「「「「ごちそうさまでした!!!」」」」
そう言って各々ゴミ箱に缶を捨てていく。
それを横目に、
「ま、程々にしとけよ。こいつら、結構本気だからな」
と言い放ちその場を去っていく一方通行。
しかしどうやらその本意は当麻に伝わっていないようだ。
「あ…おい、打ち止めはいいのか?」
「お前と一緒に居りゃ安心だ。それに本人がそれを望んでる」
気だるそうに右手を軽く挙げ、
「そもそも杖に頼ってる病人に子守りを任すなっつーンだよ」
「いやいや、俺も病人なんだけどな、一応」
互いに笑いながらその場を後にする。
「あれ、あの人は帰っちゃったの?って、ミサカはミサカは白い姿を探してみたり」
「ああ、なんか腹痛いんだと」
一方通行が腹痛になる事なんかあるのだろうか。と嘘をついて思う当麻。
「ま、いっか、ってミサカはミサカは今の状況が凄く楽しいからあの人の事は今は忘れる~」
「さて、これから私もお楽しみ……だったのですが、定期健診のようです」
「そりゃぁしょうがないな」
「仕方ありません、色々彩月花祭の準備もしなければいけないのでここで失礼します、とミサカは深々とお辞儀をします」
そう言ってこの場を後にする。
「さて、これからどうしましょうか、娘の打ち止めちゃんとフレメアちゃん」
「お母さんの好きでも良いけど、立ち止まってるより歩いてた方が何か見つけたりして用事ができるかも、ってミサカはミサカは上条パパの手を引いてみる」
「上条のお父さん、出発進行~!!」
ぐいーっと当麻の髪を掴み前に倒すフレメア。
「おっとその前に、ちょっとATMに寄らしてくれ。もう金無いんだ」
それを聞いた三人は、おっと、これは何か買ってもらえるカンジか?
と、こっそり心の中で思ったのは他でもない。
それを少し離れた所で聞いていた御坂妹は、
「ここぞとばかりに家族関係を示す言葉を使って仲間外れですか、とミサカは一人帰路に着きます…」
そう言いながら、首にかかるハート型のネックレスを見つめる。
・とある道
夕暮れ時の空を屋根に、伸びる影が3つ。
暖かい陽に当てられて出来た影が学園都市のアスファルトに張り付く。
そんな時間も時間、そろそろ良い子の子供達は…
「お腹すいた、にゃあ」
そう言ってフレメアは当麻…ではなくパパのツンツン頭をグイグイ引っ張る。
俺の髪はリモコンじゃないというツッコミは抑える当麻。
「まあ色々遊びましたしね、少しは小腹が空いてきたかもしれません」
「よし、じゃあ少し早いけど夕食タイム~って、ミサカはミサカは待望の企画に嬉々としてみたり!」
「おいしいの食べたい、にゃあ」
「んじゃああそこ行くか」
と目線で示す場所は、全国展開するチェーン店ファミレス。
お値段控えめで満足に量を食べれると、学生で賑わう店。
少しでもお金を控えておきたい当麻として、これほどありがたいものは無い。
・ファミレス
「こちらの席にどうぞ~」
と、テーブル席に通される当麻達一行。
テーブル席なので二人ずつ左右の座席に分かれる。
と思ったのだが、
「なしてこっち側に全員なんでしょうね?」
当麻を含む一行は通されたまま、その流れで片側だけの席に座っていく。
「私は上条のお父さんに肩車されてて仕方なかったし…」
「私はお兄ちゃ…じゃなくて、あ…アナタに手を繋がれていましたし…」
「要は皆上条パパのお隣で食べたいんだよって、ミサカはミサカは皆の気持を代弁してみる」
と、顔を赤らめながら言われたら否定も出来ず、
「お・・・おぉ、そっか」
としか言えない当麻だった。
その当麻の心中は、仲の良い(良すぎる)家庭を持つ父親なカンジなのだろう。
各々がメニューを指差して店員にオーダーを取ってもらう。
「えっと…俺はこれで」
安めのハンバーグプレートを指さす。
「じゃあ私もそれで」
だったらと最愛も続く。
「ミサカはこれにする~」
カロリー控えめ!なチキンステーキを指さす。
「これ食べたい、にゃあ」
肉野菜魚を一度に適量摂取できるお得セットを指さす。
「以上でよろしいですか?」
「あ、あと食後にこのデザートを超お願いします」
「これ…ですか? えっと・・・そういうご関係で?」
絹旗とフレメアが当麻に見えない角度でメニューを持ち店員に追加注文している。
当麻としては”そういうご関係”というフレーズが凄い気になったのだが。
「か、かしこまりました。お食事がお済みになりましたらお呼びください」
その店員が注文を受けてくれてから数分した頃。
「あやおや~? もしかして上条さんではなかろうか?」
と、隣のテーブルに通された女の子二人のうち一人に声をかけられる。
ん?と振り返ってみると・・・。
「おっ、やっぱり上条さんだぁ~。髪型が独特だからすぐ分かっちゃうんですよね~」
と黒い長髪にワンポイントの白い花の髪飾りを付けた、中学生とは思えないプロポーションの佐天涙子と、
「か・・・かかかか、かみ・・・上条さん・・・あぅぅ・・・」
突然の上条との遭遇に慌てて顔を真っ赤にする、頭に花飾りのついたカチューシャを付けた初春飾利がいた。
「チッ、御坂の連れの佐天と初春じゃないですか・・・こんなタイミングで」
「あー絹旗ちゃん酷い!」
同い年だと最愛から聞いているが…こう、最愛に比べて胸が凄いなと思う当麻。
そんな視線をフレメアは見逃さない。
フレメアは自分の胸に手を当て、
「まだこれからだもん」
と誰にも聞こえないぐらいの小さな声で話す。
「あ、花のお姉ちゃん!」
「えっと~、アホ毛ちゃん? 久しぶりですね」
意外に接点が無さそうな二人が知り合いだったらしい。
「っと、そうだ、どうせだったら合席いいですか? どうせなら皆で食べましょうよ!」
知り合いなんだったら一つの席に集まった方が良いと提案した佐天だが…。
実際には当麻に近づいていこうという作戦の一つ。
「そ、そうですね、皆で食べると美味しいですし!」
そしてそれにうまく乗って良い所を持っていこうと画策している初春。
要は二人とも、純粋な気持ちで合席なんてのは狙っていない。
「ん?ああ、どうぞ」
そんな事をつゆ知らない当麻は合席を勧める。
ちなみに余談だが、
当麻を狙う女子達にとって"当麻の周りに女の子が居る状況"は日常茶飯事なので文句を言わない。
むしろその日常に溶け込もうと必死に接触を試みる女子も多いのだ。
一日に複数のフラグを女の子に立てて行くので今さら気にしたところで何も変わらない。
だったらその中で一番になろうと。
なので、この状況の佐天や初春も特に『また・・・』みたいな反応はしない。
まあ勿論、当麻を好いていない女子も居るので周りから見たらまた女絡みかよという視線を貰う。
そして勿論、そんなモテる当麻を憎む男子は大勢いるのだが、そこは当麻保守派(実際には身辺警護やら親衛隊なんて言うような高能力者以上の女の子集団)が日夜暴動を阻止しているのだ。
もしそれを潜り抜けた所で、当麻の周りにいる最強SPに男共は一瞬にして塵にされる。
話を戻そう。
「いや~すいませんねぇ」
「お、お邪魔します」
頭を掻きながらこちらのテーブルへと来る二人。
「「っていうかなんで皆そっち側に?」」
「家族だから!」
とここぞとばかり主張するフレメア。
その言葉を聞いた佐天や初春だけではない、店中の客の視線が集まる。
「え? か…かぞ……く? って事はアホ毛ちゃんは上条さんのお子さ…ん?」
あわわわわと取り乱し始める初春。
「ん~今日だけかな」
と何気なしに言う当麻なのだが、
「あの夜もこの家族も・・・超遊びだったんですか!?」
と速効で最愛に口を出される。
「えっ、パパ本当なの?」
「うえ~ん、路頭に迷うよ~」
最愛に続き、目の端に涙を浮かべながら腕にしがみついてくる二人。
「だぁーおい、こら待て、なんだ『遊び』って! ほら皆が俺を変な眼で・・・」
ひそひそと周囲のテーブルで会話が始まる。
「っていうのはまあ冗談ですけどね」
チロッと舌を出して『言ってやったぜ』とにやける最愛。
それと一緒に打ち止めとフレメアも笑う。
「あー良かった、嘘だったんですね」
と60%ほど信じていた佐天がホッと胸をなでおろす。
その横には嘘で良かったと本気で思う初春がいた。
そんな冗談もどうにか誤解だと周りの客に伝えれた当麻は席に着く。
その間にテーブルにいる全員分の料理が並べられていた。
「パパ、早く座って。皆待ってるよ!」
はやく~と手を振る打ち止めと最愛。
「おお、ごめん・・・というかこれって最愛のせいじゃねえか」
「そんなことはいいから早く席についてください。超お腹減りました」
「「そうですよ~」」
なるほど、どうやらこの女の子達は揃いも揃って料理優先か。
そう思いながら自分の席に・・・というか最愛には一回席から出てもらい、自分の席に座る。
「んじゃあそれでは」
「「「「「「いただきますっ!!!」」」」」」
賑やかな宴会が始まった。
「ぷっちトマト~ぷっちトマト~」
「アホ毛ちゃんはトマト好きなんですか?」
「そうだよ、身体に良い野菜に好き嫌いは無いよ~」
プチトマトに興味を示す打ち止めに、対席の初春と話し合う。
「偉いなぁ~。フレメアちゃんは?」
「グリーンピースが苦手・・・にゃあ」
「あれま、グリーンピースは美味しいのに」
そんな光景を横目に、グリンピース論を繰り広げる佐天とフレメア。
「フレメアは超お子様ですからね~」
「む~、最愛のお母さんだって嫌いなものあるでしょ?」
「私には無いんですよ~。好き嫌いしてたら大きくなれませんし」
と言った矢先、自分の目の前に居る佐天・・・の胸を見てイラッとしたようで、
「そもそもその胸はどうしたらそんなに!」
「え? 特になんか意識しては無いけど・・・けどバストアップの秘訣はこれかもしれない」
その佐天の言葉に、胸が無い女子達は聞き耳を立てる。
「ムサシノ牛乳です。固法先輩だって愛飲してるんですから折り紙つきです!」
ババーンと効果音付きで言う。
「お兄・・・じゃなかった、アナタ、早速10本ばかり買いましょう!」
「そうだよ、パパ、これは一大事だよ!」
「女の子にとっては死活問題だ、にゃあ」
妻と娘達はこぞってムサシノ牛乳を要求してくる。
「私も飲もうかなぁー」
とボソッと呟く初春だった。
そしてその生々しいガールズトークを聞いて顔を真っ赤にする当麻だった。
それから少しして
「「「「「むむむむむ」」」」」
と何故かお互いを見合う女の子達。
それは何かを狙っている目。
緊張の糸が張り詰めるその状況を真っ先に潰してきたのはフレメアだった。
「上条のお父さん・・・」
子供だからこそに低い位置からでの上目づかい。
「お、どうした?」
「私、グリーンピース食べられないの、だから代わりに食べてほしい」
「ん? 嫌いなもの食べないと大人になれないぞ?」
「お願い!」
「しょうが無いな・・・今回だけだからな・・・」
そう言ってフレメアの料理から器用にグリーンピースだけ取り除く。
「んまぁ、貰いっぱなしも悪いし・・・はいよ」
と当麻が自分のハンバーグを二切れ(フレメアが一口で食べれる大きさの物)、フレメアの食器へと移す。
それを見て各自は色々思ったのか、自分の料理を見る。
そしてそれから口を開いたのは意外にも初春だった。
「上条さん!」
「お、どうした?」
「そのハンバーグ美味しそうですね、できれば私のチキンステーキと交換しませんか?」
「おお、本当か! 実はそれも食べたかったんだよ!」
「今切りますから、えっと、やっぱり大きい方がいいですよね?」
「いやいや、そんな半分に切られても・・・初春さんの食べる分が無くなるじゃんか」
「私は小食なのでこんな大きいのは食べられないので・・・」
「まぁそういう事ならしょうがない」
そういって初春が対面から上手にチキンステーキを当麻の皿に移す。
「こんなに貰っちゃったらあれだし、野菜なんかで駄目だろうか」
「全然大丈夫です。お皿に入れてもらってもいいですか?」
当麻は自分のフォークで野菜をいくつか刺して、初春の持つ小皿に入れる。
「上条さん、私も何か。好きな物言っていただければお取りします!」
自分の皿を当麻の前に出す佐天。
「ん? じゃあコレもらっていいか?」
「ええもう全部持って行ってくだ・・・じゃなくて今そちらのお皿にお取りしますね」
「? まあ佐天さんからも貰って悪いし、ハンバーグでも」
「本当ですか! ありがとうございます!!」
きゃっきゃきゃっきゃと繰り出される桃色世界。
それはそれは周囲の客をイラつかせ、そしてその輪に入れない最愛と打ち止めもイラつかせていた。
それは何故か。
食事の合図はした。皆少しづつだが喋りながら料理を食べていた。
佐天・初春・フレメアはゆっくりちょこちょこと。
最愛・打ち止めは沢山もぐもぐと。
余っている量も違えば当麻に与える印象も全然違う。
ゆっくり食べれば女の子っぽくお淑やかに(将来有望)。
沢山もぐもぐ食べれば元気いっぱいな女の子(将来体系が有望)。
それを今になって気付く最愛と打ち止め。
二人は負けた。
「「くっ・・・」」
このような感じで、常に当麻の周りではこのような心理戦(?)がある。
その後に来た特大パフェ(家族用)がテーブルに来てまたひと波乱。
今回ばかりは目がくらんだのか、全員がパフェにのったお菓子の取り合い。
それを最初は遠慮がちにみていた佐天と初春も、次第に甘い匂いにつられて参加。
当麻の目の前で凄い勢いで減っていくパフェ。
ここだけ野生の動物いるのではないかと錯覚してしまうほどだった。
「「「ごちそうさまでした~~!!!」」」
「「ごちそうさまでした…」」
「ほい、ごちそうさん」
当麻と食事を分け合った者達は嬉々とし、
一人寂しく食べていた者達は落ち込み、
当麻は何も考えず、いつものように食物への感謝を述べる。
「あ、そうだ初春、今日初春の家行っていい?」
「え?いいですけど、何かあるんですか?」
「例の作戦だよ、作戦」
「その相手が今目の前に居るのにですか?」
「そうそう。それでまあ、着れるか最終確認しなきゃ」
「えっ・・・もしかして・・・」
「うん・・・今回はその…ブラが…ね」
その言葉に敏感な彼女達。
「げっ、また脂肪増加ですか!?」
「絹旗ちゃん、その言い方は無いよ~」
「ただでさえ大きいというのに~ってミサカはミサカは嫉妬の目でみてみたり~っ!!」
「私だって将来・・・大きくなるもん…ぐすっ」
「・・・揉まれると大きくなる・・・とかよくネットで見るけど・・・うぅ」
そんな情報の真偽を知ってか知らずか、少女達(初春も含む)は自分の胸と佐天の胸を見比べる。
というか君達さっきまでパフェをがっつり食べてたよね?その糖分やらなんやらは全部ノーカンかよ・・・と心の中でツッコむ当麻。口が裂けても絶対に言えない。
「同い年でそれは超どうなんですかね!」
「去年まで小学生だったのに・・・もうこれは凶器ですよね」
佐天と同い年の二人は育ちの違いに。
「ミサカには御姉様のDNAが入ってるから今はまだこんなんだけど・・・」
「フレンダお姉ちゃんも胸無いからなぁ・・・」
姉達のそれを思い出し、自分の将来が気になる打ち止めとフレメア。
「あ、あのー・・・」
この状況に耐えられなくなった当麻は声をかける。
「そろそろ帰らないと初春さんも佐天さんも大変なんじゃないか?」
「あー本当だ、もうこんな時間・・・」
「楽しい時間はあっという間ですね」
しゅん、と初春の頭に乗る造花が錯覚か少し項垂れれたような気がした。
「わぁ、外はもう暗い、にゃあ」
「お腹一杯になっても眠くなってきたかも・・・ふぁぁーって、ミサカはミサカは欠伸してみたり」
「そろそろ打ち止めもフレメアも眠いみたいですし、今日は帰りましょう」
「そうだな。今日は楽しかったよ。初春さん、佐天さん。また明日~だよな?」
「明日・・・そういえば上条さん達も彩月花祭行くんですか?」
「ああ、なんか大勢でぞろぞろと」
「やっぱり・・・」
「とか言っておいて、私達も当日に上条さんの家に突撃しようか~とか話してたんですけど、丁度いいですね、私達も一緒に行きます!」
「分かった。ちなみに集合は俺の寮の前。多分午前中には寮に戻るだろうし」
「午前中ってどこかに行かれるんですか?」
「いやいや、今俺入院してるんだよね。まぁ経過は順調だから明日には退院できるだろうし・・・」
と、ここで初春がバンッとテーブルをたたく。
「なんでそんな大切な事言ってくれなかったんですか!?」
「あーあのー、言って心配させるのは悪いと思ったからであって・・・」
「言われないで隠される方が・・・もっと辛いんですよ!」
多分そこには、初春なりの事情があるのだろうが言う事はごもっともで。
「そうだな、ごめんな。今度そういう事あったらメールするから」
「約束ですからね」
そう言って見せる笑顔は当麻・・・だけでなく、最愛と佐天をも虜にする。
「佐天、なんでしょうかこの気持ち・・・」
「うん絹旗ちゃん、いつもより一層初春のスカート捲りたいよね」
「ちょっと待ってください、その言い方したら私も初春と会う度にスカート捲りしてるみたいなニュアンスになるじゃないですか!」
「え、違うの?」
「一回もしてないです! というか佐天に捲られる側なんですけど私」
「でも絹旗ちゃんのスカート捲っても恥ずかしがらないんだもん、おもしろくな~い」
「スカート捲りされて恥ずかしがる顔を楽しいって・・・佐天はそういう人間だったんですか・・・」
「おおぅ、絹旗ちゃんの私を見る目が痛いよぅ・・・」
そうして、夜の晩餐会は幕を下ろした。
分けるのやめて、一括りにしました。