「そうだ、お兄ちゃん!」
ガバッと当麻の顔を見れる位置まで顔を上げる。
撫でられて心地良かった事ですっかり忘れていた事を今思い出す。
「どした?最愛」
「あと4日ですよ、彩月花祭!!」
「ん、そうだな」
その言葉に、
「さいげっか…?」
慣れないそれに、頭の上に大きなハテナマークが出るくらい悩んでるフレメア。
「あぁ、フレメアは知らないのか。大きい花火大会だよ」
「はなび? みたい!!」
駒場や浜面に、危ないからと手持ちで小さい物しか花火はやらせてもらえなかったので、
大きいと聞いてぴょこぴょこと跳ねて嬉しさを全身で表現する。
「じゃあフレメアも一緒に行くか?」
「ほんと? 上条のお兄ちゃんが守ってくれる?」
「なんだったら屋台で美味しいもんいっぱい買ってやるよ」
「やった~」
「あれ、でも金が…まぁいいや」
目の前で期待されてて、今更所持金ゼロでしたなんて言えない。
多分…多分だけど、まだ口座にある…ハズ。
「お兄ちゃん、私はそんなんじゃ釣られませんから」
出会いが出会いだった為、最愛としては当麻に"食い物でひょいひょい釣られるような女"には見られたくない。
「そっか、じゃあ温泉旅行は無しだな」
「へっ?」
花火から繋がる筈の無い単語、"温泉"というフレーズ。
それはこの病室に居る女の子もとい乙女は聞き逃さなかった。
もちろん、それは部屋のすぐ外に並ぶ例の彼女達にも聞こえている訳で…。
「「「なん……だと…!?」」」
「いやね、なんでもビンゴ大会があるんだと。その彩月花祭のお祭りで。それの特賞が温泉旅行なんだってさ。とはいえこの不幸の申し子上条さんがね、ビンゴなんてした日にはそりゃあ結果は目に見えてる訳で…。そこで運を沢山持ってる最愛に頼もうとしたんだけど…釣られないとか言うならしょうが無い。ビンゴ諦めるか」
「いえいえ、そんな事ならわ「ちょっと待った~~~!!!」」
扉から続々と出てくる人人人(全員女子)。
これは聞き伝手ならないと思ったのか、雪崩れ込んでくる。
「おぉ、なんだ、皆居たの?」
「私達が悪かった。調子に乗った。だから!」
「そのビンゴで温泉旅行を」
「上条にあげる」
「ま、そんなもの無くてもお金あるから行ける訳だけど…」
「フレンダ、オシオキだから」
「これは罪滅ぼし…いや、もとい聖戦とでも言うべきですの」
「違う意味でも…とミサカは意味深な事を言います」
「みんな乙女だ、にゃあ」
「さっきからなんで私のセリフの途中で…」
「まあ、皆さんお元気でなによりです、ハイ…」
「流れ的に強引にアイテムの皆さまの参加が決定したのですが…」
もちろん浜面は不参加。
「あれぇ、かぁみじょ~う、まさか私達だけ除け者にしようだなんて思ってた?」
「そんなかみじょうは…流石に嫌っちゃう」
「上条にとって私達アイテムとは遊びだったと…そういう訳ですか…」
「いや、正直…俺から誘おうと思ってた。サプライズで。けどこうやって知られちゃったから…」
三人としてはそういう反応は期待していなかったようで、
「いや、今知った。今だよ今、なぁ、フレンダ?」
背中をこれでもかと強く叩き、フレンダも一瞬、ウッとなる。
「そ、そうです、今上条の口から聞きました!!」
「そんなかみじょうはやっぱり大好き」ギュ
立っている滝壺がベッドで上体だけ起こしている当麻に抱きつくとどうなるか。
「あれ、滝壺さん…しばし形容し難い柔らかい物が上条さんの顔を覆っているのですが…」
「がぁー!! ちょっと許せばすぐこれですか滝壷!!」
「そ、そうよ。というかアンタも早く離れなさいよ!!」
胸では勝てない女子は各々苦虫を潰したような顔をしている。
「(やはり上条は胸が…)っていうか貴様、不埒だぞ!!」
「これはもう700本ほどのお灸を据えなければいけませんね、類人猿さん」
「何でもこういう展開にする貴方を尊敬します。とミサカは今日も平和だなーと呑気な嘘をつきつつ後ろから抱きつきます」
「御坂妹、頼むからややこしくするな…ってホラ、また上条さんを見る皆さんの目が…」
ゴミムシを見るような…というより視線だけで国滅ぼせるぐらいの熱量に耐え切れずにあわあわしてると…
「そこまでーって、ミサカはミサカは命の恩人さんの命の危機に参上してみたり!」
またもや、この騒がしい部屋に、火種が投下される。