DIGIMON・STRATOS   作:龍気

16 / 19
今更ながら、「シュガー&ハニー」のシャルが可愛すぎる!!

それと今日からISのゲームも発売されますね。

買ったら早速シャルルート、そしてラウラルートを攻略したいと思います。

今回は太一がキャラ崩壊していると思われてしまうかと、原作の太一から考えたらこれは太一らしからぬ箇所があるのでご了承ください。




第15話『イメージとは多くが覆されるもの』

Side・???

 

『お父さん!お母さん!』

 

『『・・・・・・・・・』』

 

『何所行くの?俺も行く!』

 

『『・・・・・・・・・・・・』』

 

『お父さん?お母さん?待って!待ってよ!!』

 

『・・・ごめんなさい・・・』

 

『・・・私達はもう一緒に居られない・・・』

 

『『待って!!行かないで!!俺を!!』』

 

『『・・・さようなら・・・』』

 

『俺達を置いて行かないで!!』

 

『・・・・・・』

 

『あっ・・・』

 

『・・・ごめんね・・・』

 

『まっ・・・待って!!』

 

ガシッ!

 

『太一?』

 

『しゃっ!?』

 

 

Side・太一

 

「うわああああああっ!?」

 

がばっ!!

 

「はあ・・・はあ・・ゆっ・・・・夢・・・か・・・」

 

 

いや・・・夢であって夢じゃない・・・現実に起きた事なんだ・・・。

 

最近は見なくなっていたのに・・・また・・・。

 

 

「う・・ん・・・」

 

「!?」

 

「すぅ・・・すぅ・・・」

 

「・・・シャルロット・・・」

 

 

久し振りにあの夢を見たのはやっぱり・・・コイツと出会った・・・いや、ある意味では再会か・・・それが原因かな?

 

じゃないと夢の最後の方が変わる事ないか・・・。

 

コイツは・・・シャルロットは何も悪くない・・・そう頭では理解しているけど、俺は心のどこかで・・・コイツを・・・。

 

しかし・・・。

 

 

「・・・今じゃお前も、ある意味俺と同じなんだよな・・・でも、こんな事比べちゃいけないけど、

まだお前は幸せな方だぜ・・・これからのお前次第で、お前が最も求めるものが手にできるんだからな・・・、

俺にはもう手に入れることの無い・・・かけがえないものを・・・」

 

 

諦めでも何でも無い・・・無くした物を求めようとする程落ちぶれてはいない・・・今求めるのは、

約束を果たす・・・俺達の夢を叶える為の全てだ。

 

 

「・・・お前は何も知らなくていい・・・お前は何も背負わなくていいんだ、だからもう少し・・・自分から一歩踏み出せる勇気を持ってくれ」

 

「すぅ・・・すぅ・・うぅ・・・・・ん・・・にゃ・・・・」

 

「はは・・・何だか猫みたいだなコイツ」

 

 

猫と言えば・・・ミーコ元気かな?次の休みにでも弾の家に行くか。

 

さて・・・時間はいつも通りに4時か・・・米磨いでセットしてから鍛えに行きますか。

 

 

Side・三人称

 

太一の朝は早い。

 

何時も4時頃には起きて朝食と弁当が必要な時はその下準備を済ませてから、6時過ぎまで筋トレや素振り等を行う。

 

だが毎日行っている訳ではなく、自身の体調を把握し、休む時は休むと使い分けている。

 

疲れ切っている体を休ますのも強くなる為に必要、体調を把握できない者に修行などできるものかと、

恵と千冬に口酸っぱく言われ続けられたからである。

 

今日はIS学園に来て初めての早朝訓練、ルームメイトのシャルルを起こさぬ様にした準備を終え静かに部屋を出てグランドへ、

そこで準備運動とストレッチを終えると今日の訓練内容を考える。

 

 

「さってと・・・今日はグラウンドを30分程走ってから腕立てとスクワット100回ずつ、その後は素振りとシャドーを時間一杯するか」

 

『僕も手伝いけど、無茶は駄目だよ太一』

 

「分かってるって・・・じゃあ頼むぜ」

 

『了解!』

 

ガシンッ!

 

 

エックスの掛け声と共に、太一は両手両足に零式を部分展開し纏う。

 

しかし展開している部分に力は無い、只の重いプロテクターの様な物だった。

 

この様に零式をトレーニングギプスの変わりにする事で体を鍛え、ついでに零式の経験値を得る事が出来る。

 

 

「エックス、アレは出来そうか?」

 

『基礎装備としてデータがあったからね、今日の放課後位には2つとも出来るよ』

 

「これでやっと武器を使っての訓練が出来るよ」

 

『ゼロはサイズと特性の所為で、ゼロ専用に1から作らないと使えないからね・・・経験値が無いと専用の武器も作れないし』

 

 

ISは自己進化し形態移行する形で、より進化した形態へと変わる・・・それは零式も同じだが、

零式には他のISには無い、自らをより強化する為と乗り手に合った武器やパーツと言った装備を“創造”する事。

 

太一が一夏との模擬戦で使った脚部の強化パーツもその1つだ。

 

無人ISとの戦闘で太一はPICをあまり使わず、足による回避と攻撃を多くしていたので、その経験値によって作られた装備だ。

 

人は鍛え経験を積む事で力をつける事が出来る、それは筋力や知識に感覚と言った目に見えない物。

 

零式はISで機械、筋力の強化等は出来ない、その代りとして装備として目に見える物として創り出し強化するのだ。

 

一見形態移行による進化は必要ない様に思えるが、生命は・・・人類の先祖である猿は物を創造する事で知識を得て進化していった。

 

零式はそう言う意味では・・・生物に近い・・・いや、そもそもIS自体が限りなく生物に近いパワードスーツとして作られたのかもしれない。

 

開発者である太一の両親が生きていれば、もっと詳しい事が分かるだろうが・・・もう2人はこの世に居ない・・・。

 

その後訓練を終え、6時頃に自分の部屋に戻っていく。

 

 

「さてと・・・まだ寝てるか」

 

 

部屋に戻るとシャルルはまだ寝ていた。

 

フランスと日本との時差に慣れていないのもあるが、昨日転校して来たのだから疲れもあるだろう。

 

もう少し寝かせてやるかと、起こさない様静かに、汗を流す為にシャワーを浴びに行く。

 

 

「うぅ・・・ん・・・ふみゃ・・あれ?たい・・ちは?」

 

 

太一がシャワーを浴びに行って直ぐにシャルルは目を覚ました。

 

隣で寝ていた太一の姿が見当たらず、シャルルは眠気眼をこすりながら同居人を探す。

 

 

「あっ・・・シャワー浴びてるんだ」

 

 

シャワールームから音が聞こえ、太一がそこにいる事に気付いたシャルルはベッドから出て、台所に向かった。

 

 

「あれ?・・・もう朝ご飯の下準備が出来てる・・・」

 

 

朝食の下準備が終えてある台所を見てシャルルは少しガッカリした様子だ。

 

 

(折角昨日のお礼に僕が作ってあげようと思ったのに・・・)

 

ガチャ・・・

 

「おっ?シャルルおはよう」

 

「あっ!?たっ・・・太一!おっ・・おはよう!」

 

 

ガッカリしている内にシャワーを浴び終え、太一が出てきた・・・一応言っておくと服は着ている。

 

風呂上りに全裸で出てきて同居人(女性)に見られると言うベタな展開は発生しない・・・その逆はあるかもしれないが・・・。

 

 

「何だかよからぬ企みが聞こえた様な・・・別にもう少し寝ててもいいんだぜ、お前まだ時差に慣れてないっぽいし、

何よりもフランスから日本への転校で色々と疲れがたまってるだろ?」

 

「そんな悪いよ・・・それにしても、太一って何時に起きたの?」

 

「4時頃」

 

「はやっ!?そんな時間に起きて一体何してるの?」

 

「訓練だよ」

 

「訓練って・・・大丈夫なの?」

 

「毎日って訳じゃないからな・・・体調や疲れ、その日の予定を考えて休む時は休んでいるからな」

 

「それならいいけど・・・でも残念だな」

 

「何が?」

 

「昨日のお礼に、今日の朝ご飯とお弁当は、僕が作ってあげようと思ったのに」

 

 

シャルルの少し残念そうな表情で言われたその言葉に、太一は一瞬固まってしまった。

 

 

(・・・えっ?何?この微妙に新婚夫婦の様な付き合いたて同棲カップルの様な会話は?コイツ考えて発言してる?)

 

「如何したの?」

 

「お前って実は天然だったりする?」

 

「?」

 

 

自分の発した言葉から受ける印象と、太一の言葉の意味が分からず首を傾げるシャルル。

 

 

「はぁ・・・まあいっか、それよりシャワー浴びてこいよ、寝癖がすごいぞ」

 

「えっ!?嘘!?」

 

 

太一に寝癖がある事を指摘され、恥ずかしそうに髪を撫でて確認する。

 

 

「その間に朝飯作っておくから」

 

「うん・・・分かった」

 

 

そう言い残してシャワーを浴びに行く様子を見て、太一は思う・・・。

 

 

(やっぱり女の子だねえ・・・俺が気付いていないって思っているからか?それにしても鋭い奴から見れば女だってバレるぞあれは。

それも仕方ないのかもしれないけどな・・・アイツがここに来た本当の理由は・・・)

 

バンッ!

 

「太一!」

 

「なっ!?何だ!?如何した!?」

 

 

突如顔を真っ赤にさせたシャルルが出てきた・・・服は着ているので悪しからず。

 

 

「脱いだ下着が出しっ放しだよ!いくら男同士でも脱いだ下着ぐらい片付けようよ!!」

 

「あっ・・・あぁ・・・ゴメン、忘れてた・・・」

 

「もう・・・太一ってシッカリしてるように見えて、結構うっかり屋さんなんだね」

 

(いや・・・色んな意味であなたに言われたくないです・・・うっかりどころか「お前本当は女だろ」って言われても仕方がないところが多々あるぞ)

 

「太一?」

 

「洗濯物がごっちゃになるから、置いといてくれ・・・後でちゃんと片付ける」

 

「うん、よろしい」

 

ガチャ・・・

 

「・・・・・はぁ・・・」

 

 

再びシャワールームへ入っていったシャルルを確認すると、太一はこれからの生活に色々と不安を抱え溜息をつくのだった。

 

シャルルがシャワーを浴び終えて出て来た時、丁度太一も朝食の準備を終えた。

 

今日の献立は、卵焼き山盛り、納豆5パック、焼き鮭8切れ、ホウレン草の御浸しテンコ盛り、味噌汁大量、ご飯超盛り、漬物沢山である。

 

 

「きょ・・・今日も沢山あるね・・・」

 

「何言ってんだ?朝からそんなに食えるかよ・・・体に悪いし、朝は晩飯の半分位の量だよ」

 

(それでも普通の人から見たら多いよ)

 

「まあそれより・・・ほれ」

 

 

太一は布で包んだ箱状の物をシャルルに渡した。

 

 

「これは?」

 

「お前の分の弁当」

 

「あっ・・ありがとう・・・」

 

 

大きさ的には男性用より小さい、女性用のサイズの弁当箱を嬉しそうに見つめるシャルル。

 

 

「足りないか?昨日お前が喰っていた量を見て、小さいのを使ったが、何なら作り直すぞ?」

 

「うん、大丈夫だよ、僕少食だし」

 

「そうか・・・いや~~~少なかったらコイツの1つ使おうと思っていたから助かったよ」

 

「コイツ?」

 

「あぁ・・・」

 

ドーーーーーンッ!!

 

「これ」

 

 

太一は布で包んだ、大きめの・・・それなりに重量のありそうな箱を出した。

 

 

「まっ・・・まさかそれって・・・」

 

「俺の弁当箱」

 

「高さが30cm近くかそれ以上ある様に見えるんだけど?」

 

「6重だからな・・・そんなもんだろ」

 

「・・・今日ピクニックにでも行くの?」

 

「何言ってんだ、学校に決まってんだろ」

 

「・・・・・・ゴメン、何だかもう疲れたよ」

 

「そうか・・・さっさと食って教室に行こうぜ」

 

(昨日も思ったけど・・・食べたもの全部どこにいってるの?正直羨ましいよ、食べた後でも全然お腹出てないじゃない!?)

 

 

いくら食べても体型が変わらない太一を恨めしそうに見つめるシャルル。

 

しかし太一の作った朝食を一口食べるとそんな表情何処へやら、幸せいっぱいと言った満面の笑みで食べ続けた。

 

朝食を食べ終えた太一とシャルルは共に教室へ向かった。

 

教室に着いた太一とシャルルは自分達の席に座り、それを見た一夏が寄って来た。

 

 

「八神、シャルル、お前達昨日と今朝食堂に来なかったけど、何所に居たんだよ?」

 

「おはよう一夏、昨日と朝は部屋で食べたんだよ」

 

「部屋で?」

 

「うん、太一が作ってくれたんだよ」

 

「八神が作った?」

 

「俺の食事量は、自分で作った方が安いからな・・・そのついで」

 

 

一夏も昨日の昼に、太一が料理ができる事は聞いていたが、普段の彼を見る限り想像が出来ない一夏は、

いまだに信じられないでいた。

 

 

「太一の作る料理って凄く美味しいんだよ」

 

「へ~~~って、言うかお前達同じ部屋なんだ?」

 

「そうだよ」

 

「俺は色んな意味で1人部屋の方がいいんだけどな・・・」

 

「そんな贅沢言うなよ、男同士で同室なんて最高じゃないか、俺なんて箒とだぜ」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

 

一夏の発言にクラス全体がある意味凍り付いた。

 

太一も顔を青褪めて後ずさって一夏と距離をおこうとする。

 

 

「どっ・・・如何したの皆?」

 

「皆如何したんだ?好物を見詰める様な目と、引いてる目と色々あるんだけど」

 

 

そう言う世界がある事を知らない、実はお嬢様なシャルルは、今の一夏の言葉を男子なら当然かと思っているので、

太一達の反応に戸惑っている。

 

そして一夏は・・・素で気付いていないのだった。

 

 

「・・・俺も女子と同室はマズイと思ったから、最悪お前とでも構わないと思っていたが、お前との同室が一番ハズレだ!」

 

「何でだよ!?男同士なら何も問題ないだろ!?着替えは気にしなくていいし、シャワーの最中に入ってしまっても男同士なら大丈夫だろ!!」

 

「何で服を脱いでいる前程の話を切り出す!?それともやったのか?やったな?着替えを見てしまったり、

シャワーの最中に入ってしまったなお前!!」

 

「なっ?何で分かるんだよ!?」

 

「お前の言葉と同居人の反応見れば分かるわ!!」

 

「へっ?」

 

「い~~ち~~~か~~~~っ」

 

「ほっ・・・箒?」

 

 

最初は自分との同室に何が不満かと言いに来た箒だが、一夏の男同士の生活の素晴らしさで上げられた例を聞き、

着替えを見られ、シャワーを浴びているところに入って来られた時の事を思い出し、顔を赤くした。

 

それを見ればやった事誰だって分かる。

 

 

「お前は~~~私との同室を不満がるだけに飽き足らず・・・」

 

「いっ・・いや!別に不満がってない!只男子と女子が同室より、男同士の方気を使わないで安らげるし、

何より色々できるだろ!!」

 

「「「「「きゃ~~~~~~~~っ!!」」」」」

 

「って、さっきから何なんだよお前達は!?」

 

「織斑・・・昨日も言ったが俺はそっちの趣味は無い・・・そっちに誘うならシャルルは如何だ!?

遠目から見れば誤魔化せられる顔立ちだぞ!」

 

「たっ太一!?意味は分からないけど、身代わりにされた気がして嫌な予感しかしないよ!!」

 

「うるせえ!俺だって必死なんだ!俺は女は苦手だけど、男となんて普通にもっと嫌だ!!」

 

「何の話だよ!?」

 

「いい加減気付よ!お前にはある疑惑が上がっているんだ!!それを俺でどっちか立証させるな!!」

 

「何だよ疑惑って!?一体俺に何の疑惑が上がっているんだ!?教えてくれよ!!」

 

「それを言っちゃあ面白くないだろうが!!言っても面白いと思うけど、お前自身が気づけばもっと面白い事になる!!」

 

「言ってくれよ!!頼むから言ってくれ!! その疑惑と関係あるのか分からないが、お前達と会話していると今の様な悲鳴や、

奇妙な視線を向けられるんだよ!!」

 

 

事の真相を聞く為太一に詰め寄る一夏。

 

太一は自分もその手の疑惑の対象になりたくないから一夏と距離をとろうとするが、太一の席の位置からして、

直ぐに教室の隅の方に追いやられてしまい、若干覆い被るような格好で太一に詰め寄った。

 

だがその構図が腐女子目線からしたら・・・。

 

 

『なあ・・・良いだろ?』

 

『駄目だよ・・・男同士でそんな・・・』

 

『関係無い・・・数少ない男同士、深い仲になっても不思議じゃないさ・・・』

 

『・・・織斑・・・』

 

 

的に映ったようで、何人かは鼻血を吹きだして気を失った。

 

実際は・・・。

 

「なあ!良いだろ!!」

 

「こっちに来るな!!だから俺にはそんな趣味は無いって言ってるだろうが!!」

 

「数少ない男同士!秘密は無しにしようぜ!」

 

「お前絶対ワザとやってるだろ!!」

 

 

・・・あまり変わりは無かった・・・一夏だけが。

 

 

ガスンッ!!ゴチンッ!!

 

「「うげっ!?」」

 

「チャイムは既になっているぞバカ者共、さっさと席に着け」

 

「「はっ・・は~~~い・・・」」

 

 

千冬の出席簿による一撃により強制的に沈められた2人は、痛みに悶絶しながら自分の席に座った。

 

 

「うごぉ・・・気を抜いていてからモロに喰らった・・・何で出席簿であんな音が出せてこんなに痛むんだ?」

 

「太一大丈夫?」

 

「なっ・・何とかな・・・」

 

 

相変わらず人の力と出席簿ではありえないダメージを与える千冬に疑問を抱きつつ、これ以上の追撃をさける為、

千冬からの今日の予定や報告を聞く太一。

 

その後の授業も特に問題無く平和に過ぎていった。

 

そんな中、IS技術授業後の休憩時間に・・・。

 

 

「ねえねえデュノア君、さっきの授業で分からないところがあったんだけど・・・教えてくれないかな?」

 

「私も私も!」

 

 

シャルルと話したい女子が、先程の授業の内容を切っ掛けに寄って来た。

 

 

「えっ・・・良いけど、2人一遍にはちょっと・・・あっ、太一」

 

「ん?」

 

「彼女は君が教えてあげてよ」

 

「「えっ?」」

 

 

2人相手に教えるのは無理と、シャルルは女子の1人を太一に任せようとした。

 

勿論これに他意は無く、純粋にこの短い休憩時間に彼女達が理解できる様に教えるには、2人一遍にするより、

分担して教えて方がいいとシャルルが判断したからだ。

 

それに彼女達も気付いているので、断りにくくなっていた。

 

 

「別に構わないよ・・・ほれ、何処が分からないんだ?」

 

「えっ・・・えっと・・この箇所なんだけど・・・・・」

 

「ここか・・・」

 

 

教室に緊張が走った・・・。

 

太一はISを下手に扱う者への指摘が厳しすぎると有名であり、それを受けた生徒の殆どが凹みまくって自信を失うか、

男のくせにと反感して返り討ちに合い、教師からも注意を受けてしまうかのどちらかだ。

 

昨日は実習で先生もいたから、何時もの様にしなかったのだろうと思い、今は先生も居ない休憩時間故、

太一に教えられる女子はどんな風に言われるのだろうと心配しながら見守っていた。

 

 

「この箇所についてお前は如何答える?」

 

「えっ?」

 

「だから・・・この項目に書かれている内容の意味を答えろと言われたら、お前は如何答える?」

 

「あの・・・それが分からないから聞いているんだけど・・・」

 

「いいから答えろ・・・今さっき習ったんだから多少は分かるだろ?」

 

「・・・あぁ・・もう!分かったわよ!」

 

 

太一の一方的な回答の要求に、女子は若干自棄で答えた。

 

勿論全てが分かっている訳ではないので、分かる範囲で答えた。

 

それを聞いていた他の女子、そして隣のシャルルも太一が何をしたいのか分からずに気になった。

 

 

「と言う訳よ、これで満足?」

 

「成程・・・」

 

 

彼女の回答を聞いて、成程と頷く太一。

 

如何せバカにするんだろと彼女はしかめっ面で太一を睨む・・・しかし太一の口から意外な答えが出てきた。

 

 

「6割程正解」

 

「えっ?」

 

「まずお前はここの解釈を間違えているんだ、だから後の方で矛盾が出てきてややこしくなっている・・・ここは正確にはだな・・・」

 

「えっ?どこ?ちょっと待って!」

 

 

太一は彼女の答えた内容をノートに書き、教科書と照り合わせながら間違った箇所を指摘、改善しながら教えていった。

 

すると彼女も、霧が晴れていく様に分からなかった箇所がスムーズに理解できた。

 

 

「こんなとこかな・・・他にはあるか?」

 

「あっ・・・いえ・・・もう大丈夫です・・・」

 

「そうか・・・と言うか如何した?さっきから変に警戒していたけど」

 

「あっ・・・いやその・・・八神君って、かなり厳しく指摘したりするって聞いていたから・・・その・・・」

 

「成程な・・・任されたってのは抜きにしても、分からないところを聞きに来たら普通に教えるさ、

それで何度やっても理解しなかったら厳しくすると思うけど」

 

「そっ・・・そう・・なんだ・・・」

 

「今のは習ったばかりなら、理解できている箇所もあるが理解しきれていない、若しくは間違って理解している箇所があるか、

だから間違い探しの要領で直していけば結構すんなりいくんだよ・・・まあ俺なりのやり方だけどな」

 

「へえ・・・ありがとう八神君」

 

「・・・どういたしまして」

 

「デュノア君もありがとう」

 

「僕で力になれたら、何時でも言ってよ」

 

 

シャルルの方も教え終ったようで、2人は揃ってそそくさと離れて行った。

 

 

「ねえ・・・八神君って、イメージと言うか・・・転入する以前と全然違わなくない?」

 

「うん・・・ぶっきら棒な感じは残っているけど、ちゃんと教えてくれたし、昨日の実習も丁寧で分かりやすそうだったね」

 

「そうよね・・・それに面倒見も良さそう・・・と言うか、困っている人をほっておけないって感じ?」

 

「ボーデヴィッヒさんの班の事よね・・・それに実は照れ屋さんだよね」

 

「そうそう、あとさっきもあなたにお礼言われて、照れくさそうにそっぽ向いていたし」

 

「本当はかわいいのかも」

 

「あと織斑君には及ばないけどカッコいいよね」

 

「そうそう・・・それでさ・・・」

 

 

離れた2人は本人に聞こえない様に太一について話し出す、どの学校にもある女子のありふれた光景だ。

 

故に、実は女子のシャルルにはそんな2人がどの様な話をしているのか察した。

 

 

(転入する前の太一がどんな風だったか分からないけど、皆太一と話した事が無かったみたいだ、

だから変に偏見を持っていたみたいだけど、ちゃんと接したら偏見なんてどこかいっちゃうよ)

 

「如何したシャルル?今の2人お前の好みだったか?」

 

「ふえっ!?なっ・・・何言ってるのさ太一!?」

 

「いや・・・妙にニコニコ・・・っと言うかニヤニヤ?してたからさ・・・違った?」

 

「はあ・・・そう言うのじゃないけど、昨日の君に対する周りの反応を見ると、今の様にちゃんと接している姿って嬉しいものだよ」

 

「ふ~~~ん・・・そんなもんかね・・・」

 

「・・・太一って・・・女の人とお付き合いしたくないの?」

 

 

シャルル何処か真剣な様子で聞いて来た。

 

 

「はあっ?何でそう思う?」

 

「う~~~ん・・・女の人がある意味苦手ってのもあるけど、あれって過剰反応みたいなものだし、

だったら興味が無いって事じゃないよね?」

 

「・・・そうなるかね」

 

「でも・・・」

 

「ん?」

 

「こうして話している時や、何かで集まっている時はそうでもないけど、どこか皆と距離をおこうとしている・・・そんな感じがするんだ」

 

「・・・・・・・」

 

 

図星を突かれた・・・そんな事を思わせる程、太一は沈黙して視線を逸らす。

 

だがそれを隠す様子もなく、故に追求しにくくしている。

 

 

「言いたくなければ・・・いわ「俺だって・・・」えっ?」

 

「俺だって人としての幸せを謳歌したい・・・何れは本気で愛した女性と結婚して家族になって、

子を産み、育て、旅立たせ、孫を愛で・・・最後は愛する家族に囲まれてってな・・・」

 

「じゃあ尚更今からでもいいんじゃない?彼女を作るとか・・・でもその前に太一は女性に慣れないとね」

 

「はは・・・それが出来たら苦労しねえや・・・」

 

 

痛いところを突かれ、苦笑いで答える太一・・・しかし俯いて何処か暗い表情となった。

 

 

「・・・でもこれは人としてのであって、俺自身の幸せとはまた別だ」

 

「えっ?」

 

「今の俺は・・・そっちを優先させたい、だから今は・・・そっちの方は一応保留だな、この先どうなるか分からないし」

 

「・・・太一の幸せって・・・何?」

 

「・・・約束を果たす事、沢山の人達と交わして積み重ねてきた・・・約束であり、夢を・・・それを叶えるのが俺の幸せかな?」

 

「・・・太一・・・」

 

 

それ以上をシャルルは聞こうとはしなかった。

 

その時の太一の目が、夢を語る希望に満ちたそれではなく、どこか悲しみを帯びた目であったから・・・。

 

その後、午前中の授業が全て終わり、太一とシャルルは昼食をとる為に食堂へ向かった。

 

そもそも太一の弁当は量とサイズが尋常ではないで、教室に持って行ったら邪魔になるから食堂で預かってもらっている。

 

預けた弁当を受け取り、そのまま食堂で食事をとる事とした。

 

 

「あっ!八神にシャルル!こっちに来いよ」

 

 

先に食堂に来ていた一夏に見つかって呼ばれた太一とシャルル。

 

そして毎度の事ながら一夏の周りに箒、セシリア、鈴が居て、若干不機嫌そうに一夏を見ていた。

 

 

((あぁ・・・三人揃うのは仕方ないと諦めてはいるけど、これ以上誰かを呼んでほしくないんだ・・・))

 

「お~~~い、何ぼーってしてるんだよ?早く来いよ~~~」

 

 

3人の心中を察して心の中で同情する太一とシャルル、そしてそれに気付いていない朴念仁に若干の怒りを覚える。

 

断って別の席についてもよかったのだが、周りを見渡してみると一夏達の居る席しか空いていなかった。

 

 

「・・・昨日も言ったけど、取り敢えずスマン」

 

「僕も・・・ごめんなさい」

 

「「「・・・いえ、もう諦めかけてます」」」

 

「如何したんだよ皆?暗い顔して?」

 

(((((お前(君)(あなた)の所為だよ(ですわ))))))

 

 

一夏のこの病気(鈍感)は何時か治る・・・そう信じて頑張れ恋する乙女達、巻き込まれるストレスに耐えろ男子達(1人女子)。

 

そんなこんなで食事を始めるが、やはり皆が注目するのは太一の多すぎる弁当である。

 

 

「やっ・・・八神、まさかそれはお前の昼食なのか?」

 

「そうだよ」

 

「昨日も思ったけど・・・あんた食べ過ぎよ」

 

「そうかな?」

 

「一体そのお体の何所にそれだけの食べ物が入るのか不思議ですわ・・・」

 

「うん・・・後もう1つ不思議なのが・・・あれだけ食べてお腹が出ないんだよ・・・」

 

「「「なっ!?」」」

 

 

いくら食べても太る以前に、食べた直後なら出る筈である腹も出てこないとは何その女子が羨ましがる憧れ体質?

 

 

「八神、それって手作りか?」

 

「俺はこうでもしないと破産する」

 

 

食べる量に関しては何とも思ってないが、それに掛かる金額に関しては聊か自覚がある様である。

 

 

「僕のお弁当も、太一が作ってくれたんだ」

 

 

何処か嬉しそうに・・・お母さんに作ってもらったお弁当を自慢する幼い子供の様に自分の弁当箱を開けて皆に見せるシャルル。

 

貴公子らしからぬその子供っぽい様子に、「それもまた良い!!」と食堂に集まった殆どの女子達が癒され、

様々な妄想を膨らませたのは言うまでもない。

 

 

「ふ~~~ん・・・あんた、本当はk「冗談でもそれ以上言ったらブッ飛ばす」・・・ごめんなさい・・・」

 

 

鈴が太一をからかおうとしたが、言おうとした寸前にドスの利いた声で威嚇、その気迫に一瞬太一が、

鈴を含めこの学園の生徒達が最も苦手もとい逆らえない女性と被り大人しく引き下がった。

 

 

「同じ部屋になったんなら取決めとかは必要だろ?朝早く起きた方が朝飯と弁当を作る決まりなんだよ」

 

「ん?普通後から起きた者ではないのか?」

 

「そうよねえ・・・こう言うのって、後から起きた方が負けって感じで、そのバツで何かをするってのがお決まりよね」

 

「そう言えばそうだね・・・あの時は気が付かなかったけど・・・それに早く起きた方が作るって言ったのは太一だった・・・如何してなの?」

 

「別に深い意味は無いよ・・・後から起きた奴が作るなら、もし寝坊でもされたら大変だろ?」

 

「言われてみればそうだね・・・最悪の場合朝食とお昼抜きになっちゃうし」

 

「それに朝・・・目覚ましの音より朝食の匂いで目が覚めたら幸せじゃね?」

 

「「その気持ち凄く分かる!」」

 

 

純粋な日本人たる一夏と箒は、朝の味噌汁の匂いで起きる時のささやかな幸福感に賛同し強く頷く。

 

 

「あれ?でも一夏、千冬さんってたしか料理が・・・」

 

 

そこで鈴が千冬が料理が出来ない事と、一夏の家庭の事情を思い出し、先程の賛同に疑問を感じ、一夏に問い出した。

 

 

「あぁ・・・千冬姉は家事全般が壊滅的に駄目だからな・・・何度か弾の家に泊まった事があって、

その時に減さんの豚汁とか朝ごちそうになったりな」

 

「成程、五反田食堂の豚汁か・・・久し振りに飲みたくなったわ」

 

「あのじいさんの飯美味かったな・・・」

 

「あれ?八神って五反田食堂言行った事あるの?」

 

「転入する前日にな、そん時に弾ともダチになって、今俺の飼い猫を預かってもらってる」

 

「「「「・・・・・・えっ!?」」」」

 

 

太一の弾とダチになった発言に、シャルルを除く全員が声を揃えて驚いた。

 

 

「へっ?弾とダチになってたのか!?」

 

「そうだよ」

 

「と言うかアンタ友達いたんだ」

 

「ってきりご友人がいない、一匹狼な方なのかと・・・」

 

「強敵(とも)はいるが友はいないと思っていた」

 

「俺も・・・拳を交えて認めないと友達にしないような・・・」

 

「お前等俺を何だと思ってんだ?」

 

 

しかしある意味で合ってもいるとこもあるので強く反論はしなかった。

 

それと・・・。

 

 

(暑っ苦しい奴を思い出しちまったぜ・・・)

 

 

何やら思い出したくない事があるようなので、それを呼び起こす事をしたくなかったようだ。

 

 

「まぁ・・・色々あって友達って言える奴はいなかったのは事実だけどな」

 

「そう言えば昨日恵さんがそんな事言ってたような・・・」

 

「幼い頃から師匠達との修行やらISの事を学んだりと・・・学校も通わずにやっていたからな」

 

「えっ?太一って学校に通ってないの?」

 

「あぁ・・・小中と通ってない、最低限は独学と言うか・・・ネットとかを使って学んでた」

 

「あんた義務教育は如何したのよ!?」

 

「そうだ、日本は小中学校に通わせる決まりがあるぞ」

 

 

この質問は聞かれて当然である。

 

しかし太一は静かにこう答えた・・・。

 

 

「人には色々と有るんだよ・・・篠ノ之みたいにな」

 

「私と・・・そう言えばお前の両親もISの開発に携わっていたと言っていたな」

 

「そうだった・・・八神の零式も、八神の両親がt「おっとそこまで」っ?」

 

「あまり大きな声で言うな・・・あの時は仕方なしに説明したけど、これは本来あまり表に出していい情報じゃない」

 

 

世間一般的にはISを作ったのは束博士1人によるものとなっているが、実際はそうではなく、

太一の両親との共同で開発されていた。

 

そして“当時”までは、ISのコアを作れるのは束博士と八神夫妻のみとなっていた。

 

当時はISの研究は注目されてはおらず、IS自体が注目されたのは10年前の「白騎士事件」以降であり、

その少し前からISは束博士が1人で開発・研究していたらしく、そこからISは束博士1人で作ったと公表された。

 

しかしそれ以前、八神夫妻が関わっていた事は一部の人間しか知らない事であり、このIS学園でもその事を知り、

太一が八神夫妻の息子である事を知る者は千冬と恵を含め僅か数名しかいない。

 

もしこの事が・・・零式と言う男女問わず起動する事が出来るISと、それを作った八神夫妻の息子の太一の存在が知れれば、

世界中が太一を狙うであろうし、それを隠していた日本政府も大打撃を受けるであろう。

 

そればかりか今まで女尊男卑で苦しんだ男と、それに酔い痴れる女の抗争で世界は混乱に満ちるであろう。

 

故に太一は一夏達の口を塞ぎ、そしてそれ以上を語ろうとはしなかった。

 

 

「シャルルには悪いけど、俺も政府で働いている人間としてこれ以上ゼロの事を広めてはいけないんでな」

 

「うん・・・分かった、それなら仕方ないよね」

 

「すまんな・・・それと俺が学校に通ってなかった話だけど、そこまで知っているなら篠ノ之、お前なら分かるよな?」

 

「・・・政府の重要人物保護プログラムか?」

 

「ご名答・・・俺もそれを受けているんだ」

 

 

太一は日本政府の重要人物保護プログラムを受け、政府の管理する施設で一時期生活をしていた。

 

其処では様々な理由で学校に通えない・通わない子供達がおり、勉学は自由にでき、最低知能指数を満たし上回れっていれば、

資格も取ろうと思えば規定年齢以下でも習得が可能で、義務教育も補えるのだ。

 

これは束博士の様な10代かそれ以下で異様な才能を持ち、束縛がちな日本の教育現場では扱えない子供達の為、

日本政府が飛び級性のあるアメリカ等の教育方針や企業思念を参考にして設立した施設であり、今は試験段階中で、

この施設のシステムや制度等を、ここ10年で起きたある問題が原因で、世界中の児童養護施設で取り入れる計画が出ている。

 

しかしこの話は今は大きく関係は無いので、何れお話ししよう・・・。

 

 

「成程、そう言えば私も家族と共に過ごすか、離れて施設で過ごすか選ばされたな」

 

「俺は施設で過ごす方を選んだから学校行ってないんだ・・・おかげで13の時にIS技士の資格も取れたし、

その評価もあって今や政府で働いちゃっています」

 

 

しかしここで太一は1つだけ嘘をついた・・・選んだのではなく、本当はそうするしかなかったのだと・・・。

 

 

「さて・・・俺はもう食い終ったから片付けて来るな」

 

「はやっ!?まだ10分も経ってないだろ!?」

 

「しかも会話しながらでこの早さって・・・」

 

「早食いは体に悪いよ太一、もう少しゆっくり食べようよ」

 

「やってみるよ・・・ちょっと行って来る」

 

 

そう言って太一は空になった弁当箱を預けに行った。

 

 

「「・・・・・・・・・」」

 

「箒如何したんだ?鈴も黙り込んじゃって」

 

「・・・いや、八神について1つ気になる事があって」

 

「私も・・・」

 

「太一が如何かしたの?」

 

「いや・・・正確に言うと八神の両親がだ・・・」

 

「デュノアは詳しくは知らないわね・・・アンタ達が来る一週間位前に、私と一夏のクラス対抗戦があったの」

 

「その時に無人のISの襲撃があった・・・」

 

「昨日言っていた無人機の事だね?後で聞いたけど、その時に太一が初めて零式を起動させたんだよね?」

 

「そうよ・・・その時、八神が零式を纏った姿を見て、恵さんがこう言ってたの・・・八神先生、空の上から見ていますか・・・って」

 

「あの人がそんな事を・・・その時、織斑先生は感極まっていた様子だった・・・いくら弟子がISを纏ったからと言って、

あそこまで・・・まるで・・・まるでもういない恩師に送る様な・・・」

 

 

2人の言葉を聞いて、全員が同じ事を予想した・・・。

 

 

「それってまさか・・・」

 

「八神の両親は・・・」

 

「・・・・・・・止めましょう」

 

「「「「えっ?」」」」

 

 

皆が頭に過ぎった言葉を口にしようとした中、セシリアが待ったをかけた。

 

 

「皆さん多分同じ事を思っているでしょう・・・私も多分皆さんと同じ事を考えています・・・しかし、

それならこれは本人が居ないところで詮索する事ではありませんわ」

 

 

自分と同じ・・・両親を亡くした者だからこそ分かる、寂しさと苦しみ・・・本人の確認をとっていないから今はまだ憶測ではあるが、

どちらにせよ両親の死など詮索されたくはない・・・だからこそセシリアはそれ以上の発言を止めたのだ。

 

 

「気になる気持ちは分かりますが、憶測だけで自分の親しい人の事を詮索されるのは気分がよろしくはないでしょう」

 

「・・・そうだな、セシリアの言うとおりだ」

 

「うん・・・そうだよね」

 

「たで~ま~~~っと、何話してんだ?」

 

 

その時丁度太一が戻って来た。

 

まさか自分の両親が死んでいるのか如何とかの話をしかけていたとは思ってはおらず、何の話をしていたのか聞くが、

そんな事勿論言える訳が無く、代わりになり、尚且つ話が合わせられる別の話題が無いか思考する。

 

 

「えっ・・・えと・・・そう特訓!一夏達放課後ISの特訓をしてるから、その話をしていたんだ!だよね?」

 

 

シャルルはクラスの女子が一夏達の特訓の事を話していたのを思い出し、急遽その話題をもちかけた。

 

 

「そっ・・・そうなんだ!最近ちょっと伸び悩みでさ・・・」

 

「それはアンタが私達の助言をちゃんと聞かないからでしょ!って言いたいけど・・・」

 

「あれだけ丁寧に事細かく御教えしたのに御理解してない!っとおっしゃりたいのですが・・・」

 

「お前が真剣にやっていない!っと言いたいが・・・」

 

「「「昨日の模擬戦を見ると・・・自分の教え方にいささか不安が・・・」」」

 

 

普段ならもっと色々と言いたいところなのだろうが、昨日の模擬戦でいくら織斑千冬(世界最強)の弟子が相手でも、

ある程度は善戦すると思ったが・・・それはものの見事に砕かれた。

 

最初は卑怯だと罵った箒も、後で千冬からの指摘で若干反省し、レポートを書く時冷静に思い出すと、

明らかな実力の差があった事に気が付く。

 

 

「いくら何でも・・・あそこまで一方的にやられると・・・」

 

「俺もさ・・・後で冷静になったら、まんまと手の平の上で踊らされていた事に気付いたよ」

 

「言葉による挑発や誘導も、一種の戦法ですから・・・」

 

「ほんと・・・あの時のアンタはマタドールに踊らされている闘牛・・・いや、あれは猪ね」

 

「何も言い返せません・・・全くもってその通りです」

 

 

今思い出してもあまりに不甲斐ないと言うか惨めにも思える戦いと負け方をしたと思い沈む一夏と、

そんな彼と特訓して鍛えている彼女達も、自分の教え方に自信が無くなりそうになっていた。

 

 

「成程・・・なら丁度良かった」

 

「「「「えっ?」」」」

 

「実は織斑先生にお前を鍛えてくれって頼まれてな・・・レポート提出日を伸ばしてもらう代わりに・・・」

 

「あっ・・・そう言えば昨日なんか交渉的な事してたけど・・・それだったんだ」

 

 

寧ろ昨日の模擬戦は太一に一夏を鍛えさせる為の下準備だったのだろう。

 

直接戦わせて一夏を如何鍛えなければならないかを太一に分からせる為に。

 

太一の観察に関しては千冬と恵のお墨付きだが、直接戦えば更に事細かに理解が出来るのだ。

 

 

「まぁ・・・俺もいささか不安があったから、これを機にお前を鍛える事にする」

 

「そうか・・・それはあr「ちょっと待て!!」って箒?」

 

 

一夏は太一に鍛えてもらえるのはある種喜ばしい事ではあるが、今まで一夏と共に特訓をしてきた箒達にとってはある種死活問題で、

解雇宣告をされた様なものである。

 

 

「確かに先日の模擬戦を見て、私達の教え方が悪いのかもしれないとは思っている・・・しかし・・・」

 

「でもいきなりやって来て、自分が鍛えるって・・・それってどうなの?」

 

「効率は良くなるかもしれませんが・・・こちらとしても納得がいきませんわ」

 

「成程・・・確かにそうだな、なら如何したらいい?」

 

 

ここで余計な事を言えば場が荒れるのは目に見えているので、ここは敢えて彼女達が納得する条件を聞く事にした。

 

 

「私達の教えでも伸び悩んでいるのに、お前が私達個人より弱ければ意味が無い」

 

「今日の放課後私達と戦いなさいよ」

 

「こちらからアナタに申し込んだのですから、条件はそちらから申しだして構いませんわ」

 

 

そして彼女達が出したのは自分達と戦って勝てたらというもの。

 

教えるのに個人の戦闘能力はあまり関係は無い・・・経験と教えられるスキルの問題なのだが、

その方面での事に関しては太一の方が一枚上手であると言うのは、昨日の実習で実感しているので、

苦肉の策として決闘を申しだしたのだ。

 

 

「ならお前等が順番に俺と戦っていくってのでいいぜ、順番はお前達が決めな」

 

「・・・それだけか?」

 

「俺としてはお前達・・・特にオルコットと凰とは、戦ってみたいってのもあるしな」

 

「後悔するわよ」

 

「代表候補生の力、甘く見ない方が身の為ですわよ」

 

「そんなつもりはないよ・・・ところで織斑、お前も如何だ?昨日のリベンジに?」

 

「えっ?そりゃあ俺もリベンジはしたいけど・・・大丈夫なのか?一度に4人連続で戦うなんて?」

 

「無理だったらそこで止めるさ、自分の限界も分からない様じゃ、IS乗りなんてできないからな」

 

「じゃあ・・・リベンジさせてもらおうか」

 

「まあ・・・俺がある意味誘った時点でリベンジじゃない気がするが・・・」

 

「確かに・・・普通自分から申し込むもんな」

 

「僕もできれば一度太一と手合わせしたいけど・・・さすがに5人は辛いと思うからまた今度にするよ」

 

「そう?俺は別にいいけど・・・ペース配分を考えて連闘するのも結構良い訓練になるんだぜ」

 

「ううん・・・どちらかと言うと、今は気持ちが乗らないって言うか・・・太一の言うとおり、転校とか色々あったから疲れてるみたいだから」

 

「そうか・・・」

 

「でも見学位はしたいかな・・・僕も行っても良い?」

 

「俺は構わないけど」

 

「私もだ」

 

「構いませんわよ」

 

「駄目って理由もないしね」

 

(本当はいい事ないと思うけどな・・・まあこのIS学園内ならそこら辺は考慮してるから問題は無いか・・・)

 

 

この光景に皆が見慣れているが、3ヵ国の代表候補生が1つのテーブルを囲んでいるのはある意味で凄い光景で、

色々と問題がありそうである事に多くの者が気付いてはいなかった。

 

それと・・・。

 

 

(太一も僕と同じなのかな?だとしたら・・・ますます君を騙しているのが嫌になっていくよ・・・)

 

 

シャルルが1人、自己嫌悪に陥りかけている事に気付く者はいなかった。

 

 

「ふ~~~ん・・・面白い事になっているわね」

 

 

太一達から少し離れた場所で、1人の少女が扇子で口元を隠しながら太一達の方を見ていた。

 

扇子には「興味」と書かれており、その持ち主たる少女は興味津々と太一達の会話に耳を傾ける。

 

 

「問題の無人機騒動の時と、昨日の模擬戦も見られなかったからな~~~君のIS乗りとしての実力見せて貰うよ・・・八神太一君」

 

 

この少女は一体・・・何者なのか?その目的は・・・。

 

 

To be Continued

 

 




この少女は一体・・・何者なのか?その目的は・・・な~~~んて書いてますが、もう扇子って時点で皆さんお分かりですよね?

あの人は次回も出して・・・それ以降は二学期開始まではチョクチョク出そうかと思っております。

それとこの話を書いている時に思ったのですが・・・鈴って生粋の中国人?それとも中国人の母と日本人のハーフ?
鈴の父親は日本で中華料理屋やっていて、離婚が原因で中国に戻ったとありますが、父親は日本に残ったのか?
だとしたら鈴の父親は日本人?と思えまして・・・実際のところどうなんでしょうか?

次回は箒達との模擬戦と、上で上がった人との接触、そして・・・。

次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。