DIGIMON・STRATOS   作:龍気

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今回は太一がIS学園に転入する前日と、転入当日の自己紹介前までの話です。

殆どとある原作キャラ達との会話と言うか衝突がメインです。

そしてこの作品で私が一番冒険と言うか・・・ご都合主義のキーであるキャラが登場します。

本当・・・これファンに怒られないかな?


第8話『転入前日、そして始まりへ』

Side・恵

 

千冬の奴、急に呼び出しやがって・・・このタイミングだと太一の事だと思うけど、明後日にはもう転入だしな。

 

 

「恵こっちだ」

 

「おう、待たせたな」

 

 

俺は千冬に呼ばれて、千冬行きつけのBARに来ていた。

 

もっとも呼ばれたのは少し前で、治療の為に行けなくて、今日やっと来られたんだよな。

 

 

「すまねえな、呼ばれて直ぐに来られなくて」

 

「いや、私も急だったからな・・・如何してもお前には話しておかないと思って」

 

 

何時になく真剣な様子だな。

 

千冬も俺と同じ位酒は好きだが・・・普段なら待っている時点で既に5杯位は飲んでいるのに。

 

それに誰にも聞かれたくないのかカウンター席から、個室へと移った。

 

 

「それで、話って何だ?おそらく太一の事だと思うが・・・」

 

「・・・・・・」

 

すっ・・・

 

 

千冬は黙り込んで俺に資料を渡してきた。

 

 

「これは?」

 

「お前も聞いたと思うが・・・太一君が転入する日と同じく、私のクラスに2人の転校生がやってくる」

 

「あぁ聞いたぞ、お前も大変だな、1日に3人も生徒が増えるんだから」

 

「それはその内の1人の資料だ・・・見てくれ」

 

 

こう言った資料って普通見せては駄目なんじゃ?

 

俺もIS学園の職員だが、整備の方だしな・・・教師以外は見てはいけない筈・・・。

 

それをこの千冬が破ってまで見せたい転校生って一体・・・。

 

資料を見て直ぐに俺は固まった・・・そいつの顔写真を見て。

 

 

「・・・・・・おい」

 

「何だ?」

 

「これは何の悪戯だ?」

 

「私もそう思ったよ・・・悪い冗談で済めばどれだけ良かったか」

 

 

冗談でも済まされねえぞ・・・よりによってコイツが来るなんて。

 

もう5年前の事だが・・・今太一に会わせるのは・・・。

 

 

「太一は知っているのか?」

 

「いや・・・その前にお前に相談したくてな」

 

「おいおい・・・もう明後日だぞ、明後日にはコイツと太一が鉢合わせするんだぞ!!今日までに何回か会ってる筈だぞ!!」

 

「分かっている・・・だが・・・」

 

「・・・すまない・・・俺がお前の立場でも同じ事になっていた・・・」

 

 

正直・・・俺も直ぐにこの事を太一に話す事はできない。

 

しかし・・・もう時間が無いぞ。

 

もう夜も遅いから、実質後1日しかない・・・。

 

 

「それともう1つ最悪な事態に・・・」

 

「おい!これだけでも結構ヤバイのに、更に厄介事かよ!?」

 

「あぁ・・・実は・・・」

 

 

千冬の口から出た言葉に、俺は崩れ落ち頭を抱えた・・・状況から仕方は無いとは思うがこれは・・・。

 

それに実はもう1つ問題があるんだよな・・・こいつは関係ないが、太一自身に・・・。

 

転入が決まる以前から分かっていた事だし、多少マシになってきたとはいえ、アレは・・・3年間も持つかなアイツ?

 

その後、如何するか千冬と酒を飲まずに相談し一夜を過ごした、気付いた時は朝だった。

 

しかし・・・良い解決策が浮かばないまま解散する事になった・・・。

 

 

Side・太一

 

「はい・・・では今日からお願いします」

 

 

よし・・・これで水道と新聞は止めたし、警備会社にも連絡入れておいたから一応は安心か・・・。

 

明日からIS学園の寮生活だ、水道局と新聞社に連絡を入れて止めておかないと無駄な金が掛かるし、

電気は防犯装置を設置してあるから切れないのが痛いが、父さんと母さんの資料とか、色々と一応保管されているから、

それを守る為にも防犯対策はしておかないと。

 

それと、家の掃除は終ったし、冷蔵庫にあった食料は全部食べ切ったから、家の方は大丈夫・・・でも残った問題が1つ・・・。

 

 

「ミ~・・・」

 

「ん?如何したミーコ」

 

「ミ~ミ~・・・」

 

「あ・・・もう飯の時間か・・・良いよなお前は気楽で」

 

「ミ~?」

 

 

我家の飼い猫ミーコを如何するかだ。

 

学生寮はペット禁止だし、恵姉もマンションがペット禁止で無理、千冬姉さんは・・・色んな意味で論外!

と言う訳で、身近で預かってくれる人もいない・・・。

 

こうなったらダメ元で整備課の人達に聞いてみるか。

 

 

「ミーコ、これから一緒に出掛けるぞ、ご飯も買ってやるからな」

 

「ミ~♪」

 

 

ミーコを顔と前足だけ出ている様にリュックに入れて、出掛ける準備を終える。

 

 

「・・・いってきます」

 

 

返事が返ってこないのは分かっている、誰も居ないのも分かっている・・・しかし俺は言った。

 

あの日の事が夢である事を願ってか・・・まったくもって情けない。

 

そう思いながら俺は家を出た。

 

外には出た俺は、寮で生活するに必要な物を詰め込んだバックを乗せて停めていた俺の愛車(バイク)に跨り、

IS学園に向かった。

 

何?15~6のガキがバイクに乗るな?

 

安心しろ・・・政府の機関で働いているガキを舐めるな・・・許可を貰って大型バイクだけでなく車の免許もとったわ!!

 

 

『でも当分これで通勤・・・いや、明日からは通学になるんだ、乗る機会が少なくなって残念だね』

 

「そうなんだよな・・・ISもいいけど、こいつに乗って生身で感じる風ってのも気持ち良くていいんだよな・・・乗れるとしたら休日位かな?」

 

『僕もバイクに乗って風を感じるの好きなのに・・・』

 

「バイクの数百倍以上の性能を持つISが何を言う?」

 

『好きなものは好きなの、ね~ミーコ?』

 

「ミ~♪」

 

 

猫と話すISってどんな光景だよ。

 

それにしても・・・ミーコを本当にどうするかな?

 

バイクを走らせながら預かってくれそうな整備部の人達を考えたが・・・候補に上がるような人は浮かばなかった。

 

 

『太一、左前方1km先に白式の反応が有るよ』

 

「白式?織斑か・・・今日は日曜だから外出していてもおかしくは無いが・・・」

 

 

そう言えば千冬姉さんの家ってこの付近だったな・・・ダメ元で頼ってみるか。

 

俺は白式の反応が有る場所へと進路を変えた。

 

しかし・・・本来なら待機状態のISの反応なんて、所持登録している機関でしか、探知できないって聞いたけど?

 

織斑の白式の場合はIS学園や日本政府、同じ様に凰やオルコットなら自国の政府等でしか探知できない・・・そうしないと色々と問題があるからな。

 

それ考えるとコイツ・・・どんだけ高性能なんだよ?

 

だけど1人だけ・・・世界にたった1人だけ、ゼロを除く全てのISが何所に有るか手に取る様に分かる人がいるけどな・・・。

 

束さん・・・アナタは本当に世界を・・・ISで何を如何しようとしたいんだ!?

 

 

ブオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォッ!!

 

『たっ・・・太一!スピード出し過ぎ!!』

 

「っ!?すまない・・・つい考え事してて・・・」

 

『気を付けてね・・・』

 

「あぁ・・・」

 

 

もしISで・・・・・・その時は・・・俺が止める・・・ゼロで・・・俺達の力で!!

 

それがISを産み出した両親の意志を継ぐ、俺の使命だ!!

 

 

Side・三人称

 

『太一、ここに白式の反応が有るよ』

 

「五反田食堂・・・よりによって飯屋かよ・・・」

 

「ミ~?」

 

 

反応を辿り太一が着いたのは、一軒の古めかしい食堂だった。

 

基本飲食店に動物の持ち込みは禁止なので、ミーコは入れられないが、外で待たせるのは心配。

 

 

「ちょっと大人しくしてろよ」

 

「ミ~~」

 

太一はミーコをリュックの奥に入れ、駐車可能なスペースにバイクを停め、荷物を持って店に入っていった。

 

 

ガラッ・・・

 

「いらっしゃい・・・」

 

(昔堅気な感じのオヤジさんだな・・・こう言う古めかしい感じで今も営業している店は・・・大概大当たりっと、

でも肝心の織斑は居ないが・・・まあついでだ、俺の方の昼飯を済ませるか・・・)

 

「注文は?」

 

「・・・えっと・・・この業火野菜炒め定食ご飯大盛りで、後豚汁に納豆を」

 

「あいよ・・・少し騒がしくなると思いますが、我慢してくださいよ」

 

「騒がしく?」

 

「あれ?八神?」

 

「織斑・・・は居るのは知っていたが・・・何故入り口から?」

 

「はっ?」

 

「いや、こっちの話」

 

 

店の中に居ると思われた一夏が店の入り口から入って来て、疑問に思うも、居るのは知っていたので特に何も聞かない事にした。

 

 

「如何した一夏?誰か居るのか?」

 

 

一夏の後ろから、紅い髪が特徴の、バンダナを撒いた同い年位の男が出てきた。

 

 

「おぉ・・・IS学園で働いている・・・何て言えばいい?」

 

「俺に振るなよ・・・どうも、IS学園で主にコイツが保々毎日壊したISを整備させられている八神太一だ」

 

「って八神!それじゃあ俺がいつも白式壊して迷惑かけているみたいじゃないか!?」

 

「かけてないと思った?」

 

「うぅ・・・そりゃぁ・・・確かによく白式をボロボロにしては、翌日にはピカピカに整備してもらっているけど・・・毎日じゃないだろ?」

 

「あぁ・・・だから“保々”毎日なんだ」

 

「くぅぅ・・・・・・」

 

「ははっ・・・やっぱり迷惑をかけてたか」

 

「弾!“やっぱり”って何だよ!?」

 

「言ったまんまの意味だ・・・どうも、俺はその迷惑をかけている奴の、中学時代から色々と迷惑をかけられている五反田弾だ」

 

「弾!?お前まで!?と言うか俺お前に迷惑かけたか!?」

 

「自覚の無い奴はほっといて・・・よろしく」

 

「おい!!」

 

 

親友と言う悪友の自分に対する対応に若干涙目になる一夏であった。

 

 

「これはこれはご丁寧にどうも・・・中学時代からだとさぞ苦労なさったでしょう?」

 

「いえいえ・・・それ程でも、保々毎日同上下の女子から苦情と言うか悩みと言うか・・・そう言うのを・・・くぅ・・・」

 

「もういい・・・もういいよ・・・苦労したんだな・・・」

 

「分かってくれるか?」

 

「あぁ・・・こいつはそんな奴だ、今まで何人の女子を泣かせ、そして周りの男共も別の意味でもイライラさせる・・・だろ?」

 

「そうなんだよ!!こいつはそうなんだよ!!明らかに分かる事も分かっていないし!無自覚で鈍感で無頓着で尚且つ旗は建てまくる!!」

 

「前にもそれで大変な事に・・・その後どうなったかは分からないけど、まあ仲直りはしたと思うけど、

理由とか原因は理解してないんだろうな・・・」

 

「因みに・・・どんな?」

 

「あぁ・・・多分これは被害者(凰)の了解を得ないで話す訳には・・・」

 

「それ程の内容か!?」

 

「なにせ彼女の人生に関わる程の事だからな・・・」

 

「一夏!!お前この悪魔!!女たらしの甲斐性無し!!無法建築士!!」

 

「そこに詐欺師に唐変木を付けてもおつりが出るぞ」

 

「お前等!!何意味分からない会話で、しかも初対面でそんなに意気投合してんだ!!」

 

「何でって・・・なあ?」

 

「うん・・・苦労を共にする男同士、意気投合するのはしょうがない」

 

「これからよろしくな八神」

 

「俺の事は太一でいいよ」

 

「じゃあ俺も弾で」

 

 

そして2人は固く熱い握手を交わす。

 

そして確信する・・・。

 

 

((こいつ・・・気が合う!!))

 

 

こうして熱い?友情で結ばれた一組の親友が誕生した・・・良いのかこんなんで?

 

 

「騒いでいるとこ悪いが・・・野菜炒め定食と豚汁に納豆お待ち」

 

「あっ・・・すいませんお店で騒いでしまって・・・」

 

「いいって事よ・・・どうせガキ共もここで飯を食うんだからな」

 

ガラッ!!

 

「一夏さん!お待たせしました!!」

 

「おっ・・おぉ・・・」

 

 

突如店の入り口から白いワンピースに身を包んだ、弾と同じく赤髪の少女が入って来た。

 

 

「蘭・・・兄は?お兄ちゃんは?」

 

「五月蠅いお兄!一夏さんの前で騒がないの!」

 

「お前も十分五月蠅いぞ・・・お客さんの前だ」

 

「えっ!?お客さん居たの?すみません・・・お見苦しいとこを・・・」

 

「はは・・・別に気にしてないよ・・・妹さん?」

 

「あぁ・・・俺の妹の蘭だ」

 

「一夏さんもすみません・・・その・・・」

 

「別にいいよ蘭、俺達友達だろ?」

 

「とっ・・友達・・・ですか・・・」

 

「ん?違うのか?」

 

「いっ・・・いえそんな事・・・そんな顔しないでください!!」

 

「弾・・・あれはひょっとしなくてもひょっとして・・・」

 

「そうだよ・・・あのバカの被害者の1人だよ・・・」

 

「お悔やみ察しします」

 

 

こんな現場を何回かIS学園で見た事のある太一には分かる。

 

彼女も一夏に惚れている被害者の1人だと言う事が・・・。

 

 

「なあ・・・一夏って何時か女性・・・若しくはそれらに関わる男に後ろから刺されると思わね?」

 

「いや・・・常日頃からその手の事で、ISで斬られ撃たれはしているからもう手遅れだ」

 

「まさか・・・アイツが使うISが保々毎日ボロボロになるのって・・・」

 

「弾が想像している通りの事だ・・・」

 

「お互い苦労するな」

 

「本当に・・・」

 

 

太一の姿に、嘗ての中学時代の自分の姿が重なり、そっと肩に手を置く弾であった。

 

 

「お前等・・・飯食わねえんだったら片付けちまうぞ」

 

「「「「ごめんなさい!いただきます!」」」」

 

 

五反田食堂の店主で弾と蘭の祖父、減さん(太一は2人の父親と思っていた)の放った覇気を前に素直に従い食事を始めた。

 

最初は一緒に食べようと一夏に誘われた太一だが、蘭が露骨に嫌そうな顔をしていたので断り、

1人カウンター席で食事をとる事となった。

 

 

「そう言えば・・・八神、その荷物なんだよ?」

 

 

だが一夏はそんな蘭の気持ちや、太一の気遣いに気付かず、太一に話しかける。

 

 

「ん・・・あぁ、明日からIS学園の寮で生活するからな」

 

「えっ?そうなのか?」

 

「あぁ・・・それで・・・食べ終わってから話す」

 

「何でだよ?」

 

「オヤジさんが行儀がなってないぞって目でこっちを睨んでいるから・・・」

 

「「うっ・・・」」

 

「お喋りは構わないが・・・口に物を入れたまま喋ったり騒ぐと・・・」

 

「「はい!!お行儀よく食べます!!」」

 

「・・・騒ぐなって言わなかったか?」

 

「「・・・すみません・・・」」

 

「なら良い・・・」

 

 

その後は各自静かに食事を始めた。

 

そんな中1人黙々と食べている太一には、一夏達が話している事が耳に入ってくる。

 

その内容は一夏のIS学園での生活で、事有る毎に蘭が過敏に反応し、特に一夏が幼馴染の箒と、

同棲当然の生活を1ヶ月以上過ごしていると聞いた時は、慌てふためいていた。

 

そして意を決して一夏に言い放つ。

 

 

「一夏さん!私来年IS学園を受験します!!」

 

「っ!?」

 

 

蘭のその一言に、一夏達は驚くも、太一も反応し、静かに聞いた。

 

弾は蘭のIS学園の受験に対して反対の様だ。

 

厳は只黙っているだけで反対する気は無いようだが、逆に賛成もしていない様子だった。

 

一応蘭のIS適性はAランクある様で、ISを動かすには問題ない・・・が、その動機が不純だと、太一は感じていた。

 

 

「ですから一夏さん、その・・・入学した時はぜひ、先輩としてごし「止めておけ」どぉっ!?」

 

「八神?」

 

「そんな不純な気持ちでIS学園に入学する気なら止めておけ」

 

 

先程からずっと黙っていた太一の意外な言葉に一同驚愕し、暫しの間が空いてから、一早く復帰した蘭が太一に噛み付く。

 

 

「なっ!?なんですかアナタはいきなり!!関係無い人がクビ突っ込まないでください!!」

 

「確かに関係無いかもしれない・・・しかし君がIS学園に入ろうとするなら話は別だ、俺はあそこで働いているからな」

 

「でも・・・それでも関係無いでしょうが!!それに初対面の相手に対して失礼すぎるわよアナタ!!

おじいちゃんからも何か言ってやってよ」

 

「坊主・・・お前、蘭が不純な気持ちだと・・・如何して分かる?ちゃんとした理由があるんだろうな?」

 

「・・・ハッキリ言うと、色恋沙汰でIS学園に入られると迷惑なんだよ!!」

 

 

Side・弾

 

いい!?さっ・・・さすがにやばいぞそれは・・・。

 

爺ちゃんは蘭を溺愛しているからな・・・蘭のIS学園受験に待ったをかけてくれた事に感謝はするけど・・・殺されるぞ太一・・・。

 

 

「色恋沙汰って・・・蘭の好きな人IS学園に居るのか?」

 

ズゴッ!!

 

「如何した弾?」

 

 

こんの・・・銀河系レベルの鈍感男・・・IS学園に居る男はお前しかいないのに・・・今の言葉でそれに気付かないこいつの脳は如何なってんだ!?

 

 

「ちっ・・・ちょっと!!変な事言わないでくださいよ!!私は純粋にIS学園に入りたいと思って、それで・・・それで親しい一夏さんに、

できればご指導をと思って・・・」

 

「じゃあ君は何故IS学園に入りたい?」

 

「それはさっきも言ったでしょ?ISの適正がAランクだから問題ないって・・・」

 

「それはIS学園に入学できる必要条件・・・俺は君の口からIS学園に入りたい動機を知りたいんだが?」

 

「そっ・・・それは、その・・・」

 

「?」

 

 

蘭はこんな時はしおらしい乙女になるからな・・・思い人の前で、その人が好きだから同じ学校に・・・何て言えないよな。

 

そしてそんな妹の気持ちに1㎜たりとも気付いていないこのバカに・・・俺は鉄槌を下すべきなのだろうか?

 

 

「君はISが何か理解しているのか?」

 

「ISが何かって・・・そんなの・・・えと・・・世界最強の・・・その・・・」

 

 

蘭が口篭もっている?

 

ISが何なのか・・・そんなのアイツより頭の悪い俺でも答えられるのに・・・ISは世界最強の・・・っ!?

 

 

「分からない・・・と言う訳じゃないね?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ISは・・・人の命を奪う事の出来る・・・兵器だ」

 

「!!」

 

 

蘭が見てわかる程体を震わせた・・・きっと俺と同じだ、ISが兵器だって思い出した事で、それで怖くなって・・・。

 

最近のISはメディアではスポーツとしか報道しなくなって、多少軍事関係でニュースとかには出ていたけど、

スポーツとしてのイメージが強すぎて、兵器である事をすっかり忘れていた。

 

 

「ISは確かにスポーツの1つとして見られている、しかし兵器である事実は変わっていない」

 

「・・・・・・」

 

「IS学園に入って、卒業した後・・・確かに色々と優遇はされるが、成績優秀者は大抵何処かの企業のテストパイロット、

国の代表候補・・・そして、軍にスカウトされるか」

 

「「「っ!!」」」

 

 

軍と言う言葉に俺と蘭、そしてあの爺ちゃんまで身を震わせた。

 

 

「IS学園は確かにISの扱い方を学ぶ学校だ・・・そして卒業した後の事を選ぶのは自分、だけど・・・ISを学ぶって事は、

誰かを撃ったり、斬りつけて、怪我を負わせるかもしれないんだ・・・それを理解してほしい」

 

「私・・・私は・・・」

 

「八神!!言い過ぎだ・・・蘭だってそんな「黙れ織斑!!」んなっ!?」

 

「お前はもう忘れたのか!?つい最近命をおとしかねない戦いをした事を!!」

 

「「「なっ!?」」」

 

「そっ・・それは今関係無いんじゃ・・・」

 

「関係無くは無い・・・ISを扱う事は、軍に居るのと大差ない事なんだ」

 

「そんな・・・」

 

「確かに・・・スポーツとしてだけ見れば、俺もあれは最高に面白くてやりがいのあるスポーツだとは思う、

しかし・・・それでも“兵器を扱って行う”スポーツに変わりない」

 

 

そうだよな・・・俺もISの中継を何度か観たけど、スポーツって概念を除いたら、兵器を使っての殺し合いだな・・・。

 

 

「だからこそ、ISの事を理解して、目的をもってIS学園に入ってほしいんだ・・・後悔してほしくないし、

傷付いてほしくないから」

 

「わっ・・・私・・私・・・っ!」

 

「らっ・・蘭!!」

 

 

蘭は店から出て行った・・・おそらく家の方に行ったんだとは思うが・・・如何言う心境なのかは俺には分からない。

 

怖くなったのか、それとも・・・。

 

 

「一夏・・・すまないけど、傍に居てやってくれないか?」

 

「えっ?でも・・・」

 

「俺なんかより、お前の方がいいんだよ・・・頼むよ」

 

「あっ・・・あぁ・・・」

 

 

ISの事・・・な~~~んも知らない俺より、知っているこいつの方が少しは慰めてやってくれるだろう・・・。

 

余計なお節介かもしれないけどな・・・。

 

 

「すみません・・・お孫さんに不快な思いをさせてしまって・・・」

 

「・・・確かにな」

 

「じいちゃん・・・」

 

「だが・・・本来なら俺等が言わなきゃいけない事を言ってくれたんだ・・・ありがとよ」

 

 

正直太一を殴りつけるかと思ったが・・・じいちゃんは静かに、落ち着いた声で太一に礼を言った。

 

 

「俺は・・・弾には厳しいが、どうも蘭には・・・強く言えねえ・・・」

 

 

おいジジイ・・・今何言った?

 

 

「アイツの選んだ事なら、好きにやらせたいが・・・待ったをかけて、じっくり考えろって言葉が・・・如何もな・・・」

 

「・・・嫌われるのが怖い・・・ですか?」

 

「そうだな・・・」

 

「俺はいいのかよ?」

 

「お前は男だ・・・厳しく言われてこなくそって思う気持ちもある、それが男を成長させる・・・俺も、お前の親父もそうだ」

 

「何度も聞いたよそれ」

 

「だが・・・女はそうはいかない・・・初めて・・・娘がいなかったから、如何やればいいのやら・・・」

 

「それでいいと思いますよ」

 

「何?」

 

「如何接し・・・育てるかはその人其々ですけど、子を思う気持ちさえあれば・・・きっと・・・俺もそうですから」

 

「・・・おめぇ・・・」

 

「じゃあ・・・お代おいて「いらねえよ」えっ?でも・・・」

 

「嫌な役やらせちまったし・・・礼だよ」

 

「・・・いや、お金はおいて行きます・・・美味しい昼食の“お礼”です」

 

「この野郎!また来いよ、お前みたいな奴は大歓迎だ!」

 

「えぇ・・・こんな美味しい料理を作ってくれる定食屋、そうは無いんで」

 

 

そう言って太一は店を出て行った・・・って、俺にも礼を言わせろよ!!

 

俺は急いで店を出て太一を追った。

 

 

「待てよ!」

 

「弾?」

 

「・・・ありがとよ、その・・・蘭にISの事教えてくれて」

 

「別に俺は・・・只思った事を口にしただけだよ」

 

「それでもだ・・・ありがとう」

 

「・・・妹が大事なんだな」

 

「あぁ・・・兄貴だからな」

 

「・・・兄・・・か・・・」

 

 

何だ?太一の奴・・・今とても悲しい表情をしたような・・・。

 

 

「妹・・・大事にしてやれよ」

 

「おっ・・・お前に言われるまでもねえよ」

 

「織斑と付き合わせるか・・・考えとけよ」

 

「いや・・・アイツの事だ、付き合いだしても無意識にあれこれと女にフラグを建てて、蘭を泣かせるに決まっているからそれはさせない」

 

「はは・・・」

 

「ミ~・・・」

 

「ん?今のは?」

 

「あっ・・・忘れてた」

 

 

太一は背中のリュックから猫を出した。

 

 

「ゴメンなミーコ」

 

「ミ~~♪」

 

 

猫はリュックから出されてご機嫌の様だ・・・ちきしょう・・・鳴き声が可愛いな。

 

 

「お前の猫か?」

 

「あぁ・・・でもIS学園の寮は動物禁止だからな・・・織斑にこいつを預かってくれそうな人がいるか聞こうと思ったんだけど・・・」

 

「あぁ・・・蘭の事で、そんな事聞ける雰囲気じゃなかったと・・・」

 

「そう・・・」

 

「・・・俺の家で預かってやろうか?」

 

「えっ?お前の家・・・」

 

「確かに飲食店だけど、家と店の構造上、私生活に商売が入って来ないんだ」

 

「だけど・・・」

 

「それでダメだったら、預かってくれる人を探すの俺も手伝ってやるから・・・それまでな?」

 

「・・・・・・」

 

「じいちゃんと同じで、蘭の事感謝しているんだぜ・・・何か礼ぐらいさせてくれよ」

 

「そうか・・・じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 

太一から猫を・・・ミーコだったかな?受け取って、目線を合わせた。

 

 

「当分の間よろしくな、ミーコ」

 

「ミ~~~♪」

 

 

人懐っこいなこいつ・・・初対面の俺にもう懐いてる。

 

あっ・・・太一の奴、ミーコが自分以外の人にすぐ懐いてか少し悔しそうと言うか、何とも言えない顔してる。

 

 

「そう言えば・・・お前親は?」

 

 

今気付いたけど、親に預ければいいんじゃないのかな?

 

普通家にいるし。

 

 

「・・・親は・・・居ないんだ」

 

「ん?共働きで出張にでも行っているのか?」

 

「・・・・・・・」

 

 

何だ?太一の奴、目に見えて悲しそうな顔を・・・いい歳して寂しいって訳じゃ・・・。

 

あっ・・・これはひょっとして・・・俺地雷踏んだ?

 

 

「あぁ・・・それならしょうがないな・・・うん」

 

「弾・・・お前」

 

「そう言う事なんだろ?」

 

「・・・すまない」

 

「いや、俺も悪かった・・・“出張”でも何でも、親がいないと寂しいよな」

 

「・・・そうだな」

 

 

一夏も・・・色々あったけど、太一にも色々あったんだな。

 

俺もあまり一夏の事・・・言えないかもな、アイツは恋愛沙汰に関してはからっきしだけど、それ以外には敏感と言うか鋭いしな。

 

 

「一夏も知ってるのか?」

 

「いや・・・殆どの人は知らね、かっこわるいだろ?15にもなって寂しいだなんて」

 

「成程ね」

 

 

こいつも損な性格してるな・・・。

 

俺はその後、太一がバイクを停めている場所までついて行き、ミーコのペット用具や一週間分の餌を受け取り、

互いの携帯の番号を聞いて別れた。

 

さて・・・ああは言ったが、じいちゃんは兎も角、お袋はどう説得するかな?

 

 

Side・太一

 

弾と別れてから俺は千冬姉さんが用意してくれた宿泊施設へ行って、明日の準備や再確認等をして時間を潰していた。

 

夕方頃に弾から連絡が来て、蘭は落ち着きを取り戻し、IS学園に入るのをもう少し考えて、ISの事、

今後自分が目標としたい事を考えてから進路を決める事にしたらしい。

 

それと、親と交渉してミーコを預かってもらえる事になったようだ。

 

今度の休日にミーコの餌の追加を持って行くと約束し、全ての心配事が無くなって俺は明日に備え早めに寝た。

 

 

そして夜が明け、朝早くIS学園に向かった。

 

校門前では千冬姉さんが待っていた。

 

ん?如何したんだ千冬姉さん・・・目の下に隈が・・・。

 

 

「おはようございます織斑先生・・・寝不足ですか?」

 

「うむ・・・色々とな・・・(結局言えなかった)・・・」

 

「織斑先生?」

 

「あっ・・・あぁ・・・こっちだついて来なさい、そこで着替えてから職員室で先生方に挨拶を済ませてから教室へ行く、

君と一緒に私のクラスに入る2人は別室で山田先生に任せている・・・教室前で合流し、教室に入る(どうしよう・・・本当にどうしよう)」

 

 

何だか千冬姉さん・・・今日は様子がおかしいな・・・焦っていると言うか、悩んでいると言うか・・・。

 

俺はその後織斑先生に連れられ、更衣室で制服に着替えた・・・1週間も前から分かってはいたけど・・・。

 

 

「まさか俺がこの制服を着る事になるとはな・・・」

 

『嬉しそうだね』

 

「べっつに~~~」

 

『顔はにやけているよ』

 

「うっせ、織斑先生が待ってる・・・行こうぜ」

 

 

俺は更衣室から出て、外で待っていた千冬姉さんと一緒に職員室に行ってこれからお世話になる先生達に挨拶をし、教室へと向かった。

 

 

「ところで、大丈夫なのかい?」

 

「何がですか?」

 

「君の“あれ”まだなおってないんだろ?」

 

「あぁ・・・“あれ”・・・ですか?」

 

 

そう・・・俺がIS学園の整備員として来た時、そして生徒として転入するにあたって、俺自身にある大きな問題があった。

 

 

「まぁ・・・直ぐになおせと言ってなおせる様な物じゃないからな君の“あれ”は」

 

「面目ないです・・・」

 

「君が整備員で来た時も・・・大変だったそうだな」

 

「あはははっ・・・なんとかします」

 

「そうでなくっては困る・・・皆には言っておこうか?」

 

「・・・なるべく隠してください・・・あまりにも見っとも無さすぎます」

 

「・・・断言しよう、今日中に知られる」

 

 

うわぁ・・・根拠も何もないが物凄く納得してしまうようなお言葉・・・。

 

 

「まあ・・・いい機会だから、これを機に少しずつ慣れて行けばいいさ」

 

「・・・正直、自信が無いです」

 

「・・・それと、1つ君に謝らなければならない事がある」

 

「えっ!?」

 

 

千冬姉さんが突如真剣な・・・申し訳なさそうで、それでいていつもの俺を心配してくれている時の表情で俺に話しかけてきた。

 

 

「話す機会はあった・・・だが、どうしても言い出せなかった」

 

「あの・・・千冬姉さん?」

 

「太一君・・・これから君は最も会いたくなくて、それでいて会いたかった人物と顔を合わせる事になる」

 

「千冬姉さん・・・何を?」

 

「黙って聞いてくれ・・・後で恵と一緒に罵倒でも何でも聞いてやる・・・」

 

 

恵姉も知っている事なのか?

 

一体誰が・・・俺が最も会いたくなくて、それでいて会いたかった人物って・・・。

 

 

「絶対に取り乱すな・・・こんな所で騒ぎを起こすのは、君も望まないだろう?」

 

「あの・・・誰なんですか?その・・・俺の知ってはいる人なんですよね?」

 

(本当に誰だか分かって無いようだな・・・おそらく無意識に思い出さない様にしているんだろう・・・そうでないと、

約束が果たせないから・・・そして、特有の心境を抑えられないから・・・)

 

「あの・・・千冬姉さん・・・一体何が「あっ!織斑先生待ってましたよ」どおっ?」

 

 

いつの間にかもう教室の前まで来ていたのか・・・これから俺が入るクラス・・・1年1組の教室に・・・。

 

教室の前には山田先生が待っていた。

 

山田先生が陰になって見えないが、俺と同じく1組に入る転校生の2人もいるようだ。

 

 

「すまない山田先生・・・転校生2人を任せてしまって」

 

「いいえ、いいですよこれ位、これから先生と生徒としてよろしくね八神君」

 

「こちらこそよろしくお願いします山田先生」

 

「あと、この2人が・・・」

 

 

山田先生が転校生の2人を紹介しようと、体をずら・・・す・・・・・・・っ!?

 

 

 

「今日から八神君と一緒に私達のクラスに入る子よ」

 

 

山田先生が体をずらして目に入った転校生の2人の内の1人を見た瞬間、俺は驚愕し、俺の脳裏に“あの時”の光景が、声が・・・。

 

まるでリピート再生の様に何度も何度も過ぎった。

 

 

「君が先生達が言っていた転入生の男子だね?」

 

 

そして千冬姉さんの言葉の意味を理解した・・・。

 

俺の最も会いたくなくて・・・会いたい人物・・・。

 

今の今まで忘れていた・・・思い出せないで・・・いや、無意識に思い出そうとしないでいた・・・。

 

そうしないと・・・俺は壊れてしまっていたかもしれないから・・・。

 

 

「はじめまして、フランスから来た・・・」

 

 

そんな・・・そんな君が何故・・・何故今俺の目の前に居る!?

 

 

「シャルル・デュノアです」

 

 

シャルロット・チルモン!!

 

 

To be Continued




はい!と言う訳でこの作品1設定を変更したシャルルさんことシャルロットさん登場!!

あまりここで語ると今後のネタバレになるのであまりお教えできませんが、「チルモン」とは実際に有るフランスの苗字で、
今後関わってくる、あるこの世界のデジアドキャラに関係しているのでこの苗字を見つけた瞬間、「これしかない!!」と思いつけました。

本当に・・・探している時思わずこけそうになるぐらいビックリしました・・・興味のある人は探してみてください。

太一とシャルロットの間に何があったかは、今後・・・まあ原作2巻終了分位に明らかにさせます。

そして、弾と言う気の許せる友を得た太一。

太一と弾の一夏弄りを今後もお楽しみに。

それではまた次回で!
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