やはり俺の日常はまちがっている。   作:黒甜郷裡

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その5 雪ノ下雪乃

 

ホールの中に入って行くと

ブースごとに様々な動物が所狭しと並べられている。

犬や猫なんかはもちろんのこと、鳥類や爬虫類のブースもあるようだ。

まあ、こいつと行動を共にする以上向かうブースは一箇所しかないんだがな。

 

 

その5 雪ノ下雪乃

 

 

猫のブースに着いた途端、子猫をもふり始める雪ノ下。

たしかアメリカンショートヘアっつたか?あの種類。

あれだけ真剣に猫を愛でる人間が他にいるだろうか?いや、いない。(反語)

 

「ねこ…ねこ……。…にゃー……。」

 

あっ、鳴いた。今この子鳴きましたよ奥さん。猫よりもこいつの方が可愛いと思うのは俺だけか?

 

雪ノ下と子猫に癒されていると、後ろから声をかけられる。

 

「すいません…。ひっ⁉︎あっ…と、その…ここにアメリカンショートヘアっていますか?」

 

俺の目に驚いたのか悲鳴を上げた女性。

ちょっと?話しかけといて悲鳴をあげるってどういうことだよ。そんなに俺の目は腐ってんのかよ。

 

「あぁ、それならちょうど今こいつが…」

 

そう言いながら雪ノ下を見るとラストスパートに入ったようで、これまで以上に熱を入れて猫をもふっている。そんなにもふったら猫怒るぞ。

だが、猫にはその気力も残っていないようで、されるがままになっている。

 

ふと女性を見ると、案の定引きつった笑みを浮かべていた。

そりゃあこんだけ真剣に猫をもふってるやつを見たら誰でも引くわな。

雪ノ下がこういうやつだと知っている俺でさえ未だに引いてしまう。

一切の妥協を許さない雪ノ下。

流石雪ノ下!俺たちにできないことを平然とやってのけるっ

そこにシビれる!あこがれるゥ!

 

このまま放置すると流石に猫が気の毒だと思い、雪ノ下に声をかける。

 

「おい、雪ノ下。その辺にしとけよ。お前の次にもその猫見たいって人がいるんだから。」

 

そう言うと正気に戻ったのか雪ノ下はしばらく逡巡した後、立ち上がりこちらに向かって歩いてくる。

…なんか雪ノ下の目が怖い。猫に癒されてきた者の目とは到底思えないんだが。

 

「待たせたわね。すいません。つい熱中してしまって。私たちはもう帰りますので。」

 

そう言って軽く頭を下げると雪ノ下は俺の手を取り歩き出す。

 

女性は突然の雪ノ下の身の変わりようについていけないようでしばし惚けていた。

 

その間俺は別の事を考えていた。

…雪ノ下が猫を前にして帰るだと?

まぁ帰れるに越したことはないが。

 

そう思い雪ノ下に連れられていくとどう見ても入り口とは逆方向の人気のない方に進んで行く。

…どうやったら一本道で来たのに逆方向行っちゃうんだよ。

 

「おい、雪ノ下。そっちに行っても帰れないぞ。」

 

「いいえ、こっちで合っているわ。」

 

「は?そっちは入り口とは逆方向だろ?」

 

恐ろしく美しい笑顔を浮かべる雪ノ下。一体どういうつもりなんだ…?

 

直後、後頭部に衝撃が走る。

地面に倒れ振り返ると視界には黒服の男が映る。

どうやら俺はその男に背後から襲われたらしい。

 

「雪ノ…下。…これは…。」

 

雪ノ下は尚もその表情のまま佇んでいる。

薄れゆく意識の中、その狂気を滲ませた美しい笑顔だけが俺の頭から離れなかった。

そうして俺は完全に意識を手放した。

 

「ご苦労様。彼を車に乗せてくれるかしら。ふふふ…。やっと貴方とふたりっきりになれるわね。貴方はすぐに他の女に尻尾を振ってしまうのだから…。貴方と私の2人だけの部屋で、私なしでは生きられなくなるまで、私の全てを使って愛してあげるわ…。」

 

彼女の狂気に満ちた言葉は周りの喧騒によってかき消された。

 

 




5話目です。
2話連続してゆきのんです。
想定していたよりも早く投稿できました。
場面転換の都合上、次回もゆきのん回になりそうです。
他のキャラが見たいという方々。
申し訳ありませんが、もうしばらくお待ちください。

やっとヤンデレらしくなってきました。
狂気全開のヤンデレをこれからも書いていきたいと思っております。
今後ともよろしくお願いします。
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