神炎聖剣少女ジャンヌオルタさん   作:ちゅーに菌

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どうもちゅーに菌or病魔です。

ああ、FGOのガチャが換わらない…早く課金したいんじゃあ(末期患者)。


ジャンヌさんへの些細な質問

Q:お前、何様だよ

A:可愛い可愛い女王様ですけど?



ジャンヌオルタさんとディオドラさん

ディオドラが起きるといつの間にか自身がこの国での拠点として使っている屋敷のベッドの上にいた。

 

そのまま暫くぼーっとした頭で高い天井を見上げていたが、少しづつ眠る前の事を思い出し、その中にジャンヌ・ダルクの姿が投影された事で跳ね起きる。

 

「おはようございます。ディオドラ様」

 

すると隣から聞き覚えのあるようで新鮮な聞き心地の声が掛かる。

 

ディオドラが頭を向けると、ベッドの隣に椅子を設置してそこに本を開きながら座っている金髪の少女がいた。少女の服装はノースリーブの黒いシャツに、黒のミニスカートを身に纏い、首に紅いネクタイを巻いた姿だった。

 

ディオドラの記憶にはない彼女…ジャンヌの若者らしい服装に思わず動きを止める。そんな中、ジャンヌは不器用に微笑むと更に話を続ける。

 

「丸1日眠っていたんですよ? 悪魔の眠り病にでも掛かってしまったのかと心配しましたよ」

 

ジャンヌ・ダルクの魂を受け継ぐ女性を自身の眷属に出来た。目の前のそれが紛れもない真実だということを物語り、ディオドラの手に力が入る。

 

神器の中でも最も偉大な神滅器は世界には13個。70億人の人間の内に13個しか存在しないのだからその価値は悪魔にとって大変なモノだろう。

 

それと同じように非常に価値が高いのが、過去の偉人の魂や記憶を宿し、再び産まれ出る人間だ。

 

こちらも当代でひとり。その上、神滅器と違い、存在し続ける可能性があるわけではないため、ある意味では神滅器よりも価値があるとも言えるだろう。

 

その上、ジャンヌ・ダルクという少女はどうしようもない程にディオドラの趣向を擽る存在だ。その上に確実に女王の駒向きの眷属なのだからディオドラにとってこれ以上に自身に幸運な事はない。

 

「ところで」

 

ジャンヌが指を鳴らすとディオドラはよく知る8人の少女が寝室に入ってくる。

 

何故か全員がディオドラの前にいる時の十倍はぎこちなく、何かに怯えたような表情をしているが、目の前のジャンヌ・ダルクという存在に魅せられているディオドラが気が付く事はなかった。

 

「兵士はその8人ですね」

 

するとジャンヌは首元から自身の谷間に手を突っ込むと首から下げるタイプの小さな巾着袋を取り出した。袋を開け、取り出されたその中身は4つの悪魔の駒のようだ。

 

「失礼ながら意識の無いディオドラ様に変わり、私が預からせていただきました。最も安全な場所はココでしょうから」

 

「あ、ああ……」

 

無知故か、狙っているのか元聖職者とは思えないほどに性的表現に富んでいる聖処女に面喰らうディオドラ。

 

若干、狼狽えている様子に特に気にする様子もなくジャンヌは話を続けた。

 

「女王は私の中に。僧侶が2つ、戦車が2つ………騎士の駒は何処に? できれば会ってみたいのですが」

 

「そうか! 少し、待ってくれ」

 

ジャンヌそのものと、悪魔として意欲的なジャンヌの様子に動かされ、ディオドラは本邸で待機している騎士の二人をこの場に喚ぶことにした。

 

するとベッドの前の床に描かれた魔方陣の上から二人の悪魔が出現する。二人の悪魔は呼び出された時から一言も喋らずただ指示を待っているようだ。

 

見ればジャンヌの腰には和洋を合わせたような深紅の刀が下げられている。ジャンヌは椅子から立ち上がると二人の騎士の前に立つ。

 

「あなた達が騎士の駒の転生悪魔ですか」

 

ジャンヌの尋常ではない気迫に気圧され、騎士の駒の転生悪魔らは思わず身を強張らせる。

 

「ディオドラ様。どうか無礼を御許しください」

 

その刹那、鉄と鉄を鳴らしたような音が響き渡る。それがジャンヌの腰に下げられているカムシーンを納刀した音だと気が付けた者はこの空間には居ないだろう。

 

するとジャンヌは深く溜め息を吐き、騎士の二人へ心底残念そうな表情を浮かべながら口を開いた。

 

「どうやらあなた方はディオドラ様の隣人足る資格は無いようですね」

 

ジャンヌは二人の眷属に良く見えるように掌を開く。

 

「だってあなた方……自分が死んだことにすら気が付いて無いんですもの」

 

そこには"ふたつの騎士の駒"が乗っていた。

 

次の瞬間、二人の騎士の眷属の身体が奇妙にずり落ち、灰になるように静かに消えた二人の眷属を前にジャンヌは再び深い溜め息を吐く。

 

「なんて陳腐…なんて下劣…なんて虚弱…ですが悔やむことはありません。元よりフリードによってセリフどころか描写すら無く、死が確定していたあなた方の死が少しだけ早まった程度のこと。そんなお間抜けなあなた方にもきっと父なる主は微笑んでくれるでしょう。ですよねディオドラ様?」

 

「あ…?」

 

目の前で起こった事にディオドラの頭は着いていけていなかった。

 

「ディオドラ様の程のお方にアレはいらないでしょう」

 

女王が騎士を斬り殺す。ただ、それだけの事ではあり、他の悪魔の中でも別段珍しい事柄ではないが、それが自身の目の前で起きているという事は何よりもの異常だろう。

 

ディオドラは呆然とした様子で己の女王の背を見る他無かった。

 

「あの者たちは力量を試すために私が放った剣を受け止めるどころか、死んだことすら気が付きませんでした。こんなつまらない者達がディオドラ・アスタロトの眷属で良いハズがありません」

 

ディオドラの言葉も待たず更に話を続け終えたジャンヌは、ゆっくりとディオドラのいる場所へと振り返る。

 

「ですからディオドラ様」

 

ディオドラはジャンヌの母親が子を見守るように優しげでありながらも、その瞳には何も映ってはない奇妙な眼光に射ぬかれた事で、身体が凍り付いたように強張り、ジャンヌから目を反らすことが出来ない。

 

ジャンヌはディオドラに詰め寄るとディオドラの手をそっと取り、満円の笑みを作ると深く頭を下げる。

 

「私にこの騎士の駒……引いては悪魔の駒を預けてはどうでしょうか? 必ずや貴方様に相応しい眷属を用意いたしましょう。このジャンヌ・ダルクの名に賭けて」

 

ディオドラは行動まで示した特別な彼女の進言に従い、より自身の眷属が強固になるという事で己を納得させた。

 

最早、ディオドラはジャンヌに反論出来るような精神は持ち合わせて居なかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

悪魔に転生してから数日の内に拠点から正しい行き方で冥界へ、そして冥界のディオドラが住む本館に私は居ます。

 

私の知識の中のディオドラ及びディオドラ眷属はグレモリー眷属に手も足も出ず、ディオドラも兵藤一誠ひとりにフルボッコにされるという自業自得とはいえ憐憫なものでした。

 

流石に私が女王にも関わらずあんな目に会うのは頂けないため、折角ですからディオドラ眷属全体を強化しましょうという私の寛大な処置を行う事にしました。ディオドラ本人からも全面的に同意を得られましたしね。

 

『そういうの知ってるよ! 事後しょーだくって言うんだよね』

 

「ルーラーは博学ですね。いいこ、いいこ」

 

『えへへ…』

 

ちなみにルーラーは私の部屋に居ます。

 

与えられた部屋が何故かやたらに広かったので直接転送してみたところ、ギリギリルーラーも入れる事が出来ました。流石悪魔、ディオドラもそういう配慮は出来るようですね。

 

何故か部屋に収まるルーラーを見たディオドラが、度肝を抜かれた顔をしていた気がしますが、気のせいでしょう。

 

もう眷属の選別は終えました。服装から察しましたが、何処かの悪魔令嬢ではなく、ディオドラの趣味で集めた騎士みたいでしたし、斬って正解でした。やっぱりディオドラは私の多少の()()()には目を瞑ってくれるようでやり易い限りですよ。

 

ちなみに兵士の八体はこのまま残しておく予定です。悪魔のお仕事をしてもらわなければなりませんからね。始めから戦闘で期待なんてしていませんよ。まあ、強くなるに越したことはありませんけど程度が知れてますし。

 

レーティングゲームでは私含めて残りの戦車、騎士、僧侶の駒が主として戦闘をこなせば良いだけです。

 

勿論、殺し合いに使える駒でなければなりませんね。レーティングゲームにしか使えない駒なんてゴミに等しいですし。

 

私の知識の中には曹操、ヘラクレス、ジークフリート、そして私自身等しか名と魂を継ぐ者は出ては来ませんが、探せばもっといることでしょう。英雄の魂を受け継ぐ者は強靭な精神と安定した実力が見込めるので是非とも欲しいですね。

 

となると駒の価値を上げる為にディオドラ自体の強化も必須ですか、最低でも駒ひとつで英雄クラスを転生させるぐらいにはなって貰わないと困ります。やはりなんと言っても戦いは数なのですから。

 

まあ、そのためにもディオドラが転生させれそうなレベルを用意しなければなりませんか。まだまだ問題は山積みです。

 

『ねえねえジャンヌ。世界を見て回るんじゃないの?』

 

「ルーラーは冥界に来たのは始めてですか?」

 

『うん、始めてだよ』

 

「ならルーラーにとってもう世界を見て回っている事になるんじゃないですか?」

 

『そっか!』

 

それにルーラーをここに押し止めるのも限界がありますねえ。ルーラーは人を喰らうタイプの邪龍ですし。まあ、邪龍なんてみんなそんなものでしょう。私としては戦闘のついでにお腹を満たせるなんて便利な身体だと思いますが。

 

そろそろ眷属探しという名の世界旅行に出掛けましょうか。金の延べ棒も換金しましたし、ディオドラからお小遣いもせびりましたしね。

 

私は殆どの内容を読み終えた螺湮城教本を閉じると、椅子から立ち上がりました。

 

「さてルーラー」

 

『なーに?』

 

「そろそろ旅の続きと参りましょうか。好きに生き、理不尽に死んでくれるような素敵なお友だちを探しましょう」

 

『うん!』

 

強力そうな中東圏の英雄、良い武器を持ってそうな北欧の英雄、精神が強固そうな日本の英雄、一部の能力に特に秀でた中国の英雄。最初は何処から探してみましょうか? 他の邪龍や、神に会ってみるのも捨てがたいですね。 考えるだけて心が踊ります。

 

でもとりあえずは私の知識の中に触りだけで存在する少し気になる方を調べに行きましょうか。

 

それに何処かにあるという支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)の探索もしたいです。生き物を思い通りに操るなんて素敵じゃないですか。少なくとも兵藤一誠の修学旅行の頃までは誰にも発見されない事は確定していますし。

 

ああ、楽しみですねぇ…ヒヒッ。

 

 

 




ジャンヌオルタさんは完璧主義なので主人の為に良い眷属を集めてくれる素敵な女性です(白目)。

ボソッ……ネクパイジャンヌオルタ。

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