神炎聖剣少女ジャンヌオルタさん   作:ちゅーに菌

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実はジャンヌオルタさんにはここで幾つか分岐ルートがありました。

考えていたのは
リアス眷族ルート
堕天使ルート
気まま(禍の団)ルート
アストルフォの嫁ルート
などですね。

結局、暫く考えた末。fateキャラをムリ無く一番楽にブチ込めるルートに進むことにしました。


ジャンヌオルタさんと悪魔くん

 

 

『…………ヌ…』

 

ああ、ジャンヌ。可哀想なジャンヌ・ダルク。天使達に負けた私は裸に剥かれ、まだ幼い姿態を白昼の元にさらされてしまいます。

 

『…ジャ…………ヌ…』

 

そして、白魚のように艶やかな肌に手を掛けられ、異性の欠片すら知らない蜜の花園を乱されてしまうのですね!

 

『………………ンヌ……』

 

止めて! 私に乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに! エロど…。

 

『ジャンヌ』

 

目蓋を開いた瞬間、目が飛び出たような面をした大柄な男性が私の顔を覗き込んでいました。

 

『フンギャァァァァ!!!?』

 

何故か反射的に彼の両目を指2本で突いてしまいましたが、特に問題はありませんね。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

『いやはや、この情け容赦の無い一撃……やはりあなたは私の知るジャンヌに他なりませんな』

 

今、私は妙な空間にいます。

 

単純に森の中にネイルアートが出来そうなぐらい爪が長く、私が目を突いたお陰で目が引っ込んで中々良い顔立ちになった男性と共にいるのですが、どうもその森が可笑しいのです。

 

私たちを取り囲む……いえ、私たちを中心に生えたかのように聳え立つクレヨンで描いたような木々には何故か顔があり、空を見れば燦々と輝く真っ黒な太陽は、小学生が授業中の暇潰しでノートの端に鉛筆で描いたような出来です。

 

これで後は軽快なBGMでも流れていたら完璧ですね。

 

(わたくし)はジル・ド……ではなく、螺湮城教本の精霊でごさいます』

 

そう言いながら恭しく礼をする本人曰く螺湮城教本の精霊さん。

 

まあ、あなたがそう思うならそうなんでしょうね……あなたの中ではね。

 

『願いましてはジャンヌ。私は貴女の忠実なる永遠の僕。貴女の復活だけを祈願し、今一度貴女と巡り会う奇跡だけを待ち望み、こうして時の果てにて漸く我が願望は成就された』

 

「はぁ…?」

 

『いえいえ、勿論、私の思念など貴女を押し付ける事は致しません。貴女はいつも通りCOOLに、あるいは更にCOOLに、若しくは先鋭的なまでにCOOLに!』

 

「………そろそろ起きても構いませんか?」

 

と言うか、これは夢でしょう。どんな夢であれ、夢の中でそれが夢だと気が付くことは中々珍しい事だとは思いますが、何と無くそう思います。

 

序でに言えば、この人にはどうも会話は出来ますが、言葉が通じている気がしません。きっと、私の啓蒙が足りないんでしょう。40ぐらいまで高めたらまた来ましょうね。

 

『ふむ……確かに。僭越ながら応急処置だけは済ませましたが、そろそろ戻らなければ破瓜されるやも知れません』

 

え? 応急処置? 破瓜? なにそれどういうことよ。特に二番目。

 

『ではジャンヌ。貴女の神なき天啓に祝福のあらんことを』

 

ちょ……コラ! 待ちなさい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「巫山戯るんじゃ無いわよ」

 

思わず伸ばされた手で何かを掴みながらそう呟きました。

 

頬に当たるこの地域特有の冷気を孕んだ風からここが現実の世界だという事が伝わってきます。

 

あの夢の男に逃げられたような気分になりながらも、今この手の中にある微妙に温かい感触に違和感を感じて目を開きました。

 

疲れからの気絶のような仮眠とはいえ、眠気特有の感覚によってぼーっとしていましたが、私の周りで真っ赤に濡れたスマウグとカムシーン。さらに雪の上に散乱する色合いが微妙に異なる天使の羽根が、絨毯のように折り重なっている光景が視界に映ります。

 

そして、見上げた視線の先には黒髪で、眼の赤い、私と同じ程の年齢に見える少年が、驚きの表情で薄く目を見開いているではありませんか。

 

良く見ればその少年の手には一際大きなチェスの駒のようなものが確りと握られており、やや興奮していたのか手汗をかいているのもわかります。

 

大分幼くはありますが、私の知識にある顔と参照し、ひとり該当する人間……もとい悪魔がいるようですね。

 

「こんな山奥でピクニックですか? 悪魔の"ディオドラ・アスタロト"さん」

 

「な………!?」

 

その言葉に少年……ディオドラはあり得ないと言った様子の表情を浮かべると、更に目を大きく見開きました。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

ジャンヌ・ダルクの魂を受け継ぐ少女がとある教会施設にいる。

 

この情報を何処からか耳にしたディオドラの行動は速かった。

 

フランスの悲劇の英雄ジャンヌ・ダルク。その在り方そのものがディオドラにとっては、千言万語を費やしても表現し得ない程に甘味なモノだった。それが自分の手に入るかもしれないと来ればディオドラが足を止めない理由は何処にも無いだろう。

 

まず大金を積んでその情報の真偽と、教会施設の正確な場所を突き止めた。その過程でその施設自体の黒い噂も見えたが、そんなことは今の彼には気にならなかった。

 

だが、幾重もの隠蔽魔法を組み、隠密の為に単独で目的の施設に来た彼であったが、早くも壁に阻まれる。

 

ジャンヌ・ダルクがいる場所は壁に囲まれた大型複合施設。その上、かなりの数のエクソシストや、武装兵のような者も警備に当たっていると来ている。

 

会えば言葉で引き込める自信のあったディオドラであったが、これでは門前払いも良いところだろう。

 

まるで、監獄か何かのような光景による成果が上がる筈もない連日の調査の末にすっかり意気消沈したディオドラであったが、そうなってくると黒い噂の方も気になり始め、焦りが生まれる。

 

だが、何が出来るわけでもなく今宵も施設の調査に入ると、施設から連鎖的な爆発音が響く。

 

不審に思ったディオドラが遠見の魔法で上から施設を覗いたところ驚愕の表情を浮かべる。何せ施設全体がまるで地獄のように業火に包まれていたのだ。

 

無論、これを好機と思いディオドラも荷物をまとめ、行動を開始しようとする。彼にとっての一斉一代の大勝負と言ったところか。

 

しかし、彼が居た場所の数百m程離れた場所の外壁が、座布団か何かのように弾け飛んだ事でそちらを向いたままディオドラの動きが止まる。

 

そして、そこから金髪の少女が現れた。見れば莫大な魔力を放つ奇妙な本と、見ただけで全身の毛が逆立つような感覚を覚える剣を持っているらしい。

 

少女はそのまま雪に覆われた森の中に消える。

 

我に帰ったディオドラはジャンヌ・ダルクの保有する神器が聖剣創造であった事を思い出し、使い魔を炎上する施設内に放つと自身は彼女の後を追った。

 

しかし、認識阻害の結界でも張りながら移動しているのか、全く姿が見受けられない。足跡と滴り落ちたような血痕が時より点々としているため、近辺で徒歩で移動中だという事がわかる程度か。

 

雨が降って来た頃、戻ってきたディオドラの使い魔が収集した情報によれば、やはりジャンヌ・ダルクは逃走しているらしい。となると今、追っている少女がジャンヌ・ダルクで正しいのだろう。

 

確信と、天が味方したかのような千載一遇の機会にほくそ笑むディオドラだったが、この近辺に強い光の力が集結していることを感じ、身を隠した。

 

見ればディオドラから少し先の空に多数の下級から中級までの天使が徐々に集結している。恐らく、彼女が捕捉されたのだろう。ディオドラは唇を強く噛む。

 

流石に上級悪魔のディオドラと言えどあの数とまともに当たれば2分と持つことはないだろう。

 

そう考え、自分の存在をひた隠しながら尻込みする中も天使は集まり続け、最後にはディオドラも見たことがない程の大軍勢となっている。

 

やがて雨が上がり、朝日が差し込んだ頃。遂に天使達の攻撃が始まった。

 

 

 

 

 

 

それから1時間程だろうか。周囲には1体も天使は残っておらず、遠くの空でいつの間にか沸いていた1匹の黒いドラゴンが僅かに残った天使達を追撃している。

 

それを確認したディオドラは僅かな望みを掛けて戦闘のあった地点に急いだ。

 

そして、遂に対面する。

 

少女……ジャンヌ・ダルクは雪の上に絨毯のように広がる天使の羽根の中で槍に凭れながら眠っていたのだ。

 

ディオドラは自身の"女王"の駒を取り出し、彼女に近付いた。

 

間近で見る彼女は1枚の絵画のようであり、息を呑む程に美しい。

 

思わず、ディオドラは生唾を呑み込みながらも彼女を起こそうとそっと手を伸ばした。

 

 

 

 

 

「巫山戯るんじゃ無いわよ」

 

 

 

 

 

その呟きと共にディオドラの手が彼女に掴まれる。

 

そして、彼女の目蓋がゆっくりと開き、やや色の薄い金色の瞳がディオドラを射抜く。

 

ディオドラの心臓が高鳴り、思わず彼女から離れようと半歩後退ったが、人間とは思えない力で掴まれている為に無駄に終わる。

 

彼女は目を少し細め、歯を見せるとぎこちない笑顔で笑いながら口を開いた。

 

「こんな山奥でピクニックですか? 悪魔のディオドラ・アスタロトさん」

 

彼女は既に知っていたかのようにディオドラの事を当てて見せる。

 

だが、それ以上に彼女の声色はディオドラも、ディオドラがここに来ることも全て予見していたかのように落ち着き払っている。

 

それが堪らなく不気味であり、それでいて筆舌に尽くしがたい程に婉然に映っていた。

 

ディオドラは確信した。正に目の前の女こそが、聖女であり魔女。ジャンヌ・ダルクという存在そのものであると。

 

 

 




はい、ディオドラ眷族ルートです。皆さん予想は出来たかな?

やったねディオドラ! ジャンヌさんが増えるよ!(勿論、ディオドラ君にはジャンヌオルタさんの内面は見えていません)

Q:なんでディオドラ?

A:ある程度クソ外道悪魔が主かつジャンヌオルタさんが悪魔じゃないと展開的にも内容的にも非常に出しづらいオレンジ頭の快楽殺人鬼がいましてね……。






…………個人的にはシリアル分380%のアストルフォの嫁ルートが非常に捨てがたかったのはナイショ。

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