Act.10
「吹寄と白井と御坂妹、お前らもどうだ? 一緒に彩月花祭見に行かねえか?」
あれから当麻のベッドを挟んでギャーギャーと文句を言っていた5人の女の子のうち3人、つい先ほど入ってきた彼女らに、その話題の中心人物が口を出す。
「なんでその結果に落ち着くのよ!!」
「そうですよ、お兄ちゃん!!」
「だってお前ら、ここでずっと文句言ってて収まんねえし。だったらみんなでワイワイ見に行こうぜっていう話よ」
それを言い始めると、今までの彼女達の口論が無に帰すのだが当麻的にこのゴタゴタはどうにかしたい。
「まー、私はお姉様さえいれば他に誰が居ても構いませんの」
「私は貴方さえいれば他に誰が居ても気にしません、とミサカは大胆にぶっちゃけます」
「このメンツで貴様が羽目を外さないとは思えないからな、ついて行ってやる」
各々、目的は達成してるので、軽く了承してくる。御坂妹は軽くないが。
「よし、じゃあ決まりだな」
「「ちょっと! 私は嫌!!」」
「そっか、じゃあ仕方ない。こっちのメンツだけで行こうぜ」
「「えっ」」
それから最愛と御坂が当麻に縋りついてお願いしていたのだが、二人とも意識はしなかったようで、むしろこの時の当麻はものすごく意識していたのだが、互いに意識しあう事はいつになることやら。
「え~はい、色々ありましたが、やっぱり皆でワイワイ行く。集合場所は…追々メールする」
「「「「「りょうか~い!!!」」」」」
「っと…なんだかんだでもう夕方の7時…。時間が過ぎるのは早いですわね~」
「あ、そういえば勉強やってねえ…不幸だ…」
目の前に広がる、真っ白の荒野・・・。
「貴様、やはりやってなかったか…。しょうがない私が教えてやる」
待ってました、と袖をまくる吹寄。
「ふ、吹寄さんはもう帰った方がいいんじゃないですか? 寮の人が超心配しますよ?」
「大丈夫だ、いつも真面目だから連絡を入れれば数回の門限破りも許される」
「私はここに床を構えているので、私もミサカネットワークと学習装置をフルに使用し、貴方をサポートします」
「私はもちろんココに超居座りますからね、毎度のことですけど」
「わ、私も…」
「お姉様は流石にまずいですの。寮監が今度したらタダじゃ済まさないと言っておりましたので、今回は素直に帰りましょう」
「私だけ帰るの嫌なんだけど!!」
「大丈夫ですの、私も帰りますので」
「ちょっと黒k「それではお邪魔しましたですの。上条さん、ごきげんよう。また今度」
「おう、じゃあな御坂に白井」
その場を瞬時に去っていく御坂と白井に、手を振る。
「さてと…、んじゃ始めますか。皆さん、こんな情けない上条さんを助けてもらって申し訳ありませんです」
「貴様がクラスにいなくなるのは寂しいからな。私も協力してやる」
「吹寄さんは超協力しないでいいです。どうせ胸が重くてすぐに疲れちゃうんでしょうし?」
ギャーギャー ワー
「さてと…、ライバルが今いい感じに向こうで言い争っているので…」スッ
御坂妹は靴を丁寧に脱ぎ揃え、ベッドの上に上り、スススーと上条のすぐ横にまで歩み寄って座る。
「なして俺の真横に座るんでしょうか?」
「貴方は私に問題を見ずに口だけで説明しろと言うのですか? それでもいいですが、貴方が言葉だけで理解できると? でももし貴方が、私が口で言った事を理解して行動に移してくれるというのなら、一つ聞いていただけますでしょうか?」
「上条さん、今ココロがズタズタなんですが…。まいいや、何だ? 上条さんはちゃんと聞く耳ぐらいは持っていますのことよ」
ぐいっと顔を当麻に近づけ、
「これから個人授業でもしませんか?とミサカは至極真面目な顔で真剣に貴方に詰め寄ります」ズズッ
「わ、ちょっと!」
傷が開く可能性、点滴や電極での拘束、唇と唇が接触しそうな距離への焦りが合わさり、身動きが取れない当麻。
「そもそもその胸は何を超どうしたらそうな…って御坂の妹!! お兄ちゃんに超近いです!!!」
「っ!! 早速貴様というやつは~~!!!」
「えっ!? 吹寄さん、怒るの俺?」
そんなこんなで全く空欄が埋まらない。
けども何だかんだで面白いこの雰囲気が堪らなく好きな当麻だった。
当麻が守りたい『周りの世界』。
それはもちろん身の回りに居る友達(女が大半)の世界をも守るという事。
その人達の笑顔と幸せは守ると決めた。(大半の笑顔と幸せの矛先が当麻だとは本人は知らない)
「今こうしてみんな笑い合ってる…。それが出来てるってことはちゃんと守れてるんだな」
決して自分の力を過大評価してるわけでは無い。
でも守る上で『能力を打ち消す能力』というのは一番最強の武器になる。
当麻としては、そんな事は気にせずに思い立ったら吉日なので『能力』はそんなに関係ないのだが。
「ってちょっと待て、夕飯は!? 不幸だー!!」
いつもいい雰囲気な病室を恨めしそうに見ている看護婦は夕飯を出すのを忘れていることを忘れていた。