SAO-peace of mind-   作:柴田 小太郎

3 / 4
2話 1日の終わり

始まりの街を出てようやく次の村へ到着したクラウドは一息つくために宿屋を探していた。ユウキはといえば横に並ぶようにクラウドの側をついてきている

 

「にしても・・・お前本当に初心者か?」

 

「うん。そうだけど?」

 

キョトンとしたように答えるユウキだが、実際それを疑うほどの身のこなしだった。もし本当に初心者なら凄まじい才能の持ち主だと言えるだろう

 

途中、モンスターからドロップした片手剣は運良く2つ同じものを道中で手に入れる事ができたためユウキと同じモノを腰に下げている

 

「クラウドの顔ってリアルと一緒なんだよね?」

 

「あぁ、ってか。お前もそうだろうが」

 

溜息をつきつつ答えるクラウドの顔をユウキはまじまじと見ている

 

「結構モテたんじゃないの?ボク的にはイケメンだと思うけどなー」

 

「バカ言ってんじゃねぇよ」

 

先ほどより大きい溜息を一つ。ユウキと出会ってから何度溜息をついた事だろうと、クラウドは呆れ半分に心中でぼやく

 

ユウキが急に立ち止まり、クラウドが不思議に思っていると急にクラウドの袖を掴んでユウキが走り出す

何事かと、走る先を見るとそこには小さな武器屋があった

 

「ねぇねぇ、クラウド。見てよ」

 

そう言ってユウキが指差したのは弓だった。ショートボウ、どうやら弓の初期向け装備らしい

 

「弓・・・?このゲームに弓なんてあったか・・・??」

 

クラウドの疑問をよそに、ユウキは手早く購入を済ませて満足気な顔を浮かべてクラウドに差し出した

 

「おい・・・俺は今何を腰に下げてると思う??」

 

「うわわ、そんなに強い顔しないでよ。クラウドは戦闘中、周りの状況把握とかできてて凄いなって思ったり、冷静に敵の弱点を狙ってるなって思ったから弓とかいいかなー・・・なんて。ほ、ほら!そういうのって司令塔みたいなイメージあるし!」

 

 

慌てて取り繕うとするユウキにデコピンを一つかましてから、ただ、お前が弓がどんなものか見たいだけだろうと思いながらも弓を受け取り詳細を知るためウィンドウを開く

どうやら、矢は別途で手に入れる必要はないらしい・・・

 

「まぁ、買ったモノは仕方ない・・・使うか」

 

「そうこなくっちゃ!」

 

「黙れ、反省しろ」

 

再びユウキのデコに強烈な一撃が叩き込まれ、ユウキはデコをさすりながら気の抜けた返事を返す

 

不幸中の幸いというやつか、武器屋のすぐ裏に宿らしき看板が出ていた。時間的にもいい頃合いだし、すぐに入ってもいいだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、と。で、なんで同じ部屋なんだ?」

 

「1人だと何か寂しいし」

 

ユウキの表情が暗くなる。ここへくる途中も何回かそういった表情をする事があった。それに、何か急いでいるような。焦りみたいなものも見受けられた、早くクリアして現実に戻りたいにしてもそこまであせるものだろうか。そのせいで少し危うい場面もあったが、時折見せるその表情と何か関係があるのか・・・だが、無理に詮索する必要も無いだろうと、クラウドは頭を掻くような素振りをしながら答える

 

「お前がそうしたいなら・・・好きにしな」

 

クラウドは武器を、取り外しティーシャツとスウェットにも似たズボンへと装備を変える。

だが、ユウキはこっちを睨んだまま、元の装備の状態で立っていた

 

「おい、お前の分もちゃんと買っただろ」

 

「なっ!もう!デリカシーがないなぁ、こっち見たら怒るよ!!」

 

「興味ねーよ、マセガキの着替えなんざ」

 

今度はユウキからクラウドに向けて強烈な一撃が叩き込まれた

 

「ビンタならともかく、パンチはねーだろ・・・」

 

「女の子に向かって失礼な事言うからだよ」

 

クラウドの頬には赤い跡がくっきり残っている。まぁ、少ししたら消えるのだが

 

そういえばと、クラウドは武器屋のNPCが立ち去る前に手渡してきた本を開く。どうやら初心者に向けての弓の扱い方らしい

 

なになに・・・

 

弓は特殊な武器です。ですので、剣と同時に装備することもできますが、弓での攻撃にはアシストが一切ないので、プレイヤーの腕にかかっています。スキルにつきましては、弓を扱える様になればわかるでしょう

 

 

以上。

 

「ふっざけんな!何のタメにもならねーよ!!」

 

思わず本を床に叩きつけると、いつもとは逆にユウキに溜息をつかれる。そもそもの元凶はお前だろと突っ込みを入れながら叩きつけた本を処分する

 

だが、よくよく考えれば剣と同時に装備できるというのは大きいだろう。もし弓を扱える様になれば、遠近共に対応できる様になるということだ。もっとも自身の命をかけたこの世界ではじっくり相手を狙うなどやってる暇も無ければ、こんなモノのために時間をかけて練習するという者も少ないだろう

 

明日試しに練習しなきゃな・・・

時間を見るとそろそろ就寝した方がいい頃合いだった

 

「おい、もう寝るぞ。明日はここの周辺でレベルを上げていくからな」

 

「待って、そのおいとかお前とか禁止。ユウキって名前があるんだからそれで呼んでよ」

 

むすくれるユウキに空返事を返してベッドの中に入っていくと、跡からユウキが入ってくる

 

「はぁ・・・考えといてやる」

 

何故かくっついてくる少女と突如始まったデスゲーム。たったの1日で何もかもが変わった気分だ。いつもなら、一人で寝るところが今はユウキが隣で寝ている

面倒だと、心底思いながらも。嫌ではない自分がいる事に気がついた

だが、面倒には変わりはない

 

溜息をまた一つ。さらに悩みも増えた

 

 

「弓か・・・これ、ちゃんと威力はあるんだろうな・・?」

 

答えは明日出るだろう。一人から二人に増えると騒がしく疲れもするが、それがクラウドにとって、とても新鮮なものだった

 

「おやすみ、クラウド」

 

「あぁ・・・明日起きなかったら、叩きおこすからな」

 

トンと、背中に何かがあたる。感じからしてそれがユウキの頭だとわかった

 

「そんなにくっつかれたら寝づらいんだが・・・」

 

言葉は返ってこず、代わりに穏やかな寝息が聞こえ始める

寝付きの良さに驚きながらクラウドも眠りの中に落ちていった

 




コメントをくれた方、ありがとうございます。嬉しくて、書き上げてしまいました。雑な文書かもしれませんが、これからもよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。