こんなクソ文章が気になってしまった自分の好奇心を呪え。
あらすじで分からなかったかね。
それとも気紛れか。——まあいい、せいぜい扱き下ろせ。
いわゆる、宇宙空間。
声も届かない漆黒の海に、近未来的な形状の宇宙船が飛んでいた。
――いや、正確には“漂流” か。その船の外殻は歪み、罅割れ、至る所から火花を散らしており。
「――なァ、にが異常無しだあのクソ整備士! 問題大有りじゃねえか!」
「ふむ……いや、そうとも言い切れんぞ。テレプールのシステムに異常は見当たらんし、ログを見る限りでは原因は重力異常だ。整備士をとやかく言うな小僧」
「おいおい勘弁しろよ……! つーか、たかが重力異常でワープが失敗するなんて一体何年前の話だよ!?」
そもそも彼らは、こんな所に来たくて来たわけではないのだから。
「くそったれダーカー共にちょっかいかけられるならまだしも……つーか、補正プログラムはどうなってんだよ? こういうときの為のシステムじゃなかったのかよ」
ぶつくさと文句を言うのは額当てのインディゴのヘッドギアが印象的な少年だった。
正確には青年になりかけの、と注釈が付くが。
未だ青いがそれなりには成熟し、精悍さの片鱗を見せていた。
「その補正が効かないほどの大規模な異常だったという事だな。まあよくある事だ、慣れろよ。アークスなら突発事象などいつもの事だろう」
その彼に宥めるような口調で返すのは――人間ではなかった。
装甲の分厚さを連想させる箱の様な体型の人型ロボット。
彼らの間ではキャストと呼ばれる元人間の種族である。
「そうは言ってもよ、爺さん。オペレーターとの通信も切れちまったし、こっからじゃどうしようも――っ痛ぇ!」
「ああもうゴチャゴチャ言ってるんじゃないわよヤシロ、やれる事やるしか無いでしょ! アイレン、どこか降りれそうな
尚も愚痴るのをやめない少年をヤシロと呼ぶのは背の低い少女だった。
黒いキャスケットを被っており、髪に紛れて見えづらいが耳が妙に尖っている。
彼らの間ではニューマンと呼ばれる種族の特徴であった。
「あ、はい、それならもう見つけてます。――生物が居そうな星と、生物が居なさそうな衛星、どっちにします?」
キャスケットの少女にアイレンと呼ばれた少女が船体の前部のコックピットから返事をする。
身を乗り出すようにして座席の背もたれから顔を出した彼女の額からは小さな黒い角が伸びていた。
彼らの間ではデューマンと呼ばれる種族の特徴であった。
さて、現在この船に乗っているのは以上の四人。
アイレンの言葉に、残る三人もコックピットに集まっていた。
「これです、見てください。この青い星と、その衛星ですね」
コックピットではアイレンが備え付けられた大型のモニターを指差している。
「衛星のほうは、大きさからして大気無さそうですけど、その分平和……というか静かそうです。何も居なさそうですし。こっちの青いのは……あ、軌道上に人工物。知性体居ますね、これ。機甲種みたいなのじゃないといいんですが……」
モニター上に映し出された二つの星を比べながら説明するアイレンだが――
「――おい爺さんもっと下がれよ狭いんだよ
「年功序列だやかましいぞ小僧。こっちは身体縮められないんだから気を使えい」
「ちょ、重……っ! 二人とも肩の手どかしてよ痛い!」
「皆さん聞いてます?」
どう見ても聞いていない。
キャスケットの少女を真ん中に、その両サイドをヤシロと、爺さんと呼ばれるキャストが固めていた。
二人は真ん中の少女の肩に手を乗せた状態で体重を掛けており、とても痛そう――というか、成人男性程もある見た目からして重量感たっぷりのロボットを肩で支えられる辺り、一見して華奢な少女の見た目以上の頑丈さが見て取れるというか。
まあ、互いの遠慮の無さからして、仲は良さそうである。
―――
結局、青い方の星に行く事になった。
今は航行出来ているが、機体がボロボロな事もあって、一度エンジンを止めてしまったら再起動出来るか分からないのだ。最悪の事態を考える必要がある。
それに加えて、そもそも星にたどり着けるかの保証すらないのだ。目前にして空中分解、爆発四散の可能性もある。決めあぐねているうちに手遅れになるかもしれないのだ、即断即決が求められた。
「なあ……青い方にはさ、大気があるんだよな」
「ええ、そのはずです。組成まではわかりませんが……呼吸出来る事を祈るしかありませんね」
「大気圏突っ込んで燃え尽きねえ?」
「…………祈るしかありませんね」
やべえーっ!? とコックピットから飛び出して行くヤシロ。おそらくは後の二人に良い案がないか頼りに行ったのだろうと推測するアイレンだったが。
「祈るしかない、か」
顔色は良くない。
苦笑いも出来ない程追いつめられていた。
「天に身を任せる。――性に合いませんね」
―――
そして。
そこの住民には地球と呼ばれたその星に、隕石が墜ちた。
はじめは誰もがそう思っていたが、直ぐにそうでない事が知れ渡った。