DIGIMON・STRATOS   作:龍気

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デジモンワールド・リ:デジタイズデコード今年発売!!


第3話『強襲の機械人形』

Side・千冬

 

まったく・・・恵の奴め、急に太一君をこっちによこすなどと言ってきて・・・。

 

まああの子はほおっておくと何時か体を壊しかねん位仕事・・・もとい何事にも没頭しかねんからな、

休息とリフレッシュは必要だろう。

 

本当・・・一夏とはまた違って、手のかかる子だ。

 

 

「織斑先生?」

 

「ん?如何しました山田先生?」

 

「如何したんですか?格納庫からの連絡を受けてからその・・・若干表情が緩んだと言うか・・・」

 

「・・・私はそんな顔をしていましたか?」

 

「はい・・・一体何の連絡だったんですか?」

 

「・・・整備班の織田主任から、整備に必要なデータ不足の為、そのデータを取る為に八神整備員をこっちによこすとの連絡です」

 

「あぁ・・・あの子ですか」

 

「「・・・八神(さん)が・・・」」

 

 

太一君が来ると聞いて山田先生と篠ノ之にオルコットの反応が明らかに違う。

 

ハッキリ言ってあの子は教師側と生徒側では、受けと言うか評価が正反対だ。

 

教師側からはISの整備をしっかりと施され、尚且つ生徒達の見えない癖を指摘するなどして教師達の生徒達の指導に大いに役立っていて、

評価はすこぶる良い。

 

しかし反対に生徒達からは、その癖の指摘の仕方が厳しく、何を言っても全て言い返されてしまう事から、

色々とある年頃である女子高生で埋め尽くされているこのIS学園の生徒達からは、あの子の評判が良いとは言えない。

 

寧ろ苦手意識を持たれている様だ。

 

事実昨日この2人はあの子に口でコテンパンにのされた後、篠ノ之は使用した打鉄を指定場所に戻さなかった事、

オルコットは自身の専用機のデータを取り忘れて、今朝方その事について太一君から厳重に注意されたところであった。

 

まあ・・・使用したISを元の指定場所に戻すのも、自身の専用機のデータを取るのは自己責任ではあるが、

それを怠った場合の皺寄せは全て整備員に向かわれる。

 

特にその日の専用機のデータを取るのは、必ず所持者と同伴し、不備が無いか等色々と確認しなければならず、

思いのほか時間が掛かる時もある。

 

特に今日の様に学園行事で行われる試合が有る時は、整備員達は万が一に備えて目の回るような忙しさに見舞われる。

 

だからいつもなら前日の作業はその日の内に全て終わらせ、当日に備えるのだが、そこにこいつ等の不始末で仕事が増えたのだ、

怒りたくもなるか・・・。

 

 

「仕方あるまい、自身でやるべき事を怠ったお前達の責任だ」

 

「「はい・・・」」

 

 

相当まいっている様だな・・・ん?ところで何で太一だけ君付けで呼んでいるだと?

 

別に贔屓と言う訳ではないが、あの子とは先生・・・あの子の両親の下でIS開発の協力をしていた時からの付き合いだ。

 

その時からの呼び名が、未だに抜けないだけだ。

 

 

「彼も整備員としての責任とプライドがあるんだろう・・・だからこそキツク言うんだ、それは分かれ」

 

「「はい・・・」」

 

 

事実もしISに不備があった場合、最悪命を落とす事もあるからな・・・それをさせない為に、整備員は何時も厳重にISの整備を行っている。

 

そのおかげで私達は安心してISを身に纏う事が出来るのだからな。

 

 

プシュン・・・

 

「失礼します、八神太一入ります」

 

 

そうこう言っている内に太一君がやって来た。

 

 

「織斑先生急を言って申し訳ありません・・・」

 

「いや、どうせ織田主任のある意味でのわがままだろ(表向きはな)?」

 

「はいまあ(表向きはね)・・・本人はあれだけのデータじゃ足りないから試合を見てレポートを書いてデータを取って来いと」

 

「まったくあいつは・・・腕は確かなんだが、あの男勝りと言うか身勝手と言うか・・・」

 

「すみません・・・」

 

「まあいい・・・ところで今からでも十分取れそうか?」

 

「はい・・・織斑が踏ん張ってくれれば・・・基礎データはありますので、後は乗り手の動きを観察し、

照らし合わせれば大丈夫です」

 

「うん・・・お前達、八神の作業を見てみるといい」

 

「えっ?ですが・・・」

 

「私達には関係の無い事では・・・」

 

 

確かに一見そう思えるが・・・太一君は普通ではない。

 

幼い頃恵から教わった空手、その経験とこの子が天性に持った観察眼があって、見た相手の動きから、

癖や行動パターンを見抜く事が出来る。

 

 

「八神独自のデータ収集もとい観察は、お前達IS乗りにとって、相手の動きを見抜くのに共通している、

お前達もよく癖が如何とか言われるだろう?」

 

「そう言えば・・・」

 

「試に・・・八神、少しいいか?」

 

「はい?」

 

「今対戦している凰と織斑の戦いを如何見る?」

 

 

Side・太一

 

今観察中なんだけどな・・・まっいっか・・・説明するだけなら、レポートを取りながらでも出来るし。

 

 

「ふ~~~む、凰鈴音の甲龍は、織斑の白式に比べるとスピードは劣りますけど、単純なパワーと防御は上です」

 

 

それに加えて甲龍には不可視攻撃の衝撃砲がある、これは砲身も無く発射のタイミングと角度がつかめないが、

攻略法が無いとわけではない。

 

撃つと言う行動をするにあたって、必ず行うのが標準を合わせる事、凰の視線と目を見れば、大体の発射タイミングは分かる筈。

 

それに動きからして本来は接近戦の方が得意そうで、言動からして凰は性格上、短気で調子に乗るタイプみたいだから、

少し調子づかせた後に2・3撃入れれば、頭に血がのぼって攻撃が大振りになりそうだ。

 

実際その様な攻撃に特化した武器も持っているし、頭に血がうえってのぼって動きが雑になれば、スピードで勝っている白式にはそうは当たらないだろう。

 

だが逆に言えば冷静でいれば凰は織斑に勝てると言う事だ。

 

白式の能力のどれもがエネルギーを大量に消耗する物ばかり、ISでの戦闘訓練を一通りしている代表候補生である凰なら、

ISを使い始めて日が浅い織斑になら余裕だろう。

 

今は少し前からあった例のイザコザと、片思いの相手と戦っている事で若干の落ち着きが無く、冷静さが欠けているからな。

 

 

「ってな感じですね」

 

「凄い・・・」

 

「少し見ただけでそれだけ分析できるなんて・・・」

 

「よし・・・他に気付いた事は?」

 

「後は・・・どうも凰は派手好きと言うか、目立ちたがりな感じですね、衝撃砲は甲龍の取って置きですが派手な武器とは言えません。

あれはまだ世界中でも少ない装備だから、見せびらかしと言った感じで使ってるな」

 

「成程・・・」

 

「ですが双天牙月で止めの一撃を与えようとする節が幾つも見られますから・・・織斑が狙うとした多その時かと、

渾身の力を籠めて振り下してますからその後の隙は大きく、そこに零落白夜で攻撃すれば」

 

「そうか・・・なら早速一夏に「止めろ!」なっ!?」

 

 

管制室のマイクを使い、織斑に助言を入れようとした篠ノ之を、俺は声を上げて止めた。

 

 

「これは互いの力のみで戦う真剣勝負だ、チームスタッフなら兎も角、今のお前にそんな権利は無い、

そんな事をした時点で、織斑の反則負けになるぞ」

 

「その通りだ篠ノ之、織斑に勝ってほしいと言う気持ちは分かるが、ルールを破ってまで勝ってアイツは喜ぶか?」

 

「それは・・・」

 

「信じて待ってやれ・・・何か閃いたようだぞ」

 

「何!?」

 

 

一夏に動きがあったと俺の言葉で篠ノ之は画面にくぎ付けとなる。

 

 

「ふっ・・・」

 

「如何した?」

 

「いや・・・あの思い人の事になると夢中になって他の事に頭が回らなくなる姿が、何処か“あの人”に似ていると思いましてね」

 

「・・・確かにな」

 

 

あの人・・・本当に自分に興味がある事にしか関心がいかなかったからな、当時ガキだった俺も、どう接したらいいのか分からなかったな・・・。

 

 

ドガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

 

 

「なっ何だ!?」

 

 

昔の事を思いだしていたら、突如凄まじい音がした。

 

 

「如何した!?何があった!?」

 

「かっ・・・会場内に所属不明のISが出現!!」

 

 

出現?いや・・・その前に何かが割られるような音が聞こえたから・・・おそらくアリーナのバリアーを突き破って侵入して来たんだ。

 

しかしあの強度のあるバリアーを突き破ってくるとなると・・・。

 

 

「チッ!」

 

「待て!何所へ行く八神!?」

 

「あのISはアリーナのバリアーを突き破ってアリーナ内に侵入して来たんだ、あのバリアーを突き破って来たとしたら、

かなりのパワーか、特殊な装備をしている可能性があります。

織斑と凰じゃ荷が重すぎる・・・そうじゃなくても鎮圧の為に教師陣が出撃する筈だから格納庫に行ってISの準備をしてきます」

 

 

俺はそれだけ言い残し、管制室を出て行った。

 

急がないと思う反面、情けないと思った。

 

織斑の事を知ってから・・・いや、ISを動かせる男が現れたと知った時から、そいつに嫉妬にも似た感情を抱いていた。

 

もし・・・あのISが誰かを傷付けようものなら・・・。

 

人類の新たな発展の為、夢の為に父さん達が開発していたISで、私欲で誰かを傷付けようとするなら・・・それを止めるのは・・・。

 

 

「俺が・・・やるべき事だ・・・それがISの開発に携わった者の責任だ」

 

 

だから俺は・・・ISを動かす事が出来る織斑に・・・嫉妬している。

 

 

Side・???

 

目覚めは近い・・・奴等に遣られた我が身をここまで再生させるのに、どれ程の時間が過ぎた事か・・・。

 

だが未だだ・・・我が身が完全となったとしても、我が野望を成就させる為にはまだ準備が必要だ・・・。

 

その為にも・・・果てなき闘争を・・・憎しみの連鎖を・・・。

 

それに・・・おそらく“奴等”もこの世界の何処かに存在する筈、そうならば奴等は必ず邪魔をしに来る筈。

 

しかし・・・我が野望成就の願いと同等な程に、奴等への復讐心が、我が身で渦巻いている。

 

そして奴等もおそらくは・・・ならそれを利用させてもらおう。

 

その為に・・・焙り出してやろう・・・。

 

それに打って付けの人形が今我が目の前に・・・フフフ・・・我が力を受け入れるのに程良い歪みを宿しているな。

 

まったく・・・あの“人間の女”は最高だ・・・。

 

ククク・・・。

 

さあ・・・出て来るがいい・・・我が怨敵よ・・・。

 

絶望を与えよう・・・。

 

 

Side・恵

 

「おらおらチンタラすんな!!スグにでも出撃できるように準備するんだ!!」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

 

まったく一体何だってんだ?

 

突然アリーナに所属不明のISが出てきて、今は特に動きは無いが・・・あれは明らかにこっちに攻撃を仕掛けてくる。

 

何の目的化は分からないが、あのアリーナのバリアーを突き破って来たと想定すると、それなりの武装が有る筈だ。

 

それにな・・・喧嘩ばっかして来たから分かるんだよ・・・奴は喧嘩を売りに来た奴だってのが本能的にな。

 

 

「何処のどいつかは知らないが・・・ここのガキ共を傷付けるつもりなら容赦はしねえぞ」

 

プシュン・・・

 

「主任!!」

 

「遅えぞ八神!さっさと手伝え!」

 

「はい!!」

 

 

だが・・・何も言ってないのに自己の判断で来た事はさすがだな。

 

こいつはこんな緊急時にこそ冷静になって判断する事が出来る。

 

 

「主任、こっちは完了しました」

 

「よし、ラファールの武装は?」

 

「OKです!!」

 

 

後は教師陣が来るのを待つだけだが・・・。

 

 

「主任」

 

「如何した八神?」

 

「おかしくないですか?あのISが侵入してきて、もう10分以上経っているのに、肝心の教師部隊の人が一人も来ません」

 

「あぁ・・・一体如何なってる?」

 

ピーーピーーーピーーー

 

「ん?管制室から?」

 

 

突如連絡端末が鳴り出し、見て見ると管制室からだった・・・千冬か?

 

 

「如何した千冬?何故教師部隊の奴等が一人も来ない?」

 

『織斑先生だ・・・公私を使い分けろ』

 

「んな事如何でもいいんだよ・・・緊急時なんだからさっさと要件を言いやがれ」

 

『・・・今何故かこのアリーナ内のセキュリティレベルが最高値になっている』

 

「当然だろう?謎のISが侵入して来たんだからな・・・」

 

『だが何故か此方からのコントロールを受け入れなく、全ての通路がロックされている』

 

「何だと!?」

 

 

おかしい・・・確かにこの事態はセキュリティーが最高レベルになるのは分かる、だが管制室からのコントロールを受け付かないばかりか、

全ての通路がロックされているとしたら・・・今の避難状況は全然進んで無い事に・・・。

 

 

「避難状況は如何なっている?」

 

『アリーナの観客席の生徒達の避難状況は終ってはおらず、今此方で何とかしている状況だ』

 

「・・・ステージでは?」

 

『謎のISは今織斑と凰が相手をしている・・・ステージに通じる扉も全てロックされている状態では、

アイツ等に持ちこたえてもらうしかない』

 

「織斑先生・・・俺達に出来る事があるのでは?その為に連絡を入れたのでは?」

 

『・・・・・・』

 

 

八神の質問にしばし沈黙する千冬・・・こういう時のこいつは判断に迷いがある時だ。

 

 

『織田主任・・・あなたが出撃出来ないでしょうか?』

 

「・・・そうきたか」

 

 

確かに・・・今ISをスグに動かせて、戦う事が出来るとしたら俺だけだ。

 

しかし・・・。

 

 

「お前も分かってるだろ?俺はそう長く戦えないって事」

 

 

俺はあの時・・・先生達が亡くなったあの事故に巻き込まれ、その時胸に大きな傷を負った。

 

それが原因でISを動かすのに耐えられない体になってしまった。

 

リハビリや治療で大分とマシになったが、未だに完治はしていない、その為に戦闘の様な激しい動きはよくても5分もつかもたないか・・・。

 

だがそれしかないか。

 

 

「分かった・・・少し時間が掛かるがやってみる」

 

『すまない・・・早速準備に『織斑先生!!』如何した山田先生!?』

 

『所属不明ISの様子が・・・ザ・・ザザ・・・・』

 

「おい!如何した!?」

 

 

突如ノイズが入り、管制室との通信が途切れた。

 

こっちから繋ぎなおそうと通信を入れようとした・・・その時。

 

 

ズバシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウンッ!!

 

 

壁を突き破り、轟音と共に眩い閃光が目の前に広がった。

 

 

Side・太一

 

うぅ・・・いっ・・・今のは?

 

 

「・・・主任?みんな・・・?」

 

 

くっ・・・頭を打ったようだ・・・まだクラクラしやがる。

 

 

ガシャ・・・

 

「えっ?」

 

『ギュルルル・・・・・・』

 

「なっ!?」

 

 

俺の目の前に・・・見た事の無い・・・いや、俺は見ていた・・・管制室のモニターで見た、謎の全身装甲(フルスキン)の漆黒のISが立っていた。

 

 

ガチャン!!

 

ヴォウン・・・・・

 

「はっ!!」

 

 

そいつは俺に向かって手を翳し・・・そして。

 

 

バシュン!!

 

 

先程見たのと同じ閃光が俺目掛けて迫って来た。

 

 

To be Continued

 

 




次回は反撃そしてピンチへ・・・太一はまだ戦わない(泣き)。
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