上条with絹旗   作:たけんちゅ

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Act.34

 

 

最愛と行動を別にして大通りを歩くこと数分。

しかし先ほどまで結構な大所帯で歩いていたこの道も、当麻一人で歩いてみると長くて広いように感じる。

少し寂しさを感じながら歩いていると、携帯が鳴った。

携帯の画面には、電話をかけてきた相手の名が表示される。

 

 

 「・・・一方通行・・・?なんかあったのか?」

 

 

一方通行から電話なんてせいぜい打ち止め関係のことでしかかかってこないのだが、とりあえず出てみる。

 

 

 「おう、どうした?」

 「上条! のンびりしてる場合じゃねェ、とりあえずテメェの妹の居場所確認しとけ!」

 

 

一方通行の焦りを帯びたその声に、当麻は歩みを止める。

 

 

 「は?どういう事だよ・・・?」

 

 

しかしその返答は、ブツリという通話は切れる音だった。

 

 

 

 

 

 <今から少し前>

 

 

病院、診察室。

腕がいいと自負する医者が、マニュアル通りに診察を進めていく。

 

 

 「はい、これで精密検査は終了だよ。特に悪化してるところはなかったね」

 

 

白衣姿があまり似合うとは言えないカエル顔の医者は、耳から聴診器を外す。

 

 

 「その言い方、治癒してるところも無かった、と聞こえるンだが?」

 

 

白い髪、白い長袖、白いズボン、白い現代観溢れる松葉杖の少年こと”一方通行”は椅子に腰を掛ける

 

 

 「やっぱり体の調子は患者さんが一番理解している事だもんね、隠せないか」

 「隠したってどうせそのうち、ボロがでる。あのガキもすぐ気づくだろうさ」

 

 

あのガキ、というのは同居している(一方通行もさせてもらってる側)打ち止めを指す。ガキと荒い口調ではあるが、そこに憎しみの感情は一切乗っていない。

 

 

 「あの子も心配してるからね、君を」

 「ガキに心配されるくらい、俺の体はボロボロですってか」

 

 

嫌になるねェまったく、と続ける一方通行に、医者はカルテを渡す。

 

 

 「言うより見てもらった方がいい。君は無知じゃないからね」

 「無知だったら|この街のテッペン<第一位>になンか成れねェだろ」

 

 

そう言いながらも二枚目のカルテを流し見していく。

 

 

 「・・・・・・」

 

 

三枚、四枚とめくるスピードは速くなっていく。

 

 

 「食生活、おもに栄養バランス管理の再度注意喚起、ねェ。俺はオッサンか」

 「缶コーヒーばっかり飲んでいては健康は保てないよ」

 

 

それだよ、と一方通行の傍の荷物置きに置かれた缶コーヒーの空き缶を指さす。

 

 

 「食い物なンて必要最低限でいいンだよ」

 

 

生きていく最低限の栄養を摂取さえすれば生きられる。

 

 

 「でもそれで体壊したら阿呆らしくないかい?」

 「傑作じゃねェか、笑えるだろ?」

 「笑う人ばかりじゃないんだよ。それは君も知っているだろう?」

 

 

他人事のように笑う一方通行に、医師はハッキリと告げる。

 

 

 「だからこそ、一刻も早く治さないといけないんだろう?」

 「・・・・・・まァな」

 「それと、君に調べてくれと頼まれた例の件なんだけど・・・」

 

 

含みのある言い方を敏感に察知する一方通行。

 

 

 「・・・で?」

 「それがこの人の資料なんだが・・・」

 

 

医者は机から分厚いファイルを出し、そこから紙を一枚抜き取って渡す。

受け取った一方通行は目を見開いた。

 

 「・・・ッ!」

 

そこに映っていた女性は、年齢が35と書かれながらも20代にしか見えない綺麗な女性。

しかし一方通行が驚いた部分はそこではなく、過去の功績の欄。

所属実験チームと参加プロジェクトの部分だった。

その所属機関名、参加プロジェクトこそが、一方通行や最愛の人生を滅茶苦茶にし、果てには大勢の犠牲を出した・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”暗闇の五月計画”だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「皮肉にも、君が知りたい人物は、その実験の研究員・・・ということだった」

 

 

それに、と医者は続ける。

 

 

 「実験の内部を少し探ってみたんだが、どうやら総責任者という立場のようだ、彼女は」

 「生きてるのか?」

 「分からない、が事実だね。この実験は被験者によって潰されてるし、統括理事会はこの実験の情報をひた隠ししている」

 「ふゥン・・・」

 「しかし、ここまでに辿り着くピースは、とても身近にあった。これは、"見つかる事が前提で"振りまいた種なのかもしれない」

 「しかしまァ・・・」

 

 

と、一方通行はその資料の女性を見る。

 

 

 「なンだ、こいつはテメェの子供を、テメェのチームの実験に提供・・・って事か?」

 

 

憶測・・・ではなく、この書面上の情報だけくみ取るならそうなる。

 

 

 「そういう事になるんだろうね」

 

 

苦い顔になる医者。

 

 

 「ハハハ、コイツは腐ってやがる!悪だなァ、最ッ低の悪だぞこの母親はァ!! いいねェ、最高だ!」

 「はたして理由はどうかわからんが、真相は話してみないとわからない。どうする?」

 

 

どうする?という医者の問い。

 

 

 「どォするって?行くかッて?会ィに行ってやるよ」

 「あくまで君の治癒が目的ではあるが・・・」

 「突っかかりはあるだろォな、期待せずに行く」

 

 

むしろ自分の治癒が目的で無く、もう一つの明確な目的を見出した一方通行。

 

 

 「向こうは一介の研究者、力を使っての話し合いは駄目だよ」

 「狂ってる相手だ、どうなるかわかんねェぞ?」

 

 

一方通行は椅子から立ち上がり、松葉杖を取り病室を後にする。

 

 

 「ちょっと待って。ミサカ10032号くん、ちょっと席を外してもらえるかな?」

 

 

医者がそういうと、隣の診察室から御坂妹が出てくる。

 

 

 「申し訳ございません、立ち聞きするつもりではなかったのですが・・・」

 「これから彼と折りいった話をするから・・・」

 「はい、この場を立ち去らせていただきます。それから・・・先ほどまでの会話内容の記録はどういたしましょうか?とミサカは情報を妹達間での共有をしていいかどうかをお尋ねします」

 「ん~打ち止めちゃんには情報が漏れないようにしてもらえれば、あとは大丈夫だよ」

 「了解しました。一方通行・・・」

 

 

一方通行に問いかけてくる御坂妹。

 

 

 「あァ?」

 「お大事に。あなたは打ち止めを支える一本の柱である事は変わらないのですから」

 「ちっ、言われなくても分かってる」

 「それでは失礼いたします、とミサカは次の診察までの間、することも無いので街の散策をしようと思います」

 

 

病室を後にする御坂妹。

 

 

 「さて、御坂10032号くんがいなくなったので、もう少しだけ本題を話そうと思う」

 「と、その前に。上条妹の身辺を固めておく必要がありそうだな、電話入れておく」

 

 

 

 

 




さて、これから一方通行が会いに行こうとしている人とは・・・?

次話、急展開!!の予定。

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