『スバル初めてのおつかい』の方で投げっぱなしになった伏線回収。
ティアナがはやてのところへ行く前、ユーノが六課から本局に帰る場面。
午後19時 機動六課隊舎 正面玄関
「ユーノ君は今日中に本局に戻るの?」
「うん、これからレールウェイに乗って、地上本部から上がるよ」
「それだと今からでも、結構遅くなっちゃいますね。私の時にしてもらったみたいに臨時のポートが使えればいいんですけど」
「まぁ、レールウェイに乗るのも結構好きだし、気長に行くよ」
「本局に帰ったら自分の部屋でちゃんと寝てくださいね」
「僕も休みの日ぐらいはちゃんと休むから。そんなに心配しないで大丈夫だよスバル」
六課の隊舎からレールウェイのホームまでは徒歩で移動する必要がある。車が使えれば速いが、今はフェイトが使っているので車は出払っているためである。
「さて、そろそろ出ないと次のに間に合わなくなっちゃうからもう行くね」
「じゃあ、私はユーノ君をホームまで見送ってくるから、スバルとティアナは先に寮に帰ってていいよ」
「え、そんな、いいのに」
「まぁ、いいから、いいから。久しぶりにお散歩しようよ」
「分かった、ありがとう。じゃあ、スバルとランスターさんも六課の仕事大変だと思うけど頑張ってね」
「はい、ユーノさんも無限書庫のお仕事頑張ってください」
「今日は本当に、いろいろご迷惑をおかけして、すみませんでした」
「うん、ありがとうスバル。ランスターさんも本当に気にしなくていいから。――それじゃ、行こうかなのは」
別れの挨拶を交わし、ユーノはレールウェイのホームへ向かって歩き出した。横にはなのはが並んで歩いている。少しずつ離れている二人の後ろ姿を、スバルとティアナは眺めていた。
「ねぇ、ティア」
「何よ?」
「なのはさんって、ユーノさんといると何か幼く……というか、可愛くなるよね」
「そうね、私もそう思った」
「やっぱり、恋人同士……なのかな」
「さぁね、でもそんな雰囲気でもない気がするけど。気になるならフェイトさんにでも聞いてみたら?」
「で、でも三角関係だったりしたら」
「そんな関係だったら、あんなに仲良くないでしょ……ってそうか、フェイトさんか」
「なにが?」
「なのはさんの雰囲気。なのはさんがフェイトさんと二人でいる時と、ユーノさんと二人でいる時の雰囲気が似てない?」
「言われてみれば確かに」
「三角関係っていうか、あの3人で親友なのかもね」
「うん、……そうだね」
3人が揃って親友。ティアナの言ったことがスバルにはすごく納得できた。3人が揃っていることは殆ど無い。でも離れていてもそれぞれが互いに信頼しあっている関係。言葉にするのは難しいが、あの3人はきっとそんな関係なのだ。
「ほら、私達も寮に戻るわよ」
「う、うん」
ティアナが寮へ向かって歩き出した。スバルもそれに続こうとしたが、なのはとユーノの後ろ姿から目を逸らそうとした時に、視界の端が緑に光り、慌てて視線を戻した。
暗くてよく見えないが、さっきまであったユーノの姿がなく、なのはが一人で歩いているように見える。何が起きたのか確認したくて、急いで感覚を戦闘機人のセンサーモードに切り替える。
高感度センサで見たなのはの横には、ちいさな生き物が見えた。
ちょこちょこ歩くその姿を見て、スバルは前に本局の無限書庫へ行った時に聞いた言葉を思い出した。
(……フェレットもどき)
楽しげななのはの後ろ姿を見ていたら、二人の話し声も聞こえてきた。
これは私が聞きたいからじゃない、戦闘機人モードに切り替えたせいで勝手に聞こえちゃうんだ。
――だから、しょうがないよね。
誰に対してでもなく、そんな言い訳をしてスバルは耳を傾ける。
「もう、またこの姿にならなきゃいけないの?」
「だって、今日はなのはの言うことを聞いてくれる約束でしょ?」
「まったく、しょうないなぁ」
「ほらユーノ君、肩に乗って」
「うん、ちょっとまってね」
後ろから見るその二人の様子は、まるでご主人様と、それに付き従う使い魔のようだった。
(……なのはさんの使い魔)
そういうことか。――2つの言葉の謎が解けた。
「スバル―!何してんの?置いてくわよ!?」
「今行くー!!」
2つの月が綺麗な夜だった。
なんとなく、今夜はよく眠れそうだった。