「(…私だけ超楽しくないです)」
イチャイチャする、麦野沈利、滝壺理后、フレンダ=セイヴェルン。
皆が皆、最愛と同じく過去に馬鹿をやった集団だ。
もちろん彼女たちだけでイチャついてるわけではなく、もちろん当麻な訳だが。
なんだかんだ言いながらも仲良しなのだ、一つを除いては。
「とうまぁ? 私の差し出すリンゴが食べられないとぉ?」
「いや、もうこれで29個目ですよ、麦野さん…」ウッ
シャリシャリと、浜面が持ってきた大きい段ボールから出したリンゴをむき続ける麦野。
"アイテム"と呼ばれる組織のリーダーなのだが、その面影は微塵も感じられない。
というか、アイテムのメンバーとしてはその180度違う麦野に慄いているのだが。
そもそもリンゴの皮を剥くのは器用な癖に、恋愛表現は不器用すぎる。
それでも彼女は乙女。レベル5の"原子崩し"。
「吐きそうになりながら、でも麦野に断りきれないかみじょうを私は応援してる」
「滝壺さん、ありがたいです。背中さすってもらって…」
そんな不器用な麦野と打って変わって、積極的な滝壺。
聖母のような眼差しと手当てで当麻を癒していく。
巷では浜面の彼女という扱いを受けているが、実は"男(当麻)を虜にする為"のただの実験台である。
浜面も実は分かっているが、それでもアイテムで唯一の癒しである滝壺の実験台にならざるを得ない(他の二人は浜面をこき使うから)。
ちなみに彼女の能力、"能力追跡"はもっぱら上条当麻専用位置測定機となっている。
ただ、当麻自身の不幸があってなかなか会えないのだけども。
「上条はデレちゃって…じゃあ私もって訳よ」
「だぁー、おいフレンダ、脚に乗るな」
病人の脚に遠慮なく飛び乗るフレンダ=セイヴェルン。
ご自慢の美脚を何度も当麻にアピールしているのだが、全然見向きもしない。
やっぱり男は胸なのか?と必死に自分の胸と相談している健気な子。
能力は…本人曰く秘密らしいのだが、それでもこのメンツに居るのだから強いのだろう。
自作爆弾を作るのが得意なようで、よく当麻のお見舞いケーキに簡易爆弾を入れて怒られる。
ぬいぐるみが大好きな、多分まだ中学生。
お気に入りのハリネズミのぬいぐるみは、果たして最初から好きだったのか、それとも…。
そして…ワーワーと騒ぐ一段を少し離れて見てるいるのは二人の男女。
アイテムのパシリともっぱら噂の浜面仕上。
こんな美人と可愛い子に囲まれてるとか、浜面だけ爆死すればいい。
そして残念ながら、この物語ではヒーローにはなれない。
そしてその隣にいるのは、元アイテムの絹旗最愛。
「…絹旗ドンマイ」
「うわっ、何で浜面なんかに慰めを…」
「んだよ、っていうか今お前だけなんだよ、今話し掛けられる奴…」
「浜面…」
「絹旗…」
「っ超ーキモイです」
「んだよ畜生。あー何で滝壺ですら上条派かね」
「浜面派なんて一人も居ないですから」
「ちなみにお前は?」
「わざわざ聞きますか?ていうかお兄ちゃん以外の男とか塵も同じです」
「お前どんだけ諸行無常だよ…」
「そういう事ですから、私はお兄ちゃんを取り戻してきます」
「…お兄ちゃん、ね…」
上条を兄と慕うようになってから、絹旗は俺らとはつるまない。
(つるむと言っても、集まって馬鹿するようなそんな程度の低い集まりなんだが)
それが淋しくないと言ったら嘘になるのだが、それで良かったんだと思う。
絹旗は俺らの誰よりも先に"自分の在るべき居場所"を見つけた。
が、こう…傍から見れば度が過ぎているように見えるが、
元々、絹旗は親に捨てられた"置き去り"。
親を嫌う一面、親との生活を望んでいた面も持っていた。
だからこうも甘えているんだろう。
自分の素を出せる、そんな場所を見つけたのは絹旗だけだと思っていた。
のだけれど…、
今のこの通り、女性陣全員がそんな場所を見つけたらしい。
そもそも、このグループに女四人男一人というハーレムな環境に調子に乗っていた部分はあった。
だから今俺は一人ぽっちだ。
「べっ…別に…寂しくなんかないんだから。ないんだから…、グスッ」
「ねぇ、浜面が泣いてるんだけど…どういう訳…?」
「そんな気持ち悪い浜面はちょっと応援出来ない」
「みっともねぇ野郎だな、部屋の外で泣いてこい、空気壊すな」
「うえぇ…なんか浜面が超バカ面で泣いてて気持ち悪いです」
「ちょ…腹乗られるとリンゴが…うっ…」
「かみじょう、大丈夫?」
「上条ばっか~卑怯だろ!!」
浜面が惨めに泣き、そして周りはそれをあざ笑う(当麻は吐きそう)その光景に、端を発する者が現れる。
「浜面、しつこいしうるさい。にゃあ」