花をも恥らう白き花 コジマに愛されし黒き騎士 作:人類種の天敵
「おいおい、次はどこに行くんだよ?」
「シュミレータ室だ」
廊下を歩きにくそうなハイヒールでカツカツカツカツと超早足で歩くセレン……カツカツ言いすぎてどこぞのよそ見して隕石に衝突して死亡した糞ガキ(笑)を思い出してしまった
「………ここだ、入れ」
バコッ……
「あ………痛ぅ………なんで叩いた?」
「くだらん事を考えている暇は無いぞ、ストレイド。なにせ、貴様にはこれからネクストの基礎を叩き込むと共に、二度と私に舐めた口を聞けないように躾けてやるのだからな」
「はっはっはぁ…Nice jokeーーぐふっ……!」
セレンの冗談を軽く吹き飛ばそうとしたら肘を喰らった。死にそう
「一言逆らうたびに威力が上がって行くぞ(ボソッ)」
「ぜぇ…ぜぇ…え、なんか言った?」
腹を抑えて蹲る、耳元に何か不吉な言葉が聞こえたような気がしry
「……………………」
「お願いなんか言って!!?」
え?ちょ、なんて言った?お、思い出せ!俺えええ。俺の今後の生死がはっきりと分かれる場面だぞココハァ!!!
「……………ひ、1ココアさ、坂?旅人に医療が挙がってく?」
ドゴッッッッ!!!
「ぐふぇ………!!………」
もう、何も言わない(達観)
「マリナ、居るか?」
自動ドアを開けて、中に入ったセレンがキョロキョロと周りを見渡す
「………シュミレータ中か……」
「んん?アリーヤやんけえ!グベェ!?」
セレンの後ろから顔をひょこっと出すと、座り心地の良さそうな椅子に座って頭にヘルメットをした少女と、モニターがあり、その画面には一機のアリーヤと、数十機のノーマルACが戦闘していて、俺は誰かがアリーヤを操作していることに感動して声を出したら、セレンに顔を殴られた
「……………」
「い、痛たたたた……ん?」
顔を撫でながら画面を見ると、目の前のアリーヤはあまり操作がおぼつかないようで、ブースターを軽く吹かせている最中に足を地面に引っ掛けて転がったり、クイックブーストを起動してビルに衝突したり、ビルという死角を用いずに突っ込んでノーマルAC達の弾幕を一身に受けていた
(………まあ、何が言いたいかというと……)
このプレイヤー……アリーヤ使うの下手すぎ
そしてアリーヤは、一機もノーマルACを落とすことが出来ずにAPを全損させた
「………っ、ぷはぁ…!!……はぁ、はぁ……ん、ふっ…はぁはぁ……」
頭のどでかいヘルメットを外した少女が荒い息で喘ぐ。ウホッ、俺のドミナントがーーー
ズゴッッッッッ!!!
「うぶぉ゛っ゛!?」
「マリナ、私が帰ってくる間に、何時間動かしていた」
「はぁはぁ……?…はぁ…!せ、セレンさん」
「答えろ」
脛を思いっきり蹴られて腰を落としてスリスリと両手で痛むところをこする俺の横で、腕組みをしながら憮然とした顔つきで少女を睨み付けるセレン
「はぁ……はぁ……んぐ………ろ、6時間………ですかね……」
セレンの顔が般若のようになり、少女もそれが分かったのか、いや。後ろのオーラが半端無いからだろう、体を縮こませた。俺は予感した、どでかい一発が来るどーーーと
「休め、今日はもうシュミレータは使うな……いいな」
「…………はい」
あれ?何も……なし?俺だったらぶん殴ったり蹴り飛ばしたりするのに?なにこれ、差別?
「ストレイド」
「ん?」
「これを被って椅子に座れ」
セレンが片手に黒いヘルメットを持って、右手の親指をゆっくりと椅子へ下ろす。ねえ、なにそれ俺に死ねと言ってんの?
「まったく、なにこれ…おぉ、すっぽりはまった…あ、いい匂いが……」
「さっさとしろっ!!!」
「グゥッッッッ……ハァゥ………は、はいぃ」
本日何度目かの腹パンを喰らってヘルメットを被る、椅子に座って背もたれに体を沈ませる
「まずは機体の選択だ。上から順にGA、ローゼンタール、インテリオル・ユニオン、あとはレイレナードのアリーヤだな」
「ふむふむ」
まあ、見なくてもわかるけど、ACFAでの初期機体ですね。名前もそのままストレイド
「アリーヤ一択でしょ」
「…………ほう」
え、なにそのお前に使えるのか?的な視線
「武器は………オーメルの刺殺用ライフルにドラゴンスレイヤー…っと、横方向に拡がる散布ミサにOGOTO☆そんで最後に肩にBFFフレア乗っけて出来上がり」
アサルトライフルか横散布ミサで動きを制限してOGOTOの当て勘でゴールするかムーンライトあったらムーンライトで斬るかどっちかな機体
「そんで?これからなにすーーー」
俺はそれ以上口を開くことが出来なかった。頭を酷い激痛が走ったからだ
「いぎっ!!?ガッ……!!」
思わずヘルメットを掴み、脱ぎ捨ててしまいそうになる。しかし、その両手を誰かががっしりと握る
「落ち着け、ストレイド」
「………ぐ…?」
「その痛みはリンクスであれば誰もが体感する痛みだ、落ち着け……痛みは徐々に引いていく」
歌うように、囁くようなセレンの声に、確かに俺の頭を響く、割れるような痛みはあっという間に消えて行った
「はぁ、はぁ……はぁはぁ………はぁはぁ………はぁ、はぁ……」
呼吸が、次第にゆっくりに……なって……呼吸音が……遅くなっていく……微睡む……眠い………瞼を閉じる。寝るわけじゃ無いぞ?ただ、少し、疲れた………から……一瞬……一瞬だけ目を瞑るだけ………大丈夫……黒いバイザーで、セレンからは俺が寝てるなんて……見え…………な………
「………繋がったか……見せて貰うぞ、お前の力を……」
…………………?なんだ。
視界が……真っ白に…?
『ーー搭乗者との接続を確認。シュミレータスタンバイ……5、4、3……』
???どこだ?ここは……砂漠………?ん?
『リンクスタート』
「ーーーーーーーっ…?……ここは………何処だ……………?」
目の前に広がる広大な砂漠。巨大なビル群
「………………いや、ありえない……ありえないんだけど?…………もしかしなくても………ここは……」
シュミレーターの中か?
「………………まじか……」
………うん……まあ、それしか無いよな……じゃ無いと
「目の前のアレを説明できねーもんな」
目の前のアレ。背中にミサイル、手にはライフルを持った鋼鉄の巨人
「アーマードコア……いや、ノーマルAC…かよ」
俺の言葉に反応するように、ノーマルAC達が手に持ったライフルを向けてくる
「っ!ち、くそっ!!」
遠くからでもミサイルが飛んできたのが分かる。目に、赤いロックオンマークが、カーソルが合わせられる。これがミサイルの筈だ
「だけど!どう動けばいいんだよ!!?」
なんの説明もなしにこんなことされたって何もできねーに決まってんだろおおおおおおお
「うぐっ!!」
ドゴォォォォンドゴォォォォンドゴォォォォン
ミサイルが俺に衝突した。腕に、胸に、足に、小さく痛みが走る
「………?……これは」
バチバチ……という音と、死んでもおかしく無いほどの爆撃を喰らって、小さな痛みで済んだのに疑問を感じる
「これ………コジマか……?もしかして、俺の体……ネクスト?」
右手を見て、左手も見る。俺の手は……真っ黒な機械だった
「って!また来た!」
自分の体を見て惚けている間に、次のミサイルが飛んできた
「うぇっ!えっ!う、お、う」
どどどどどど、どうするよおおおお!!?う、うおおお!!や、やってやる!!やってやーー
「逃げるんだよォ!!」
両腕を動かし、足を動かし、一心不乱。ミサイルから背中を向けてビルの裏へと駆け出す
「うおおおおおおおお!!!?」
足元目の前左右からミサイルが着弾して爆風が吹き飛んでいく。しかし俺は決して止まることなくビルの裏側へ到達したーーー
『うおおおおおおおお!!!!?』
「は、走ってますね…あはは……」
「……………」
「セレンさん?」
モニターの前、画面を見つめている2人。ミサイルから逃げるためにブースターを使わずに機体に備わった両腕と両脚を駆使して必死に走るアリーヤを見て苦笑いする若き少女リンクス、マリナ。そして彼女とは対照的に走るネクストを険しい顔つきで見つめるセレン・ヘイズ
「リンクスにはAMS適正があるのは知っているな?マリナ」
「は、はい、AMS、アレゴリー・マニュピレイト・システム。これを縮めてAMSと呼ばれる適正があって初めて私たちリンクスはネクストを動かすことができます。そして、この適正が高いほどネクスト操縦時の精神負荷が軽くなりますです」
「そうだ、そしてそれとは別に、適正が高いほど自分の思考をネクストにトレース……つまり、より人間の動きをネクストで再現出来るようになる……と言われている」
「つ、つまりネクストで回し蹴りや一本背負バック転が出来るんですか?」
「ああ、逆に低い者は軽いブースト噴射でもこけたり旋回するのも一苦労する」
セレンが呟くと、少女は自身が先ほど犯してしまったブースト中のズッコケを思い出して肩を落とす。しかしセレンはその少女の肩をポンと叩いた
「心配するな、お前ならやれるさ」
「セレンさん………」
傍目に見ればよい師弟関係だが、セレンの腹パンをすでに何発も喰らってるストレイドが聞けば声高らかに差別だろ!?と叫んでいただろう
そして、そんな彼は、というと
「ぬおおおおおおおお!!!!」
相も変わらずミサイルから背を向け砂漠のビル群を走り抜けていた
「ぐっ!こ、このままじゃらちがあかねえ!!」
言ってライフルをミサイルへ向ける
「死ねえええええええ」
某天空城の王(笑)の大佐のような奇声とともにライフルのトリガーを引く。軽い反動と共に銃弾がミサイルへと駆け、数秒後に爆発したーーーーかに思われたがそれは全てストレイドの幻想でした。弾丸は一様に明後日の方向へと消え、ミサイルは特攻よろしくアリーヤの装甲へ突き刺さった
「ぐおおおおおお!!!?」
ミサイルの衝撃で体勢を崩したアリーヤへ再び放たれるミサイル
「ちっ!誰だ!?変なナレーション入れやがった奴は!!正直に射撃下手ですね!とか言っとけ!!」
愚痴りながら足を動かす。幸いにも、足が疲れてきたり、横腹が痛くなってきた……などは無い。いくらでも走れる
「よぬ!」
ミサイルが斜めから襲ってきた瞬間上へジャンプする、ミサイルが砂へ突き刺さり爆発。熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い
「ぁああっチャァーーーーーーー!!!?」
バタバタしながら後ろを向くと、ほらまたミサイル来たでほんま♡
「どどどどどーする!!?どーどだ」
あ、そうだ!肩フレア使えばええやんけ♡
「使うにしてもどうやりゃ……ええい!!フレア展開っ!」
叫ぶと肩のフレアが動き出し、デコイを射出。ミサイルがそれに釣られて道を開くように俺を避けていく
「しゃあっ!!行くぞオーーー」
目の前が暗くなる。は?一体何が
ドシャァァァァァァァァァァァァァァァ
「!?ぷはっ!!……っ、は、はぁ!はぁはぁはぁはぁ!!…はぁ、はぁ……」
「おかえりストレイド」
「はぁ……!?はぁ、はぁ……はぁ…はぁはぁ?」
「ああ、お前の最後か?ミサイルの衝撃で崩れたビルに下敷きにされて死亡だ」
「ふへ………下敷きかよ……」
ちょっと情けないね、俺……
「い、いや、ですけど私なんて最初は動くことすらできませんでしたですから、す、凄いですよ?」
ああ、マリナちゃん。君はどこの天使でしょうか?
「さあ二回目だとっととヘルメットを被り直せ」
この悪魔。鬼、鬼畜………
「とっととしろよ。ストレイド」
「はいはい、やりますよっと」
カポッと黒いヘルメットを被る。今度は武器をBFFの名銃、性能良し、ヴィジュアル良し、知名度良しの051ANRとマーヴを使う。背中はローゼンタール製のチェインガンと適当にミサイル
「……今度は痛みを感じない?……わけわかんなーなあ……」
そして、また砂漠
「とりあえずノーマルに向かって銃を弾きまくるっ」
両手の実弾銃を撃つ。マーヴの反動は051ANRに比べるとかなりじゃじゃ馬だが、アリーヤの腕がその反動を殺す
「うっし、次だ次ーーっ!ミサイル!!来たっ!」
今度は出し惜しみせずに肩のフレアを展開。そのまま
「あ、てか俺クイックブーストのやり方知らねえし………」
はい、乙ーーーぐわっ!?
「うだだだだだぁ!!?ミサイル外れたからってライフル撃ってキタァァ!!?」
ノーマルACはミサイルが外れた途端手に持ったライフルで迎撃してきた
「っ………んんなぁあろおおおおおおあお!!」
ドンッッッッ!!!
衝撃という名の加速。マーヴを敵のACへと向ける。体が、何をすればいいのか分かっている…ように、頭で考えるよりも先に腕が動く、指を押して、トリガーを引く。目の前にいる3機のAC。右端が炎に包まれる、真ん中のACがライフルを撃つ。被弾するが突っ込む、腕を伸ばす、マーヴの先端がノーマルACのコアへ突き刺さる。そのままトリガーを引く。マーヴが反動で揺れるたびにノーマルACも痙攣しているように動く。もう一機は、腕に持ったライフルを蹴り上げる、その後でOGOTOを展開し、高速の榴弾を至近距離でブチかました
「はっははーい。俺覚醒(ドヤ)次の獲物はどいつだ………ん?」
あれ、画面が暗く……さっきと同じパターンかしら?
ドシャァァァァァァァァァァァァァァァ
そういえば天敵の脳内補完ではツンデレばーさんはロングかおでこ開けたショートヘア。黒スーツで目つき悪い。