DIGIMON・STRATOS   作:龍気

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あけましておめでとうございます。

新年早々タイトル詐欺な話です。

タイトルにちなんだ事はありますがメインディッシュではありません。

メインディッシュはその後です。

そして久し振りに2万文字を超えました。

逆に言えば文章の立ち回りや纏め方がへたくそ言う事に・・・こんな新年一発目の作品ですがどうぞ!


第14話『料理の基本は味見から』

Side・シャルル

 

午前中の実習が終って、太一は次の実習が整備である事を聞いて、着替えだけ持って整備室に行って準備をしに行った。

 

僕は残って更衣室で着替えていると、ISを片付け終えた一夏がやって来た。

 

 

「おっ?シャルルもう着替え終えたのか」

 

「いっ一夏!?」

 

 

危なかった・・・もう少し早く来られたら僕の正体が・・・。

 

 

「如何したんだシャルル?」

 

「なっ何でもないよ・・・いきなり来たからビックリしただけ・・・それで・・如何したの?」

 

「あぁ・・・箒がさ、昼飯を一緒に食べようって言うからさ、シャルルも如何だ?」

 

「えっ?僕が同席していいの?」

 

「大勢で食べた方が美味いし良いだろ?それに楽しいから来いよ」

 

「うん・・・じゃあお言葉に甘えて行こうかな」

 

「じゃあ先に屋上に行って待ってるからな」

 

既に着替え終えていた僕は更衣室をあとに食堂に向かった。

 

でも今気付いたけど・・・。

 

 

「屋上に行く道どころか、食堂が何処にあるかも知らなかった」

 

 

如何しようかな・・・ん?あそこにいるのは・・・。

 

 

「太一!」

 

「シャルル?こんな所で何してんだ?飯食いに行くのなら食堂はあっちだぞ」

 

「うん・・・今思ったら僕まだ何所に何があるかよく知らなくて」

 

「あぁ・・・なっ、俺も飯食いに食堂行くから付いて来いよ」

 

「良いの?ありがとう」

 

 

僕は太一の案内で食堂に向かった。

 

途中僕に声を掛けようと寄ってくる女子達が居たけど、太一が居るからか、一定以上寄ってこない。

 

おかげで何事もなく?行けるからいいけど・・・。

 

あまりいい気はしないな・・・。

 

 

「如何した?浮かない顔して」

 

「あっ・・・いや、その・・・太一はさ・・平気なの?」

 

「何が?」

 

「その・・・女子から・・その・・・」

 

「あぁ・・・別に気にしてないよ、今に始まった事じゃないし」

 

「でも・・・」

 

「それにこうなったのは俺自身の責任だ、なら俺はそれを甘んじて受けるさ」

 

 

責任って言うけど・・・詳しくは分からないけど、今日の太一を見る限り、何も間違った事をしているわけじゃ無いのに・・・。

 

それにこんな扱いされ続けて平気な訳がない・・・あっ、そうだ。

 

 

「太一、僕一夏に昼食を誘われたから一緒に行かない?」

 

「織斑に?」

 

 

太一と一夏って、見た感じ今一友達とかそう言う感じじゃないんだよね。

 

一夏と友達になれば、太一の交友に変化が出るかも・・・。

 

 

「なあ・・・1つ確認するけど・・・それってひょっとして篠ノ之、オルコット、凰の誰かも一緒か?」

 

「えっ?うん・・・たしか箒が居るって・・・それって篠ノ之さんの事だよね?」

 

「うわ~~~行きたくね~~~」

 

 

太一は心底嫌そうな顔して、行きたくないと言った・・・そこまであからさまに態度に出されると逆に清々しいよ。

 

 

「あの・・・如何してそんなに嫌そうなの?」

 

「まあ来てまだ半日も経ってないし分からないのも仕方ないけど・・・何が哀しくて修羅場に身を投じなきゃいけないんだ」

 

『いや~~~僕も話には聞いていたけどあそこまで酷いとは・・・』

 

 

エックスも知ってるんだ・・・一夏って何をしたんだろう?

 

と言うか修羅場って・・・。

 

 

「イライラするうちはまだいいけど、問題は次第に胃がキリキリしだすんだよな・・・」

 

『太一とはまたある意味で悪い女癖だよね』

 

「お前までそれ言うか!?」

 

「はは・・・でも如何言う事?その・・・女癖って?」

 

『太一が言わば硬直癖なら』

 

「織斑は建築癖ってところだな」

 

 

建築?一体何を建てているの!?

 

 

「まあ初心者にあの空間は苦痛だしな・・・俺も行くよ」

 

「本当!?」

 

「愚痴は聞いてやる」

 

 

と言うか一夏が居る場所に行くだけで凄い言われ様だね・・・本当、何が待っているんだろう?

 

 

「じゃあ飯買っていくか・・・面倒だから食堂で食いたかったけど、ちょっと多いから手伝ってくれるか?」

 

「うん・・・いいよ」

 

「ついでに胃薬買っとくか?ストレス性に効くやつ」

 

「ははは・・・それはいいんじゃないかな?」

 

 

そしてこの後僕は知った、そして後悔した、太一が言った修羅場の意味を、そして胃薬を買っておけば良かった事を・・・。

 

だけどストレス性の胃痛に効くのと胃の調子を整える2種類を・・・。

 

 

Side・三人称

 

昼食時のIS学園の屋上は生徒達の憩いの場であり、ここで昼食をとる生徒は多い。

 

そこに1人待つ一夏の姿があった。

 

 

「おっ!シャルルこっちだこっち・・・って八神?」

 

「何だ?俺が居ちゃまずいのか?」

 

「僕が誘ったんだ、大勢いた方が楽しいって一夏が言ったから・・・駄目だった?」

 

「いや・・・そんな事ないけど・・・」

 

 

何処か気まずそうな一夏。

 

あの模擬戦後、一度も会話をしてない太一と一夏。

 

ボロ負けしたのもそうだが、何よりも千冬に、本気の太一相手ではすぐに負けると言われた時「俺は千冬姉の弟だ!!」と反論した。

 

一夏自身、心のどこかで世界最強の姉の弟である自分も、幾分かは近い才能があると思っていた。

 

中学時代バイト生活に明け暮れ、小学生の時にやっていた剣道を止め、ブランクはあったにせよ、

最近はISの戦闘訓練等で実力は付いて来た、憧れの姉に少しずつ近付けている・・・そう思っていた。

 

そして出てしまった「俺は千冬姉の弟だ!!」と言う言葉・・・これだけの大口をたたいておきながら、

太一に本気を出されずに、一発も当てる事無く敗北。

 

大口をたたいて負けた悔しさと恥ずかしさ、そんな感情に縛られた一夏が、その原因でもある太一に如何話しかけられるものか・・・。

 

 

「まあまあシャルル、織斑は俺との模擬戦であんな記憶に残る負け方をしたんだ、俺を見て元気が出ないのは当然だ」

 

「なっ!?」

 

 

それを知ってか知らずか・・・いやこれは分かってやっているな・・・。

 

太一は意地悪そうに一夏の心境の核心を突く。

 

 

「太一!そう言う事言っちゃったら一夏が可哀想だよ」

 

「シャルル・・・」

 

 

シャルルの優しさに心が和らぐ一夏・・・しかし。

 

 

「可哀想でも何だろうが、次は負けない!くらいの意気込みなく、只恥ずかしさで何にも言いに来ない玉無し野郎にはこれで十分」

 

「ぐはっ!!」

 

「太一!」

 

 

すぐさま言葉のナパームを放り込む。

 

 

「まっ色々わかったからいいけどな」

 

「「?」」

 

「それより、俺はシャルルに誘われたから此処に居るけど、何だったら別のとこに行くぜ」

 

「・・・勝手にしろ」

 

「あら織斑君、ご機嫌斜め?」

 

「誰の所為だ!」

 

「俺」

 

「このっ・・・まあいいや、こういうのも何か懐かしい・・・」

 

 

どうやら中学時代の男友達との日常を思い出したようだ。

 

ここしばらく忘れていた男子同士の下らなくも楽しかったじゃれ合いをして、一夏の機嫌が少し良くなった。

 

 

「確かに八神の言う事も尤もだな・・・次は負けないからな!」

 

「出来るか?次も俺が勝つ・・・と言うかお前は俺に本気を出させな」

 

「ぐっ・・・確かに・・・」

 

「はは・・・頑張れ一夏」

 

「ところで・・・2人の持ってるその袋って・・・何?」

 

 

一夏は太一とシャルルが持ってきた袋が気になっていた。

 

時間と此処に来た目的から、中身は2人の昼食だとは思えるが・・・その量と言うか大きさが問題だった。

 

 

「これ?殆ど俺の昼飯」

 

 

そう言うと太一は持ってきた袋の中身を出しだした。

 

食堂の購買で売っていた弁当8種類、2ℓお茶のペットボトル2本、インスタントの味噌汁5カップ(お湯入り)、

そしてシャルルの分であるパン2種類と紅茶。

 

 

「おまっ・・・これ全部食べるのか!?」

 

「まあな、本当は弁当あと2個買いたかったけど、これ以上は駄目だっておばちゃんに言われてさ・・・放課後までもつかな?」

 

「食べ過ぎは体に良くないよ」

 

「食べなさ過ぎも体に良くない」

 

「そうだけど・・・」

 

「あら?アンタ達も居たの?」

 

「一夏さん、昼食のお誘いありがとうございます」

 

「おお2人とも来たか、後は箒だけだな」

 

 

鈴とセシリアがやって来て残るのは箒だけとなった。

 

しかし今日転校してきたばかりのシャルルは、2人から異様な雰囲気を感じ、只一緒に食事をするだけなのにこんな雰囲気になる事に困惑する。

 

事の詳細を求めるべく、シャルルは小声で太一に尋ねる。

 

 

「ねっ・・・ねえ太一、如何して2人共警戒してるの?」

 

「こんなのまだ序の口だ、篠ノ之が来たら三つ巴になる」

 

「えっ?如何して?」

 

「見てたら分かる・・・だけどこうなった原因は全て織斑にあるとだけ言っておこう」

 

 

その後すぐ手に弁当箱を持って満面の笑みの箒がやって来たが・・・現状を見てその表情が崩れた。

 

 

「なっ・・・何で勢揃いなんだ?」

 

「えっ?駄目だったのか?大勢で食った方が楽しいと思ったんだけど・・・それにシャルルはまだ右も左も分からないし」

 

「どっ・・どうも・・・」

 

「因みに俺はシャルルに誘われたから来た、分かってはいたが・・・取り敢えずスマン」

 

 

箒に同情の意を込め謝る太一。

 

 

(くぅ・・・折角・・折角一夏と二人きりになれると思ったのに・・・)

 

(抜け駆けはゆるさないわよ)

 

(一夏さんと二人きりで食事なんてさせませんわ)

 

「早く座れよ箒、俺もう腹が減ってさ」

 

 

彼女達の心境をまったく理解できない・・・と言うより彼女達が出す空気を読めない一夏は何ともマイペースな発言をする。

 

 

(ひょっとして・・・この3人って・・・太一が言ってた修羅場ってこういう事だったんだ)

 

 

シャルルは場の空気と、太一が言っていた事を照らし合わせ、彼女達が一夏に惚れている事を理解し、

矛先の人物がまったくそれに気付いていない事が分かった。

 

 

「ほらよシャルル、お前の分」

 

「あっ・・ありがとう」

 

「分かった?俺の言ってた意味」

 

「うん・・・薬・・・買っておけばよかったかも」

 

「察しが良くて助かる、アイツと仲良くなると・・・まあ仲良くならなくても、あっちから言い寄ってくるから、

何時でももれなくリアルな修羅場を見られます」

 

「そんな通信販売のオマケみたいに・・・」

 

「なあ・・・お前達なんの話をしてるんだ?」

 

「いや・・・空気を読めず、人(織斑に惚れた)の気持ちにも気付かない言動、その結果修羅場になって、それにも気付かずに、

また空気を読んでない言動をして周りの人間(俺等)をもストレス漬けにして胃に穴をあけかねない、

そんな事にも気付かない奴がいるって話をしてたんだ」

 

「そんなひどい奴がいるのか?まあそれに比べたら俺はちゃんと空気を呼んで発言するからそんな事はないけどな」

 

(((((お前(君)(あなた)の事だよ(ですわ)!!)))))

 

 

これぞKYにして鈍感の鑑。

 

自信満々に言う一夏に、太一達は心の中でツッコミ頭を抱える。

 

こんな事を続けても、胃に穴が開くか円形脱毛症になるだけなので昼食をとる事にした。

 

 

「ほらお前の分だ」

 

「俺に!?だから購買で何も買うなって言ったのか・・・ありがとう箒!!」

 

「「ムッ」」

 

「き・・気にするな・・・」

 

 

しかしこの3人と一夏が揃っているかぎり、それは叶わぬ夢物語の様なものだった。

 

 

「偶然ね・・・はい!これ一夏が食べたがっていた父さん直伝の酢豚!」

 

「奇遇ですわね・・・私も今朝は早く目が覚めましたので、一夏さんに手料理を作ってきましたの」

 

「おお鈴も・・・ってセシリアも!?」

 

 

鈴とセシリアも偶然か必然か、箒と同じく一夏の分の昼食を作っていた様で、それぞれが作った酢豚とサンドウィッチを一夏の前に差し出す。

 

しかしセシリアに対しては鈴と違って戸惑う反応だった。

 

 

「一夏如何したの?」

 

「いや・・・セシリアの作った料理は・・・見た目は良いんだけど・・・味が壊滅的に不味いんだ」

 

 

セシリアに聞こえない様に説明する一夏。

 

レシピ通りに作るのではなく、写真に似せようと作っているらしく、以前食べさせられた自称“タマゴ”サンドが、

“卵”が使われていない黄色い何かを挟んだ、若しくは何かを混ぜて黄色くした物を挟んだ黄色い何かサンドだったと言う。

 

 

「アンタがハッキリ言わないからいけないのよ」

 

「でもよ・・・美味いって言わないと殺すって顔するし・・・それに・・・」

 

「如何したのですか一夏さん?早くお召し上がってください」

 

「うぅ・・・」

 

 

セシリアはプライドが高く、何でも熟せると思っている。

 

故にこの未知の味がするであろうサンドウィッチも、絶品に違いないと思っている。

 

もし本当の事を言ってしまえばセシリアは傷付いてしまう。

 

一夏としてはそんな事はしたくなった。

 

 

「へぇ・・・お嬢様が作ったサンドウィッチねぇ・・・どんな味がするのか興味があるな」

 

「八神・・・って!?食うの早!?」

 

 

先程から会話に参加してなかった太一は持ってきた弁当の半分を食べ終えていた。

 

しかもキチンと一口放り込んだら30回噛んでから飲み込み、次を口に入れる規則正しい食べ方を物凄い速さでしていた。

 

 

「普通じゃないか?」

 

「いやいやいや・・・普通4人分をこんなに早く食べられないって」

 

「何時から食べ始めてたの?」

 

「篠ノ之が織斑に弁当を渡した時から」

 

「ほんの3分前じゃない!!アンタ食べてる時だけクロックアップでもしているの!?」

 

「いや~~~昔、修行で樹海に放り込まれた時、折角捕った食料を野生動物に取られそうになる事が多くてな、

若しくは俺が熊とかの食料になりそうで・・・逃げながら護りながらの食事も多くてな・・・その甲斐あってかこんなに食うのが早くなった」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

 

太一の修行時の思い出を聞いて絶句する一夏達。

 

樹海に放り込まれて熊に追いかけられるなんて何時の時代だとツッコみたかったが、それをやらせたのが自分達(鈴を除く)の担任にして、

太一の師匠である千冬だと思うと何処かやりかねないと思ってしまい、口にできなかった。

 

 

「一応言っておくけど、織斑先生と織田主任に樹海に放り込まれたんじゃないぞ」

 

「「「「「あっ・・・そうなの(ですの)?」」」」」

 

 

流石にそこまでしないかと安心し胸を撫で下ろす一夏達。

 

 

「そりゃそうだ・・・あの2人はそんなまどろっこしい事をさせるより、猛獣と素手で戦えと言って、檻に放り込む人達だ」

 

「「「「「もっと厳しくて非道な修行をさせられていたあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」」

 

「いや~~~大変だった、その猛獣がその日の飯だった時もあったからな、倒して息の根を止めないと飯に有りつけないからこっちも必死だったよ」

 

「ねっ・・ねぇ・・・太一、その・・・織斑先生と織田主任からどんな訓練をやらされていたの?」

 

 

太一の口から衝撃的な修行内容を聞かされ、一夏達は興味と何れは自分もさせられるかもしれない恐怖から、

今後の予備知識として今までどんな修行を受けてきた過去の気に聞こうとする。

 

 

「ん?そうだな・・・基本は筋トレと組手だな」

 

「それだけ?」

 

「あぁ・・・今言った、猛獣の居る檻に放りこむのも、自分達以外の相手と戦わせて経験を積ませたかったけど、

俺と同じ位の実力を持った奴がいないからそうしただけだし」

 

「アンタってどれ位強いのよ!?」

 

「人間相手はよく分からないけど・・・素手や周りにある物を利用して熊や牛は3時間掛けて何とか・・・」

 

(((((ぐっ・・・グラップラー・・・!?)))))

 

 

一体どんな訓練を積めば15~6の少年がそこまで強くなれるのか果てし無く謎だが、そんな太一を鍛えたのがあの千冬と思えば、

どこか納得してしまいそうな気がして仕方が無かった。

 

 

「それよりさ、オルコットのサンドウィッチ食べないのか?」

 

「そうですわ!ささっ一夏さん、早くお召し上がりになってください」

 

「えっ!?いや・・・その・・・・・・」

 

「オルコット、俺にも1つくれないか?」

 

「「「えっ!?」」」

 

「構いませんが・・・と言うか一夏さん達は何をそんなに驚いているのですか?」

 

 

食べる事に集中していたが自分達の話は聞こえていた筈と一夏達は思った。

 

それならセシリアのあのサンドウィッチが如何いう物か分かる筈、それを自ら貰おうとする太一の言動に皆が驚愕する。

 

 

「悪いな、庶民としてはお嬢様が作った食事に興味があってね・・・さぞこのサンドウィッチも高貴な味がするんでしょうね」

 

「それはそうですわ!このセシリア・オルコット、何事にも完璧に優雅と高貴に熟せますわ」

 

 

太一の言葉に気を良くしたのか、セシリアは太一に見た目はタマゴサンドである物を差し出した。

 

 

「ほんじゃま・・・いっただっきま~~~す!」

 

バクッ!

 

 

太一は一口で半分ほど口に入れ、そして味わう様に何度も目を閉じて何度も噛む。

 

あの味と恐怖を知る一夏達からすればそれは信じられない光景だった。

 

自分はあれを口にした瞬間顔は青色を通り越し紫色になり、口を動かす度に口から全身に痺れる感覚が広がり、

呼吸をしようとしたら異臭が脳髄に響いたと言うのに、目の前の男は平然と食っている。

 

それを見て、ひょっとして今回はチャンとした料理になってる?と思い、一夏達も徐に一口・・・。

 

「ぐっ!?」

 

「うぷっ!?」

 

「いぎっ!?」

 

「うっ!?」

 

 

上から一夏、箒、鈴、シャルルと、口にした瞬間吐き気を催したが、ギリギリの所で踏み止まっ・・・いや違う、

今口を開いたら吐くだけではなく、そこから空気が入り込み口の中は異臭に覆われると直前に察し口を固く閉じる。

 

しかし同時に呼吸が出来なく、苦しくなってきて、一夏達の顔色はみるみる悪くなる。

 

かと言ってこの劇物を飲み込む事などもできず、出すも地獄出さぬも地獄、呑み込んだら無間地獄へ一直線の一切逃げ場のないの状況だった。

 

 

「一夏さんどうです?今日は前回より隠し味を足したので一層美味しくなっていますの」

 

 

たった2回の料理で美味しくなっていると断定できる自身がある意味で凄い。

 

しかも前回のは食べた者からしたら明らかな失敗作、それに更に味を足したので一層不味くなっていた。

 

そして味の感想を一夏に問うが、今口を開いたら悲惨な事になる、そしてセシリアが傷付くから素直に感想が言えない。

 

その悪循環が一夏を苦しめる・・・口の中の物体にも苦しめられる。

 

 

(一夏!言え!素直に不味いと言え!!)

 

(気になったから食べちゃったけど、今此処でアンタが素直に言わないと私達にまで被害が及ぶのよ!!)

 

 

箒と鈴から素直に感想を言えと目で訴えられ。

 

 

(絶対美味しいですわ!間違っても不味いなんて事はある筈がありませんわ・・・もし不味いなんて言ったら・・・)

 

 

不味いと言えば殺すと表情で訴えるセシリア。

 

両者の板挟みにあい、狼狽える一夏は口も開けない・・・開いたらとんでもない事になる、ましてやのみ込めないのを含めて言葉を発せない。

 

 

「うん、これは不味い」

 

「「「「!?」」」」

 

「なっ!?」

 

 

誰もが言葉を発さない状況で、太一がハッキリと味の感想を言った。

 

 

「なっ・・・アナタ人の料理をいただいておいてそれは失礼ですわよ!!」

 

 

当然作ったセシリアは髪を逆立てるほど怒り出す。

 

 

「まあ待て、お前これを作る時味見したか?」

 

「えっ?いえ・・・始めは一夏さんに食べていただきたくて・・・それに私は無駄なカロリーは摂取しませんので、

間食はいたしません」

 

「ふ~~~ん、後半色んな意味で殴ってやろうかと思ったが・・・まあ今は飯時だし織斑も食べた、

自分が作った者を食べても良いんじゃないか?それでお前が美味いと感じたら、それは俺とお前の味覚の違いによるものだ、

その場合は素直に謝る」

 

「分かりました・・・いただきますわ」

 

パクッ・・・

 

 

そう言いセシリアは自ら作ったサンドウィッチを口にした・・・そして。

 

 

「うっ!?」

 

 

如何やら料理の作り方に関しては異常だが、味覚は正常の様だった。

 

セシリアは口を押さえて顔を青褪める。

 

 

(何ですのこの酷い味は!?こんなものを私は一夏さんに食べさせていたのですか?)

 

「感想は?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

太一の質問に答えないセシリア、一夏達と同じく口を開けられない状況なのだ。

 

 

「色々思う所があると思うけどまずは聞け、料理は味見して完成なんだ、味を確認しないで美味いか不味いかなんてわかりっこないからな」

 

「・・・・・・・・・」

 

「確かに国や民族の違いで味付けや、個人として味覚も違うのは分かるけど、まず自分が味見して美味いと思わないと人に出しちゃいけないと俺は思う」

 

 

太一の言葉を聞くにつれセシリアが落ち込んで行くのが見てわかる。

 

それを見て一夏が太一の肩を掴んだ。

 

 

(やめろ八神!それ以上セシリアを傷付けるな!!)

 

 

一夏は目で太一に訴えるが、太一は肩を掴む一夏の手を払い、真剣な顔で一夏の方を向く。

 

 

「織斑、オルコットを傷付けたくない気持ちは分かる、しかしそんな優しさがかえって更に相手を傷付けてしまう毒になる時もあるんだ」

 

「!?」

 

 

太一の言葉に一夏は驚きの表情となる。

 

 

「今この場で誰も味について言わなかったら、若しくは嘘で美味いと言えば、オルコットは今は傷付かない、

でもこの先何度も同じ事をして積み重ねていっていつか本当の事を知った時、オルコットはどれ程傷付く?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「料理なんかは女性の魅力を表す1つ、普通は数を熟せば腕も上がるだろうけど、まず根本からできていなくて、

それで完璧と思っているとなると、間違ったまま数を熟す事になる、そしてそれを好意を持っている異性に披露した時如何なる?」

 

「ぐっ・・でっ・・・でも・・・」

 

 

一夏は口の中のものを何とか飲み込み、気分を悪くしも声を発しようとする。

 

 

「勿論・・・俺のした事が絶対に正しいとは思わない、これは俺自身が言った方がいいと思ったからした事・・・所詮は独り善がりだ」

 

「・・・だったら・・言わなくても・・・いいじゃないか・・・・・・」

 

「なら俺も、オルコットを思うなら言ってやればいいって思うけどな」

 

「・・・・・・」

 

 

一夏は何も言い返せない。

 

太一の言っている事全てが正しいとは言えないが、それを本人も自覚して言葉にしているから、全てが正しいと思ってしまうのだ。

 

 

「オルコット、自分の作った料理の何が駄目か分かって、それでお前は如何する?」

 

「・・・私は・・・これほど自分を惨めで愚かと思った事はありません」

 

 

セシリアは俯いたまま何とか言葉を発する。

 

 

「ですが私はやろうとした事を途中で投げ出す事は致しません!それをしてしまいましたら、

それは私が私自身でなくなる事を意味しますわ!!何時か皆さんが美味しいと言わせる料理を作ってみせますわ!!」

 

 

セシリアは真っ直ぐ太一を見て自分の決意を言った。

 

 

「そうか・・・なら先ずは料理が出来る人に教えてもって基本を習え、クラスメイトでも食堂のおばちゃん、

それに・・・お前の家ってお手伝いさんかなんか居る?」

 

「はい・・・私の専属メイドで幼馴染のチェルシーが、彼女以外にも執事や料理人はいらっしゃいますわ」

 

「その幼馴染のメイドさん料理できる?」

 

「はい、出来ますわ」

 

「ならそのメイドさんに料理を教えてもらいな、自分の親しんだ国の料理を先ず作れるようになれ」

 

「えっ?ですが・・・」

 

「?」

 

 

太一に自分の国の料理を作れるようになれと言われ顔を若干歪ませ一夏を見るセシリア。

 

IS学園に入学して間もなく一夏と対立していた時、売り言葉に買い言葉で言った一夏の一言、

「世界一不味い料理で何年覇者」これがセシリアが自国イギリスの料理を作ろうと思わない理由だ。

 

 

「あぁ・・・まあそれは過去のイメージが根強く付いているだけで、実際食べてみると美味い料理もあるし、

そう言うイメージを払拭させる良い機会でもあるんじゃないか?」

 

「そうでしょうか?」

 

「まずは自分の国の料理が出来る様になってから、和食や中華料理を作れるように練習するのも悪くない、

と言うか多分料理が出来る人って、先ずは自分の国の料理が出来る様になってから他の国の料理に手を伸ばすともうぜ、俺もそうだし」

 

「八神さんも料理が出来るのですか?」

 

「まあな、一通りは作れる自信はある」

 

「そうなのか!?作れそうなイメージ全然ないのにな・・・」

 

「・・・色々と1人の時があったからな・・・さて、お前等吐くなら袋やるぞ」

 

 

そう言って太一は未だ苦しんでいる3人に目をやった。

 

 

コクコクコク・・・・・・

 

「皆さん申し訳ありません・・・」

 

「飲み物いるか?」

 

コクコクコク・・・・・・・

 

「分かった、水でいいよな?俺が買いに行ってやるよ」

 

「あっ!八神待ってくれ」

 

 

飲み物を買いに行こうとする太一を一夏が呼び止める。

 

 

「何だ?」

 

「いや・・・その・・・セシリアの事ありがとうな」

 

「別に礼を言われる事はしてない、只のお節介だよ」

 

「でも・・・ストレートに言い過ぎだと思うぞ、もっとその・・・オブラートに包むと言うか何と言うか・・・」

 

「遠回しに言っても伝わらないかもしれないからな、俺にはこんな風にしか言えない」

 

「しかし」

 

「昼休憩の時間は限られているから、俺はもう行く、お前はあの3人を介抱してやれ」

 

「あっ!おい!」

 

 

太一はそう言ってそそくさと屋上から出て行った。

 

 

「さて・・・自販機は・・・」

 

 

太一は自動販売機を探すが・・・すぐ近くにあった。

 

 

「・・・・・・あっちだな!」

 

 

しかし太一は自動販売機がある方とは反対方向に歩き出す。

 

 

「早く買ってかないと昼休憩が終っちまうし急ぐか」

 

カッ・・カッ・・カッ・・カッ・・・

 

「しかしま・・・織斑もめんどくさい奴だよな・・・素直に不味いと言えばいいのに」

 

カッ・カッ・カッ・カッ・・・

 

「まあ当分あの料理に巻き込まれる事も無いと思うしこれでいっか・・・」

 

カッカッカッカッ・・・・

 

 

太一の様子がおかしい・・・一言発する毎に顔は青ざめて行き、歩行のスピードが上がっている。

 

 

「でも・・・」

 

タッタッタッタッタッタッタッ・・・

 

 

そして・・・。

 

 

「あれは・・・」

 

タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタッ!!

 

 

早歩きから・・・。

 

 

「うぶっ!?」

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

 

 

全力疾走へと変わり。

 

 

バタンッ!!

 

「おぼろじやあああああああああああああああっ!!なんぼらあびょあぎら(何だあの味は)ああああああああああああああああああああっ!!」

 

 

最初に居た場所から一番近い男子トイレに駆け込んで盛大に胃の中のものを吐いた。

 

本当は平気じゃなかった様子です・・・如何思われていてもカッコ悪いとこ見せたくないですよね男の子だもん。

 

 

Side・太一

 

あぁ・・・酷い目に合った。

 

 

「今日一日大変だったね・・・特にお昼ご飯が・・・」

 

「あぁ・・・あの後も・・・」

 

 

あの後胃の中のもの全て吐き出した後に水を買ってシャルル達の所に戻って食事を再開し、口直しとして織斑が篠ノ之のから揚げを食べて絶賛。

 

しかし篠ノ之の弁当箱にはそのから揚げが無く、お前も食べろと考え無に“はい、アーンイベント”を起こし、

それを見て自分達もと凰とオルコットが前に出て修羅場に突入した。

 

胃に劇物(サンドウィッチ)によるダメージが残っている所に修羅場によるストレスの追い討ち、

これはキツイなんてもんじゃない。

 

何とか耐え忍んだ俺達は午後の実習に勤しんだ。

 

まあ整備実習でしかも内容が初歩の初歩、俺は本職だから補佐に回されたけど・・・これが結構大変だった。

 

代表候補生組と意外に本音は基本が出来ているから問題ないけど、織斑はじめその他は工具も扱えない素人、

何回か配線をショートしかけてヒヤヒヤさせられた。

 

ショートした配線は本格的な修理が必要だから・・・全てのシワ寄せが俺達(整備課)に回ってくる。

 

俺はここの生徒にはなったが整備課には席を置いている、放課後は整備課に顔を出して場合によっては引き継ぎや仕事をする。

 

それは放課後に限った事ではないが・・・確か今月中かそこらで学年別のトーナメントがあったな、

そうなると授業には出ないで整備の方に回されるだろうな。

 

おっと話が反れた・・・今日恵姉がここに来てこう引き継いでいったらしい・・・。

 

 

『今日八神の要るクラスで整備実習があるから、もしそれでISを壊したらそれ全部八神1人で今日中に直させとけ、

今日中に終わらなければ飯と睡眠を与えず続けさせろ・・・ただし授業には出させろ』

 

 

今回実習用に用意したISは全部で10機、仮にこれ全部が今日の実習内容を考えて壊れるとすると、

それを1人で直すのに如何見積もっても2日は必要だ・・・勿論休憩や食事、睡眠を抜いてだ・・・。

 

勿論そんな事を言われればもんくの1つも言いたくなる・・・しかしやはり師匠は上手だった・・・。

 

 

『追伸・・・千冬の事だ、お前を補佐に回すに決まってるから、壊れたらお前のサポート不足と整備力不足って事で・・・やれ』

 

 

有無も言わさぬ師匠の言葉・・・逆らえば地獄を見る・・・なら俺がする事は只一つ。

 

1つたりとも壊されない様に目を光らせ、俺の持てる全てを使って整備の基礎を叩き込む!!

 

その甲斐あって何とかISは壊される事なかったが・・・俺はもう心身ともにヘトヘトだった・・・。

 

 

「あの時の太一・・・鬼気迫るものがあったね」

 

「今この状態でISの修理なんかさせられたら軽く死ぬ・・・」

 

「はは・・・布仏さん達も、今の太一を見てデザートを奢ってもらうのは今度でいいって言ってたしね」

 

「あぁ・・・早く帰って飯食いたいけど帰る部屋が分からねえ・・・」

 

 

俺とシャルルは放課後自分達の部屋に案内すると言われ残された。

 

ボーデヴィッヒは1人部屋らしく千冬姉さんにHRが終ってからすぐ連れられて行った。

 

まあ俺も1人部屋だろうな・・・政府への提出レポートや、ISの整備データ諸々、見せられない物が結構あるから、

千冬姉さんもそこを配慮してくれている筈だ。

 

 

「八神君、デュノア君お待たせしました!それでは“お2人”の部屋に案内しますからついてきてください」

 

 

おっ?丁度山田先生がやって来たな。

 

ようやく俺達の部屋に・・・俺達の?

 

 

「八神君?どうかしましたか?」

 

「あのっ・・・山田先生、今何とおっしゃいました?」

 

「えっ?お2人の部屋に案内しますからついてきてくださいと・・・」

 

「あの・・・それって、俺とシャルル・・・其々の部屋に案内するって意味ですよね?」

 

「いえ・・・お2人は同じ部屋ですよ・・・良かったですね。

転校生同士で仲の良いお友達同士で同じ部屋なんて」

 

 

なっ・・・なんだ・・・・・・とっ!?

 

 

「いやっ!?何で俺がシャルルと同室なんですか!?」

 

 

俺は状況が掴みきれず、そしてシャルル・・・実は女の子の彼女と同室になる事に、思わず声を荒げてしまった。

 

 

「太一・・・僕との同室になるの・・・・・いや・・なの?」

 

 

えっ!?シャルル君?如何してそんな悲しそうな顔してるの?君シャルロットさんだよね?実は女の子だよね?

だったら少しは男子と同室になるのに抵抗しようよ!!男のフリするのはいいけど多少は抵抗しようよ!!

 

俺か?俺が悪いのかこれ?確かにこんな事言ったら相手は傷付くかもしれないけど・・・はい、俺が悪かったです・・・すみません。

 

 

「いやな・・・シャルル、俺が日本政府の機関で働いて、そしてIS学園の要請でここの整備課で働いているのは聞いたよな?」

 

「・・・うん・・・」

 

 

あの・・・何でそんな捨てられそうな子犬の様な目で俺を見るのかな?

 

 

「だから色々と見られたらマズイ物を俺が持っているのは分かるよな?だから俺は1人部屋になると思ってたんだよ!

ここの先生達もそれを理解している筈だし、それで誰かと同室なんて言われたら慌てるのは当然だろ?なっ?なっ?」

 

 

俺は子供を宥める様にシャルルに事情の半分を説明した・・・本当は他国の代表候補生にこんな事言っちゃダメなんだけど・・・仕方ない。

 

でも残りの半分は言えねえや・・・実は女の子のシャルルと同室なんて心臓がもたないからなんて・・・カッコ悪すぎるし、

コイツの事を今知られるのは変な・・・いや、大きな混乱と騒動が起きるしな。

 

 

「あぁ・・・確かに八神君の立場を考えるとそうしたかったのですが・・・あいにく部屋数と引越しの作業等、

色々間に合わなかった事もあって、転校生の男子同士を同室にする事になったんです。

流石に女子のボーデヴィッヒさんと同じ部屋にする訳にはいきませんからね」

 

 

いや!ここに性別偽ってる女子が居ますよ・・・色んな意味で知ってか知らずか男女の同室作ってますよ!!

 

て言うか織斑はいいのか!?アイツも幾ら幼馴染とは言え篠ノ之と同室なんて十分問題なんじゃないのか!?

 

 

「はあ・・・シャルル、もう決まったなら仕方がない、ちょっと窮屈な思いするかもしれないけど、

取り敢えずルームメイトとしてこれからよろしく」

 

「うっ・・うん、太一の立場上仕方ないもんね・・・こちらこそよろしくね」

 

「ごめんなさいね八神君、織斑君も何時までも女子と同室にする訳にはいけませんので、近い内に部屋割りの調整はしますからそれまで待ってくださいね」

 

 

なるべく早くお願いします・・・俺の心臓がもたないので・・・。

 

 

Side・シャルル

 

何でだろう?

 

太一が如何して僕と同室なんだって言った時、とても切なくて・・・悲しい気持ちになった。

 

まだ会って1日も経ってないのに・・・太一の事がすごく気になるし、それに傍にいると何処か安心する。

 

僕・・・ひょっとして太一の事が・・・。

 

 

「はい!此方がお2人のお部屋です」

 

 

色々考えている内に僕達の部屋に着いた。

 

ここが今日から僕と太一が過ごす部屋・・・。

 

何だろう!?心臓の鼓動が早くなって、顔が熱くなってきた!?

 

 

「シャルル如何した?」

 

「なっ!?何でも無いよ!ちょっとどんな部屋かなって考えてただけ・・・」

 

「ふ~~~ん・・・(何をそんなに慌ててるんだ?)」

 

 

うぅ・・・男子との共同生活は、覚悟はしていたけどやっぱり緊張するし不安だよ・・・それに何だか太一の事も気になるし・・・。

 

うぅ~~~~なんだか少し怖くなってきた・・・。

 

 

「それでは中へどうぞ」

 

 

山田先生が部屋の扉を開けて、僕達もそれに合わせて部屋の中に入った。

 

 

「「・・・・・・・・・えっ!?」」

 

ドサッ!

 

 

部屋に入ってある一角を見て僕等は絶句して、手に持っていたカバンを落としてしまった。

 

 

「なあ・・・シャルル、俺目がおかしくなったのかな?2つないといけない物が1つしかない様に見えるんだけど・・・」

 

「うん・・・僕も・・・1つに見えるよ・・・サイズ的に問題は無いけどね・・・」

 

 

太一も1つに見えるなら幻覚じゃないんだね・・・僕達は部屋に置かれた1つだけのベッドを・・・ダブルサイズのベッドを呆然と見つめた。

 

 

「ごめんなさいね・・・この部屋で前使っていたベッドが壊れてしまって新しいのを発注したんですが、

如何間違えたのか発注ミスでダブルベッドが・・・」

 

「いやいやいや・・・発注ミスって・・・」

 

「でも大丈夫ですよね?男子と女子なら大変でしたけど、男の子同士なら問題ないですよね?」

 

「男同士でも十分問題じゃあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

たっ・・・太一と1つのベッドで寝る?そんなまだ心の準備が!?

 

でも・・・太一なら構わないかも・・・。

 

 

「おいシャルル!何か変な世界にトリップしかけているぞ戻って来い!!」

 

「あの・・・如何したんですか八神君?」

 

「こんな現約99.9%女子高の寮で、男同士がダブルベッド使って一緒に寝ているなんて知られたら、勘違いして俺等がホモと思われて、

皆から白い眼で見られ腐女子共の恰好の餌食になってしまうでしょうが!!ホモ疑惑が浮かぶのは織斑だけで十分だ!!」

 

「えっ?えっと・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・にへへ・・・」

 

「!?山田先生?」

 

「大丈夫ですよ・・・男前タイプな八神君と、中性的な顔立ちのデュノア君なら・・・」

 

「何が大丈夫なんですか!?」

 

「いえ・・・知らない人から見れば・・・」

 

「いや知ってるでしょ!!ここに居る人全員!!俺男!!こいつも男!!それに知らない人から見れば何だって言うんですか!?」

 

「いやその・・・絵になる?」

 

「それ完全にアウトでしょ!?絵になったらダメでしょ!!それに何気にシャルルが男っぽく見えないって言ってるし!」

 

「いやそんな事は・・・」

 

「・・・ひょっとして山田先生・・・こういうの・・・好きっすか?」

 

「はう!?そっ・・・そんな事は・・・でも・・・漫画みたいでちょっと素敵かも・・・」

 

(ちきしょう・・・ここに味方はいないのか・・・)

 

「とっ・・・取り敢えず、決まってしまったものは直ぐには変えられませんから我慢してください!」

 

「・・・あの、因みに聞きますけど・・・ボーデヴィッヒの部屋もこんな感じで?」

 

「いえ・・・ボーデヴィッヒさんの部屋は普通にベッドが2つ・・・あっ!」

 

「山田先生・・・アナタの罪を数えてください!!」

 

「そっ・・・それではごゆっくり・・・荷物は部屋に届いていますので確認してくださいね!これは部屋の鍵です!

それではまた明日教室で会いましょう!!」

 

「あっ!!逃げんな!!」

 

 

はわわわ・・・おはようからおやすみまで一緒なんて新婚さんみたいな・・・料理は僕が作った方がいいかな?

太一はやっぱり和食が好きなのかな?それとも洋食?あっお弁当も作った方がいいかな?

 

 

「シャルル・・・ソロソロ戻って来い、シャルル!」

 

「はっ!?如何したの!?あれ?山田先生は?」

 

「逃げた・・・取り敢えず部屋入ろうぜ・・・色んな意味で遅いかもしれないけどな」

 

 

何だか太一はゲッソリしていて疲れ切っている・・・一体何があったんだろう?

 

 

「あぁ・・・もう疲れた・・・」

 

「お疲れ様・・・僕も疲れたよ・・・」

 

「あぁ・・・其々の荷物も整理しないといけないけど、先に色々取決めとか決めとかないか?」

 

「えっ?うん・・・」

 

「よし、まずノックは必ずする事、さっきも言った様に俺は他人に見せてはならない物があるからな、

それにお前も肌見られるのは嫌っているみたいだし」

 

「あっ・・・うん、そうだね・・・機密保持は当然だし、僕の事も気に留めてくれてるんだ・・・ありがとう」

 

(いや・・・それもあるが、女子の着替えなんて見てしまったら俺はショック死してしまいそうなんで、身を守る為の最低限の処置です)

 

「他には?」

 

「そうだな・・・俺は整備の仕事で遅くなる時があるから、基本シャワーは好き使っていいし、先に寝ててもいい、

俺は帰ってからか、整備員用の更衣室のを使う・・・若しくは休憩室で寝泊まりをする」

 

「えっ!?休憩室で寝泊まりって如何言う事?」

 

「整備や修理に追われる事があるから結構あるぜ、俺もここに来て1ヵ月と半月位だけど2~3日帰れなかった事が4回はある」

 

「そうなんだ・・・大変だね」

 

「俺達整備員はISに乗る生徒達の命を預かっている、俺達がちゃんと整備をすればトラブルの半分は起きない、

ここの生徒達が安心してISの操縦技術を上げる為に努力させるのが俺達の務めだ」

 

ドキッ!!

 

「////////////////!?」

 

「如何した?」

 

「なっ・・・何でもないよ!!」

 

 

いっ・・・言えないよ・・・今の自分の仕事に対する意気込みを話す太一がカッコ良くって胸がドキッとしたなんて・・・。

 

 

~~~~♪~~♪~~~♪

 

「あっ!?」

 

 

突然僕の携帯が鳴り出したけど・・・この着信音は・・・。

 

 

「出ないのか?」

 

「ちょっ・・・ちょっと待ってね!」

 

 

僕は携帯を持って部屋を出た。

 

僕は人気の無い場所で、完全に人が居ない事を確認して隠れる様にして、掛けて来た人物に掛け直した。

 

 

「・・・すみません・・・“社長”、直ぐに出れなくて・・・」

 

 

電話の相手は、僕の実の父親にして、僕を男としてIS学園に送り込むように命じたデュノア社社長だった。

 

 

『いや・・・仕方あるまい、学生寮に居れば人目が付きやすい・・・それで、どんな様子だ?』

 

 

正直報告するのは嫌だった・・・と言うよりも、この人と会話する事自体も嫌気と言うか嫌悪感すら感じてしまう・・・。

 

実の父親なのに・・・僕に残されたたった1人の肉親なのに・・・お母さんと僕をほったらかしにして、

結果お母さんに苦労をかけさせ、見捨てて死なせてしまったあの人を・・・完全に憎むまでは行かないけど、

父親とは思えない・・・思いたくない・・・。

 

そんな人に・・・太一と一夏の事を話したく・・・特に太一の事を報告したくない・・・。

 

 

『如何した?早く報告しなさい』

 

 

でも・・・ここで嘘の報告をしても、デュノア社の情報網を使えば何れは知られてしまう。

 

そうなったら太一や他の人達の迷惑になってしまう可能性が・・・。

 

 

「・・・事前の情報と違い、織斑一夏以外のISを動かせる男子が転入してきました。」

 

『何だと!?そんな情報は入ってないが・・・その男の名は?』

 

「・・・やがみ・・たいち・・・です」

 

『なっ!?』

 

「社長?」

 

 

電話の向こうの社長が驚いた様子で声を上げて暫く黙った。

 

 

『いや・・・何でも無い、それよりお前は最初の手筈通り、織斑一夏のみを観察しデータを採取、

もう1人の方は今は放っておけ』

 

「えっ!?いいんですか?」

 

『日本には「二兎を追う者一兎を得ず」という言葉がある、出来ればもう1人のデータも欲しいがお前の負担になるし、

詳しい情報が無い以上、下手に動けばこちらの目論見が知られる可能性がある・・・もう1人の方はこちらで何か分かれば報告し指示を与える、

それまでお前は最初に与えた指示通りに動け・・・いいな?』

 

「・・・分かりました・・・それでは・・・」

 

『あっ・・・待ちなさい・・・』

 

「・・・何ですか?」

 

『・・・いや、何かあればそちらからも連絡を入れてくれ・・・こちらで出来る限りサポートはする・・・では』

 

ブッ・・・

 

「・・・くっ・・・」

 

 

僕の事は如何でもいいの?実の子なのに・・・アナタが少しでも愛した人との子なのに!

 

 

『今は一緒に居ないけど・・・あの人は間違いなく私を心から愛してくれていたわ・・・そして私も』

 

 

それなのに・・・如何して何もしてくれなかったんだ?如何して?如何して?

 

 

『今日からお前を、IS学園に入る事になった織斑一夏のデータを得る為のスパイとして、その技術を叩き込む』

 

 

如何して実の子にそんな事をさせるの?

 

僕は・・・アナタに・・・僕達は愛されていないの!?

 

 

「うぅ・・・嫌だよ・・・皆を騙すのも・・・親から愛されないのも・・・・・僕は如何したらいいの・・・」

 

 

僕は膝を抱えて隠れながら静かに泣いた・・・如何したらいいのか分からず、罪悪感や寂しさが心を締め付けて涙が出て止まらない・・・。

 

 

「お母さん・・・どうして死んじゃったの?僕を1人にしないでよ・・・寂しいよ・・辛いよ・・・あの時に戻りたいよ・・・」

 

 

幼い子供の言い分だ・・・分かっていても、口にしてはいけなくても、寂しさに負けた心がそうさせる・・・。

 

 

「お母さん・・・お母さん・・・・・・お母さん・・・・・・・」

 

 

それからどれ位経ったのか・・・僕は暫らくその場から動かなかった・・・。

 

 

Side・デュノア社社長

 

私は・・・父親としてだけでなく・・・人としても失格だ。

 

実の娘にあのような事をさせ・・・それでいて“約束”も守れないなどと・・・。

 

私は先程まであの子・・・シャルロットと会話していた携帯をじっと見つめた。

 

 

「違うかもしれないが・・・こんな時くらいには掛けて来てくれてもいいのだがな・・・」

 

 

もう5年位前になるか・・・あの時から、私は何も変わっていないな・・・。

 

 

「しかし・・・織斑一夏以外の男性操縦者、篠ノ之博士の身内を除けば、男でISを動かせる可能性があるのは、

あの2人のご子息である彼だけ・・・何よりも、やがみ・・・たいち・・・」

 

 

私が・・・“私達”の幸せの為に不幸にした少年の名前・・・一時も忘れた事は無い・・・名前も・・・あの眼も・・・。

 

 

『・・・その子を・・・アイツの命を継いだその子を・・・・・・幸せにしてください』

 

 

あの言葉・・・今私はその約束を・・・彼を裏切った・・・私は最低な人間だ。

 

だがやるしかなかった・・・今は・・・今はまだ・・・。

 

 

~~~~♪~~♪~~~♪

 

「!?誰からだ?」

 

 

携帯のディスプレイには見た事の無い番号が表示されていた・・・まさか・・・。

 

 

「・・・はい・・・」

 

『・・・お久し振りです・・・ジャック・デュノアさん・・・』

 

「・・・あぁ・・・久し振りだね・・・」

 

 

Side・シャルル

 

あれからどれ位時間が経ったんだろう?

 

泣き続けて気が付いたらもうすっかり日が暮れてしまっていた。

 

 

「・・・念の為確認したけど・・・大丈夫だよね・・・」

 

 

鏡で自分の顔を見たら、予想通り目が真っ赤になっていて、一目で泣いていた事が分かる顔だった。

 

急いで顔を洗って、少し時間をおいたけど・・・まだ不安だ。

 

でもこれ以上遅くなったら太一が心配するか不審に思うかもしれないから、急いで部屋に戻った。

 

 

「・・・ただいま」

 

「おう、遅かったな」

 

 

部屋に入ると太一は備え付のキッチンに立っていた。

 

 

「何・・・してるの?」

 

「台所に立っているならやる事は1つだろ?」

 

 

見ると太一は料理を作っていた・・・そう言えば料理が出来るってお昼に言ってたね。

 

 

「こっちの方が飯代節約できるからな、ほれ座れよ、もうじき出来上がるから」

 

「えっ?うん・・・」

 

 

テーブルの上には沢山の料理(全部大盛り)が並べられていて、僕は言われるまま座った。

 

 

「ほらよ、出来上がり」

 

「うわ~~~・・・良い匂い・・・」

 

 

太一の料理はどれも食欲をそそる良い匂いがして、見た目的にも美味しそうだった。

 

 

「箸は使えるか?」

 

「えっ?僕も食べて良いの?」

 

「はっ?じゃなかったら座れなんて言わねえだろ?」

 

「そうだけど・・・」

 

「1人前作るのも2人前作るのも変わんないって」

 

「これは2人分どころか・・・10人分位はあるんじゃ?」

 

「うるへえ・・・色々あったけど一緒の部屋で過ごすんだ、持ちつ持たれつやってこうぜ、これ(料理)はその1つ」

 

「うん・・・あっ、一応お箸は使えるように練習してたけど・・・スプーンとフォークはあるかな?」

 

「あいよ」

 

「ありがとう」

 

「んじゃ」

 

「「いただきます」」

 

 

僕は最初にジャガイモの煮物を口に運んだ。

 

 

「おいしい!」

 

「そうか?洋食にしようかと思ったけど、手元にあった調味料じゃ和食しか作れなかったからな・・・口に会ったようで何よりだ」

 

「凄くおいしいよ!あっ!これってミソスープだよね?この入っている白い四角いのは何?」

 

「豆腐・・・大豆のしぼり汁を加工した食べ物だ」

 

「これが・・・・・・おいしい!」

 

「味噌汁とご飯はお代わりあるから・・・欲しかったら言え」

 

「あっ、いいよそれ位自分で出来るよ」

 

「いや・・・その前に俺が全部食っちまうか」

 

「食べ過ぎは体に良くないよ」

 

「食べなさ過ぎも良くない」

 

「って、これ昼間もやったよ」

 

「だったかな?」

 

 

ははっ・・・こんな食事久し振りだな・・・あの人に引き取られてからは、こんな落ち着いて楽しい食事は無かったから。

 

 

「食堂で食べない時は言えよ、ついでに作るから」

 

「えっ?太一毎日料理を作るの?」

 

「毎日食堂で食べていたら俺は破産する・・・」

 

「ははは・・・そう言えばそうだね」

 

 

今日のお昼の時も結構使っていたもんね。

 

でも・・・僕ばっかり作ってもらうのは何だか悪いな・・・。

 

 

「ねえ太一、どうせなら食事当番でも作らない?僕も国の料理位は作れるよ」

 

「ん?別に構わないけど・・・俺は緊急で仕事が入るかもしれないぞ」

 

「そこはちゃんと連絡を取り合えば大丈夫だよ」

 

「俺は慣れているけど、この量作れる?」

 

「大丈夫!・・・多分・・・」

 

「別にいいんだぜ、俺のは自分の為に作っているだけだし、お前のはそのついで」

 

「でも僕だけ作ってもらうのも悪いし・・・それに持ちつ持たれつって言ったのは太一だよ」

 

「でもな・・・」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「はぁ・・・分かった、1日交代制でどうだ?」

 

「分かればよろしい」

 

「お前って意外と頑固なんだな」

 

「そうかな?」

 

「そうだよ・・・俺は弁当も作るけど、そこは早い者勝ちで、早く起きた方が朝食と弁当を作るってことにするか?」

 

「うん、構わないよ」

 

「じゃあこの話は終り、冷める前に食べ切っちまおうぜ」

 

「うん、あっこれもおいしい」

 

「はは・・・さんきゅ、喜んでくれてなによりだ」

 

 

楽しいな・・・さっきまでの暗い気持ちが嘘の様だ。

 

でも・・・こんな優しい太一を騙している事に対する罪悪感は・・・消えはしない、ごめんね・・・太一・・・。

 

その後も僕は太一の作ってくれた料理を堪能して、軽く荷物の整理と、明日の用意を済ませて、シャワーを交代で浴びた。

 

そして・・・ついにこの時が・・・。

 

 

「さて・・・寝るかっと言いたいのですが・・・」

 

「はは・・・やっぱり男同士でも少し・・・ね?」

 

 

この学園側の発注ミスでこの部屋に置かれた、たった1つのベッドで寝る時が・・・。

 

 

「俺は床で寝るよ・・・幸い予備の毛布があるし、この季節なら風邪ひかないだろうし」

 

「だっ!駄目だよそんなの!幾らなんでもそれは駄目!!」

 

「いや・・・そうは言っても・・・」

 

「それでもし風邪でもひいたら僕の所為みたいだし、何よりも僕が嫌だ!」

 

「そうなったら俺の自己責任って事で・・・」

 

「じゃあ今太一が言ったセリフを、僕が言ったら如何思う?」

 

「うっ・・・いや・・・です・・駄目だと止めます・・・」

 

「じゃあ・・・一緒に・・・寝よ?」

 

「//////////////////!!」

 

「太一?」

 

「っ・・・わかり・・・・・ました・・・」

 

 

うん、それで良し!

 

僕も恥ずかしいけど・・・そんな事してほしくないもの・・・。

 

そして僕等は1つのベッドに入って明かりを消した・・・。

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

かっ・・・会話が無い・・・気まずい空気が辺りに充満してる・・・。

 

 

「・・・・・・・ふっ・・ふかふかで気持ちいいね?」

 

「あっ・・あぁ・・・流石天下のIS学園・・・良い物を取り寄せるな・・・」

 

「これならすぐ眠れそうだね?」

 

「そっ・・・そうだな・・・」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

((ねっ・・・眠れない!!))

 

 

ぜっ・・・全然眠気が襲ってこないよ!!むしろ動悸が激しくなって体中が熱い!!

 

こんなの無理だよ!普通の家庭でも、幼い頃にお父さんと一緒にベッドで寝た事ある程度だと思うけど、

僕にはそんな経験もないのに、いきなり同い年の男の子と一緒に同じベッドで寝るなんて!!

 

よくてそんなの・・・こっ・・こい・・・・びっ・・・びと?

 

 

「シャルル・・・」

 

「なっ!?何!?」

 

「・・・いや・・その・・・・・・」

 

「・・・太一?」

 

「・・・おやすみ・・・」

 

「・・・うん、おやすみなさい・・・」

 

 

“おやすみ”・・・久しく言われてないな・・・お母さんが生きていた頃は、毎晩寝る前にお互い言ってから寝てたな・・・。

 

何だか懐かしくなって、あの時の様に眠れそうな気がしてきた・・・。

 

おやすみ・・・太一。

 

 

To be Continued

 




新年1発目の話はいかがでしたでしょうか?

前半はおいといて、後半にちょっとだけシャルの父親が登場しました。

名前は不明なので、仮で「ジャック」にしました。

シャルと彼との和解?は早いめにしたいと思っております。

そして太一とシャルが過ごす部屋!!どうせならここまでやってやれ!と暴走してダブルサイズのベッドを1つ。

事情を知らなければ傍から見ればBLの世界でしょうが、性別を偽っているシャルと、実は女である事を知っている太一、
この2人が同じベッドで寝る事になれば・・・あっ!因みに18禁なアダルティーな事はしないのであしからず。

多少・・・いや、かなり無理やりではありますが、この先どうなるこの2人?な感じで次回もお楽しみに。
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