アクセル・ワールド~蒼き閃光~   作:ダブルマジック

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「今日は一段と気持ち悪かったですわね……」

 

 加速世界ではもうすぐ重要な《七王会議》が迫った金曜日。

 その日のホームルームを終えて放課後となった直後に、いつものようにバイトへと向かおうとしたテルヨシを見た、こちらは生徒会へと向かうはずの恵が若干引きつつそんなことを言うため、努めていつも通りだったはずと思うテルヨシは首を傾げてしまうが、同じような感想を持っていたのか黒雪姫までが苦笑いを浮かべていたのでさすがにそうだったのかと認めざるを得なかった。

 

「何か嬉しいことでもあったのか? それともこれからあるのか?」

 

「んー、後者かな。実はこれから『デート』するんだよねぇ」

 

「そんな奇特な方がこの世にいましたのね……」

 

「その物言いだと恵もその枠に入りますけどね」

 

「あら、そんなことがあったかしら」

 

 事実、今日はこれから楽しみにしていたことがあるので、黒雪姫の質問に正直に答えたテルヨシだが、過去に自分がデートしてることを棚に上げて失礼なことを言う恵との漫才もほどほどにして帰り支度を済ませる。

 

「デート、な……これからバイトのお前にそんな時間があるのかは不明だが、楽しみがなければ1日中あんな顔はできんし、何かしらはあるのだろうことで納得しておこう」

 

「えー、本当にデートの約束があるんだよぉ……」

 

「はいはいわかりましたから、そのデートとやらに遅れないために急いだ方がよろしいんじゃなくて? わたし達もこれからデートですのでお先に失礼しますわ」

 

「ま、待て恵!? それは色々と誤解を生む発言ではないだろうか!?」

 

 と、テルヨシの言うデートに引っ掛かりを感じた黒雪姫ではあるが、この場で『そういった表現』をするということに何か勘づいたのかそれ以上の詮索はやめてくれて、会話もそれくらいで恵は黒雪姫の腕に抱きついてそんなことを言いながらそのまま教室の外へと強引に引っ張っていってしまい、修学旅行以降からだいぶ遠慮がなくなってきた恵に戸惑う黒雪姫という最近よく見る図を笑いながらに見送ると、教室から出た直後に顔だけ再び覗かせた黒雪姫は、テルヨシにだけ伝わるメッセージを言い残していく。

 

「明日、0730。杉並3だ。忘れるなよ」

 

「ん、了解。ありがとね姫」

 

 そのメッセージを聞いた瞬間、自分がまたキモいとか言われそうな顔をしたことを自覚しつつ、すでに引っ込んでしまった黒雪姫に礼を言ってから、自分もバイトへと向かうため足早に学校を出ていくのだった。

 

「……さて、そろそろか」

 

 バイトを開始して約2時間ほどが経過。

 時刻は午後の6時になろうという頃に、一旦パドと一緒に休憩室に引っ込んでいたテルヨシは、視界の時刻を見ながらにニューロリンカーに触れてグローバル接続させる。

 

「テルとは久しぶり」

 

 そんなテルヨシをコーヒー片手に同じく休憩中のパドがリラックスした感じで見て言葉を漏らすので、そういえばそうだなとか思いながら自然な笑顔が作られる。

 

「ミャアは嬉しかったり?」

 

「あの頃は私の方がレベルは上だった。でも今回はテルの方が上。それはちょっと複雑……」

 

「あー、そうね。それでもオレとミャアの関係は変わらないし、今日は頼りにしてるよ」

 

「私も頼りにしてる」

 

 そうした会話をしながらに仮想デスクを操作して互いにタッグ登録をした2人は、約束していた『デート』。

 これから行われるあるタッグとの対戦に備えて士気を高めた。

 思えばパドとのタッグはテルヨシがバイト中にグローバル接続をしなくなって以降から全くやらなくなってしまっていたので、約1年4ヶ月ぶりくらいのタッグ再結成となる。

 巷では《狩る者》などと呼ばれるようにもなっていたテルヨシとパドだが、向こうも向こうで《混沌の舞姫》とか物騒な通り名を持つタッグ。

 知名度でいけば向こうの方が上なのも事実だが、実力まで向こうが上とは限らない。

 それを証明するためにも、今日は負けられない。

 そんな思いで視界の時刻を見つめていたら、6時となったその瞬間にテルヨシの思考は加速。

 続いて【HERE COMES A NEW CHALLENGER!!】の炎文字が現れてから消え、テルヨシの姿はデュエルアバター《レガッタ・テイル》へと変貌し同時に構築された対戦フィールドの地面へと降り立った。

 ――ヤバイ。

 フィールドに降り立ったテルヨシが抱いた感想はまずそれだった。

 見渡す限りに広がる金色の風景。

 心地良い風が焼けるような夕焼けによって金色に煌めく腰の上まである草をなびかせて清涼な雰囲気を出す《草原》ステージ。

 景観においてならテルヨシの中では唯一と言ってもいいほど好きなステージなのだが、今回で引き当てたのは運が悪いとしか言いようがない。

 何故なら相手はこのフィールドを《焦土》ステージに変えることも可能な能力を有しているから。

 

「来た」

 

 これといったオブジェクトも皆無なこのフィールドで、近くにいたパドも必殺技ゲージを溜めるのを諦めてテルヨシの隣に来てガイドカーソルが示す先を見ながらに口を開いたので、テルヨシもそちらに視線を固定。

 ポツポツと周囲にも事前に話が通っていた《プロミネンス》のレギオンメンバーがギャラリーとして集まり始めて、目に見える範囲には店のイートインコーナーでくつろいでいたマリアとユニコも足りない背をプロミの巨体アバターに肩車してもらって並んで観戦していた。

 

「ちょっと、聞いてないんだけど」

 

「じゃな」

 

 ガイドカーソルが消える距離にまで近付いてきた対戦相手、《エピナール・ガスト》と《カーマイン・ボンバー》の2人は、交戦とするより前にまずテルヨシにそんな文句のようなものをぶつけてくる。

 

「私もいま知った」

 

 それに乗るようにして隣のパドまでもがテルヨシを見てくるので、さすがに何のことかは特定できたテルヨシはやれやれといった感じでそれに答える。

 

「だってこうしないとバランス悪いでしょ? 対等な条件で対戦するなら、事情のあるパドじゃなくて、オレが『レベルを上げる』必要があるわけで」

 

「……はぁ。あんたのそのぶっ飛んだ考え方もやり方もメチャクチャよね……」

 

「実際にやろうと思っても出来んじゃろうが。普通ならの」

 

「アメージング」

 

 いつも通りの調子でとんでもないことを言ったテルヨシに、3人ともが呆れを通り越した感想を漏らす。

 本人が言うように、現在のテルヨシのレベルは8。

 対等な条件で対戦するというのは、両タッグのレベル合計を合わせるという意味で、その条件を満たすためにレベルを上げたテルヨシの所業は常人の思考ではないのだ。

 レベルアップには大量のバーストポイントが必要で、レベル1から2に上げるいわば初期の段階ですら300も必要とする。

 そこからレベルアップに必要なポイントは当然増えていくわけだが、レベル7から8へのレベルアップには初期の20倍。

 つまり6000ものバーストポイントが必要になる。

 それだけのポイントを消費したのにケロッとしてるテルヨシもテルヨシなのだが、それでひっくり返ったりしなかったパド達も大分あれである。

 それだけテルヨシが常識外れであることを認めてしまってるのかもしれない。

 

「まぁオレのことはいいじゃん。それよりさっさと始めようよ。ギャラリーも楽しみにしてくれてるんだしさ」

 

 3人して微妙な沈黙をしてしまったので、その原因を作ってしまったテルヨシが時を動かすようにしてそう言えば、ギャラリーの方からもユニコを筆頭に「さっさと始めろー」とかなんとか言葉が飛んできたので、何はともあれ勝っても負けても言い訳できない対等な条件での対戦が望めるとあって文句もなかった両陣営は一旦仕切り直すようにしてその距離をガイドカーソルが表示されるまでに離れてから、

 

「まっ、当然勝つのは」

 

「私達」

 

「ほほう、儂ら相手に大口を叩く」

 

「旧プロミ最強タッグをナメんじゃないわよ!!」

 

 各々が勝利を信じて疑わない言葉を発して対戦が始まった。

 先制、というよりもまず大きく動いたのはテルヨシとパド。

 2人は始まるや否や声かけもせずに左右に綺麗に分かれて2人を挟み込むような軌道で迫る。

 ガストとバーちゃんのタッグは正面に対して異常なほどの攻撃力と防御力を持っているため、攻める時は挟撃が基本となるのだ。

 これは過去に《イエロー・レディオ》もレギオンメンバーに助言していたことであり、黄の王でさえ正面突破は推奨しないほど2人の攻防には隙がないことを意味する。

 

「ほっ」

 

「ふんっ」

 

 それで定石通りに左右からの挟撃で攻めたテルヨシとパドに対して、バーちゃんはその体をガストの肩を借りて跳躍。

 フワリと舞うようにガストの真上で滞空したバーちゃんは、すかさずその手から《リトル・ボム》を2つ作り出してテルヨシとパドの迫る方向に大体で落とすと、ガストがその落ちてきたリトル・ボムを開かれた《ブレード・ファン》を振るった風圧で吹き飛ばしてテルヨシとパドを強襲。

 結構な速さで迫ったリトル・ボムを互いに跳んで躱して、爆発の衝撃で前へと押し出されるがそれを加速に使ってなお2人に迫る。

 

「ブレード・ファン、展開」

 

 しかしそれにも動じることなくすぐにブレード・ファンを扇子から展開剣へと変化させたガストは、そのまま両手で分割して展開剣を操作して刃を立てた攻防一体の防御で2人の挟撃による蹴りを受け止めてみせると、トンッ、とガストの頭の上に静かに着地したバーちゃんがその手にリトル・ボムを1つずつ持ってテルヨシとパドのやや後方へと投げ入れると、ガストは途端に展開剣の刃を横にして隙間を埋めて身を屈め、バーちゃんは再び真上の空中へと待避。

 瞬間、ガストの展開剣の壁の向こうで爆発が2つ巻き起こって、テルヨシとパドはそれに呑み込まれ……る直前に大きく横っ飛びして直撃を回避。

 赤系であるパドがテルヨシより割増ダメージを多くもらったものの、その差は微々たるもの。1割と削れてはいなかった。

 なんとか直撃を回避したものの、体勢が崩れたのも見逃さないバーちゃんは追撃のリトル・ボムを見晴らしの良い空中からポンポン投げ入れて攻めに転じてきて、テルヨシとパドはそれに追われるように一旦距離を開いて待避。しかしこれで状況はますます悪くなる。

 テルヨシが最初にヤバイと言った答えがもう返ってきてしまったのだ。

 草原ステージは言うまでもなく地面から生えるのは草。

 草は『燃える』のだ。バーちゃんのリトル・ボムが起こす爆発によって。

 それによって待避したは良いものの、爆発によって散々飛び火した炎はジワジワと燃え広がってきてテルヨシとパドはその炎に囲まれることになってしまい、テルヨシ達の待避と同時に足下の草を展開剣で根こそぎ刈り取ったガストはその安全地帯で暑がりながらも余裕な感じで、バーちゃんもその安全地帯に悠々着地を決めてしまう。

 

「あっつぅ……」

 

「テイルの無策」

 

「人のせいにしないでくれる? パドさんだって無策だったでしょ」

 

「策はあった」

 

「過去形な時点で失敗してるんですがね」

 

 メラメラと燃える草原の中であぶられるように炎熱ダメージを食らいながらも、マイペースな口喧嘩を繰り広げるテルヨシとパドにギャラリーからは笑いが巻き起こり、ガストとバーちゃんですら呆れて動きが止まってしまっていた。

 端から見ればただの口喧嘩にしか見えないが、よくよく見れば少しだけ違った見方ができるというのは面白いところで、その口喧嘩をしながらテルヨシはその両足でザッザッ。

 地面を擦るような左右の振りを1度ずつ行い、ガストとバーちゃんが少しだけ気を緩めた瞬間に必殺技発声。

 

「《インフェルノ・ステップ》」

 

 直後、テルヨシ達の周囲で燃え盛っていた炎はテルヨシの足元へと吸い寄せられるようにして消えていき、消火活動開始からの終了。

 それに留まらずに草が燃える範囲に自ら走っていって根こそぎ炎熱属性を吸収していき、パドはその後ろをついていく。

 これによってパドはダメージを抑えながらガスト達への接近が可能。

 しかしテルヨシの必殺技の効力は長続きしないので左回りをちょっとだけしてからの直角カーブで一気にガストとバーちゃんへと接近。

 まさかの正面突破の形になったのでちょっと驚く雰囲気を出したガストとバーちゃんだが、最も得意な迎撃とあって応戦するように身構えた。

 が、それこそテルヨシとパドの狙いだった。

 ガストとバーちゃんのタッグは必然的にその役割が固定されている。

 基本的に接近戦は防御性能が紙に等しいバーちゃんではまともに応戦することもままならないため、そちらに持ち込まれた際にはガストが一手に引き受けることになり、バーちゃんはその間に空中あるいは距離を取って中距離からの爆撃によってガストと連携を図る。

 真正面からのテルヨシとパドの突撃に対して、ガストが展開剣を前方に横並びで攻勢防御の構え。

 バーちゃんは不動の構えのガストの肩を借りる形でまた空中へと飛び上がろうとしていた。

 接近の直前に炎熱属性吸収にリチャージ判定はないためインフェルノ・ステップの効力が切れたテルヨシだったが、そんなことはあまり関係なく、自らをブラインドにした状態で後ろのパドが示し合わせてもいないのに《シェイプ・チェンジ》によって四足歩行獣へとその姿を変えてテルヨシを飛び越えるように大きく跳躍。

 丁度バーちゃんが空中へと飛び上がるタイミングと同時の強襲によって激突は必至。

 作戦会議など全くしてなかったテルヨシとパドだが、2人が思い描くビジョンは不思議と一致していた。

 

「っ!? なんのぉ!!」

 

 完全に見てからでは遅れるタイミングでの強襲。

 にも関わらずガストはその右腕を開いて即座に展開剣を分割連動操作で半分ほど動かし1本の長剣とするワイド・スラッシュで真上にそれを振り上げパドを半歩遅れて強襲する。

 パドは一瞬早く完全に防御姿勢になったバーちゃんに空中で体当たりし後方へと落ちるような軌道で突き飛ばすことには成功するものの、すぐに横から迫ったワイド・スラッシュが脇へと直撃……

 

「足元がお留守よガッちゃん!」

 

 するかに思えたが、パドの迎撃に意識が向いていたガストは、目の前に迫るテルヨシへの注意が散漫となって、その隙を突いて残った展開剣の防御の下を抜いて足払いを仕掛け転倒させると、バランスを崩したガストのワイド・スラッシュはパドの視界前方を掠めるようにぶうんっ! 豪快に空振りして自身は仰向けで倒れてしまった。

 仰向けで倒れたガストはかろうじて前方に展開していた防御をそのまま上に持っていくことには成功していて、真上から降ってきたパドの剛爪と牙による追撃はブロック。

 

「へーいさーいほーいっ」

 

 さすがにパドでも展開剣の防御は抜けそうになかったので、ギリギリとせめぎ合いをする2人の横からガストの両足を《テイル・ウィップ》で絡め取って反時計回りでブン回し、反撃を食らう前にバーちゃんとは反対の方向へと投げ飛ばしてしまうと、

 

「《リトル・ビッグボム》!」

 

 テルヨシとパドが背中合わせに固まった絶妙のタイミングでパドに吹き飛ばされていたバーちゃんが必殺技発声から作り出したリトル・ビッグボムを投下してきて、落下地点にいるテルヨシとパドはどうするかを話し合う暇もなくそれぞれが前方にいる相手へと全力ダッシュ。

 リトル・ビッグボムに遅れて左右にさらにリトル・ボムを鋭い軌道で投げられてはそうするしかなかったテルヨシはガストへ。

 パドはバーちゃんへと駆けてリトル・ビッグボムの爆発範囲から抜け出ようとするも、それを妨げるように目の前のガストとバーちゃんが立ちはだかる。

 

「《ブラスト・ゲイル》!!」

 

 テルヨシに対して放ったガストの必殺技。

 通常であればブレード・ファンが起こす突風によって相手を吹き飛ばす効果を持つのだが、ブレード・ファンが展開剣になっている場合には効果が違ってくる。

 そもそもとしてガストのブレード・ファンは通常の扇子タイプから展開剣への変化と応用性に秀でた性能を持つが、その裏で不便な点も存在していて、1度展開剣へと変化させてしまうと『必殺技を使わないと扇子には戻せない』のだ。

 今回の場合は一直線に走り抜けないと爆発範囲から抜け出せないテルヨシに対してなら扇子の状態のブラスト・ゲイルが最適な効力を発揮したはずだが、その特性上、仕方なく発動した。

 と、テルヨシは思っていたが、考えてみればガストが展開剣の状態でブラスト・ゲイルを使うところを見たことがなかったため、次に起きた事態に心底驚く。

 ガストの放ったブラスト・ゲイルは、18本の展開剣が花弁のように咲き誇ってテルヨシにその中心を見せるように横倒しになると、シュィィイイイン!

 聞くだけで高速とわかる時計回りの回転を始めてテルヨシへと向かって進撃。

 しかもご丁寧に回転の直前で展開剣の刃が内側と外側の交互になってるのが見えたので回転の内側が安全ということも全くない。

 だからといって横に躱してももう爆発範囲からは逃れられないのが現実で、必殺技ゲージも《インパクト・ジャンプ》すら使えないため、それに立ち向かうしかない。

 見た感じでは切断属性というよりも削って弾き返す壁のような印象があるので部位欠損ダメージは入りにくいと踏んだテルヨシは、最悪片腕を失う覚悟で左腕でブラスト・ゲイルへと触れて体当たりで押し返そうとするものの、触れた瞬間から左腕が激しい火花を散らしてガリガリとその表面を削られていき、さらに全力疾走からの体当たりすら凌駕する圧力によって勢いを殺されて押し返されてしまう。

 

「や……ばい……ってーのっ!!」

 

 体当たりが止められた時点でもうテルヨシは爆発範囲から抜け出せないことが確定。

 展開剣の向こうで爆発のタイミングを図るガストが物凄く憎らしく見えるものの、今はどうしてやることもできないために睨んでやってから、ズルズルと後退させられる中で動作を済ませて今なお増加中の必殺技ゲージで状況を打破しにかかった。

 ――ドォオオオオゥゥウウウンッッ!!

 リトル・ボムの10倍の範囲を紅蓮の炎で包み込むリトル・ビッグボムが爆発し、その直前でブレード・ファンを手元へ戻して爆発範囲から後退したガストはいいが、モロに爆発範囲にいたテルヨシは爆炎に呑み込まれてしまう。

 

「だがしかーし! 失策だったなガッちゃん!」

 

 が、巻き起こった爆炎。

 その中心部分で渦を巻き吸い込まれた炎は、そこにいたテルヨシの足へと収束し消滅。

 同時にテルヨシの両足を覆っていた淡い炎も消え失せる。

 

「それ、改めて思うわ。ズルいのよ!!」

 

「必殺技をズルいとか言いっこなしでしょガッちゃん……」

 

 超ギリギリのところでブラスト・ゲイルによって溜まった数パーセント程度の必殺技ゲージでインフェルノ・ステップを発動し窮地を脱したテルヨシに、扇子へと戻ったブレード・ファンをビシッと向けて文句を言うガストだっだが、そんなこと言われてもと困ってしまうのだった。

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