アクセル・ワールド~蒼き閃光~   作:ダブルマジック

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「…………参った!!」

 

 突如として黒雪姫に乱入してきた沖縄のバーストリンカー《ラグーン・ドルフィン》は、黒雪姫の実力を直に感じてHPゲージを残されたのを敗北と悟り素直に頭を下げる。

 

「ン、ナイスファイトだったぞ。特に二撃目の蹴りは良かった。フェイントからの繋ぎをもう少しスムーズにできるとなお良いな」

 

「押忍! 鍛錬(ナンデ)し直してきます、姉御(ネエネエ)!」

 

 そんなドルフィンにテルヨシにしたこともないアドバイスをしてやるという優しさを見せる黒雪姫に、尊敬するような返事をしたあと、立ち上がって改めて礼をしてから潔く自らにとどめを刺してシステム的にも負けを認めようとしたドルフィン。

 

「わ、ま、待ってルカちゃん! まだ肝心な話をしてないよぉー!」

 

 しかしそれを慌てて止めた《コーラル・メロウ》ことマナに、ピタリと動きを止めたドルフィンは、振り上げていた拳で軽く頭を叩き「忘れてた!」と可愛らしく言って再び黒雪姫に片膝をつき言葉を連ねた。

 

「ネエネエ! その腕を見込んで、お願いがあります! ワンたちの話を聞いてください!」

 

「それは……まぁ、聞けというなら聞くが……」

 

 それでようやく詳しい話が聞けそうだなと視界上を見れば、まだ時間も20分ほどあり、さてさてどんな問題が起きてるのかと考えていると、話を聞いてくれる黒雪姫にお礼を言ったドルフィンは、2人の予想外の言葉を続けた。

 

「それではネエネエ、この買い物通りの、そこんとこの角に《サバニ》っていう茶店がありますんで、向こうに戻ったら店先のテーブルで1分後にお会いしましょう!」

 

 …………はっ?

 と、テルヨシも黒雪姫も言葉を失う中で、今度こそその拳を自らに撃ち込んでHPゲージを吹き飛ばして消えてしまい、マナも「お兄さんも来てくださいね」とテルヨシに言い残して退場してしまった。

 話をしてくれる相手が2人とも何か言う前にいなくなってしまって、テルヨシと黒雪姫は互いに顔を見合いながらどうするといった雰囲気を醸し出す。

 

「テル、2人をどう判断する?」

 

「んー、悪意とか何か企んでるって印象はほぼ、というか全くないよ。オレ的には会っても問題ないだろうと思うけど、あの子達の師匠の手抜き具合は笑い事では済まないんじゃない?」

 

「ん、それは私も同感だ。ここはテルの言葉を信じて彼女達に会っておくか。師匠というのも気にはなるしな」

 

 それで人間観察に優れるテルヨシの意見を踏まえてどうするかを決定した黒雪姫。

 レベル9のリスクも考えて黒雪姫が決めたことなら、意見を述べたテルヨシも一緒に行かないわけにはいかないので、とりあえず2人で会いに行くことにして加速を終了。

 加速を終えて戻った現実で両手に持つ商品を確認し黒雪姫と恵へのプレゼント選びをしていたことを思い出しつつも、今は言われた通りドルフィンの指示してきたサバニという茶店を探しに店を出た。

 店自体は方向を示されていたのですぐに見つかったが、合流した黒雪姫はその店のオープンテラスに2人だけいて座っている少女達が本当に罠など仕掛けていないかと加速してマッチングリストを再確認したようだが、未だ2人はグローバル接続をしているようなので腹を括って店へと侵入。

 黒雪姫のあとに続いて2人の少女に接近したテルヨシは、自分達より1つ2つほど年下であろう幼さを残し、ぽかーんと見てくる2人に笑顔で手を振って挨拶。

 ずっと立っているわけにもいかないので、黒雪姫が並んで座る2人の向かい側に腰を下ろしてテルヨシもその隣に座り、店員さんにジュースを注文してそれが出てくるまでぽかーんとしていた2人を可愛いと思いつつ、黒雪姫がひと口パイナップルジュースを含んで早速話を切り出した。

 

「…………私達を呼んだのは、君達だったように思うが」

 

 そんな問いかけにようやく我に返ったように顔を動かした2人。

 うち赤茶のショートヘアの日焼け少女が最初に口を開いた。

 

ごめんなさい(ワッサイビーン)……あの、ネエネエが、あんまりチュラカーギーなもんで……」

 

 声からしてドルフィンである少女のそんな言葉に続いて、ポニーテールの小麦色の肌の少女、マナも補足するようにしてチュラカーギーが美人の意味であると教えてくれる。

 

「ワンてっきり、内地人(ナイチャー)のバーストリンカーは師匠みてーなのばっかりって思ってたから、とってもびっくりした(イッペーシカンダ)……」

 

 意識しないと方言垂れ流しのようになるドルフィンに、思わず笑みがこぼれてしまうテルヨシと黒雪姫だが、一応の確認で黒雪姫が2人がドルフィンとメロウであることを尋ねると、2人はマナのアバター名を知っていたことと、どっちがどっちかを言い当てたことに驚きを見せたが、マッチングリストを見たというネタばらしに素直に感心。

 それにはまたもクスクスと笑ってしまった。

 

「なるほどですぅー。あたしてっきり、お姉様も性高生まれ(サーダカウマリ)なのかと思いましたぁー」

 

「さ、さーだか……?」

 

「ユタの血のことさー。こいつもサーダカなんさー」

 

 と、黒雪姫の推理に何か特殊な力があったのかと思っていたらしいマナが納得しながらよくわからないことを言い、ドルフィンが補足をするがテルヨシにはまだわからず隣に尋ねると、沖縄のガイドブックか何かで単語の意味を知っていた黒雪姫がシャーマン、霊的な能力を持つ人のことだと教えてくれる。

 それにへぇとマナをまじまじと見てしまったテルヨシだが、見られたマナは途端に顔を赤らめてたじろぎ視線を泳がせ、黒雪姫がすかさずやめるように頭を軽く叩いてからジュースをまたひと口飲む。

 するとちょっと間を空けた後に背筋を伸ばした2人は、見た目通りに可愛らしく元気に順番に口を開いた。

 

「あ、あの、ワンは久辺中学校2年2組、安里琉花(アサトルカ)です!」

 

「あ、あたしは同じく久辺中学校1年3組、糸洲真魚です!」

 

「「よろしくお願いします!」」

 

 それには何か悪い予感がしていたテルヨシは、やっぱりかといった反応で苦笑いし、堂々とリアルネームを公表したことに黒雪姫は飲んでいたジュースを噴き出して慌てて止める。

 リアル割れに対してあまりにも無警戒な2人に、さっきの対戦でリアルネームでルカと言っていたことも確認し、互いにリアルネームで呼んでることもわかって頭に手を当てて悩ましいポーズをしてしまう黒雪姫。

 その反応は予想できていたテルヨシは話の進行をとりあえず黒雪姫に任せて、刻一刻と進む時間を確認しながらちょっと長引きそうなことを予想してあることを先にしておいた。

 

「ええと、だな……君達の師匠は、君達に何かこう……《ブレイン・バースト》に関する約束事を幾つか伝えているはずだと思うが……」

 

 それが終わる頃に声を潜めて2人にそんな問いかけをした黒雪姫に、その意図を理解できていないらしい2人は声を揃えて唱和。

 

「「ひとーつ! 加速を使って悪いことをしない! ふたーつ! 加速のことをみだりに喋らない!」」

 

 元気よくその2つの約束事を述べた2人に、今度は別作業を終えたテルヨシが口に含みかけたジュースを噴き出す。

 さすがのテルヨシもこうも声を大にして言うとは思ってなかったので、本気で師匠とやらの指導不足を嘆く。

 その後その2つだけが教えられたことだと話した2人に黒雪姫も同じ結論に至って、

 

「これは……君達の師匠とやらに、ヒトコト言ってやる必要があるようだな……」

 

 思考が漏れた呟きみたいにそう口を開くと、それが聞こえた2人は同時に輝くような笑顔を浮かべる。

 

「どうやらあちらは最初からそのつもりだったみたいよ。強い人に師匠にガツンと言ってやって欲しいって。まぁ、そのガツンはオレ達が言ってやりたいこととは別の理由らしいけどね」

 

「…………おい。何か知っていたなら最初から話をしろ。珍しくだんまりかと思えば……」

 

「ネエネエが聞かなかったから悪いんさー。ワンが黙ってネエネエの対戦見てるわけねーし」

 

「その話し方もやめろ。だいたい聞かれなかったから話さなかったなど、子供の言い訳以下だぞ」

 

 そこまででようやく会話に食い込んできたテルヨシは、ルカの言葉遣いを真似しつつふざけてみせて、黒雪姫もこういうやつだとわかっていてもツッコまざるを得ない状況にされて頭を悩ませたが、その様子をぽかーんと見ていたルカとマナに向き直ってテルヨシの足を1度踏んづけ、足を踏まれたテルヨシは痛がりながら椅子ごとマナの隣に移動して黒雪姫から距離を取り安全圏に避難。

 ついでに2人に「怒らせると怖いんだぜ」と余計なことを吹き込んでおいた。

 自由すぎるテルヨシに拳を握りかけた黒雪姫だったが、それはまた後でと自分に言い聞かせるようにその拳を開きジュースを飲んでから2人に詳しい話を聞くこと約5分。

 話によれば東京から師匠が転校してきて、その際にルカを子にすることに成功し、さらにそのルカからマナへのインストールも成功させてレベルもそれぞれ5、4と上げるまでに成長。

 地道なエネミー狩りをしつつ少しずつその輪を広げてきていたらしいのだが、今年になってその夢のような話を壊すトラブルが発生し、その対処を投げてしまった師匠に活を入れられるバーストリンカーを探して修学旅行シーズンの今にここ辺野古へとやって来た東京のバーストリンカーに先程のような対戦を仕掛けて実力を計っていたということだ。

 黒雪姫はその標的の3人目だったらしく、テルヨシにも次に乱入していたかもと話すが、前の2人はどうやらルカにコテンパンにされて話以前の問題だったらしい。

 

「……ふむ。とりあえず、事情は理解したが……君達の言う《トラブル》とはいったい……?」

 

 そうした事情を理解した上で、もう師匠にはほぼ会うことに決めていた黒雪姫が突っ込んだ質問をすると、ちょっと迷うような挙動を見せてからマナが小声で答えた。

 

「それが………なんて言うか、仕組みがフクザツすぎて、あたし達にも正直よく理解できてないんですぅ……師匠は《マジムン》……お化けが出たって言うんですが……」

 

「つまり、詳細はその師匠とやらに聞く必要がある……ということか……いいだろう。会おう。君達の師に」

 

 どのみち師匠に会わなければこれ以上の話は進まないと判断し、正式に師匠に会うことを口にした黒雪姫に、ルカはマナのユタの能力とやらで黒雪姫達が助けてくれることを予見していたと話し、テルヨシも黒雪姫もそういった不思議な力を素直に受け入れられなくて困惑するが、早速リアルで会わせようとしたルカに待ったをかけ、さすがにリアルで会うのは避けたかったので明日の午後の自由時間にまたここで2人と落ち合うことにして今日のところは終了。

 ふぅとひと息ついた黒雪姫だったが、さっと視界の時間にでも目を向けたのだろうが、途端、ガタッ! と椅子から立ち上がって何事かとテルヨシも黒雪姫を見る。

 

「……マズイ」

 

「あー、そろそろ『4時』か。そりゃマズイな」

 

「…………まさかお前、わかってて……」

 

「だってネエネエが……」

 

「……もういい! すまないが私はこれで失礼する。何か他にやらせたいことがあるならこいつに何でも言ってくれ。私ほどではないが役に立つはずだ」

 

 急にらしくなく焦り始めた黒雪姫に、ルカとマナは事情が掴めずにぽかーんとしていたが、焦る理由を知るテルヨシは足早にホテルへと戻っていった黒雪姫に手を振りつつ椅子の位置を元の場所に戻して2人と対峙する。

 

「2人はブレイン・バーストにかまけて『ああなったり』したらダメだよ。加速はリアルの時間を割と軽視する部分が出てくるから。その時間が長ければ長いほど、ね」

 

 と、意図のわからない話を急にしたテルヨシに2人して同じように首を傾げて互いに顔を見合ってと双子のようなシンクロを見せると、それにテルヨシはニコッと笑って内心で可愛いなぁと思う。

 だがこの子達がチユチユと同い年と1つしか違わないなんて、と失礼なことも同時に考えてしまいそちらには苦笑。

 今テルヨシが話したのは、この2人と会う前にした『恵との約束』を忘れていた黒雪姫を反面教師にした話だが、テルヨシもその約束を守る必要があるのは必然。

 しかしテルヨシは話の途中で恵に「この重要な案件に30分で選んでこいなど無理難題! 故に延長戦の後そちらに参る!」と意味もなく古風な文面のメールを送って黒雪姫のような事態を回避していた。

 そんなわけで約束を忘れていた黒雪姫が恵とどうなるかを少し気にしつつも、自分も自分で遅れておいてプレゼント選べませんでしたでは済まされないため、ここは1つ地元民の力を借りようとルカとマナに女性へのプレゼントは何がいいかとアドバイスをもらって3人で露店を20分ほど見て回ってやいややいやと言いながら無事に2人へのプレゼントを購入し、ついでに手伝ってくれた2人にも気持ち程度でミサンガをプレゼント。

 それで屈託ない笑顔で「ありがとう」などと言われてしまうと物で人心を掴んだ自分に泣きそうになり、同時にこの子達の純粋さが不安にもなる。変な大人に騙されたりしないといいな。

 そう思いつつ明日またサバニで会おうと別れてホテルへと戻ったテルヨシは、夕食まで割り当てられた部屋で過ごして、その夕食時に黒雪姫と恵が仲良さそうにあれこれ沖縄料理に手をつけてるのを見て少し安心。

 だがどことなくいつもと違う感じも伝わってきて、約束していた女子達との夕食後に部屋に戻ろうとした黒雪姫と恵に声をかけていった。

 

「あらテル。ずいぶん楽しそうにお話されてましたけど、待ち合わせに間に合わなかっただけの物は買えまして?」

 

「それはほれ、帰ってからのお楽しみってことで。それでちょーっと姫様をお借りしてもよろしいでしょうか? 1、2分で保護者様にお返ししますので」

 

「おい。私は恵の子供ではないぞ」

 

「ふふっ、構いませんわよ。ただし過保護なもので延長したらその分テルへの対応が悪くなりますわ」

 

 話した感じでは恵に違和感はなかった。

 だが了承し少し先の廊下まで離れた恵を見る黒雪姫が浮かない顔をしたので一応話だけはしておく。

 

「何もなかったってわけじゃなさそうだけど、もっと親友は大事にしろよ」

 

「お前がもっと早く……いや、お前は約束を忘れずにメールを送っていた。あちらにかまけて現実を疎かにするなと日頃から言っていたのに、これではハルユキ君達に合わせる顔がないな。これは堪えたよ。私の軽んじた行動が恵を悲しませてしまった」

 

 何かわかってて言った言葉じゃないながらも、テルヨシのそんな言葉に少し責めようとする言葉を連ねかけるが、すぐに引っ込めて自分の非を認めて本音を話す。

 だがそれがわかれば今回のことは悪いことばかりではないだろうとテルヨシは思う。

 

「姫がそうやってちゃんと反省できたなら、もう同じ失敗はしないだろ。それはとてもいいことさ。人間、誰だって失敗はあるんだから。とりあえず今日くらいは恵に絶対服従でもして色々されてしまえ」

 

「余計なお世話だ」

 

 暗い話はテルヨシの苦手とするところなので、問題がほぼ解決済み、というよりテルヨシの干渉すべきところではないと判断して会話を終わらせ、余計なことを言い残したテルヨシにフンッ、と怒り気味な顔になった黒雪姫はそのまま恵のところへと戻っていき、そんな2人の後ろ姿を見届けてから、テルヨシは今日片付けるべき案件の最後に対処すべく行動を開始した。

 とはいえ、あちらの都合で基本的には動くので、テルヨシはひたすらホテル内のダイブスペースを借りて待つ形となり、夜も9時30分になろうとしたところでようやくボイスコールがあり、就寝時間も10時と迫る中ですぐに会話へと応じる。

 

「お風呂にでも入ってた?」

 

『えっ? その、お風呂には入りましたけど、ひょっとして遅かったですか?』

 

「就寝時間10時なんだよねぇ。だから手早くいこうか、チユチユ」

 

 ボイスコールの相手、チユリは急いでるような急いでいないようなテルヨシに微妙な反応ととりあえずの謝罪を述べた後、昼のボイスコールにて指示されたことについて報告をした。

 

『あの後に能美と接触して言う通りにしてからすぐ、授業中に能美がタッくんと対戦をしたんです。能美から仕掛けたのかタッくんから仕掛けたのかはわからないですけど、観戦者として入ってたらバトルロイヤルモードっていうのに切り替わって、そこで私のアバターの能力を再確認しました。私と同じように参加したハルとタッくんの攻撃で強化外装? ですか? も傷ついて倒れかけていた能美に私の必殺技を当てたら、テル先輩の言う通りの能力だって確信できました。これならハルの翼を取り戻せると思います』

 

「そう。ただ、現状のチユチユの能力じゃそれも難しいだろうね。だから辛いことをさせるわけだけど、耐えられる?」

 

『それが最短での解決策なら、耐えます。だって、こんな苦しいのがゲームだなんて、悲しいです……テル先輩……ゲームってもっと楽しいものですよね?』

 

 予定通りに動いてくれて、与えた策も実行できそうな報告に第1段階はクリアしたと思うテルヨシだが、この後のチユリの行動は想像するだけで苦痛を強いるだけに心配する。

 しかしチユリはそれも耐えてみせると言ってみせ、テルヨシにゲームのなんたるかを問いかけてくる。

 チユリがブレイン・バーストをインストールすることに決めた理由について、以前は仲間外れの意識と絶対にインストールできないと言われたことへの対抗意識だと言われたテルヨシだが、春休みの前に本当はハルユキやタクムが深刻な顔でゲームをするのが嫌で『ゲームは楽しいものだ』と身を持って教えるためだと話してくれていた。

 それがあるからこそ、今の状況はチユリにとって辛いのだ。

 それを聞いていたからこそ、辛いことはさせたくなかった。

 

「…………そんなこと、答えるまでもないな。チユチユの気持ちはオレがこの世界でいつも体現してる。まだ見せたことはないけど、チユチユにもいつかオレの対戦を見てもらいたいね。だから終わらせよう。こんな悲しいことを。チユチユの力で」

 

『…………はい』

 

「強い子だ。帰ったら真っ先に頭撫でてあげるからね。それから、辛くなったらいつでも連絡してくれよ。これから先はチユチユを孤独にさせるだろうから、泣きたい時に泣けないのはもっと辛い」

 

 それでもやると言ったチユリを、せめて支えてあげる。

 それがテルヨシが今できるチユリへの手助け。

 本当の味方がここにいる、と言葉で語ったテルヨシ。その後数分間静かに聞こえたすすり泣くようなチユリの声に、テルヨシはただ優しく「頑張れ」と泣き止むまでゆっくり囁き続けるのだった。

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