DIGIMON・STRATOS   作:龍気

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体調不良を起こして投稿が遅れ、文章も長くなりそうなので前後編に分けて投降する事にしました。

戦闘描写は駄文・・・箒ファンに怒られるかもです。

後編は出来上がりしだい投稿します。


第16話『生徒会長は波乱を呼ぶか?・前編』

Side・三人称

 

放課後・・・午後5時のIS学園、第2アリーナは異様な活気に包まれていた。

 

 

「思った以上にギャラリーが多いなあ・・・」

 

「食堂での僕達の会話を聞いて、そのまま広まったみたいだね」

 

 

食堂で太一と一夏達が模擬戦をすると聞き付けた生徒達により、一気に学園中に広まり、模擬戦を見ようとアリーナに駆け込んできた。

 

結果アリーナの観客席は全学年関係無く、多くの生徒達で埋め尽くされ、もはや大きな大会の様になっていた。

 

今は互いにウォーミングアップの最中でアリーナ内に出ていた。

 

 

「おかげで貸し切り状態だからやりやすいけどな」

 

「でもアリーナが使える時間は限られているから・・・確か今日はメンテナンスがあって遅くても7時までには終わらせないと」

 

「近々学年別でトーナメントがあるからな、安全の為の点検や、こういう時期に無理をする生徒も多いから、

休ませる意味でもメンテナンスは週2で行われるんだ」

 

「へ~~~・・・そう言えば今日は整備の仕事は無いの?」

 

「これも仕事みたいなもんだよ、ゼロの経験値を上げる事とデータをとる事がな」

 

『太一、今出来上がったよ』

 

「おっ?待ってました」

 

 

エックスの言葉を合図に、太一は零式を纏うと右腕に見た事の無い武装が追加されていた。

 

 

「太一、それは?」

 

「ゼロの初期武装の、盾とハンドガンの一体武器「ガンズシールド」、それと・・・」

 

ジャキンッ!

 

 

鍔の無い片刃の直刀・・・野太刀程のサイズの剣を展開させた。

 

 

「「ロングソード」・・・まあこれは特にこれと言った特徴の無い剣だな」

 

『これで経験値の幅も広がるね』

 

「さっきも経験知って言っていたけど、ISの自己進化を促す為のだよね?」

 

『それも有るけど、零式の場合は武装造りの為でもあるんだ』

 

「昨日披露した脚部の強化パーツも、俺が歩行や蹴りを多用した結果出来た物だ」

 

「それって・・・凄い事だよね?」

 

「これ内緒な、あまり広められると俺が政府のお偉いさん達に怒やされるからな」

 

「ははっ・・・政府で働いている高校生は大変だね」

 

「お前だって似た様なもんだろ?フランスの代表候補生、まったく・・・まだ15だってのに、

やってる事は30~40位のリーマンと変わんねえよ」

 

 

自分の立場に若気からか涙が出そうになり天を仰ぐ太一。

 

 

「八神、こっちは準備終ったぞ」

 

「順番は私が最初で、次にオルコット、凰、最後に一夏だ」

 

 

一夏達の方も準備が終ったようで、最初に戦う箒が前に出る。

 

今回の模擬戦のルールは、一夏達4人が順番に太一と戦い、太一に負けたら次の人に交代、太一が負けたら模擬戦は終了、

戦っている者への通信は無し、時間制限はアリーナ整備が始まるまで、それまでに終わらなければ引き分けとする、の以上である。

 

 

「最初は篠ノ之で、使用するのはやっぱり打鉄か・・・剣道全国制覇の実力見せてもらおうか」

 

「お互い怪我だけはしないでね」

 

「大丈夫・・・自慢じゃないが、俺は師匠達との組手以外で大怪我なんてした事ないんでな」

 

(それってつまり、織斑先生と恵さんで組手をしたら絶対大怪我を負ってたて事だよね?)

 

「如何した?」

 

「ううんっ!何でも無いよ!じゃあ僕ピットで見学してるから」

 

 

シャルルがピットに入っていくと、反対側の一夏達もピットに入っていき、残された太一と箒は中央で対峙する。

 

 

「こう見ると本当に小さいなお前のISは・・・それで昨日一夏に勝ったのがいまだに信じられん」

 

「それは俺の実際の身長を踏まえての事か?」

 

 

太一の身長はお世辞にも高いとは言えない。

同年代の男子高校生の中の下に値する身長で、本人は何気に気にしてる。

 

 

「まあそれでも・・・サイズは関係無いぞ・・・問題はISを扱う乗り手が力を引き出せるかだ・・・それじゃあ・・・」

 

 

対峙する2人は其々構えをとった。

 

 

「ISファイト!!」

 

「またそれか!?」

 

『レディ・・・・・・』

 

「『ゴオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォッ!!』」

 

「一体それは何なんだ!!」

 

 

太一とエックスの掛け声、それと箒のツッコミで2人の模擬戦は始まった。

 

 

Side・太一

 

「やああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「でやっ!!」

 

ガキンッ!!

 

 

俺の剣と篠ノ之の剣が激しくぶつかり合い、その衝撃が俺の両手を通して脳髄に響く。

 

打ち込みは中々力強い・・・。

 

 

「でやっ!はっ!いやあっ!!」

 

カンッ!キンッ!カキンッ!

 

 

早さも申し分ないが・・・。

 

 

ガキンッ!!

 

「なっ!?」

 

 

・・・それだけだ・・・。

 

篠ノ之の剣をさばき落とし、そのまま連続で斬りつける。

 

 

カキキキキキキキキキキキキンッ!!

 

「ぐっ!があああああああああああああああああっ!!」

 

「でりゃあっ!!」

 

ドガンッ!!

 

「がっ!?」

 

 

連続の斬りつけで身動きが取れないところへ回し蹴りを打ち込み、篠ノ之は吹き飛んだ。

 

手加減しているから気絶してないと思うが・・・。

 

 

バシュウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥッ!!

 

「はああああああああああああああっ!!」

 

「そうこないとな」

 

 

そう簡単に終わってしまっちゃあ面白くねえ・・・。

 

篠ノ之は落とした剣を拾い、すぐさま俺に斬りかかってくる。

 

 

「篠ノ之、IS戦は接近戦だけじゃないぞ」

 

「!?」

 

バシュン!バシュン!バシュン!

 

「なっ!うあああああああああああっ!!」

 

ドガシャアアアアアアアアアァァァァァァァンッ・・・・・・

 

 

右腕のガンズシールドから3発レーザーの弾丸を発射し、篠ノ之の肩や足に命中。

 

当たった衝撃でバランスを崩した篠ノ之は、ブースターを全開にしていたため、勢いそのままに地面を激しく転がった。

 

 

「早さと連射性は申し分ないが・・・やっぱり威力が小さいな・・・」

 

「くっ・・・」

 

「しかし、今の不用意に真っ直ぐ突っ込んでくる様子から、射撃系武器への警戒をまったくしてなかったな」

 

 

多分こいつはISで戦っている自覚はあっても、意識の大半かそれ以上は剣道の試合をする時と同じでやってしまっているんだな。

 

こいつが使うISがよく傷だらけになって戻ってくるのも、その所為だろうな・・・。

 

剣道は基本打突しあい・・・防御はあったとしても避ける事は無い・・・今のこいつはISを纏って剣道をしているようなもんだな。

 

 

「剣にこだわるのは別に悪いとは言わないが・・・視野は広げた方が良いぞ」

 

「くっ・・・御託は後でいい・・・今は戦う事に集中しろ」

 

 

いや・・・集中するのはお前だよ。

 

これは剣道とは違う・・・近代兵器を駆使して戦うIS戦だ。

 

 

「なら・・・そうさせてもらう!」

 

バシュッ!

 

「!?」

 

ドガッ!!

 

「ぐっ!?」

 

「戦っている最中に気を抜くな」

 

 

ダッシュで篠ノ之の視界から消え、一瞬の事に呆けた篠ノ之を殴り飛ばす。

 

 

バシュッ!

 

ドガッ!ビシッ!カキンッ!ズバッ!

 

「ぐっ!があっ!?うあっ!いぎっ!」

 

 

ダッシュを多用し勢いを乗せての手刀や肘打ち、更にはロングソードで連続斬り。

 

篠ノ之は俺の動きに反応しきれず、防御もできずに突っ立っているだけだ。

 

 

(くぅ・・このままでは・・・)

 

「如何した篠ノ之?もう降参か?」

 

「くっ!舐めるなああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

止まった俺に向かって来る篠ノ之・・・迂闊すぎるな。

 

 

「プロミレンドレーザー!!」

 

ズバーーーーーーンッ!!

 

「しまっ・・ぐわあああああああああああああああっ!!」

 

 

迫ってくる篠ノ之をプロミレンドレーザーで押し返し、篠ノ之は宙に舞った。

 

 

「こいつでフィナーレだ!」

 

『ウェイクアップ!!ってね』

 

バシュッ!!

 

「でりゃあああああああああああああああああああっ!!」

 

ドガッ!!

 

「ぐふっ!」

 

ドシュンッ!!

 

「がはっ!!」

 

 

篠ノ之に飛び蹴りを当て、そのままアリーナの壁に押し当てたと同時にフットパーツを起動させた。

 

衝撃でアリーナの壁には亀裂が入り、反響した衝撃が篠ノ之に更なるダメージを与え、打鉄のSE(シールドエネルギー)は尽きた。

 

 

「やっべ・・・篠ノ之大丈夫か?」

 

 

しかし昨日の織斑に与えた以上のダメージを与えてしまい、頑丈な打鉄を纏っているとは言え篠ノ之の身を案じる。

 

 

「くぅ・・なっ・・・情けは・・無用・・・・・だ・・・」

 

 

どうやら無事の様だ、だけど何とか立っているだけでやっとみたいだな。

 

 

「取り敢えず、この勝負は俺の勝ち、5分したらオルコットを出してくれ」

 

「・・・分かった」

 

 

あっ・・・物凄く悔しそうに睨んでいる。

 

そりゃそうだ・・・昨日の織斑の仇半分、実力を見せつける気が半分だったからな・・・それが何もできずに終わったんだ、

悔しいに決まってる。

 

さて・・・次はオルコットか、一応攻略法はあるが、如何なる事か・・・。

 

 

Side・一夏

 

まさか箒が一方的に遣られるなんて・・・それにしても八神の奴、闘いになると熱くなるタイプか?

 

さっきも小言で漏らしていたけど、自分の攻撃の威力が分からずに繰り出す様だ・・・昨日も俺との模擬戦の後、

それで千冬姉に拳骨喰らったみたいだし。

 

 

「くっ・・うぅ・・・八神め・・・とんでもない蹴りを容赦なく入れてくれる・・・」

 

 

箒が俺達の所に戻って来たが・・・打鉄共々目立った外傷は無く無事な様子だけど、最後の蹴りで脳震盪を起こしたのかフラフラだった。

 

 

「一夏も喰らったけど、如何なの?あの蹴りって」

 

「まあ・・・衝撃が凄いな、鈴の衝撃砲を零距離で撃ち込まれるような・・・」

 

「箒さん、無理はなさらずに横になった方がよろしいですわよ」

 

「あぁ・・・そうさせてもらう・・・」

 

 

普段強気で弱音と言うかそう言ったところを見せない箒が、弱弱しく素直に横になった。

 

 

「箒・・・大丈夫か?」

 

「大丈夫だ・・・と言いたいが・・・あそこまで何もできずにやられたんだ、虚勢を張る意味もない・・・」

 

 

あぁ・・・精神的にもやられた様だ・・・。

 

 

「・・・しかし・・・」

 

「「「ん?」」」

 

「次は負けん!!」

 

 

うん、これでこそ箒だ。

 

悔しがる事は良い事だ、俺も・・・まあ昨日八神に言われたのもあるけど・・・あれだけコテンパンに遣られたんだ、

悔しい思いはある・・・だから今日の八神との模擬戦は、一発でも殴るとかじゃなく、負けない気持ちで挑む。

 

 

「その前にアンタは八神に本気で戦ってもらえる様にならないといけないんじゃない?」

 

ズーーーーーーーンッ・・・

 

「気持ちが乗って来たのにそんな事言わないでくれよ・・・」

 

「まあそんな事は置いといて」

 

 

いや・・・モチベーションは大事だよ、何事もまずは気持ちからって大事だと思うぞ。

 

 

「次はセシリアよ、何か対策とかある?」

 

「対策と言うよりは・・・幾つか気になる事がありますわね」

 

「何?」

 

「八神さんの空中戦と遠距離戦の実力ですわ」

 

 

セシリアの言葉に俺達も気付いた。

 

八神は主に地上戦、もしくは持ち込んで戦っていた、それに射撃武器はあるけどあまり使わずパンチやキックで戦ってたな。

 

 

「今回私はそれを探る為に戦いますわ・・・もちろん勝つつもりですが、その時はお2人に任せます」

 

「分かったわ・・・それと1つ頼みがあるんだけど」

 

「何ですか?」

 

「一発だけでもいいからアイツに当てて貰いたいの」

 

「分かっていますわ・・・それでは行ってまいります」

 

 

そう言ってセシリアはピットから出撃した。

 

 

「鈴・・・今のは如何言う事だ?」

 

「八神の戦闘は今まで3回見ているけど、どれを見てもアイツはまともに攻撃を受けてない」

 

「確かに・・・それって八神の回避と防御が上手いって事だよな・・・」

 

「アイツは私の軌道を見切って、的確にさばいていた・・・同年代であそこまでされると自信を無くしそうだ」

 

「でもそうなると幾つか予想が浮かんでくるの」

 

「「何?」」

 

「・・・八神とそのIS零式の弱点よ」

 

 

鈴の言葉に目が点になった。

 

八神とあの零式の弱点だって・・・そんな物があるのか?

 

 

「と言うか・・・もうこれって恵さんの口から聞かされているんだけどね・・・一夏と箒も織斑先生から聞かされたんじゃないの?」

 

「「へっ?」」

 

 

千冬姉が零式の弱点を?駄目だ思い出せない・・・。

 

 

「まあ弱点って言うほどのものでもないと言うか・・・スペックが第一世代の初期型に劣るって」

 

「「あっ・・・」」

 

 

そう言えば言っていたな・・・直接戦ったからか、八神自身とISのどちらも強いって思っていた。

 

 

「今の箒との模擬戦に掛かった時間は20分程、仮に八神のISを白式に変えたら、もっと早い時間に終わっている筈よ」

 

「そうなのか?」

 

「あの新しい剣と銃にしても、被弾した時のSEの減りは少ない・・・あの蹴りを除けば、全ての攻撃力はかなり低いわ」

 

「攻撃力の低さ・・・それがじゃくt「違うわよ」んえ?」

 

「確かにそれもあるけど、それを補うのが強化パーツによる機動力・・・これは多分低い防御力を補う意味もあるわね」

 

「勢いを利用して低い攻撃力を底上げして、素早く動いて相手の攻撃を避ける為か?」

 

「防御力がどれ位のものか、今のところよく分からないから、取り敢えずセシリアには一発でも当てて貰いたいところね」

 

 

成程・・・その為にセシリアも了承したのか・・・。

 

 

「それともう1つ、あのパーツは地上戦では効果を発揮するけど、空中戦では効果を発揮しない筈、

だから八神は少しでも優位な地上戦に持ち込むような戦い方をする・・・もしくは・・・」

 

「「八神は空中戦が苦手だから」」

 

「この目で見てないから確証は得てないけどね・・・予想を建てるのは必要よ」

 

 

何だか・・・俺の知っている鈴と違う・・・。

 

何と言うか・・・大人っぽいとかそんなんじゃなく・・・戦う人?って言うか、戦士?

 

同じIS乗りなのに、俺と鈴、セシリア・・・それと八神ではこんなにも違うのか・・・。

 

 

Side・三人称

 

「お待たせしましたわ」

 

 

ピットから出てきたセシリアはアリーナ中央付近で立っていた太一と距離をおく様に降りて、互いに武器を展開していない状態で対峙した。

 

 

「何か作戦は練れたか?」

 

「さあ?それは如何かしら?」

 

「正直、今日の模擬戦はお前と凰とするのが楽しみなんだよ」

 

「あら、てっきり格下に見ているのかと思いしましたのに」

 

「代表候補生になるには個々の才能もそうだが、それを伸ばし上回る努力が必要だ、ここの生徒達が崇める織斑先生も、

恵まれた才能やら選ばれた人なんて言われているが、類稀ない程の努力の積み重ねで候補生・・・そして代表になった。

努力無くして何も掴めずってね・・・そんなお前達をそんな風には見ないって・・・お前等は凄いよ」

 

「あのお2人のお弟子さんにその様に言っていただいて光栄ですわ・・・しかしそう言われると、

昨日と少し前までの自分が恥ずかしくて仕方がないですわ」

 

「恥じて間違いだった事に気付いて、それを改善しようとしているだけでも大したもんだ、国は違えどお前みたいな奴に代表になってもらいたいよ」

 

「ふふ・・・意外とお口がお上手ですわね」

 

 

2人の会話には棘が無く、初期の頃のセシリアと、普段女子達が抱く太一のイメージとは大きくかけ離れていて、

ある者はセシリアの人としての成長と改心に感心を、ある者は太一のギャップに若干困惑していた。

 

 

「さて・・・時間もないし始めるか」

 

「そうですわね・・・代表候補生の力、とくとご覧ください」

 

「あぁ・・・Round・2!!」

 

『レディ・・・・・・』

 

「本当にそれは一体何ですの?」

 

 

若干の呆れも含みながらも、何時でも動ける様にと構えるセシリア。

 

 

「『ゴオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォッ!!』」

 

バシュ!バシュ!

 

「えっ!?」

 

 

太一とセシリアは、試合開始と同時に武器を展開し発砲した。

 

しかしセシリアはその場に止まっての発砲、対して太一は右側に飛びながらの発砲。

 

そうなると必然的に・・・。

 

 

バシュンッ!

 

「きゃうっ!?」

 

 

セシリアのみが被弾する事になる。

 

セシリアは疑問に思った、今の太一の動きは明らかに自分の行動を読んでいたかのように動いた。

 

 

「如何して自分の行動が分かったって顔だな?」

 

「くうっ・・・」

 

「最初っから武器を展開していたなら如何か分からなかったが、武器を展開していなかったから予想が出来た」

 

「?」

 

 

太一の言葉にますます分からなくセシリア。

 

 

「お前、それを展開する時左腕を横に出す癖があるだろ?」

 

「!?」

 

「試合開始直前、お前が構えると同時に左腕を横に出す素振りが見えて直感した、開始直後に撃ってくるってな」

 

 

太一が指摘したそれは、以前実習で千冬から注意を受けていた事だった。

 

千冬から聞いたのかとセシリアは思ったが、それは次の言葉でかき消された。

 

 

「昨日の山田先生との模擬戦をするって時、今の様にして展開していただろ?一回だけだがちょっと不自然かなって思ってな」

 

 

昨日女子達のISスーツ姿を見ないように頑なに目を瞑っていたのに、見るところは見ていた様だ。

 

 

(まさか・・・織斑先生から指摘を受けた事が、この様な結果を生むなんて・・・だから直せとおっしゃたのですね)

 

 

最初は自分が展開しやすいからと訴えようとしたが、今の太一の言葉でその真意を理解した。

 

 

「本当に・・・私はまだまだ未熟の様ですわ・・・」

 

「如何した?」

 

「いえ、何でもありませんわ・・・それでは続きと参りましょうか!」

 

「何だか分からないが・・・来い!」

 

 

仕切り直しとばかりに、それぞれの武器で撃ち合いを始めた太一とセシリア。

 

セシリアは空中からブルー・ティアーズの4基のビットとスターライトmkIIIでオールレンジ攻撃を繰り出し、

太一は地上でガンズシールドで応戦する。

 

太一のガンズシールドは一度で最大12発の連射が可能で、一度撃ち尽くすとチャージには24秒、

1発につき2秒オートでチャージされるが威力は小さい。

 

対しセシリアのスターライトmkIIIは連射の速度は今一だが威力は中の上、ビットの威力は小さいが4基其々が死角を狙ってくる。

 

太一はビットからの攻撃をかわしながらスターライトmkIIIをガンズシールドで防ぎすぐさま発砲。

 

セシリアはビットを制御している間は静止し無防備になり、スターライトmkIIIを使用する時は逆にビットの制御が疎かになる為、

太一はスターライトmkIIIからレーザーが放たれ、セシリアがビットを制御しようとするまでの間にできる隙を狙って攻撃する・・・いや、

それしかできないのだ。

 

 

(射撃の腕もなかなか・・・ですが、やはり八神さんは空中戦が苦手、若しくは零式は空中では素早く動けない様ですわね)

 

 

一夏はセシリアとの対決時、素人にも拘らずセシリアとブルー・ティアーズの弱点を見抜き、彼女に慢心があったとしても、

ビット4基全てを破壊する偉業を熟した。

 

実力的にも一夏より上の太一がそれをしないのは、単に零式が空中でビットの攻撃をかわせる機動力を持っていない事と、

太一自身が空中戦の経験が少ないからだ。

 

零式は経験を積めばそれに見合った武装を自ら作り強化と進化をしていくIS。

 

太一も何度かは空中戦の訓練をしようとしたが、零式の他のISとの操縦の違いやスペックが原因で、

地上での操縦を優先させるしかなかったのだ。

 

 

(まずいな・・・オルコットのオールレンジ攻撃がこうも厄介とは・・・)

 

『太一、如何するの?』

 

(大丈夫、策は幾つかある・・・だけど何かをするにしてもオルコットとの距離を俺達の攻撃が届く射程距離を維持しないといけないし、

何よりもまずあのビットを何とかしないとな・・・)

 

 

太一が地上に留まっている訳はもう一つある。

 

それはビットの動きを制限させる為。

 

地面がある限り、ビットの行動範囲は半分の180度に制限される。

 

機動力が足りない零式と、空中戦の経験が少ない太一が、ビットによるオールレンジ攻撃を避けられるのはこの為だ。

 

本来は壁際に移動して、ビットの行動範囲を90度に制限させたいところではあるが、今現在使える武器の射程を考えると逆に不利となってしまうのだ。

 

そしてセシリアのオールレンジ攻撃が予想以上に厄介である事が、太一の手数を少なくさていた。

 

 

『・・・あのさ太一、実を言うと君に隠していた事があるんだけど・・・』

 

(何?)

 

『実はガンズシールドに・・・』

 

 

若干申し訳なさそうなエックスの言葉を聞くにつれ、太一の表情が引き攣っていった。

 

『・・・を追加してました』

 

(おまっ・・・だからこんなに遅かったのか!)

 

『ゴメン・・・展開と形状の調整に手間取って・・・』

 

(ったくも・・・まあいい、おかげで作戦が浮かんだ、早速使わせてもらうか・・・)

 

「これで終わらせますわ!」

 

ドシュンッ!!

 

「まだまだこれからだ!」

 

「なっ!?」

 

 

太一はセシリアの発砲と同時に素早く跳び上がり攻撃をかわした。

 

 

(空中戦をするつもりですか?いや・・・何か別の考えが・・・)

 

 

太一がセシリアを超えた位置に達すると、ガンズシールドのシールド部分が変形、3つのプロペラ状になって分離した。

 

 

「シールド・・・ブウウウゥゥメラン!!」

 

ブウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!

 

 

太一は分離したシールド、エックスがガンズシールドに勝手に追加した「シールドブーメラン」をセシリアに向けて投げつけた。

 

 

「なっ!?くっ・・・!」

 

 

シールドがブーメランになった事に驚きはしたものの、セシリアは危なげなく避ける。

 

 

「私に小細工は通用しなくてよ!行きなさいティアーズ!」

 

 

シールドブーメランを避けたセシリアは、すぐさまビットを操り太一を襲う。

 

 

「くっ・・・」

 

 

シールドを無くし、ビットのレーザーをその身で受ける太一。

 

防御力が低い零式では、威力の低いビットのレーザーでもそれなりのダメージとなった。

 

 

(やはり今のゼロの防御力じゃあ・・・威力が低くてもこの一発一発が結構キツイ・・・だが!)

 

「止めですわ!」

 

 

止めを放とうとするセシリア・・・しかし。

 

 

「日本の諺に・・・」

 

「?」

 

「こんなものがある・・・」

 

 

太一は口角を上げて静かに呟く。

 

 

「肉を切らせて骨を断つ!」

 

「アナタは何をいっ・・・」

 

ガキンッ!!

 

「なっ!?はっ・・・・!」

 

 

突如セシリアの背中に何かが勢いよくぶつかった、それは先程太一が投げたシールドブーメラン。

 

セシリアがかわした後、シールドブーメランは弧を描き、ビットの制御に集中して動けなかったセシリアの背中に命中した。

 

 

「ビットの制御中も視野を広くもって動ける様になれよ・・・てりゃ!」

 

ドガガガガンッ!!

 

「あぁ!!」

 

 

太一は手元に戻って来たシールドブーメランを再び投げ、制御が切れ浮いていた4基のビット全てを破壊した。

 

 

「もう一丁!」

 

「二度も同じ手は通じませんわ!」

 

 

三度投げられたシールドブーメランを避けるセシリア。

 

 

「ティアーズを失ったとは言え、まだ負けたわけではありませんわよ!」

 

 

寧ろビットを失った事により、さっきの様に無防備になる事は無くなり、更に360度全てを見渡せるハイパーセンサーを前にして、

もうその手は通じないと意気込むセシリア。

 

しかし・・・。

 

 

ザシュンッ!!

 

「なっ!?きっ・・軌道が・・・変わった?」

 

 

投げられて弧を描く様に戻ってくる筈のシールドブーメランが急に軌道を変えて自分に襲い掛かって来た。

 

 

ギュルル・・・

 

ザシュンッ!バシュンッ!

 

「きゃっ!?あぁっ!!」

 

 

それも一度ではなく何度も軌道を変えて襲ってくる。

 

この事に何が起きたのかセシリアの目に、太陽光を浴びて光る糸の様な物、そして腕を動かしているのが見えた。

 

 

「くぅ・・・そう言うトリックでしたか・・・」

 

「ありゃ?もうばれた?」

 

 

太一はガンズシールドを投げる前、スパイダーネットを見えない様に絡ませていた。

 

これで軌道を変えて当てたと言う単純なものだが・・・この様な単純なものほど厄介なものだ。

 

 

「こんな単純な手に引っかかるなんて・・・」

 

「単純なものほど気付かない物だ、さて・・・お前のステージは終った、こっからは俺のステージだ!

どおりゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ブウウウゥゥゥンッ!

 

「きゃああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

先程の攻撃の際、セシリアの体にはスパイダーネットの糸が絡みついていた。

 

太一は絡みついた糸を引っ張ってセシリアを振り回した。

 

振り回されているセシリアは、普段の彼女からは想像が出来ない悲鳴を上げていた。

 

 

「どおおおおっせええええええいっ!!」

 

ドガシャアアアアアアアアアンッ!!

 

「かっ!はあっ!!」

 

 

太一はセシリアを地面に叩き付け、そのまま急降下して接近する。

 

 

「くっう・・・まだまだ!!」

 

ドシュウウウウゥゥゥゥンッ!!

 

 

残ったミサイルを太一に向け放ち、同時にスターライトmkIIIを構えた。

 

 

(空中戦が苦手ならあのスピードでの回避は難しい筈、もしできたとしてもそこを狙い撃ちですわ)

 

「甘い!」

 

バシュ!バシュ!

 

ドガガーーーーーーーンッ!!

 

「そんな!?」

 

 

太一は迫ってくるミサイルを近距離で撃ち落とした。

 

勿論その爆発でダメージを負ってしまう・・・だがその爆発で黒煙が発生し太一の姿が見えない。

 

 

(くっ・・・あの距離で撃ち落とすなんて予想しませんでしたわ・・・ですが何の変わりもありません。

煙がはれるか、出てきたところを狙うだけですわ・・・恐らくフェイントをかけてきますから、それには気を付けないと・・・)

 

 

セシリアは、太一が煙に紛れて、フェイントをかけて奇襲をかけてくると予想。

 

しかしその予想は崩された。

 

 

「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

「なっ!?そのまま突っ込んで来た!?」

 

 

太一はそのままキックの態勢でセシリアに向かって行った。

 

 

「その前に撃ち落としますわ!」

 

「ならその前に倒す!」

 

バシュンッ!!

 

 

セシリアが放ったビームの弾丸が、自身へと向かって来る太一と接触する寸前、セシリアは命中すると確信した。

 

 

ビシュンッ!

 

「くっ!」

 

「外した!?」

 

 

しかし確実に当たるとビームは、太一の肩を掠める程度に終わり。

 

太一はそのままセシリアに突っ込んで行った。

 

 

「せいやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

ドゴ!ドガンッ!!

 

「ぐぶっ!!があっ!!」

 

 

太一のキックを受けてセシリアはその場に倒れる。

 

今のでブルー・ティアーズのSEは0となり、太一の勝利が確定した。

 

 

Side・セシリア

 

「威力は抑えたから大丈夫だとは思うけど・・・大丈夫か?」

 

 

うぅ・・・多少脳が揺れたみたいで気持ちが悪いですわ・・・ですが何とか立てる様ですわね・・・。

 

 

「少し気分が悪いですわ・・・景色が揺らいで見えます・・・」

 

「・・・すまないな」

 

「いえっ・・・こちらから模擬戦を申し込んだのですから、こうなっても仕方の無い事ですので、八神さんが気にする事ではありませんわ」

 

「そうか・・・でも、さすが代表候補生になるだけはあるな、結構楽しい試合だったぜ」

 

「私も、良い経験をさせていただきました・・・自分の弱いところも再確認できましたし、ありがとうございます」

 

 

今日の八神さんの模擬戦は今後のプラス要因になるでしょう。

 

 

「俺も、あのオールレンジ攻撃は良い経験になった、オルコットが良ければ、また相手をしてくれないか?」

 

「ふふっ・・・私もですわ」

 

 

八神さんは相手を観察し、弱点を見抜く事に長けていますわ。

 

もし彼が今後国の代表になった時、最大の障害と成りえますが、今は学友として、そしてライバルとして、

私自身が苦手とする戦い方を克服する良い機会となりますわ。

 

 

「じゃあ早くピットに戻って休め」

 

「あっ、八神さん」

 

「ん?」

 

「これからお互いに切磋琢磨していくのですから、私の事はセシリアとお呼びください」

 

「分かった・・・じゃあ、俺の事も好きに呼べ、セシリア」

 

「はい、太一さん」

 

 

太一さん・・・一夏さんとはまた違う強い殿方、私の心は一夏さんと決まっていますが、彼もまた違って素敵な殿方ですわね。

 

 

「あぁ・・そうそう、セシリア」

 

「はい?」

 

「多分お前と凰は予想しているだろうし、それならお前は気付いたと思うから言っておく」

 

「何でしょうか?」

 

「俺は今の所空中戦は苦手・・・と言うか現段階のゼロを纏っての空中戦が苦手だな」

 

「なっ!?」

 

 

何故自分の弱所を対戦相手である私に話すのですか!?

 

この模擬戦は言い替えれば1対4のチーム戦、その事を私に話せば、次に控えている鈴さんと一夏さんとの戦いで不利に・・・。

 

 

「おっと、これは別にお前等を下に見ているとか、自分の力に自惚れているとかじゃないぜ、実際の所俺が空中戦が苦手と予想して、

それを今の試合で確証を得たんじゃないのか?」

 

「・・・それはそうですが、だからと言って自分が不利になるような事を・・・第一私が予想してなく、

確証を得てなかったらどうするんですか?」

 

「もし気付いてなかったら、こんな事は言わなかったし、お前達が予想してなかったって事は無い、

その事は今の戦い方で分かっている」

 

「えっ?」

 

「俺がお前のオールレンジ攻撃を防いでいた時、何度か空中への逃げ道を作っていただろ?それにお前が居た位置も、

俺の攻撃がギリギリで届くか届かない範囲を保っていた。

これは俺を空中に誘い込む為と、接近戦に持ち込む為・・・もっとも、空を飛んでいるお前に近付かないといけないから、

どの道空中戦になるだろうけどな」

 

「全部分かってらしたのですね・・・でもだからと言って自分の弱所を敵側に教えるなどと・・・」

 

「もうバレてんのなら隠してもしょうがない、本当はそれを悟らせないように戦わないといけないんだけど、

正直お前相手ではそれが無理だと判断して、多少のダメージも覚悟であんな事を・・・お前は強いよ。

それに・・・相手が俺の苦手な事を理解しているなら、俺はそれを何とかしようとヤッケになるしなかい。

これは俺自身の為でもあるんだ」

 

 

何と自分にも厳しい人なのでしょうか・・・。

 

自分を追い込む為に、それと相手の力量を見定めて、自分の弱所を話すなど・・・。

 

 

「太一さん・・・アナタは自分に厳しく誠実なお方ですわね」

 

「誠実かどうかは分からないけど、自分に厳しくしないといけないのは分かってる・・・じゃないと目指す場所まで行けないからな」

 

「・・・また再戦してくださいね」

 

「何時でも来い」

 

 

太一さん、アナタが今どこかの国の代表候補生、もしくは代表でなかった事、そしてIS学園に通っていらっしゃる事を感謝いたしますわ。

 

でなければ・・・アナタの様な強いお方と身近で競い合う事は無かったかもしれないのですから・・・。

 

 

Side・鈴

 

「お帰りセシリア、如何だった八神は?」

 

「厄介な戦い方をする方ですわね・・・観察力に優れていて身体能力が高く、挌闘と銃撃戦も斑なく熟せるので、

相手の弱点を突く戦法を幾つもとれるのですわ」

 

 

やっぱり・・・あの無人機との戦いで分かっていたけど、八神は観察力の高さと、戦法を組み立てるのが上手い。

 

この2つが両立できるからこそ厄介なのよね・・・。

 

 

「でも八神に攻撃を当てたじゃないか、それだけでも凄いよセシリア」

 

「あぁ・・・私なんて掠る事も出来なかったのに・・・」

 

「いえ・・・あれは私を油断させる為に自らを囮にしたんですわ・・・言わば当たるべくして当たったですわ」

 

「そっ・・・そうか・・・」

 

 

それに八神は思い切りもある・・・自分がたてたどんな作戦をも迷いなく実行する思い切りが。

 

冷静で慎重の様で、それでいて実は熱くて大胆な奴・・・何て厄介な相手なのよ、八神って男は・・・。

 

 

「ですが、太一さんはやはり空中戦が苦手の様ですわ・・・だけど射撃の腕は中々なので、油断はできません。

もっとも、空中戦に関しては本人の口から告げられた事ですけど・・・」

 

「あれ?セシリア、八神の事名前で呼ぶのか?」

 

「えぇ・・・先程の模擬戦の後に」

 

「如何言う風の吹き回しだ?」

 

「いえ・・・互いに実力を認め合った仲ですからファーストネームで呼び合おうかと思いまして・・・」

 

 

うん・・・これは鞍替えとかそんなんじゃないわね。

 

苗字で呼び合っていたクラスメイトと、ある切っ掛けで友達になって名前で呼び合う様な、そんな感じね。

 

そう言えば一夏、アンタ八神の事名前で呼ばないわよね?如何してだろ?

 

一夏は基本、最初は苗字で呼ぶが、次には名前さえ知っていれば了承無で名前で呼ぶ。

 

人によってはそれが嫌な人も居るから止めなさいって注意したけど・・・一夏は聞く耳をもたない・・・と言うか、

一夏は誰ともなのか気になった人となのか、友達になろうとする節がある、それは別に良い事なんだけど、

そのやり方が極端と言うか・・・馴れ馴れしくズケズケと会話に入って来たりと、何かと一緒に居ようとする。

 

正直言うと、1人で居たいときとかに来られたら、完全にウザいと思われるタイプなのよね。

 

と言うか空気が読めないのよ。

 

おっと、話が脱線しかけたわね・・・まあそんな一夏が、ちょっと前までは同い歳の整備員で現在クラスメイトの八神を名前で呼ばない事は、

私・・・それと箒もかしら?幼馴染からしたら意外な事なのよね。

 

まあ・・・今は一夏の事より、八神との対決の方が重要だけど・・・。

 

 

「鈴さん」

 

「何?」

 

「太一さんはお強いですわよ・・・織斑先生と織田整備主任のお弟子さんである事を抜きに・・・」

 

「プライドの高いアンタがそこまで言うなんて・・・上等じゃない、ますます燃えて来たわよ」

 

 

正直言って、前の八神と無人機との戦いを見てから、アイツと戦ってみたかったのよね。

 

アイツは私と一夏の2人掛りで苦戦・・・いや、八神の指示が無かったら私達は確実に遣られていた。

 

そんな相手に八神は性能の低いISを使って勝った。

 

そんな八神と戦うと言った時、私は静かに燃えていた。

 

別に私自身が戦闘狂って訳じゃないけど、スポーツにしろゲームにしろ、何をするにしても楽しまないと損、

相手が私より強いかもしれない奴なら尚更よ。

 

 

「それと鈴さん、太一さんは鈴さん攻略の算段が出来ています」

 

「・・・そう言えば、無人機が襲撃してくる前、一夏と鈴の試合を見てそんな事を言っていた・・・」

 

 

えっ?それって私かなり不利なんじゃないの?

 

でも八神なら当然か・・・あの無人機の時もそうだけど、一度見た相手の戦いを見て攻略法を編み出すのは得意そうだし。

 

でも・・・。

 

 

「だからって尻尾を巻いて逃げるなんてできないわよ・・・その時はその時で何とかして見せるわ」

 

 

それに八神も同じ条件の筈、お互いがお互いの弱点を知り得ている事に変わりない。

 

 

「一夏、今日はリベンジ出来ないかもね」

 

「おいおい・・・まあ皆八神に勝つ気で挑んでいるわけだし・・・負けてくれなんて思ってないけど、

それじゃあ俺は今日何も無しかよ」

 

「私が八神に勝ったら、私が相手してあげるわよ・・・クラス対抗戦の時の決着が着いてないしね」

 

「おぉ・・・それもそうだな・・・頑張れよ鈴」

 

「うん!じゃあ行ってくるわね」

 

 

・・・かもね・・・っか、何時になく私らしくない発言ね。

 

でも正直、八神が相手だと、そうなりえるのかもしれないと思ってしまう。

 

これは私が八神の事を素直に認めているからだな・・・悔しいかな事IS・・・それ以外の事でも、誰よりも・・・一夏より頼りになると思ってる。

 

だからと言って、一夏から八神に鞍替えしたわけじゃ無い・・・。

 

一夏しっかりしなさいよ・・・女の子は惚れた男の子にはかっこよく居て貰いたいもんなんだから・・・箒とセシリアも含めてね。

 

 

Side・シャルル

 

凄い・・・それ以外の言葉が出てこない。

 

代表候補生のオルコットさんに、スペック的にも不利にも係わらず・・・30分足らずで勝つなんて・・・。

 

幾つか危ないと思う所はあるけど、それは足りない部分を補おうとしたからで、その結果全部がプラスになっている。

 

でも篠ノ之さんとの試合の時、太一は全てを紙一重で避けて、一度も攻撃を受けないで勝った。

 

いくら篠ノ之さんの経験が浅くても、彼女自身の身体能力の高さと剣の腕前を踏まえれば、遠距離戦主体のオルコットさんは兎も角、

同じ代表候補生で、近距離戦もする凰さんに2~3撃は入れられる筈・・・。

 

 

「太一の実力はひょっとして・・・」

 

「ひょっとしてじゃなくて・・・彼は身体能力、それに武術に剣術、それに射撃を含めれば十分代表クラスよ」

 

「えっ!?」

 

「こんにちは、それともボン ジュール?」

 

「えっ?えっと・・・こんにちは・・で・・・」

 

「そう?挨拶は大事だからちゃんとしないとね」

 

 

何だろうこの人・・・リボンの色からして2年生で・・・扇子に「世界共通」?

 

でも綺麗な人だな・・・スタイルも僕よりも良さそうだし・・・。

 

 

「自己紹介がまだだったわね。私は2年生の更識楯無、そしてこのIS学園の生徒会長よ。

よろしく、シャルル・デュノア“さん”」

 

「えっ?僕の名前を・・・それに生徒会長?(それに今“さん”って・・・)」

 

「それ位生徒会長なら当たり前よ。なんたってデュノア社のご子息でフランスの代表候補生、そして世界で3人しかいない男性操縦者だもの、

把握してない方がおかしいわ」

 

 

あっ・・・さん付けする人だったんだ・・・。

 

 

「ん?さんより君の方がよかったかしら?」

 

「えっ!?」

 

「いえ・・・さんって呼んだ時に驚いてたから、女の子に思われているって思った?」

 

「あっ・・・はい・・・でも男の人をさん付けで呼ぶ人もいるから・・・どっちでもいいですよ」

 

「ん~~~でも君可愛い顔つきしてるから、女の子に間違えられそうだから君付けで呼ぶわ」

 

 

扇子の文字が変わって「可愛い」って・・・それに女の子に間違えられるって・・・何だか自分のしてる事に自信無くすな。

 

別にこれが成功しても失敗しても僕に待っている結末は大して変わらないけど・・・。

 

 

「はぁ・・・あっ!名前呼ばれましたけど、シャルル・デュノアです」

 

「名前呼んじゃったから別にいいのに」

 

 

今度は「真面目」って・・・如何なってるんだろうあの扇子?

 

 

「それにしても織斑先生が鍛えただけあって・・・彼末恐ろしいわね」

 

「あっ・・・更識さんは太一の事知ってるんですか?さっきも太一は代表クラスの実力者だって・・・」

 

「うん・・・だって彼・・・」

 

 

また扇子の文字が・・・今度は・・・「運命」?

 

 

「私の運命の人だもん♪」

 

「えっ?」

 

「だから私は君のライバルと言う事になるわね」

 

 

僕は・・・更識生徒会長が何を言っているのか、この時は全く聞こえなかった・・・。

 

 

To be Continued

 




次回は鈴と対決、一夏と戦うか?そして何をする気だ楯無!

因みに箒戦時のキックのは、仮面ライダーキバのダークネスムーンブレイクをイメージしました。
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