……今回も短めです。
※イリナがコレジャナイ感がするので注意。
It is transmigration to an angel?
「このような時期に珍しいかもしれませんが、このクラスに新たな仲間が増えます」
二学期が始まったある日、女子の転校生が来ると言う情報が流れていた。情報源が何処から来たのか不明だが、クラスの男子は興奮を隠し来れてない様子だった。
一誠は、アルジェントがディオドラの嫁に行ってしまう夢を見たらしく沈んでいたが、今はもうすっかり立ち直って転校生が来るのを待っていた。
かという俺も楽しみ……というか、興味は有る。普通に考えて転校するタイミングがおかしい。なんで、二学期開始直後に合わせて来ないで多少日が経った微妙な日なんだ? 考えるなら、俺と同じ裏の関係者なんだろう。俺の隣に空きの机が有るしな。
天使側ならよっぽどな事が無ければ、ミカエル様から連絡を頂けるだろうし、堕天使側もわざわざアザゼルがいるのに追加でくるか? ……となると、悪魔で最後の「
そんな思考の中、先生に促されて入室してきたのは見慣れた栗毛のツインテールの少女だった。
……は?
殆どの男子は歓喜の声を上げるが、俺は驚きを隠しきれずに彼女を見つめた。
「紫藤イリナです。皆さん、どうぞよろしくお願いします!」
転校生の正体はイリナだった……。ミカエル様とは最近連絡を取ったが、妙ににこやかだったのはこの所為か……。
「という事で、イリナさんは彼の隣の席だ」
彼……と言うのは、俺だ。
「わかりました!」
とイリナは俺の隣に座る。それを見て、イリナに問いかける。
「……どういう事だ?」
すると、イリナはこう返す。
「えっと、詳しくは放課後にまとめて話すわ……」
と言葉を濁して。まあ、一人一人に話すよりそちらの方が効率的だろうしな。
*
「紫藤イリナ。あなたの来校を歓迎するわ」
という事で、放課後の部室。オカルト研究部メンバー全員に顧問のアザゼル、シトリーが集まってイリナを迎え入れていた。人数的な問題かなんなのかシトリー眷属はいない。
「はい、皆さん! 初めまして……の方もいらっしゃれば、再びお会いした方のほうが多いですね。紫藤イリナと申します! 教会……いえ、天使側の使者として駒王学園に馳せ参じました!」
部員全員が拍手を送り、イリナを歓迎する。
「早速ですが……」
ふと、イリナは立ち上がって祈る。すると、彼女の体が輝き、背中から白い翼が生えた。
俺を含む全員はその事に驚くが、アザゼルだけは顎に手をやりながら冷静に訊く。
「……紫藤イリナと言ったか。お前、天使化したのか?」
「天使化? そんな現象があるんですか?」
祐斗がアザゼルに問いかけると、アザゼルは肩を竦めて口を開く。
「いや、実際には今まで無かった。理論的なものは天界と冥界の科学者の間で話し合われてはいたが……」
「はい。ミカエル様の祝福を受けて、私は転生天使となりました。なんでも「
三大勢力の協力態勢は天使に転生させる技術にまで進んでいたと言うのはミカエル様から聞いて知ってたが……まさか、イリナが転生天使になるとは思っても見なかったな。
更にイリナが話を続ける。
「四大
因みにイリナは
「ん? と言う事は、お前は聖書に記された神様が死んだ事は知ってるんだな?」
すると、アザゼルが単刀直入に尋ねた。
勿論知ってるだろうな。じゃなきゃ、三大勢力の重要拠点の一つであるこの街に派遣される筈がない。
「勿論です、堕天使の総督様。主の消滅を既に認識しています」
「……ほお、信仰心の高いらしいお前が何のショックを受けずにここに来るとはな……」
俺からイリナの事について聞かされていたアザゼルは感心したように言う。
「いえ、当時はショックで寝込んでしまいました……まあ、色々ありました」
それに返答するイリナだが、妙に歯切れが悪い。疑問に思ったが……
「その辺りの話はここまでにしておいて、今日は紫藤イリナさんの歓迎会としましょう」
シトリーが切り出して他の生徒会メンバーをオカルト研究部の部室に呼びだして、イリナの歓迎会が執り行われたのでさっきの疑問は後回しか……。
◇◆◇◆
私こと、紫藤イリナの歓迎会の帰り道。私とゼノンは同じマンションへと向かっていた。何故なら、私の住むところがゼノンと同じだからだ。流石に同棲までは踏み切れなかったけど。
突然だけど、私はゼノンに恋をしている。
彼と始めて会ったのは、今はガブリエル様の
当初の印象は、強くなるために必死だったせいか怖い人だと感じた。
ただ、聖剣エクスカリバーの一振りを授かってミカエル様の命により共に行動するようになってからは彼がどういう人物なのかを理解できた。
そして、苦難を二人で乗り越えていく度にどんどん惹かれていった。
今だと、色眼鏡で長所も短所もどれも美点に見えてしまうのは仕方ないことだよね?
それ故に……
「……」
「……」
この黙ったまま歩き続けているのは耐えられない。理由はわかっている……ゼノンは私があの時に言い淀んだ訳を知りたがっているが、気まずいのか言い出せない。
私の方も、言い淀んだ理由を話したいのだが、今だに決心がつかない。
……いや、ゼノンは待っているのだろう、私が言い出すのを。
それならば、決心して言い出さなくては……こんなんじゃ……。
「あのね……」
「どうした?」
すると、立ち止まり自然体で返してくるゼノン。それを見て、若干顔を俯かせて呟くように言う。
「駒王協定の後、ミカエル様に色々聞かされたの……一つは聖書の神の事、もう一つはゼノンの事……」
ゼノンの事は、本当に色々聞かされた。……本当はゼノン自身から聞かされたかったんだけどね。
「それを聞いた時ね、私、自分が情けなくなっちゃって……」
「どうしてだ?」
どうしてって……!
「だって、ゼノンが悪魔になったのは、私が弱かった所為なんでしょ!? 私が足を引っ張らなければ……」
貴方が死にかける事はなかった……とは言えなかった。
何故なら、ゼノンが私を抱き締めていたからだ。
「それは違う……」
その行動に胸が昂まり、自分の耳に心臓の鼓動が聞こえる。
ああ、恋は盲目とはよく言ったものだわ。これだけで、私の葛藤が馬鹿馬鹿しく感じちゃう。私は、ぎゅうとゼノンを抱き締める。
「イリナ?」
すると、ゼノンが疑問の声を出す。だけど、その声色は普段より優しく感じる。その私への気遣いに嬉しくなって、私は上目遣いで……
「もう少しだけ、ね?」
とおねだりしてみた。
すると、それに応えるようにゼノンは優しく抱き締めてくれた。
そして、暫くした後に私を抱きながらゼノンが声をかけてくる。
「さて、行くか」
「……ぁ」
……ゼノンと離れた事により、私は自分でも無意識に声を漏らす。
その後、それを自覚し赤面する。
すると、やれやれと首を振るとすぐにゼノンは手を差し出す。
「ほら、手を出せ」
「う、うん!」
その言葉に私は顔を輝かせ手を握り、二人で歩き出した。
ーーその後、自室に戻った私が先程の事を思い出し恥ずかしさのあまり、ベッドで足をバタバタさせ、眠れなかったのはここだけの秘密である。
◇◆◇◆
イリナと紆余曲折あったが、自室に戻り就寝の準備を済ませた俺はベッドで考える。
「どうすればいいのかね……俺は」
というのも、先程のイリナとの帰り道での事を思い出したからだ。
イリナの気持ちに気付いていながら、それを利用してるんだからな。
というか、イリナが悩んでいるあの時にイリナが足を引っ張った、というのはどうなんだろうか。まあ、今更とやかく誰が悪い悪くないを責めても現実は変わらないんだけどな。
実際問題、あの斬撃に生命力をつぎ込んだ自分が悪いんだけどな。
それでイリナが悩んでたなら、それを解かないといけないしな。
まさか、転生天使になったのは力を手に入れる為か? ……いや、動機が不純なら天使はすぐに堕ちる筈か。
というか、イリナは天使になったら悪魔である俺に心を揺さぶられたら堕ちるんじゃないのか?
……まさか、ミカエル様が言ってた「特殊な試み」って……。
その後日、ミカエル様に聞いたのは予想通りの答えだった。
「天使が悪魔に恋をしても、特殊状況下において「堕ちない」ようにしました……応援していますよ?」
……今は、答えは出せないな。色々問題もあるしな。
うーん、恋愛描写は書きにくい……。
現状では、ゼノンのイリナに対する感情は好意止りです。
次話は22:00です。