アクセル・ワールド~蒼き閃光~   作:ダブルマジック

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 色々あった登校初日を無事に乗り切ったテルヨシ。

 現在は生活の一部と化しているバイトの最中で、職場の人達と楽しく会話しながらケーキ作りをしていた。

 そんなテルヨシの視界に、今日から高校生となって店にやって来たオーナー、パドの真新しいセーラー服姿が飛び込んできて、やっぱり年上のお姉さんはいいなぁなどと考えたら、無表情な中にも微妙な違いを見分けられるようになったテルヨシは「やましい目で見るな」とちょっと怒り気味なパドに小さくなって作業を再開。

 その様子によろしいとでも言うように着替えに引っ込んだパドは、数分でいつものメイド服姿で出てきて仕事の確認と店長と何やら話をしていた。

 そして店長から口頭で以前から言われていた確認事項が発表され、明後日に清掃業者を入れて店の大掃除をするため店は休みで、明日も早めに店を閉めてみんなでスムーズに大掃除ができるように道具類の一時撤去をする旨を伝えられる。

 テルヨシとしてはあまり暇を貰うのは悩みどころなのだが、こればかりは以前から伝えられていたので明後日になって暇だなんだ言うわけにもいかない。

 しかし不幸中の幸い。

 テルヨシは来週から修学旅行で1週間、沖縄へ行くことが決まっていたので、この機会に必要なものを買い揃えておこうと決めていた。

 ついでにマリアとのデートも考えていたが、生憎とマリアがその日は友達と予定があるとかで時間が合わなく、1人で買い物へと行くことが決定。

 確認事項を終えた店長は、みんなの了解の声で作業に戻るよう言って店も再開。

 今日はマリアも割とすぐに店に来ていたのだが、自称マリアのお姉さんのユニコが「武者修行だ」などと言って練馬戦域でプロミメンバーと対戦させに行ってしまいその姿は見えない。

 あの調子だとプロミに引き抜かれるのも時間の問題かもなと思いつつ、職場の人達に沖縄のお土産は何がいいかと話していたテルヨシ。

 荷物を増やすのもアレということで結局箱詰めの菓子系をみんなで分ける形でいいとなって、この辺は遠慮しがちな日本人らしさだなと笑ってしまい、作業も一段落したところで休憩に入った。

 その休憩中に、パドも暇になったのか休憩室に入ってきて、2人だけとなったところでテルヨシは少し前にしていたお願いの件で話をしておく。

 

「来週1週間、よろしく頼むね、ミャア。こういうことでマリアの親戚類に頼るのもちょっと遠慮したかったし、マリアは1人で大丈夫って言ってくれたんだけどさ」

 

「NP。マリアは良い子だから面倒には思わない。心配性な保護者は安心して沖縄に行く。K?」

 

「K」

 

 話の内容は来週から1人になってしまうマリアを一時的にパドに預かってもらうことで、ソーシャルカメラの普及で安全な世の中になったとはいえ、まだ10歳の少女を1週間も1人で過ごさせるわけにもいかないと考えたテルヨシがダメ元でパドにお願いしたところ、快く引き受けてくれたのだ。

 その事をマリア了承の元で決めたところ、物凄く嬉しそうにはしゃがれたのは記憶に新しく、自分といる時より嬉しそうにされて複雑な気持ちを思い出し涙腺にくるが、何だ突然という顔をしたパドに何でもないと返しつつ改めてお礼を言って話を終わらせた。

 

「テル、最近ある噂が耳に入った」

 

 テルヨシの話が終わってから少し間が空いて、唐突に口を開いたパドに顔を向けたテルヨシ。

 何の話かと思うが、2人だけの時にする話ならおそらくはブレイン・バーストに関することだと悟り、どんな噂かを尋ねる。

 

「《ローカルネット荒らし》が出たらしい」

 

 そんなパドの穏やかじゃない言葉に、テルヨシもちょっと真剣な表情へと変わり、話の続きを聞く。

 

「私もよくわからないけど、『ネットには接続してるのにマッチングリストには名前が表示されない』らしい。本当のことなら由々しき事態」

 

「噂が出てくるレベルのローカルネットっていうと、アキバの?」

 

「そう。私も半年以上行ってなかったから噂でだけど、私にとって特別な場所だから、されるがままならなんとかしたいと思ってる」

 

「オレは行ったこともないからよくわからんが、結構セキュリティーはしっかりしてるんだろ? それで荒らされるってのはただ事ではないわな」

 

 そのローカルネット荒らしとやらは、つまりマッチングリストに載らないのを良いことに自分に有利な相手を選り好みして、あらかじめ対戦カードを組んで掲示される上で定時に対戦を始める《アキハバラBG》の仕組みを利用して、そこに自分に有利な相手を発見したら乱入しポイントを稼いでいるのだろう。

 対戦において自分に有利な相手を選んで対戦すること自体は別段ズルくもなんともない。

 対戦するためにバーストポイントを1消費して、それで負けてポイントを奪われては一方的なマイナス収支にしかならないから、挑む側がそういった勝率も考えて少しでも有利な相手を選ぶことは戦略の1つ。

 しかしそれだってマッチングリストにいる中からしか選べない関係上、いつも有利な相手ばかりがいることもそうない。

 だがそのローカルネット荒らしは、《対戦の聖地》とバーストリンカー達が呼びそのルールに準じているアキハバラBGでそれを行なっているのだから、テルヨシでさえそれが悪どいやり方だと理解できる。

 ルールを守るからこそ楽しめる場所。それがアキハバラBGであり、テルヨシが行うバトロワ祭りにさえ最低限のルールは存在しているのだから、それが平気で破られ、止められない悔しさはパドと同じくらいにはわかるつもりだった。

 

「オレも聞いたからには情報収集はしてみるけど、あんま深追いとかしないようにね。ミャアの心配はオレがするし、ニコたんだって望んでないだろうし」

 

「NP。引き際はわきまえる。テルのところはグローバルネットでバトロワだから心配ないと思うけど、スターターとしてガストにも注意をお願い」

 

「了解。あー、ガッちゃんに来週のバトロワ祭りのスターターお願いしないとなぁ。明後日は中2戦域にも寄っておくか。いるといいけど」

 

 とにかく今は情報も少ないので、互いに様子見も兼ねて慎重に動くことを決めつつ話を終わらせ、ちょっと長話になったため揃って休憩も終えて仕事へと戻っていったのだった。

 そんな不穏な噂を聞きつつも、時間は過ぎ去って早2日。10日の水曜日。

 予定通り今日はバイトもないため、放課後は1度帰宅して着替えてから修学旅行で必要な物を買いに少し遠出して渋谷まで足を運んだテルヨシは、長年足が動かせなかった故に必要としなかった水着など各種持ってなかった物と、ついでにマリアが欲しがっていた低反発クッション――ダイニングテーブル用――も進級祝いのプレゼントとして買って帰路につく。

 電車に揺られて中野駅まで来た頃には時間も午後の6時を回っていたが、7時までに帰ればマリアも怒らないだろうと考えてそこで降りて、高円寺駅近くの自宅目指して歩きながらグローバルネットへと接続したテルヨシは、1度加速してマッチングリストを開き《エピナール・ガスト》の名前がないかと探すと、運が良いことにガストの名前があり早速対戦をと思ったのだが、中野第2戦域は毎日対戦が盛んではあるが、マッチングリストがいつもより長くスクロールできるので人数を数えてみると、30人とちょっともいて何事かと思う。

 思いつつもやることは変わらないのでとりあえずガストに対戦を申し込んだ。

 今回の目的は一昨日パドに頼まれた件が優先なので、ガーッと対戦開始からダッシュでガストに接近し超迎撃体制だったガストにまずは話があると言ってから一旦ギャラリーにも謝りつつ話をする。

 

「ああそれね。私もチラッと聞いたけど、ここまで被害は来ないでしょ。それに噂の域を出てないみたいだし、実際にあそこに出入りしてる人の話だとシステムの不具合とかって説明があったみたいよ」

 

「知ってたんならまぁいいか。あとはパドがこの件で探り入れてるみたいだから、できれば協力してあげてってことと、来週のバトロワのスターターお願い。ちょっと用事あって」

 

「はいはい了解。それよりさ、私も情報入ってさっき接続したんだけど、ここですんごい新人が連勝してるんだって」

 

 さすがと言うべきか、すでに噂くらいは掴んでいたガストに一応言うことは言っておいて、バトロワ祭りの件も完了。

 それでガストの方もついでにと先ほど仕入れてきたらしい情報をテルヨシに教える。

 

「へぇ。今いるんなら観戦でもしようかな。名前は?」

 

「えっとね、確か《アルミナム・バルキリー》ってメタルカラーのF型。近接戦が鬼みたいに強いみたいで、レベル3の近接のやつももう完敗したって。それで聞いた時点では今9連勝だったかな」

 

 と言いつつ、メニュー画面を開いたらしいガストは、とにかく直に見た方がいいよねとテルヨシに観戦者登録を促し、テルヨシもメニューを開いて、その中から言われた名前《Aluminum Valkyrie[Level1]》を探して観戦者登録を済ませた。

 

「オッケー。んじゃその子の対戦に入ったらまず合流しようね。で、お待たせギャラリー! 今からやるから抜けないでね!」

 

 見てる側からはおそらくチマチマ何やってんだと思われただろうことを終えたテルヨシは、それでもこの中2戦域の代表格同士の対戦とあって待ってくれていたギャラリー達に聞こえるように言ってからガストと一旦距離を取って、途端にスイッチが入った両者の激突とギャラリーの歓声が対戦フィールドに響き渡った。

 対戦を終えたテルヨシは、なんだかんだで今回は惜敗してその反省をしながら歩きつつ、グローバル接続を切らずに噂のバルキリーの対戦が始まるのを待っておく。

 毎年この時期は新人がポツポツと出てくる――テルヨシもそうだし、タクムやチユリもそうだ――ので、新学期も良いものだと考えたところで頭の中にバシィィイイ! という加速音が響き渡って、観戦者として入った旨のメッセージを確認しつつ、構築されたフィールドを移動し始めた。

 ガイドカーソルに従って、対戦者がぶつかる場所までやって来たテルヨシは、まず約束通り観戦に入ってるはずのガストと合流を図り、近くで一番高い建物の屋上へと登ると、テルヨシの思考を読んでかすでにガストが屋上の縁に座って遅いといった雰囲気でテルヨシを隣に迎え入れてきて、促されるまま隣に座り、その下で繰り広げられる対戦に目を向けようとしたが、それより前にこの屋上に見知った顔がやって来て、何故かいきなり舌打ちされてしまった。

 

「嫌な男と居合わせた」

 

「ひでぇよマーガちゃん。コバルちゃんもあからさまにどっか行こうとしないでよぉ……」

 

 明らかにテルヨシを見ながら身を翻して別の場所へ行こうとした青のレギオン《レオニーズ》の幹部《マンガン・ブレード》と《コバルト・ブレード》に、ちょっと泣きそうになるテルヨシだが、2人はテルヨシがマッチングリストを見た時には名前がなかったので、さっきの数分でやって来たことがわかる。

 そしてこの対戦に観戦者として入っているということは、目的は当然同じ。

 

「新人勧誘も2人の仕事なの?」

 

「こいつらは強いって聞くとじっとしてられない質なのよ。勧誘なんてあんまり考えてないわ」

 

「その認識は納得いかんが、強いと聞けばどの程度か見ておくのも今後にとっても悪くはないだろう」

 

「マーガ、この2人はやかましいことで有名だ。静かに観戦できる場所に行くぞ」

 

「「おいこら」」

 

 2人が勧誘の視察にでも来たのかとどこかへ行こうとする2人に質問をしてみたら、ガストがどうでもいい感じで適当に答え、それに反論しつつも概ね合ってることを言ったマーガだが、よほどテルヨシとガストの近くが嫌らしいコバルがそう言ってからすかさずツッコむが、それを鼻で笑って別の場所へと行ってしまった。

 色々失礼な2人だったが、今はそっちを気にしている時でもないので、この対戦が終わってから乱入してやると言うガストの呟きを耳にしつつも、改めて下の対戦に目を向けたテルヨシ。

 遠目からなのでしっかりとした姿は確認しにくいが、アルミナム。

 アルミニウムの装甲とあって色合いも銀色っぽく、なんとなくどこかのゲームで出てくる西洋騎士のような華やかな兜の頭部に、肩から羽織るように付けられたマントもヒラヒラと動きによってなびき、全体的に細身のその体はしっかりとF型だとわかるシルエットをしていた。

 バルキリーを直に見てから改めて視界上の表示を見ると、対戦相手のレベルは2で緑系の近接型。

 動きを見るに機動力よりも高い防御力で受けて反撃するタイプのようだが、対するバルキリーはそれをわかった上でステップを駆使したヒット&アウェイで翻弄し地味ではあるが確実にダメージを蓄積させていっていた。

 バルキリーの動きは現実で何かの格闘技でもやっているかのような構えと精錬さを見せていることから、まだ少ししか見ていないテルヨシでも実力で言えば新人と呼べるものではないことは理解でき、見切りと判断の良さは自分ともそう差はないくらいと分析。

 アバターの性能を技術で補ってる2年前の自分となんとなく似ているなとも思う。

 まぁ、テルヨシの場合は親であるリュウジとの対戦経験で補った部分が大きいわけだが。

 

「なーんかちょこまかするところとかテイルに似てるかもね」

 

「あっちの方が無駄がない気はするけどな」

 

「それは否定しないわ」

 

 そんなバルキリーの戦いを見ながら、ガストが感想を漏らしたので返事をしてみるとあっさり肯定されてうなだれてしまうが、事実バルキリーの動きにテルヨシほどの豪快さというかアバウトな感じがないので強く否定もできなくて落ち込む。

 そうこうしているうちに対戦相手のHPが残り半分を切って、バルキリーはほぼ削り程度の最小ダメージと差は開き、焦った相手が大振りの攻撃を仕掛けてきたところで、待ってましたとばかりに紙一重でいなして躱し、流れるような右腕への腕十字固めを極めてガツン! ガツン! と断続的にHPを大きく削り、それを振りほどこうと相手もバルキリーの体にバシバシ攻撃するが、バルキリーの削りの方が強く10秒ほどで相手のHPは全て吹き飛んでしまった。

 バルキリーの勝利にギャラリーも大盛り上がりで、「また勝ちやがった」「これで12連勝だぜ」などという声が飛び交う中、そのバルキリーはまだ戦うつもりなのかギャラリーに向かって挑戦的な言葉を発する。

 

「次は誰だ? 誰からの挑戦も私は拒まない。強さに自信があるやつはかかってこい」

 

 若干男口調が入った感じではあるが、しかしやはり女の子なのだとはっきりわかる可愛らしい声に、ギャラリーもざわつきやる気になってるやつらが声を上げ始めるが、バルキリーの声を聞いたテルヨシは、その瞬間どこかでその声を聞いたことがある気がしてちょっと考え込む。

 すると遡ること約1年前。

 遠い『アメリカの地』であんな声を聞いたことを思い出し、突如屋上から飛び降りたテルヨシは、観戦者ゆえの補正で痛みも反動もなしに地面に着地すると、それにはギャラリーもどよめき沈黙。

 バルキリーもテルヨシへとまっすぐに視線を向けてきた。

 

「次はオレが相手したいんだけど、いいかな?」

 

 シーンと静まり返っていたフィールドでテルヨシの言葉が響いた後、バルキリーの返事より先にギャラリーの方からワッ! と歓声が上がり、名乗りを上げていたやつらも挑戦を譲るようにテルヨシへと言葉を贈って早くやれと催促。

 

「どうやら次はお前で決まりのようだが、ずいぶん人気のようだな」

 

「んー、一応この辺ではってことで。んじゃオレの方から乱入するから待っててね」

 

 バルキリーからも挑戦権をもらったので、そう言ってから加速を解いたテルヨシは、すかさず加速してマッチングリストを開き、そこにあったバルキリーの名前を選択してデュエルボタンを押し対戦を開始。

 構築されたのは余計な障害も特にないだだっ広い荒れ地の広がる《荒野》ステージ。

 建物などは軒並み巨大な土の山や岩となっているこのフィールドで、早速テンションの高いギャラリー達がテルヨシの近くに集まり出して、新人との対戦とは思えない盛り上がり方に苦笑しつつ、ガイドカーソルに従ってまっすぐにバルキリーへと近付いていった。

 待ち構えていたバルキリーは、接近までに必殺技ゲージを溜めるようなことを一切していなかったのでテルヨシもそれはせずに相対すると、来たかと言わんばかりに構えてみせたバルキリーだが、テルヨシは一応自分の予想が正しいかどうかを確認する意味でもバルキリーに声をかけておく。

 

「バルキリー。ちょっと心当たりあるか尋ねていいかな」

 

「何だ? 言ってみろ」

 

「『去年の夏』『アメリカ』『ワシントン』『公園』『車椅子』」

 

 了承を得て口にした単語は、ギャラリー達に会話として何かわかりにくくするためのものだが、心当たりがあればおそらく反応してくれるはずと思っていると、一旦構えを緩めて考えていたバルキリーは、急にハッとした雰囲気でテルヨシを見て、

 

「お前、テル……」

 

 と、口にしかけたところで口元へ人差し指を持っていっていたテルヨシによって途切れるが、これでテルヨシの予想が正しかったことが判明。

 いま目の前にいるバルキリーは、去年の夏にアメリカで出会った少女、千明ちあきである。

 やっぱりインストールはしていたか。

 と、去年確認できなかったことがわかって嬉しくなるが、今は対戦中。

 指を下ろしたテルヨシは、それはそれとしてといった雰囲気を出しながらゆったりと構えを取って「とりあえず対戦しようか」と態度で示すと、意図を汲み取ったちあきは緩めていた構えを再び引き締めてテルヨシと相対した。

 

「レベル差はあるけど、気にしない?」

 

「当然だ。アドバンテージを生かすのも、ディスアドバンテージをひっくり返すのも戦いの1つ。逆境こそ私の真価を試せる絶好の場」

 

「その意気や良し!!」

 

 一応最後に5もあるレベル差を気にしてみたが、ちあきはそんなの関係ないと闘志みなぎる言葉で返し、本当に出会った頃と変わってないなと思いつつ言葉と同時に前へ。

 突進から挨拶代わりの連続蹴りで幕を開けた対戦。

 テルヨシも最初から割と全力で撃ち込んでいったのに対して、ちあきは冷静な見切りとステップ。

 体捌きと回避でいとも簡単にテルヨシの蹴りを捌いてみせてダメージも全然入らない。

 ならばと蹴りの中に寸止めのフェイントも織り交ぜてガードのタイミングを外しにいってみるが、当てる気のない攻撃がわかるのか全く動じることなく逆にフェイントをした瞬間にその足を掴まれて背負い投げをされてしまったのだった。

 さらには倒れたところへ間髪いれずに足へ4の字固めを仕掛けに来たので素早く立ち上がって距離を取った。

 ――こりゃ……強いな……

 実際に対峙してテルヨシは、ちあきの強さに本当に素直にそう思わざるを得なかったのだった。

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