The Duelist Force of Fate   作:Anacletus

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第二十一話「技巧者の勧誘」

第二十一話「技巧者の勧誘」

 

「ふむ。汝、苦労人の匂いがするもさっちんとは違って微妙に報われるオーラ出てないかね?」

「ふぇー!? やめてくださいよぉー!!」

耳尻尾付きの少女の上にベッタリとマスコットの如く張り付いたネコ・カオスがzzzと新たな塒(ねぐら)と定めた少女の上で鼾(いびき)を掻き始める。

「むにゃむにゃ・・・お、お父さんそんな高次元造形師の限定フィギュア許した覚えはありませんよ!?・・・く、孔明の罠!? だが、アンバーのジェノサイド計画はもはや最終段階。オレオレ詐欺五秒前の貴様にオレが倒せ―――」

何処の宇宙から悪い電波を受信しているのか。

はた迷惑な猫型生物を乗せたまま泣いているのは転生批判特化型聖典、通称セブンと呼ばれる原典に憑く精霊少女「ななこ」だった。

ななこは上の猫型生物の重さに涙目で廃工場の床に倒れ臥している。

「マスター。ナンナリ・ト・ゴヨウメイ・クダサイ」

そんな【同僚】を尻目にメカメカしいメイドが目の前の女に頭を下げる。

「ああ、とても幸福な生き物と可愛い女の子。それから近頃一番欲しかったロボまで・・・素晴らしいじゃないか!!」

銀髪痩躯、凛々しくも中性的な女。

異端審問騎士団の一つ「ヴェステル弦楯騎士団」の団長「聖盾の騎士」リーズバイフェ・ストリンドヴァリは感動した様子でご満悦だった。

常の凛々しさは猫型生物、可愛い女の子、そして、自分の用件を何でも聞いてくれる至高の家電メカヒスイを前にして崩壊寸前、デレデレした様子で何も考えていない姿から、もはや仰々しい肩書きの片鱗すら見つけ出す事は出来ない。

「く・・・台所事情を預かるリーズバイフェを真っ先に取り込むとは誤算でした」

何やら焦った様子で褐色の肌をした少女シオン・エルトナム・アトラシアが近頃路地裏同盟に転がり込んで来た男へ渋い顔をした。

「ま、まぁ・・・いいんじゃない・・・かな? リーズバイフェさん喜んでるみたいだし」

「極端にずぼら+面倒臭がり屋+未来のことを何も考えてない・・・そんな人間にこれだけの環境を用意したらどうなるか。さつきは分かっているのですか!?」

「え? あの、その、ちゃ、ちゃんとバイトはしてもらってるし、問題は・・・無い気が・・・」

「く!? もはや貴女まであの英霊に取り込まれて?!! かくなる上は必ず、あの英霊の化けの皮を・・・」

「あのーシオン?」

「幾ら、危害を加えるつもりは無いし、危険な目にも合わせないから此処においてくれと言われたからと言って、あんな危険な英霊をそのままにしておくとか、リーズバイフェもさつきも少しは危機感というものを―――」

新米吸血鬼である弓塚さつきは親友の様子にたじたじになりながら【決闘者(Duelist)】と名乗る赤い帽子の彼を見つめた。

「・・・・・・」

廃工場の片隅。

空の木箱の上でブルーのシートが広げられている。

彼は新たなカードを吟味している最中だった。

今までさつきの傍にいたシオンが何かを決意したように彼の背後へ立つ。

「名も亡き英霊よ」

振り返った彼が何か用かと?マークを頭に浮かべる。

「一時的にとはいえ真祖の姫を打倒する力を持つ貴方を我々はどうこう出来ません。ですが、それでも貴方が何を思って此処にいるのか。その理由は我々に開示して然るべきではありませんか?」

「・・・・・・」

「何が言いたいのか? 白々しい。つまり、貴方の目的に付いてです」

「・・・・・・」

「知りたいのか? 知りたいわけがないでしょう。だが、貴方は危険過ぎる。そして、危険な存在が理由もなく傍にいて黙っているというのは隣に虎がいて疑問に思わないようなものです」

「・・・・・・」

「問題を解決する為の手段を手に入れにきた? 具体的な話をする気はありますか」

「・・・・・・」

「特定の存在と戦って勝つ? 特定の・・・真祖の姫や教会の代行者に何の共通点があるのですか?」

「・・・・・・」

「シスターと戦ったのはあっちが仕掛けてきたから? では、本来は真祖の姫が目的だったと?」

彼が頷く。

「理解しました。つまり、貴方は真祖の姫と戦って得られる【解決手段】を欲して此処に来たのですね」

彼が再び頷く。

「それならば、今の貴方の行動は不可解です。貴方は勝った。あの最強の吸血鬼に。ならば、もうその【解決手段】とやらを手に入れて元いた場所に帰らないのは不自然ではありませんか?」

「・・・・・・」

「状況が変わったとはどういう事ですか?」

「・・・・・・」

「思っていたよりも【解決手段(ソレ)】が足らない? 足らないとは・・・その【解決手段】は数量的に表せるものなのですか?」

彼はシオンの問いに答えなかった。

「・・・・・・」

「これから再び誰かと戦う事になる。つまり、まだ貴方の『犠牲者』が出るのですね?」

「・・・・・・」

「できれば真祖クラスの化け物が良いとか・・・呆れてものも言えません」

彼が後は話す事もないとばかりにカードの吟味へと戻る。

シオンがまったく廃工場を出て行く気の無い様子の彼に溜息を吐いて内心警戒心を引き上げた。

(真祖を倒す程の力・・・真祖の中でも特別中の特別を倒しておきながら、それでもまだ真祖クラスの敵を欲しているなんて・・・。正気なのか、それとももう狂っているのか。早目に詳細を知る必要があるようですね)

賑やかな廃工場の中。

一人物思いに耽りながら、シオンは少しずつ近づいてくる戦いの足音に僅か身を震わせた。

 

「あら、何だ。いるじゃない」

コツコツと足音を立てながら教会の内部へ歩みを進めたのは赤い髪の女だった。

「―――魔法使いがこんな場末の教会に何の用ですか?」

一人、教会のステンドグラスの前に佇んでいた埋葬機関の代行者シエルが苦い顔をする。

「連れないわね。ちょっと、寄ってみただけよ? 他意は無いわ」

「貴方に他意が有ろうと無かろうと、その行動は多くの人間にとって歓迎されません」

「あはは、こりゃ嫌われちゃってるわね。別に私が何かしたわけじゃないでしょうに」

「今、この時期に、この場に姿を現した貴女という存在が、もう問題でしょう」

硬い顔でシエルが呟く。

「・・・教会屈指の代行者である貴女をそこまで追い詰めるなんて、よっぽどなのね」

シエルが女を睨んだ。

「もう一度聞きます。何をしに来たんですか?」

女が問いに答えずにこやかに応じる。

「戦ったんでしょう? そして、負けた」

「・・・・・・」

「隠して立ってるのは偉いけど、辛いなら寝てたら?」

「問題ありません」

「魔力は回復してるみたいだけど、傷・・・完治してないでしょ?」

「大きなお世話です」

「ねぇ。居場所分かる?」

「使い魔を飛ばして確認しています」

「教えてくれない?」

「教える理由がありません」

「今回はさ。あのジジイの依頼なのよね」

「ジジイ・・・?・・・まさか・・・」

シエルが動揺した。

「ええ、そのまさかよ」

「あの老人が動き出していると? 今回の件はそれ程の事なのですか?」

「さぁね? ただ、今回は冬木の聖杯戦争絡みらしいわよ」

「聖杯、戦争・・・?」

「そう。何号聖杯だったかは忘れたけど、日本で今大儀式やってる最中なのよ」

シエルがかつて蒐集した知識に基づき即座に思考を高速で回転させた。

「あの英霊は聖杯戦争に使われているモノですか?」

「一応、現地の人間に確認を取ったけど、儀式に無いはずの存在らしいわ」

「イレギュラーだと?」

「英霊が現世に現れる可能性は常に破滅と隣り合わせ。そんなのは今までもあったわ。けど、今回は毛色が違うみたいね。あのいつもこの世界にいないジジイが私に直接会いに来たのよ。これから面白い事になるって」

「あの老人が面白い・・・それはそれは余程ロクデモナイ事になるのでしょうね」

「ま、そんなわけで此処まで足を運んでみたってわけ」

「・・・会って、どうする気です?」

「まさか、教会も真祖の姫が一時的にとはいえ敗北するなんて考えてなかったんじゃない?」

シエルには女の言いたい事が分かった。

「・・・貴女なら倒せると?」

「どうかな。今まで負けなしってわけじゃないもの。ただ、戦うにしても話し合うにしても一番可能性があるのが私だって事みたいね」

シエルが思案する。

目の前の女。

世界に数人しかいない本物の奇跡を使う「魔法使い」ならば、あの英霊を倒せるだろうかと。

確かに目の前の女ならば、十分に可能性はあるとシエルは思う。

マジックガンナーの異名を持つ魔術世界屈指の破壊者。

魔法使い【蒼崎青子(あおざき・あおこ)】ならば。

「あの老人が直々に貴女を投入しなければならないなんて・・・一体あれは何なんですか?」

青子が少し困った様子で笑う。

「んー実際はまだ分からないんだけど・・・【この世界の原因】ってところ?」

「・・・?」

シエルが言われた事を上手く呑み込めていないのを知り、青子が首を横に振った。

「分からないならいいわ。どうせ、ジジイと私以外じゃ認識すら出来ないんだから」

「何を・・・知っているんですか?」

青子がその場で背を向けて外に歩いていく。

「話はまだ終わっていません」

「気にしないで。魔法使いの戯言よ。やっぱり自分で探す事にするわ。時間取らせて悪かったわね」

立ち止まった青子が振り返らずにそう言って歩き出す。

「【この世界の原因】・・・この・・・世界の・・・」

シエルは青子の言葉を呟きながら、去っていく背中をずっと見つめていた。

心の内に沈む不安が育っていくのを止められずに。

 

私はアサシンのいる山門を訪ねていた。

もう夜半も過ぎた頃合。

月に照らされた石段。

一人座り込んで月見と洒落込んでいる優男が独り。

着物姿に長物を一つ。

優美と典雅を併せ持つ男の気だるげな気配は日溜りで佇んでいるよう。

あのキャスターとの戦闘以来。

セイバーと互角の戦いを演じたらしいアサシンは今も寺の山門に取り憑いている。

キャスターという自分を召喚したマスターを失っても、アサシンは土地からの魔力供給を受けている為、現界し続けていられるのだという。

「おや。これは珍しい客人だ」

「そりゃ珍しいわよ。絶対、こんな時間に一人で来たりしないもの」

「はは、行動と言葉が矛盾しているようだが、お嬢さん」

「・・・セイバーが言ってた意味が分かったわ。貴方サーヴァントって言うより用心棒みたい」

「用心棒? いやいや、そんな上等な者ではないのだがなぁ」

カラカラと笑う男の顔には柔和な笑みが浮いている。

「それで今日はどういう用件で来られたのか?」

「気付いてるでしょ? この聖杯戦争はもう普通じゃない」

私の言葉に笑みを崩さず。

アサシンが月を見上げる。

「はてさて、とんと見当が付かないな。何がどう普通では無いのか」

「バーサーカーは敗れて消滅。キャスターはサーヴァントとしての人格を失い出奔。貴方はキャスターに例外的に呼び出されて山門を動けない。ランサーは得物の槍を失って戦闘能力が下がったまま行方不明。残りのセイバー、ライダーは私達の下にいて、最後のクラスであるアーチャーらしき存在は確認したけど、実際のクラスはまだ確認してない」

「それがどうかしたのか?」

淡々と答えるアサシンにとって、聖杯戦争なんてものはどうでもいいのかもしれない。

しかし、それは最初から想定内。

だからこそ、アサシンを動かすに足るだろう言葉を私は携えていた。

「セイバーから伝言を預かってるわ」

「ほう」

愉快げな顔でアサシンが喰い付いてくる。

私はセイバーからの伝言を伝えた。

「このままでは此処に縛り付けられている貴方はその内に他のサーヴァントから急襲を受けることになる。あの時の約束を覚えているなら、その時が来るまでに倒されるのは不本意のはずだ。だから、もしもまだ決着を付けたいと望むなら・・・新たなマスターに付くべきだ」

僅かに驚いた顔のアサシンが私を見上げる。

「まさか、わたしを自分のサーヴァントにしたい等と言うつもりか?」

「ええ」

「敵として戦った男をか?」

「ええ」

「何故だ。セイバーの意向とお主らの考えは違うのではないのか?」

「戦力は多ければ多い程に越した事はないでしょ」

「お主のサーヴァントはどうした?」

「消えたわ。生きてるみたいだけどね」

「二体のサーヴァントを使役する事があの魔女以外で出来るとは思えないが・・・」

「それなら心配ないわ。私の元々のサーヴァントは困った事に私の魔力なんて一欠けらも使ってないから」

「どういう事だ?」

「契約してからずっとおかしいとは思ってたのよ。あいつと契約してから私の魔力が使われた形跡が無くて・・・どういう訳なのかって。今更に考えてみれば・・・あいつはきっとマスターから独立した魔力源を持ってた。そういう訳だから貴方一人分くらいなら問題なく現界させ続ける事が出来るわ」

しばし、沈黙したアサシンが私を見つめ、困った笑みを浮かべた。

「・・・悪いがこの――!!?」

刹那の出来事だった。

私に向って銀光が煌めいていた。

月明かりの下。

微動だに出来なかった私の顔の横を刀が通り過ぎている。

「―――な、何の真似!?」

ドンと体が押された。

石段の上から転げ落ちそうになった私が慌てて懐の宝石に手を伸ばした時。

ギギィイ。

そんな鳴き声がした。

よく見れば、アサシンの刀の先に何やら気持ち悪い数センチの蟲が貫かれていて。

「!?」

「逃げろ。今までわたしにすら気配を悟らせなかった手慣(てだれ)だ」

『・・・よく気付いた。こちらはそれなりに気を使っていたつもりだが』

私が石段を見下ろすと其処にはいつの間にか小柄な着物姿の何かが立っていた。

人間というには風体が異常過ぎた。

必要以上に皺枯れた顔からは生気というには濁り過ぎた眼光。

杖が本当に必要なのかと疑問に思うような存在感。

「まさか・・・アンタは!?」

『あの出来損ないの姉にしては感がいいようじゃな』

「間桐蔵硯ッッッ!!!」

『用件は分かっておろう?』

「何の事かしら」

私は何とかそう言いながら体勢を立て直した。

袖の中にある宝石は十数個。

即座に放てるよう汗の滲む手で数個を握る。

『持っているだろう? 貴様のサーヴァントが桜から奪ったアレを』

何の事を言われているのか察しは付いた。

「黒の聖杯。あんなのがそんなに大事なわけ?」

『遠坂の小娘。お前にアレの価値が分かるとは思えん。大人しく返すなら痛みを感ずる間もなく送ってやろう』

「冗談はボケてからにしてよ」

『ふ、生意気な所まで似ておるか。まさか・・・お前のような雛子に儂(わし)の今までの苦労が蹂躙されるとは思わなんだが・・・やはり血か・・・』

「どういう事?」

『説明してやる義理は無い。お前は此処で死ぬ』

睨みつけられてゾワッと鳥肌が立つ。

「お客人。悪いがこの山門において門番であるわたしを差し置いての命のやり取りはご法度だ」

『サーヴァントの分際で儂に意見するか』

老人が杖をアサシンに向けた途端。

私は四方八方から迫ってくる気配に石段を駆け上がって周辺に宝石をばら撒いた。

起爆した宝石の光に照らされて、無数の蟲が浮かび上がる。

「いつの間にこんな数を!?」

アサシンが私の撃ち漏らした蟲を切り裂いていく。

それでも殺し切れなかった数匹に私は両手のガンドで対抗した。

何とか無数の蟲を捌き切った私の前にアサシンが出る。

「どうやら逃がすのは無理なようだ」

「最初から逃げる気なんか無いわよ」

ガンドで散発的に襲ってくる蟲を撃ち払いながら私とアサシンの会話は続く。

「だが、どうする? この地勢ではわたしの剣も全ての蟲は切り伏せられない。あの老人の圏域へ安易に踏み込めばどうなる事やら・・・」

「蟲はこっちで何とかするわ。だから、貴方はあのジジイだけに集中して」

「・・・先程の件なのだがな」

「何よ」

「気が変わった」

「へ?」

「あの提案を受けてもいいと言っている」

「あ、え、断らないの・・・?」

「断るつもりだったが、あのような物の怪の類が跋扈している夜にのんびり月見をしているわけにもいくまい」

僅か振り返ったアサシンが笑んだ。

「生憎と契約している暇はないが、今から私はお前のサーヴァントとなろう」

『往け』

業を煮やしたのか。

間桐蔵硯の声を皮切りに大量の蟲が群れを為して周囲から襲い掛かってくる。

宝石で群れの中央を爆砕しながらガンドと刀が全ての蟲を退けていく。

「契約なら一瞬で済むわ。準備だけはしてきたんだもの」

私は懐に入れていた一枚を抜き出して月明かりに掲げる。

「私は凜。遠坂凜。此の地を治める一族の末。貴方の名前を聞かせて。アサシン」

刀が全ての蟲を屠る一瞬の間。

答えは返される。

「わたしは小次郎。佐々木小次郎。偽りの位に座す無貌の亡霊だ」

私はカードにありったけの魔力を叩き込む。

【聖杯の寄る辺に従い。我が眷属となれ。アサシン!!!】

応える言葉はアサシンに相応しく。

「おうよッッ!!!」

頼もしかった。

私はカードの発動を告げる。

【『高等儀式術』発動!!!!!】

『させると思うか』

老人の声。

私の頭上から不意打ち気味に蟲が落ちてくる。

しかし、風が吹いた。

蟲が両断され虚空で弾ける。

カードが風に融け【私のサーヴァント】が言う。

「【我が主】お主の命を言え」

「命令よ。あのジジイを叩き斬って小次郎!!!」

「承知した!」

アサシンの肉体に魔力が漲る。

「間桐蔵硯・・・アンタが桜にした事を万倍にして返すわ!!!」

『小娘がよく言う』

「小娘かどうかはあの世で判断させてあげる」

私は腰に下げていた袋から剣を引き抜く。

『馬鹿な!? それは!?』

「見覚えあるのね。でも、それだけじゃない!!」

私の声と共に剣が発動する。

宝石剣ゼルレッチ。

第二魔法によって無限の魔力供給を可能にする一品。

衛宮士朗とイリヤスフィール・フォン・アインツベルンがいなければ再現できなかった第一級の魔術物品。

しかし、それはあくまで【核】の部分。

宝石剣が融け、私の腕に絡みつく。

「デュエルディスクセット!!!」

薄いルビーレッドの羽とも見紛うソレに私はデッキをセットした。

「フィールド魔法発動『決闘者の作法』(ルール・オブ・デュエル) このカードはカードの効果によってはフィールドを離れる事が出来ない。フィールド内の全ての者はDuelによって勝敗を決する!!!」

世界の法則が塗り換わっていく。

全てが切り替わっていく。

「ライダーからアンタの正体は聞いてる。逃がさないわよ」

『ふ、ふふ、ふははははははははは!!! 良いぞ小娘!! 相手をしてやろう!!!!』

膨大な魔力を消費する『決闘者の作法』。

それを維持し続ける為の宝石剣だった。

これでDuelが途中で中断する事はない。

誰だろうとどんな格上の存在だろうと必ず勝機は生まれる。

 

【Duel!!!!】

 

決闘が始まる。

 

あいつが立っていた場にようやく立てたのかもしれない。

 

(勝ってみせる。桜と衛宮君とイリヤ・・・全員で創った。この力で!!!!)

 

私の決闘はまだ始まったばかりだった。

 

To be continued


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