プロローグより短いですのでごめんなさい。
Side・太一
俺は今夢を見ているのか?
頬を抓るのはできないから、拳を強く握り締める・・・爪が食い込んで痛ぇ・・・ちゃんと起きている様だ。
他人の空似・・・じゃない、“デュノア”・・・あの人と同じ性を名乗っているし、何よりあの人に俺と同い年の子供は彼女だけだ。
そして何より・・・この感じ・・・あの頃は毎日の様に感じていた・・・この胸が張り裂けそうな感じ・・・。
この感じが・・・それだけで今目の前に立っている、シャルル・デュノアをシャルロット・チルモンと決定付けるのに十分だ・・・。
「あの・・・如何かしたの?」
「んっ?あっ・・・あぁ・・・すまない」
もう5年以上経っていると言うのに・・・俺って情けないな。
この娘に何の罪は無いのは理解しているのに・・・それに選んだのは・・・アイツ自身だと言うのに・・・俺はまだ・・・。
「・・・少しビックリして・・・その、間違っていたらゴメン、俺と同じ型の制服って事は・・・男?」
「あっ・・・そうか、そうだよね・・・そう、僕は男だよ」
男ね・・・デュノアと名乗っているのも気になるが・・・男として来るとなると・・・気を付けないといけないかもな。
「八神太一だ、よろしくな」
「八神君だね、僕の事はシャルルって呼んでよ」
「・・・じゃあ俺も太一でいいぜ、君付けもいらない」
「じゃあ・・・よろしくね、太一」
彼女が俺に握手をもとめ、手を差し出し・・・それに応え彼女の手を握った。
うっ・・・柔らけ・・・。
ひょっとして・・・こんなのが3年続くのか?
Side・シャルル
「八神太一だ、よろしくな」
何だろう・・・今僕の前に立っている、予想外の転入生・・・八神太一。
彼を見てから・・・その・・・胸の辺りが・・・何だかモヤモヤすると言うか、ドキドキすると言うか・・・。
それに、何故か僕は彼を・・・彼を知っている気がする・・・今日初めて会ったと言うのに・・・。
彼の存在は今日初めて知らされて、おそらく“あの人”も知らないかもしれない・・・僕を・・・“私を男として”、
このIS学園に送り込んだあの人すらも・・・。
「八神君だね、僕の事はシャルルって呼んでよ」
「・・・じゃあ俺も太一でいいぜ、君付けもいらない」
人当たりが良くて・・・何だか親しみやすそうな人だな・・・。
おそらく・・・彼の事を報告したら彼の事も調べろって言われるんだろうな・・・。
嫌だな・・・こんな人を騙す様な事を、これからずっとし続けるなんて・・・。
「じゃあ・・・よろしくね、太一」
うわぁ・・・男の子の手って、こんなに硬いんだ・・・それに、とても温かい・・・。
Side・太一
「キサマが・・・」
「ん?」
シャルロット・・・いや、今はあえてシャルルと呼ぼう。
“彼”に気を取られて、もう1人の転校生の存在に気が付かなかったが・・・。
小柄で長い銀髪、そして左目に眼帯をした少女・・・。
彼女はたしか・・・千冬姉さんがドイツで教官をしていた時の・・・。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ?」
「・・・フッ!」
ズバッ!!
「えっ?」
「なっ!?」
いきなりラウラ・ボーデヴィッヒが俺に向けて手刀を突き出してきた。
ぱしっ・・・
「っ!?」
「・・・いきなりだな・・・それがドイツ軍人の挨拶か?」
だが俺はそれを掴み取り、それを防いだ。
「ちっ・・・」
「止めろぼーで「でやあああああっ!!」っ!」
千冬姉さんの静止の声が出る前に、彼女は俺に追撃を与えようと動いた。
俺・・・彼女に何かしたかな?
一度千冬姉さんに呼ばれてドイツ軍の基地には行ったが、彼女には直接会ってないし、その時千冬姉さんから少し聞かされて知っていただけ。
「俺君に何かしたっけ?」
「黙れ!!キサマが・・・キサマが!!」
ふう・・・CQC(近接挌闘)か・・・結構な手練れだけど、恵姉から教わって(あの人は何処で学んだ?)いるから、
対処はできるが・・・騒ぎになるとまずいから黙らせるか・・・もう手遅れな気がするけど。
「でやっ!!」
「なっ!?」
ドシャッ!!
彼女の腕を掴み後方に回り、関節をきめた状態で床に押さえ付け、暴れない様に両脚と残った腕は、俺の足を乗せ動けなくした。
「くぅ・・・」
「俺君に何かした?」
「認めない・・・“アイツ”もキサマも!キサマがあの人の1番などと絶対認めない!!」
「はあ?」
何の事だ?それに俺の他に、コイツが恨みか何かを持っている奴がもう1人いるみたいだが・・・。
「そこまでだ2人共」
「教官・・・」
教官?
成程・・・そう言う事か。
「俺の方は正当防衛ですよ織斑先生」
「分かっている・・・だが、そろそろ解放してやれ」
「ならもう暴れるのは止めろって、言ってやってくださいよ」
「・・・ボーデヴィッヒ、大人しくしろ」
「しかし教官!」
「その方が織斑先生の為だぞ」
「何!?」
「今日から君は織斑先生の生徒だ、その生徒が問題を起こせば、全て担任である教師に責任がいく、
織斑先生・・・教官に迷惑をかけたくないだろ?」
「くっ・・・分かった・・・」
やっと大人しくなったか・・・ものスッゴイ形相で睨まれ続けているけど・・・。
コイツは千冬姉さんの崇拝者かそれに近い者だな。
だがそれでも分からない・・・だからって何で俺こんなに恨まれてんだ?
「太一・・・大丈夫?」
俺を心配してかシャルルが駆け寄って来た。
平常心・・・平常心・・・普段通りに話せ・・・普段通りに話せ。
「あぁ・・・すまないな、転校初日にこんなトラブルに巻き込んで」
「ううん、僕は平気だけど・・・凄いね太一、あれだけのボーデヴィッヒさんの攻撃全てかわすなんて」
「それ位できなければ、俺はこの世に既にいない」
俺は今までの師匠2人との修行の日々、そして“夏の特別訓練”の事を思い出し、遠くを眺めていた。
本当・・・よく生きてこれたな俺・・・自分で自分を褒めてやりたいよ。
「たっ・・・太一?本当に大丈夫?」
「はっ!すまんシャルル・・・ちょっと走馬灯を見てて」
「それって死の直面に見る物だよ!!」
「いや~~~あれって思い出すだけでショック死しそうな恐怖だよ・・・あぁ・・・思い出したらまた・・・」
「わわわっ!!太一しっかりして!!」
俺って・・・何であれやって生きてんだろう?
「太一しっかり!!一体何を思い出しているのさ!!てかショック死しそうなら思い出さないで!!太一!!」
Side・千冬
失敬な・・・ちゃんと死なない様には手加減はしたぞ。
何となくだが太一君の考えている・・・いや、思い出している光景に想像がつく。
しかし・・・ボーデヴィッヒ、こいつには困ったものだな。
軍人として軍の規律を忠実に守ると同じで、学園でもそうであろうと思ったが・・・早速こんな騒動を・・・。
太一君が早急に押さえてくれたから、今の所大丈夫の様だが・・・これから如何なる事か。
「あの・・・織斑先生、お疲れのところ悪いのですが・・・そろそろ・・・」
あぁ・・・本当に疲れたさ・・・主に心労だが、まだこいつ等が出会って3分も経ってないと言うのに。
「・・・すまない山田先生・・・お前達、私達が先に入る、呼ばれたら入ってきなさい」
「「はい」」
「了解です教官」
「・・・教官はいらない」
はぁ・・・事はデュノアだけでは済まない様だな・・・。
こんな事であれば、ボーデヴィッヒの事だけでも言っておくべきだったか・・・。
それにしても・・・“初手”は何とか耐えたか・・・だが、ここに入れば、何時バレてもおかしくは無いぞ太一君、
君の最大で唯一の弱点が。
Side・ラウラ
くっ・・・この私が、教官の前で何という醜態を・・・。
(私には実の弟と)
その実の弟の所為でアナタは・・・モンド・グロッソ2連覇の栄光を手にできなかった。
(実の弟と同じ位に大切な男の子が居る・・・その子は、私の一番弟子で、お前の兄弟子でもある)
私が・・・私がアナタの1番ではないのですか?
(守りたい者が・・・そして競え合えるライバルが居たから、私は強くなれた・・・所詮私も誰かに支えられなければ生きてはいけない只の人間だ))
それは違う!!アナタは偉大だ・・・誰よりも偉大な人物だ!!
(だからボーデヴィッヒ、私だけを見るな)
私には・・・アナタが・・・アナタのみが必要です!!
アナタは私の憧れで、見本で、そして・・・目標だ。
だから・・・そんなアナタを堕落させる要因・・・教官の顔に泥を塗った実弟・・・織斑一夏。
そして・・・そして・・・。
(弟の方は・・・まだ何をしたいか決めかねているが、弟子の方は目標があって私についてきてくれている、
だから・・・いずれは私を超えてほしいと思っている)
(その・・・弟子の名前は?)
(八神太一だ、私と・・・今の私を作ってくれた人々が夢を託した少年だ)
やがみ・・・たいち・・・教官の存在を脅かすかもしれない存在。
織斑一夏と八神太一、私は決してキサマ等を認めない!!
この私がキサマ等を抹消する!!
Side・太一
まったく・・・転入の挨拶も済んでないのに立て続けにハプニングとは・・・俺ってどういう星の下に生まれたのかね?
シャルロット・チルモンのシャルル・デュノアと名乗り男として転校、千冬姉さんの崇拝者で元教え子の、
ラウラ・ボーデヴィッヒの出会いがしらの強襲・・・。
俺の学園生活・・・これからどうなるのかね?
「今日は転校生と転入生がいます、合わせて3人も」
「お前達、入って来い」
おっと、お呼びの様で・・・。
さて・・・この扉を潜れば俺の学園生活、そして夢の為の一歩が始まるんだな。
思いもしなかった再会がなんだ!いきなりの強襲がなんだ!
俺が行く先でブツカル壁があるなら、それを乗り越えて先へと進み、幼い頃から画いた夢を掴んで見せる!!
ガラッ・・・・
「入ります」
「失礼します」
「・・・・・・・」
「えっ!?」
「嘘っ・・・あの子・・・」
「やっ・・・八神?」
皆驚いているな・・・織斑も・・・昨日会ったのに、そいつが翌日転入生として現れたら当然か・・・。
「皆の知っている顔もいるが・・・お前達、挨拶をしろ」
「はい、八神太一です」
さて・・・ここが始まりだ。
To be Continued
次回はできればIS実習まで行く予定です。