上条with絹旗   作:たけんちゅ

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Act.24

 

 

病院

 

 

メールが送られている事に気づき、放課後に病院に寄る当麻。

送られてなくても嫌がられても行くのが当麻なのだが。

 

 「上条…ねー、上条」

 「なんだ絹旗、連呼するな」

 

鬱陶しいからと、布団を掛けずにベッドの上で雑誌を読み漁る最愛と、最愛が色々と散らかした服や雑誌を丁寧に片づけていく当麻。

この日もそれまでのように最愛が当麻と話し始めるのだが、何か声色が違う。

いつもより甘い声で、

 

 「わ、私明日退院するんですが」

 「そうなのか、良かったな。もう大分良くなってるんだろ?」

 

雑誌を本棚に収納し終わりながら、当麻は椅子に座る。

 

 「それは上条のおかげなんですけどね」

 「いやいや~、絹旗が大人しくしてたからじゃないのか?」

 「誰のせいだと思ってるんですか」

 

キス以降、妙に当麻を意識して暴力的な事は出来なかったのを、当麻的には”大人しく”になるんだろう。

 

 「俺?な訳無いよな!」

 「わかりました、殴って欲しいようで」

 

拳にむかってハァーと息を吹きかける最愛。

 

 「あれ、大人しく無い!?」

 「私まだ小6ですからね、大人な訳無いじゃないですか!」

 

ふふんと胸を張るが・・・

 

 「なんか意味合いが違うぞ」

 「・・・なんか久々に…能力が疼きます。あー超発散したいです」

 

その雰囲気に嫌な流れを必然的に汲み取る。

 

 「俺はサンドバックかなんかですか!?」

 「さしづめ、パンチングボールなんじゃないんですか?」

 「俺はそこまで丸く無いし赤く無い。だったらあの時の絹旗の方が似てるだろ!」

 

今のこの状況は誰が見ても仲良し男女。それくらいに空気に違和感がない。

 

 「ほう、私がなんですって?」

 

思い出したくない光景を思い出して、一層最愛の怒りゲージが上がる。

 

 「墓穴掘った!?」

 「次は上条が入院する番みたいですね、何年が良いですか?あ、何世紀が良いですか?」

 

ベッドの上で立ち上がる最愛の目線は、椅子に座る当麻の目線の遥か上になる。

 

 「それは俺が絹旗からストレス発散で殴られた揚句、そのダメージから長期入院を迫られるというパターンか!ていうかなんだ、何世紀って…!上条さんはもう退院したら御爺さんだからな!!」

 

ひぃぃーと腕を顔の前でクロスさせて防御の姿勢になる当麻。

 

 「もういいんじゃないですか、もうこれ以上女の子を好きにさせませんし」

 「は?」

 「あ…」

 

ポロリと出た本音。

 

 「いや、これはですね、あの、その、えっと…」

 「そこまでして絹旗は俺に孤独死を望むと!?どんだけ俺を嫌ってるかが心から滲み出てねーか?」

 「いえ、寧ろ好k…」

 

と言ってふと止める。あれ、これから先言おうとしてる事はもしかして…。

 

 「す?」

 

続きが気になる当麻に、必死に顔の前で手を振って誤魔化そうとする最愛。

 

 「いえ、超何でもないですから!上条のばか!!」

 「物理暴力から精神暴力に!?」

 「上条がバカだから仕方ないんですよ」

 

ふんっと当麻に背を向けるようにベッドに横になる。

ここでふと、今日来た本題を思い出す。

 

 「それで、なんか言いたい事あるんじゃねぇの? メールに書いてあっただろ?」

 「ぅあ!!超すっかり忘れてました。これもバ上条のせいですけどね」

 

本当に忘れていたらしく、素っ頓狂な声を上げる。

 

 「俺の名字が…」

 「ほら、明日退院するじゃないですか。それでお願いがあるんですけど…」

 「おう、なんだ、言ってみ。出来る事なら何だってしてやりますよ」

 

 

 

 

 「上条の家に泊めてくれないですかね」

 

 

 

 「は?」

 

何を言ったのか理解が追い付かない。

 

 「も・・・文字通りですよ」

 

もう一回は言わないつもりの最愛。

 

 「いきなり話がぶっ飛んだな」

 「そうでもないんですよ、私施設から飛び出しちゃって身を寄せる場所が超無いんですよ」

 「そっか…」

 「とはいえお金も今無いですし、服も食糧も何もかも無いんです。せめて寝泊まり出来る場所ぐらいは確保したいんですけど…」

 「一つ屋根の下に女の子と同棲って言うのは色々リスキーなんですが…」

 

そう聞くや否や、最愛は目の端に涙を貯め、

 

 「そうですか、じゃあ私はここを退院したら路地裏で寝泊まりして、挙句にはスキルアウトに良い様に弄ばれて…ああ可哀相に絹旗最愛、小学生なのに…」

 

ううっ…と泣いている最愛を尻目に知らんぷりという訳にも行かない紳士当麻は、

 

 「あー分かった、その代わりにちゃんと金貯まったら出て行くんだぞ」

 

ここまで言われたら引き下がれない当麻。

こういう所に付け込まれているのだが・・・。

 

 「ありがとう、バ上条…」

 「おい、そこはせめて慕えよ…」

 「慕え…ですか。じゃあ分かりました。当麻、なんて呼び方はいかがでしょう?」

 

はぁとため息をつく当麻。

 

 「俺は年上だぞ」

 「じゃあお兄ちゃんで」

 「おい、土御門に云々言えなくなるだろ」

 

口を開けば義妹義妹と当麻に自慢してくるのを、うんざりしていた立場だというのに・・・土御門の事を言えなくなるじゃないか。

 

 「じゃあ超決定で。よろしくお願いします、お兄ちゃん」

 「おい!」

 

こうして、最愛と当麻のドタバタ義兄妹生活がスタートすることになる。

 

◇◇◇◇◇

 





過去回想終わりです。
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