ユーノ初めての六課訪問   作:猫山知紀

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その7(ユーノ、なのは)

「ユーノ君、もう喋って大丈夫だよ」

 

ヴィヴィオ達と別れた後、周囲に人影がないことを確認すると、なのはは肩に乗せたユーノに声を掛けた。

 

「ごめんなのは、助かったよ」

「それで、なんでそんな姿になってヴィヴィオに捕まってたの?」

「実は――」

 

応接室に通されてからの経緯をユーノがなのはに説明する。

ティアナに何らかの事件の犯人だと勘違いされていること、彼女から逃げるために変身したこと、そしてそのタイミングでヴィヴィオに捕まったことだ。

 

「なるほどね。 まったく、ティアナは」

「でも今回のは、あの子のせいじゃなくて、はやてが何かやったみたいだけど」

「それでも、ティアナは執務官志望なんだもん。 物事の表面を見るだけじゃダメなんだから」

「そうなの?」

「そうなの。 自分が見聞きしたことも重要だけど、執務官志望ならその裏側も読み取れるようにならないと、簡単に騙されちゃうよ。 フェイトちゃんはこの事件が終わったら補佐としてティアナに勉強させる気だし、今のうちからそういうことを学んでおかないと」

「そういえば、クロノの補佐についたばっかりのフェイトも結構苦労してたね」

 

ユーノは昔、闇の書事件の後にフェイトが執務官補佐となった時のことを思い出した。 フェイトも最初は右も左もわからず、調査して得られた情報に振り回されることも多かったが、クロノに叱られながら、エイミィに教えてもらいながら執務官になるための経験を積んでいった。

プレシア・テスタロッサ事件で悲しい経験をしてはいたが、人を疑うということを知らないフェイトが見る世界は性善説で満たされていた。 しかし、クロノとともに事件を担当していくうちに、世の中には想像もできないような悪人がいることをフェイトは学ばざるを得なかった。 執務官になるということはそういう現実を知ることでもある。 人を騙すことになんの抵抗もないような人間の裏をかき、追い詰め、逮捕するためには、数ある情報の中から真実を見極める必要があるのだ。

 

「あの頃のフェイトちゃんは今よりもっと純粋だったからね。 でもティアナもあの立場になるんだったら、はやてちゃんのイタズラぐらい簡単に見破れるようにならないと」

 

フィクションの世界では、信頼していた人が実は黒幕だったなどという話はざらにある。 しかし、現実でもそれは起こりうることだ。 闇の書事件のグレアム元提督の件など良い例だろう。 あの事件で当時執務官として行動していたクロノはグレアムの謀略を看過してみせた。 悲しいことだが執務官は仲間や上司を疑うこともしなければならない、ティアナも今回の件でははやての言動を疑うべきだった。

 

「ところでユーノ君、その姿すっごい久し振りだね」

「あぁ、うん。 この姿は小さくて隠れやすいから。 やり過ごすのに使えると思って」

「こうやって、その姿のユーノ君を肩に乗せてるとジュエルシードを集めてた時のことを思い出すなぁ」

 

あの頃なのははユーノと出会ってから魔法の練習のため、朝晩に近くの山に行くことが習慣になった。 そして、その行き帰りの道でこうやってユーノを肩に乗せて歩いていたことを、なのはは懐かしんだ。

 

「そうだね、でもここからの眺めはあの頃より随分高くなったよ」

「それは、あの頃と比べたらね。 でも、フェイトちゃんと同じぐらいの身長になれるかと思ったけど、なのははそこまで身長伸びなかったなぁ」

「なのはも女の子としては結構高くない?」

「そうなんだけど、フェイトちゃんって身長高くってスラーっとして綺麗じゃない? 逆にはやてちゃんぐらい小っちゃいと、それはそれで可愛いし。 なのはの身長ってなんか中途半端っていうか……」

「そうかなぁ、なのはとフェイトはそんなに変わらないと思うけど」

「もう、ユーノ君は女心がわかってないなぁ」

 

実際なのはとフェイトは数cmしか身長差がない。 しかし、当人にとってみればその数cmが重要なのか、なのはは頬を膨らませた。 手に入らないとわかっているものでも欲しくなり、隣の芝が青く見えるのは人間の性である。

 

「でも、今のなのはもすごい可愛いと思うよ?」

「あぅ、それは……。 うん、ありがとう」

 

普段新人たちに戦闘中は油断しないようにと指導する立場でありながら、不覚にも不意打ちを食らった高町教導官は頬を染めながら目を逸らせた――。

 

「さてと、もう誰も居ないんだし、いつまでもなのはの肩に乗ってるわけにも行かないね。 元の姿に戻ってもいいよね」

「ダメです」

「えっ? 元の姿に戻ってもいいよね?」

「ダメです」

「なんで?!」

 

念のため確認をとったが、そもそも確認すらいらないはずの提案に対してまさかの拒否。 ユーノにとって予想外の展開である。

 

「さっき、なのははヴィヴィオに嘘をついてしまいました」

「あぁ、うん。 ごめん」

「これは誰のせいでしょうか?」

「えっと……僕?」

「はい、正解です。 というわけでユーノ君はなのはに罪を償わなくてはなりません」

「というと?」

「今日一日、なのはのいうことを聞いてもらいます」

「えぇ……」

「というわけで早速一つ目として、なのはが懐かしい気持ちでいられるので、ユーノ君にはしばらくこのままでいてもらいます」

「はぁ……。 わかったよ」

 

なんとなくだが、今日のなのははテンションが高い。 それは久しぶりにユーノに会えたことを嬉しく思ってくれたからかもしれないし、そうじゃないかもしれない。 幼なじみをそんな風に観察しながら、ユーノはしょうがないなぁと思いつつ、なのはのわがままに付き合うことにした。

 

 

 





なのは以外公式で身長が明記されていないので
身長の話はぼやっとしてます。

フェイトがちょっとなのはより高くて少し空いて、はやてって感じです。

フェイト163cm前後、なのは160cm、はやて150cm前後なイメージ。



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