青白く発光する兄のレントゲン。それを見つめる妹と医者。
まだ医務室の窓には雨が打ち続けている。
「こんな昼間に切り傷を負うって、何をどうしたらこんな事になるんだね?」
医者は飽きれた様子で言う。
「・・・お兄ちゃんは・・・大丈夫なんですか」
「止血のお陰だね。とはいえ傷は深いから痕が残るかもしれない」
が、医者は当麻が担がれて運ばれてきた時は驚いていた。
「私のせいで…、私が変な事でヘソを曲げなければ…こんな事にはならなかったのに…」
最愛は自分を責めた。自分が兄を刺したようなものだ、と。
それを考え始めたらどんどん深みに嵌り、無限大に倍加されていく自己嫌悪に陥る。
最愛のパーソナルリアリティーは、兄の不安定な存在と自己嫌悪からボロボロになっていた。
「一応、出来ることはしたから、あとはそっとしておくことだね?」
「はい…」
「…」
「…」
最愛の心情は、知らない人間からでも容易に分かるぐらい疲労している。
ましてやそれが、一月にある程度合う医者なら、さらに細かく分かるだろう。
「……いつもの病室に患者さん・・・君のお兄さんを運んだから」
「え…?」
「傍にいてあげる。それが一番患者さんにも君にも良いと思うんだがね?」
医者だって一人の人間だ。
一人の少女がボロボロになっているのを黙って見捨てる人間ではない。
「あ…ありがとうございます」
最愛は、お礼を済ませると覚束ない足取りで兄のいる病室へと向かった。
その後ろ姿を心配しながら、医師は手元にあるカルテを流し見していく。
「火傷、骨折、捻挫、脱臼、打撲、風邪、流行り病…、それ以外にも…」
「何をどうしたらそこまで怪我やら病に罹れるんでしょうね」
部屋の奥から消毒されたプレートを持った看護師が出てくる。
「ああ、用意ありがとう」
「しかし…ここまでくると病院が好きなんじゃないかって疑ってしまいますね」
「いや、もしかしたら君(看護婦)目当てかもしれないね」
医者は冗談で言ったつもりなのだが、何故だか看護婦は嬉しそうな表情。少し気分が下がる。
「あ、そうそう、次の患者さんなんですが…」
「どうかしたのかね?」
「受付の話だとまた風邪を引いたのだとか」
「あー、またあの子かね? どうせ毛布を掛けずに寝て風邪でもひいたんだろ?」
脳裏にその様子と、内心慌てふためく彼を想像してニヤリと笑ってしまう。
「医者としてその発言はどうかと…」
「どうしてこう…私が見た患者さんっていうのは何度も何度もここに来るのかね?」
「…彼が持つと言われる『不幸』ってのが少なからず蔓延してるんじゃないですか?」
「私に休憩時間が無いってのも彼の不幸が移ったのかね?」
「それを言ったら私もですよ」
医者と看護婦の溜め息にも似た笑いが起こる。
それでも、それが収入に繋がるからというわけではなく、
当麻達の成長を見守る親のような、そんな気分を味わせてくれる。
それだけで十分、不幸では無いのかもしれない。
「まったく…何度妹さんを泣かせたら気が済むんだね…上条当麻…」
Act.1と2にかけて、内容の薄さというか状況の適当さがにじみ出てるなと見返して思いました。当初はラノベ読み漁ってた時期だったのでクサい状況好きだったんですが、それを表現することなんてアホな私には無理でした。
この後から始まるテンションが、上条with絹旗の本当というか、素なんだと思います。
このAct.1、2を再投稿(修正)するのが恥ずかしかったです。でしかもそれほど内容変わってないですしw