――驚愕。
そんな雰囲気がピッタリの空気が、《七王会議》の場を支配する。
約3年ぶりにレベル9バーストリンカーが集まって行われていた会議において、自らが発言権を得るためにそのレベルを現状最高の9に上げたテルヨシに全員が言葉を失い、《イエロー・レディオ》《パープル・ソーン》の2人は思わず立ち上がってテルヨシを見るが、他の王達は微動だにせずに静かにテルヨシに視線を向ける。
「本当は会議が終わったらと思ってたが、喧嘩腰の話し合いは見てらんないしな。オレが全員が納得の妥協案を提案してやるよ」
「…………お前ってやつは……信じられねーよホント……」
「まぁいいじゃねーかナイト。あたしらと文字通り対等な立場になってんだから、話くらい聞いてやるのが筋だぜ。なぁ、レディオ?」
「……まったく、バカですよあなたは。今この時にすることではないでしょうに。……ですが、筋を通すという意味では納得せざるを得ませんね。聞きましょう、その納得のいく案とやらを」
とんでもないことをしたにも関わらずに、平然と話を進行するテルヨシに呆れ気味に口を開いたナイトに、レインがちょっと笑いながら意見して立ちっぱなしのレディオに問えば、我に返って座り直したレディオはまた面倒なことしてくれたみたいな声色でテルヨシに話を戻し、ソーンも静かに座り直す。
「つっても、大したことはないよ。クロウの《災禍の鎧》はいま非装着状態にあるから、すぐにどうこうってことにはならないだろ。過去がそうだったようにな。でも処理はしないと危険は排除できない。だから1週間。クロウに鎧をどうにかする時間をやれよ。それでどうにもできなきゃ、その時にロータスがこの場で断罪すればいい。1週間の間にクロウがディザスター化して被害が出た場合は即ロータスが断罪。それができない場合は他のやつらも動けばいい」
「確かに、それならいいのかもしれないけど、鎧の有無の確認はどうするのよ」
「そりゃあれだ。《
「……ああ。断罪などするつもりは毛頭ないが、そういったルールの上で行動することには賛成するよ」
「他のやつらは……良さそうだな。ならクロウの鎧の件はそういう方向で、また来週の同じ時間にここで決議しよう。ロータスが手を尽くすだろうから、余所者は余計なちょっかいを出さないようにってのは一応付け足しておくか」
そうしてテルヨシの意見に物申す者も出ずに淡々とクロウの鎧の件は終わり、話は再び心意と加速研究会についてに戻るが、こちらも現状で何がどうこう話し合えることもなかったため、今回は『情報収集』と『様子見』で議決。
今後の加速研究会の出方など予想しようもないため後手に回ること必至だが、頭を悩ませたところでどうにもならないのは全員がわかっていた。
というわけで今回の2つの議題については終わって、残りの時間が300秒を切ったところでお開きの雰囲気が流れるも、しかしその前にやらかしてくれたテルヨシに一斉に視線を向けた王達は、会議の後にするつもりだったというテルヨシのレベルアップの真意について、その腹の内を話せと目で訴えて、そんな視線を一身に浴びたテルヨシも静かな半円形の王達の席の中心に移動してその胸の内を明かした。
「1人代理ではあるけど、この場に王達が集まったこの機会を逃したくなかったのさ。レディオがこんな時にみたいなこと言ってたけど、まさにその通りなんだが、オレは確認しておきたかったのさ。お前ら王達の覚悟と反応を、な」
「言うならハッキリ言えよテイル。時間もあんまないぜ?」
「んじゃ言わせてもらうけど、これからオレと対戦するつもりのある王は、この中にいるか? いるなら手を挙げてくれ。そいつにオレはこのあと対戦を申し込む」
話は実にシンプルで、これから王と対戦したいというもの。
しかしそこに秘められた事の重大さはこの会議に参加する皆が知るところである。
レベル9同士の対戦は、その勝敗が決すれば勝者にそのバーストポイントが全部加算されるサドンデス・デュエル方式。
つまりはたった1度の対戦でブレイン・バーストを強制アンインストールされてしまう。
テルヨシのその言葉のあと、最初に口を開いたのは、王達ではなく今回同行していたレギオンメンバー達。
皆一様に自分の王に受ける必要はないと進言していくが、グランデがその左手に持つ大盾を床にガシャン!
床へと打ち付けてみんなの言葉を制すと、初めてその口を開いた。
「挙手を」
たった一言。
それだけではあったが、確かな威力を秘めたその言葉に沈黙が訪れ、改めて自分で考え始めたナイト達は一様に渋い唸り声と頭を悩ませる挙動をする。
その中で明確に首を横に振っていた白の王の全権代理《アイボリー・タワー》はその時点でもう対戦を拒否していたのでテルヨシも確認。
そして渋る王達の中で1人だけ迷うことなくその手を挙げた王がいて、その挙手の瞬間、全員がその王に視線を向けて、テルヨシもその迷いない挙手に思わず笑みがこぼれてしまった。
「……やっぱそうだよな。そうなるだろうとは思ってたんだ、ロータス」
「同じ道を目指す私達が、ここでぶつかるのは宿命だったのだろうな、テイル」
「時間と場所は今そっちが決めてくれ。なるべくならギャラリーも多い方がいいだろうし、出来るだけ余裕を持ってがいいけど」
「では2時間後の午後4時ジャスト。場所は杉並第3戦域でいいか?」
「……了解。他の王達もいいな。つっても、ここで誰かが対抗して手を挙げても、迷った時点でロータスと戦うことに決めただろうし、意味はないけどな。情報の拡散はみんなに任せる。最初で最後のマッチングだ。後悔しないようにしてくれよ」
対戦相手も決まったので、情報拡散しておくようにとだけ言ってから、それ以上余計なことを言わずに全員に視線を向けてから加速を終えてフィールドを去ったテルヨシは、戻ってきた現実世界で1度、大きく息を吐いてグローバル接続を切ると、これから2時間後に決まった対戦に向けて色々と準備を整えていくのだった。
会議を終えてからすぐに杉並へと戻ってきたテルヨシは、対戦を指定された戦域が自宅も含む場所――というよりも一番戦い慣れた梅郷中学校のある戦域――だったのでそのまま帰宅。
来たる対戦の時間までのんびり過ごすことにして、朝に下ごしらえを終えていたクッキーの生地を取り出して型取りから焼きの行程を始めて、今日は夕方頃まで帰ってこれないと言っていたマリアも喜んでくれそうな出来映えになるように丁寧に作業をする。
するとホームネット経由でグローバル接続していたテルヨシにメールが届き、誰かと思えば案の定の人物でもう情報の方は行き渡ってきてることを確認。
現在時刻は午後の3時を回ったところで、いつもならバトロワ祭りをやっている時間だが、今日に限っては事前に会議があるからと《エピナール・ガスト》にスターターを任せていたのだが、メールはそのガストからで、内容はといえば「バカじゃないの!」から始まる珍しくテルヨシを心配するような文面。
勝敗については負けてほしくないと書きつつも勝ってもほしくないみたいな微妙なもので、その辺から加速世界初のレベル9同士の本気のサドンデス・デュエルに対しての困惑がうかがえた。
何よりガストは過去にそのサドンデス・デュエルによって《レッド・ライダー》を失ったこともあるため、その胸の内はテルヨシでも計り知れないものだ。
ガストのそんな思いに今ならまだ踏みとどまれるという道が顔を覗かせるが、たとえどんなことがあってもこの道を歩き抜くと心に決めていたテルヨシは、覗かせた道を無視して前を向き「決着を見ていてほしい」とだけガストに返しておき、1分と経たずに返ってきたメールには「もう知らない!」とだけあって、向こうがアドレスを破棄したようでそれ以降メールは送れなくなってしまった。
喧嘩別れみたいになってしまったが、こうなることも何となく予想していたテルヨシは、ガストを責めるようなことはせずに黙々とクッキーを焼いていたら、今度は会議の場にもいたパドからボイスコール。
案件はもうわかりきっていたので覚悟してそれに応じた。
『……正直、かける言葉がわからない』
「そりゃ意外だな。パドさんともあろうお方がノーコメントですか」
『でも、ああなる前に止めなかったのは、テルの選んだ道だから。……これは前に言った……』
本当に言葉が見つからないらしいパドは、金曜日に言ったことをもう1度言ったりとらしくない感じで、その胸中のまとまってない部分が丸見えだったが、それを笑わずにただ出てくる言葉を聞きに徹したテルヨシに、少しの沈黙の後にパドは改めていつも通りに言葉を紡いだ。
『…………
「……ありがと、パド」
別に今生の別れというわけでもない。
そんな意味も込めてのパドのいつも通りに、テルヨシも努めてらしく返したつもりだが、そのまま何か他に言いそうになってやめたパドは、最後に「明日もバイトがあるからちゃんと来る」と業務連絡をしてボイスコールを一方的に切ってしまった。
あとはチユリくらいから何かあるかとは予想していたが、生憎と対戦相手側のレギオンメンバー。
そんな立場でテルヨシを励ましたりなんなりはできないかと思い完成したクッキーを少しつまんで味を最終確認し、これならマリアも満足するだろうとお気に入りの皿に盛り付けてダイニングテーブルに置いておき、使った物の片付けなどを済ませたところでちょうど時間も午後4時になる3分前となって、トイレを済ませてからソファーへと移動。
限りなくリラックスした状態で座ると、ここまで来ても自分が怖いくらいに落ち着いていることを自覚しつつ、ニューロリンカーのグローバル接続をホームネット経由からダイレクトに切り替えて、その時刻が午後4時を示した瞬間に加速。
すぐにマッチングリストを開いて、未だかつてないほどにスクロールできるそのリストの一番下にあった唯一のレベル9の名前を発見してから1度その指を止めて、目を閉じ意を決すると、静かにその名前を押して対戦を申し込んだ。
――もう、後戻りはできない。
厳密にはまだドロー申請という最後の逃げ道が残されてはいるが、そんなものはあの舞台に立てば選択の余地などない。
そんな思いで目を閉じたままフィールドへと降り立ち、視界に見えた【FIGHT!!】の炎文字が消えてからゆっくりと目を開けたテルヨシは、そこに見えた光景に思わず笑みがこぼれてしまった。
「……ははっ、何の因果かな。ブレイン・バーストが気を利かせたのかね」
その目に映った光景は、無骨な金属の柱と分厚い鉄板の床。吹きっさらしになって外の景色が見えるテルヨシの自宅マンションの骨組みと即席の床のみの建物オブジェクト。
《鉄鋼》ステージだ。
今まで幾度となく対戦はしてきたフィールドだが、最後の最後のこの対戦で引き当てたのは偶然か必然か。
このフィールドは2年前にテルヨシと黒雪姫が初めての対戦で出会ったフィールドだった。
「……思い出話に花を咲かせたいところではあるけど、姫とはもう、改めて話すことはないか……」
広がる景色に思わず当時のことを思い出してしまったテルヨシだったが、それをすぐに振り払って、ガイドカーソルの示す方向を向いて意気込むと、いま持てる目一杯の力で踏み出して建物から降りていき、黒雪姫が待つであろうその先へと走り始めて、その道中からもうどこを見てもギャラリーがいるという驚愕の光景に胸を踊らせ、これから始まる加速世界初の本気のレベル9同士の対戦にワクワクが止まらなかった。
杉並第3戦域のほぼ中心。
複数の骨組みの建物オブジェクトが建ち並ぶ区画にポカンと空いた少し広い空間。
そこに黒雪姫は両手の剣を組んで、その後ろに現在のレギオンメンバー全員を控えさせて到着したテルヨシを出迎えた。
出会い頭から衝突。とはならなかったが、1度だけその距離を2人だけで会話できるまでに縮めて、これから対戦するに当たっての最後の雑談の時間を作る。
「いつか、そう遠くない未来にこんな日が来るとは思っていた」
「出来ることなら戦いたくなかった。とか今さら言わないよね?」
「そう言いたい気持ちは確かにあったよ。あの会議の場でお前がレベル9となり、私達に挑戦状を叩きつけてきた時。私は過去のライダーへの仕打ちを思い出し、意識せずとも体がすくんだよ。だがな、後から沸々と心の底から沸いてきたのだ。私と同じ舞台にまで上がってきたお前と、一体どんな対戦が出来るのだろうと、そんな純粋なワクワクが、私の全身を満たした。不謹慎にもその時だけはレギオンのことも、ハルユキ君のことも、何もかもがどうでもよくなった。ただの1度限り。お前との対戦を喜ぶ自分を抑えられなかったよ」
テルヨシにしか聞こえない声で、嘘のないそんな言葉を連ねた黒雪姫に対して、多くを語ることもないと思って腰に手を置き「そっか」と一言だけ漏らして、次に少し後ろに控えていたハルユキ達ネガビュメンバーに目を向ける。
「ハルユキ君達は、ちゃんと送り出してくれたのか?」
「……始めは渋っていたよ。ことにお前が相手とあって反発も大きくチユリ君には少し泣かれてしまったが、倒すのが他の王連中でテルを特別扱いし放置するのは違うのではないか、とレイカーが言ってくれてな。この苦悩はレベル10を目指す上で避けては通れないものだと、皆が納得して送り出してくれた。お前こそ、マリアには納得してもらってここにいるのか? 姿が見えないようだが」
「マリアには今日のことはハッキリ言ってない。もしかしたら情報を耳にしてギャラリーに入ってるかもしれないけど、別に見てなくてもいいんだ。何でかって言えば……」
もしかしたら今日でバーストリンカーとして最後の日になるかもしれないので、当然レギオンメンバーを揃えていた黒雪姫が、どんな思いで送り出されたかはわかった。
しかしテルヨシは投げ返された質問に対して意外なことを言ってからその距離を15メートルほどにまで離れて最後まで言い切る。
「……別に今日がオレの最後の日ってわけじゃねーし」
「…………フッ。確かにそれならば納得させる必要もないな。だが残念ながら、それを後悔することになるぞ。なにせ勝つのは……」
距離が開いたことで完全にスイッチが入った両者の放つ空気に、周囲のギャラリーもいよいよ始まるかと異様な空気を放ち始め、ハルユキ達も存分に戦えるようにとその場から離れてギャラリーの一部に加わっていくと、テルヨシと黒雪姫を囲むギャラリーで周囲が埋め尽くされていながら、誰1人として言葉を発しようとしない空間で、対戦する2人の覚悟が叫びとなってぶつかった。
「オレだからな!!」
「私だからな!!」
おそらく、この対戦はポイントなど惜しまずに各レギオン他、それを用意できた者達が《リプレイ》に記録するはずで、それを領土から出られない王達やここに来られなかった者達が後で見ることになるため、加速世界で最も有名な対戦になることは必至。
ネガビュでもレイカー辺りが記録してくれているはずで、たとえ結果がどうなろうと遅かれ早かれマリアにも見てもらえるはず。
一応はそこまで考えていたテルヨシは、しかし覚悟を叫んだ瞬間にそんなことも忘れて目の前のライバルに完全に意識を集中。
同時に前へと出た両者の激突は一瞬で訪れた。
フラッシュバックするのは約2年前。
ただのひと槍だけ交えた初めての攻防。
接近から鋭い右手の突きを放ってきた黒雪姫に対して、紙一重で下へと体を沈めて躱し懐に入ろうとしたテルヨシ。
そこに間髪入れずにあの時出しかけていた左手の突きを躊躇なく放ってきた黒雪姫は、もうテルヨシを下には見ていない。
迫る突きにテルヨシは《テイル・ウィップ》を黒雪姫の突き出されていた右手。その二の腕辺りに巻き付けてそこを基点に体を黒雪姫の右側へとスライド移動。
腕の下を潜る変則的な回避をすると、すかさず左足での蹴りを黒雪姫の後頭部に当たるように放つ。
――ギュルンッ!
そんな勢いで軸回転しながら屈んで蹴りを躱した黒雪姫は、その勢いをもってテルヨシの足元へと左足での足払いを仕掛けるが、《絶対切断》の足払いは洒落にならないレベルで払われるだけでは済まない凶器。
それがわかってるテルヨシもフォロースルーに入っていた左足を真下へと振り下ろして迫る黒雪姫の左足を上から踏みつけて強引に止める。
いかに絶対切断能力といえど、刃のない部分ならばその能力は適応されない。
しかしその防御をした瞬間、テルヨシは完全に黒雪姫に背中を向けた状態で直立したため、絶対に来るだろう死角からの攻撃を躱すのに前方に倒立回転、側転、バック宙と繋げて距離を開いて止まり、追撃が叶わずゆっくりと立ち上がった黒雪姫に構える。
互いに今の攻防でのダメージは皆無。
黒雪姫が1ドット程度HPゲージを減らしたが、あの踏みつけも何らかの防御法で軽減されていたらしい。
何にせよ、2年前の対戦で叶わなかった『その後の攻防』を終えた2人は、言葉こそ交わさなかったものの、ほとんど同時にフッ、と笑いを漏らしてから、また張り詰めた雰囲気を纏って次の攻防へと備えると、互いにもう何百回と対戦してきた経験から、仕掛けるタイミングがわかってしまうために先手を取らせないよう同時に前へと出る。
攻勢防御。
黒雪姫の厄介なところは防御すらも最大の攻撃へと変換できてしまうその絶対切断能力。
触れた物全てをたとえ静止状態にあっても切断するアビリティ《ターミネート・ソード》。
だからテルヨシは仕掛けるにもまず黒雪姫の手足とまともに撃ち合わないことを考えないといけなく、そのためにはいくつかのフェイントで隙を作り出すしかなかった。今までは。
当然、自分の能力に絶対の自信を持つ黒雪姫も、それを念頭に戦術を組み立てている部分はあるわけで、だからこそ今、真っ向から全力の右足での蹴りを放ったテルヨシにこの上ない『恐怖』を感じたのだろう。
それを身を固めて受けようとせずに自らも右足での蹴りで撃ち合った。
その結果、起きた現象は完全なる拮抗。
ギィィイイイインッ! と高い音を響かせて激突した両者の蹴りは、周囲へとその衝撃を拡散してから離れて、今度は逆の足での蹴りの撃ち合い。
しかしこれもわずかなせめぎ合いの後に離れて、互いに飛び退くようにバックステップ。
そんな現象にギャラリーからはどよめきと驚愕の声が沸き上がった。
撃ち合ったのだ。
黒雪姫の絶対切断能力と、真っ向からぶつかって、損傷もせずに。
それは加速世界でほぼ見られない驚愕の光景だった。
「……いつか、こうなる日も来るとは、ほんの少しだけ思っていたが、本当にやってくれるとはな」
「ぶっつけ本番だったが、信用してもいいくらいの性能だったっぽいわ」
「アビリティだな、それは」
「そう。レベル9になって実質最後のボーナスで取ったアビリティ《
驚きはあったようだが、それでも可能性として考えていたらしい黒雪姫にはさすがと言わざるを得ないが、テルヨシ自身もようやく辿り着いた場所でこうして黒雪姫に対抗しうる能力を獲得できたことを喜び、黒雪姫もどこか嬉しそうにしてるのがわかるが、今のはアビリティの性能確認とお披露目が目的。
すぐに集中力を研ぎ澄ませた2人は、根本から切り替わった対戦に新たな思考を巡らせる。
「さぁブラック・ロータス、始めようぜ。最初で最後の本気の勝負ってやつをよ」
「ああ、存分にやろうではないか、レガッタ・テイル」
――そしてここから、壮絶な戦いが幕を開ける。