かったとか(汚くてごめんなさい)。

 

トイレから出て来るなり、冷や汗を流しながら今へと戻り、コロモンにことの説明を聞く事とした。

 

 

「ところでコロモン、何でここに?」

 

「うん、空が何かあった時の為に僕だけでも太一の傍にいた方が良いって、だから皆が太一に送る荷物と一緒に来たんだ、

ちょっと苦しかったけど。」

 

「皆から俺に?」

 

「うん。」

 

 

その話を聞いて太一はもう一度届いた荷物に目をやると、コロモンの入っていたスペースの横に板を挟んで、

手紙や本等が入っていた。

 

その手紙には一番身近な仲間、選ばれし子供達からの手紙だった、太一は手紙の封を開き手紙を読み出した。

 

 

『太一へ、いきなりの転校で戸惑っていると思うけど、そんな時ほど慌てちゃ駄目だ、君は落着けばある程度の事は乗り越えられる、

それは僕等がよく知っている、そして無茶をして怪我をよくするって事もね、だから簡単な手当ての方法が乗っている医学書を送るよ。

君でも簡単に理解できる本を選んだから大丈夫、身体には気をつける様に、ではお元気で。

城戸丈より。』

 

 

荷物の中から「病気・怪我の対処方法(日常版)」と書かれた医学書を取り出し、軽く中身を見ると。

 

 

「余計なお世話だ・・・・確かの俺でも分かるや・・ありがとよ丈。」

 

 

悪態をつきながらも、丈に感謝の言葉を上げ、次の手紙を読み始める。

 

 

『太一さんへ、いきなりの転入に僕も驚きを隠せませんでした、しかし太一さんなら何処へ行ってもうまく行くと思っています。

お母さんが作った干瓢巻を送りましたので、これを食べて明日からいつもの様に元気に過ごして下さい。

火田伊織より。』

 

 

太一は箱の中から、タッパーに入っていた干瓢巻を2つ取り出す、1つをコロモンに渡し、口に放り込んだ。

 

 

「太一・・・伊織のお母さんが作った干瓢巻美味しいね。」

 

「あぁ・・・サンキュ、伊織。」

 

 

残りの干瓢巻は冷蔵庫に入れて、次の手紙を読み出す。

 

 

『Hello 太一さん元気でやってますか?いきなり空さんから太一さんが転校したと聞いてビックリしました。

でも太一さんなら大丈夫よね、何処行ったって明るく元気にすごすんだもん、大丈夫に決まってるよね。

急な事であまり書けなかったけど今度日本に帰ったらお土産持っていきますから楽しみにして下さい。

太刀川ミミより。』

 

「楽しみにしてるよミミちゃん。」

 

『ビンゴ!!太一さん麻帆良学園はどんなところですか?実は私ひそかにそこ狙ってたんですよね~だから太一さんが少し羨ましいです。

と言うか少し嫉妬しちゃってます・・・あぁ余計な事書いちゃいましたね。

私書きたい事素直に書いちゃう方ですから。

ではお元気で、こちらに戻ってくる時は麻帆良で有名なスイーツなんかを期待しています。

後麻帆良学園で知り合ったイケメンなんかを紹介してくれたら・・・な~んて、ではお元気で。

井ノ上京より。』

 

「手紙に書くような事なのかこれは?もう中学生になるんだよ京」

 

『太一さんへ、先日見送りに行けなくてすみませんでした。

急な事で大変だとは思いますが、いつもの元気を出して新しい学校で接すれば、太一さんならきっと、

直ぐに打ち解けれると思います。

ですから頑張ってください。

一乗寺賢より。』

 

「あぁ・・・頑張るよ賢。」

 

『太一さんへ、転校初日にお忙しいと思いましたが、今回皆さんと一緒に太一さんに励ましの手紙と、何か物を送る事になりました。

そこで太一さんでも簡単に理解できる、パソコンの使用と設定マニュアルを僕と京君そして一乗寺君の3人で作りましたので送りました。

パソコンは、太一さんのご両親が後日送ると言っておりましたので、これを参照にすれば太一さんでも簡単に設置できると思います。

では太一さん御身体には御気をつけてください。

泉光子朗より。』

 

「これは俺を励ましてるのか?それとも馬鹿にしてんのか?光子朗・・・。」

 

「太一相手ならしょうがないよ。」

 

「どういう意味だよ!?」

 

 

額に青筋を軽く浮かべ、笑っている様で笑っていない顔で、箱の中より3人の手作りのマニュアルを取り出し、

中を見ると、小学生でも解り易そうな内容で書かれた、パソコンの設定方法や設置の仕方が書かれてあり、

これを見た太一は・・・。

 

 

「・・・確かにこれなら出来そう・・・。」

 

 

と・・・、ぼそっと悲しくも呟くのであった。

 

 

『太一お前も大変だよな、いきなり転校なんて、でも正直少し羨ましがってる奴等もいたぜ。

「1人暮らしが出来て羨ましい」ってな、正直俺も少し羨ましい、こんな事書くのは可笑しいとは思うけど、

やっぱ中学生男児なら一度は憧れるよな、俺の場合はある意味で半1人暮らしみたいな生活を送ってたけど、やっぱ今はお前が中学生男児として羨ましい。

だから最初は大変かもしれないが、1人暮らしを満喫しろ、もし1人で寂しくなったら、このあいだ遊びで皆と曲作っただろ。

その時のCDが出来たんで送ったから、それ聞いて元気出せよ、沈んでるお前はお前じゃないからな。

石田ヤマトより。』

 

「1人暮らしと言っても、コロモンもいるぞ。」

 

 

箱の中にあったCDケースを取り出し、実家から送られて来たCDプレーヤーに、CDを入れ、スイッチを押した。

 

スピーカーから一曲目の曲が流れ始め、部屋全体にまで響いたのであった、ちなみに今流れている曲は、

太一の「勇気を翼にして」であった。

 

 

「一曲目俺の歌かい!?」

 

「でもあの時と比べると良くはくなってるね太一。」

 

「うるせ!!・・・ふぅ・・暇な時に聞かせてもらうぜヤマト。」

 

 

悪態をつきながらも微笑みながら曲を流し続け次の手紙を読み始める。

 

 

『太一さんへ、転校した先の学校はどうでしたか?僕も転校した当初は緊張しましたが、太一さんなら何時も通りの明るさで、

元気にやっていけると思っています。

太一さんがいなくなって少し寂しい気がしますが、こんな事で寂しいなんて言っていたら、フランスでの約束を守れせそうにありません。

ですから、あの時の約束を守る為に、僕を信頼してくれた太一さんに応える為にも、僕自身も強くなる様に頑張ります。

ではお元気で、またお会いしましょう。

高石タケルより』

 

「・・・あの時の約束か・・・俺のいない間頼んだぞ・・・タケル。」

 

『お兄ちゃんへ、麻帆良学園での一日はどうでしたか?まだ1日も経っていないのに、私達の周りでは、

お兄ちゃんがいないだけで、だいぶと静かになってしまい、まるで知らない世界に行ってしまった感じです。

あの部屋もお兄ちゃんが居ないだけで、だいぶ広く感じてしまい、少し寂しいです。

だけどそれじゃあお兄ちゃんに心配かけちゃうね、だから少しでも早くこの環境に慣れて行こうと思います。

だからお兄ちゃん、心配しないでください。

でもお兄ちゃんが何時帰って来ても良い様に、部屋は綺麗にしておくね。

後、タケル君と一緒に、今までの皆との写真や、楽しかった時の写真でアルバムを作りましたので送ります。

急拵えで作ったから、あんまり良い出来じゃないかもしれないけど見て下さい。

もちろんあの写真も入ってるからお楽しみに。

八神ヒカリより。』

 

「寂しい思いさせちまったな・・ヒカリ・・・だけどお前は1人じゃない、だから元気でな・・・ところで「あの写真」って?

まさか!?」

 

 

太一は慌てて箱の中からアルバムらしき本を取り出し、パラパラと中身を確認し始めた。

 

アルバムの中身は、太一を中心に、仲間やデジモン達との写真や、日常的な写真が貼られた、ごくごく普通のアルバムであるが、

ある程度ページを捲ったところで、ピタッと止まり、フルフルと震えだした。

 

 

「こ・・・この・・写真は、確かにあの時ネガごと抹消した筈なのに・・・まだ残っていたのか?」

 

「ん?・・・ねぇ太一・・・この人誰?」

 

「こっ・・・コロモン!?聞くな!!何も聞くな!!いいな?」

 

 

太一のその慌しい態度と、何処か怒気の篭った声に、ソレ以上何も聞けなくなり、コロモンはおとなしく下がるのだった。

 

 

『太一さんへ、俺こういう手紙を書くのは苦手なので上手く書けませんが、とりあえず思ったことを書きました。

太一さん何処へ行っても俺の知っている、いつも明るく元気な太一さんであってください。

太一さんは俺にとって何時までも憧れの先輩なんです。

俺だけじゃない、賢や伊織そして京も、そんな太一さんを尊敬し憧れているんです。

生意気な事かもしれないですが、沈んでいる太一さんは、俺達の知っている太一さんじゃありません。

どんな時も明るくて、いてくれるだけで周りの人達を元気にする、そんな太一さんが皆大好きなんです。

ですから太一さん、どんな時もいつもの明るさを忘れないでください。

そこで太一さん、俺はこれを太一さんに送ります。

俺が初めてデジタルワールドに行った時、俺の冒険が始まって、太一さんが俺にトレードマークのゴーグルをくれました。

ですから、今回太一さんの新たな学園生活の始まりと、太一さんに新しい仲間が出来る様にと、これをお返しします。

やっぱりこれには太一さんが良く似合います。

ではお元気で。

本宮大輔より。』

 

 

太一は箱の中より、包装紙に包まれた荷物を取り出し、中身を取り出すとそれは。

 

 

「これは・・・。」

 

 

ソレはゴーグルだった、かつて太一が身に着けており、去年選ばれし子供達の一員となった大輔に渡した物であった。

 

太一はおもむろに、同付されていたヘアバンドを頭に巻き、その上からゴーグルを身に着ける。

 

 

「久しぶりだね、ソレつけるの。」

 

「1年ほどだけどな。」

 

「やっぱり太一はそのゴーグル着けてる姿が一番似合ってるね。」

 

「そうか?・・・大輔俺は何時までも俺だ・・・心配しなくても大丈夫だ、だがお前の気持ちが分かって嬉しかった、

ありがとう。」

 

 

そして太一は最後の手紙を読み始める。

 

 

『太一へ、突然のお手紙と荷物に驚いたと思うけど、太一って1人になった時は結構心配なのよね。

だからコロモンを荷物と一緒に送るわね、それと寂しがってると思って、皆と励ましの手紙と、励ませそうな物、

そして役立ちそうな物を一緒に送る事にしたわ。

ちなみに私は料理本を送ったわ、あんたって1人になったらインスタントやコンビニのお弁当だけで済ましちゃいそうなんだもん。

多少は料理が出来るんだから、ちゃんと栄養管理して自分で料理を作りなさい。

でも味付けはちゃんと味見しながらするのよ、本通りにやっても自分好みの味に成らなくて失敗するだけだから。

でもあまり濃い味付けにしない事、体壊すわよ。

それとちゃんと勉強するのよ、太一は頑張ればちゃんと結果を残せるんだから、やる前から投げ出しちゃ駄目よ。

後夜更かしとかして生活リズムを崩しちゃ駄目よ。

それと、心配をかけない様に、小母さんやヒカリちゃんにこまめに連絡入れるのよ。

後必要な物とかあったらちゃんと相談する事、無理に自分で集めようとしない事、分かった?

じゃあ身体に気をつけてね。

竹之内空より。』

 

「お前は俺のお袋か?でも・・・書かれてる事の殆どしそうな気がする・・・さすが幼馴染・・・ん?」

 

 

太一はふと手紙の裏を見ると、裏にも何やら文字が書かれてあった。

 

 

『元気でね、太一になんかあったら、皆が悲しむから、もちろん私も、だから元気でね。』

 

「空・・・。」

 

 

太一は微笑みながら、仲間達からの手紙を自室の机の引き出しに大事そうにしまい、居間に戻り、

空からの料理本を開き、パラパラと捲りある料理が載っているページで止めメモを取り始めた。

 

そして太一は上着をはおい、玄関へと向かった。

 

 

「太一何処行くの?」

 

「晩飯の材料買いに行って来る、留守番頼むぞ。」

 

「うん・・・今日のご飯何?」

 

「引っ越したから引越し蕎麦だ、それと伊織が送ってくれた干瓢巻、後その本に載ってた鯖の味噌煮を作ろうと思ってな。」

 

「大丈夫なの?」

 

「やってみなきゃ分かんねえよ、じゃ行って来る。」

 

「いってらっしゃい。」

 

 

太一は外に出た、時間と季節が季節だけにもう辺りは暗く街灯が点いていて、吐く息も白かった。

 

 

「ジジイにコロモンの事話さなきゃな、明日も忙しそうだなこりゃ。」

 

 

そしてふとポケットの中の携帯を取り出し、おもむろにあるとこに電話を掛け出す。

 

 

プルルルプルルル

ブッ

「あっ・・・母さん?」

 

 

こうして太一の麻帆良での初日は終了した。

 

 

続く

 

 




次回予告
麻帆良学園に来て2日目、
太一は学園長に呼ばれ、新たな依頼を受ける事となった。
それは刹那と真名の3人で夜の魔物狩りをする事だった。
だが太一は刹那に対しある不安を抱いていた。
次回
デジモンアドベンチャーMAGI
『狩の準備、仲間の背中。』
今・・・冒険が進化する。


今後も特撮ネタやゲームネタ等を放り込んでいきます。
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