まさかこいつに憑依するとは   作:Aqua@D

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レーティングゲーム前夜、レーティングゲーム前半をお送りします。



What is a rating game?

シトリー眷属とのゲーム決戦前夜に、俺達は今回の『禍の団(カオス・ブリゲード)』の襲来について、及び情報共有の会議を終えたアザゼルの部屋に集まり、シトリー戦の前の最後のミーティングをしていた。

 

アザゼルの話では、今回の襲撃はオリヴィエが俺を狙ったという事になり、俺たちリアス・グレモリー眷属とタンニーン様で追い払った事で一応の決着はついた。黒歌や美猴に関しては共闘の事もあって、一部の方を除いて隠蔽する事になったらしい。

 

「しかし、今回は厄介な事にはなったが……これで、グレモリー眷属の戦力はアップしたに違いない。話を変えるが、ソーナ・シトリーはグレモリー眷属の事をある程度知っているんだろう?」

 

アザゼルの問いに部長は頷く。……厄介どころの話じゃねぇよ。……まあ、何時迄も引きずるのは良く無いか。

 

「ええ、大まかなところは把握されているわね。例えば、イッセーや祐斗、朱乃、アーシア、ゼノンの主力武器は認識しているわ。フェニックス家との一戦を録画した映像は一部に公開されているもの。更に言うならギャスパーの神器(セイクリッド・ギア)に小猫の素性も割れているわ」

 

「ま、ほぼ知られているわけか。で、お前の方はどれぐらいあちらを把握してる?」

 

「ソーナの事、副会長でもある「女王(クイーン)」の事と「兵士(ポーン)」の神器(セイクリッド・ギア)の事くらいね」

 

「情報戦に関しては、あちらに利があるか。まあ、その辺はゲームでも実際の戦闘でもよくある事だ。戦闘中に神器(セイクリッド・ギア)が進化、変化する例もある。細心の注意を払えばいい。相手の数は八名か」

 

「ええ、『(キング)』・『女王(クイーン)』・『戦車(ルーク)』・『騎士(ナイト)』が一名ずつで、『僧侶(ビショップ)』・『兵士(ポーン)』が二名ずつの計八名で、数はこちらと同じね」

 

そして次にアザゼルは事前に用意したホワイトボードに何かを書いていく。

 

「レーティング・ゲームは選手に細かなタイプをつけて分けている。パワー、テクニック、ウィザード、サポート。この中でならリアス、朱乃はウィザードタイプ。木場はテクニックタイプで、スピードや技で戦う者。小猫はパワータイプで仙術が極まればサポートもこなせるな。アーシアとギャスパーはサポートタイプ。イッセーもパワータイプだが、譲渡(ギフト)の力でサポートの方にもいけるぞ」

 

更に細かく分けるならアーシアはウィザード、ギャスパーはテクニックに近いとの説明が入る。

 

一誠はたくさん覚える事が出てきたので困惑していたが、必要最低限の事は理解したみたいだ。……主観だがな。

 

「で、ゼノン。お前はウィザード以外なら全タイプを兼用出来る万能型だ」

 

そうだな、ウィザードタイプになるには、アザゼルとの模擬戦でも言ったが、魔法や魔術の威力に欠けるからな。それに、基本的に魔法や魔術は基本的に技の繋ぎや相手の体制を崩す為にしか使わないからな。

 

「あれ? ゼノンはパワータイプじゃないんですか?」

 

アザゼルの言葉に疑問を持ったのか一誠が声をあげる。

 

「そうみえるか? ……って、イッセーはこいつの戦闘をコカビエルぐらいしか見てねぇのか」

 

「そうだな。それに、悪魔になってからはパワータイプの印象を持たせるようにしてるしな」

 

はぐれ悪魔の討伐もデュランダルかジョワユースで斬り裂くだけの簡単なお仕事だしな。

 

「お前は本当に侮れないな……」

 

そして、アザゼルの口からカウンター云々の話が出た所で自分の意見を告げる。

 

「恐らく、シトリーの眷属にカウンター使いがいるとしたら俺に当ててくる可能性はある。一誠には多分匙を当ててくるんじゃないか?」

 

……何故かって? 理由は……

 

「普通ならそう考えるな。デュランダルの攻撃のカウンター食らったら一発でアウトだろうしな。それにイッセーには「洋服破壊(ドレス・ブレイク)」が有るからな」

 

俺の意見にアザゼルがそう言う。一誠に関してもアザゼルの言う通りの理由だ。

 

「……確かに「洋服破壊(ドレス・ブレイク)」は、女性の敵です。イッセー先輩とは、絶対に戦いたくないと思います」

 

塔城の言葉が鋭く突き刺さる一誠。そりゃそうだ、逆にカウンターなんかで跳ね返しても……これ以上は言わん。

 

そして、最後にまとめ、全員がシトリー眷属との試合に備えた。

 

 

 

 

―――決戦日

 

 

魔方陣でジャンプしてゲーム会場に移動すると、直にアナウンスが鳴り響く。

 

『皆様、この度はグレモリー家、シトリー家のレーティングゲームの審判役を担う事となりました、ルシファー眷属「女王(クイーン)」のグレイフィアでございます。我が主サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせていただきます。早速ですが、今回のバトルフィールドはリアス様とソーナ様の通われる学舎「駒王学園」の近隣に存在するデパートをゲームのフィールドとして異空間にご用意致しました』

 

それからアナウンスでルールが知らされる……両陣営の本陣は部長側が二階の東側、シトリー側が一階の西側となっているらしい。「昇格(プロモーション)」は見込めないか?

 

更に特別ルールとして、回復品であるフェニックスの涙が両陣営に一つずつ支給された。……今回は短期決戦だから使い道無いだろうがな。一応、部長が持つ事になった。

 

『作戦を練る時間は三十分です。この時間内での相手との接触は禁じられています。三十分後にゲーム開始です』

 

アナウンスが終わり、皆が集まる。

 

「バトルフィールドは駒王学園の近くのデパートを模したもの。屋内戦ね」

 

壁に描かれた大きなデパート内の案内図を見ながら部長が言い、送られてきたルールの紙に目を通すと口を開く。

 

「今回のルールは、バトルフィールドとなるデパートを破壊し尽くさないこと。つまり、派手な戦闘は控えろって意味ね」

 

「となると、姫島や一誠の範囲の広い攻撃ができないのは痛いな……」

 

屋上や一部の区間なら可能な場所は有るが、そんな有利な所でわざわざシトリー眷属が戦ってくれるわけないだろうしな。

 

「そうね。それに、ギャスパーの神器(セイクリッド・ギア)の規制が書かれているわ。まあ、その件に関しては今回使わせる気はなかったけどね」

 

「……まだ不安定か。使えたらデパートのガラスの反射を使って停止範囲を拡大させられたんだがな……」

 

「そんな事できるのか?」

 

一誠が俺に問いかける。

 

「可能だ。テロの事を思い出せ、あれは擬似禁手(バランス・ブレイカー)だったが、裏を返せば禁手(バランス・ブレイカー)に近い素の神器(セイクリッド・ギア)の能力があれだからな……っと、この話は一旦切る。準備もあるしな……」

 

そして、部長が……

 

「十分後にここに集合。各自、それまでそれぞれのリラックス方法で待機していてちょうだい」

 

そして、それぞれが散っていく中、祐斗に話しかける。

 

「さて、やるなら今だな」

「そうだね……」

 

そして、時間になると俺達はフロアに集まり、開始の時間を待った。そして、アナウンスが流れた。

 

『開始のお時間となりました。ゲームスタートです』

 

部長が椅子から立ち上がり、気合いの入った表情で言う。

 

「指示はさっきの作戦通りよ。イッセーと小猫、裕斗とゼノンで二手に分かれるわ。イッセーたちが店内から、裕斗たちが駐車場を経由して進行。ギャスパーは店内の監視と報告。進行具合によって、私と朱乃とアーシアがイッセー側のルートを通って進むわ」

 

部長の指示を聞き、全員耳に通信用のイヤホンマイクを取り付ける。これで連絡を取り合うそうだが、便利な物だ。

 

「さて、可愛い私の下僕悪魔たち! 今回は私達が勝つ!」

 

「応!(はい!)」

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

時間は過ぎ、開始から間も無くギャスパーのリタイアのアナウンスが流れ、一誠たちの方は戦闘を始める中、祐斗たちは駐車場を通り、相手の本陣に向かっていたが……。

 

「さて……「女王(クイーン)」の真羅椿姫(しんらつばき)、「戦車(ルーク)」の由良翼紗(ゆらつばさ)、「騎士(ナイト)」の巡巴柄(めぐりともえ)。結構人数を割いて来たね、こっちが本命かな?」

 

僕の隣にいる彼が三人を見て言う。確かにあちらが約半分の人数を割いてくるなんて思っても見なかった。

 

「さて、どうでしょうか?」

 

相手の「女王(クイーン)」がそう返す。それくらいは、分かっていたさ。

 

「まあ、言うはずはないだろうね……ゆ、祐斗行くぞ?」

 

そして、僕は彼に声をかけて目で合図する。

 

「ああ」

 

彼が返事をすると、自身と彼に

聖剣が創造される。この聖剣は、大して強くない……作戦の内だからね。これくらいにしとかないと持たない。

 

そして、僕は静かに呟く。

 

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ。

この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する……デュランダル!」

 

そして、聖のオーラが籠った聖剣が聖剣を持ってないほうの手に現れる。

 

「それがデュランダルですか?」

 

「まあ……な、ルールの所為で随分オーラは制限しているけどね……」

 

ルールというか、それ以外の問題なんだけどね。すると、彼が剣を構えると僕に向かって叫ぶ、

 

「さて、ゼノンは「女王(クイーン)」を! 二人は僕が相手取るッ!」

 

それを聞いて、相手も構える。……内心、邪魔が入らなかった事にほくそ笑む。

 

「了解ッ!」

 

そして、僕は相手の「女王(クイーン)」にそれなりの速度で近づくと愚直に聖剣を振りかぶった!

 

「かかりましたね!「追憶の鏡(ミラー・アリス)」!」

 

すると、相手の「女王(クイーン)」はカウンターの要領で鏡を出現させた。

 

「な……! しまった……」

 

聖剣が鏡に吸い込まれるようにぶつかる……

 

 

◇◆◇◆

 

 

ーーー時は少し遡る……

 

場所は広々とした、店内。そこでは、匙と一誠の激しい戦いが繰り広げられていた。

 

匙の神器「黒い龍脈(アブソーブション・ライン)」で足止めされた一誠は、腹部に蹴りを食らった。

 

因みに、もう片方の「兵士(ポーン)」を仙術によって動きを封じた小猫は、一誠に加勢したいが本人たちの“タイマン勝負に手を出さないでくれ”と二人に言われて、距離を取っていた。

 

しかし、蹴りを食らった一誠に大したダメージを食らった様子はない。それを見て、匙が口を開く。

 

「結構、本気で蹴ったんだが、お前も相当トレーニングを鍛えたというわけだな」

 

時間を稼ぐ……その両者の意味合いの異なった思惑が交差するなか、匙が話し出す。

 

「俺はお前が羨ましかったし、自分が悔しかった。おまえは、自慢の赤龍帝なのに、俺には何もない。だから、赤龍帝であるお前を倒し、自慢と自信を手に入れる!」

 

匙はソフトボールサイズの魔力の弾を作り出し、投擲する。避け様にも「黒い龍脈(アブソーブション・ライン)」のラインに繋がれて身動きがとれなかった一誠は、迫りくる魔力の弾に右手を翳す。すると、白い籠手が出現した。

 

『Divide!』

 

そして、機械音と共に魔力弾が半分になった。その現象に匙は驚きの声をあげる。

 

「俺の魔力弾を半減したのかよ!?」

 

「山ごもりでなんとか発動できるようになった。発動する確率は一割以下で、博打に近いけどな……」

 

無茶な賭けで、成功したのはよかったが、白い籠手は役目を終えると直様消えた。

 

「いくぜッ! 禁手化(バランス・ブレイク)

 

そして、一誠は禁手(バランス・ブレイカー)を発動させて『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』を身に包んだ。どうやら、先程のやり取りで禁手(バランス・ブレイカー)までの時間を稼いでいたみたいだ。

 

「うおりゃあああ!!」

 

ラインを力任せに引き千切り、ブースターから火を吹き、匙まで一直線に進み何度も拳を撃ちこむ一誠。

 

しかし、匙は何度倒れても立ちあがった。その執念に神器(セイクリッド・ギア)は匙に力を与える……。

 

「……俺はお前に勝つまで……夢の第一歩を踏む……! 左手に魔力……右手に気……合成ッ!」

 

『この気迫とこの力……「黒邪の龍王(プリズン・ドラゴン)」ヴリトラが匙の想いに応えたというのか!』

 

ドライグが驚く中、匙は叫ぶ。

 

「兵藤ッ! 一つ聞かせろッ! 主様のおっぱいは柔らかいのかァァァ!?」

 

……さっきまでの真面目な雰囲気が消え去り、匙は嫉妬に燃えた瞳で一誠に殴りかかってくる。

 

そして、気迫と咸卦方で強化された一撃を受けた一誠は吹き飛ばされた。受け身を取り、匙に向き合うも……

 

「おっぱいを揉んだ時、何を思ったんだよ!? ちくしょぉぉぉ!」

 

匙は叫びながら、ラインを複数展開させて、大型家具引っ張る。そして、そのまま一誠に振り下ろした。

 

「がっ……!?」

 

一誠は、威力を抑えたドラゴンショットで撃ち落としていったが、匙もラインを一本だけ軌道を反らして、タンスを一誠の背中に直撃させた。

 

「俺だって……俺だって……揉みたいんだよぉぉぉ! 乳房すら、見た事ない! 乳首なんて一生拝めるかわからないのに! それを、お前は自由気ままに見やがってぇぇぇぇ!!」

 

明らかに怒りの方向性が可笑しくなっているが、匙はただ只管に一誠を殴る。一誠も負けず、反撃に頭突きからの拳を撃ち込む。殴り合いの間にアナウンスが流れていたが、二人の耳には入っていなかったようだ。

 

「兵藤ぉぉぉぉおおお!!」

「匙ぃぃぃぃぃいいい!!」

 

そして、二人の拳が交差して互いの顔面に拳が入る……クロスカウンターが決まったが、ダメージが蓄積されていた上に、咸卦法が途切れた匙は崩れ落ちた。だが、匙は崩れる最後まで一誠の右手を両手で掴み、リタイアするまで掴んだままだった。

 

それを見届けた小猫はもう一人の「兵士(ポーン)」にトドメをさすと、大の字になり、少しだけ震えていた一誠の手をやさしく握り……。

 

「カッコよかったですよ。一誠先輩」

 

と、一言賞賛を送った。

 

『ソーナ・シトリーの「兵士(ポーン)」二名、リタイア』

 

そして、アナウンスが鳴り響く。

 

「小猫ちゃん、現状は……?」

 

ふと、一誠は小猫に質問する。そして、小猫はそれに答える。

 

「それは……」

 

……二人は気づいていなかった。

匙がリタイアしても、一誠の右手に付いているラインが消えていない事に……




次回は翌日投稿です。……見え見え次回の展開ですが、お待ち下さい。
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