アクセル・ワールド~蒼き閃光~   作:ダブルマジック

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 偶然の引き合わせにより、思わぬ形で願ってもない対戦が実現する。

 テルヨシは《世紀末》ステージの地面から、こちらを見下ろすような形で建物オブジェクトの上に立つ対戦相手を見ながら不敵に笑う。

 

「とぉおーーう!」

 

 その対戦相手である《オレンジ・ラプター》は、2階建て程度のその建物オブジェクトから何故か飛び降りて着地に合わせてごろんっ!

 体をダンゴムシのようにして落下ダメージを最小に抑えると、シュバッ! と素早く立ち上がってみせて、それを見たギャラリーの一部が拍手を贈り呑気に手を振っていた。

 ラプターはその名の通り赤と黄の中間色の装甲をしていて、その姿を表すならば肉食恐竜をそのまま小型化したような一応はF型アバターで、太く巨大な爪を含む四肢としゅるりと生える尻尾は見るからに強力そうで、アゴも大きくテルヨシの顔くらいなら簡単にくわえられそうなほどだ。

 レベルは今のテルヨシと同じで7。

 今年の春に電撃デビューを果たしたちあき。《アルミナム・バルキリー》の親代わりで、追うようにして知名度を上げた《アイリス・アリス》の親。

 相棒となる《バイオレット・バイオレンス》こと《バイオレット・ダンサー》とのコンビは有名で、自身も《灼熱》の異名を持っている確かな実力者。

 見るからに青系の方が相応しい強靭そうな体を持つラプターは、ギャラリーの声が収まったところでようやくテルヨシに向き直って腰に手を当てて臨戦態勢といった雰囲気は出さずにまずは会話に興じる。

 

「てゆーかテイルさー、あんたいつの間にレベル7に上げたのよ」

 

「昨日の夜だよん。このレベルになって初対戦だから、しくよろっ!」

 

「わおっ! そんな相手があたしでいいわけ? こりゃ年配者による手荒い歓迎してやらにゃいかんのぅ。ってゆーか、いつかのバルキリーの連勝記録止めてくれたのあんただったよね。これは親として子の仇を……」

 

「話が長いぞラプター。バルキリーもアリスも早く始めろって目で訴えてるし」

 

 お互い微妙に波長が合う会話をしていたら、あーだこーだ言い始めたラプターに長くならないようにツッコむギャラリーが建物オブジェクトの上にいて、砂漠の踊り子のような紫色のF型アバターが、特徴的な細長い五指で両脇に立つ2人のアバターの肩に触れる。

 彼女がラプターの相棒、バイオレット・ダンサーであり、両脇にいるのがバルキリーとアリス。

 アリスは薄青色の小柄なF型アバターで、着せ替え人形のような可愛らしさを持つ外見に装飾系の同系色の帽子とワンピースアイテムを着ているが、その能力は可愛らしさとは裏腹に結構な豪快さを持っていることで有名。

 テルヨシ自身は対戦経験がないが、マリアはすでに対戦済みで戦績は今のところ五分らしいとは聞いていた。

 ダンサーはレベル6。バルキリーもテルヨシが修学旅行から帰ってきてすぐに会ったらレベル4になっていて、アリスも先日くらいにレベル4へと到達したらしく、最近だと彼女達4人でレギオン結成の噂も聞いたりしていた。

 

「うおっしゃあ! 我が子の前で生き恥は晒すまいて。てなわけで色んなあれこれを込めて、いざ尋常に勝負!」

 

 そんなダンサーの言葉もあってあれこれ言うのをやめたラプターは、子の前だからかいつもより2割増しくらいテンションを上げてそのたくましい両手を打ちつけてかかってこいやと構えるので、ついつい向こうのペースに乗りそうになりつつ、今回は昨日のパド戦に近いモチベーションに切り替えたテルヨシは、静かにその体を沈めて目の前のラプターを鋭い眼光で睨む。

 

「むっ、おいラプター! 気を抜きすぎだ!」

 

「えっ? なになにバルキリー」

 

 違いなどほとんどなかったはずなのだが、テルヨシの纏う雰囲気の変化にただのギャラリーであるはずのちあきがいち早く気付き、まだ集中しきれていないラプターに注意を促していたが、その時にちあきを見たラプターは弾丸のように突進したテルヨシに対して反応が遅れてしまう。

 ちあきが注意を促した瞬間に飛び出したテルヨシは、まだ迎撃に動かないラプターの懐へと一気に入り込んで、そこでようやく気付いてさすがの反応を見せたラプターだが、速さにおいてはテルヨシに分がある接近戦。

 鋭い足払いで払うどころかその体を上下逆さまの状態までひっくり返してみせると、回転の遠心力を加えた右回し蹴りを腹へとお見舞い。

 後方を10メートルほど吹き飛んだラプターは、2度地面をバウンドしてから両手足で地面に触れて止まって蹴られた腹を押さえる。

 

「いったたたた。初っぱなからイイのブチ込んでくるねぇ。つーかバルキリー! いきなり話しかけないでよ!」

 

「いや、私のせいにするな……それより来るぞ」

 

 ファーストアタックを決められながらも、まだギャラリーに文句を言う余裕のあるラプターにちょっと感心しつつも、自分のペースを握るために再度接近したテルヨシは、向き直るのと同時に振るってきたラプターの左腕を《テイル・ウィップ》でガード。

 そのまま左腕を絡め取って開いた脇に右足を叩き込んで昏倒させると、すかさずバック転から勢いをつけて絡め取ったラプターをやや上後方に投げ飛ばす。

 完全にペースを握れる。

 そう確信しつつ素早い反転から空中に投げ出されたラプターの落下直後を狙って接近を試みたテルヨシだったが、そのラプターがテルヨシを見ながらその大きなアゴを開けて必殺技発声。

 

「《デカ・フレア》」

 

 ――ゴワッ!

 瞬間、ラプターの口から噴き出し、テルヨシの視界いっぱいに広がった真っ赤な業火は、普通では完全に回避不能なレベルの範囲を呑み込んできて、ほんのわずかにその炎に当てられながらもブレーキを掛けてそこから後方へ《インパクト・ジャンプ》を使って直撃を回避。

 必殺技ゲージを思わぬところで使わされて悔しく思いながら着地したテルヨシは、ガイドカーソルが表示されるほどに遠退いてしまって余裕で着地するラプターを視界に捉える。

 

「ちょっとちょっとぉ! いっつもワイワイやってるテイルと違うんですけどぉ、今日は真面目な日だったり?」

 

「今日は割と真面目な日だな。だからとりあえずラプターのその余裕を削ぐところからスタートだな」

 

 さすがのラプターもテルヨシの変化に気付いて調子が狂ってる感じが伝わるものの、それをさらに崩してラプターの本気を引き出すのが目的のテルヨシは会話もその程度で再び構えて突撃。

 ラプターは基本的なスペックでかなりの高水準にまとまった良いバーストリンカーで、テルヨシ程度の不意打ちは多少反応が遅れても騒ぐことはあっても取り乱すことはあまりないし、リカバリーも早い。

 それでも序盤、テルヨシの動きに若干ついていけてない感じがあったのは、テルヨシのレベルアップボーナスがアバターの脚部強化に使用されて、脚力および瞬発力やダッシュ力が上がっていたから。

 その変化による違和感はすでにラプターには修正されたようで、3度目の突撃はしっかりとガードを入れられて有効打を与えられずに何度かの攻防の後に後退させられてしまうものの、接近戦の間は喋る余裕をなくすことはできていた。

 

「これはこれは……うちのアリスちんの動きを見慣れてなかったらちょっとヤバかったかもねぇ。アバターの頑丈さに加えてスピードもアリスちんと大差ないレベルってのはちと怖いけど、あたしも伊達でこのレベルにいないから、そろそろ反撃といこっかな」

 

 一旦距離が開いたことで口を開ける余裕ができたラプターは、そんな子の自慢をちょっと交えつつその腕をぐるんぐるん回して本腰を入れる素振りを見せる。

 ラプターの子であるアリスは、テルヨシの知る限りで『通常時』は完全スピードタイプのアバターであると認識しているが、そのスピードはおそらくテルヨシの全速とほぼ一緒かやや速いレベルと見ていた。

 そのぶん他のステータスが低水準なのは仕方ないが、それを補う戦術とアビリティも持つのでマリアもずいぶん苦戦させられたと言う。

 一応、HPゲージは2割強ほど削ってから本気にさせたラプターは、対戦を楽しむ雰囲気を出しながらもピリッと肌を打つプレッシャーも同時に纏って接近。

 竜人型アバターとあってその接近も両手を地面についての四足歩行でスピードはそれなりながらも少し速いと思う程度。

 しかしその重量感のせいで迫るプレッシャーはかなりのもの。

 

「フッ!!」

 

 だがそんなプレッシャーに物怖じしていては勝てないと考えるテルヨシは、回避には動かずその場でどっしりと構えて全力の右足での蹴りでラプターを迎撃。

 その蹴りに直前で二足歩行に移行して突進力も加えた右ストレートパンチで応戦してきたラプター。

 両者の攻撃は激しい火花を撒き散らして正面から激突。

 しかし重量と加速で勝ったラプターがその腕を振り抜いてテルヨシの足を弾き返して懐へと入り、左のボディーブローを放ってくる。

 だが蹴りが弾かれることはある程度予測していたテルヨシは、足が後方へ流れたところで《インスタント・ステップ》を使って再び前方へとその足を振り、懐に入っていたラプターの顔面にボディーブローが当たるより先に膝蹴りをお見舞い。

 すかさずラプターの頭に手を乗せて真上へ跳躍しその背中にかかと落としを食らわせようとしたが、その足をラプターの尻尾が絡め取って止めると、そのまま宙ぶらりんにして突進を再開。

 前方にあった建物オブジェクトめがけて突き進むのを見たテルヨシは、微妙に攻撃の届かないラプターの持ち方に普段は自分がやってることのちょっとした理不尽さを思い知らされつつ、さっきのでインスタント・ステップも折り込み済みであろうラプターが建物オブジェクトに投げ飛ばす可能性は低いと考え、自由な足でほぼ真上方向を向く角度でインスタント・ステップを発動。

 ななめ下方向に働いた推進力と重力で尻尾の拘束力から一瞬抜けて渾身の頭突きをラプターの後頭部にブチ込むと、完全な不意打ちを食らったラプターはバランスを崩して腹を地面にぶつけて滑るように建物オブジェクトに激突して停止。

 直前で尻尾から解放されていたテルヨシはなんとか建物オブジェクトにぶつかる前に止まれたが、着地は綺麗にはいかずに地面を2度バウンドしたものの、HPゲージの減りは1割もいかなかった。

 建物オブジェクトに激突して大きな土煙を巻き上げたラプターの姿は見えなく、闇雲に突っ込んでも仕方ないかと一旦後退して様子を見たテルヨシに対して、残りHPゲージを半分より下回ったラプターは、煙の中でむくりと立ち上がる姿が見えたかと思うと、頭をさすりながら歩いて煙から出てきてテルヨシを視界に捉えて停止。

 

「超痛かったんですけどぉ! 頭ガツーンって! んでもって壁ドーンって!」

 

「…………いや、オレも痛かったしな……」

 

 どこまでもブレないラプターのアホっぽい感じに、至って真面目なテルヨシでさえそれが少し崩れてしまい、ギャラリーはどっと笑って、仲間であるちあき達は頭を抱えて悩ましそうにする。

 そんな場の雰囲気に頑なな真面目さを保ってる自分が相当浮いてる気がして、何でこんなにビシッと真面目にやってるんだろうとまで考えてしまったテルヨシは、ギャラリーにブーブー文句を垂れるラプターを見ながら思わず声に出して笑ってしまう。

 

「おっ? おうおうおう! テイルまで笑うたぁ、本格的に喧嘩売ってると捉えてエエんか? ああん?」

 

「いやいやいや。別にラプターを笑ったんじゃないんだ。ただ、愚直な真面目さと真剣さってイコールじゃないんだよなって思ったら、自分の在り方がおかしくなってさ。やっぱそういうのは臨機応変でなきゃダメだよな」

 

「ん? 何の話してんのテイル? ひょっとして口数少なかったのと関係あったり?」

 

「さてさてどうかな。それじゃあギャラリーも良い意味で沸いたところで、その注目をオレに集めて華麗に勝利といこうかね」

 

「ノンノン。レベルが同じになったからって、実力まで同じになるわけじゃーないし、ここは派手に散ってもらいましょーや」

 

 確かにラプターにはテルヨシの思う真面目さが欠けていただろう。

 でも決して対戦に真剣さがなかったわけではない。

 そうでなければテルヨシの真剣な攻撃にあそこまでの対応はできなかった。

 ラプターには純粋に対戦を楽しむ気持ちがあって、それが前面に出た時に緊張感を若干削ぐことはあるが、対戦の質が落ちることはない。

 それもまたテルヨシの目指すべき対戦であり、相手やギャラリーの雰囲気によってどう自分を出すべきかは選択してもいいと学んだテルヨシは、今回に至っては完全にラプターに負けた形になってしまったので、せめて対戦では勝とうと構えるもその顔には自然と笑顔があった。

 睨み合った両者はほぼ同時に気合いの声を上げながら前へ出て、テルヨシは渾身のハイキック。ラプターが渾身のストレートをそれぞれ放って、互いにノーガードで頭と顔に受けるも、そんなことで怯まなかった2人は続けて1歩下がってから左回し蹴りと尻尾の振り回しで激突。

 テルヨシのテイル・ウィップと違って本体でもあるラプターの尻尾には当然ダメージ判定はあるが、それも体に当てるよりずっと少ないダメージに抑えられる。

 しかし問題だったのは次。

 尻尾でテルヨシの回し蹴りを受けたラプターは、そのまま左足を尻尾で絡め取ると、ブンブン振り回して遠心力も利用して空高く放り投げられてしまう。

 当然なにもない空中ではテルヨシもまともに身動きは取れないが、インスタント・ステップを使えばある程度融通は効く。

 そう思いながら空中で姿勢を整えていたら、下の方で両手を地面に触れさせたラプターがその口を開いてテルヨシへと向けていたので、慌ててインスタント・ステップを使おうとするも、

 

「全力全開のぉ……デカ・フレアぁぁああ!!」

 

 それを使っても逃れることができない範囲をラプターの超射程火炎ブレスが呑み込んでテルヨシを襲う。

 

「こ、な、くそがぁぁああ!!」

 

 まともに食らえば大ダメージ。

 最悪即死もあり得るこの状況で、テルヨシは自らの必殺技の弱点を上手く突いてきたラプターを称賛。

 テルヨシの3つの必殺技はどれもそれなりに強力な効果を持っているが、その3つには共通した弱点が存在する。

 それは必殺技の発動条件に必ず『足場との接地』が含まれていること。

 インパクト・ジャンプに限ってはインスタント・ステップの一瞬の足場でもタイミングさえ合わせれば発動は可能なのだが、他の2つはどうあっても不可能で、今のように足場のない空中に放られて間髪入れずに回避のできない攻撃をされるとほとんど為す術がなくなってしまうのだ。

 それを理解した上でかは不明ながら、見事回避不能の状況にされたテルヨシは、それでも直撃だけは絶対に避けようとテイル・ウィップを前方に螺旋状で展開して壁として利用しつつ、インスタント・ステップで真下へと落ちる形で急降下。

 火炎ブレスはテイル・ウィップをいとも容易く焼き尽くして消滅させてしまうものの、そのわずかな時間で直撃コースから逃れて火炎ブレスの下から脱出し地面に激突したテルヨシは、テイル・ウィップがなくなったのと、自分のHPゲージが4割を切っているのを確認してから素早く立ち上がり、今ので必殺技ゲージが空っぽになったラプターの残りのHPゲージが2割程度なのを見て即座に必殺技のお返し。

 地面に両足のつま先をトントン、トントンと2度ずつ触れてから、高らかに必殺技発声。

 

「《インビジブル・ステップ》!!」

 

 これを発動した時のテルヨシに対して、ほとんどの相手はその対処が追いつかない。

 時速360キロのショートジャンプを連続使用して迫るテルヨシは、まず前面を両腕でガードしてきたラプターの背後を取って一撃。

 反動でガードが開いた隙間から前面へと回り込んでアゴへの蹴り上げをブチ込み頭を上げさせると、真上に跳んでからのかかと落としで完全にラプターを地面に倒しかけ、前へと倒れるラプターを最後に正面から全力で蹴って吹き飛ばすと、ほぼ無抵抗に終わったラプターはそのまま建物オブジェクトへと激突。

 その時にはもうラプターのHPゲージは吹き飛んでいて、巻き上がった土煙が晴れた頃には死亡を示すマーカーが浮いていたのだった。

 

「…………ギリッギリのしょーりっ!」

 

 それを見てようやく勝利を実感したテルヨシは、勝利パフォーマンスとして両手のVサインをギャラリーへと向けて拍手喝采を浴びると、最後にラプターの仲間である3人に視線を固定して、こちらには親指を立てるグーサインを見せてから対戦を終了。

 加速を終えて現実に戻ったテルヨシはすぐにグローバル接続を切って店の中に戻ると、レジから離れてきたパドに1発ゲンコツを貰ってからバイトに戻っていき、また追加注文をしたらしいちあき達の席にケーキなどを運んでいくと、案の定ぷくーっと頬を膨らませたユウコが持ってきたケーキを置いたそばからやけ食いするので、その様子に苦笑しつつ理由について知らない素振りで会話をしておく。

 

「おやおや、ご機嫌ななめなお姫様はどうしたのかな?」

 

「ちょっとゲームで負けてご立腹なだけだから、気にしないで」

 

「負けた腹いせにやけ食いとはまるで子供のようだな」

 

「どーせあたしは子供ですよーだ。チンチクリンなちあちあに言われたくもないけどー」

 

「誰がチンチクリンか!」

 

「はいはい、店で喧嘩はなしよ。ホオリンもやけ食いはいいけど、可愛い顔にぷっくりお肉ついても知らないからな」

 

 そうしてテルヨシの問いかけから発展したユウコとちあきの喧嘩をしっかり仲裁しつつ、再びレジから睨んでくるパドによって会話もそれで終了。

 しかしその会話でわかる通り、先ほどの対戦で相手だったラプターはやけ食いしているユウコになるのだが、よもや自分に黒星をつけた相手が今ケーキを運んできたなどと予想できもしないだろうことに笑みがこぼれつつ、戻り際にちあきに対戦の機会を作ってくれたことへ小声で感謝の言葉を述べておくと、ちあきも「良い勝負だった」とテルヨシとユウコを称賛。

 だが、どうにも自分が対戦を申し込まれるとでも思っていたのか、少しだけ残念そうにしたちあきに謝罪もしておくのだった。

 それから今日一番の顧客となったちあき達一行は、散々食べていたのにお持ち帰りの分まで持って店をあとにしていき、やっぱり女子にとってのスイーツは別腹なのかと思いつつまた厨房の作業に移っていき、対戦以降パドの監視がキツくなって時折ある視線にビクビクしながらその日のバイトを終え、今日は学校での用事で遅れるからと店に来ずに直帰したマリアの待つ自宅に帰ったテルヨシは、不足していたマリア成分なる不思議なものを補充するためにマリアに甘えるも、いつものごとく蹴られて突き放されたのは言うまでもない。

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