◇◇◇◇◇
<当麻side>
"絶対能力進化実験"を終わらせた後、俺は御坂と最愛に病院に運ばれた。
その際、他の妹達には一方通行を運ぶように言っておいた。
そうしなければいけないと思ったからだ。
そして一週間ほどして互いに治療が終わり、
病院の廊下ですれ違った時、俺は一方通行に謝られた。
『すまなかった』と。そして『ありがとう』と。
『お前が止めに来てくれなかったら、俺はこれ以上に妹達(シスターズ)を殺してた。
最初は疑問に思ってた、何故俺がこんな事をしなくちゃいけないのかと。
周りはそれが正しいと主張し、俺自身誰も寄せ付けない力が欲しかった。
だから殺していいというムシの良い話じゃない事は重々承知していた。
だが俺との戦闘実験のみの知識を記憶された脳を持つ妹達は止まらなかった。
毎日何十人何百人と殺してきて感覚が麻痺していた時だった。猫を可愛がる妹達を見たのを。
そこで改めて気付いた。クローンにだって命や感情があるということを。
それから実験が始まる直前まで語りかけた、が妹達自身そうされる事を望んじゃいねェ。
俺の言葉は通用しなかった。そんな時、お前が来てくれて助かった』
この言葉こそが一方通行から出てきた真実の言葉だという事も分かった。
そしてこの事実を御坂と御坂妹、最愛の前で話した。
「語りかけてきた事が本当でも、だからってあの子達を殺した事を許す事はできないじゃない」
腕を組み、静かに言葉にしていく御坂。
そこにどんな想いがあるのか、本人にしか分からないだろう。
「そうですね、学園都市全体はこの事件を表沙汰にしないように配慮してるみたいですが」
自分もこの実験では無いものの、"学園都市が行う実験"に関わった最愛は何かを探るように話す。
「だけど、あいつはこれからでも罪を償おうとしてる。それを応援してやってほしい」
無理を言っている事は分かる。
ムシがいいかもしれない…けど、一方通行も好きでやっていた訳じゃない。
それを分かってこの子達に理解して欲しかった。
「って言ってますが、御坂の妹はどうするんですか?」
「ビシッっと言ってやんなさい。アンタの思いを」
「私…ですか、私は…」
やや間があって…
「私は…いえ私達に話しかけてきた事は分かっていました。
しかしそれは実験の妨げ又は無意味な事だと判断した上で断ってきました。 そしてそれが無意味で無かった事を、私を直接動かしたのは…貴方です、とミサカは真っ直ぐ貴方の目を見て話します」
俺の目をまっすぐと見て来る御坂妹。
ふうっと軽く息継ぎをしてさらに告げる。
「だからこそ、私はもう私の物ではありません。貴方の物なんです、とミサカは冗談1割本気9割で話します」
「…それはアンタがこの事を…一方通行を許すって事?」
自然と御坂妹に向ける視線がキツくなる御坂。
「許すも何も、元から一方通行を怨んではいません。むしろ上条さんに合う機会を運んでくれた
「悪かったわね、胸無くて!」
「御坂の妹、本当にそれでいいんですか? 超後悔しませんか?」
「大丈夫です。それは妹達の総意です、とミサカは絶えずネットワークに入る嫉妬の言葉は隠してお伝えします」
ガンガンと頭に流れる、その場を代われという声をシャットアウトする。
「ん~まぁ…アンタがそう言うならしょうがないけど……」
「ん? さっきの言い方が超引っかかるんですが…」
あれ?と首をかしげる最愛。
「フッ、今さら気付いたのですか? 私が今、立場的にも状況的にも一歩進んだのだという事を!」
ワーワーと騒ぎ出す三人。
その光景を見つつ、ゆっくりと部屋の壁に背を預け、その後ろに居るソイツに小さな声で話しかける。
「聞いてたか?」
「あァ」
「だってよ。女の子は強いね」
「男より数倍強ェよ」
「罪、償って行けるか」
「努力する」
「ま、そう肩に力入れるなよ。出来るもんも出来なくなっちまう」
「あァ」
「俺も協力する。お前の友人としてな」
「…すまねェ」
ほんの一瞬だけ、返答に間が開いた。
「そうだ、さっそくだけど一ついいか?」
「なンでも言ってくれ」
「俺が病院にいない間、御坂の妹達を面倒見てやってほしいんだ」
「・・・」
「さっき本人も言ってた通り、恨んじゃいないさ。サポートでいいんだ、支えで。そんな気負うなよ」
◇◇◇◇◇
<一方通行side>
「聞き飽きた…ねぇ…。てことは逆を言えば、聞き飽きるほど一緒に居るって事じゃねえか」
こいつ、深く抉ってきやがる…。
「そうだなァ、お前が病院に居ない時はもっぱら相手してるな。なんならお前、もォ一生病院居ろ」
ちなみに、こいつが言う御坂妹こと10032号含めた下位個体は俺の病室には来ない。
打ち止め曰く、『あの子達はいつもあの人を探しに言ってる』らしい。
お前は行かないのかと尋ねたところ、
『私は若さとお肌であの人をゲットして見せる、ってミサカはミサカはスペックが違うのだよ~って決定的な差をここに提言してみたり。
それに貴方がミサカ達に対して罪を償おうとしてるんだったら、誰か傍に居て学園都市第一位を顎で使ってみたいし~、ってミサカはミサカは女王様になればこの気持ちをいつでも味わえるんじゃなの?って思ってみたり。
でも…ミサカが貴方の所に来るのはそれだけじゃなくて、ミサカ達みたく危なっかしい所とか大人の勝手で動かされた境遇とか、そういう所を全部ひっくるめて"似てるから"。
だから一緒に居るのかもしれない、ってミサカはミサカは要は同じ穴のムジナなんだよ~って言いたかったり』
だそうだ。
こういう反吐が出るほど生温い光に似合わない俺、
幼い頃能力が暴走し友人を傷付けてから得た事の無い暖かさ。
それを何故大量殺人者の俺に向ける?
加害者である俺に、被害者と被害者の家族が。
今こいつらが俺に向ける感情は何なんだ…。
分からない。
今まで腐るほど浴びてきた殺意。
それとはまったく逆のベクトル。
俺にその矢印は動かせない。
“一方通行”と誰が言ったのか知らないが、強ち間違えていないのかも知れない。
こいつらの感情は常に俺に一方通行に向かってきやがる。
俺は決まりでも規則でも無い。
向こうから多く通るなら、向こう側からこっちへ一方通行。
こいつらが俺に暖かい感情を送り続けるのなら、それに従うしかない。
向こうが必要無いと言うまで、この身を費やそう。
それが罪を償えなかったとしても、俺が消した笑顔が戻るのなら。
俺に似合わない事など重々承知だ。
「俺の奨学金的に一生病院に居続けるのは無理な話だからな」
「真面目に返すとか、バカなンじゃないですかァ?」
「バカとは失礼な! ちゃんと考える頭持ってるよ!」
「じゃァ宿題も一人で出来ってか?」
「…」
「どォーせあのちンちくりンなガキとオリジナルに教わってンだろ?」
「違う、訂正してもらおうか!」
「ほォ…」
「吹寄と御坂妹もだ!」
「…」
「どうした?」
「お前もう一生レベルそのままなンじゃねェの?」
「え~っ、あんな貧相な奨学金でこれからも過ごせと!?」
「いやいや、変な事に手ェ突っ込ンで毎回医者に世話になってっから駄目なンじゃねェの?」
それと毎回助ける度にその女の子と仲良くなってちゃあ世話ねェよな。とは言わなかった。
<事務連絡>
ワードで書いた後、それをこちらにコピペする形を取っているのですが、ワードからコピーした三点リーダと、このサイト上で手直しした部分に使った三点リーダの書式が違います。以前、それについての質問があり、自己解決したのでこちらで報告させていただきます。
とりあえず、気づいた部分から修正していこうと思います。申し訳ありませんでした。