上条with絹旗   作:たけんちゅ

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これも何かの記念で載せた、Act.8のその後です。

このコルクボード、言い値で買おう(笑)


Act.8 Alors

Act.8 Alors

 

 

Cette photo est bien réussie. <この写真はよく撮れている>

 

 

 

 「お兄ちゃんの部屋に来てもうかれこれ一年と少しですねぇ」

 

 

土御門舞夏と一通り話終わった後、

当麻の宿題や筆記用具、最愛の着替えやら必要な物をキャーリーケースに敷き詰めつつ、

ふと見上げたコルクボードに目が行く。

 

 

そこにはいくつもの、全てが鮮明な記憶で残る出来事の一瞬を切り取っている。

 

 

ボードの中心には同居生活の初日に撮った、恥ずかしがる当麻と最愛が写る写真。

そしてそれを囲う様に、これまで歩んできた春夏秋冬時折々の瞬間がある。

 

 

 

春。桜が舞う季節。

 

宴会で泥酔した刀夜を呆れ顔で見る最愛と詩菜。

最愛のお雛様コスプレを見て顔が真っ赤になる当麻。

制服で寮前に並ぶ当麻と最愛。

最愛の卒業式で大勢の女子生徒と写る当麻。

最愛の入学式で大勢の女子生徒とその母親と写ろうとしている(実際に当麻は突っ立っているだけ)当麻に怒りに行く最愛。

 

 

 

夏。多くの祭りがある季節。

 

笹の葉の先に背伸びをしながら短冊を結ぶ最愛。

日焼け止めクリームを持ち必死に否定している当麻。

海水浴場で他の男の目線も気にせず白い水着ではしゃぐ最愛。

手持ち花火の軌跡で文字を描く最愛。

 

 

 

秋。過ごしやすくもあり怠惰になる季節。

 

借り物競走でとにかく当麻を連れて行こうとする最愛。

当麻が腕によりをかけて作った重箱弁当。

それを満腹になるまで食べた挙句に運動が出来なくなり当麻に看病される(結果オーライの)最愛。

紅葉で赤く染まる並木道で、紅葉を見上げる最愛。

 

 

 

冬。一肌恋しくなる季節。

 

ミニスカサンタコスプレした最愛を見て顔を真っ赤にする当麻。

年越し蕎麦をコタツで肩を寄せ合いながら食べる二人。

初詣で振り袖姿の最愛を周囲の男(女も)が衆目している中、当麻と腕を組みながら歩く当麻。

コタツで涎を垂らしながら爆睡している、顔に"アホ兄"と落書きされる当麻。

 

 

 

 

その当麻にそっと唇を寄せて撮った写真は最愛の思い出アルバムにしまってあるが。

 

 

 

 

そうしてその場その場の景色(二人)を写していく思い出。

時に当麻が見た光景、最愛が見た光景、刀夜や詩菜が見た光景。

見る人や撮る人を変え、(とき)を記録していく。

 

 

 「この人達が家族で本当に良かったです」

 

 

最初に会った時から、最愛に対して壁を作らず溶け込みやすかった。

 

 

 「本当の家族なら・・・それこそ最高の家族だったのかもしれませんね・・・」

 

 

本当の母の親を、もう薄らとしか思い出せない。

それ以上に詩菜の顔が真っ先に思い浮かぶ。

本当の父の顔なんか微塵も覚えていない。

今は刀夜が父。そしてこれからも。

 

 

 

最愛は今までもこれからも、刀夜と詩菜を"親"として生きていく。

 

 

 

子供だった最愛を捨てた父も、それを最後まで止めてくれなかった母も、

 

 

 「私はそんな人を両親とは思えません」

 

 

子供ながらにでも思う。

親は子供を守るべき存在であり、それが出来る唯一の存在。

間違った道に行きそうなら正し、時に相談に乗る。親にはその責任がある。

子供を捨てるとか殺すとか、そんな事をする奴は親じゃない。

 

 

子供にある程度の自由と約束を与え、

笑顔の絶えない家庭、食事が暖かい手料理、

そして子供に愛を向けるべき。

 

 

そんな理想はあの親達だった頃まで。

今はそんな理想を遥かに超える親がいる。

 

 

 

 

人にどれだけ嘘偽りだと言われようと、

 

 

 「刀夜お父様と詩菜お母様が、私の一生の両親です」

 

 

その人達と一緒に、これからも思い出を増やしていこう。

 

 

 

 

 

勿論、

 

 

 

 

 

親だけじゃない。

 

 

 

 

 

 

私には、

 

 

 

 

 

上条当麻(お兄ちゃん)がいる。

 

 

 

 

 

少しおバカで頻繁に補習に行ったり、

何をするにも女の子が付いてきたり、

お金が無い万年金欠ビンボーだったり、

顔が超ハンサムって訳でもない。

 

 

 

 

 

けど、

 

 

 

 

 

料理の腕前はそこらの店に負けてないし、

女の子に向ける優しさは本物だし、

貧乏なりにしっかりとした知識も持っていて、

いざという時の顔はイケメンなんて超目じゃない。

 

 

 

 

 

 

 

そんなお兄ちゃんを尊敬してるし、

 

 

 

 

 

 

 

 

お兄ちゃんで良かったと思うし、

 

 

 

 

 

 

 

 

大好きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おっと、少し感傷的になりすぎて手が止まってました」

 

近くに置いてあった荷物を全部詰め、

キャリーケースの蓋を閉じて上に乗って中身を圧縮する。

 

 「さてと……それでは行ってきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思い出をこれからも沢山作ってこのコルクボードをいっぱいにしよう。

 

 

 

 

 

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