インフィニット・ストラトス 虹の彼方は無限の成層圏(一時凍結) 作:タオモン3
七話目です。
前の話でさらっとオリキャラがでましたが、当分出番はないかなwwww
今回はまさかのあの人が登場?!
それではどうぞ。
ユウキサイド
幸先よくIS学園の着いたと思ったら、IS委員会のIS部隊十数機が待ち構えていた。
束ちゃん一人を捕まえるのにIS十機以上投入してくるあたり、向こうも本気のようだね。
束ちゃんが彼女らに向かってプレッシャーを出したら、一夏ちゃんがびくびくして僕の服の袖を握りしめた。
今の束ちゃんはこわいよね。
臆しながらも銃口を突き付けるIS部隊を敵と見なし、兄さんは《ネオサイコ・ドーガ》を起動。
隊長らしい子にシールドをぶつけ吹き飛ばして、IS部隊を引き連れ空中に飛び出していった。
手を出すなって言われたから手を出さないけどね。
正直、あの程度じゃ兄さんを落せる訳がないし、ISの性能が違いすぎる。
それを証明するように一機、また一機と落とされ、十五機いた部隊は残り一機を残して全滅した。
「あ、降りてきた」
先に降りてきたのは隊長らしき子。
その後に兄さんは僕らの近くに降りてISを解除した。
「お疲れ兄さん。どうだった初のIS戦は?」
「ん?まあ、普通だな」
「そう?見た感じ圧勝のようだけど。ね、一夏ちゃん」
「うん」
「束様とユウキさんが作り上げたISにユウヤさんの技量が加えれば負けることはまずないと思いますが?」
「そうだよ。束さんとユーちゃんが丹精込めて作ったのがあんな奴らに負けるわけないじゃん」
クロエちゃんと束ちゃんは淡々と事実を述べた。
確かにそうだけどね。
「それはそうとユウキ。ハイ・ビームライフル以外の射撃武器を制作してくれないか?あれじゃいくらエネルギーがあっても足りないぞ」
「ああ、うん。遠距離射撃のやつだし大目に見てよ兄さん♪」
「はぁ」
かわいらしくウィンクしてみたら溜息を返してきた。いい年したお前が何やってるんだよって目がそう言っていた。
失礼だな兄さん!!僕も乙女なんだよ!!それに、作るんだって資材も時間もかかるんだからね……まったくパイロットは技術屋の苦労を分かってないな。
「それで?まだ束さんを捕まえるの?言っておくけど、こっちはそんきなんてさらさらないから」
束ちゃんが冷たい視線を隊長の子に向ける。
うわ、かなり不機嫌だよね。あの子たちに対して。
怒りで唇噛みしめた隊長の子は、
「…………今日のところは引き上げる。貴女にはいつかこちらに来ていただく篠ノ之束博士…………そのことをお忘れなく」
絞り出すように言うと部隊を引き上げていった。隊長以外はボロボロだったけど大丈夫かな?主に精神面で。
「さぁ、うるさいのも消えたし、ちーちゃんに会いに行こうかいっちゃん♪」
ちーちゃんとは一夏ちゃんのお姉さん。
束ちゃんの話では、近所の幼馴染でよく家が営んでいた剣道道場に遊びに来ていた間柄で、10年前にある事件を起こした共犯者らしい。
IS世界大会初代優勝者で世界最強のIS操縦者だとか。
「う、うん……そうだね」
一夏ちゃんが強く袖を握りしめた。その顔は暗く、不安に満ち溢れていた。
一夏サイド
ユウキお姉ちゃんの袖を離すことが出来ずに、歩いていく。
ここに来ると決めた日から会うことは分かっていたけど…………やっぱり足取りが重くなる。
私は、三年前以前は千冬姉さんと暮らしていた。
ううん、そうでもなかった。
束さんがISを発表して世界が変わってから、千冬姉さんも変わった。日本代表に選ばれ、第一回モンドクロッソで優勝した時はうれしかったし誇らしかった。けど、それから家に居ることは少なくなり、ほとんどの時間は一人で過ごした。小学校高学年の時に「なんでそんなこともできないの?」「貴女はあの人の妹にふさわしくない」
と女子生徒や女の先生には言われ、男子からは「お前なんか居なくなれ!」「女性至高主義の元凶の妹」と石をぶつけられることもあった。学校に居る大半の時間、皆から敵意だとか嫉妬、憎悪、憎しみ、恨みみたいなものを向けられてきた。確かに千冬姉さんほどの能力は無いことは分かっていたし、元凶なんて言われても半分無視していた。気が滅入っていたのか慣れたのかわからない。たぶん、中国から転校してきた子が一緒に居てくれたからなんとかなっていたと思う。
今でも元気にしてるかな?
その時も家に居なくて帰ってきてもすぐに出かけてしまう。
何時しか話もまともにしなくなった。
そして三年前、あの事件が起きた。
「………………」
左手で体を強く抱きしめる。
思い出しただけでも震えが止まらない。
血の気が引き、息が荒く、胸を締め付け、吐き出しそうな嘔吐感がこみあげてくる。
…………どうして来てくれなかったの?助けてくれなかったの?
なんで……なんで……
頭の中がぐちゃぐちゃと気持ち悪い。
「はぁ……は……ぁ……ぅ」
「一夏ちゃん?大丈夫?」
「う……ん……だい……じょ……ぶ」
本当は怖い。怖くて逃げだしたい。
ここに来なくても束さん、クロエさん、ユウヤさん。ユウキお姉ちゃんと一緒に暮していればいい。人目が付かないあの場所でずっといればいい。宇宙に行かなくてもずっと星を眺めていればいい。
弱い自分が叫んでいると、左肩にトンっとユウヤさんが手を置いた。
私は顔を上げる。
「大丈夫だ一夏。俺がお前を守ってやる。必ずだ。だから安心しろ」
ユウヤさんは微笑んだ。
「そうそう。兄さんも僕もクロエちゃんも居るんだから大丈夫だよ」
「はい、一夏様を守るのがわたしの役目です。無論、家族として」
「そうだよ。束さんもみんなもいっちゃんの味方だよ。安心して」
いつの間にか震えが止まっていた。
みんなの温かい思いが流れ込んできたように不安が消えていく。
そうだね、私も前に進まなきゃいけない。
それで夢を叶えてこそ意味があるだから。
私はもう……一人じゃない!
「うん……ありがとう」
私は自然と笑みをしていた。
ユウヤサイド
歩いて20分。ようやく校舎らしき建物の前に来た。ここは無駄に広いな。
人工島って言うのは聞かされていたが結構な面積らしい。
「ん?なんだ」
肌にピリピリとしたもの感じる。
明らかにプレッシャーだ。
鋭い刃物を突き付けられているような感覚。
いったい何者だ?
瞬間、束はプレッシャーがする方にダッシュ。
そこには黒のスーツに同色のタイトスカート。鋭い目つきはまるでハマーンを連想させるものがある女性が立っていた。
「ちーちゃーん!!」
女性目がけてダイブ。抱き付こうとしたが、
「ええ、うるさい!」
「うぎゃ!!」
束の顔面をつかみ、ギリギリと締め上げる――アイアンクローをかけた。
流石の俺もこれには背筋がゾッとするものがある。
「痛い!痛いからちーちゃん!!愛が痛すぎるよ!!」
「そうか。なら存分に味わって潰れろ」
「酷いよ~ちーちゃ~ん」
ああ、彼女が一夏の姉の千冬か。
まるでコントのようなやり取りに、俺はどう反応していいか分からなかった。
「うわ~……」
「………………」
「束様はMという性癖でもあるのでしょうか?」
各々反応は様々だった。
ユウキは若干引き、一夏は冷めた目で無言を貫き、クロエは間違った見解をしていた。
「まあいい。それで?」
千冬は束にうんざりしたのかアイアンクローを解いた。
「え?なにが?」
「何がじゃない。今度は何をしようということだ」
「ふふふ、よくぞ訊いてくれたねちーちゃん。束さんの企みは一つ。ここに居る四人をIS学園に入れて欲しいんだ!」
「お前は……いつも唐突だな。そんなことは無理だ。入るなら試験に合格して入れ。それが社会の常識だ。いくらお前の頼みだからと言って今日明日にできるものだと思うな」
ごもっともです。流石の束も、
「ええ~男でIS動かした人でも~」
食い下がるつもりはないらしい。下がってもらっても困るが。
「そいつがそうなのか?」
「うん。そうだよ」
千冬の鋭い眼差しが束から俺に移る。
やはりピリピリとした殺気じみたものが視線の中に僅かに混じっている。警戒しているな。
「お前は?」
「ユウヤ・キサラギだ。隣が妹のユウキ。俺たちは束と共にISを本来の用途、宇宙に行くための翼として研究していたんだ。その過程なのか分からないが、俺はISを起動することができたってとこだ」
「なるほど、つまりお前はISが使えるのだな?」
「ああ、そうなる。だから俺は、自分が広告塔になってISを宇宙に行く翼に戻すついでに今の歪んだ思想を排除しようと、ここに来たわけだ。IS委員会だっけ?ここに来る前に15人ほどに襲われそうになったから止む無く防衛処置をとらせてもらった」
「お前が?委員会の奴らを?」
「そうだ。だから委員会に俺の脅威は伝わっているはずだ。いつ襲われても不思議じゃない。ここはいかなる国家、組織でも学園の関係者は一切の干渉が許されない国際規約あるだろ?早い話、かくまってほしいんだ。俺たち四人を」
よくここまでペラペラと嘘の筋書きを喋れたものだな。
しばらく黙り千冬は考え込む。
不自然な点は無いはずだ。
「理由はわかった。学園長に直接取り次ごう。しかし、束がわたしと一夏、箒以外にも普通に接している奴がいたとは……驚きだ」
「ぶぅ~酷いよちーちゃん!束さんだって昔とは違うんだよ!!」
「ああ、わかったから黙れ。キサラギ兄妹と一夏、それからお前は?」
「クロエ・クロニクルです」
「クロニクルは付いてこい。学園長室に往くぞ」
ぶうたれている束をほうって千冬は校舎内に入っていく。
俺たちも後に続いて入る。
「ちょっ?!束さんは?置いてくの?待ってよ~!!」
**********
「織斑です。失礼します」
四回ノックをして千冬は扉を開けた。
室内には女性が執務机の椅子に腰を掛けていた。
歳は30位で見た目温和かな女性だ。
この人が学園長……いや、ちがうな。
「どうしました織斑先生……そちらの方たちは?」
「はい。そのことでお話があり伺いました。学園長よろしいでしょうか?」
「わたしは構いません。どうぞお座りになってください」
促され客人用のソファーに腰掛ける。
「まず初めにわたしが当IS学園の学園長轡木澪です。貴方はどの様な用件で尋ねてきたのですか?」
「その前に一ついいですか?」
「どうぞ」
「本当の学園長はどちらに?貴女じゃないですよね」
澪学園長の顔が僅かに歪んだ。
「……そうですね。本来は夫である十蔵がその立場ですが、世論が女噂男卑に傾くいま、表向き学園長はわたしに一任されています。それでご不満かしら?」
「こちらもこちらで結構な重要な案件なんですよ。担当直入にいいますと、私を入れた四人の人間をこの学園に入学させたいのです」
「……では貴方が、篠ノ之博士が仰っていた世界で初の男性操縦者なのですね」
「そうなります」
彼女は両手で頬杖を作るとしばし思案した。
「少し前にIS委員会の方が訪ねてきましたが、織斑先生彼女たちはいまどちらに?」
「それが……ここに居るユウヤ・キサラギが防衛行動を行い退散したそうです」
「そうですか。IS委員会は是が非でも篠ノ之束博士を確保しようと力んでいましたからね。仕方がないと思いますが……あの人数をお一人でですか?」
澪代理学園長は驚きを隠せないでいたが、性能差と経験の差があったからだ。既存のISでやれと言われれば流石に無傷は難しいがな。
「……こちらのISも少々特殊でして。いい試験運用が出来ました」
「学園内で戦闘を行ったことは、後日IS委員会と話さなければなりませんね。ユウヤさんも今後そのようなことの無いように願います」
「善処はします。ということは……」
「はい、入学は了承します。しかし、世間には一応の報告だけはさせてもらいます。それから実技試験も行ってもらいますからそのつもりで」
世間に報告か。束が世界に言ったことの真偽を伝えるためだと思うが、委員会を敵に回さないためだろう。黙っていれば強行手段をもってきそうな連中だからな。
「いえ、こちらこそ。無理を承知での願い、感謝します轡木学園長」
本当は夫の十蔵さんと話し是非を下すところをこの場で決定してくれた。
俺たちは立ち上がり、澪代理学園長に頭を下げせめてもの感謝の意を示した。
*********
学園長室を後にした俺たちは、学園食堂に夕飯を食べに来ていた。
実機試験は明日行うことになっている。もちろん専用機でなく実習機を使ってだ。《ネオサイコ・ドーガ》はなるべくは使わないようにしようと思う。アレは強力すぎるからな。非常時以外は実習機を使用しよう。
部屋の方は無理を通して職員用の部屋を用意してくれた。
新学期が始まってからはクロエと一夏は生徒寮に方に移る予定だ。
クラスもその時に伝えてくれるらしい。
いろいろとあった一日だったが何とかなったな。
「なんとかなったね兄さん」
ユウキがスパゲティをフォークでクルクルと巻きながら言った。
ちなみに一夏は和食のA定食――白米と魚の切り身を焼いたものと味噌汁というスープ、野菜のおひたし?だったか――でクロエはシチューにパン。俺はというと、ハンバーガーを頼んだ。
この場に束が居ないのは千冬と二人きりで話があるからだそうだ。
ラボでも食事は一夏とユウキが交互か一緒に作っていたが、一夏の時だけは和食になる事が多かった。そのため必然的に箸を使う食事になってしまい、苦戦した。
俺も東洋系の血が混じっているがなかなかうまく使いこなせなかった。よく日本人はアレで食事ができるな。
「そうだな」とハンバーガーを一口頬張り相槌した。
ここの食堂が出すハンバーガーはうまい。
はさんである肉は厚く、レタスは新鮮。パンもぱさぱさでなくもっちりとしていて弾力がある。とくにピクルス。程よい酸味で食が進む。いくらでも食べれそうなハンバーガーだな。
「失礼。君がユウヤ・キサラギか?」
ハンバーガーを堪能していると声を掛けられた。
振り向くとそこに居たのはクロエような長い銀髪を後ろで一つに束ね、千冬にも似た鋭い眼差しはまるで武人のもの。スラリとした肢体は程よく鍛え上げられ、灰色のパンツスーツを着こなした女性が立っていた。おそらく教員だと思うが…………どこかで……会ったことがある様な……
俺が怪訝そうにしていると、
「私はどれほど月日が経とうが、姿が変わろうが共にア・バオワ・クーを防衛しジオンの精神を形としたMA《ノイエ・ジール》をアクシズより届けてくれた友を一日たりとも忘れたことはないぞ。まさか君は忘れたわけではあるまいな?」
女性は溜息交じりにそう言った。
ア・バオワ・クー?!《ノイエ・ジール》?!アクシズ?!なんで俺たちが居た世界の事を知っているんだ?いや、待て。まさか……ありえるのかそんなことが?
「お、おま……」
俺は言葉を失い、
「え…………えええ?!う、うそ?!なんで?!!」
ユウキも目を細めていたが、気が付いたらしく逆に目を見開き大声を上げ、
「ユウキお姉ちゃん、この人だれ?」
「お二人はこの方を知っているのですか?」
一夏とクロエの二人も怪訝そうに尋ねてきた。
「ガ……ガトーなのか?」
恐る恐る答えた俺に、
「そうだ。君の友アナベル・ガトーだ。久しいなユウヤ!」
女性――アナベル・ガトーは笑いながら肯いた。
はい登場人物は「ソロモンの悪夢」さんです。
スターダストメモリーは個人的に好きな作品なので出したいなと思いだしました。
しかし、この人のしゃべり方日本人の自分でも難しいんですよね(特に四字熟語とか)