アクセル・ワールド~蒼き閃光~   作:ダブルマジック

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 今週の始め頃に決まっていた《狩る者》VS《混沌の舞姫》のタッグ戦。

 テルヨシの希望によって叶ったこの対戦は、開始から白熱……爆熱していて、構築された《草原》ステージなど《カーマイン・ボンバー》の爆撃によって焼かれてしまい、もう《荒野》ステージに変わりかけてしまうほどに焼け野原が広がっていた。

 対戦開始から500秒ほどが経過して、必殺技もそれぞれが出した段階で、テルヨシのHPゲージは残り6割程度。

 何かとダメージを引き受けた部分が出た結果だろうが、4人の中で一番のダメージ量となっていて、パートナーであるパドは8割弱。

 バーちゃんも同じくらいで、ガストはあれほど前線で踏ん張っておきながら9割ものHPゲージを残していた。

 さすがは緑系。

 とは思うがこちらの攻撃でまともに食らったのがテルヨシの足払いくらいだったこともすぐに思い出し、元々ダメージ自体与えてなかったなぁ、とか冷静に考えてしまった。

 そのガストは現在、テルヨシの前方20メートルほどの距離から《ブレード・ファン》を肩に担いで威嚇。

 空間が歪むような錯覚を生むその視線にプレッシャーを感じつつも、互いに必殺技ゲージはほぼ空っぽ。

 再びの接近戦はやむなしといったところなので気を引き締めていると、反対側、テルヨシの後ろの方で凄く嫌な感じで爆発が連続で発生。

 次いで視界上のパドとバーちゃんのHPゲージがぐんっ! 一気に3割近く減ったのでテルヨシもガストもその事に一瞬意識が向いてしまい仕掛けるタイミングを失う。

 後ろを向くべきかどうかを考えたテルヨシだが、その判断をするより先に後方宙返りを決めてテルヨシとガストの中心辺りに着地したパド。

 体からは燃えたてホヤホヤみたいな煙がいくつか上がり、装甲もところどころ焦げてしまっているが、まだ五体満足の様子。

 

「相打ちってところ?」

 

「NP。カスリ傷」

 

「レパードも強がりね」

 

「ガストに言われたくはない」

 

 着地からテルヨシの方向を向いていたパドは、その視線をテルヨシの後ろのバーちゃんに固定したまま、挟む2人との会話に応じてみせる。

 完全にガストに背中を見せているパドに、バーちゃんに背中を見せているであろうテルヨシ。

 不思議な挟まれ方をしている2人ではあるが、その視線は目の前の相手から離さない。

 たとえ後ろの相手とマッチングを入れ換えたとしても、振り向くという動作を挟む都合、必ず後手に回らざるを得ないためだ。

 それならば相手に仕掛けるタイミングを与えないようにするのが得策。

 それをアイコンタクトだけで意見を一致させたテルヨシとパドはタッグとしての熟練度が高いことを証明しているが、同時に相手も互いに顔が見えるポジショニング。アイコンタクトだけでどうするかは決めたはず。

 その事を念頭に置きつつ最初に動いたテルヨシ。

 ガストへ向けて駆けたのを見るやパドもその足を前進させてバーちゃんへと向かっていき、ガストと、おそらくは見えないバーちゃんも迎撃に構える。

 しかしテルヨシはパドと交錯する瞬間に《テイル・ウィップ》をパドの腹に巻きつけて、走り抜ける勢いを互いに利用し合ってテイル・ウィップの根元を支点に180度回転。

 勢いを殺さず、さらに加速するようなスイッチで相手を入れ換えて走り抜けた。

 これには迎撃に構えていたガストもバーちゃんも動揺し動きに隙が生じる。

 あの瞬間、2人はそれぞれ向かってくる相手に最適な迎撃をすでに頭に浮かべていた段階だったはずなので、それがまさかのスイッチで思考が一旦停止。

 こうなればテルヨシとパドが先手を打てる。

 アビリティ《ファースト・ブラッド》の助けもあるパドはほとんど一瞬に近い速度でガストに迫ったはずで、テルヨシも脚力に関しては加速世界でも上位に来るほどの性能を持つため、スイッチの位置からわずか20メートルほどのところにいたバーちゃんに一気に接近。

 中距離攻撃を主体とするバーちゃんに近付くチャンスなどもうないという気持ちで全力の蹴りをお見舞いしようかと思ったテルヨシだったが、過去の経験から嫌な記憶がフラッシュバックしてしまい、それはなしと即決してまずは軽い前への跳躍からのかかと落としで先制。

 さすがにそこまでの接近をされれば思考も働いたバーちゃんは、突っ込んでくるテルヨシを横っ飛びで全力回避。

 空を切ったかかと落としからバランスを崩さずに着地し、距離を開いてリトル・ボムを使おうとするバーちゃんから離れまいとすかさず距離を詰めるが、異常なまでの身軽さを生かしたフワリと浮くようなステップに単発の撃ち下ろし攻撃が連続で空を切ることとなる。

 バーちゃんの降下アビリティ《ディセント》はその使い方によっては地面スレスレを滑空してスライド移動のようなことも可能なので、通常は難しい様々なステップと回避の併用が比較的容易な部分がある。

 とはいえ練習は必要なのだがそこに技術が追い付いてないバーちゃんではない。

 

「うーむ、警戒しすぎじゃぞお主……やりにくくて仕方ないのぅ……」

 

「いえーい、誉められちった」

 

「別に誉めとりゃせんわ」

 

 その滑るような回避でテルヨシの攻撃をしのいでいたバーちゃんではあるが、自分の意図することが封じられて思わず文句が飛ぶものの、元々狙ってるテルヨシは誉め言葉として受け取ってなおもその攻撃をやめない。

 基本的にバーちゃんのリトル・ボムは接近戦で用いればほぼ確実に自爆技の類いになってしまうため、とにもかくにもリトル・ボムの爆発範囲外からの攻撃を可能にしないといけない。

 だがレベル7へと上がったことで得たリトル・ボムのバリエーション《地雷》で離脱と攻撃をほぼ同時に行えるようにもなって、その隙も限りなく少なくはなったが、それにも弱点は存在する。

 爆発範囲内での感知によって爆発する地雷は接近戦で使うと設置のタイミングで相手の位置によっては即爆発することもあり、『相手が近すぎて自分が離脱に要する時間を稼げない』とリトル・ボム同様に自爆技と化してしまうのだ。

 だからバーちゃんは過去にテルヨシが行った一撃で吹き飛ばす攻撃を受ける覚悟で強引な離脱と地雷設置を行おうとしているのだが、テルヨシはそれが決め手で負けた過去から吹き飛ばし攻撃を避けて上から下への撃ち下ろしのみで攻撃していた。

 それゆえに攻撃が単発になって回避されてしまってるが、動きを止めればテイル・ウィップで捕まえることもできるとあって、追い詰められてるのはバーちゃんの方だということになる。

 上へ逃れる。

 そういったことも可能かと思うが、バーちゃんのアバターは重量こそ超軽量級ながら、だからといって自らが超ジャンプできるということはない。

 ちゃんと重量に見合った筋力値となっていて、自力でジャンプしてもテルヨシとほとんど変わらないジャンプ力しか発揮できないのだ。

 そんなジャンプでテイル・ウィップに捕まったら大惨事。

 それがわかってるからこそ大きく跳躍しないバーちゃんは地面スレスレをスライド移動しかできないわけだが、テルヨシは痺れを切らせて違う行動をしてくるのを期待しつつ、視界の隅でチラッと見えるパドとガストのせめぎ合いも確認し、同じように向こうの様子を時折見ながら、すでにリトル・ボムを手にストックして援護、或いは合流を狙ってるバーちゃんにも警戒を怠らず、向こうと付かず離れずの距離でバーちゃんの狙いを外していた。

 

「…………仕方ないの」

 

 的確に、冷静に、そして冷酷に自分の狙いを潰してくるテルヨシに、とうとう痺れを切らせたバーちゃんは、そんな呟きと共にスライド移動の終わり際に足元へと持っていたリトル・ボムの1つを大きく振りかぶって投下。

 これは爆発を使って上へと大きく跳躍する気かと思って、リトル・ボムの爆発の直前に大ジャンプ。

 当然リトル・ボムの爆発は受けてしまうが、狙いは潰せた。これであとは跳躍してきたバーちゃんを……

 

「撃ち落とすだけ。じゃと思ったか?」

 

 という、心を読んだバーちゃんの声はテルヨシの下。

 しかも遠ざかっていくような感じで、爆炎の中から煙を纏って砲弾のように地面と水平方向で抜け出ていったバーちゃんの姿が前方方向にあり、テルヨシの撃ち落としは見事に空を切ると、次いで真下からはピピピッ。

 トラウマになっていた不吉な電子音が鳴り響き、テルヨシの着地より先に盛大に爆発。

 今度は直撃コースでリトル・ボムを食らってしまった。

 それでも《インスタント・ステップ》を使って強引に前へと蹴り出て爆炎の中から脱出し熱を逃がすように地面を何度か転がってから素早く立ち上がるものの、ダメージは甚大。残りHPは2割を切ってしまった。

 まさかの読み違いである。

 いや、冷静に考えればバーちゃんは『後出しジャンケン』を仕掛けてきていたので、どのみちテルヨシは仕掛けられた時点で負けは決定していて、最小のダメージに抑えるならば素直に退いていればよかった。

 テルヨシがバーちゃんの思考をある程度読めていたように、バーちゃんもテルヨシの思考をある程度読めていたのだ。

 あの場面ならば、テルヨシが自分との距離を開かせないために前へ出てくると。

 そして爆発に乗った跳躍で逃げ、そこを撃ち落としに来るだろうことを。

 そこまでを予想して、テルヨシがどこまで動くかを見てから自分がどうするかを、何故か大きく振りかぶってみせたあのタイミングで瞬時に判断して行動した。

 結果、撃ち落とすところまで先に動いてしまったテルヨシに、跳ばずに後ろへ吹き飛ぶような感じで逃げて、離脱の際に地雷のオマケまで置いていかれてしまった。

 完全なる読み負け。

 バーちゃんにも自爆ダメージは入ったものの、まだHPゲージは3割強はあるし、向こうの適正距離にまでされてしまってもう散々。

 ガックリ肩を落とすが、ビリッ、とテルヨシの全身が危険の前兆を感じ取ったのでバーちゃんをよく見ると、持っていた残りのリトル・ボムを持っていない。

 それを完全に確かめるより早く駆けたテルヨシは、次に後ろで起こった爆発に目もくれずに前方のバーちゃんに突撃。

 おそらくは地雷の爆発から抜け出たところですでに放り投げてきていたのだが、息もつかせないとはまさにこのこと。

 なんてことを思いながらバーちゃんに近付くと、ここでまた不思議なことにバーちゃんが動こうとしてなかったので、完全に注意がバーちゃんにいっていたことを自覚。

 そのおかげでいきなり視界の左から現れたガストのブレード・ファンの展開剣によるワイド・スラッシュをリンボーダンスのように体を反らせて躱し、そのままブリッジから流れるようなバック転で体勢を立て直す。

 

「おお、新体操みたいだったわね」

 

「芸術点はいかほどで」

 

「75点くらいはやろうかの」

 

 緊迫した雰囲気だったが、何故かこの時だけは対戦中とは思えない普通の会話に興じたテルヨシ達。

 横槍を入れてきたガストなど右手の展開剣の1本で現在もパドの牙と爪を受け止めながら、左手の残りの展開剣で作った長剣を手元に戻しつつパドへの防御に切り替えている。

 そんなガストはまだ優しいもので、呑気な会話の最中に両手を合わせてリトル・ボムをさりげなく作って、点数評価と一緒にプレゼントとでも言うようにそれを投げ込んできたバーちゃんの無駄のなさは秀逸。

 当然テルヨシも気付いていたが平然とやってくる辺りにちょっと怖いものを感じてしまう。

 とはいえもうバーちゃんのリトル・ボムを1発でもまともに食らえば残りのHPゲージなど吹き飛んでしまうテルヨシは、ちょっとした気の緩みを一気に引き締めて完全に思考を切り替えると、リトル・ボムを回避してとりあえずバーちゃんは放置。

 せめぎ合いをするパドとガストのところへと迫ってバーちゃんのリトル・ボムを一時的に封じて2対1の状況を作ろうとする。

 その狙いにはすぐに気付いたバーちゃんも合流させまいと進路上にリトル・ボムを投げ入れて迂回されるような牽制をしてきて、一撃ももらえないテルヨシもそれは避けるしかなく、パドとガストのいる場所が台風の目のようにリトル・ボムの爆発が周囲で連続して起こり、あっという間に爆発による煙で2人の姿が見えなくなる。

 そして、その周囲を走り回っていたテルヨシの姿も。

 

「む、いかんのぅ……」

 

 その失策に思わず言葉が漏れたバーちゃんは、一旦リトル・ボムの投擲をやめて煙が晴れるのを待とうとしたようだが、それではテルヨシに接近を許してしまうので、

 

「ガスト! すまんが出てこい。《リトル・ビッグボム》」

 

 一旦ガストを自分のところまで下げるような指示の後、その手にリトル・ビッグボムを持ってガストが煙から出てくるタイミングを待つ。

 

「ボンバー!! 避けなさい!!」

 

 しかし返ってきたガストの言葉は、自分に危険を知らせるような緊急で慌てたような叫びで、それを耳にして理解し動こうとした時にはもう、テルヨシの準備は完全に整っていた。

 

「《インパクト・ジャンプ》!」

 

 テルヨシは最初からガストを狙うように見せて実はバーちゃんを一撃で仕留めるチャンスを虎視眈々と狙っていたのだ。

 そうとはわからせないために回避行動の時以外は全て視線をガストに固定し、バーちゃんに向かう素振りなど一切見せなかったが、それを実行するのはハイランカー相手となると難しい。

 テルヨシもそうだが、ガストやバーちゃんほどになると雰囲気や対戦の勘で『何か来る』という無視できない空気を直感的に察することが間々あるため、本当の狙いを隠し切る本物のフェイクが必要だったが、今回はそれが上手くいった。或いはバーちゃんの勘が働かなかったかだ。

 現に煙で姿はボヤけていたガストが寸前でそれに気付き叫んでみせたから、半々といったところなのだろう。

 テルヨシの必殺技は煙の中を高速で突き抜けて一直線にバーちゃんへと向かって突き出していた蹴りがクリーンヒット。

 盛大に後ろへと吹き飛びながら光の粒子となって消えていったバーちゃんは死亡マーカーとなって焼け野原にポツンと浮かび上がるが、この行動にテルヨシはちょっとした誤算もあったことを自覚していた。

 必殺技発動の直前。バーちゃんはガストを離脱させて入れ替わりでリトル・ビッグボムを放り投げようとその手に持っていたのだ。

 そこに突っ込めばどうなるかなど誰にでもわかるが、それでもあそこでバーちゃんを仕留めることを優先したテルヨシに後悔はなかった。

 ――ドゥゥウウウウウンッッ!!

 バーちゃんの最後の置き土産を回避不可能な至近距離で受けたテルヨシは、完全に死亡。あとはパドに任せるしかないか。

 とかなんとか考えながら目を閉じていたのだが、死亡マーカー特有の浮遊感みたいなものが一向に訪れず、その代わりに何かに乗ってる感覚があったのでその目を開けてみると、まだ自分のHPゲージは残っていて、下を見ればいつの間にやらビーストモードのパドの背中に乗せられていて、走るのをやめたパドはブレーキと一緒に体を反転させて止まり、数十メートル先に上がる大きな爆心地を見ながらテルヨシに降りるように言った。

 

「もしかしなくても、パドが助けてくれた?」

 

「相打ち覚悟は予想できてたから、NP」

 

 パドの背中から降りてから、事実の確認をしたテルヨシにいつもの調子で言ってみせたパドはこの上なくカッコ良かったが、よく見れば本当にギリギリだったのだろう、後ろの足が真っ黒に焦げて走るのも辛そうに見えた。

 

「もうひと息。最後まで油断しない」

 

「……サンキュー、パド。勝ってコーヒーで祝杯でもあげようや!」

 

「K」

 

 それでも弱いところを見せないパドが勝とうと言うのだから、五体満足のテルヨシがそれに応えないわけにはいかない。

 モウモウと上がる煙。その先を示しているガイドカーソルを見ながらに集中力を高めた2人は完全に煙が晴れるより早く走り出して残ったガストを倒しにかかる。

 

「《スラッシュ・ラッシュ》」

 

 しかしガストもその気配を悟ったか、煙の手前まで来ていたテルヨシとパドを奇襲するように自ら煙を突っ切って姿を現すと、展開剣の分割連動操作で手に5本、足に4本ずつを割り当てて並列で揃え、さながら獰猛な長い爪を持つ動物を思わせる形態を取っていた。

 これは本人が言っていた、擬似《ブラック・ロータス》。そこに工夫を加えた形がそうらしい。

 剣の四肢という意味では確かにそうだが、その攻撃範囲は黒雪姫よりも広いのは確実。

 突っ込んで両手の剛爪を振るってきたガストに対して左右の外に逃げて躱したテルヨシとパドだったが、クロスするような軌道で振るっていた両手を振り切って即座に水平に開くように振るったガストは、それと同時に両手の展開剣を長剣のワイド・スラッシュに変えて左右に逃げた2人を背中から追撃。

 それをヘッドスライディングで躱したテルヨシと後方宙返りで躱したパドだが、そこで追撃は終わらない。

 ワイド・スラッシュを元の爪状に戻して足払いのように右足を地面と水平に放ったガストは、そこでもワイド・スラッシュを放って地面に伏せていたテルヨシを襲い、回転の途中で着地するパドもタイミングを図って狙ってくる。

 

「こ、ここだぁあ!!」

 

 と、ガストの狙いに気付いたテルヨシは、叫びながら迫るワイド・スラッシュを足の裏で蹴り返してガストの足払いを強引に止めると、テイル・ウィップで右足を絡め取りぐるんっ。

 大きく1度振り回して空中へと放り投げると、すかさず着地したパドが強襲して最高点に達するより早く、寸分の狂いなくガストの首筋に食らいつきその強靭なアゴと牙でガストにダメージを与えるが、まだ7割近くHPゲージを残していたガストは地面に落下してもまだ3割近くHPゲージを残して、勢い良くパドをクッションにして叩きつけていたので、その衝撃でパドの牙は首から離れ、その真上から下方向に《ブラスト・ゲイル》を放ってとどめを刺しパドを撃破。

 だがそのブラスト・ゲイルを放った瞬間、ガストの武器であるブレード・ファンは失われ、最大の武器を振るえなくなったところをテルヨシが強襲。

 強力な蹴りでガストを蹴り飛ばすと、追撃のインパクト・ジャンプを読んだガストは吹き飛びながらまだ扇子に戻らずに両手に持ったブレード・ファンの両端で前方をガードして止まる。

 だが、そのガードは最後の最後で読み違う。

 確かにインパクト・ジャンプを使うことを決めていたテルヨシだったが、使う直前にガストがすでに防御体制に入っていたのを見て、即座にそのジャンプの軌道をガストの頭上辺りに来るように修正し跳躍。

 丁度ガストの真上から落下するような軌道で迫って無防備だった頭上から一閃。

 全力の蹴りでガストを地面に叩きつけると、そこでガストのHPゲージは吹き飛んだ。

 最後のは直前にバーちゃんがやってきた駆け引きをぶっつけでやれた感じではあったが、ほとんど無意識でやったためにテルヨシにはなんだか不思議な感覚が残る。

 その感覚に少し戸惑ってしまっていたテルヨシだが、そんなものを吹き飛ばすような歓声が周囲から上がって、ようやく視界に表示された【YOU WIN!!】の炎文字を見て自分達が勝利したことを自覚。

 次いで沸々と沸き上がってきた喜びを感情のままに放出して、称賛を送るギャラリーに大手を振ってみせたのだった。

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