アクセル・ワールド~蒼き閃光~   作:ダブルマジック

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 明くる4月17日水曜日。

 東京での出来事、沖縄のバーストリンカーの問題と色々あった昨日だが、それでも修学旅行生であるテルヨシ達のスケジュールは都合に合わせてはくれない。

 午前中は沖縄工業高専の見学と辺野古ダムへのトレッキングというあまりテルヨシの興味をそそらない――ダムへのトレッキングは歩く修行レベル――スケジュールが続き、自由時間となる午後をとりあえずビーチで過ごしていたのだが、浮き輪に乗って海を漂っていたテルヨシは悪ふざけする女子に浮き輪をひたすらに回されたり転覆させられたりとやられ放題。

 補助用の杖を取り払ったばかりでダムへのトレッキングというハードな修行を終えたばかりのテルヨシでは抵抗する体力が残っていなかったのが原因だが、何もしてないのに人が寄ってくるのが悪い気はしてないのだから怒るわけにもいかずにそのまま20分ほど女子達のおもちゃにされていたのだった。

 そうして下手に抵抗せずに回復に努めた甲斐あって、午後の1時を過ぎた辺りで普通に歩けるまでになって、みんなで昼食を食べてからはパラソルの下で昼寝。

 ルカとマナの2人と合流するのは午後の3時なので、それまでは肉体的にも精神的にも無駄な消耗をしないようにしていたテルヨシに対して、昨日は結局恵へのプレゼントを買えなかった黒雪姫が少し早くビーチをあとにして買い物へと行ってしまい、それに同行するわけにもいかなかった恵と新作ケーキについての意見を交わしていたら、他の女子も会話に参加してきてそのままケーキ談義に発展。

 そこかしこから飛ぶ意見に結局頭でフル回転処理させられたテルヨシは、それらの意見を参考に今度試作品を学校に持ってくると約束してホテルへと退却。

 1度着替えてから時間を確認して、昨日行った茶店サバニへと足を運んでいった。

 

「あ! ニイニイが来たさー!」

 

 5分前行動ということで早めに来たつもりだったが、学校から直で来たのか中学校のセーラー服を着たままのルカがテラスから大手を振ってお出迎え。

 マナもルカほどではないが手を振って挨拶してきたので、それに手を振り返しつつテーブルへと着く。

 それから2分ほどして黒雪姫もルカに盛大に迎えられて、バーストリンカーの習性なのか身を縮めて近付いてきた黒雪姫がテルヨシの隣に座ったところでようやく話が進行。

 しかし鞄からニューロリンカーを取り出して装着したルカとマナは、割とせっかちなのかこちらの了承も取らずにいきなり話を切り出す。

 

「それじゃお姉様、お兄様、今日は《上》にいきますよぅ」

 

「せーの! 3、2、1、アンリミテッド・バー……」

 

 と、そこまで言いかけた2人を慌てて口を塞ぐことで止めたテルヨシと黒雪姫は、本当に常識知らずなこの子達に驚かされてばかりで疲れる。

 それで口を塞がれて苦しそうにした2人から手を放してコマンドを口にしないことを確認してから、互いに顔を見合って黒雪姫が代表して2人に怖い声で発言。

 

「ダイブ場所は、私が選ばせて貰う。文句はあるまいな」

 

 そうして黒雪姫の怖さの一端に触れた2人は、首をぶんぶんぶんぶん縦に振って了承。

 そんなじゃじゃ馬2人を連れて移動したのは2人が泊まるホテルのフルダイブ用スペース。

 ここならば人目に触れることもなく切断セーフティーの設定もできるとあって対策も万全。

 しかしテルヨシとの直結は未だに断固拒否姿勢の黒雪姫は4人用ブースにルカとマナだけ入れてテルヨシを別のブースに突っ込んでダイブ時間だけ告げ孤立させる。

 それには泣きそうになりながらもそんな場合でもないので、急いでブースの中の有線接続用ルータとニューロリンカーを備えのXSBケーブルで繋いで切断セーフティーを5分後に設定。

 内部時間では約83時間が経過することになるが、黒雪姫がこれだけの時間で解決できないならどうにもならないという意見からの結果であった。

 そして黒雪姫が指示した時間のカウントダウンを開始。

 1秒の誤差が15分ほども差が出てしまうために少し緊張するが、その時が来れば自然とコマンドは口から出ていた。

 

「《アンリミテッド・バースト》」

 

 自身のレベルが4になってから、もう少しで2年が経過するテルヨシだが、ここ《無制限中立フィールド》に降り立つのは、驚くことにまだ片手の指で数えられる程度。

 黒雪姫や大多数のハイランカー達はこのフィールドを『バーストリンカーの真の戦場』と表現してはいるが、テルヨシにとってこちらは『もう1つの戦場』程度の認識であり、テルヨシにとっての真の戦場が《通常対戦フィールド》であることは、もう皆が知るところとなっている。

 もちろん他のバーストリンカーに野良パーティーでのエネミー狩りやダンジョン攻略に誘われることも珍しくない。

 決してそれらに興味がないわけではないし、レアアイテムや《ショップ》にも大いにそそられるが、やはりそれ以上にテルヨシは気持ちと気持ちを正面からぶつけ合う通常対戦の方が性に合っていると思っているのだ。

 そんなテルヨシが降り立った3度目の無制限中立フィールドの属性は、自身があまり好きではない《風化》ステージ。

 とにかくオブジェクトが脆いためにそれらを利用した三次元移動に弊害が出るのが嫌で仕方ないのだ。

 どうにも幸先悪いなぁと思いつつ、まだ黒雪姫達の姿が近くにないのでダイブのタイミングがズレたと予測してホテルだった建物から降りて下の方でボケーっと待つこと約90分。

 あまりに遅いので途中から必殺技ゲージをフルチャージしたりして、ようやく3人が建物の上から降りてきたので自分の存在をアピールして合流。

 現実時間換算で5秒ほどもズレがあったから何事かと問いかけると、何やらダイブの直前にマナが昨日言っていたサーダカなる人の能力が発動してあれやと指示され手間取ったのだとかで、黒雪姫のミスならともかく、マナが原因となるとテルヨシも仕方ないかと怒るのを中止。

 可愛い子にはとことんまでに甘いのはテルヨシの悪いところである。

 

「で、君達の師匠は、どこにいるんだ?」

 

 とにかく無事に合流できたところで黒雪姫が早速ルカとマナの師匠の居場所について問うと、元気なルカはその師匠のいる場所へと先導を開始。

 その跡を追うようにしてテルヨシ達も移動を開始した。

 ルカの案内で移動すること数分。

 風化ステージなだけに荒廃した鉄骨むき出しの建物が並び立つ、おそらくはホテル近くの商店街に当たる場所に来たテルヨシ達は、その中に1軒だけ異質な建物を発見。

 その建物だけは微妙に風化ステージの影響を受けていないようにちょっと丈夫そうな壁に覆われ、ネオン菅を貧相に点滅させていて、看板には『BAR』の文字が。

 

「ほう……こんな所に《ショップか》……」

 

 それを見た黒雪姫が建物の前で立ち止まって呟くので、テルヨシは初めて見るショップにちょっと感動。

 BARというからには酒場のようなものだろうが、どうせなら強化外装を売ってる場所とか見たかったなどと思ってると、そのショップにためらうことなく入っていったルカとマナに続いて2人もショップへと足を踏み入れた。

 

「師匠、こんにちは(ハイタイ)!!」

 

 元気の良いそんな挨拶をショップの奥に響かせたルカに店の奥から遅れて反応するようにやる気のない男の声が返ってくる。

 

「おう……ハイタイ……」

 

「もー、違うでしょ! (イーキガ)の挨拶はハイサイ!」

 

「お、おう……ハイサーイ……」

 

 聞いていた通り声だけで活力のない状態なのがわかってこりゃ面倒臭そうだと思ったテルヨシだが、隣の黒雪姫は何か気になったのか店の入り口で立ち尽くして考え事。

 その間にルカもマナも店の奥へと行ってしまうが、テルヨシはとりあえず黒雪姫に足並みを揃えておき待機。

 

「あーあ、昼間っからこんなに呑んでぇ……こういうとこだけは、師匠もすっかりウチナーオジーだねぇー」

 

「オジーはないだろ……俺はまだ高1やいびーん……マスター、古酒(クースー)300年物お代わり!」

 

 続いて店の奥から聞こえてくる会話もなんかおっさんだなぁと感じるテルヨシは、オレもこっちに浸かりすぎるとああなるのだろうかとちょっと今後を心配してしまうが、黒雪姫は未だ動かずなのでどうしたものかと声をかけるか迷う。

 

「んもー、今日は呑んでる場合じゃないんだってばー! 師匠、連れてきたんだよ、ワン達を助けてくれる人達!!」

 

「にゃにぃー、ホントに辻デュエルったのかよぉ。あんなに無駄だっつったろがぁー」

 

 声をかけようとしてようやく黒雪姫がゆっくりと店の奥へと進んでいったので、その跡について突き当たりのテーブルに隠れた長椅子に寝そべっているらしい師匠の近くまで来るが、まだその姿は互いに見えない。

 

「無駄、無駄、無駄ぁーなんだよぉー。助っ人の1人や2人連れてきたとこで、あのバケモンはどうにもなんねぇですよーだ!」

 

「……おい、そこのお前」

 

「東京で《史上最強》と呼ばれた、レベル7の俺様ちゃんで手も足も出なかったんだぜぇー。アイツを片付けるには、レベル8でも足りねー足りねー! レベル9の《王》ぐらい連れてこねーとなー!」

 

「おい、お前、ちょっと顔を見せろ」

 

「いやいや、王でもまだ危ねーや! 物理攻撃特化の《剣聖》か、それともいっそ《絶対切断》あたりを……」

 

 近くまで来てようやく言葉を発した黒雪姫だったが、まったく会話にならない師匠の応答にちょっと隣から怒りのようなものが迸ったのを感じつつ、最後とばかりに「おい」と声を荒立てたことで向こうもまともな反応を示した。

 

「あんだよさっきからゴチャゴチャと! 言っとくけどな、俺は黒の王でも連れてこない限りテコでもこの店から……動か……な…………」

 

 黒雪姫の声に状態を起こしてきた師匠は、最初こそ酔ったような勢いで噛みついてきたが、黒雪姫を見た瞬間に段々と言葉を減速しついには黙り込む。

 しかし師匠の顔を見た黒雪姫は今の怒りはどこへやら。少し興奮気味に言葉を紡いだ。

 

「やっぱりお前か! 懐かしいな、何年ぶりだ、《クリキン》!」

 

「………………え……うそ……ヤダ……ちょっとタンマ…………」

 

 全身が深い赤色の装甲色をしたクリキンと呼ばれたバーストリンカー、師匠は、いま自分が言っていた当人が目の前にいることに衝撃を受けて完全にフリーズ。

 思考が追い付いていないようだった。

 

「そ、そのお姿……おみ足……そして俺様ちゃんをクリキンと呼ぶ…………ま、まままさか、本物の? マジモンの黒の王? ブラ……? ックロ……? ータス……?」

 

 そこからなんとか紡いだ言葉で現実を受け入れることに成功したらしいクリキンは、長椅子に座り直してルカとマナを両隣に座らせ、テルヨシと黒雪姫がその向かいの長椅子に座って落ち着き改めて話をする。

 

「それにしても……まさか、お前が沖縄に引っ越していたとはなぁ……」

 

 と言う黒雪姫の言葉を聞きながら、テルヨシは座り直して全身が見えたクリキンを観察。

 これはバーストリンカーとしてのちょっとした習性のようなものだが、無視しようにもクリキンのフォルムは特徴がありすぎて困る。

 頭には平たい六角柱型の帽子のようなパーツ。顔は円柱、胴体の太さが頭部とほぼ同じで、腕はカマボコ型。

 深い赤の装甲表面には細かく刻まれた蛇腹状のギザギザと、正直どんな能力を秘めているか外見だけではまったくわからなかったが、赤系ということは遠距離型の可能性が高い。

 

「もう3年ちょっとになるかねー。いやー、親父とお袋がいきなり離婚してさー。どっちについてくって聞かれて、アミダで親父にしたんだけどさ、まさかいきなり沖縄行くとか言い出すなんて思わねーじゃん! 慌てて『やっぱお袋のほうに』って言っても後の祭りでさ、ムリヤリ辺野古くんだりまで引っ張ってこられて、今に至る……とゆーワケ」

 

 テルヨシの観察が済む間にそんな言葉を返していたクリキンだが、話からも性格がよくわかってだいぶ適当な生き方してそうだと勝手に失礼なことを思う。

 

「そうか……私はてっきり、PKにリアルアタックされて全損したのかと思っていたぞ」

 

「ま、ピンチ度合いでは似たようなモンだったけどなー。予想はしてたけど、辺野古はもちろん、那覇や名護まで行ってもバーストリンカーのバの字もいねーもんよ!」

 

「よく……今まで、バーストリンカーでいてくれたな」

 

「へへ、まぁ、半分以上は成り行き任せだったけどな。コイツは……」

 

 話を聞く限り、3年以上前に東京から姿を消した知り合いとこうして再会したのは奇跡に近いのかもしれないと思う。

 特に親交もあったような黒雪姫も思わず本音を漏らしていたが、それに照れながらルカを指差したクリキンは話を続ける。

 

「親父の、っつうことは俺の遠い親戚なんだけどな。コイツんちに居候することになってさ、そんで俺、賭けに出たのよ。コイツにブレイン・バーストをインストールさせて、もし成功したら、当時持ってたバーストポイントをほとんど注ぎ込んでレベル4まで引き上げるってな。ソロじゃ小獣級エネミーもロクに狩れねーけど、タッグならかなり安定するからよ」

 

 そうして話したクリキンと両隣のルカとマナを見れば、その賭けが成功したことは明らかだが、やはりルカは現実でも空手をやっているらしく、それで青系統で《完全一致》と言ってもいい能力は確かに高かった。

 それを誉められたルカは喜びの声を漏らしたが、すぐに黒雪姫に比べたらまだまだだと向上心を見せる。

 

「ったりめーだろルー坊! このお人はな、泣く子も黙る《純色の七王》の1人で……」

 

「いや、全ては過去の話だよ」

 

「いやいや、ルー坊が生意気言って悪いね。で、そっちの青いのはロータスのお仲間ってところか?」

 

 それで話が一段落したところでようやくクリキンがテルヨシへと話題を移したので、どこで割り込もうか考えていたテルヨシは手間が省けてホッとする。

 

「仲間、とは違うが、成り行き上で親交が続いているといったところか」

 

「《レガッタ・テイル》だ。それでロータス。オレにあちらの紹介はしてくれないの?」

 

「ん? ああ、そうだったな。コイツはクリキン。正式には《クリムゾン・キングボルト》と言う、かつては紫のレギオンに所属していた古参バーストリンカーだ」

 

「えっ? あのソーンちゃんとこの所属だったの? うっそだー。だってソーンちゃんクリキンみたいの苦手なタイプじゃん」

 

 話題がテルヨシに移ったことで改めてクリキンの紹介をされたテルヨシは、彼が《オーロラ・オーバル》所属だったということにこの上ない疑惑が浮上して失礼なことを言うが、それに対して黒雪姫もクリキン本人さえも微妙な空気を醸し出す。

 単に東京での住まいが紫のレギオンの勢力下にあったから、という理由で所属していたわけではないことは今の反応ではっきりしたが、だとするとと考えてみて、クリキンの名前に注目。

 《紫の王》《パープル・ソーン》は強力な電撃能力を持っていて、クリキンの名前がキングボルト。

 不思議と強力な電気系の能力でもあるのかと思えるが、アバターの名前になるのだからそれ自体が1つの単語だろう。

 しかし当時、小学生だった黒雪姫達のことを考えるとそこら辺に誤解があったように思える。

 

「ってゆーか、俺様ちゃんの元レギオンマスターである紫の王をちゃん付けするとか、お前さん何者よ?」

 

「コイツは《複合兵器》の子だよ」

 

「ブッ! アイツの子かよ!」

 

「おっ? やっぱモビールを知ってんのか」

 

「知ってるも何も、俺様ちゃんをクリキンって呼んだのはアイツが一番最初なんだよ。それからみんなしてクリキンクリキンって呼んで結局定着しちまってよ……」

 

「うむ、やつのネーミングセンスを誉めたのは後にも先にもクリキンの名だけだったがな」

 

 古参となればモビールのことも知ってはいそうと思っていたテルヨシだったが、まさかクリキンの名付け親になっていようとは予想していなくて、今でこそ抵抗はないようだが、当時は結構な反発をしてそうだったクリキンに一応子として謝っておく。

 それに適当な会釈でいいよと返したクリキンに感謝したところで、とりあえずの自己紹介は終了。

 

「あのぉ、お姉様ー。あたしちょっとお聞きしたいことがあるんですがぁー」

 

 すると頃合いを見計らっていたらしいマナがスッと右手を挙げて黒雪姫に質問をしようとして、黒雪姫もそれには何かと耳を傾ける。

 

「えっと、師匠がよくあたし達に、『俺は東京で《史上最強》って呼ばれてたんだぞ』って自慢するんですがぁー、それってホントなんですかぁー?」

 

「あ、それ、ワンも知りたーい!」

 

「おお! ワンも知りたいさー!」

 

 それで飛び出た質問は何やら興味深いものだったため、便乗したルカに続いてテルヨシもふざけて乗っておく。

 だがその話が出た途端、クリキンは微妙に動揺した雰囲気を醸し出し始めたので、テルヨシもちょっと誇張表現が入ってるんだろうなぁとは予想しておきつつ、黒雪姫の回答を待つ。

 

「ああ、本当だとも」

 

 だが黒雪姫から発せられた言葉は予想外なもので、何故かクリキンまでもが驚く雰囲気を出してきて、ルカとマナは揃って「えーーーーッ!」と叫ぶ。

 

「君達の師匠、クリムゾン・キングボルトの名を聞いた東京のバーストリンカー達は、みんな子兎のように怯えたものさ。何せ史上最強だからな」

 

「す……すっげー! 師匠、ただの酒飲み(サキジョーグ)じゃなかったんだ!」

 

「び、びっくりですぅ! あたし、ただの食いしん坊(ガチャマー)だと思ってましたぁ!」

 

 そうして衝撃の事実を語り聞かせた黒雪姫が少し楽しんでるように感じたテルヨシは、誇張表現こそあったが、その話があながち嘘でもないことを理解する。

 おそらくはそこに繋がる実力がクリキンには備わっているのだが、現状その実力のほどはさっぱり見当もつかないわけで、師匠への敬意とかあんまり感じないながらも、はしゃぐルカとマナが可愛いのでとりあえず口裏を合わせて一緒にはしゃいでおいたのだった。

 

「な、なはは、ナッハハ! そーだぞ弟子ども、今後はいっそう俺を尊敬し、飯の時はおかずを1品ずつ献上するように! あ、ナーベラーは除くぞ! あと島ラッキョウも俺はあんまり……」

 

 その話に調子に乗ったクリキンだったが、話は最後まで続くより早く、ズズンッ!

 テルヨシ達のいる酒場を揺るがす震動が襲いかかり、椅子からわずかに跳ね上がったテルヨシは、そのまま立ち上がって周囲に神経を研ぎ澄ますと次の震動がすぐに襲ってきて、地震とは違うものを感じたテルヨシはほぼ同時に黒雪姫と外へと出て鍛え上げた感覚で震動の伝わってくる方向を見る。

 そこでは細長い商店街の端にそびえていたはずの大型の建築物が2つ、根こそぎ崩壊していて、今の短時間にこれほどの破壊が起こるなどただ事ではないと感じつつ、砂埃が巻き上がるその向こう側へと目を凝らす。

 するとそこに巨大な何かのシルエットが見え、とてもじゃないがバーストリンカーではない。

 

「あ、あれだよネエネエ、ニイニイ。大きい化け物(マギーマジムン)……あいつが、みんな食べちゃうんだ……」

 

 そして遅れて酒場から出てきたルカが怯えながらにそう話してきたのを耳に入れつつ、目の前の化け物を全容をテルヨシは捉えたのだった。

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