空を見つめる少年、膝の上に置いた手を凝視している少女。
「…」
「…」
沈黙が続く病室。とはいえ病室では静かにするのがマナー。
「…」
「…」
元気と騒がしさを体現する女の子、御坂美琴は耐えきれなくなって言葉を発する。
「ちょっと、黙るのやめてよ」
それをキッカケに当麻も口を開く。
「いやー、今までは御坂は来てちょっとしたら帰ってたじゃん? 長居は慣れてなくて…」
「そりゃー私も慣れてないけど…、男だったら場を盛り上げるような話しでもしなさいよね」
「と言われましても…、女の子と話が合う話題なんて持ってませんの事ですよ」
女の子といわれてちょっと嬉しい御坂。
「ん~~~、じゃあそーねー…彩月花祭って知ってる?」
今日の朝食時、食堂で朝ごはんを食べてるときに周りの子が言ってた話題をだす。
「それって確か今年から試験的に始まる花火大会的なやつ…だったよな」
「そうそう。それなんだけどね、今女子寮で話題になってるのよ」
「そりゃあなんつっても6000万発だっけか? いくらなんでも多すぎだもんな」
「そういう事じゃなくて…」
なんでわかんないかなぁとつくづく思う。
「どういう事?」
開いていた手をギュッと握る御坂。
「ねぇ…一緒に見ない?」
帰ってくるだろう言葉は、ある程度予想はしていた。
「一緒ねぇ…。俺なんかと見るより白井だとか、学校の奴と行った方が面白いんじゃないの?」
「はぁ、言わなきゃ分んないかなー。アンタと行きたいって言ってるの」
「…上条さんとしては嬉しい限りですが…、もっと一緒に見るべき人ってのがだな…」
友人と見ることを進めてくる当麻なのだが、御坂としてはつい最近、彩月花祭よりかは規模は小さいが、花火大会には心許せる友人と見に行っている。
「それがアンタだって言ってんの。アンタと見るべきだって私は思ったんだけど?」
楽しかったし、花火も綺麗に見えた。しかし何か物足りなくて。
「うーん・・・」
「嫌・・・だった…?」
「嫌じゃない。嬉しいんだよ? けど…」
何故かはっきりとしない言葉。
「だけど…?」
「御坂の後ろに…」
断られるのではと思っていたのだが、嬉しいと貰えてうれしい御坂。
が、しかし当麻が御坂の背後を注視しているので振り返ってみると…
「ほほー、御坂…抜けがけですか…。そしてお兄ちゃん…私という超可愛い妹がいながら…」
「いくら御姉様でもこういう重要イベントは譲れません、とミサカは美味しい所に出てきます」
「お姉様、寮にいないからいつもみたくココだと思って来てみれば…」
どこから嗅ぎつけたのか、さらに獰猛なハンターが現れる。
御坂はこうして、いつもチャンスを逃す。
「なんでアンタらはこういう時にぃぃ!!!!」
ワーワーと騒いでる最中、もう一人の女の子が当麻の病室へと訪れる。
「なんだ上条、大怪我で倒れたって言うから来てみれば…貴様また女事か!」
「げっ…吹寄…」
この吹寄という女の子、上条の同級生であるにも関わらず、胸の大きさや美貌は、一般的な高校生を軽く凌駕する。
「毎度のことながら、いつも怪我だの体調不良だので運ばれて・・・悲しくないのか?」
「こうも立て続けに起きるとね、むしろ日常になりつつあって怖いんだけどね」
はぁ、と吹寄は溜め息をつき、
「同じ街で同じ学校で過ごしてる同級生の日常がこうもおかしいのってどうなのかしらね」
「吹寄の日常は?」
「こうして貴様の見舞いにくる事かしらね」
「迷惑かけてすまないな」
「そう心から思ってるなら、もう入院なんてしないでよね、今度は私が倒れちゃう」
「また栄養食品?」
「貴様がストレス与えてくれなければ、食べる量も減るんだけど?」
そう言って、吹寄はコンビニで買ってきたと言うパンを渡してくる。
頭脳パン・・・
「これ食べて頭良くなれるなら、一生食べ続けるぞ」
「それよりまず、怪我をしない思考をする頭にしてから言ってね」
そう言われた頭脳パンは、何故か自己主張が激しかった。