・水曜日
二日後、当麻は物凄い眩暈と共に起きた。
「いてて…。眩暈と共に起きるのは辛い…」
丁度そこに、巡回に来た医者が。
「まだ動かない方がいい。昼ドラで出てくる殺傷方法全部試されたみたいな傷を負ったんだからね」
医者的には、病院で怪我されるとは何事か説教してやりたいところなのだが。
「あ~まだ頭くらくらします」
「そりゃそうさ、君はこの二日ずっと危ない橋渡ってたんだから…」
うわぁ…と本当に自分は危なかったんだなと理解した顔の当麻。
「あ、最愛は?」
いつも視界のどこかにいる最愛がいないことを不思議に思った当麻は医者に尋ねる。
「なんだかうちの看護婦と意気投合しちゃってね、この二日間はずっと一緒にいて食事も取ってるよ」
ここにいても気が滅入っちゃうだけだしね、と付け加える。
「飯とか気になったんですけど…食えてたんなら安心です」
「この費用はいつもの請求よりも高めだから。はい」
ピラッと渡される、食費と書かれた請求書。
「えぇぇっ!?」
字からして看護婦のものだろう。少ない給料で最愛を賄っててくれたんだろうか。
ちなみに請求書の金額欄には「いくつか秘密教えてもらったんでチャラで」と書かれていた。
「ここ二日の看護婦のテンションは凄かったよ。君にも見せてやりたかったくらいに」
「秘密・・・?」
「おそらく妹さんが世話費の代わりに、君の情報を提供したんだろうね」
「そんなもの聞いて面白いですかね?」
「面白いというか、女性は秘密でお腹が膨れるからね」
「便利ですね」
「本当に便利だと思ってる?」
ハハハ、と乾いた笑いが起こる。
「そうそう、ちなみに。この間一人も見舞いには来てないよ」
「相当嫌われたんですね…」
「ま、そんな事は無いとは思うんだけどね。ちょっと彼女達も引っ込みつかなくなってるんだろうさ」
「さいですか…」
ふと、上条にではなく誰かに言うように医者は口を開く。
「さて、一番先にやってくる子は誰かな?」
「…?」
コンコン・・・ ガララ…
「お兄ちゃ「上条のお兄ちゃん!」」
扉を開ける最愛を押しのけて、横から飛び出してくるフレメア。
「ありゃ、フレメアちゃんが一番乗りだったようだね。さて、私はここで失礼しようか」
お大事にね、と残して彼女とすれ違いながら部屋から出ていく。
「ごめんなさい、私のせいで…」
「あの時は超取り乱しました。反省してます」
目の端に涙を浮かべて、誤ってくる二人。
「いいよ、まああれは…な」
そんな二人を見て、許さざるを得ない当麻。
「上条のお兄ちゃん、死んじゃうかと思いました…」
「参加してた私が言うのもあれですが…本当に心配しました…」
「ま、無事にこうしていられるんだから、良しとしよう」
そういう当麻の顔は別段怒ってる訳ではなく許している顔。
その当麻の表情を見て、
「「お兄ちゃーん」」
ガバッと、当麻の容体を気にすることなく抱きつく二人。
「痛い…痛いですよ、御二人さん!」
とはいえ、二日もの間こんなに心配してくれてる子が居てくれた、
その事で少し感慨深くなり、ありがとうの意味も込めて二人の頭を撫でる。
「やっぱりこれです~♪」
「にゃぁ~~♪」
「出遅れちゃったね?」
病室のすぐ外、医者の後ろには看護婦とあの日フレメアに闇を見せたメンツが勢揃いしていた。
そこに居る誰もが今の状況には手を出さない雰囲気なのは分かっていた。
「先生も意地悪いですよね、今まで面会させなかったのに今日いきなりこの子達に連絡入れろって」
「しょうが無いじゃない、流石にあれはやりすぎだと思ったから反省して欲しかっただけだよ」
「って先生、また来てますよ、あの子達」
「いいんだよ、あの子たちも呼んだんだ」